JPH1123804A - 導電性反射防止膜 - Google Patents

導電性反射防止膜

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JPH1123804A
JPH1123804A JP9181072A JP18107297A JPH1123804A JP H1123804 A JPH1123804 A JP H1123804A JP 9181072 A JP9181072 A JP 9181072A JP 18107297 A JP18107297 A JP 18107297A JP H1123804 A JPH1123804 A JP H1123804A
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JP
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oxide
thin film
silver
film
conductive
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JP9181072A
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English (en)
Inventor
Kenzo Fukuyoshi
健蔵 福吉
Akihiko Furuya
明彦 古屋
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Toppan Inc
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Toppan Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】薄膜で導電性と可視光線透過率が高く、かつ可
視光反射率も低く、しかも耐湿性が強く、経時安定性に
優れた導電性反射防止膜を提供する。 【解決手段】銀系薄膜と、銀系薄膜を挟持する透明酸化
物薄膜とからなる導電性反射防止膜において、透明酸化
物薄膜が、酸化スズ、酸化インジウム、酸化セリウム、
および酸化ガリウムを含有する4元系の混合酸化物から
成り、かつ、透明酸化物薄膜の厚み方向にインジウムあ
るいはスズの濃度が異なっており、銀系薄膜には 1.5at
%(原子パーセント)以上の金元素を含有せしめたこと
を特徴とする導電性反射防止膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶ディスプレイ
装置の表示画面に設けられた偏光フィルムまたは光制御
膜などの上に好適に適用される導電性反射防止膜に係わ
り、特に、可視光の反射防止性能と外部電磁波の遮断性
能とに優れた導電性反射防止膜の改良に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイ装置は、画素毎に電圧
の印加を行える電極が配置された一対の電極板と、これ
ら電極板間に封入された液晶物質とでその主要部が構成
され、上記両電極間に電圧を印加することにより液晶物
質の配向状態を画素毎に変化させてこの液晶物質を透過
する光の偏光面を制御すると共に、偏光フィルムにより
その透過、不透過を制御して画面表示を行うものであ
る。なお、表示画面表面には一般に上記偏光フィルム
や、表示光の位相を補償する位相差フィルム等が設けら
れており、これら偏光フィルムの表面には、外部から飛
来する電磁波を遮断するため、酸化インジウムおよび酸
化スズの混合物からなる薄膜(以下、ITO薄膜とい
う)から構成される透明電磁波シールド膜が設けられて
いることがある。
【0003】ところで、液晶表示装置は室内、屋外に限
らず明るいところで使用されることが多く、外光が液晶
表示装置の表示画面に入射するといえる。そして、この
入射光の一部は、上記偏光フィルム等やその表面に設け
られたITO薄膜により正反射され、この正反射光が光
源の虚像を表示画面中に再生したり、あるいは上記正反
射光が表示光に混合してその表示品質を低下させる場合
がある。
【0004】この様な欠点を防止し、表示画面中の光像
の虚像の再生を防止するため、上記偏光フィルム等の表
