JPH10282906A - 表示装置用電極基板 - Google Patents

表示装置用電極基板

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JPH10282906A
JPH10282906A JP9092471A JP9247197A JPH10282906A JP H10282906 A JPH10282906 A JP H10282906A JP 9092471 A JP9092471 A JP 9092471A JP 9247197 A JP9247197 A JP 9247197A JP H10282906 A JPH10282906 A JP H10282906A
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silver alloy
thin film
silver
substrate
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JP9092471A
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Kenzo Fukuyoshi
健蔵 福吉
Yukihiro Kimura
幸弘 木村
Koji Imayoshi
孝二 今吉
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Toppan Inc
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Toppan Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】混合酸化物薄膜にて銀合金薄膜を挟持する構成
の導電膜を基板上に備える表示装置用電極基板におい
て、信頼性が有り、かつ、加工精度の良い表示装置用電
極基板を提供する。 【解決手段】酸化インジウムあるいは酸化スズを基材と
し、少なくとも酸化セリウムを添加した混合酸化物薄膜
にて銀合金薄膜を挟持した、3層構成の導電膜を基板上
に備えた表示装置用電極基板において、前記銀合金薄膜
が、仕事関数が 4.7eVより高い金属を 0.3〜 3at%
(原子パーセント)添加した銀合金よりなることを特徴
とする表示装置用電極基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶ディスプレイ
装置やプラズマディスプレイ装置等の出力表示装置、あ
るいは、表示画面から直接入力を行う入出力表示装置、
または、太陽電池等に使用される、透明電極の形成され
た基板、もしくは、反射電極の形成された電極基板に関
する。
【0002】
【従来の技術】ガラス、プラスチックフィルム等の基板
上に、可視光線を透過する電極形状の透明電極が設けら
れた電極基板は、液晶ディスプレイ装置等の各種表示装
置(表示画面)の表示用電極や、この表示装置の表示画
面から直接入力できる入出力電極等に広く使用されてい
る。
【0003】また、反射電極は、反射型の液晶表示装置
において、透明電極と相対する一方の光反射性の電極と
してその採用が検討されつつある。透明電極としては、
酸化インジウムに酸化スズを添加した混合酸化物である
ITOの薄膜が広く利用されており、その比抵抗は、お
よそ 2×10-4Ω・cmである。また、ITOの膜膜が 2
00nmのとき、その面積抵抗は10Ω/□となるものであ
る。
【0004】近年、これより若干性能の良いITOも市
販され始めたが、その比抵抗はおよそ 1.5×10-4Ω・c
mであり、面積抵抗は膜厚 300nmで、約 5Ω/□となっ
ている。
【0005】一方、1982年、日本で開催された第7
回ICVMにおいて、熱線反射膜として、銀薄膜の表裏
面にITO薄膜または酸化インジウム薄膜(IO薄膜)
を積層して構成される、3層構造の透明導電膜が提案さ
れている。この3層構造の透明導電膜は、およそ 5Ω/
□程度の低い面積抵抗を有しており、その高い導電性を
生かして、上記透明電極への応用が期待された。
【0006】ところで、上記ディスプレイ装置や入出力
装置においては、近年、画素密度を増大させて緻密な画
面を表示することが求められ、これに伴って上記透明電
