JPH10208554A - 透明導電膜及びそれを用いた液晶素子 - Google Patents

透明導電膜及びそれを用いた液晶素子

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JPH10208554A
JPH10208554A JP9009971A JP997197A JPH10208554A JP H10208554 A JPH10208554 A JP H10208554A JP 9009971 A JP9009971 A JP 9009971A JP 997197 A JP997197 A JP 997197A JP H10208554 A JPH10208554 A JP H10208554A
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Kunio Takada
國夫 高田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄膜で電気抵抗が小さく可視領域での光線透
過率の高い透明導電膜を実現する。 【解決手段】 スズを添加した酸化インジウムからなる
第1の層、高導電性金属膜からなる第2の層、スズを添
加した酸化インジウムからなる第3の層、高導電性金属
膜からなる第4の層、及びスズを添加した酸化インジウ
ムからなる第5の層を順次積層してなる透明導電膜。 【効果】 液晶の配向異常に伴う表示欠陥の無い優れた
大面積液晶ディスプレイを実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可視光波長領域で
の光線透過率が良好で、電気抵抗(以下単に「抵抗」と
いう)が小さく大電流電極として使用できる透明導電
膜、及びそれを用いた液晶素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】透明導電膜にはスズ添加酸化インジウム
膜(以下ITO膜という)、ZnO、SnO2 などがあ
るがその中でもITO膜は、導電性でしかも可視光波長
領域での光線透過率が良好なため、従来から各種のディ
スプレイおよび太陽電池の透明電極、熱反射ガラス、防
曇、防水、帯電防止ガラス、電磁シールガラスなどに利
用されている。
【0003】例えば表示用液晶ディスプレイにおいては
近年ますます大面積化が進むとともに、表示密度の向上
が図られるようになってきており、高い光線透過率と配
線抵抗の低い透明導電膜が要求されるようになってき
た。しかも、電極間距離はコントラストに大きく影響す
るので、透明導電膜の厚さは概ね150nm以下が求め
られる。このように表示用液晶ディスプレイでは表示品
質の向上および生産性向上のためにより薄膜でかつ低抵
抗な透明導電膜が求められるようになってきた。
【0004】低抵抗な透明導電膜の作成技術として、I
23 、ZnOなどにSn、Alなどを添加したり、
あるいはFなどを添加する試みが従来からなされてい
る。このような透明導電膜は一般的にスパッタリング
法、蒸着法、イオンプレーティング法などを用いて形成
される。そのなかでもIn23 −SnO2 、ZnO−
Al23 などのターゲットまたは焼結ペレットを用い
たスパッタリング法が多く用いられている。
【0005】添加成分のドナー効果を高め低抵抗率を実
現するためには、結晶化を高める必要があり、一般的に
は成膜中の基板温度を200℃〜300℃の高温にする
方法がとられている。しかし、最近注目されているカラ
ーSTN方式の液晶ディスプレイでは有機カラーフィル
ター上に透明導電膜を形成する必要があり、成膜温度は
200℃以下という低温成膜が求められており、基板温
度を高温化することによる低抵抗化は採用できないのが
現状である。
【0006】これらの問題を解決するために、特開平6
−68713号公報にみられるように低抵抗な透明導電
膜としてAu、Ag、Cuなどの高導電性金属を超薄膜
に形成する方法が考えられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】今日使用されている透
明導電膜は、10インチクラスの液晶ディスプレイに対
してはその配線抵抗は大きな問題とはならないが、15
