JPH08260135A - スパッタリングターゲット - Google Patents

スパッタリングターゲット

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JPH08260135A
JPH08260135A JP9146095A JP9146095A JPH08260135A JP H08260135 A JPH08260135 A JP H08260135A JP 9146095 A JP9146095 A JP 9146095A JP 9146095 A JP9146095 A JP 9146095A JP H08260135 A JPH08260135 A JP H08260135A
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JP
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thin film
silver
film
copper
light
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JP9146095A
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Kenzo Fukuyoshi
健蔵 福吉
Osamu Koga
修 古賀
Ichiro Yazawa
一郎 矢澤
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Toppan Inc
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Toppan Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い導電性を有しかつ可視領域の全域におい
て均一で高い光透過率と光反射率を有する銀系薄膜成膜
用のスパッタリングターゲットを提供する。 【構成】 このスパッタリングターゲットは、0.3atom
%の銅と約99.7atom%の銀とで構成される。そして、こ
のターゲットを用いて成膜された接着性薄膜11と銀系薄
膜12及び保護膜13から成る多層薄膜1は、その銀系薄膜
12が銅を含有しているため可視領域の短波長側の光透過
率が増大している。従って、この多層薄膜1は、可視領
域の全域に亘ってその光透過率が均一化されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、銀系薄膜をスパッタリ
ング法にて成膜する際に適用されるスパッタリングター
ゲットに係り、特に、導電率と光学特性に優れた銀系薄
膜を成膜できるスパッタリングターゲットの改良に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】銀薄膜の表面にITO薄膜等の透明保護
膜を設けて構成される多層薄膜は極めて高い導電性を有
するため、この高い導電性を利用してこの多層薄膜を様
々な分野に応用する試みがなされている。
【0003】例えば、特公平1−12663号公報又は
特開昭61−25125号公報においては、銀被膜を薄
膜化させて透明性を確保し、その表面にITO薄膜を積
層して多層構造とした透明多層薄膜を提案している。こ
の透明多層薄膜はITO単体の薄膜に較べてその導電率
が極めて高いため、例えば、ITO薄膜はその膜厚が2
50nmの場合8Ω/□程度の面積抵抗率を有するのに
対し、上記透明多層薄膜はその合計膜厚が高々90nm
であっても5Ω/□程度の低い面積抵抗率を実現するこ
とができる。
【0004】また、このような透明多層薄膜の高い導電
率と透明性に着目して、特開昭63−173395号公
報においては、同様の層構成を有する多層薄膜を透明な
電磁波シールド膜として利用する技術を提案している。
【0005】更に、1982年日本で開催された第3回
ICVMにおいては、同様の層構成を有する多層薄膜が
長波長側の光を遮断する性能に優れることに着目して、
