JPH09143680A - 透明導電膜 - Google Patents

透明導電膜

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JPH09143680A
JPH09143680A JP33391095A JP33391095A JPH09143680A JP H09143680 A JPH09143680 A JP H09143680A JP 33391095 A JP33391095 A JP 33391095A JP 33391095 A JP33391095 A JP 33391095A JP H09143680 A JPH09143680 A JP H09143680A
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JP
Japan
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thin film
silver
transparent
transparent conductive
oxide
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Application number
JP33391095A
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English (en)
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Kenzo Fukuyoshi
健蔵 福吉
Yukihiro Kimura
幸弘 木村
Osamu Koga
修 古賀
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Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高価な材料を使用することなく、導電性と可
視光線透過率が高く、しかも経時劣化がなく保存安定性
に優れた透明導電膜を提供すること。 【解決手段】 この透明導電膜2は、ガラス基板10上に
順次積層された透明酸化物薄膜21と銀系薄膜22及び透明
酸化物薄膜23とで構成されており、透明酸化物薄膜21、
23は酸化チタン及び酸化セリウムを含有する酸化錫の薄
膜から構成されており、その組成比は錫元素、チタン元
素及びセリウム元素の合計量に対し、錫元素79.5at
om%、セリウム元素20atom%、チタン元素0.5atom
%となる量である。そして、透明酸化物薄膜中に銀との
固溶域を実質的に持たないセリウム元素やチタン元素の
酸化物が含有されているため、安価な錫元素を使用して
いるにも拘らず水分の存在下においても銀系薄膜中の銀
元素と透明酸化物との反応を防止でき、銀系薄膜の損傷
を防ぐことが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶ディスプレ
イ、入出力装置、あるいはプラズマディスプレイ等の表
示装置の透明電極に好適に用いられる透明導電膜に係
り、特に、薄膜で導電性と可視光線透過率が高く、しか
も保存安定性に優れた透明導電膜の改良に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】ガラス、プラスチックフィルム等の基板
上に可視光線を透過する電極形状の透明導電膜が設けら
れた電極板は、液晶ディスプレイ等の各種表示装置の表
示用電極やこの表示装置の表示画面から直接入力する入
出力装置に広く使用されている。例えば、液晶が用いら
れたディスプレイ装置の透明電極板は、図3に示すよう
にガラス基板kと、このガラス基板k上の画素部位に設
けられ画素毎にその透過光を赤、緑、青にそれぞれ着色
するカラーフィルター層lと、上記ガラス基板k上の画
素と画素との間の部位(画素間部位)に設けられこの部
位からの光透過を防止する遮光膜mと、上記カラーフィ
ルター層lの全面に設けられた保護層hと、この保護層
h上に成膜された透明電極gと、この透明電極g上に成
膜された配向膜fとでその主要部が構成されている。そ
して、上記透明電極gはスパッタリングにより成膜さ
れ、所定のパターンにエッチングされた透明導電膜によ
り構成されている。
【0003】この透明導電膜としては、その高い導電性
に着目して、酸化インジウムの中に酸化錫を添加したI
TO薄膜が広く利用されており、その比抵抗はおよそ
2.4×10-4Ω・cmで、透明電極として通常適用され
る240nmの膜厚の場合その面積抵抗はおよそ10Ω
/□である。