面に凹凸を設け、入射光を散乱させる手段が提案されて
いる。しかしながら、このような手段によれば光源の虚
像の再生を防止することは可能であるが、その光反射率
を低下させることができず、反射光が表示光に混合して
表示品質を低下させることを防止することができない。
【0005】このため、近年、上記偏光フィルム等の光
反射率自体を低下させることにより、表示光に混合され
る上記反射光を低減させて、表示画面の品質を向上させ
る技術が求められるようになった。特に反射型液晶ディ
スプレイ装置においては、上記外光等を液晶ディスプレ
イ装置に入射させ、装置背面に設けられた光反射材料で
反射させて表示光とするため、この表示光の強度を大き
くすることができず、強い反射光の存在がそのまま表示
品質に大きく影響することから、光反射率として 0.5%
以下という極めて低いものが求められている。
【0006】ところで、従来、優れた光反射防止性能を
有する反射防止膜としては、例えば高屈折率のTiO2
(酸化チタン)薄膜と低屈折率のSiO2 (酸化ケイ
素)薄膜とを、交互に、合計層数4〜12層に達するまで
積層して構成される無機多層反射防止膜が知られてお
り、この無機多層反射防止膜は極めて優れた反射防止性
能を有し、光反射率を 0.5%以下に抑えることも可能で
ある。
【0007】他方、透明な電磁波シールド膜として、銀
薄膜の表裏にITO薄膜を積層して構成される多層薄膜
が提案されており(特開昭63−173395号公
報)、この多層薄膜は優れた導電性、電磁波遮断性能を
有しているといえる。
【0008】しかしながら、上記無機多層反射防止膜に
おいては、これを構成するSiO2薄膜やTiO2 薄膜
は導電性が無いため、外部から飛来する電磁波を遮断す
ることができず、これら外部電磁波の侵入により液晶表
示装置が誤動作を起こす恐れがあるという問題があっ
た。
【0009】加えて、特開昭63−173395号公報
に提案されている、〔ITO/Ag/ITO〕の層構成
は、この光学特性上の問題点ばかりではなく、湿度に弱
く、室内放置で簡単にシミが発生し、この3層成分が水
分存在下で破壊されてしまうという重欠点があるといえ
る。銀薄膜を挟持する構成の酸化物は、ITOの他、酸
化インジウム単体、酸化スズ単体、酸化亜鉛などが選ば
れ、これらにより熱線反射膜用途への試みがなされてい
る。しかし、いずれもITOと同様、耐湿性に問題があ
るといえる。
【0010】この問題を解決するために本発明者らは、
平成9年特許願第20242号にて、銀系薄膜と、銀系
薄膜を挟持する透明酸化物薄膜とからなる3層構成の導
電性反射防止膜において、透明酸化物薄膜が、酸化ス
ズ、酸化セリウム、および酸化ガリウムを含有する3元
系の混合酸化物から成り、かつ、銀系薄膜に 1.5at%
(原子パーセント)以上の金元素を含有せしめたことを
特徴とする導電性反射防止膜を提案しているものであ
る。
【0011】かかる構成とすることで、薄膜で可視光線
透過率が高く、かつ可視光反射率も低く、しかも耐湿性
が強く、経時安定性に優れた導電性反射防止膜とするこ
とができるものである。
【0012】しかるに、上記提案による導電性反射防止
膜は、導電性という点から見た場合必ずしも実用上十分
とはいえず、導電性反射防止膜表面(透明酸化物薄膜表
面)の導電性が無いか、または、著しく低いものであっ
た。通常、導電性反射防止膜の電磁波シールド性を高め
るため、導電性反射防止膜にアースを取るものである
が、上記提案による導電性反射防止膜では、透明酸化物
薄膜表面の導電性が低いため、透明酸化物薄膜表面から
直接アースが取れなかった。そのため、アースをとる
際、導電性反射防止膜表面の透明酸化物薄膜を削ったう
えで中間層である銀系薄膜を露出し、銀系薄膜と電気的
接続を行わねばならないといえた。アースを取るために
行う、極めて薄い層からなる導電性反射防止膜への加工
は難しく、かつ、非常に手間が掛かり、また、透明酸化
物薄膜を削り傷をつけるため、傷となった部位から内部
に湿気が侵入する等、耐久性の面からも望ましいことで
はなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な問題点に鑑みなされたもので、その課題とするところ
は、薄膜で可視光線透過率が高く、かつ可視光反射率も
