JP3684720B2 - 液晶ディスプレイ用透明導電基板および透明電極形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイ(以下LCDという)用透明導電基板および該基板の透明電極形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、LCD用電極としてITO膜が広く用いられている。特に、STN型のカラーLCDにおいては、その高精細化、大画面化に伴い、液晶駆動用透明電極の線幅もより細く、また長い形状のものが必要となってきている。
【0003】
このため、シート抵抗3Ω/□以下のきわめて低抵抗の透明導電膜が必要とされる。このシート抵抗を達成するためには、透明導電膜の厚膜化(300nm以上)または低比抵抗化(100μΩ・cm以下)をはかる必要がある。
【0004】
しかし、厚膜化は、1)透明導電膜の成膜コストが増加すること、2)電極パターニングの困難さが増加すること、3)透明導電極の有無による段差が大きくなり、液晶の配向制御が困難になるなどの問題が生じるため、限界がある。
【0005】
一方、ITO膜自体を低比抵抗化する方法も検討されているが、100μΩ・cm以下の低抵抗ITO膜を安定して生産する方法はまだ確立されていない。
【0006】
他方、100μΩ・cm以下の低抵抗透明導電膜を容易に得る方法としては、Ag層をITO層で挟んだITO/Ag/ITOという構成が知られている。しかし、この構成も低比抵抗ではあるが、室内放置により膜剥離と思われる白色欠点を生じてしまうほど耐久性が不充分であること、酸性水溶液を用いたエッチングによる電極加工の際にも、サイドエッチングが進行し、パターンエッジ部に剥離が見られるなどその加工性は不充分である。
【0007】
このため、ITO/Ag/ITO構成の基板は低抵抗が容易に得られる利点を有しながら、LCD用透明導電基板としてはこれまで実用化されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低比抵抗で、耐久性に優れ、微細電極加工性能に優れたLCD用透明導電基板と該基板の透明電極形成方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基体上に透明導電積層膜が形成されたLCD用透明導電基板において、透明導電積層膜は、基体側から、第1層目にZnOを主成分とする膜、第2層目にAgを主成分とする膜、第3層目にZnOを主成分とする膜、のごとく交互に順に(2n+1)(ただしn≧1)層まで積層された積層膜であり、かつ透明導電積層膜におけるZnOを主成分とする膜とAgを主成分とする膜との界面の少なくとも1つの界面には、厚さ0.1〜1nmのPd層および/またはAu層が介在することを特徴とするLCD用透明導電基板を提供する。
【0010】
透明導電積層膜は、ZnOを主成分とする膜とAgを主成分とする膜とが交互に順に積層され、合計で3層、5層、7層などの奇数層となり、基体から最も外側がZnOを主成分とする膜となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の3層系透明導電基板の代表例の断面図を、図2に本発明の5層系透明導電基板の代表例の断面図を示す。1は基体、2、4、6はZnOを主成分とする膜、3、5はAgを主成分とする膜を示す。
【0012】
図3には、図1、2の基体1に相当するもので、カラーLCD用の基板を示す。7は、カラー画素となるカラーフィルタ層、8は透明樹脂保護層、9は無機中間膜層である。この無機中間膜層9の上に、ZnOを主成分とする膜とAgを主成分とする膜とが交互に順に積層され、透明導電積層膜が形成される。
【0013】
本発明における基体1としては、ガラス板、樹脂製のフィルムや板も使用できる他、該基体上にカラー画素となるカラーフィルタ層7を形成した基体、さらに、該カラーフィルタ層上に、カラーフィルタ層を保護、平滑化するための透明樹脂保護層8やこれら透明樹脂保護層と透明導電膜との密着性を高めるためのシリカ、SiNx などの無機中間膜層9を順次積層した基体を用いてもよい。
