JP2002184242A - 電極付き基板およびその製造方法 - Google Patents
電極付き基板およびその製造方法Info
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Abstract
形成方法を提供する。 【解決手段】 本発明の電極付き基板の製造方法では、
基板上に非晶質または非晶質を主体とする酸化物導電膜
を、その結晶化温度以下の温度で形成したのち、形成さ
れた酸化物導電膜を加熱して結晶化する。酸化物導電膜
は、必要に応じてこの結晶化の前または後において電極
の形状に加工される。
Description
た基板に関するものであって、より詳しくは基板上に電
極を形成する方法の改良に関する。
エレクトロクロミックディスプレイ(ECD)、プラズ
マディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセント
ディスプレイ(ELD)等の表示素子や、Metal-Insula
tor-Semiconductor(MIS)型の太陽電池において
は、ガラス等からなる基板の表面に透明電極が形成され
る。銀などの金属を用いると低抵抗で透明な膜を得るこ
とは可能であるが、充分な光透過率を確保するために
は、厚さが10nm程度の非常に薄い膜であることが求
められる。そのような薄い膜は、電極パターニングなど
の後工程で傷がつき易いため、取り扱いに難がある。そ
こで、基板上に形成する透明電極には、金属と比べて比
抵抗値が大きいものの高い硬度を有し酸化劣化による機
能低下の懸念の小さい酸化亜鉛、酸化インジウム、スズ
が添加された酸化インジウム(ITO)等の酸化物導電
材料が用いられている。とりわけ、ITOからなる膜
は、比抵抗値が低いことから広く用いられている。IT
Oは、酸化インジウムIn2O3のIn3+席に置換したS
n4+がキャリア電子を発生させる。その結晶構造は、酸
化インジウムと同じく立方晶bixbyite型である。
低抵抗の膜を比較的低温で形成することができるスパッ
タリングが採用されている。スパッタリングにより形成
される膜の特性は、その形成時の基板温度に依存する。
約200℃以上の高温で形成された膜は、微結晶の集合
体からなるいわゆる多結晶膜である。そのような高温で
形成された膜では、特定の領域ごとにその内部の微結晶
の配向方向が略同一であるドメインを構成している。2
50℃が最も透明性と低抵抗値を兼ね備えた膜が得られ
る基板温度とされている。
るか非晶質相を主体とし、その中に結晶微粒子が点在す
る構造を有する。非晶質膜は、電極に加工する際のエッ
チング性に優れる一方で、多結晶膜に比べて導電性、透
明性等の基本特性に劣る。また、耐薬品性や耐腐食性も
劣る。非晶質相と結晶相が混在している膜では、両相間
でエッチング速度が大きく異なるため、膜のパターニン
グの直線性は低い。さらに、例えば非晶質相に結晶粒子
が分散しているような場合には、結晶相のみがエッチン
グされずに残渣として残って不良の原因となる。また、
非晶質相を主体とすることから、導電性、透過率、耐薬
品性、耐腐食性、耐久性等の諸特性に劣る。
は、透明電極としてエッチングのパターニング性に優れ
る特定方向に配向したITO膜および酸化インジウム膜
を用いることが提案されている。同公報には、エッチン
グのパターニング性に優れる電極材料として非晶質膜も
提案されている。このうち、非晶質膜は、エッチング性
に優れる一方で、導電性、透明性等の基本特性に劣る。
また、特開平8−94230号公報には、エッチング性
に優れた透明導電膜として、スパッタ法を用いて180
〜350℃の基板温度で形成したランダム配向した多結
晶ITO膜が提案されている。
℃以上の高温に設定したスパッタリングによって電極用
の多結晶膜を形成していた。したがって、膜の形成時に
ガラス等の200℃以上の高温に耐えうる材料からなる
基板を用いる必要があった。近年、軽量でありまた割れ
難いといった利点のため、ガラス製の基板に代えて合成
樹脂製の基板を用いる試みがなされている。しかしなが
ら、合成樹脂基板の耐熱温度は、せいぜい180℃であ
る。したがって、その表面にITO、酸化亜鉛などの酸
化物からなる透明導電膜を200℃以上の高温で形成す
ることができない。すなわち、合成樹脂基板上に形成さ
れる電極は、上記の非晶質相および結晶相が混在した膜
と非晶質膜とのいずれかであった。特開平9−6183
6号公報には、スパッタガス中にH2Oを混入させるこ