上記多層薄膜を熱線反射膜に適用する技術が提案されて
いる。
【0006】他方、比較的膜厚の大きい銀薄膜について
はその光反射率が可視領域のほぼ全域に亘って高いこと
に着目し、膜厚50nm以上の銀薄膜にITO薄膜等を
積層して多層構造とした光反射性多層薄膜を、反射型液
晶ディスプレイの光反射板や光反射性金属電極として適
用する技術も提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、これ等多層
薄膜を製造するに際しその銀薄膜については、通常、銀
のスパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法
にて成膜されている。
【0008】そして、この様な成膜法にて製造された透
明多層薄膜については、多層薄膜自体が導電性と透明性
を具備していることから液晶ディスプレイ等の透明電極
への適用が検討されている。
【0009】しかし、上述の成膜法にて製造された透明
多層薄膜においては、図6に示すように波長500〜5
50nmの可視光線の光透過率に優れるものの、その範
囲外の可視光線の光透過率がこれに較べて小さく、特に
短波長側の光透過率が著しく小さく、このため、上述し
た液晶ディスプレイ等の透明電極に適用した場合、その
表示画面が黄色に着色するという問題点があった。
【0010】他方、銀薄膜の膜厚を50nm以上にした
光反射性多層薄膜においては、可視領域の短波長側の光
反射率が小さく、このため、この多層薄膜を上述した反
射型液晶ディスプレイの光反射板や光反射性金属電極に
適用した場合、その表示画面が同様に黄色に着色すると
いう問題点があった。
【0011】本発明はこのような問題点に着目してなさ
れたもので、その課題とするところは、高い導電性を有
し、しかも可視領域の全域において均一で高い光透過率
と光反射率を有し、鮮やかで明るい白色光の透過若しく
は反射を可能にする銀系薄膜成膜用のスパッタリングタ
ーゲットを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】そこで、このような技術
的課題に鑑みて、本発明者等は銀に種々の金属元素を添
加したスパッタリングターゲットを試作し、このターゲ
ットを用いて透明性の高い銀系多層薄膜を成膜すると共
に、可視領域の短波長側から紫外領域にかけてその分光
透過率を測定したところ、添加される金属元素として銅
を用いた場合、可視領域の短波長側においてその光透過
率が約3〜4%増大することを見出だした。すなわち、
図7は、厚さ1mmの水晶板を基板とし、この基板上に、
それぞれ、0.1atom%の銅が添加された銀薄膜(Ag
Cu0.1)、3atom%の銅が添加された銀薄膜(Ag
Cu3)及び銅が添加されていない銀薄膜(Ag)を成
膜してその分光透過率を測定した結果を示したものであ
る。そして、この結果から明らかなように、波長約40
0nm未満の紫外領域においては3atom%の銅が添加さ
れた銀薄膜(AgCu3)の光透過率は低いものの、波
長約400nm以上の可視領域においては、0.1atom
%の銅が添加された銀薄膜(AgCu0.1)と3atom
%の銅が添加された銀薄膜(AgCu3)のいずれも、
銅を添加していない銀薄膜(Ag)に較べてその光透過
率が増大していることが確認された。但し、上記薄膜の
厚さはいずれも40nmである。
【0013】他方、銀に種々の割合の銅が添加されたス
パッタリングターゲットを使用し、銀系薄膜の膜厚を比
較的厚くして上記光反射性多層薄膜を成膜した場合、可
視領域の短波長側においてその光反射率が増大すること
も確認された。すなわち、図8は銅の含有割合を変化さ
せて成膜した銀系薄膜の波長450nmの短波長側可視
光線に対する反射率を、アルミニウムの光反射率を10
0%としてこれと比較して示すものである。そして、こ
の図8から、銅の含有割合(添加量)が0.1atom%を
越えるとその光反射率が急激に増大することが確認でき
る。
【0014】すなわち、銀に0.1atom%以上の銅を添
加して成るスパッタリングターゲットを使用して上記銀