【0014】
ZnOを主成分とする膜としては、Gaを含有するZnO膜(以下、GZO膜という)が好ましい。その理由は、絶縁物であるZnOにAlなどの3価のドーパントを添加すると導電性を示すが、Gaを添加したものが最良の導電性と可視光透過率を示すからである。また、成膜法として、量産性の高い直流スパッタリングを想定した場合、Zn金属もターゲットとして使用できるが、成膜条件のマージンが狭い難点がある一方で、Gaを添加することでZnOターゲットからの直流スパッタリングが可能となり、その成膜条件のマージンも非常に広くなるからである。
【0015】
特に、GZO膜におけるGaの含有割合は、ZnとGaとの総和に対してGaが1〜15原子%であることが好ましい。1%未満では成膜速度が遅くなり、ドープ量が15%超では可視光透過率が低くなるので好ましくない。
また、GZO膜の膜厚は、色調および可視光透過率の観点から、10〜200nmが好ましい。
【0016】
Agを主成分とする膜としては、Pdを含有するAg膜(以下、Ag−Pd膜という)またはAuを含有するAg膜(以下、Ag−Au膜という)が好ましい。PdまたはAuの添加によって、Agの凝集現象を防止し、耐久性の高いAg膜が得られる。PdおよびAuを含有するAg膜も好ましく用いうる。
【0017】
この場合、Ag−Pd膜は、(1)合金膜(以下、PdAg合金膜という)のようにAg中にPdが均一に存在している膜でも、(2)Pdが局所的に存在している膜でも、(3)傾斜材料膜のようにPd濃度が連続的に変化している膜でもよい。
【0018】
Ag−Au膜の場合も同様で、(1)合金膜(以下、AuAg合金膜という)のようにAg中にAuが均一に存在している膜でも、(2)Auが局所的に存在している膜でも、(3)傾斜材料膜のようにAu濃度が連続的に変化している膜でもよい。
【0019】
いずれの場合でも、Ag−Pd膜、Ag−Au膜の膜厚は3〜20nmが好ましい。3nm未満ではシート抵抗が高くなり、20nm超では可視光透過率の低下をもたらすので好ましくない。
【0020】
前述したPdAg合金膜(1)中のPdの含有割合は、AgとPdとの総和に対してPdが0.1〜5.0原子%が好ましい。0.1原子%未満では耐久性が不充分となり、5.0原子%超過では可視光透過率の低下および高比抵抗化をもたらすために好ましくない。
AuAg合金膜中のAuの含有割合についても同様である。
【0021】
Pdが局所的に存在している膜(2)の例としては、透明導電積層膜におけるZnOを主成分とする膜とAgを主成分とする膜との界面の少なくとも1つの界面に、厚さ0.1〜1nmのPd層を介在させることが挙げられる。
【0022】
0.1〜1nmのPd層が介在することで、前記のPdを添加する効果と同様の効果が得られる。Pd層の厚さが0.1nm未満では耐久性が不充分となり、1nm超では可視光透過率が低下するために好ましくない。なおこの場合、Agを主成分とする膜とPd層との合計膜厚を3〜20nmとすることが好ましい。
【0023】
具体的な積層構成としては、a)基体/GZO膜/Ag/Pd/GZO膜、b)基体/GZO膜/Pd/Ag/GZO膜、c)基体/GZO膜/Pd/Ag/Pd/GZO膜などが挙げられる。
Auが局所的に存在している膜についても同様である。
【0024】
傾斜材料膜(3)としては、表面にPdリッチ層を含むAg−Pd膜が挙げられる。Pdリッチ層としては、AgとPdとの総和に対してPdが50原子%以上であるような層が挙げられる。Pdリッチ層の厚さは、0.1nmでは耐久性が不充分となり、3nm超では可視光透過率が低下する傾向にあることから0.1〜3nmの厚さが適当である。
Auリッチ層を含むAg−Au膜についても同様である。
【0025】