極パターンの緻密化が要求されており、例えば 100μm
程度のピッチで上記透明電極の端子部を構成することが
要求されている。
【0007】また、液晶ディスプレイ装置において、基
板に液晶駆動用ICが直接に接続される方式(COG方
式)においては、配線の引き廻しが、幅20〜50μmとい
う細線となる部分があり、従来にない高度のエッチング
加工適性と高い導電性(低い抵抗率)が要求されてい
る。
【0008】また、その一方で、表示画面の大型化も求
められているものである。このような大型画面化にあた
り、上述したような緻密パターンの透明電極を形成し、
しかも液晶に十分な駆動電圧を印加できるようにするた
めには、上記透明電極として4.5Ω/□以下という高い
導電性を備えた透明電極を適用する必要があった。
【0009】また、これに加えてSTN液晶等を利用し
た単純マトリクス駆動方式の液晶表示装置において、1
6階調以上の多階調表示を行う場合には、 3Ω/□以下
というさらに低い面積抵抗が要求されている。
【0010】しかしながら、第7回ICVMにおいて提
案された上記3層構造の透明電極においても、高々 5Ω
/□程度の面積抵抗が得られるに過ぎず、十分な導電性
が確保できないという問題があった。なお、上記3層構
造の透明電極の銀薄膜の厚さを、例えば16〜18nm程度に
厚くすることにより、その面積抵抗を約3Ω/□に低下
させることは可能といえる。しかし、銀薄膜の厚さを厚
くした場合、可視光線透過率(特に波長 610nm程度の長
波長側の可視光線透過率)が75%程度にまで低下し、透
明電極としての機能が損なわれてしまうという問題が生
じるものである。
【0011】さらに、上記3層構造の透明電極、すなわ
ち、ITOと銀薄膜との積層構造においては、水分の存
在下で反応を生じやすく、特にその界面を中心として銀
の凝集やITOの破壊をもたらしやすい。結果として、
容易に視認できるシミ状の欠陥が生じるものであり、表
示欠陥や透明電極の断線等が生じるという欠点をもって
いる。
【0012】こうした耐湿性を改善した技術として、本
発明者らは、特願平 7− 88797号に示す技術を提案して
いるものである。当技術によれば、耐湿性および光透過
率を向上させるため、基材とする酸化インジウムに酸化
セリウム等を添加した混合酸化物、および、銀に銅等を
添加した銀合金薄膜を用い、混合酸化物薄膜にて銀合金
薄膜を挟持するよう積層を行ったものである。かかる構
成とすることで、高耐湿性の透明導電膜を得ることがで
きるものである。
【0013】また、上記3層構成の導電膜において、銀
合金薄膜(あるいは、銀薄膜)の膜厚を 150nm前後と厚
く形成することにより、高光反射率の反射電極とするこ
とができるものである。なお、銀合金ないし銀薄膜を挟
持する酸化物として、酸化チタンや、酸化チタンの化合
物を用いる技術が知られているが、酸化チタン系の薄膜
は耐アルカリ性に乏しく、実用レベルの電極基板とはな
りえないといえる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した特願
平 7-88797号に示す技術では、混合酸化物薄膜と銀合金
薄膜との界面が化学的にやや不安定であり信頼性が不十
分といえ、また、電極パターンの加工(エッチング加
工)においても、精度的に不十分なところがあった。
【0015】すなわち、公知技術であるフォトリソグラ
フィーの手法で、上記3層構造の導電膜上にフォトレジ
ストで電極パターンを形成した後、例えば硫酸と硝酸と
の混酸のエッチング液で導電膜をエッチングする際、銀
合金薄膜および、銀合金薄膜との界面近傍の混合酸化物
薄膜にサイドエッチが入り、これがため、得られた電極
パターンに寸法、形状不良が発生するためである。
【0016】また、たとえ電極パターンとして外見は良
好なものが得られたとしても、液晶パネルとすべく、T
ABと呼称されるポリイミドフィルムに銅等の配線パタ
ーンを形成した接続用フィルムにて電極パターンに実装
(電気的接続)を行う際、銀合金薄膜と混合酸化物薄膜
とが剥がれを生じることがあり、信頼性の点で大きな問
題を生じていたものである。
【0017】本発明は、このような問題点に鑑みなされ
たものであって、その課題とするところは、信頼性が有