系多層薄膜を成膜すると、その銀系薄膜が薄くて透明な
場合にはその短波長側光透過率が増大し(図7参照)、
他方、銀系薄膜が比較的厚くて光反射性を有する場合に
は短波長側光反射率が増大する(図8参照)ことが発見
された。本発明はこのような技術的発見に基づいて完成
されたものである。
【0015】すなわち、請求項1に係る発明は、スパッ
タリングターゲットを前提とし、0.1atom%(原子
%)以上の銅を少なくとも含有する銀により構成されて
いることを特徴とするものである。
【0016】そして、この請求項1記載の発明に係るス
パッタリングターゲットによれば、0.1atom%(原子
%)以上の銅を少なくとも含有する銀により構成されて
いるため、このスパッタリングターゲットを使用して銀
系薄膜を成膜し、かつこの銀系薄膜上に透明な保護膜を
成膜して多層薄膜を形成すると、その銀系薄膜が薄く透
明性を有する場合にはその短波長側の光透過率が増大
し、他方、銀系薄膜が比較的厚く光反射性を有する場合
には短波長側の光反射率が増大する。
【0017】このため、透明若しくは光反射性のいずれ
の場合においても可視領域の全域に亘って光透過率若し
くは光反射率が高くしかも均一化され、これ等光が着色
されるのを防止することが可能となる。従って、上記ス
パッタリングターゲットを用いて製造された多層薄膜を
液晶ディスプレイの透明電極や反射電極等に適用した場
合、明るくかつ鮮やかな白色の画面表示を行うことが可
能となる。
【0018】尚、銀系薄膜が比較的厚く光反射性を有す
る場合、図8に示すように銅の含有割合(添加量)が1
〜2atom%程度で極大の光反射率を示し、3atom%を越
えると銅の含有割合の増加に従って光反射率が低下す
る。
【0019】尚、銀系薄膜が薄く透明性を有する場合、
図9に示すように銅の含有量が増加するに伴いその面積
抵抗は増大するが、銅の含有量が3atom%のとき膜厚1
0nmの銀合金薄膜の面積抵抗は約5Ω/□、膜厚15
nmの銀合金薄膜の面積抵抗は約3Ω/□であり、液晶
ディスプレイの透明電極や透明電磁波シールド膜等に適
用された場合に十分な導電率を有している。請求項2に
係る発明はこのような技術的理由に基づいて銅の含有量
を特定した発明に関する。
【0020】すなわち、請求項2に係る発明は、請求項
1記載の発明に係るスパッタリングターゲットを前提と
し、0.1〜3atom%(原子%)の銅を少なくとも含有
する銀により構成されていることを特徴とするものであ
る。
【0021】尚、銅を含有するスパッタリングターゲッ
トを適用して成膜された銀系薄膜においては、銅の含有
割合が0.1atom%を越えると格子定数が増加し、ま
た、3atom%を越えると格子定数が低下する。この結果
から、0.1atom%の前後及び3atom%の前後で銀系薄
膜の結晶構造に変化があると推定できるが、これ等結晶
構造の変化と光透過率や光反射率等の光学特性の変化と
の間の関連については明らかになっていない。
【0022】また、本発明に係るスパッタリングターゲ
ットは、上記多層薄膜の光透過率又は光反射率に実質的
な影響を及ぼさない範囲で、銅に加えてその他の単純金
属元素、遷移金属元素、半金属元素等を含有するもので
あってもよい。また、上記スパッタリングターゲット
は、銀と銅を含有する合金にて構成されることが望まし
く、この合金は、銀と銅とを加熱溶融し、金型に注型し
て冷却することにより製造することができる。尚、本発
明に係るスパッタリングターゲットは、これを銀と銅を
含有する上記合金にて構成する以外に、銀のターゲット
の一部に銅を埋め込んで上記スパッタリングターゲット
とすることも可能である。
【0023】次に、本発明に係るスパッタリングターゲ
ットは、バッキングプレート上に固定し、DCスパッタ
リング法やRF−DCスパッタリング法等の直流スパッ
タリング法、あるいは高周波(RF)スパッタリング法
のターゲットとして用いられ、このスパッタリングター
ゲットの組成と同一の組成を有する銀系薄膜を成膜する
ために利用することができる。そして、こうして成膜さ
れた銀系薄膜の膜厚が20nm以下の場合には優れた光