インチクラスの大面積液晶ディスプレイにおいては配線
抵抗が大きくなるため、ITO等の膜厚を増大させてこ
の問題を解決しようとしていた。しかしながら膜厚が増
大するとともに比抵抗は単調に増大するため大電流用電
極として使用することが困難である。また液晶ディスプ
レイ用透明電極においては膜厚が300nm程度を上回
るとその段差の影響によって液晶の配向状態に異常が発
生し易く、表示欠陥の原因となる。そのため、できるだ
け薄膜(150nm程度)で大電流を流せる透明電極が
求められていた。
【0008】また、従来は配線抵抗を下げるために、I
TO膜上の一部にメタル膜を形成する手法がとられてい
るが、この場合ITO膜の成膜後にパターンニングを行
ない、しかる後に、メタル膜の成膜とパターンニングと
いう2回のパターンニング工程が必要となり、工数が多
くなるとともに非常にコスト高になっていた。
【0009】また、Au、Ag、Cuなどの高導電性金
属を超薄膜に形成することも試みられていたが、これら
の高導電性金属膜は透明性が劣る上に単体では耐候性が
著しく劣るため長期信頼性に欠けるという欠点があり実
用的ではなかった。そのため、これらの高導電性金属の
上下にITO膜を形成し保護する方法も考案されている
が、15インチクラスの大面積液晶ディスプレイにおい
て要求される可視領域での光線透過率と配線抵抗の双方
を満足する透明導電膜を実現することは困難であった。
【0010】本発明の目的は、かかる従来の透明導電膜
の不具合を解消し、従来並みの膜厚で大面積液晶ディス
プレイにも適用可能な光線透過率と配線抵抗を有すると
ともに、1回のパターンニングで処理できる透明導電
膜、更には液晶の配向異常による表示欠陥を抑制しつつ
大面積化が可能な液晶素子を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく成
された本発明の構成は、以下の通りである。
【0012】即ち、本発明の第1は、基板上に、スズを
添加した酸化インジウムからなる第1の層、高導電性金
属膜からなる第2の層、スズを添加した酸化インジウム
からなる第3の層、高導電性金属膜からなる第4の層、
及びスズを添加した酸化インジウムからなる第5の層を
順次積層してなる透明導電膜にある。
【0013】また、本発明の第2は、上記本発明第1の
透明導電膜を有する液晶素子にある。
【0014】本発明の透明導電膜によれば、150nm
程度の膜厚で配線抵抗が20数kΩ程度の低抵抗配線を
可能とし、且つ波長400nm〜700nmの範囲での
光線透過率が80%以上の高い透明性を有する透明導電
膜が実現される。そして、かかる透明導電膜を液晶素子
の透明電極に適用すれば、その段差の影響によって液晶
の配向状態に異常が発生することも無く、且つ液晶素子
の大面積化にも耐え得る光線透過率と配線抵抗を有する
ため、表示欠陥の無い優れた大面積液晶ディスプレイを
実現することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明において、第2、第4の層
を構成する高導電性金属膜材料としては、Au、Ag、
Cu等を用いることができ、コスト、耐食性、導電性の
点で優れるAgが好ましい。
【0016】また、上記高導電性金属膜からなる第2、
第4の層の膜厚は、それらの合計が10nm乃至15n
mの範囲にあることが好ましい。かかる膜厚の合計が1
0nm未満であると、15インチクラスの大面積液晶デ
ィスプレイにおいて要求される配線抵抗(概ね30KΩ
以下)を実現することは難しい。一方、かかる膜厚の合
計が15nmを超えると、15インチクラスの大面積液
晶ディスプレイにおいて要求される可視領域の光線透過
率(波長400nm〜700nmの範囲で概ね80%以
上)を実現することは難しい。
【0017】また、波長400nm〜700nmの範囲
での光線透過率の分布をフラットな望ましい分布にする
ためには、上記高導電性金属膜からなる第4の層の膜厚
は、第2の層の膜厚以下にすることが好ましい。
【0018】また、スズを添加した酸化インジウムから
なる第5の層の屈折率は、第1の層の屈折率以下である
ことが好ましい。これにより、15インチクラスの大面
積液晶ディスプレイにおいて要求される可視領域の光線
