JP2014019932A - Ag合金膜及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐硫化性等の耐性を落とさずに高い反射率が得られるAg合金膜及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 In:0.1〜1.8原子%を含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成のAg−In合金層と、該Ag−In合金層の表面に形成された厚さ10nm以下のIn酸化層とを備え、表面粗さRaが、1nm以下であり、抵抗率が、3.0×10−6Ω・cm以下である。また、このAg合金膜の製造方法は、In:0.1〜1.8原子%を含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成のAg−In合金で構成されているスパッタリングターゲットを用いて、成膜温度を150℃以下としてスパッタにより成膜する工程と、成膜した前記膜を不活性ガス雰囲気中で200〜300℃の温度で熱処理を行う工程とを有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、反射膜として高い反射率を有したAg合金膜及びその製造方法に関する。
有機EL、光記録ディスク、光学機器用反射ミラーなどでは、耐湿性、耐硫化性、耐熱性などの耐性を持った反射率が高いAg合金膜が必要であり、これまでPd、Cu、Ge、Bi、Au、Sn、希土類元素などを添加したAg合金膜が提案されている。また、そのAg合金膜に熱処理を施したり、酸化物のキャップ層を付けたりすることにより、耐硫化性などの耐性をさらに向上させたAg合金膜が開発されている(特許文献1〜5参照)。
国際公開WO2005/031016号 特許第4264397号公報 国際公開WO2006/132416号 特開2008−101269号公報 特開2006−98856号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
従来、反射率は純Ag膜が最も高いが、耐硫化性、耐湿性、耐熱性などが十分でないため、特許文献1〜3に示すように、Pd、Cu、Ge、Bi、Au、Sn、希土類元素などを添加してそれらの耐性を改善している。しかしながら、それらの元素を添加することにより従来の膜は、反射率が純Ag膜より低下してしまう不都合があった。
また、特許文献4のように、Bi、Au、Snを添加したAg合金膜を不活性ガス中で熱処理したり、特許文献5のように、純AgまたはAu、Sn、Pd、Cuのうちの一つ以上の元素を添加したAg合金膜の上に、酸化物層などのキャップ層を付けた積層構造の膜を、大気、真空又は不活性ガス中で熱処理することにより、反射率の減少を抑制し、耐硫化性をさらに向上させる工夫がなされている。しかしながら、このような組成の膜では、熱処理を行なうと大きな結晶粒の成長が起こり、結晶性の向上(移動度、伝導率の増加)による反射率の増加の効果を、成長した大きな結晶粒による光の散乱で弱めてしまい、多少の反射率の増加があっても純Ag膜の反射率以上になることはない。したがって、Ag合金膜が用いられるデバイスの性能をより向上させるために、耐性を落とさずに純Ag膜と同等もしくはそれ以上の反射率を持ったAg合金膜を得ることが困難であった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、耐硫化性等の耐性を落とさずに純Ag膜と同等もしくはそれ以上の反射率が得られるAg合金膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係るAg合金膜は、In:0.1〜1.8原子%を含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成のAg−In合金層と、該Ag−In合金層の表面に形成された厚さ10nm以下のIn酸化層とを備え、表面粗さRaが、1nm以下であり、抵抗率が、3.0×10−6Ω・cm以下であることを特徴とする。
このAg合金膜では、Ag−In合金層の表面に形成された厚さ10nm以下のIn酸化層を備えているので、Ag−In合金層のAg−In合金粒の表面に酸化された状態でInが濃集してIn酸化層を形成しており、そのIn酸化層がS(硫黄)などに対するバリア性を持ち、耐硫化性等の耐性が高くなる。また、In酸化層の厚さが10nm以下であり、表面粗さが1nm以下であるため、In酸化層による光の吸収や表面凹凸による光の散乱による反射率の低下を抑制することができる。
ここで、Ag−In合金層のInの添加濃度を0.1〜1.8原子%とした理由は、添加元素の濃度が0.1原子%より少ないと、耐硫化等の耐性が出ないためであり、1.8原子%より大きいと反射率が低下するためである。
また、In酸化層の厚さを10nm以下とした理由は、10nmを超えると、In酸化層による光の吸収が大きくなり、反射率が低下するためである。
また、膜の表面粗さRaを1nm以下とした理由は、表面粗さRaが1nmより大きいと、表面の凹凸が大きくなり、光の散乱が増加し、反射率が低下するためである。