【0004】また、この他にも、酸化錫薄膜、この酸化
錫に酸化アンチモンを添加して構成される薄膜(ネサ
膜)、酸化亜鉛に酸化アルミニウムを添加して構成され
る薄膜等が知られているが、これらはいずれも上記IT
O薄膜よりその導電性が劣り、また、酸やアルカリ等に
対する耐薬品性あるいは耐水性等が不十分なため一般に
は普及していない。
【0005】一方、1982年日本で開催された第3回
ICVMにおいて、熱線反射膜として、銀薄膜の表裏面
にITO薄膜又は酸化インジウム薄膜(IO薄膜)を積
層させて構成される三層構造の透明導電膜が提案されて
いる。この三層構造の透明導電膜はおよそ5Ω/□程度
の低い面積抵抗率を有しており、その高い導電性を生か
して上記透明電極への応用が期待された。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記ディス
プレイ装置や入出力装置においては、近年、画素密度を
増大させて緻密な画面を表示することが求められ、これ
に伴って上記透明電極パターンの緻密化が要求されてお
り、例えば100μm程度のピッチで上記透明電極の端
子部を構成することが要求されている。また、液晶ディ
スプレイ装置において基板に液晶駆動用ICが直接接続
される方式(COG)においては、配線の引き回しにつ
いて幅20〜50μmという細線となる部分があり、従
来にない高度のエッチング加工適性と高い導電性(低い
抵抗率)が要求されている。
【0007】また、その一方で表示画面の大型化も求め
られており、このような大画面について上述したような
緻密パターンの透明電極を形成し、しかも液晶に充分な
駆動電圧を印加できるようにするためには、上記透明電
極として5Ω/□以下という高い導電性を備えた透明導
電膜を適用する必要があった。また、これに加えて、S
TN液晶等を利用した単純マトリクス駆動方式の液晶表
示装置において16階調以上の多階調表示を行う場合に
は3Ω/□以下という更に低い面積抵抗が要求されてい
る。
【0008】しかしながら、上記第3回ICVMにおい
て提案された三層構造の透明導電膜においては、極めて
高価なインジウム元素を使用しているにも拘らず(例え
ば、インジウムメタルは銀メタルの2〜4倍高価であ
る)、高々5Ω/□程度の面積抵抗が得られるに過ぎ
ず、十分な導電性が確保できないという問題点があっ
た。尚、銀薄膜の厚さを増大させて16〜18nm程度
とすればその面積抵抗率を約3Ω/□に低下させること
が可能であるが、可視光線透過率(特に波長610nm
程度の長波長側の可視光線透過率)が75%程度まで低
下し、透明導電膜としての機能が損なわれてしまう。
【0009】更に、上記三層構造の透明導電膜において
は、積層界面等から侵入した空気中の水分の存在下で銀
薄膜中の銀元素と酸化インジウムとが反応し経時的に銀
薄膜が損傷され易いという問題点があった。
【0010】本発明はこのような問題点に着目してなさ
れたもので、その課題とするところは、高価な材料を使
用することなく、導電性と可視光線透過率が高く、しか
も経時劣化がなく保存安定性に優れた透明導電膜を提供
することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述のような技術的課題
に鑑みて本発明者等が鋭意検討を重ねたところ、上記三
層構造の透明導電膜において、ITO薄膜やIO薄膜の
代わりに、酸化錫と、銀との固溶域を実質的に持たない
元素の酸化物との混合酸化物の薄膜を利用すると、導電
率と可視光線透過率が共に増大し、しかも上記薄膜中の
元素と銀元素との固溶が起こらないことを発見した。請
求項1に係る発明はこのような技術的発見に基づいてな
されたものである。
【0012】すなわち、請求項1に係る発明は、厚さ5
〜20nmの銀系薄膜と、この銀系薄膜の表裏に設けら
れた透明酸化物薄膜とから成る透明導電膜を前提とし、
上記透明酸化物薄膜が、酸化錫から成る第1の基材と、
銀との固溶域を実質的に持たない元素の酸化物から成る
第2の基材との混合酸化物により構成されていることを
特徴とするものである。
【0013】この請求項1に係る発明によれば、透明酸
化物薄膜中に、酸化錫から成る第1の基材の他に銀との
固溶域を実質的に持たない元素の酸化物から成る第2の
基材が含有されているため、水分の存在下においても銀
系薄膜中の銀元素と透明酸化物との反応が防止され銀系
薄膜の損傷を防ぐことが可能となる。
【0014】そして、このように透明導電膜を水分から
保護することができるため透明導電膜の安定性が改善さ
れ、長期間に亘ってその導電性と光透過性能とを発揮さ