透過率が得られる製造マージンが広くなる。具体的に
は、第5の層の屈折率を第1の層の屈折率以下に設定し
た場合、第5の層の膜厚を、第1の層の膜厚以下で且つ
概ね30nm乃至50nmの範囲に設定すれば、上記の
光線透過率を実現することができる。
【0019】次に、本発明の透明導電膜の製造プロセス
の具体例を説明する。
【0020】まずガラス基板を純水および超音波を用い
て洗浄し、慣用の成膜手段、例えばスパッタリング法、
イオンプレーティング法、CVD法などの公知の成膜方
法を用いて、第1層としてSnを添加したIn23
(ITO膜)を所望の膜厚になるように形成する。第2
層はAgをターゲットとしてスパッタリング法で形成
し、第3層のITO膜は第1層のITO膜を形成するの
と同じ方法で形成する。第4層のAg層は第2層のAg
層と同じ方法で形成することができる。第5層のITO
膜は第1層のITO膜を形成するのと同じ方法で形成す
ることができる。
【0021】各層の膜厚は投入するパワーと成膜時間を
変えることで制御することが可能である。屈折率につい
てはITO膜の場合は酸素分圧または基板加熱温度を制
御することで可能であり、Agの場合はできるだけ不純
ガスを混入させないような雰囲気でバルクの値に近い屈
折率を持った膜を形成する。
【0022】成膜装置としては汎用のスパッタ装置ある
いはCVD装置を使うことが可能であるが、一般的には
スパッタリング装置が用いられる。装置性能としては到
達真空度が2〜5×10-5Pa程度の真空度を有する成
膜装置を用いることができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0024】(実施例1)本実施例では、ガラス基板上
に5層積層型の透明導電膜を形成した。図1はかかる透
明導電膜の模式図であり、0はガラス基板、1は第1の
層、2は第2の層、3は第3の層、4は第4の層、5は
第3の層である。
【0025】まず、450mm×550mmのガラス基
板を純水で洗浄し、しかる後に、第1の層としてITO
膜を屈折率1.9、膜厚50nm、第2の層としてAg
を表1に示すそれぞれの膜厚で形成し、第3の層として
ITO膜を屈折率1.9、膜厚50nm、第4の層とし
てAgを表1に示すそれぞれの膜厚で形成し、最後に第
5の層としてITO膜を屈折率1.9、膜厚50nm、
となるように順次成膜して透明導電膜を形成した。各層
の成膜条件は次の通りである。
【0026】 [第1の層、第3の層、第5の層のITO膜] 到達真空度 :5×10-5Pa ガス種類 :Ar=300sccm、O2 =1.3sccm ガス圧力 :0.6Pa 投入パワー :2.0W/cm2 [第2の層、第4の層のAg] 到達真空度 :5×10-5Pa ガス種類 :Ar=210sccm ガス圧力 :0.9Pa 投入パワー :0.5〜1.2W/cm2 の範囲で各膜厚に合わせて調整
【0027】本実施例では、第2の層と第4の層のAg
を同じ膜厚に設定し、これらの合計した膜厚が30n
m、25nm、20nm、15nm、10nmである5
種類の透明導電膜を形成した。かかる5種類の透明導電
膜を、配線幅10μmで配線長さ約250mmの配線パ
ターンにパターンニングして15インチクラスの液晶用
パネルのサンプルを作成した。
【0028】上記5種類のサンプルの屈折率をエリプソ
メーターで測定し、市販の抵抗値テスターで抵抗値を測
定した。その結果、表1に示すように第2の層と第4の
層のAgの合計した膜厚が20nm以上のものにあって
は十分な光線透過率(波長400nm〜700nmの範
囲での透過率)が得られていないが、第2の層と第4の
層のAgの合計した膜厚が10nm〜15nmのものに
あっては透過率は80%近く、配線抵抗もほぼ実用域の
透明導電膜を形成することができた。尚、第2の層と第
4の層のAgの合計した膜厚が10nmより薄くなると
配線抵抗が大きくなり過ぎる。
【0029】
【表1】
【0030】(実施例2)実施例1と同様に450mm
×550mmのガラス基板を純水で洗浄し、しかる後
に、第1の層としてITO膜を屈折率1.9、膜厚50
nm、第2の層としてAgを第5の層のAgとの合計し
た膜厚が15nmとなるようにして表2に示すそれぞれ
の膜厚で形成し、第3の層としてITO膜を屈折率1.