本発明における透明導電積層膜を構成するそれぞれの層の厚さを前述の範囲内で選択することによって、光学的干渉効果による透過率、色調の調整やシート抵抗値の調整ができる。
【0026】
また、本発明における透明導電積層膜は、低シート抵抗、高可視光透過率、高耐久性を示すが、さらに特性を向上させるために、成膜後100〜300℃の加熱処理を施してもよい。
【0027】
本発明は、また、前記透明導電積層膜を有するLCD用透明導電基板の透明電極形成方法において、透明導電積層膜を0.01〜0.5規定の酸性水溶液を用いて、エッチングし、パターニングすることを特徴とするLCD用透明導電基板の透明電極形成方法を提供する。
【0028】
パターニングに際しては、透明導電積層膜上にフォトリソグラフィ法により所望のレジストパターンを形成した後、0.01〜0.5規定の酸性水溶液を用いて、エッチング、パターニングを行う。
【0029】
このとき、0.01規定未満の酸性水溶液では、エッチングがほとんど進まず、0.5規定超の酸性水溶液では、サイドエッチングが進行してしまう。特に、他の酸性水溶液に比較し、速いエッチング速度とサイドエッチングが小さいという理由から、該エッチング液として、塩化第二鉄(FeCl3 )を主成分とする酸性溶液を用いるのが好ましい。
【0030】
FeCl3 を主成分とする酸性水溶液としては、第一鉄イオンを含有する酸性水溶液であることが好ましい。例えばFeCl2 の添加で第一鉄イオンを含有させることができる。FeCl2 を添加してエッチング液の酸化還元電位をコントロールすることによって、エッチング終点時間のマージンが広がり、電極幅を精度良く形成できる。
【0031】
第一鉄イオンの第二鉄イオンに対するモル比は、0.1〜2であることが好ましい。0.1未満では前記効果が得られず、2超ではエッチング進行が阻害され、設計寸法通りの電極が得られない。
【0032】
【作用】
本発明は、従来のITO膜が150℃以下の低温成膜条件下において非結晶構造をとるのに対し、ZnO膜は結晶化しやすく、前述のAg層の下地膜となったとき、Ag層の結晶化を促し、Agの凝集現象を防止するだけでなく、ZnO膜とAg膜界面の付着力が向上し、その結果、耐湿性と酸性水溶液によるパターニング特性が著しく向上するという作用を有する。
【0033】
【実施例】
[例1]
ソーダライムガラス板上に、カラーフィルタ層7、およびカラーフィルタ層の平滑化のためのアクリル系樹脂保護層8とをあらかじめ形成し、さらに、その上に、高周波スパッタリング法によりシリカ膜を10nm形成した基板1を準備した。
【0034】
次に、直流スパッタリング法により、Arガス、3mTorrの雰囲気下で、膜厚16nmのGZO膜、11nmのPdAg合金膜、38nmのGZO膜を順次積層し、透明導電積層膜を形成した。
【0035】
このとき、GZO膜の形成には、ZnとGaとの総和に対してGaを5原子%含むZnO焼結体ターゲットを用い、PdAg合金膜の形成には、AgとPdとの総和に対してPdを1原子%含むPdAg合金ターゲットを使用した。
また、GZO膜成膜時のスパッタリング電力密度は、5.7W/cm2 、PdAg膜は0.57W/cm2 とした。なお、成膜時に基板加熱は行わなかった。
【0036】
得られた透明導電積層膜のシート抵抗値、可視光透過率を表1に示す。また、40℃、相対湿度90%の雰囲気中に1週間放置する耐湿テストを実施したところ、直径0.5mm以上の白色欠点などは観察されず、良好な結果を示した。
【0037】
[例2]
例1の透明導電積層膜を次のように変更した以外は例1と同様に行った。透明導電積層膜は、膜厚40nmのGZO膜、10nmのPdAg合金膜、85nmのGZO膜、10nmのPdAg合金膜、40nmのGZO膜が順次積層されてなる。用いた、ターゲット、スパッタリング電力密度、雰囲気も例1と同じである。なお、成膜時に基板加熱は行わなかった。
【0038】
得られた透明導電積層膜のシート抵抗値、可視光透過率を表1に示す。また、例1と同様な耐湿テストを実施したところ、直径0.5mm以上の白色欠点などは観察されず、良好な結果を示した。