さらに、膜の抵抗率を、3.0×10−6Ω・cm以下とした理由は、抵抗率が3.0×10−6Ω・cmより大きいと、移動度が小さく伝導率が低下し、反射率も低下するためである。
なお、結晶粒の面内方向のサイズは、100nm以上であることが好ましい。すなわち、結晶粒の面内方向のサイズが100nm未満であると、移動度、伝導率が十分大きくならず、反射率の向上効果が小さくなるためである。
第2の発明に係るAg合金膜は、第1の発明において、550nm以上の波長の光に対する反射率が純Ag膜よりも大きいことを特徴とする。
第3の発明に係るAg合金膜の製造方法は、第1又は第2の発明に係るAg合金膜を製造する方法であって、In:0.1〜1.8原子%を含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成のAg−In合金で構成されているスパッタリングターゲットを用いて、成膜温度を150℃以下としてスパッタにより成膜する工程と、成膜した前記膜を不活性ガス雰囲気中で200〜300℃の温度で熱処理を行う工程とを有していることを特徴とする。
すなわち、このAg合金膜の製造方法では、In:0.1〜1.8原子%を含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成のAg−In合金で構成されているスパッタリングターゲットを用いて、成膜温度を150℃以下としてスパッタにより成膜し、成膜した膜を不活性ガス雰囲気中で200〜300℃の温度で熱処理を行うので、結晶性、移動度及び伝導率が向上(抵抗率が低下)して、高い反射率の上記Ag合金膜を得ることができる。
なお、150℃以下の基板温度でスパッタ成膜を行なったAg−In合金膜を、N等の不活性ガス雰囲気中で、200〜300℃の温度で、適度な時間(30min〜2.0h程度)の熱処理を施すことが好ましい。この成膜時の温度が150℃より大きいと、熱処理前の状態において既に大きな結晶粒から成る膜となり、熱処理後はさらに大きな結晶粒に成長してしまい、その大きな結晶粒による光の散乱によって、膜の反射率が低下する。また、熱処理の温度が200℃より低いと、Ag−In合金膜における結晶性があまり向上せず、移動度、伝導率の増加が十分でなく、反射率の向上効果が小さくなる。さらに、300℃より高い温度での熱処理では、Ag−In合金膜において、大きな結晶粒の成長が起こってしまい、膜の反射率が低下する。なお、熱処理の雰囲気が大気など酸素を多く含む雰囲気であると、表面のIn酸化層が10nmを超える厚さとなって光の吸収が大きくなり、反射率が低下する。また、真空中の熱処理であると、In酸化層があまり成長しないのと同時に結晶粒の成長が起きやすくなるため、In酸化層のバリア効果による耐硫化性等の耐性の向上が小さく、また、成長した結晶粒による光の散乱によって反射率が低下する。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るAg合金膜によれば、Ag−In合金層の表面に形成された厚さ10nm以下のIn酸化層を備えているので、In酸化層がS(硫黄)などに対するバリア性を持ち、耐硫化性等の耐性が高くなると共に、In酸化層の厚さが10nm以下であり、表面粗さが1nm以下であるため、In酸化層による光の吸収や表面凹凸による光の散乱による反射率の低下を抑制することができる。
また、本発明に係るAg合金膜の製造方法によれば、In:0.1〜1.8原子%を含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成のAg−In合金で構成されているスパッタリングターゲットを用いて、成膜温度を150℃以下としてスパッタにより成膜し、成膜した膜を不活性ガス雰囲気中で200〜300℃の温度で熱処理を行うので、結晶性、移動度及び伝導率が向上して、高い反射率の上記Ag合金膜を得ることができる。
したがって、本発明に係るAg合金膜によれば、純Ag膜に比べて反射率が向上して、光学機器用反射ミラー、有機EL、光記録ディスク、太陽電池等に用いることで、それらの装置の性能を向上させることが可能である。
本発明に係るAg合金膜及びその製造方法の実施例において、AES(オージェ電子分光法)による深さ方向の元素分析結果を示すグラフである。 本発明に係る実施例において、AESによる元素の状態分析を示すグラフである。 本発明に係る実施例において、アニール前(As depo)、Nガス雰囲気中、真空中及び大気中でアニールを行った場合のAFM(原子間力顕微鏡)写真である。 本発明に係る実施例において、表面のIn酸化層を示すTEM(透過電子顕微鏡)写真である。 本発明に係る実施例において、表面近傍におけるIn及びO(酸素)のEDS(エネルギー分散形X線分析装置)ライン分析結果を示す写真である。 本発明に係る比較例におけるAFM写真である。
以下、本発明に係るAg合金膜及びその製造方法における一実施形態を説明する。
本実施形態のAg合金膜の製造方法は、In:0.1〜1.8原子%を含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成のAg−In合金で構成されているスパッタリングターゲットを用いて、成膜温度を150℃以下としてスパッタにより成膜する工程と、成膜した前記膜を不活性ガス雰囲気中で200〜300℃の温度で熱処理を行う工程とを有している。