9、膜厚50nm、第4の層としてAgを第2の層のA
gとの合計した膜厚が15nmとなるようにして表2に
示すそれぞれの膜厚で形成し、最後に第5の層としてI
TO膜を屈折率1.9、膜厚50nm、となるように順
次成膜して透明導電膜を形成した。各層の成膜条件は次
の通りである。
【0031】 [第1の層、第3の層、第5の層のITO膜] 到達真空度 :5×10-5Pa ガス種類 :Ar=300sccm、O2 =1.3sccm ガス圧力 :0.6Pa 投入パワー :2.0W/cm2 [第2の層、第4の層のAg] 到達真空度 :5×10-5Pa ガス種類 :Ar=210sccm ガス圧力 :0.9Pa 投入パワー :0.5〜1.2W/cm2 の範囲で各膜厚に合わせて調整
【0032】本実施例では、第2の層と第4の層のAg
の合計した膜厚を15nmに設定し、これらの膜厚が異
なる組み合わせで5種類の透明導電膜を形成した。かか
る5種類の透明導電膜を、配線幅10μmで配線長さ約
250mmの配線パターンにパターンニングして15イ
ンチクラスの液晶用パネルのサンプルを作成した。
【0033】上記5種類のサンプルの屈折率をエリプソ
メーターで測定し、市販の抵抗値テスターで抵抗値を測
定した。その結果、表2に示すように第4の層のAgが
第2の層のAgの膜厚よりも小さいものにあっては、波
長400nm〜700nmの範囲での光線透過率がほぼ
フラットな好ましい分布を示すことがわかった。また、
第4の層のAgと第2の層のAgの膜厚が等しい場合に
透過率が最も高く、第4の層のAgが第2の層のAgの
膜厚よりも大きくなると透過率が低下する傾向がある。
以上のことから、第4の層のAgの膜厚は第2の層のA
gの膜厚以下に設定するのが好ましい。
【0034】
【表2】
【0035】(実施例3)実施例1と同様に450mm
×550mmのガラス基板を純水で洗浄し、しかる後
に、第1の層としてITO膜を屈折率1.9、膜厚50
nm、第2の層としてAgを膜厚10nmで形成し、第
3の層としてITO膜を屈折率1.9、膜厚50nm、
第4の層としてAgを膜厚5nmで形成し、最後に第5
の層として表3に示すようにITO膜の屈折率を1.9
から1.7の範囲、膜厚50nmから10nm(屈折率
を1.7としたものにあっては膜厚60nmから20n
m)の範囲で、順次成膜して透明導電膜を形成した。各
層の成膜条件は次の通りである。
【0036】 [第1の層、第3の層のITO膜] 到達真空度 :5×10-5Pa ガス種類 :Ar=300sccm、O2 =1.3sccm ガス圧力 :0.6Pa 投入パワー :2.0W/cm2 [第2の層、第4の層のAg] 到達真空度 :5×10-5Pa ガス種類 :Ar=210sccm ガス圧力 :0.9Pa 投入パワー :0.5〜1.2W/cm2 の範囲で各膜厚に合わせて調整 [第5の層のITO膜] 到達真空度 :5×10-5Pa ガス種類 :Ar=300sccm、O2 =0.8〜4.0sccm ガス圧力 :0.6Pa 投入パワー :0.5〜2.0W/cm2 の範囲で各膜厚に合わせて調整
【0037】本実施例では、第5の層のITO膜の屈折
率を3種類、膜厚をそれぞれ5種類に設定し、計15種
類の透明導電膜を形成した。かかる15種類の透明導電
膜を、配線幅10μmで配線長さ約250mmの配線パ
ターンにパターンニングして15インチクラスの液晶用
パネルのサンプルを作成した。
【0038】上記15種類のサンプルの屈折率をエリプ
ソメーターで測定し、市販の抵抗値テスターで抵抗値を
測定した。その結果、表3に示すように第5の層の屈折
率を第1の層の屈折率以下に設定した本実施例において
は、大面積液晶ディスプレイで要求される150nm程
度の膜厚で配線抵抗が25kΩ以下の低抵抗配線を可能
とし、且つ波長400nm〜700nmの範囲での光線
透過率が80%以上の高い透明性を有する透明導電膜が
実現された。特に、第5の層のITO膜の屈折率を1.