低く、しかも耐湿性が強く、経時安定性、導電性に優れ
た導電性反射防止膜を提供するところにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】酸化物薄膜にて銀系薄膜
を挟持する構成の導電性反射防止膜において、酸化イン
ジウムなどの酸化物薄膜との結晶粒界では銀が移動しや
すく、この銀と水分の存在で酸化物との反応が除々に進
み、構成を破壊する傾向にある。また、同時に銀の凝集
が進行することが観察された。この傾向は、銀と固溶域
の広い金属の金属酸化物の場合が顕著であることを見い
出した。酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸
化亜鉛単体でも、酸化物薄膜にて銀系薄膜を挟持する構
成の導電性反射防止膜において耐湿性が充分ではない。
【0015】しかし、本発明者らは、酸化スズに、以下
に示すような金属の酸化物を 5%以上、好ましくは10%
以上添加することにより、透明酸化物薄膜は非晶質とな
るため結晶粒界が無くなり、あるいは極めて微細な結晶
の膜となり、また銀の粒界移動が少なくなり、酸化物薄
膜にて銀系薄膜を挟持する構成の導電性反射防止膜の耐
湿性を大きく改善し得る事を発見した。添加する金属に
は、チタン、クロム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオ
ブ、タンタルなど高融点の遷移金属、セリウムなどのラ
ンタン系金属、ケイ素、ビスマス、ゲルマニウムなどの
半金属がある。これら金属は、銀合金に対する固溶域が
極めて小さいか、固溶域のない金属である。これらの酸
化物の添加により耐湿性が向上する。ただし、これら銀
と固溶しにくい金属の酸化物は、銀との密着力が不十分
なため、銀と固溶しやすい金属の酸化物と混合して、銀
系薄膜を挟持する透明酸化物薄膜とする必要がある。ま
た、耐湿性の観点から、酸化スズ混合酸化物に酸化ガリ
ウムを添加した非晶質の透明酸化物を用いることは、さ
らに好ましい。
【0016】上記金属酸化物の中で、チタン、ジルコニ
ウム、ハフニウム、ニオブ、タンタルなどは、これらを
混合することによりスパッタレート(成膜速度)が低下
する問題がある。ケイ素は軽元素であり、屈折率が低い
ため、銀系薄膜を挟持する酸化物として用いるには、製
造面で最適光学特性を得ることが比較的難しい。
【0017】化学的に安定で、スパッタレートがとれる
酸化物として、酸化スズ、酸化セリウム、酸化ガリウム
があげられる。ただし、酸化スズ−酸化ガリウムの2元
系の薄膜は、可視域短波長側の消衰係数が大きく、特に
光の波長 500nm以下の短波長の透過率が悪くなるという
問題がある。
【0018】酸化スズ−酸化セリウムの2元系では、こ
の透過率の問題はないが、耐湿性がやや不十分である。
本発明者らは、酸化スズ−酸化ガリウム−酸化セリウム
の3元系とすると、2元系で抱えていた問題が無くなる
ことを見いだした。
【0019】しかし、導電性反射防止膜を酸化スズ−酸
化ガリウム−酸化セリウムの3元系とした場合、前述し
た(従来の技術)の項で記したように、導電性反射防止
膜表面の導電性が低下するものである。そのため、本発
明者らは、上記課題を解決すべくさらに鋭意検討を行っ
たものである。その結果、導電性反射防止膜を、酸化ス
ズ、酸化ガリウム、酸化セリウムの3元系に加えて、導
電性に富む酸化インジウムを加えた4元系とし、導電性
反射防止膜のアース等の電気的接続を行う面側に、導電
性の高い酸化物層を配設し、また、銀系薄膜と接する面
側には、高耐湿性の酸化物層を配設せしめることを提案
するものである。より具体的には、導電性に富む酸化イ
ンジウムや酸化スズの組成比を、銀系薄膜に接する側の
酸化物では低く設定し、また、外側の酸化物では高く設
定するものである。
【0020】次いで、銀は、蒸着やスパッタリングなど
の真空時にかかる熱やプラズマの影響で凝集しやすい。
また、マイグレーション等で移動しやすく、銀を用いた
電子デバイスの信頼性を損ないやすい。これを避けるた
めに、 1.5at%(原子パーセント)以上の金元素を銀に
添加することが有効である。しかし、この金元素の添加
量が多くなると、3層膜の光透過率を減少させる傾向に
あり、さらに金は高価であるため、コストの点で少量添