とにより、非晶質相中に分散する結晶粒子の分散密度が
低く、エッチング性に優れたITO薄膜を合成樹脂基板
上に形成する方法が提案されている。しかしながら、こ
の膜も高温で形成された多結晶薄膜と比べて導電性や透
明性に劣る。
は、合成樹脂基板上にその基板の熱変形温度以下でIT
O膜を蒸着により形成し、その膜を空気中で焼成してそ
の酸化度を調整することにより抵抗値の改善する方法も
提案されている。しかしながら、この方法によっても得
られる膜の比抵抗、透過率等の基本特性は不充分であ
る。
ず、同一基板上に有機材料からなるカラーフィルタ層や
発光層を設ける場合には、同様に加熱温度は制限され
る。例えば、超ねじれネマティック(STN)方式のカ
ラーLCDの電極としての透明導電膜は、有機材料から
なるカラーフィルタ上に形成される。この透明導電膜を
形成する際の基板温度は、カラーフィルタ材料の存在の
ため、約200℃以下に制限される。したがって、比抵
抗、透過率、エッチング性等に優れた導電膜を低温で形
成する方法が求められていた。
膜との間の熱膨張係数の差に起因して基板に反りが発生
しやすい。反りが発生すると、形成された導電薄膜を電
極に加工するときの精度が低減する。反りは、導電薄膜
の形成温度が高くなるにつれ大きくなる。すなわち、低
温形成では、基板の反りは小さいものの一方で充分な特
性を有する膜は得られない。また、基板上に透明導電
膜、アモルファスシリコン層およびアルミニウム電極層
が積層されたアモルファスシリコン(a−Si)太陽電
池、基板上に一対の電極層とそれらに挟まれた有機発光
層が積層された有機ELD等においては、導電薄膜に積
層して形成される他の層の加工精度をも低減させる。す
なわち高い配線密度や安定した内部抵抗値を得るために
は、このような反りの低減が不可避である。とりわけ、
屋外に設置されるa−Si太陽電池においては、高い信
頼性および耐久性が要求されることから、この問題は深
刻である。
べてより反りが発生しやすい。そのため、従来は、合成
樹脂基板上への導電薄膜の形成は室温から150℃の比
較的低温で行われていた。表示パネルの小型化、軽量化
および光透過率の向上の要求に対応するためには、基板
の厚さの低減が求められる。一方、回路の内部抵抗を低
減するために、電極等の導電膜の厚さの増大が求められ
ている。すなわち、機器の小型化や性能向上につれ、基
板の反りが、それに伴ない発生する割れ等とともにより
深刻な問題となる。
薄膜の割れを防ぐことを目的として、低応力で低抵抗の
ITO膜を形成する方法が提案されている。この方法は
基板温度を200℃程度とすることが前提とされてい
て、アーク放電プラズマを用いたイオンプレーティング
により多角柱状の結晶粒子の集合体からなる多結晶膜が
形成されるとしている。この方法は、割れの抑制には効
果的であっても、基板を高温に加熱することから反りの
抑制には効果は得られない。また、合成樹脂製の基板を
用いた低温での膜形成に適用するのは困難である。した
がって、比抵抗、透過率、エッチング性等に優れた導電
薄膜を基板の変形を伴なわずに低温で形成することがで
きる方法が求められていた。
点を解決するものであって、合成樹脂基板を用いた場合
にとりわけ有用な、比抵抗、透過率、耐薬品性、耐腐食
性、パターンニング性、密着性等の諸特性に優れた導電
膜を低温で形成する方法を提供することを目的とする。
本発明は、さらにその形成によって発生する基板の反り
が小さい導電膜の形成方法を提供することを目的とす
る。
ング等によって低温で非晶質または非晶質を主体とする
導電膜を形成した後、加熱によって膜を結晶化させる。
では、基板上に非晶質または非晶質を主体とする酸化物
導電膜をその結晶化温度以下の温度で形成したのち、形
成された酸化物導電膜を加熱して結晶化する。酸化物導
電膜は、この結晶化の前または後において必要に応じて
電極の形状に加工される。
の結晶を成長させることから、低温で膜を形成すること
ができる。形成された膜に生じる応力は、その形成時の
基板の変形量すなわち基板温度に依存する。より低温で
膜を形成することが基板の反りの抑制に効果的である。
好ましくは150℃以下の温度で膜を形成すると、基板
の熱変形による透明導電膜の内部応力が小さいことから
反りが小さく密着性の優れた信頼性の高い電極付き基板
が得られる。とりわけ変形しやすい合成樹脂基板を用い
る場合には、膜を常温で形成すると基板の反りを大幅に