せることが可能となる。
【0015】次に、請求項1に係る発明において、銀と
の固溶域を実質的に持たない元素とは室温付近で銀に対
する固溶の量が10atom%より小さい元素をいい、例え
ば、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr等の高融点の
遷移金属元素;Ce等のランタナイド系金属元素;B
i、Ge、Si等の半金属元素が挙げられる。
【0016】また、これら元素の中でもその酸化物の屈
折率が高いTi、Zr、Hf、Ta及びCeが好ましく
適用できる。これら元素の高屈折率酸化物は、従来のI
TO薄膜やIO薄膜に較べてその屈折率を増大させるこ
とが可能となり、銀系薄膜の反射防止膜として作用し、
光反射率を低下させると共にその光透過率を増大させ
る。従って、高い光透過率を維持したまま上記銀系薄膜
の膜厚を増大させてその導電率を高めることが可能とな
る。尚、透明酸化物薄膜の屈折率を1.8〜2.3まで
変化させた場合の分光透過率と分光反射率のシミュレー
ション結果を図2に示す。そして、この結果から明らか
なように、可視領域の長波長側において上記透明酸化物
薄膜の屈折率が高くなるに従って光反射率が低下すると
共に光透過率が増大する傾向が見られ、特に上記透明酸
化物薄膜の屈折率が2.1以上の場合、可視領域の全域
に亘って均一で高い光透過率を実現することが可能とな
ることが理解できる。請求項2に係る発明はこのような
技術的発見に基づいてなされたものである。
【0017】すなわち、請求項2に係る発明は、請求項
1記載の発明に係る透明導電膜を前提とし、上記透明酸
化物薄膜の屈折率が2.1以上であることを特徴とする
ものである。
【0018】また、請求項3に係る発明は、銀との固溶
域を実質的に持たない元素を特定したものである。
【0019】すなわち、請求項3に係る発明は、請求項
2記載の発明に係る透明導電膜を前提とし、銀との固溶
域を実質的に持たない上記元素が、チタン、ジルコニウ
ム、ハフニウム、タンタル及びセリウムから選択された
1又は2以上の元素により構成されていることを特徴と
するものである。
【0020】そして、請求項3に係る発明によれば、銀
との固溶域を実質的に持たない上記元素が、チタン、ジ
ルコニウム、ハフニウム、タンタル及びセリウムから選
択された1又は2以上の元素により構成されているた
め、これら元素の酸化物を含有する透明酸化物薄膜の屈
折率を約2.1〜2.3へと大きく増大させることがで
きる。従って、この透明酸化物薄膜が銀系薄膜の反射防
止膜として作用し、光反射率を低下させ光透過率を増大
させる。このため、高い光透過率を維持したまま上記銀
系薄膜の膜厚を増大させてその導電率を増大させること
が可能となる。
【0021】次に、銀との固溶域を実質的に持たない上
記元素の含有割合が錫元素に対し5atom%未満である場
合、その耐湿性や屈折率が不足して保存安定性や光透過
率の改善が不十分である。また、上記元素の含有割合が
錫元素に対し15atom%以上である場合には透明酸化物
薄膜がほぼ非晶質で光学的等方性を確保できる。
【0022】他方、銀との固溶域を実質的に持たない上
記元素の含有割合の上限は限定されるものではなく、そ
の含有割合が多いほどエッチング加工が容易となり、例
えば、フォトリソグラフィ手法を利用して所定のパター
ンにエッチング加工することが容易となる。また、エッ
チング適性を更に改善させるため、透明酸化物薄膜中に
微量の酸化亜鉛や酸化アンチモン等を含有させてもよ
い。なお、上記所定のパターンとしては液晶表示装置の
透明電極パターンが例示できる。
【0023】尚、銀との固溶域を実質的に持たない上記
元素の含有割合が50atom%を越えると、その成膜に適
用されるターゲットの加工が困難で割れ易くなり、また
成膜速度が著しく低下する。これに対し、5〜50atom
%の場合には、スパッタリング法を適用し、高屈折率で
高品質の透明酸化物薄膜を高速度で効率的に成膜するこ
とが可能である。
【0024】スパッタリング法としては、DCスパッタ
リングやRF−DCスパッタリング等の直流スパッタリ
ング法、RF(高周波)スパッタリング法を利用できる
が、銀との固溶域を実質的に持たない元素の含有割合が
錫元素に対し30atom%を越えた場合、その成膜に必要
なターゲットの導電性が失われるため、DCスパッタリ
ングやRF−DCスパッタリング等の直流スパッタリン
グによる成膜は不可能である。この場合、RFスパッタ
リングによる成膜は可能であるが、RFスパッタリング
においては成膜につれて透明導電膜を支持する基板が加
熱されるため、上記基板がプラスチックフィルムである