透過性と導電性を有し、液晶ディスプレイ等の透明電極
や太陽電池の透明電極、あるいは透明な電磁波シールド
膜等として利用することが可能である。また、上記銀系
薄膜を光反射膜として利用する場合には、膜厚50nm
以上の銀系薄膜を成膜することが望ましく、こうして成
膜された銀系薄膜は反射型液晶ディスプレイの反射電極
や太陽電池の反射電極等として利用することが可能であ
る。尚、上記成膜方法としては、その成膜速度の点から
直流スパッタリング法が好ましい。また、成膜の際に
は、高成膜速度で、しかも成膜装置内部の水分を極力排
除して高真空側で成膜することが望ましく、かつ、成膜
される銀系薄膜を微細結晶状態とするため低温の基板温
度で成膜することが望ましい。尚、上記バッキングプレ
ートとしては、水冷時の冷却効果の高いものが好まし
く、例えば、銅合金、無酸素銅等が利用できる。また、
このバッキングプレートに上記スパッタリングターゲッ
トを固定する方法としては、例えば、メタルボンディン
グ、樹脂固定等の固定方法が適用できる。
【0024】次に、上記銀系薄膜の保護膜としては、例
えば、酸化インジウム薄膜、あるいは酸化インジウムに
他の無機酸化物を混合して構成される混合酸化物の薄膜
が利用できる。尚、上記保護膜については、酸化インジ
ウムに、銀との固溶域をもたないか若しくは小さい金属
元素の酸化物を添加して構成される混合酸化物の薄膜に
て構成することが望ましい。このような混合酸化物の薄
膜は防湿性に優れ空気中の水分を遮断するため、この水
分による上記銀系薄膜の経時的変質や劣化を防止するこ
とができるからである。銀との固溶域をもたないか若し
くは小さい元素とは室温付近で銀に対する固溶の量が1
0at%より小さい元素をいい、例えば、Ti、Zr、T
a等の高融点の遷移金属元素;Ce等のランタナイド系
金属元素;Bi、Ge、Si等の半金属元素等が挙げら
れる。また、これらの元素はインジウム元素に較べて5
atom%以上含有されていることが望ましい。5atom%未
満の場合、防湿性の向上は観察されるもののその効果が
不十分なためである。これに対し、5atom%以上の上記
元素が含まれる混合酸化物の薄膜は極めて高い防湿性を
示し、銀系薄膜の経時的変質や劣化を防止することが可
能である。
【0025】また、銀との固溶域をもたないか若しくは
小さい金属元素が、チタン及びセリウムから選択された
1以上の元素から成る場合、保護膜の屈折率が約2.1
〜2.3へと大きく増大する。このため、銀系薄膜が薄
くて透明な場合、可視領域の長波長側において保護膜を
銀系薄膜の反射防止膜として作用させ長波長側の光透過
率を増大させることが可能となる。この結果、可視領域
の全域に亘って高い光透過率を有するようになるため、
鮮やかで明るい白色光の透過を可能にする。
【0026】尚、保護膜が酸化インジウムを基材とする
場合、これら酸化インジウムを主成分とする保護膜と銀
系薄膜とは、いずれも、硝酸をエッチング液としたエッ
チング処理によりパターニングすることができる。すな
わち、基板上に銀系薄膜及び保護膜の二層を成膜し、か
つ、表面に露出した保護膜上にレジスト膜をパターン状
に形成した後、このレジスト膜から露出した部位を硝酸
系エッチング液によってエッチングすることにより、上
記二層の薄膜を互いに位置整合した上記パターン形状に
パターニングすることが可能である。このエッチング液
としては、硝酸の他、塩酸や硫酸又は酢酸等の他種の酸
を硝酸に添加して成る硝酸系の混酸、あるいは界面活性
剤を若干量添加した硝酸等が利用できる。
【0027】次に、本発明に係るスパッタリングターゲ
ットを用いて銀系薄膜が成膜される基板としては、例え
ば、ガラス、プラスチックボード、プラスチックフィル
ム等が使用できる。尚、基板の表面に凹凸を設け、この
凹凸面に銀系薄膜を形成し、更に銀系薄膜上に有機や無
機の材料から成る保護膜を積層した形態であってもよい
し、また、基板上に光散乱層を設けたものも使用可能で
ある。尚、プラスチックボードやプラスチックフィルム
を基板として使用する場合、空気中の水分がこの基板を