また、この製造方法で作製したAg合金膜は、In:0.1〜1.8原子%を含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成のAg−In合金層と、該Ag−In合金層の表面に形成された厚さ10nm以下のIn酸化層とを備え、表面粗さRaが、1nm以下であり、抵抗率が、3.0×10−6Ω・cm以下である。
さらに、このAg合金膜は、550nm以上の波長の光に対する反射率が純Ag膜よりも大きい反射特性を有している。
このように、本実施形態のAg合金膜では、Ag−In合金層の表面に形成された厚さ10nm以下のIn酸化層を備えているので、Ag−In合金層のAg−In合金粒の表面に酸化された状態でInが濃集してIn酸化層を形成しており、そのIn酸化層がS(硫黄)などに対するバリア性を持ち、耐硫化性等の耐性が高くなる。また、In酸化層の厚さが10nm以下であり、表面粗さが1nm以下であるため、In酸化層による光の吸収や表面凹凸による光の散乱による反射率の低下を抑制することができる。
また、このAg合金膜の製造方法では、In:0.1〜1.8原子%を含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成のAg−In合金で構成されているスパッタリングターゲットを用いて、成膜温度を150℃以下としてスパッタにより成膜し、成膜した膜を不活性ガス雰囲気中で200〜300℃の温度で熱処理を行うので、結晶性、移動度及び伝導率が向上(抵抗率が低下)して、高い反射率の上記Ag合金膜を得ることができる。
次に、本発明に係るAg合金膜及びその製造方法について、上記実施形態に基づいて作製した実施例を評価した結果について、図1から図6を参照して説明する。
<実施例1〜8>
まず、Inが0.3at%(原子%)、0.5at%、1.0at%、および1.5at%含まれたAg合金スパッタリングターゲットを用いて、スパッタ法にて室温でガラス基板上にAg合金膜を形成した。このときのスパッタリング成膜条件は以下のとおりである。
・スパッタリング装置:DCマグネトロンスパッタ装置(アルバック社製 CS−200)
・磁界強度:1000Gauss(ターゲット直上、垂直成分)
・到達真空度:<5×10−5Pa
・スパッタリングガス:Ar
・スパッタリングガス圧:0.5Pa
・スパッタリングパワー:DC200W
・基板:50mm×50mm×1mmt 無アルカリガラス
・膜厚:100nm
次に、このAg合金膜を、Nガス雰囲気中で200℃または300℃の温度で1時間の熱処理を行ない、熱処理前後のAg合金膜について、表面形状観察、表面元素状態分析、表面深さ方向元素分析、抵抗率測定、反射率測定、硫化試験を行った。その結果得られた表面粗さRa、In酸化層の厚さ、抵抗率、反射率、硫化試験後の反射率について、熱処理後の合金膜は実施例1〜8として表1に示す。なお、熱処理前の合金膜については比較例9〜12として、表1に示す。
ここで、表面形状観察は、AFM(セイコーインスツルメント社製の原子間力顕微鏡、SPI4000)を用いて行い、表面粗さRaを求めた。表面元素状態分析および表面深さ方向元素分析はXPS(アルバックファイ社製のX線光電子分光装置、5600LS)を用いて、スパッタリングで表面を少しづつ削りながら分析を繰り返すことにより行い、Inの状態は、ピーク位置、ピークプロファイルから表面からある深さまでは酸化状態であること確認した。そのInの酸化層(酸化状態)の厚さをスパッタ速度と酸化状態のピークが消失するまでのスパッタ時間から算出した。
抵抗率は、膜厚測定(アルバック社製の膜厚計、DEKTAKを使用)とシート抵抗測定(三菱化学社製の抵抗測定器、RORESTERを使用)を実施し、両測定データから算出した。
反射率は、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計、U4100)を用い、波長が400〜800nmの光を用いて測定したが、代表的な波長である400nm、550nm、700nmでの反射率で示した。
また、硫化試験はAg合金膜を0.01at%のNaS溶液に1時間浸漬させ、変色などを観察することにより行ない、より定量的な評価のために試験後に反射率の測定を行った。試験後の反射率については、400〜800nmの波長範囲での平均反射率で示した。
なお、代表的なサンプル(実施例4)について、図1にAES(アルバック・ファイ社製のオージェ電子分光装置、PHI 700)による深さ方向における元素分析をした結果を示す。これらの結果からわかるように、酸化状態のIn(図中のIn2)及び金属状態のIn(図中のIn1)の分布から、In,O(酸素)が表面に濃集されており、In酸化層が形成されている。また、図2には、AESによる元素の状態分析を行った結果を示す。この結果から、最表面は低エネルギー側にシフトしており、酸化物状態であることがわかる。