【0039】
[例3]
例1の透明導電積層膜を次のように変更した以外は例1と同様に行った。透明導電積層膜は、膜厚16nmのGZO膜、11nmのPdAg合金膜、38nmのGZO膜が順次積層されてなる。用いた、ターゲット、スパッタリング電力密度、雰囲気も例1と同じである。なお、成膜時に基板加熱は行わず、成膜後に、250℃、20分の加熱処理を行った。
【0040】
得られた透明導電積層膜のシート抵抗値、可視光透過率を表1に示す。また、例1と同様な耐湿テストを実施したところ、直径0.1mm以上の白色欠点などは観察されず、良好な結果を示した。
【0041】
[例4]
例1の透明導電積層膜を次のように変更した以外は例1と同様に行った。透明導電積層膜は、膜厚40nmのGZO膜、10nmのPdAg合金膜、85nmのGZO膜、10nmのPdAg合金膜、40nmのGZO膜が順次積層されてなる。用いた、ターゲット、スパッタリング電力密度、雰囲気も例1と同じである。なお、成膜時に基板加熱は行わず、成膜後に、250℃、20分の加熱処理を行った。
【0042】
得られた透明導電積層膜のシート抵抗値、可視光透過率を表1に示す。また、例1と同様な耐湿テストを実施したところ、直径0.1mm以上の白色欠点などは観察されず、良好な結果を示した。
【0043】
[例5]
例1の透明導電積層膜を次のように変更した以外は例1と同様に行った。透明導電積層膜は、膜厚16nmのGZO膜、11nmのAg膜、0.3nmのPd膜、38nmのGZO膜が順次積層されてなる。GZO膜については例1と同じターゲット、スパッタリング電力密度を用いた。Ag膜とPd膜の形成には、それぞれAgターゲットとPdターゲットを使用し、スパッタリング電力密度は、Ag膜は0.57W/cm2 、Pd膜は0.28W/cm2 とした。雰囲気は例1と同じである。なお、成膜時に基板加熱は行わず、成膜後に、250℃、20分の加熱処理を行った。
【0044】
得られた透明導電積層膜のシート抵抗値、可視光透過率を表1に示す。また、例1と同様な耐湿テストを実施したところ、直径0.1mm以上の白色欠点などは観察されず、良好な結果を示した。
【0045】
[例6]
例1の透明導電積層膜を次のように変更した以外は例1と同様に行った。透明導電積層膜は、膜厚16nmのGZO膜、11nmのAg膜、38nmのGZO膜が順次積層されてなる。GZO膜については例1と同じターゲット、スパッタリング電力密度を用い、Ag膜については、例5と同じターゲット、スパッタリング電力密度を用いた。雰囲気は例1と同じである。なお、成膜時に基板加熱は行わず、成膜後に、250℃、20分の加熱処理を行った。
【0046】
得られた透明導電積層膜のシート抵抗値、可視光透過率を表1に示す。また、例1と同様な耐湿テストを実施したところ、一部に、直径0.5mm程度の白色欠点が見られたものの、耐湿性はおおむね良好であった。
【0047】
[例7]
例1の透明導電積層膜を次のように変更した以外は例1と同様に行った。透明導電積層膜は、膜厚16nmのGZO膜、11nmのAuAg合金膜、38nmのGZO膜が順次積層されてなる。GZO膜については例1と同じターゲット、スパッタリング電力密度を用い、AuAg合金膜の形成には、AgとAuの総和に対してAuを1原子%含むAuAg合金ターゲットを使用し、スパッタリング電力密度は0.57W/cm2 とした。雰囲気は例1と同じである。なお、成膜時に基板加熱は行わず、成膜後に、250℃、20分の加熱処理を行った。
【0048】
得られた透明導電積層膜のシート抵抗値、可視光透過率を表1に示す。また、例1と同様な耐湿テストを実施したところ、直径0.1mm以上の白色欠点などは観察されず、良好な結果を示した。
【0049】
[例8(比較例)]