透過して銀系薄膜を損傷することを防ぐため、上記プラ
スチックボード又はプラスチックフィルム表面に防湿性
のコーティング層を設けた後、銀系薄膜を成膜すること
が望ましい。また、この銀系薄膜と基板との密着性を増
大させるため、銀系薄膜と基板との間に透明な接着性薄
膜を設けることも可能である。この透明な接着性薄膜と
して上記保護膜と同一材質の薄膜を利用することができ
る。尚、保護膜と同一の材質を有する上記接着性薄膜
は、これを硝酸又は硝酸系混酸でエッチングすることが
できるため、基板上に、接着性薄膜、銀系薄膜及び保護
膜の三層を成膜し、かつ、表面に露出した保護膜上にレ
ジスト膜をパターン状に形成した後、エッチングして上
記三層の薄膜を互いに位置整合した上記パターン形状に
パターニングすることが可能である。
【0028】
【作用】請求項1〜2記載の発明に係るスパッタリング
ターゲットによれば、0.1atom%(原子%)以上の銅
を少なくとも含有する銀により構成されているため、こ
のスパッタリングターゲットを使用して銀系薄膜を成膜
し、かつ、この銀系薄膜上に透明な保護膜を成膜して多
層薄膜を形成すると、その銀系薄膜が薄く透明性を有す
る場合にはその短波長側の光透過率が増大し、他方、銀
系薄膜が比較的厚く光反射性を有する場合には短波長側
の光反射率が増大する。
【0029】このため、透明若しくは光反射性のいずれ
の場合においても可視領域の全域に亘ってその光透過率
若しくは光反射率を高くしかも均一化させることが可能
となる。
【0030】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て詳細に説明する。
【0031】[実施例1]この実施例に係るスパッタリ
ングターゲットは、0.3atom%の銅と約99.7atom
%の銀から成るもので、純度99.99%の銀に所定量
の銅を加え、溶解炉中で真空溶解し、水冷された金型中
に注型し、3時間冷却した後、その表面を平面研磨板で
研磨し、端面を成形して製造したものである。
【0032】このスパッタリングターゲットを銅製バッ
キングプレートに固定し、スパッタリング法にてガラス
基板10上に、厚さ39nmの接着性薄膜11、厚さ1
0nmの銀系薄膜12、厚さ39nmの保護膜13から
構成される多層薄膜1を成膜した(図1参照)。
【0033】尚、スパッタリング装置としてはDCマグ
ネトロンスパッタリング装置を使用し、ガラス基板10
を室温に維持した状態で、このガラス基板10を装置外
部に取出すことなく連続して上記多層薄膜1を成膜し
た。また、銀系薄膜12は上記スパッタリングターゲッ
トと同一の組成を有しており、他方、接着性薄膜11及
び保護膜13は、いずれも、酸化インジウム、酸化チタ
ン、酸化セリウムの混合物から構成されている。また、
接着性薄膜11及び保護膜13の酸化インジウム、酸化
チタン、酸化セリウムの含有量は、インジウム元素、チ
タン元素及びセリウム元素の合計量を100atom%とす
るとき、インジウム元素が80atom%、チタン元素が1
9atom%、セリウム元素が1atom%となる量である。
【0034】こうして成膜された多層薄膜1に、270
℃、1時間のアニール処理を施した。尚、この多層薄膜
1全体の面積抵抗は4.6Ω/□であった。また、その
分光透過率を図2に示す。この図2から分かるように、
波長430〜620nmの広い範囲でその分光透過率が
97%に近く、可視領域の略全域に亘って均一で高い分
光透過率を有することが確認される。
【0035】[実施例2]この実施例に係るスパッタリ
ングターゲットは、1atom%の銅と約99atom%の銀か
ら成るもので、純度99.99%の銀に所定量の銅を加
え、溶解炉中で真空溶解し、水冷された金型中に注型
し、3時間冷却した後、その表面を平面研磨板で研磨
し、端面を整形して製造したものである。
【0036】このスパッタリングターゲットを銅製バッ
キングプレートに固定し、スパッタリング法にてガラス
基板20上に、厚さ10nmの接着性薄膜21、厚さ1
20nmの銀系薄膜22、厚さ70nmの保護膜23か