加が好ましいといえ、例えば10at%以下が好ましいとい
える。以上述べたように、銀系薄膜への金元素の添加
は、3層膜の導電性、光透過率を低下させることなく、
移動しやすい銀の動きを抑制するため、3層膜の耐湿性
向上に有効である。
【0021】すなわち、請求項1に係わる発明は、銀系
薄膜と、銀系薄膜を挟持する透明酸化物薄膜とからなる
導電性反射防止膜において、透明酸化物薄膜が、酸化ス
ズ、酸化インジウム、酸化セリウム、および酸化ガリウ
ムを含有する4元系の混合酸化物から成り、かつ、透明
酸化物薄膜の厚み方向にインジウムあるいはスズの濃度
が異なっており、銀系薄膜には 1.5at%(原子パーセン
ト)以上の金元素を含有せしめたことを特徴とするもの
である。
【0022】また、請求項2に係わる発明は、銀系薄膜
を挟持する透明酸化物薄膜のうち、少なくとも片側の透
明酸化物薄膜が、インジウムあるいはスズ濃度の異なる
2つの層よりなり、かつ、銀系薄膜より遠ざかる方向に
インジウムあるいはスズ濃度が高くなるように配設した
ことを特徴とするものである。
【0023】銀系薄膜は、銀に、金、銅、パラジウム、
プラチナ等の貴金属を添加した銀合金にて形成すると、
透明酸化物薄膜で銀系薄膜を挟持する3層構成の導電性
反射防止膜の信頼性を向上せしめることができる。例え
ば、上記貴金属の添加量が 5at%(原子パーセント)以
下であれば、銀系薄膜の光透過率(あるいは光反射率)
や導電性に大きな影響を与えずに、透明酸化物薄膜との
高い密着性を有する銀系薄膜を提供でき、導電性反射防
止膜の信頼性が高くなるものである。
【0024】すなわち、請求項3に係わる発明は、銀系
薄膜が、銀に、金、銅、パラジウム、プラチナの1種以
上を添加した銀合金であることを特徴とするものであ
る。なお、透明酸化物薄膜との密着力をさらに向上させ
るため、銀系薄膜には、金属のインジウムやスズ、アル
ミニウム、マグネシウムなどの金属、または、ニッケル
等の遷移金属を少量(例えば、 2at%以下)加えても良
い。
【0025】また、銀への金、銅、パラジウム、プラチ
ナの添加量は前述したように、導電性あるいは、光透過
率、光反射率への影響の少ない範囲で、総量で 6at%以
下が望ましい。なお、金は銀と完全固溶するため、20at
%程度まで添加しても光学特性にはさほど大きな影響を
与えにくい。これらの貴金属の銀への添加は 0.3at%程
度の少量でも効果が見えはじめるが、耐湿性向上の観点
からは、それぞれ 0.5at%以上が好ましく、低い面積抵
抗(高い導電性)を確保するためには、それぞれ 3at%
以下が好ましい。
【0026】本発明の導電性反射防止膜を成膜形成する
下地となる基板は、透明であれば特に限定しない。ここ
で透明とは必ずしも無色あるいはクリアである必要はな
い。例えば、ガラス、プラスチックボード、プラスチッ
クフィルム等が使用できる。また、自動車や飛行機など
の窓部材に直接に本発明の導電性反射防止膜を着膜して
も良い。さらに、液晶表示装置に用いる偏光フィルム上
に形成しても良いし、プラズマディスプレイパネルやエ
レクトロルミネッセンス表示装置などの表示パネル面
に、直接あるいは間接的に形成しても良く、また、反射
型液晶表示装置のパネル上に形成されている光制御膜等
の膜上に成膜することも可能である。さらに、プラスチ
ックフィルムが、調光フィルムや回折格子、位相差フィ
ルムあるいは光散乱性を持つ散乱膜であっても良い。
【0027】外部光源の映り込みを緩和するため、あら
かじめ基板表面に凹凸を形成して、いわゆる防眩(アン
チグレア)効果を出すことも可能である。あるいは、本
発明の導電性反射防止膜を形成した後、微細な白色顔料
を分散させた塗膜を積層させて凹凸を形成し、アンチグ
レア効果を出しても良い。
【0028】また、導電性反射防止膜としてディスプレ
イ表面に形成する場合、膜表面に付着する油脂や指紋な
どの汚れがディスプレイの表示品位を低下させることが
問題となる。こうした汚れ付着を少なくするため、フッ
素樹脂、フッ素系アクリル樹脂などの撥水性の塗膜を、
本発明の導電性反射防止膜の表面に形成することが好ま
しい。撥水性塗膜の膜厚は、光学特性に悪影響を与えな
いよう、例えば 0.5μm以下、より好ましくは 0.1μm
以下の可能な限り薄いほうがよい。また、撥水性塗膜の