7に設定したものにあっては、上記要求を満足する範囲
が広く、具体的には、第5の層の膜厚を、第1の層の膜
厚以下で且つ概ね30nm乃至50nmの範囲に設定す
れば、実用範囲の配線を実現できることがわかった。
【0039】
【表3】
【0040】(実施例4)実施例1と同様に450mm
×550mmのガラス基板を純水で洗浄し、しかる後
に、第1の層として表4に示すようにITO膜の屈折率
を1.9から1.7の範囲、膜厚を50nmから10n
mの範囲で形成し、第2の層としてAgを膜厚10nm
で形成し、第3の層としてITO膜を屈折率1.9、膜
厚50nm、第4の層としてAgを膜厚5nmで形成
し、最後に第5層の層としてITO膜を屈折率1.9、
膜厚50nmとなるように順次成膜して透明導電膜を形
成した。各層の成膜条件は次の通りである。
【0041】 [第1の層のITO膜] 到達真空度 :5×10-5Pa ガス種類 :Ar=300sccm、O2 =0.8〜4.0sccm ガス圧力 :0.6Pa 投入パワー :0.5〜2.0W/cm2 の範囲で各膜厚に合わせて調整 [第2の層、第4の層のAg] 到達真空度 :5×10-5Pa ガス種類 :Ar=210sccm ガス圧力 :0.9Pa 投入パワー :0.5〜1.2W/cm2 の範囲で各膜厚に合わせて調整 [第3の層、第5の層のITO膜] 到達真空度 :5×10-5Pa ガス種類 :Ar=300sccm、O2 =1.3sccm ガス圧力 :0.6Pa 投入パワー :2.0W/cm2
【0042】本実施例では、第1の層のITO膜の屈折
率を3種類、膜厚をそれぞれ5種類に設定し、計15種
類の透明導電膜を形成した。かかる15種類の透明導電
膜を、配線幅10μmで配線長さ約250mmの配線パ
ターンにパターンニングして15インチクラスの液晶用
パネルのサンプルを作成した。
【0043】上記15種類のサンプルの屈折率をエリプ
ソメーターで測定し、市販の抵抗値テスターで抵抗値を
測定した。その結果、実施例3とは逆に第1の層の屈折
率を第5の層の屈折率以下に設定した本実施例において
は、第1の層の膜厚を50nmから10nmの範囲で変
化させても、波長400nm〜700nmの範囲で光線
透過率を双方とも同時に80%以上にすることはできな
かった。このことからも、実施例3のように第5の層の
屈折率を第1の層の屈折率以下に設定することは大きな
意義があることが実証された。
【0044】
【表4】
【0045】(比較例1)本実施例では、ガラス基板上
に3層積層型の透明導電膜を形成した。図2はかかる透
明導電膜の模式図であり、10はガラス基板、11は第
1の層、12は第2の層、13は第3の層である。
【0046】まず、450mm×550mmのガラス基
板を純水で洗浄し、しかる後に、第1の層としてITO
膜を屈折率1.9、膜厚60nm、第2の層としてAg
を表5に示すそれぞれの膜厚で形成し、第3の層として
ITO膜を屈折率1.9、膜厚60nm、となるように
順次成膜して透明導電膜を形成した。各層の成膜条件は
次の通りである。
【0047】 [第1の層、第3の層のITO膜] 到達真空度 :5×10-5Pa ガス種類 :Ar=300sccm、O2 =1.3sccm ガス圧力 :0.6Pa 投入パワー :2.0W/cm2 [第2の層のAg] 到達真空度 :5×10-5Pa ガス種類 :Ar=210sccm ガス圧力 :0.9Pa 投入パワー :0.5〜1.2W/cm2 の範囲で各膜厚に合わせて調整
【0048】本比較例では、第2の層のAgの膜厚が3
0nm、25nm、20nm、15nm、10nmであ
る5種類の透明導電膜を形成した。かかる5種類の透明
導電膜を、配線幅10μmで配線長さ約250mmの配
線パターンにパターンニングして15インチクラスの液
晶用パネルのサンプルを作成した。
【0049】上記5種類のサンプルの屈折率をエリプソ
メーターで測定し、市販の抵抗値テスターで抵抗値を測
定した。その結果、本比較例は、Agの総膜厚が等しい
実施例1のものと比較して、ITOの総膜厚が薄いにも