ら構成される多層薄膜2を成膜した(図3参照)。
【0037】尚、成膜装置は実施例1と同様の装置を適
用した。また、上記接着性薄膜21及び保護膜23は、
いずれも、酸化インジウムと酸化ジルコニウムとの混合
物で、これ等酸化インジウムと酸化ジルコニウムの含有
量は、インジウム元素とジルコニウム元素の合計量を1
00atom%とするとき、インジウム元素が80atom%、
ジルコニウム元素が20atom%となる量である。
【0038】こうして成膜された多層薄膜2に、220
℃、1時間のアニール処理を施した。また、この多層薄
膜2の分光反射率についてアルミニウムの光反射率を1
00%として比較し、その結果を図4に示す。
【0039】尚、比較のため、上記銀系薄膜22の代わ
りに銅を含有しない銀の薄膜を使用した多層薄膜を作成
した。この分光反射率についてアルミニウムの光反射率
を100%として比較し、この結果を図5に示す。
【0040】そして、図4および図5から、銅を含有し
ない銀薄膜を使用した比較例に係る多層薄膜は、可視領
域のほぼ全域でアルミニウムより高い光反射率を示すも
のの、450nm程度の短波長側の可視領域において8
6%程度の低い光反射率を示し、このため可視領域の光
反射率が不均一であることが分かる。
【0041】これに対し、銅を含有する銀合金の薄膜に
て銀系薄膜22が構成される実施例に係る多層薄膜2
は、450nm程度の低波長側の可視領域においてもア
ルミニウムより高い光反射率を示しており、全可視領域
において均一で高い光反射率を有することが確認でき
た。
【0042】
【発明の効果】請求項1〜2に係る発明によれば、0.
1atom%(原子%)以上の銅を少なくとも含有する銀に
より構成されているため、このスパッタリングターゲッ
トを使用して銀系薄膜を成膜し、かつ、この銀系薄膜上
に透明な保護膜を成膜して多層薄膜を形成すると、その
銀系薄膜が薄く透明性を有する場合にはその短波長側の
光透過率が増大し、他方、銀系薄膜が比較的厚く光反射
性を有する場合には短波長側の光反射率が増大する。
【0043】このため、透明若しくは光反射性のいずれ
の場合においても可視領域の全域に亘ってその光透過率
若しくは光反射率を高くしかも均一化させることが可能
となる。
【0044】従って、本発明に係るスパッタリングター
ゲットを使用して成膜された多層薄膜は鮮やかで明るい
白色光の透過若しくは反射を可能にするため、例えば、
この多層薄膜が液晶ディスプレイ等の表示画面に適用さ
れた場合、明るく鮮明な白色表示を可能にする効果を有
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る多層薄膜の断面図。
【図2】実施例1に係る多層薄膜の分光透過率を示すグ
ラフ図。
【図3】実施例2に係る多層薄膜の断面図。
【図4】実施例2に係る多層薄膜の分光反射率を示すグ
ラフ図。
【図5】比較例に係る多層薄膜の分光反射率を示すグラ
フ図。
【図6】従来例に係る多層薄膜の分光透過率を示すグラ
フ図。
【図7】水晶板上に設けられた銅が添加された銀系薄膜
及び銅が添加されていない銀薄膜の分光透過率を示すグ
ラフ図。
【図8】銅含有量に伴う銀系薄膜の分光反射率の変化を
示すグラフ図。
【図9】銅含有量に伴う銀系薄膜の面積抵抗の変化を示
すグラフ図。
【符号の説明】
1 多層薄膜 10 ガラス基板 11 接着性薄膜 12 銀系薄膜 13 保護膜 2 多層薄膜 20 ガラス基板 21 接着性薄膜 22 銀系薄膜 23 保護膜

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】0.1atom%(原子%)以上の銅を少なく
    とも含有する銀により構成されていることを特徴とする
    スパッタリングターゲット。
  2. 【請求項2】0.1〜3atom%(原子%)の銅を少なく
    とも含有する銀により構成されていることを特徴とする
    請求項1記載のスパッタリングターゲット。
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