屈折率は低い方が良い。
【0029】また、上記銀系薄膜と透明酸化物薄膜の成
膜方法は、スパッタリング法、真空蒸着、イオンプレー
ティング法、CVD法、ゾルゲル法等いかなる方法でも
良く、適宜選択されるものである。また、スパッタリン
グ法においては、マグネトロンスパッタリングであって
も良く、さらに、プラズマを発生させる方法が直流であ
っても交流であっても良い。そして、成膜の際、成膜装
置内部の酸素量を制御することにより、透明酸化物薄膜
の屈折率をある程度コントロールすることができる。成
膜時の基板温度は、 180℃以下、ないし室温程度の基板
温度が望ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態例につき、以
下に示す図面に基づいて、詳細に説明する。 <実施例1>図1に示すように、アクリル系ハードコー
ト層11が施された偏光フィルム10を基材12とし、この基
材12上に、本発明の構成を有する導電性反射防止膜2を
形成した。ここで、本発明の特徴として、銀系薄膜を挟
持する透明酸化物薄膜を、インジウムあるいはスズ濃度
の異なる2つの層より構成している。すなわち、図1に
示すように、導電性反射防止膜2は、順次積層された、
酸化スズを基材とする混合酸化物第1層21(層厚34nm)
および、酸化スズを基材とする混合酸化物第2層22(層
厚10nm)、銀系薄膜23(膜厚10nm)、次いで、酸化スズ
を基材とする混合酸化物第3層24(層厚10nm)および、
酸化スズを基材とする混合酸化物第4層25(層厚30nm)
とでその主要部が構成されている。
【0031】ここで、当(実施例1)では、混合酸化物
第1層21と混合酸化物第4層25は、酸化スズを基材とし
て酸化インジウムを添加したものである。その組成割合
は、酸素元素をノーカウントとした金属スズ、金属イン
ジウム換算で、金属スズを99at%(原子パーセント)、
金属インジウムを 1at%(原子パーセント)としてお
り、酸化スズがリッチの組成とした。なお、当(実施例
1)では、混合酸化物第1層21と混合酸化物第4層25へ
の添加酸化物を、酸化インジウム( 1at%)としたが、
酸化インジウムに代えて、酸化アンチモン等のドーパン
トを必要量加えても構わない。
【0032】次いで、混合酸化物第2層22と混合酸化物
第3層24は、酸化スズを基材として酸化セリウムおよび
酸化ガリウムを添加したものである。その組成割合は、
酸素元素をノーカウントとした金属スズ、金属セリウ
ム、金属ガリウム換算で、金属スズを80at%(原子パー
セント)、金属セリウムを10at%(原子パーセント)、
金属ガリウムを10at%(原子パーセント)とした。すな
わち、銀系薄膜23より遠ざかる方向にインジウムあるい
はスズ濃度を高くなるように配設しているものである。
【0033】また、銀系薄膜23は、銀94at%(原子パー
セント)、金 6at%(原子パーセント)の組成の銀合金
としたものである。
【0034】上記(実施例1)に係わる5層構成とした
導電性反射防止膜2を、温度60℃、湿度95%の高温高湿
の条件下で 300時間保持したが、なんら外観変化は観察
されず、反射率の低下も観察されなかった。また、耐ア
ルカリ性、耐溶剤性等の耐性も実用レベルであった。
【0035】さらに、(実施例1)に係わる5層構成の
導電性反射防止膜2表面の面積抵抗を、4端針式電気抵
抗測定器を用いて測定した。その結果、導電性反射防止
膜2表面の面積抵抗は約10Ω/□と低抵抗であり、十分
な電磁波シールド性を有していた。また、導電性反射防
止膜2表面で4端針式電気抵抗測定器による測定不能箇
所はなかった。すなわち、本発明の導電性反射防止膜で
は、導電性反射防止膜表面と直接にアースを取ることが
可能といえる。
【0036】次いで、上記(実施例1)に係わる5層構
成の導電性反射防止膜2の分光反射率を図2に示す。な
お、図2の分光反射率はガラスリファレンスにて得たも
のである。図2に示すように、波長 550nm付近の反射率
は 0.4%程度(裏面反射を除く)であり、十分な低反射
率といえる。また、波長 550nm付近の透過率も95%前後
と高透過であった。
【0037】なお、上記(実施例1)では、基材がプラ
スチックフィルムであるため、アニール処理の際、高温