小さくすることができる。
加熱することによって行われる。結晶化は、必ずしも結
晶化温度以上で行う必要はない。好ましくは、それ以下
の温度で行うことも可能であるが、処理に要する時間の
観点から基板のガラス転移温度等、耐熱温度以下であっ
て150〜200℃の範囲内の温度で行われる。もちろ
ん、膜の形成時の基板温度以上であることが好ましい。
酸化物導電膜を結晶化する工程は、酸素を含む環境下ま
たは酸素を含まない環境下のいずれにおいても行われ
る。
えばインジウム酸化物またはその一部をスズにより置換
されたインジウム酸化物(ITO)からなる。低温でよ
り効果的に酸化物導電膜を結晶化するためには、膜の酸
化スズ含有量を5重量%未満とする。スズの添加量を小
さくすると、結晶化温度が低くなるため、低温でより効
果的な結晶化処理が可能になる。従来のスパッタリング
による薄膜の製造によると酸化スズ含有量を低くすると
抵抗率が高くなるが、本発明によると膜形成後の処理に
よって膜が結晶化されることから、低い酸化スズ含有量
であっても低い抵抗率のITO膜を得ることができる。
に形成直後の膜の結晶状態すなわち非晶質中に分散する
微結晶粒子の大きさおよび分散密度によって決定され
る。透過率、導電性、エッチング性等に優れ内部応力が
小さい平均粒径が20〜300nmで配向方向が無秩序
な多結晶膜を形成するためには、基板上に形成された段
階で非晶質相中に平均粒径が200nm以下の結晶粒子
が分散した構造を有する酸化物導電膜を用いるとよい。
非晶質中に分散する結晶粒子の大きさおよび分散密度
は、その膜形成時の基板温度、ガス圧力、製膜速度など
の条件により調整することが可能である。これらの条件
は、電極を構成する材料によって決定される。
る合成樹脂基板を用いた電極付き基板の製造に有用であ
る。基板の表面には、基板とその表面に形成する電極と
の間の熱膨張率の差に起因した応力を緩和するための膜
として、有機材料からなる下地層を設けることが好まし
い。
を含む透明被膜を形成すると、基板の反りの抑制に効果
的である。また、その体積抵抗値が102〜1012Ω・
cm以下であれば、電極の機能をほとんど損なうことは
ない。透明被膜を設けることで、温度変化に対しても基
板の反りが発生し難くなるため、本発明の基板をLC
D、有機ELD等の表示パネル用の基板に用いると、広
い温度範囲で良質の表示が可能になる。なお、電極を覆
う透明被膜を配することで後工程における電極の損傷を
防ぐことができるため、電極の材料として酸化物導電体
以外にも金属等他の導電材料を用いることもできる。と
りわけ、透明電極または半透明電極として用いられるご
く薄い金属膜の場合には、その表面に形成された膜は、
後の工程における金属膜の損傷を防ぐ保護膜としても機
能する。
レジストを用いる。すなわち、形成された導電膜上に光
硬化性樹脂を含むレジスト層を形成し、導電膜を加工し
ようとする電極パターンに対応した領域のレジスト層を
露光によって硬化させて透明被膜を形成したのちに、硬
化した透明被膜をレジストとして導電膜をエッチングす
る。このエッチングにより導電膜は電極に加工され同時
に電極を覆う電極と略一致した形状の透明被膜が形成さ
れる。これにより新たな工程を付加すること無く透明被
膜を形成することができる。さらにはレジスト剥離工程
を省略することができる。導電材粉末が分散した光硬化
性樹脂を用いると、所望の体積抵抗値の透明導電膜を得
ることができる。透明被膜の厚さを0.5〜5μmとす
ると、たとえばそれが形成された基板を液晶パネルに用
いた場合においても良好な表示が可能である。
配された酸化物導電膜からなる電極を備え、電極は、平
均粒径が25nm以上、好ましくは40nm以上であっ
て、表面観察によってその境界が確認され得る最大構成
単位が結晶である多結晶膜すなわち、その配向方向が略
一致した結晶の集合体であるいわゆるドメインを有さな
い多結晶膜からなる。そのような膜では、従来のグレイ
ンを有する透明導電膜と比較して導電膜に発生する応力
が小さいなるため、膜の応力によるクラック、破砕が発
生し難くなる。また、基板のそりが小さい。特に、X線
解析により求めた平均結晶粒子径が20nm以上である
明瞭な回折ピークが確認された導電膜は、非晶質のそれ
と比較して、抵抗値が低く、透過率特性、耐薬品性およ
び耐腐食性に優れる。また、不均一な歪がなく、パター
ンニングの直線性に優れる。好ましくは、結晶の平均粒
径が300nm以下である。