かかわらず、波長700nmの光線透過率は同等である
ものの、波長400nmの光線透過率は極めて劣ってい
た。このことから、本発明のように透明導電膜を5層構
成とすることには大きな意義があることが実証された。
【0050】
【表5】
【0051】(比較例2)比較例1と同様に450mm
×550mmのガラス基板を純水で洗浄し、しかる後
に、第1の層としてITO膜を膜厚は60nmで屈折率
を1.9,1.8,1.7の3つのケースで形成し、第
2の層としてAgの膜厚を10nmと20nmの2つの
ケースで形成し、最後に第3の層としてITO膜を膜厚
は60nmで屈折率は第1の層のITO膜と同じ屈折率
で形成し、これらを順次成膜した3層構造の透明導電膜
を形成した。各層の成膜条件は次の通りである。
【0052】 [第1の層、第3の層のITO膜] 到達真空度 :5×10-5Pa ガス種類 :Ar=300sccm、O2 =0.8〜4.0sccm ガス圧力 :0.6Pa 投入パワー :2.0W/cm2 [第2の層のAg] 到達真空度 :5×10-5Pa ガス種類 :Ar=210sccm ガス圧力 :0.9Pa 投入パワー :0.5〜1.2W/cm2 の範囲で各膜厚に合わせて調整
【0053】本実施例では、表6に示すようにITO膜
の屈折率とAgの膜厚の異なる計6種類の透明導電膜を
形成した。かかる6種類の透明導電膜を、配線幅10μ
mで配線長さ約250mmの配線パターンにパターンニ
ングして15インチクラスの液晶用パネルのサンプルを
作成した。
【0054】上記6種類のサンプルの屈折率をエリプソ
メーターで測定し、市販の抵抗値テスターで抵抗値を測
定した。その結果、表6に示すように第2層のAgが2
0nmのときは透過率が低く実用は不可能である。第2
層のAgが15nmのときで第1層と第3層のITOの
屈折率が1.9で膜厚が50nmに限り波長が400n
mから700nmの範囲で光線透過率がいずれも78%
を超えており、やや可能性があるが非常に製造マージン
が狭く実用的ではない。このように、波長400nmか
ら700nmの範囲で光線透過率をいずれも80%を超
えるためには3層構成の透明導電膜では非常に困難であ
ることがわかった。
【0055】
【表6】
【0056】(比較例3)比較例1と同様に450mm
×550mmのガラス基板を純水で洗浄し、しかる後
に、第1の層としてITO膜を膜厚は50nmで屈折率
は1.9と1.7の2つのケースで形成し、第2の層と
してAgの膜厚を15nmで形成し、最後に第3の層と
してITO膜を屈折率1.9と1.7の2のケースで膜
厚を80nmから40nmの種々のケースで形成し、こ
れらを順次成膜した3層構造の透明導電膜を形成した。
各層の成膜条件は次の通りである。
【0057】 [第1の層のITO膜] 到達真空度 :5×10-5Pa ガス種類 :Ar=300sccm、O2 =0.8〜4.0sccm ガス圧力 :0.6Pa 投入パワー :1.0〜2.0W/cm2 の範囲で各膜厚に合わせて調整 [第2の層のAg] 到達真空度 :5×10-5Pa ガス種類 :Ar=210sccm ガス圧力 :0.9Pa 投入パワー :1.0W/cm2 [第3の層のITO膜] 到達真空度 :5×10-5Pa ガス種類 :Ar=300sccm、O2 =0.8〜4.0sccm ガス圧力 :0.6Pa 投入パワー :0.5〜2.0W/cm2 の範囲で各膜厚に合わせて調整
【0058】本実施例では、表7に示すように計12種
類の透明導電膜を形成した。かかる12種類の透明導電
膜を、配線幅10μmで配線長さ約250mmの配線パ
ターンにパターンニングして15インチクラスの液晶用
パネルのサンプルを作成した。
【0059】上記12種類のサンプルの屈折率をエリプ
ソメーターで測定し、市販の抵抗値テスターで抵抗値を
測定した。その結果、表7に示すようにいずれのケース
も波長400nmと700nmで光線透過率を同時には
80%以上にすることはできず、15インチクラスの大
面積液晶ディスプレイで要求される光線透過率と配線抵
抗の両方を満足する透明導電膜は得られていない。