での熱処理ができなかった。しかし、基材をガラス板に
変えて同じ条件で成膜した導電性反射防止膜に、温度 2
30℃にて1時間加熱するアニール処理を施したところ、
波長 550nm付近の透過率は約98%と高い透過率が得られ
た。また、反射率も、(実施例1)と同じく良好であっ
た。
【0038】<比較例1>次いで、上記(実施例1)と
の比較のため、図3に示すように、アクリル系ハードコ
ート層41が施された偏光フィルム40を基材42とし、当
(比較例1)に係わる導電性反射防止膜30、すなわち従
来の導電性反射防止膜と同様の構成を有する導電性反射
防止膜30を基材42上に形成した。なお、導電性反射防止
膜30は、混合酸化物51(層厚44nm)、銀系薄膜52(膜厚
10nm)、混合酸化物53(層厚44nm)を順次積層したもの
である。
【0039】このときの混合酸化物51および混合酸化物
53は、おのおの、酸化スズ基材に酸化セリウム、酸化ガ
リウムを添加した3元系としたものであり、その組成割
合は、酸素元素をノーカウントとした金属スズ、金属セ
リウム、金属ガリウム換算で、金属スズを80at%(原子
パーセント)、金属セリウムを10at%(原子パーセン
ト)、金属ガリウムを10at%(原子パーセント)とし
た。また、銀系薄膜52は、上記(実施例1)と同様に、
銀94at%(原子パーセント)、金 6at%(原子パーセン
ト)の組成の銀合金としたものである。
【0040】当(比較例1)に係わる導電性反射防止膜
30の表面抵抗を、4端針式電気抵抗測定器を用いて測定
した。しかし、測定不能箇所が多くあり、また、測定で
きても、導電性反射防止膜30表面の酸化物薄膜53を破壊
して銀系薄膜52と導通が取れる場合のみ測定可能であっ
た。すなわち、従来の構成の導電性反射防止膜では、酸
化物薄膜53表面と直接にアースを取ることは難しく、ア
ースを取る場合には、表面の酸化物薄膜を破壊して、銀
合金薄膜とアースを取らねばならないといえる。
【0041】<実施例2>上記(実施例1)と同様に、
図1に示す構成にて、アクリル系ハードコート層11が施
された偏光フィルム10を基材12とし、基材12上に、本発
明による酸化スズ−酸化セリウム−酸化ガリウム−酸化
インジウムの4元系混合酸化物を用いて、導電性反射防
止膜2を形成した。混合酸化物層の構成および組成は、
上記(実施例1)と同様としたものである。
【0042】ただし、当(実施例2)では、銀系薄膜23
には、銀元素98.5at%に 1.5at%の金元素を添加、銀元
素97.0at%に 3.0at%の金元素を添加、および銀元素9
4.0at%に 6.0at%の金元素を添加して構成した3種類
の銀合金を各々用いた。
【0043】以下の(表1)に、金の添加量を変えて得
た各導電性反射防止膜の、耐湿性試験の結果を示す。な
お、耐湿性試験とは、導電性反射防止膜を温度60℃、湿
度90%の雰囲気中に 100時間放置した後、導電性反射防
止膜の評価を行ったものであり、このときの評価基準
は、(表1)中に記している。
【0044】
【表1】
【0045】<比較例2>また、上記(実施例2)との
比較のため、上記(実施例1)と同様に、図1に示す構
成にて、アクリル系ハードコート層11が施された偏光フ
ィルム10を基材12とし、基材12上に、本発明による酸化
スズ−酸化セリウム−酸化ガリウム−酸化インジウムの
4元系混合酸化物を用いて、導電性反射防止膜2を形成
した。混合酸化物層の構成および組成は、上記(実施例
1)と同様としたものである。
【0046】ただし、当(比較例2)においては、銀系
薄膜23には、銀元素 100at%、銀元素99.7at%に 0.3at
%の金元素を添加、銀元素99.5at%に 0.5at%の金元素
を添加、および、銀元素99.0at%に 1.0at%の金元素を
添加して構成した4種類の銀合金を用い各々導電性反射
防止膜を形成したものである。当(比較例2)に係わる
各導電性反射防止膜に、上記(実施例2)と同様の耐湿
性試験を行った結果を、上記の(表1)に合わせて記し
ている。
【0047】上記(表1)に示すように、金添加量が
1.5at%を超えると、良好な耐湿性を持つことが確認で
きた。
【0048】さらに、本発明者らは、銀系薄膜への金添