り、かつ、加工精度の良い表示装置用電極基板を提供す
るところにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を行ったものであり、その結果、
金属の仕事関数に着目したものである。
【0019】AGNE PERIODIC TABLE
(以下、単にAPTと記す)によると、成膜条件にもよ
るが、上記3層構成の導電膜を構成する酸化物の仕事関
数は、一般に約 5eV(エレクトロンボルト)弱、ある
いは 5eVをやや超えるレベルである。一方、銀の仕事
関数は4.28eV、銅は4.47eV、金は4.58eVであり、
この数値からは、銀ないし、(金や銅を添加した)銀合
金の方が、酸化物よりも仕事関数が低く、電子を放出し
やすい。換言すると、銀合金薄膜は、混合酸化物より
も、エッチング液による酸化を受けやすいことになる。
【0020】このため、上記したように、酸化インジウ
ムあるいは酸化スズを基材とする混合酸化物にて、銀な
いし銀合金薄膜を挟持する構成の導電膜に、エッチング
液を用いてパターン加工を行うと、これら薄膜の界面で
のダメージや、銀ないし銀合金薄膜のサイドエッチが生
じやすいと、本発明者らは推測したものである。
【0021】本発明者らは、上記の観点から、酸化物薄
膜と銀合金薄膜との電子の放出のしやすさ(仕事関数)
を近づけることにより、これら薄膜界面でのダメージが
なく、サイドエッチの入りにくい、つまり、エッチング
により加工のしやすい3層導電膜になることを見いだし
たものである。
【0022】すなわち、混合酸化物薄膜にて挟持される
銀合金薄膜として、仕事関数の高い(電子放射をしにく
い、あるいは、接触電位差の高い)元素を少量添加した
銀合金を用いれば、エッチング時に発生する、銀合金薄
膜へのサイドエッチの入り込みや、銀合金薄膜と混合酸
化物薄膜との界面でのダメージ発生が防止でき、上記課
題を解決できることを、本発明者らは見いだしたもので
ある。
【0023】前述したように、金属の仕事関数は、文献
や測定方法によって(あるいは、金属の結晶面によって
も)多少のバラツキはあるといえる。しかし、仕事関数
が 4.7eVより高い金属を、例えば 0.3〜 3at%(原子
パーセント)と少量、銀に添加した銀合金を用いて3層
構成の導電膜とすれば、エッチング時の導電膜のサイド
エッチ量が極めて小さくなることを、本発明者らは経験
的に確認したものである。なお、仕事関数が 4.7eVよ
り高い金属として、(APTによる)仕事関数が4.84e
Vであるニッケル(Ni)、4.82eVであるパラジウム
(Pd)、もしくは5.29eVであるプラチナ(Pt)が
あげられ、これらを、銀に添加することが望ましい。ニ
ッケル、パラジウムもしくはプラチナを 5at%(原子パ
ーセント)以下として少量添加した銀合金を用いて3層
構成の導電膜とすることにより、エッチングの際のサイ
ドエッチが極めて小さく、パターン形状のきれいな表示
装置用電極基板を提供することができる。
【0024】しかし、銀へのこれらの金属の添加量が 5
at%(原子パーセント)を超えたり、あるいは、これら
の金属の添加に加えて、金および銅を添加した銀合金と
した場合に、その添加金属の合計が 5at%(原子パーセ
ント)を超えると、3層構成の導電膜の光学特性(光透
過率あるいは光反射率)が低下し、また、導電性が低下
する等、悪い影響が目立ち始める。これより、金および
銅を含めた、これら金属の銀への添加量は、 3at%(原
子パーセント)を超えないことが好ましいといえる。
【0025】すなわち、請求項1に係わる発明は、酸化
インジウムあるいは酸化スズを基材とし、少なくとも酸
化セリウムを添加した混合酸化物薄膜にて銀合金薄膜を
挟持した、3層構成の導電膜を基板上に備えた表示装置
用電極基板において、前記銀合金薄膜が、仕事関数が
4.7eVより高い金属を 0.3〜 3at%(原子パーセン
ト)添加した銀合金よりなることを特徴とする。
【0026】ちなみに、本発明に用いる混合酸化物薄膜
に添加する酸化物として、上記の酸化セリウムの他に、
高融点の金属酸化物、半金属、非金属の酸化物を少量加
えても構わない。また、耐アルカリ性に影響しない範囲
であれば、酸化チタンや酸化亜鉛を加えても構わないと
いえる。