例1の透明導電積層膜を次のように変更した以外は例1と同様に行った。透明導電積層膜は、膜厚16nmのITO膜、11nmのPdAg合金膜、38nmのITO膜が順次積層されてなる。ITO膜の形成にはInとSnとの総和に対してSnを10原子%含む酸化インジウム焼結体ターゲットを用い、スパッタリング電力密度が5.7W/cm2 で、3%酸素を含んだArガスで、3mTorrの雰囲気下で成膜した。PdAg膜の形成には、例1と同じターゲット、スパッタリング電力密度、雰囲気を用いた。なお、成膜時に基板加熱は行わず、成膜後に、250℃、20分の加熱処理を行った。
【0050】
得られた透明導電積層膜のシート抵抗値、可視光透過率を表1に示す。また、例1と同様な耐湿テストを実施したところ、直径1mm以上の白色欠点が多数発生し、耐湿性不良であった。
【0051】
[例9(比較例)]
例8の透明導電積層膜を次のように変更した以外は例8と同様に行った。透明導電積層膜は、膜厚40nmのITO膜、10nmのPdAg合金膜、85nmのITO膜、10nmのPdAg合金膜、40nmのITO膜が順次積層されてなる。用いた、ターゲット、スパッタリング電力密度、雰囲気も例8と同じである。なお、成膜時に基板加熱は行わず、成膜後に、250℃、20分の加熱処理を行った。
【0052】
得られた透明導電積層膜のシート抵抗値、可視光透過率を表1に示す。また、例1と同様な耐湿テストを実施したところ、直径1mm以上の白色欠点が多数発生し、耐湿性不良であった。
【0053】
[パターニング性]
さらに、例1〜9の透明導電積層膜のパターニング性についても調査した。透明導電積層膜上にフォトリソグラフィ法により所望のレジストパターンを形成した後、各種濃度のA)塩酸水溶液を用いてエッチングし、ライン幅130μm、スペース幅20μmの微細電極パターンを形成した。
【0054】
図4において、太いストライプの部分がエッチングされずに残った透明導電積層膜の部分(すなわち、透明電極となる部分)であり、細いストライプの部分がエッチングされた部分である。図5も同様である。
【0055】
例1〜7の透明導電積層膜については、0.1規定の塩酸水溶液を用いた場合に、図4に示すように、サイドエッチングが小さく、パターンエッジ形状もシャープな良好な電極パターニングが得られた。0.01〜0.5規定の各種濃度の塩酸水溶液を用いた場合にも同様の結果が得られた。0.01規定未満のエッチング液では、エッチングがほとんど進まず、0.5規定超の液では、サイドエッチングが進行した。
【0056】
エッチング液として、A)塩酸水溶液に代えて、B)硝酸水溶液、C)硫酸水溶液、D)塩化第二鉄水溶液またはE)塩化第一鉄含有塩化第二鉄水溶液(第一鉄イオンの第二鉄イオンに対するモル比が0.7)、を各種濃度で用いたところ、同様の結果が得られた。また、前述のエッチング液A)〜E)のうちでは、E)液が、サイドエッチング量が最も小さかった。
【0057】
一方、例8〜9の透明導電積層膜については、いずれのエッチング液を用いても、また、いずれの濃度で用いても、図5に示すような10μm以上のサイドエッチングが進行し、パターンエッジ付近では、PdAg膜の剥離が見られた。
【0058】
これらの結果を表1に示す。なお、表1においてA欄はパターニング性を、B欄は耐湿性を示す。
A欄における◎は、エッチング液A)〜E)のどれを用いても、ア)エッジ形状がシャープである、イ)残渣がない、ウ)サイドエッチングが10μm未満である、ことを意味し、×は、前記ア)〜ウ)のすべては満足できないことを意味する。
B欄における◎は、直径0.1mm以上の白色欠点が観察されないこと、○は、直径0.1〜1mmの白色欠点がわずかに観察されること、×は、1mm以上の白色欠点が多数観察されることを意味する。
【0059】
また、例2、4、7および9の透明導電積層膜については、前述のエッチング液A)〜E)を0.1規定の濃度で用いた場合のサイドエッチング量に関する詳細データを表2に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、ガラス上はもちろんのこと、成膜温度の低い(100℃以下)プラスチック上や、カラーLCD用のカラーフィルタ付き基板上(250℃以下)に透明導電積層膜が形成されたLCD用透明導電基板を提供できる。