場合や着色剤を含有するプラスチックから成るカラーフ
ィルターを備える場合、上記加熱やスパッタリング時に
生じる酸素プラズマにより銀系薄膜が凝集してその導電
率が低下することがある。
【0025】また、銀系薄膜の表裏に設けられる透明酸
化物薄膜の合計の膜厚としては、60〜120nmが好
ましく、この範囲にあるとき特に光反射率を低下させ光
透過率を増大させることが可能となる。なお、これら表
裏の透明酸化物薄膜の膜厚は互いに等しいものである必
要はなく、例えば、銀系薄膜の上の透明酸化物薄膜の膜
厚を38nmとし、他方、銀系薄膜の下の透明酸化物薄
膜の膜厚を43nmとして、その合計膜厚を81nmと
することも可能である。
【0026】次に、本発明に係る銀系薄膜は、銀単体に
て構成されるものであってもよいが、銀単体の薄膜にお
いては銀元素の拡散が生じ易く、例えば、真空蒸着やス
パッタリング等の成膜時の熱又はプラズマにより銀元素
が拡散・凝集してその薄膜が損傷されることがある。ま
た、室内に放置した場合にも、銀元素の拡散を生じてそ
の導電性が不安定になり易い。これらの問題を防ぐた
め、透明導電膜の導電性や光透過率を損なわない範囲
で、銀元素の拡散を抑制する異種元素を添加した銀系薄
膜を利用することが望ましい。銀元素の拡散を効果的に
抑制する異種元素としては、例えば、鉛、金、ビスマ
ス、プラチナ、パラジウム、ロジウム等の質量の大きい
良導体元素が挙げられるが、質量の小さい異種元素を含
有する場合にも銀元素の拡散防止効果が認められる。例
えば、銅、ニッケル、亜鉛、カドミウム、マグネシウ
ム、アルミニウム等である。そして、これらの中でも、
銅元素が好ましく適用できる。銅元素を含有する銀系薄
膜は、銀元素の移動が少なく、また、添加による導電率
と光透過性の低下が少ないからである。尚、その添加量
は3atom%以下に抑えることが望ましい。3atom%を越
えると導電率や光透過率の低下を引起こし易いからであ
る。請求項4〜6に係る発明はこのような技術的理由に
基づいてなされたものである。
【0027】すなわち、請求項4に係る発明は、請求項
1〜3記載の発明に係る透明導電膜を前提とし、上記銀
系薄膜が、銀元素の拡散を抑制する異種元素を3atom%
以下含有することを特徴とするものである。
【0028】また、請求項5に係る発明は、請求項4記
載の発明に係る透明導電膜を前提とし、上記異種元素
が、鉛、金、ビスマス、プラチナ、パラジウム、ロジウ
ム、銅、ニッケル、亜鉛、カドミウム、マグネシウム及
びアルミニウムから選択された1又は2以上の元素によ
り構成されていることを特徴とし、請求項6に係る発明
は、請求項5記載の発明に係る透明導電膜を前提とし、
上記異種元素が銅により構成されていることを特徴とす
るものである。
【0029】尚、上記異種元素の他、透明酸化物薄膜と
の密着性を向上させる微量の酸化物を含有させることも
できる。このような酸化物としては、例えば、酸化イン
ジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化
セリウム、酸化珪素等が挙げられる。
【0030】また、上記銀系薄膜の膜厚としては5〜2
0nmが適当である。5nmに満たない場合透明導電膜
の導電性が低く、また20nmを越える場合その光透過
率が低く、いずれの場合も上記透明導電膜に適さない。
【0031】尚、上記透明酸化物薄膜と銀系薄膜とは、
いずれも硝酸をエッチング液としてパターニングするこ
とができるため、基板上に、透明酸化物薄膜、銀系薄膜
及び透明酸化物薄膜の三層を成膜して本発明に係る透明
導電膜を成膜し、次に表面に露出した透明酸化物薄膜上
にパターン状レジスト膜を形成した後、このパターン状
レジスト膜から露出した部位を硝酸系エッチング液によ
ってエッチング除去することにより、上記三層の薄膜を
互いに位置整合された上記パターン形状にパターニング
することが可能である。このエッチング液としては、硝
酸の他、塩酸や硫酸又は酢酸等の他種の酸を硝酸に添加
して成る酸等の硝酸系の混酸、あるいは界面活性剤を若
干量添加した硝酸が利用できる。
【0032】また、上記銀系薄膜と透明酸化物薄膜と
は、いずれも、上記スパッタリング法によって成膜でき
る他、真空蒸着法やイオンプレーティング法等の真空成
膜法によって成膜することが可能であるが、その生産性
の点からスパッタリング法が好ましく利用できる。そし
て、成膜の際、成膜装置内部の酸素量を制御することに
より上記透明酸化物薄膜中の酸素元素含有量を制御して
その屈折率をコントロールすることができる。また、こ
の際、銀系薄膜の劣化を防止するため成膜装置内部の水