と、加熱による結晶化の進行が著しく遅い。一方、厚さ
が1,500nmを超えるような厚い膜は、結晶化を高
温で行うと、割れや破砕が起こりやすくなる。また結晶
化により膜の表面の起伏が激しくなる。したがって、充
分な導電性を確保しつつ膜の割れや基板の反りをより効
果的に防ぐため、好ましくは形成する酸化物導電膜の厚
さは15〜1,500nmであって、さらに好ましくは
50〜500nmである。電極の表面の高低差が20n
m以下であると、安定した特性の素子が得られる。酸化
物導電膜には、好ましくは酸化スズ含有量が5重量%未
満であるITOが用いられる。電極の表面を被覆して合
成樹脂を含む体積抵抗値が102〜1012Ω・cmの透
明被膜を配すると、電極の保護に効果的である。また、
基板が合成樹脂からなる場合には、電極表面を被覆する
ことで、互いに近い熱膨張率を有する合成樹脂の間に電
極が挟まれることから、熱膨張による基板の変形を抑制
することができる。傷つきやすい金属電極の保護膜とし
て機能させるためには、その厚さは0.5μm以上であ
ることが好ましい。また、表示パネルに用いてその画質
に影響を与えないためには、好ましくは厚さを5μm以
下にする。体積抵抗値の目安としては、厚さ5μmで1
012Ω・cm以下であることが望ましい。なお、透明電
極に金属膜を用いる場合には、好ましくは金属膜の厚さ
は20nm以下、より好ましくは10nm以下である。
て詳細に説明する。なお、以下の実施例では、電極付き
基板として液晶表示パネル用基板を例に説明する。
いた液晶表示パネルを図1に示す。図1に示すように、
液晶表示パネル1は、互いに向かい合った一対の基板、
すなわちアレイ基板2aおよび対向基板2bと両基板間
に挟まれた液晶層3とを有する。両基板2aおよび2b
の間隔は、球状のスペーサ4により一定に保たれてい
る。アレイ基板2aは、基板5aとその対向基板2bと
向かい合う面に配されたガスバリア膜としての下地層6
a、透明導電材からなる膜状の電極7aおよびポリイミ
ド等からなる配向膜8aを有する。同様に、対向基板2
bは、基板5b、ガスバリア膜としての下地層6b、電
極7bおよび配向膜8bを有する。基板5aおよび5b
は、ともに厚さが0.4mmであってガラス転移温度が
190℃のアクリル樹脂からなる。下地層6aおよび6
bは、ともにスパッタリングにより形成された厚さが2
0nmの酸化ケイ素膜からなる。電極7aおよび7b
は、ともに酸化スズを5重量%含む厚さが150nmの
ITO膜からなる。基板5aの表面に、表1に示す条件
で、スパッタリングにより、基板の表面に酸化スズを5
重量%含むITOからなる厚さ150nmの膜を形成し
た。すなわち、アルゴンおよび酸素が導入された圧力
3.0×10-3Torr(≒0.4Pa)の雰囲気下
で、基板5aを加熱せずにその表面にスパッタリングに
より、6nm/分のレートで膜を形成した。走査電子顕
微鏡(SEM)を用いた観察によると、形成されたIT
O膜は、非晶質相中に粒径が20〜60nmの微結晶粒
子が分散した構造を有することが確認された。また、X
線解析によると、明確な回折ピークは確認されなかっ
た。その上に膜が形成された基板を真空中にて180℃
で1時間熱処理した。X線解析によると、熱処理後の膜
からの明確な回折ピークが確認され、さらに膜には平均
粒径が240nmの結晶粒子が含まれることが明らかに
なった。本実施例の膜の表面のSEM写真を図2に示
す。SEMを用いた観察によると、膜は結晶粒子の集合
体すなわち多結晶膜であって、凹凸の高低差が20nm
以下の平坦な表面を有することが確認された。膜の表面
には、結晶粒子間の境界は確認されても、結晶粒子が略
同一方向に配向した領域、いわゆるドメインの境界は認
められなかった。本実施例の膜の比抵抗率は3.6×1
04Ω・cmであり、波長400nmの光に対する透過
率は83%であった。また、膜は優れた耐アルカリ性を
示した。膜形成後の基板5aに反りはほとんど認められ
ず、また膜と基板5aの間に高い密着性が確認された。
基板5a上に形成された膜をエッチングにより電極7a
のパターンに加工した。このとき、膜は精細なパターン
に精度よく加工された。比較例として、実施例1と同じ
組成であって、加熱による結晶化処理を施さない膜の特
性を同様に評価したその結果を表1に示す。
は、X線解析によってほとんど回折パターンは認められ
ない非晶質である。したがって透過率および耐アルカリ
性に劣る。基板温度150℃で形成した比較例2の膜