【0063】
しかも透明導電積層膜の合計膜厚は300nm以下で、シート抵抗値3Ω/□以下という低比抵抗であり、また、耐久性に優れ、酸性水溶液による微細電極加工性能にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶ディスプレイ用透明導電基板の一例の断面模式図。
【図2】本発明の液晶ディスプレイ用透明導電基板の他の一例の断面模式図。
【図3】本発明に使用されるカラー液晶ディスプレイ用基板の断面模式図。
【図4】例1〜7の透明導電積層膜についてのパターニング状態を示す顕微鏡写真。
【図5】例8〜9の透明導電積層膜についてのパターニング状態を示す顕微鏡写真。
Claims (13)
- 基体上に透明導電積層膜が形成された液晶ディスプレイ用透明導電基板において、透明導電積層膜は、基体側から、第1層目にZnOを主成分とする膜、第2層目にAgを主成分とする膜、第3層目にZnOを主成分とする膜、のごとく交互に順に(2n+1)(ただしn≧1)層まで積層された積層膜であり、かつ透明導電積層膜におけるZnOを主成分とする膜とAgを主成分とする膜との界面の少なくとも1つの界面には、厚さ0.1〜1nmのPd層および/またはAu層が介在することを特徴とする液晶ディスプレイ用透明導電基板。
- ZnOを主成分とする膜が、Gaを含有するZnO膜である請求項1の液晶ディスプレイ用透明導電基板。
- Gaを含有するZnO膜中のGaの含有割合が、ZnとGaとの総和に対して1〜15原子%である請求項2の液晶ディスプレイ用透明導電基板。
- Agを主成分とする膜が、Pdおよび/またはAuを含有する請求項1、2または3の液晶ディスプレイ用透明導電基板。
- Agを主成分とする膜中のPdおよび/またはAuの含有割合が、Agとの総和に対して0.1〜5.0原子%である請求項4の液晶ディスプレイ用透明導電基板。
- 請求項1、2、3、4または5の液晶ディスプレイ用透明導電基板の透明電極形成方法において、透明導電積層膜を0.01〜0.5規定の酸性水溶液を用いて、エッチングし、パターニングすることを特徴とする液晶ディスプレイ用透明導電基板の透明電極形成方法。
- 酸性水溶液として、塩化第二鉄を主成分とする酸性水溶液を用いる請求項6の液晶ディスプレイ用透明導電基板の透明電極形成方法。
- 基体上に透明導電積層膜が形成された液晶ディスプレイ用透明導電基板の透明電極形成方法において、透明導電積層膜は、基体側から、第1層目にZnOを主成分とする膜、第2層目にAgを主成分とする膜、第3層目にZnOを主成分とする膜、のごとく交互に順に(2n+1)(ただしn≧1)層まで積層された積層膜であり、
透明導電積層膜を、塩化第二鉄を主成分とし、かつ第一鉄イオンを含有する0.01〜0.5規定の酸性水溶液を用いて、エッチングし、パターニングすることを特徴とする液晶ディスプレイ用透明導電基板の透明電極形成方法。 - 第一鉄イオンの第二鉄イオンに対するモル比が、0.1〜2である酸性水溶液を用いる請求項8の液晶ディスプレイ用透明導電基板の透明電極形成方法。
- ZnOを主成分とする膜が、Gaを含有するZnO膜である請求項8または9の液晶ディスプレイ用透明導電基板の透明電極形成方法。
- Gaを含有するZnO膜中のGaの含有割合が、ZnとGaとの総和に対して1〜15原子%である請求項8または9の液晶ディスプレイ用透明導電基板の透明電極形成方法。
- Agを主成分とする膜が、Pdおよび/またはAuを含有する請求項8または9の液晶ディスプレイ用透明導電基板の透明電極形成方法。
- Agを主成分とする膜中のPdおよび/またはAuの含有割合が、Agとの総和に対して0.1〜5.0原子%である請求項8または9の液晶ディスプレイ用透明導電基板の透明電極形成方法。
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