【0027】次いで、本発明者らは、銀に銅や金を少量
添加したほうが、エッチングの際に、銀単体より、3層
導電膜のパターンエッジは綺麗な仕上がりとなること
を、経験的に得ているものである。また、金と銅は、銀
に添加しても、銀合金薄膜の光学特性や導電性を低下さ
せにくい代表的な合金元素といえる。
【0028】また、前述したように、銀へのこれらの金
属の添加量が 5at%(原子パーセント)を超えたり、あ
るいは、これらの金属の添加に加えて、金および銅を添
加した銀合金とした場合に、その添加金属の合計が 5at
%(原子パーセント)を超えると、3層構成の導電膜の
光学特性(光透過率あるいは光反射率)が低下するた
め、銀へのこれらの金属の添加量は 5at%(原子パーセ
ント)を超えないことが望ましい。
【0029】すなわち、請求項2に係わる発明は、銀合
金薄膜が、仕事関数が 4.7eVより高い金属と、金もし
くは銅の少なくとも一方とを添加した銀合金よりなり、
かつ、銀合金への、これら添加金属の添加割合が 5at%
(原子パーセント)を超えないことを特徴とするもので
ある。
【0030】前述したように、仕事関数が 4.7eVより
高い金属として、仕事関数が4.84eVであるニッケル
(Ni)、4.82eVであるパラジウム(Pd)、もしく
は5.29eVであるプラチナ(Pt)があげられる。この
中で、仕事関数の最も高い金属は、白金(Pt)であ
り、少量の白金を銀に添加することで、エッチング時の
サイドエッチング量が極めて小さくなる等、極めて良い
効果を得ることができるため、銀への添加金属は、白金
を選択することが最も望ましいといえる。さらに、銀の
マイグレーションを抑制する意味で、仕事関数の高い上
記金属の中でも特に、原子量の大きなプラチナが最も好
ましいといえる。
【0031】しかし、ニッケル、パラジウムやプラチナ
の金属は、原子の最外殻の電子軌道が、s軌道に1個原
子がある銀と、大きく異なるため、これらの金属の添加
量が3at%を超えると、3層導電膜の導電性の低下や、
光学特性の低下が目立つようになる。これら金属の添加
を、多くとも 1〜 2at%に抑え、一部を、金や銅の添加
で補うことが望ましい。
【0032】すなわち、請求項3に係わる発明は、銀合
金薄膜が、金および銅と、白金とを添加した銀合金より
なり、かつ、銀合金への、これら添加金属の添加割合が
3at%(原子パーセント)を超えないことを特徴とする
ものである。
【0033】本発明の電極基板に形成されている導電膜
は、混合酸化物で挟持されている銀合金薄膜の膜厚を 7
〜25nmと薄く形成することにより、光透過率の高い透明
電極に、また逆に、銀合金薄膜の膜厚を50〜 200nmと厚
く形成することにより、光反射率の高い反射電極として
使用できる。反射電極は、反射型の液晶表示装置や、エ
レクトロルミネッセンス(EL)等の、発光型ディスプ
レイの反射電極として用いることが可能である。
【0034】すなわち、請求項4の発明は、透明電極に
係わり、銀合金薄膜の膜厚が 7〜25nmの範囲にあること
を特徴とする。また、請求項5の発明は、反射電極に係
わり、銀合金薄膜の膜厚が50〜 200nmの範囲にあること
を特徴とするものである。
【0035】3層構成の透明電極として、銀合金薄膜の
膜厚が 7nmに満たない場合、銀合金薄膜を成膜する際
に、銀合金薄膜が不連続の膜となり(連続して均質な膜
に成りにくい)、さらに、光学特性、導電性とも劣る透
明電極になる。また、銀合金薄膜の膜厚が25nmの場合、
550nmの光波長において80%前後の光透過率の透明電極
となる。しかし、銀合金薄膜の膜厚が25nmを大きく超え
ると、光透過率が低くなり透明電極として好ましくな
い。
【0036】また、銀合金薄膜は、反射電極として 200
nmを超える膜厚で形成しても良いが、 200nmを超えて膜
厚を設定しても、膜厚を 200nmとした場合の光反射率に
比べて、これより高くならないため、膜厚を 200nmを超
えて設定する必要はない。
【0037】本発明の表示装置用電極基板は、透過型ま
たは、反射型の表示装置用電極基板として、いずれにも
使用できる。また、反射型の表示装置用電極基板である
場合、透明電極を形成する基板は、ガラス、プラスチッ
ク等の透明な基板、または、白色、黒色等、その他の色