は、図8に示すように、粒径が30nmの多結晶膜であ
って、比抵抗率、透過率、耐アルカリ性等に優れるもの
の、基板の反りが大きく、また基板と膜との密着性やパ
ターニング性に劣る。すなわち、本実施例によると、比
抵抗、透過率、耐薬品性、耐腐食性、パターンニング
性、密着性等の諸特性に優れた導電膜を低温で形成する
ことができ、さらに膜を形成することで生じる基板の反
りを小さくすることができる。
示パネル用の基板を例にして本発明を説明する。本実施
例の電極尽き基板を用いたカラー液晶表示パネルの構成
の概略を図3に示す。図に示すように、基板5aの両面
および5bの両面には、それぞれたとえば酸化ケイ素か
らなる下地層6aおよび6bが形成されている。基板5
aの基板5bと向かい合った面には、緩衝層10を隔て
て透明導電材からなる電極7aが形成されている。一
方、基板5bの基板5aと向かい合った面には有機材料
からなるカラーフィルタ層11が形成されている。カラ
ーフィルタ層11の上には、平坦な表面を形成するため
の樹脂層12を隔てて電極7bが形成されている。厚さ
が0.2mmであってガラス転移温度が170℃のエポ
キシ樹脂からなる基板5aを用いてアレイ基板2aを作
製した。基板5aをポリシラザン原料溶液(東燃株式会
社製)に浸漬したのち、120℃で1時間、および95
℃、80%RHで3時間熱処理して、基板5aの表面に
厚さ30nmの酸化ケイ素からなる下地層6aを形成し
た。ついで、基板5aの一方の面にシクロオレフィン系
樹脂原料溶液をスピンコーティング法にて塗布し、16
0℃で3時間加熱して厚さ1μmの緩衝層10を形成し
た。緩衝層10が形成された基板5aの表面に表2に示
す条件のスパッタリングによって酸化スズを3重量%含
むITO膜を形成した。すなわち、雰囲気ガスとしてア
ルゴンが導入された圧力5.0×10-3Torr(≒
0.67Pa)の雰囲気下で、基板5aを80℃に加熱
しながらその表面にスパッタリングにより、7nm/分
のレートで厚さが210nmのITO膜を形成した。一
方、基板5aと同様の基板5bの表面に、基板5aと同
様にして表面に酸化ケイ素からなる下地層6bを形成し
た後、基板5bの一方の表面に印刷および160℃で5
時間の熱処理によりカラーフィルタ層11を形成した。
その後、基板5bをアクリル系樹脂原料溶液に浸漬し、
さらに160℃で3時間熱処理して平坦化のための樹脂
層12を形成した。カラーフィルタ層11が形成された
側の基板5bの表面に、基板5aと同様にして厚さが2
10nmのITO膜を形成した。基板5a上に形成され
たITO膜および5b上に形成されたそれは、非晶質相
に結晶粒径が30nm〜120nm程度の微結晶粒子が
分散している構造を有し、X線回折ピークは確認されな
かった。その後、大気中にて160℃で3時間の熱処理
を施すことにより、ITO膜は、平均結晶系粒径が20
0nm以上であり、かつ表面の凹凸の高低差が20nm
以下であり、ドメインの境界がない多結晶膜に転化し
た。得られた膜の特性および基板の特性を実施例1と同
様に評価したその結果を表2に示す。
ラー液晶表示パネル用の基板を例にして本発明を説明す
る。本実施例の電極付き基板を用いたカラー液晶表示パ
ネルの構成の概略を図4に示す。アレイ基板2aは、実
施例2で用いたものと同様である。一方、対向基板2b
は、アレイ基板2aに向かい合う面のみに平坦化のため
の樹脂層12が形成されている。またその上面にはアレ
イ基板2a上に設けられているものと同様の緩衝層10
が形成されている。厚さが0.35mmであってガラス
転移温度が200℃のシリコンラダー系の硬化性ケイ素
樹脂からなる基板5aおよび5bを用いてアレイ基板2
aおよび対向基板2bをそれぞれ作製した。アレイ基板
2aは、以下のようにして作製した。基板5aの両面に
スパッタリングにより厚さが15nmの酸化ケイ素から
なる下地層6aを形成した。ついで、基板5aの一方の
表面に実施例2と同様にしてシクロオレフィン系樹脂か
らなる厚さ1μmの緩衝層10を形成した。緩衝層10
が形成された基板5aの表面に表2に示す条件のスパッ
タリングによって酸化スズを7重量%含むITO膜を形
成した。すなわち、雰囲気ガスとしてアルゴンおよび酸
素が導入された圧力5.0×10-3Torr(≒0.6
7Pa)の雰囲気下で、基板5aを120℃に加熱しな
がらその表面にスパッタリングにより、6nm/分のレ
ートで厚さが厚さが120nmのITO膜を形成した。