また、代表的なサンプル(実施例6)について、図3にAFM観察で得られた表面形状を示すが、アニール後も平坦であることが分かる。このようにアニール後も、表面凹凸による光の散乱が抑制され、反射率の低下が抑制されると考えられる。
さらに、代表的なサンプル(実施例4)についてTEM観察を行った結果及びEDSライン分析の結果を図4及び図5に示す(日本電子社製の透過電子顕微鏡、JEM2010Fを用いた)。この観察写真からIn酸化層の厚さが約5nmであることが分かり、XPS(X線光電子分光分析法)から得られた値とほぼ一致することを確認した。また、EDSライン分析では、In,O(酸素)が表面層に検出された。
<比較例1,2>
次に、比較例として、純Agスパッタリングターゲットを用いて、純Ag膜を成膜し、熱処理無しのもの(比較例1)と、Nガス雰囲気中で実施例1と同様に熱処理を行なったもの(比較例2)とを作製した。
<比較例3〜8>
また、添加元素として従来、代表的な貴金属のAu、Pd、希土類のNdを別々に添加した3種類のAg合金スパッタリングターゲットを用いて、表1に示す合金組成のAg合金膜を成膜し、Nガス雰囲気中で実施例1と同様に熱処理を行なったもの(比較例3〜8)を作製した。
<比較例9〜12>
なお、比較例9〜12は、上述したように熱処理前の合金膜である。
<比較例13,14>
Ag−In1.0at%合金スパッタリングターゲットを用いて、実施例1と同様にAg合金膜を成膜し、熱処理温度を150℃および350℃としてNガス雰囲気中で1時間の熱処理を行なったもの(比較例13,14)を作製した。
<比較例15〜22>
Inの添加濃度が0.3at%、0.5at%、1.0at%および1.5at%のAg−In合金スパッタリングターゲットを用いて、実施例1と同様にAg合金膜を成膜し、熱処理雰囲気を大気中及び真空中として300℃で1時間の熱処理を行なったもの(比較例15〜22)を作製した。
<比較例23,24>
Inの添加濃度が0.05at%および2.0at%のAg−In合金スパッタリングターゲットを用いて、実施例1と同様にしてAg合金膜を成膜し、Nガス雰囲気中で300℃で1時間の熱処理を行なったもの(比較例23,24)を作製した。
以上、比較例1〜24の純AgおよびAg合金膜について、実施例1と同様にして表面形状観察、表面元素状態分析、表面深さ方向元素分析、抵抗率測定、反射率測定、硫化試験を行った。その結果得られた表面粗さRa、Inの酸化物層の厚さ、抵抗率、反射率、硫化試験後の反射率を表1に示す。
なお、アニール処理をした比較例のうち代表的なサンプルについて、AFM観察写真を図3(比較例11、19、20)および図6(比較例6)に示すが、アニール処理をしたサンプル(比較例6、19、20)は表面凹凸が大きいことが分かる。比較例のアニール処理をしたサンプルは、この大きな表面凹凸によって光の散乱が増加し、反射率が低下すると考えられる。
上記の各結果から、実施例1〜8のいずれの膜も、表面粗さRaが1nm以下であり、In酸化層の厚さが10nm以下であることが分かる。また、550nm以上の反射率が熱処理なしの純Ag膜(比較例1)以上であり、非常に大きいことが分かる。さらに、硫化試験後の反射率は、比較例のいずれの合金膜よりも大きく、耐硫化性も高いことが分かる。さらに、抵抗率はいずれも3×10−6Ω・cmより小さく、低抵抗であり、反射膜としてだけではなく配線膜としても適用可能である。
一方、比較例1〜24の膜では、反射率が熱処理なしの純Ag膜以上となることがなく、また、耐硫化性も実施例の膜より劣っている。反射率の低下は、アニールによる結晶粒成長、表面凹凸の増加が原因である。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
本発明のAg合金膜及びその製造方法は、光学機器用反射ミラー、太陽電池用反射膜・配線膜(Si系など)、光通信機器用反射膜、熱線反射膜、有機ELや光記録ディスクに用いる反射膜・配線膜として利用可能である。

Claims (3)

  1. In:0.1〜1.8原子%を含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成のAg−In合金層と、
    該Ag−In合金層の表面に形成された厚さ10nm以下のIn酸化層とを備え、
    表面粗さRaが、1nm以下であり、
    抵抗率が、3.0×10−6Ω・cm以下であることを特徴とするAg合金膜。
  2. 請求項1に記載のAg合金膜において、
    550nm以上の波長の光に対する反射率が純Ag膜よりも大きいことを特徴とするAg合金膜。
  3. 請求項1又は2に記載のAg合金膜を製造する方法であって、
    In:0.1〜1.8原子%を含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成のAg−In合金で構成されているスパッタリングターゲットを用いて、成膜温度を150℃以下としてスパッタにより成膜する工程と、
    成膜した前記膜を不活性ガス雰囲気中で200〜300℃の温度で熱処理を行う工程とを有していることを特徴とするAg合金膜の製造方法。
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