に着色された、透明、不透明な基板であっても良い。さ
らに、基板自体が、電気回路、太陽電池、あるいはアモ
ルファスシリコン、ポリシリコン、MIM(ダイオード
素子)等の半導体素子が形成された基板であっても良
く、あるいは、偏光素子、回折格子、光散乱膜、λ/4
板、位相差フィルム等の光学機能をもった基板であって
も良い。さらにまた、カラーフィルター等を形成した基
板であっても良い。
【0038】また、本発明に用いる3層構成の導電膜
は、低抵抗であるため、TFT(薄膜トタンジスタ)や
MIM(ダイオード素子)等の、素子の信号線やバスラ
イン等に使用でき、これらの画素電極と兼用することも
可能である。
【0039】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態の例を
詳細に説明する。
【0040】<実施例1>図1に示すように、当(実施
例1)に係わる透過型の電極基板14は、厚さ 0.7mmのガ
ラス基板10上に順次積層された、酸化インジウム基材の
混合酸化物薄膜11(膜厚39nm)、銀合金薄膜12(膜厚15
nm)、さらに混合酸化物薄膜13(膜厚41nm)とで、その
主要部が構成されている。
【0041】ここで、当(実施例1)の、銀合金薄膜12
を挟持する混合酸化物薄膜11、13はいずれも、基材であ
る酸化インジウムに、酸化セリウムおよび酸化スズを添
加したものであり、その組成は、金属元素換算の原子パ
ーセント(酸素元素はノーカウントとする)にて、イン
ジウム89at%(原子パーセント)、セリウム 8at%、ス
ズ 3at%とした。また、銀合金薄膜は、銀に、プラチ
ナ、金、銅を添加した銀合金を用いたものであり、その
組成は、銀97at%、プラチナ 1at%、金 1at%、銅 1at
%とした。
【0042】次いで、上記3層の構成の透明電極15は、
以下の製造プロセスで形成したものである。すなわち、
まず、洗浄したガラス基板10の表面を、有機アルカリ系
の界面活性剤と水とでさらに洗浄した後、真空槽(スパ
ッタリング装置)内に収容し、真空引きした。次いで、
ガラス基板10を、真空槽中から取り出すことなく、スパ
ッタリング法にて、ガラス基板10表面に上記3層を順次
積層成膜し導電膜を得た。なお、スパッタリングの際、
加熱は行わなかったものである。
【0043】次いで、上記3層構成の導電膜上に、所定
の透明電極パターン形状のレジストパターンを形成した
後、レジストパターンより露出した導電膜部位を、硝酸
第2セリウムアンモニウム1%を含む硫酸系エッチング
液によりエッチングした。次いで、レジスト膜を剥膜し
た後、 220℃、1時間のアニーリング(熱処理)を施
し、透明電極15とした。
【0044】上述した製造プロセスで得られた透明電極
15の面積抵抗は、約4Ω/□であり、合計膜厚95nmで計
算した比抵抗は、約 3.8×10-5Ω・cmと、極めて良好
な導電性となっていた。さらに、エッチングで得られた
パターン形状も極めて良好で、サイドエッチ量も約 0.8
μmと小さく良好であり、透明電極15の、波長 550nmで
の光透過率は、約92%であった。なお、上記透明電極15
において、銀合金薄膜12の膜厚を17nmとすることによ
り、3Ω/□を下回る低抵抗の導電膜になることも、本
発明者らは確認している。
【0045】<実施例2>図2に示すように、当(実施
例2)に係わる反射型の表示装置用電極基板24は、厚さ
0.7mmのガラス基板20上に順次積層された、混合酸化物
薄膜21(膜厚20nm)、銀合金薄膜22(膜厚 120nm)、さ
らに混合酸化物薄膜23(膜厚70nm)とで、その主要部が
構成されている。なお、当(実施例2)に用いた混合酸
化物薄膜および銀合金薄膜の組成は、前述した(実施例
1)と同じとした。
【0046】次いで、上記3層構成の反射電極25は、以
下の製造プロセスで形成した。まず、(実施例1)と同
様に、基板20を洗浄後、スパッタリング装置により、ガ
ラス基板20上に、混合酸化物薄膜にて銀合金薄膜を挟持
する3層を順次積層成膜した。
【0047】次いで、この3層構成の反射電極上に、所
定の反射電極パターン形状のレジストパターンをフォト
リソグラフィーの手法にて形成した後、レジストパター
ンより露出した反射電極部位を硫酸系エッチング液によ