一方、対向基板2bは以下のように作製した。基板5a
と同様にして基板5bの両面に酸化ケイ素からなる下地
層6bを形成した後、基板5bの一方の表面に印刷およ
び170℃で5時間の熱処理によりカラーフィルタ層1
1を形成した。ついで、カラーフィルタ層11の上にシ
クロオレフィン系樹脂原料溶液をスピンコーティング法
にて塗布し、170℃で3時間加熱して厚さ1μmの緩
衝層10を形成した。緩衝層10が形成された基板5b
の表面に、スパッタリングにより厚さが15nmの絶縁
層13を形成し、さらにその上に基板5aと同様にして
酸化スズを7重量%含むITO膜を形成した。基板5a
上に形成されたITO膜および5b上に形成されたそれ
は、非晶質相に結晶粒径が60nm〜180nm程度の
微結晶粒子が分散している構造を有し、明確なX線回折
ピークは確認されなかった。その後、真空中にて170
℃で1時間の熱処理を施すことにより、ITO膜は、平
均結晶系粒径が100nmであり、表面の凹凸の高低差
が20nm以下であり、ドメインの境界がない多結晶膜
に転化した。得られた膜の特性および基板の特性を実施
例1と同様に評価したその結果を表3に示す。
さ0.4mmのガラス基板を用いて実施例1と同様のア
レイ基板2aおよび対向基板2bを作製した。なお、下
地層6aおよび6bの厚さを200nmとし、ITO膜
の厚さを200nmとした。得られた膜の特性および基
板の特性を表4に示す。併せて、比較例3および4とし
て、同じガラス基板を用いて、比較例1および2と同様
にそれぞれ膜を形成した。作製したこれらの膜の特性お
よび基板の特性を表4に示す。
さ0.55mmのガラス基板を用いて実施例2と同様の
アレイ基板2aおよび対向基板2bを作製した。なお、
形成するITO膜の厚さを140nmとした。得られた
膜の特性および基板の特性を表4に示す。
さ0.55mmのガラス基板を用いて実施例3と同様の
アレイ基板2aおよび対向基板2bを作製した。なお、
形成するITO膜の厚さを90nmとした。得られた膜
の特性および基板の特性を表4に示す。
スパッタリング等によって低温で基板上に非晶質、また
は明確なX線回折ピークが観測されない程度の結晶粒子
を含む導電膜を形成し、さらにその膜を熱処理により多
結晶膜に添加することにより、基板の反りを低減しかつ
低温において良好な特性を示す導電膜を形成することが
可能になる。
板の反りを抑制することができる電極付き基板について
説明する。
す。合成樹脂製の基板105の表面に形成された透明電
極102aは、それと略一致した形状を有する導電性被
膜100によって被覆されている。以下のようにして、
図5に示す電極付き基板101aおよび101bを形成
した。アクリル樹脂からなる厚さが0.2mmで一辺が
30cmの正方形の基板105の表面に、基板を加熱し
ないスパッタリングによって、図6の(a)に示すよう
にパラジウムおよび銅をそれぞれ約1重量%含む銀合金
からなる厚さが10nmの透明な金属膜102を形成し
た。得られた金属膜102の透過率(波長400nm)
は90%であって、そのシート抵抗値は約3Ω/□であ
った。この抵抗値は、基板温度250℃で形成されたI
TO多結晶膜のそれより低い。透過率は、少し悪いもの
の充分に使用に耐え得る。
直径が数nmの超微粒子50重量%が分散したアクリル
系のポジ型レジストを塗布し後、塗布したレジストを露
光しさらに170℃に加熱して図6(b)に示すように
形成しようとする透明電極102aのパターンに略一致
した形状を有する厚さが1μmのレジストからなる導電
性被膜100を形成した。この導電性被膜100は、そ
こに分散したITO微粒子によって1010Ω・cmの低
い体積抵抗を示す。その透過率は95%である。パター
ン形成された導電性被膜100をマスクに用いさらに酢
酸、燐酸、硝酸および水を含むエッチング液を用いて金
属膜102をパターンニングし、ストライプ状の透明電
極102aを形成した。導電性被膜100は、合成樹脂
を主体とすることから合成樹脂からなる基板105と線
膨張係数がほぼ等しく、また、金属膜は、透明性を確保
するために薄いので、加熱しても基板105の反りが抑
制される。得られた基板101は、室温(25℃)では
反りは見られなかった。
100nmのITO膜を形成すると、ITO膜は30Ω
/□の低いシート抵抗値を示したが、それが形成された
基板に室温下で5mm程度の反りが認められた。このよ
うな大きな反りが発生すると、ITO膜のパターンニン