【0060】
【表7】
【0061】
【発明の効果】本発明の透明導電膜によれば、150n
m程度の膜厚で配線抵抗が20数kΩの低抵抗配線を可
能とし、且つ波長400nm〜700nmの範囲での光
線透過率が80%以上の高い透明性を有する透明導電膜
が実現される。また、本発明の5層構成の透明導電膜
は、1回のパターンニングで配線パターンを形成するこ
ともできる。したがって、本発明の透明導電膜を液晶素
子の透明電極に適用すれば、その段差の影響によって液
晶の配向状態に異常が発生することも無く、且つ配線の
パターンニング工程を削減できるため、表示欠陥の無い
優れた大面積液晶ディスプレイを低コストで実現するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る5層構成の透明導電膜を
示す模式図である。
【図2】比較例に係る3層構成の透明導電膜を示す模式
図である。
【符号の説明】
0 ガラス基板 1 第1の層のITO膜 2 第2の層のAg膜 3 第3の層のITO膜 4 第4の層のAg膜 5 第5の層のITO膜 10 ガラス基板 11 第1の層のITO膜 12 第2の層のAg膜 13 第3の層のITO膜

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、スズを添加した酸化インジウ
    ムからなる第1の層、高導電性金属膜からなる第2の
    層、スズを添加した酸化インジウムからなる第3の層、
    高導電性金属膜からなる第4の層、及びスズを添加した
    酸化インジウムからなる第5の層を順次積層してなる透
    明導電膜。
  2. 【請求項2】 請求項1において、高導電性金属膜から
    なる第2、第4の層がAgであることを特徴とする透明
    導電膜。
  3. 【請求項3】 請求項1において、高導電性金属膜から
    なる第2、第4の層の膜厚の合計が10nm乃至15n
    mの範囲にあることを特徴とする透明導電膜。
  4. 【請求項4】 請求項3において、高導電性金属膜から
    なる第4の層の膜厚が、第2の層の膜厚以下であること
    を特徴とする透明導電膜。
  5. 【請求項5】 請求項1において、スズを添加した酸化
    インジウムからなる第5の層の屈折率が、第1の層の屈
    折率以下であることを特徴とする透明導電膜。
  6. 【請求項6】 請求項1において、スズを添加した酸化
    インジウムからなる第5の層の膜厚が、第1の層の膜厚
    以下で且つ30nm乃至50nmの範囲にあることを特
    徴とする透明導電膜。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載の透明
    導電膜を有する液晶素子。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002277855A (ja) * 2001-03-15 2002-09-25 Sharp Corp Ag合金薄膜の形成方法および情報表示素子
KR100449791B1 (ko) * 2000-05-25 2004-09-22 세이코 엡슨 가부시키가이샤 액정 장치, 그 제조 방법 및 전자 기기
US6825904B2 (en) 2000-07-14 2004-11-30 Seiko Epson Corporation Liquid crystal device, color filter substrate with vapor deposited metal oxide insulating layer under transparent conductor, method for manufacturing liquid crystal device, and method for manufacturing color filter substrate
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