加量の影響について、金添加量を増やして別途シミュレ
ーションを行った。当シミュレーション結果では、金添
加量が増えるに従い、光学定数の屈折率nが、 350nm〜
550nmの領域で増加してくることが分かった。また、導
電性反射防止膜への分光特性には、波長 350nm〜 550nm
における透過率が減少する形で影響することが分かっ
た。例えば、金添加量が20at%付近になると波長 450nm
(青色)の透過率が80%前後となる。すなわち、金の添
加量は、20at%以下が良く、コスト(金は銀の 100倍位
の高価格)を考えると、好ましくは10at%以下が良いと
いえる。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、極めて簡単な構成であ
りながら、光反射防止に必要な低反射率を確保した、信
頼性が高く、耐久性の良好な導電性反射防止膜を提供で
きる。
【0050】また、本発明の導電性反射防止膜は、電磁
波シールド性に必要な十分な導電性を有しており、か
つ、導電性反射防止膜表面の面積抵抗が低抵抗であるた
め、導電性反射防止膜表面と直接にアースを取ることが
可能となる。すなわち、従来の導電性反射防止膜におい
てアースを取る際に必要とされた、難しく、手間の掛か
る透明酸化物薄膜の削り加工を不要としたものであり、
また、透明酸化物薄膜を傷つけないため、さらに導電性
反射防止膜の耐久性が良くなるといえる。
【0051】本発明はさらに、窓ガラス用の熱線反射
膜、太陽電池用の透明電極等に応用でき、さらに、銀を
厚く形成することにより高反射率の光の反射板やミラー
等にも応用できる。また、液晶表示素子では、画素の透
明電極と、あるいは反射電極を兼ねて、TFT等の配線
(例えば、信号線、バスライン等)に用いることもでき
る。
【0052】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性反射防止膜の一実施例を示す断
面図。
【図2】本発明の導電性反射防止膜の反射率の一例を示
すグラフ図。
【図3】従来の導電性反射防止膜の一例を示す断面図。
【符号の説明】
2、30 導電性反射防止膜 10、40 偏光フィルム 11、41 ハードコート層 12、42 基材 21 混合酸化物層第1層 22 混合酸化物層第2層 23、52 銀系薄膜 24 混合酸化物層第3層 25 混合酸化物層第4層 51、53 混合酸化物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G09F 9/00 309 G09F 9/00 318A 318 G02B 1/10 Z

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】銀系薄膜と、銀系薄膜を挟持する透明酸化
    物薄膜とからなる導電性反射防止膜において、透明酸化
    物薄膜が、酸化スズ、酸化インジウム、酸化セリウム、
    および酸化ガリウムを含有する4元系の混合酸化物から
    成り、かつ、透明酸化物薄膜の厚み方向にインジウムあ
    るいはスズの濃度が異なっており、銀系薄膜には 1.5at
    %(原子パーセント)以上の金元素を含有せしめたこと
    を特徴とする導電性反射防止膜。
  2. 【請求項2】銀系薄膜を挟持する透明酸化物薄膜のうち
    少なくとも片側の透明酸化物薄膜が、インジウムあるい
    はスズ濃度の異なる2つの層よりなり、かつ、銀系薄膜
    より遠ざかる方向にインジウムあるいはスズ濃度が高く
    なるように配設したことを特徴とする請求項1に記載の
    導電性反射防止膜。
  3. 【請求項3】銀系薄膜が、銀に金、銅、パラジウム、プ
    ラチナの1種以上を添加した銀合金であることを特徴と
    する請求項1または2に記載の導電性反射防止膜。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6863397B2 (en) * 2000-07-17 2005-03-08 Konica Corporation Optical element and eyeglass lens
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