グ工程や表示パネルに組み立てる工程の前に、反りを矯
正する工程が必要である。また、量産設備における基板
の搬送においても、反りに対応するために特殊な冶具が
必要になるなど、取り扱いが非常に難しい。一方、本発
明によると、室温下さらには加熱時においても反りが小
さいため、製造工程が大幅に容易になる。なお、金属膜
の形成は100℃以下であってより常温に近いことが望
ましい。なお、膜厚が薄い場合は、高めの温度でも反り
を小さくすることができる。
単純マトリクス液晶表示パネルを組み立てた。基板10
5aの表面に、上記と同様にして透明電極102aおよ
び導電性被膜100を形成した。、同様に基板105b
の表面に厚さが40nmの半透明電極102bおよび導
電性被膜100を形成した。なお、透明電極102bの
透過率は30%であって、その反射率は55%である。
にそれぞれポリイミドからなる厚さが50nmの配向膜
108aおよび108bを塗布およびラビングにより作
製したのち、これらを4μmの間隔を隔てて挟み合わせ
両者の間に液晶材料を注入して液晶層103を形成し
た。この積層体の両面にそれぞれ偏光板109を貼り合
わせて、半透過型の液晶パネルを得た。得られた液晶パ
ネルを駆動したところ、基板の変形が小さいためにセル
厚むらなどが抑えられることから、従来のITO膜を電
極に用い、合成樹脂基板を基板に用いた液晶パネルよ
り、広い温度範囲で、さらに液晶パネル表面に対して−
40度から70度までの広い視野角範囲で良好な画質が
表示された。
10Ω・cmで、その膜厚は1μmなので、液晶層103
に比べてそのインピーダンズは小さい。膜厚が厚くて
も、電圧分割による画質劣化がほとんどない。被膜10
0の体積抵抗がおよそ1012Ω・cm以下なら画質劣化
は小さい。抵抗値はより小さい方が好ましい。現状では
樹脂皮膜で102Ω・cm以下のものを得るのは困難で
ある。そのような低抵抗の有機導電材料であれば、被膜
100に用いずとも、電極として用いることができる。
また、薄膜金属電極を覆う樹脂皮膜に本実施例のように
レジスト樹脂を用いることにより、反りの抑制に加え、
工程の簡略化も可能になる。もちろん、レジストでなく
とも導電性と透明性を備えた樹脂皮膜であれば、必然的
に樹脂基板と熱膨張率が近いため基板の反りの抑制に効
果がある。また、樹脂皮膜内に顔料を分散させ、特定の
色の光のみを透過させるようにしてもよい。
場合により効果的である。有機EL素子基板の場合、通
常、図7に示すように、基板205上にITO等からな
る透明電極202を形成したのち、さらにその上に、発
光領域200として、発光層204と、ともに有機物か
らなる電子輸送層205および正孔注入層206とを形
成する。そののちにアルミニウムなどからなる反射電極
207を形成する。導電性被膜208は、たとえばこの
反射電極の形成時のレジストとして形成すればよい。
域200の形成には問題ないが、比較的高温に加熱され
るITO膜等の透明電極202の形成においては、その
非対称な構造も含めて反りを生じやすい。むしろ、液晶
表示パネルの場合より、温度に依存した反りの問題は深
刻である。本発明は、樹脂基板を用いて、広い温度範囲
で反りが小さく信頼性に優れたEL表示素子を実現する
ことができる。なお、駆動電流が大きいEL素子におい
ては、液晶表示素子と比べて抵抗値の低い樹脂被膜、少
なくとも1010Ω・cm以下の被膜が求められる。ま
た、透明電極に金属薄膜を用いる場合には、その膜厚を
20nm以下、望ましくは10nm以下にする。
透明導電膜を形成することができる。また、膜の形成時
にそれが形成される基板の反りを抑制することができ
る。したがって、信頼性に優れた軽量の表示装置を提供
することが可能になる。
表示パネルの構成を示す概略した縦断面図である。
査電子顕微鏡写真である。
晶表示パネルの構成を示す概略した縦断面図である。
いた液晶表示パネルの構成を示す概略した縦断面図であ
る。
いた液晶表示パネルの構成を示す概略した縦断面図であ
る。
板の製造の一工程における基板の状態を示す概略した縦
断面図である。
面図である。
査電子顕微鏡写真である。
Claims (30)
- 【請求項1】 基板および前記基板上に配された酸化物
導電膜からなる電極を具備し、前記電極は、平均粒径が
25nm以上の多結晶からなり、表面観察によってその
境界が確認され得る最大構成単位が結晶である電極付き
基板。 - 【請求項2】 前記結晶の平均粒径が40nm以上であ