りエッチングした。次いで、レジスト剥膜後、 220℃、
1時間のアニーリング(熱処理)を施し、反射電極25と
した。
【0048】こうして得られた反射電極25の面積抵抗は
約0.41Ω/□であり、また、合計膜厚 210nmとして計算
した比抵抗は、 8.6×10-6Ω・cmとなった。さらに、
波長 550nmでの反射電極25の光反射率は、約92%であっ
た。
【0049】なお、(実施例1)、(実施例2)で得ら
れた各表示装置用電極基板を、温度60℃、湿度95%の高
温、高湿の条件下で 800時間保持した後、各表示装置用
電極基板の外観の変化を調べたが、外観の変化は確認出
来なかった。また、電極パターンの密着性の確認も行っ
たが問題はなく、これにより、(実施例1)、(実施例
2)で得られた各表示装置用電極基板は、耐湿性に優れ
ていることが確認できた。なお、密着性の評価は、電極
パターン面にセロハンテープを貼った後、これを垂直方
向に素早く剥がし、電極パターンの剥がれの有無を調べ
る、ピールテストにて行ったものである。
【0050】<比較例>上述した実施例との比較のた
め、銀合金薄膜32の組成を変えて、図3に示すように、
電極基板34を形成した。
【0051】すなわち、混合酸化物薄膜は(実施例1)
と同じ組成とし、また、銀合金薄膜は、白金を添加する
ことなく金と銅のみを添加し、銀98.5at%、金 1at%、
銅 0.5at%の組成としたものである。次いで、上述した
(実施例2)と同様に、厚さ 0.7mmのガラス基板30上
に、混合酸化物薄膜31(膜厚20nm)、銀合金薄膜32(膜
厚 120nm)、さらに混合酸化物薄膜33(膜厚70nm)を順
次積層した後、(実施例2)と同じ製造プロセスを行
い、反射電極35を有する反射型の電極基板34を形成し
た。
【0052】当(比較例)の反射電極35を製造した直
後、すなわち、レジスト剥膜後に、上述したように、セ
ロハンテープを用いたピールテストを行ったものであ
る。その結果、電極パターンエッジから、およそ半分の
面積比で、上面側の混合酸化物薄膜33が剥離した。ま
た、製造時に行われたエッチングによるサイドエッチ量
は、銀合金薄膜32のパターンエッジで見て、約 2.5μm
と大きく、これは、(実施例1)および(実施例2)の
サイドエッチ量の2倍以上となっていたものである。
【0053】さらに、(比較例)で得た表示装置用電極
基板を、温度60℃、湿度95%の高温、高湿の条件下で 8
00時間保持した後、セロハンテープを用いたピールテス
トを行った。その結果、約30%の面積比で、銀合金薄膜
が、下側(基板側)の混合酸化物薄膜31の表面より剥が
れ、また、合わせて上側の混合酸化物薄膜33の剥がれも
発生していた。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、仕事関数が高い金属を
銀に添加した銀合金を用いて構成した3層構成の導電膜
を備えた表示電極用基板とすることで、所望の電極パタ
ーン等を得るべく表示電極用基板に行うエッチングの際
にも、エッチングダメージを受けにくく、かつ、サイド
エッチ量を小さくすることのできる、高品質の表示装置
用電極基板を提供することができる。
【0055】また、仕事関数が高い金属としてプラチナ
を銀に添加することは、銀合金薄膜に硬さを付与し、さ
らに、銀のマイグレーションを抑制するため、TAB等
の実装面でも有利となる等、高信頼性の表示装置用電極
基板を提供できる。
【0056】本発明に係わる3層構成の導電膜は、銀合
金薄膜の膜厚を 7〜25nmの範囲とすれば、透過型として
高い光透過率になるとともに、特に銀合金薄膜の膜厚を
9〜14nmとすれば低反射率となり、かつ、電磁波シール
ド性をも持つため、反射防止膜、EMI膜、熱線反射膜
としての応用も可能である。
【0057】さらにまた、本発明は、その基板を光−エ
ネルギー変換機能を有する半導体基板とすれば、太陽電
池やセンサー基板への応用も可能である等、本発明は実
用上優れているといえる。
【0058】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示装置用電極基板の一実施例を示す
説明図。
【図2】本発明の表示装置用電極基板の他の実施例を示
す説明図。