分は少ない方が好ましく、透明酸化物薄膜のエッチング
適性を確保するため150℃以下又は室温の基板温度で
成膜することが望ましい。そして、銀系薄膜と透明酸化
物薄膜の全体を150℃以下又は室温の基板温度で成膜
した後、これら三層膜全体を硝酸系エッチング液でエッ
チングしてパターニングし、次に180〜300℃の温
度でアニーリング処理を施すことによりこれら三層膜全
体の導電性や透明性を増大させることが可能である。
尚、300℃を越える温度でアニーリング処理を施すこ
とも可能であるが、導電性や透明性の改善効果は見られ
ない。他方、室温付近の低温で成膜された場合には、1
80℃より低い温度のアニーリング処理によってもある
程度の導電性の改善効果が観察できる。
【0033】次に、本発明に係る透明導電膜を支持する
基板としては、例えば、ガラス、プラスチックボード、
プラスチックフィルム等が利用できる。尚、水分や酸素
ガス等を透過し易いプラスチックフィルム等を基板とし
て使用する場合には、このプラスチックフィルムに予め
ガスバリヤー層や硬質合成樹脂のハードコート層を形成
したものを使用することが望ましい。また、上記プラス
チックフィルム等の基板表面からの正反射光を低減させ
るため、予め表面凹凸処理を施した基板を使用すること
もできる。
【0034】また、本発明に係る透明導電膜を支持する
基板として、TFTあるいはカラーフィルター層等を備
える液晶表示装置等のパネル基板を利用することがで
き、例えば、本発明に係る透明導電膜をパターニングし
てTFTの信号線等の透明電極として使用することがで
きる。
【0035】また、液晶表示装置等に適用される偏光フ
ィルム、位相差フィルム、又はこれらの保護フィルムを
基板としてこの上に本発明に係る透明導電膜を積層して
透明電磁波シールド膜や入出力用透明電極膜とし、この
透明電磁波シールド膜や入出力用透明電極膜を上記パネ
ル基板に積層することも可能である。尚、上記保護フィ
ルムとしては、トリアセチルセルロースフイルム、ポリ
エチレンテレフタレートフィルム等が使用できる。
【0036】また、本発明に係る透明導電膜を支持する
基板として、CRTの湾曲したガラス製フェースプレー
トを使用することも可能である。
【0037】尚、本発明に係る透明導電膜は、液晶表示
装置等の透明電極、透明電磁波シールド膜、入出力用透
明電極膜として利用できる他、熱線反射膜、可視光線の
反射防止膜、帯電防止膜として利用することができる。
また、太陽電池素子の光入射側に配置される透明電極と
して利用することも可能である。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について詳細に説明する。
【0039】この実施の形態に係る透明導電膜2は、図
1に示すように厚さ0.7mmのガラス基板10上に順
次積層された、厚さ38nmの透明酸化物薄膜21と厚
さ15nmの銀系薄膜22及び厚さ37nmの透明酸化
物薄膜23の三層で構成されている。尚、上記透明酸化
物薄膜21、23は、いずれも酸化セリウムと酸化チタ
ンを含有する酸化錫の薄膜により構成されており、その
組成比は、錫元素、チタン元素及びセリウム元素の合計
量に対し、錫元素79.5atom%、セリウム元素20at
om%、チタン元素0.5atom%となる量であり、また、
その屈折率は約2.1である。また、銀系薄膜22は銀
元素99.2atom%に0.8atom%の銅元素を添加して
構成された銀合金である。
【0040】そして、この透明導電膜2は、以下のよう
な方法で成膜されかつ電極形状にパターニングされたも
のである。
【0041】まず、ガラス基板10の表面をアルカリ系
界面活性剤と水とで洗浄した後、真空槽内に収容し、グ
ローディスチャージと呼ばれるプラズマ処理を施してさ
らに洗浄した。
【0042】次に、ガラス基板10を真空槽中から取り
出すことなく、このガラス基板10を室温に維持した状
態で、スパッタリング法により、透明酸化物薄膜21、
銀系薄膜22及び透明酸化物薄膜23を順次成膜した。
【0043】次に、透明酸化物薄膜23上に電極形状の
パターン状レジスト膜を形成し、このパターン状レジス
ト膜から露出した部位をエッチング液によってエッチン
グ除去することにより上記三層の薄膜を互いに位置整合
された上記電極形状にパターニングし、続いて、220
℃、30分のアニール処理を施して電極形状の透明導電
膜2を形成した。こうして得られた透明導電膜2の面積
抵抗は約3Ω/□であった。また、その分光透過率を表
1に示す。尚、波長550nmの光の反射率は約1%で
あった。
【0044】