る請求項1記載の電極付き基板。 - 【請求項3】 前記結晶の平均粒径が300nm以下で
ある請求項1記載の電極付き基板。 - 【請求項4】 前記電極の厚さが50〜500nmであ
る請求項1記載の電極付き基板。 - 【請求項5】 前記電極の表面の高低差が20nm以下
である請求項1記載の電極付き基板。 - 【請求項6】 前記酸化物導電膜が、スズを添加された
インジウム酸化物からなる請求項1記載の電極付き基
板。 - 【請求項7】 前記酸化物導電膜の酸化スズ含有量が5
重量%未満である請求項6記載の電極付き基板。 - 【請求項8】 前記基板と前記酸化物導電膜の間に有機
材料からなる下地膜をさらに具備する請求項1記載の電
極付き基板。 - 【請求項9】 前記基板が、合成樹脂からなる請求項1
記載の電極付き基板。 - 【請求項10】 前記電極の表面に合成樹脂を含む体積
抵抗値が102〜1012Ω・cmの透明被膜をさらに具
備する請求項9記載の電極付き基板。 - 【請求項11】 前記透明被膜の厚さが0.5〜5μm
である請求項10記載の電極付き基板。 - 【請求項12】 前記電極の厚さが20nm以下である
請求項10記載の電極付き基板。 - 【請求項13】 基板上に非晶質または非晶質を主体と
する酸化物導電膜をその結晶化温度以下の温度で形成す
る工程、および前記酸化物導電膜を加熱して結晶化する
工程を含む電極付き基板の製造方法。 - 【請求項14】 前記酸化物導電膜を形成する工程にお
いて、前記酸化物導電膜を150℃以下の温度に加熱す
る請求項13記載の電極付き基板の製造方法。 - 【請求項15】 前記酸化物導電膜を結晶化する工程に
おいて、前記酸化物導電膜を前記結晶化温度以下の温度
に加熱する請求項13記載の電極付き基板の製造方法。 - 【請求項16】 前記酸化物導電膜を結晶化する工程に
おいて、前記酸化物導電膜を前記基板のガラス転移温度
以下の温度に加熱する請求項13記載の電極付き基板の
製造方法。 - 【請求項17】 前記酸化物導電膜を結晶化する工程が
酸素フリーな環境下で行われる請求項13記載の電極付
き基板の製造方法。 - 【請求項18】 前記酸化物導電膜が、一部をスズによ
り置換されたインジウム酸化物からなる請求項13記載
の電極付き基板の製造方法。 - 【請求項19】 前記酸化物導電膜の酸化スズ含有量が
5重量%未満である請求項18記載の電極付き基板の製
造方法。 - 【請求項20】 前記基板上に形成される前記酸化物導
電膜では、非晶質相中に平均粒径が200nm以下の結
晶粒子が分散している請求項13記載の電極付き基板の
製造方法。 - 【請求項21】 前記酸化物導電膜を結晶化する工程に
おいて、前記酸化物導電膜を平均粒径が20nm以上で
配向方向が無秩序な結晶の集合体に転化する請求項13
記載の電極付き基板の製造方法。 - 【請求項22】 前記結晶の平均粒径が300nm以下
である請求項21記載の電極付き基板の製造方法。 - 【請求項23】 前記酸化物導電膜の厚さが500nm
以下である請求項13記載の電極付き基板の製造方法。 - 【請求項24】 前記基板が合成樹脂からなる請求項1
3記載の電極付き基板の製造方法。 - 【請求項25】 前記基板は、前記膜を形成しようとす
る表面に有機材料からなる下地膜を具備する請求項13
記載の電極付き基板の製造方法。 - 【請求項26】 結晶化によって形成された前記膜中の
結晶粒子の平均粒径が、20〜300nmの範囲内であ
る請求項13記載の電極付き基板の製造方法。 - 【請求項27】 前記電極の表面に合成樹脂を含む体積
抵抗値が102〜1012Ω・cmの透明被膜を形成する
工程をさらに含む請求項13記載の電極付き基板の製造
方法。 - 【請求項28】 形成された前記酸化物導電膜上に光硬
化性樹脂からなる層を形成し、前記酸化物導電膜を加工
しようとする電極パターンに対応した領域の前記層を露
光によって硬化させて前記透明被膜を形成したのちに、
硬化した前記透明被膜をレジストとして前記酸化物導電
膜をエッチングすることにより、前記酸化物導電膜を前
記電極に加工する請求項27記載の電極付き基板の製造
方法。 - 【請求項29】 前記透明被膜の厚さが0.5〜5μm
である請求項27記載の電極付き基板の製造方法。 - 【請求項30】 前記電極の厚さが20nm以下である
請求項27記載の電極付き基板の製造方法。
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