【図3】比較例としての表示装置用電極基板を示す説明
図。
【符号の説明】
10、20、30 基板 11、13、21、23、31、33 混合酸化物薄膜 12、22、32 銀合金薄膜 14、24、34 電極基板 15、25、35 電極
【手続補正書】
【提出日】平成9年6月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】成膜条件にもよるが、上記3層構成の導電
膜を構成する酸化物の仕事関数は、一般に約 5eV(エ
レクトロンボルト)弱、あるいは 5eVをやや超えるレ
ベルである。一方、元素周期律表(AGNE PERI
ODIC TABLE、以下、単にAPTと記す)によ
ると、銀の仕事関数は4.28eV、銅は4.47eV、金は4.
58eVであり、この数値からは、銀ないし、(金や銅を
添加した)銀合金の方が、酸化物よりも仕事関数が低
く、電子を放出しやすい。換言すると、銀合金薄膜は、
混合酸化物よりも、エッチング液による酸化を受けやす
いことになる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化インジウムあるいは酸化スズを基材と
    し、少なくとも酸化セリウムを添加した混合酸化物薄膜
    にて銀合金薄膜を挟持した、3層構成の導電膜を基板上
    に備えた表示装置用電極基板において、前記銀合金薄膜
    が、仕事関数が 4.7eVより高い金属を 0.3〜 3at%
    (原子パーセント)添加した銀合金よりなることを特徴
    とする表示装置用電極基板。
  2. 【請求項2】銀合金薄膜が、仕事関数が 4.7eVより高
    い金属と、金もしくは銅の少なくとも一方とを添加した
    銀合金よりなり、かつ、銀への、これら添加金属の添加
    割合が 5at%(原子パーセント)を超えないことを特徴
    とする請求項1に記載の表示装置用電極基板。
  3. 【請求項3】銀合金薄膜が、金および銅と、仕事関数が
    4.7eVより高い金属である白金とを添加した銀合金よ
    りなり、かつ、銀への、これら添加金属の添加割合が 3
    at%(原子パーセント)を超えないことを特徴とする請
    求項1または2に記載の表示装置用電極基板。
  4. 【請求項4】銀合金薄膜の膜厚が、 7〜25nmの範囲にあ
    ることを特徴とする請求項1、2または3に記載の表示
    装置用電極基板。
  5. 【請求項5】銀合金薄膜の膜厚が、50〜 200nmの範囲に
    あることを特徴とする請求項1、2または3に記載の表
    示装置用電極基板。
JP9092471A 1997-04-10 1997-04-10 表示装置用電極基板 Pending JPH10282906A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002277855A (ja) * 2001-03-15 2002-09-25 Sharp Corp Ag合金薄膜の形成方法および情報表示素子
WO2004066354A3 (en) * 2003-01-16 2004-09-10 Target Technology Co Llc Photo-voltaic cells including solar cells incorporating silver-alloy reflective and/or transparent conductive surfaces
KR100574724B1 (ko) * 2002-07-19 2006-04-28 샤프 가부시키가이샤 표시 장치 및 휴대 기기
CN1333293C (zh) * 2002-10-04 2007-08-22 日本板硝子株式会社 附有采用银合金膜的反射电极用薄膜的基板
US7645500B2 (en) 2003-04-18 2010-01-12 Target Technology Company, Llc Metal alloys for the reflective or the semi-reflective layer of an optical storage medium

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