【表1】 この結果から、透明酸化物薄膜としてITO薄膜または
IO薄膜を利用した場合に較べ、長波長側、特に600
nm〜650nmの光透過率が著しく増大されているこ
とが確認できる。
【0045】比較のため、上記透明酸化物薄膜21、2
3の代わりに酸化錫薄膜を適用し、銀系薄膜22の代わ
りに銅元素を含まない純銀の薄膜を適用して比較用の透
明導電膜を成膜した。
【0046】そして、この実施の形態に係る透明導電膜
2と比較用透明導電膜を、60℃、95%R.H.の高
温高湿下で100時間放置して観察したところ、実施の
形態に係る透明導電膜2の表面に外観の変化はまったく
観察できなかった。これに対し、上記透明酸化物薄膜の
代わりに酸化錫を適用して得られた比較用透明導電膜に
おいては、肉眼で観察できる多数のシミが発生した。ま
た、顕微鏡で観察したところ、上記比較用透明導電膜の
銀薄膜には銀元素の凝集がみられ、透明導電膜が破壊さ
れていることが分かった。
【0047】
【発明の効果】請求項1〜6に係る発明によれば、透明
酸化物薄膜中に、酸化錫から成る第1の基材の他に銀と
の固溶域を実質的に持たない元素の酸化物から成る第2
の基材が含有されているため、安価な錫元素を使用して
いるにも拘らず水分の存在下においても銀系薄膜中の銀
元素と透明酸化物との反応を防止でき、銀系薄膜の損傷
を防ぐことが可能となる。
【0048】従って、透明導電膜を水分から保護するこ
とができるため透明導電膜の安定性が改善され、長期間
に亘ってその導電性と光透過性能とを発揮させることが
可能となる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る透明導電膜の断面図。
【図2】透明酸化物薄膜の屈折率と分光透過率及び分光
反射率との関係を示すグラフ図。
【図3】従来例に係る液晶表示装置の透明電極板の断面
図。
【符号の説明】
2 透明導電膜 10 ガラス基板 21 透明酸化物薄膜 22 銀系薄膜 23 透明酸化物薄膜

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】厚さ5〜20nmの銀系薄膜と、この銀系
    薄膜の表裏に設けられた透明酸化物薄膜とから成る透明
    導電膜において、 上記透明酸化物薄膜が、酸化錫から成る第1の基材と、
    銀との固溶域を実質的に持たない元素の酸化物から成る
    第2の基材との混合酸化物により構成されていることを
    特徴とする透明導電膜。
  2. 【請求項2】上記透明酸化物薄膜の屈折率が2.1以上
    であることを特徴とする請求項1記載の透明導電膜。
  3. 【請求項3】銀との固溶域を実質的に持たない上記元素
    が、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル及び
    セリウムから選択された1又は2以上の元素により構成
    されていることを特徴とする請求項2記載の透明導電
    膜。
  4. 【請求項4】上記銀系薄膜が、銀元素の拡散を抑制する
    異種元素を3atom%以下含有することを特徴とする請求
    項1〜3のいずれかに記載の透明導電膜。
  5. 【請求項5】上記異種元素が、鉛、金、ビスマス、プラ
    チナ、パラジウム、ロジウム、銅、ニッケル、亜鉛、カ
    ドミウム、マグネシウム及びアルミニウムから選択され
    た1又は2以上の元素により構成されていることを特徴
    とする請求項4に記載の透明導電膜。
  6. 【請求項6】上記異種元素が銅により構成されているこ
    とを特徴とする請求項5に記載の透明導電膜。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6970225B2 (en) 2001-04-16 2005-11-29 Seiko Epson Corporation Electrooptic device, method for manufacturing the same, and electronic apparatus
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JP4837654B2 (ja) * 2005-02-17 2011-12-14 旭硝子株式会社 導電性積層体、プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムおよびプラズマディスプレイ用保護板
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