JP2013127113A - 導電体膜及びその製造方法並びに導電体膜形成用スパッタリングターゲット - Google Patents

導電体膜及びその製造方法並びに導電体膜形成用スパッタリングターゲット Download PDF

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Abstract

【課題】 低抵抗であると共に耐塩化性及び透明導電膜との密着性に優れた導電体膜及びその製造方法並びに導電体膜形成用スパッタリングターゲットを提供すること。
【解決手段】 導電体膜が、Mnを、0.05〜2原子%含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されている。この導電体膜の製造方法は、Mnを、0.05〜2原子%含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されているスパッタリングターゲットを用いてスパッタにより成膜する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えばタッチパネル用の配線膜に用いられる導電体膜及びその製造方法並びに導電体膜形成用スパッタリングターゲットに関する。
近年、いわゆるスマートフォンと呼ばれる携帯電話機等の携帯情報端末やタブレット型の電子機器などではタッチパネルが広く採用されている。このタッチパネルでは、指先を検知するパネル領域に検出用電極としてITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)等の透明電極及び透明配線が形成され、さらにこれらに接続され透明配線より低抵抗の金属薄膜で形成された引き出し配線が使用されている。例えば、特許文献1には、ITOからなる第1の配線に接続されたAg又はCuからなる第2の配線を有した電子機器が記載されている。
特開2009−31705号公報
しかしながら、上記従来の技術においても、以下の課題が残されている。
タッチパネルの引き出し配線などに用いられる導電体膜では、例えば純Agを用いるとマイグレーションが生じて短絡不良が発生しやすくなるため、Ag合金膜の採用が検討されている。
また、タッチパネルの引き出し配線では、環境からの塩素成分に加え、指先を使用して操作するために人体からの汗など、塩素成分の影響を受ける可能性が高い。このため、引き出し配線用の導電体膜として塩素に対する耐性が求められている。
さらに、上記引き出し配線は、ITO等の透明導電膜上に成膜されるため、特に基材としてPET等のフィルムを使用するタイプのタッチパネルにおいては、透明電極膜との密着性をより向上させることが要望されている。このような密着性が必要となる理由は、タッチパネルの部材となる透明導電性フィルム上に配線材を形成する場合、成膜時などフィルムを巻き取る際に透明導電膜/配線膜の構造に対し、曲げ応力がかかるため、ガラス基板上への成膜などに比べて配線膜と透明導電膜との間で剥がれが起き易くなるためである。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、低抵抗であると共に耐塩化性及び透明導電膜との密着性に優れた導電体膜及びその製造方法並びに導電体膜形成用スパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
本発明者らは、導電体膜について研究を進めたところ、Ag合金に一定量のMnを含有させることで、タッチパネルの引き出し配線等に必要とされる低抵抗を維持しつつ高い耐塩化性及び透明導電膜との密着性を得ることができることを見出した。
したがって、本発明は、上記知見から得られたものであり、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
第1の発明に係る導電体膜は、Mnを、0.05〜2原子%含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されていることを特徴とする。
この導電体膜では、Mnを、0.05〜2原子%含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されているので、タッチパネルの引き出し配線等に要求される比抵抗を維持しつつ高い耐塩化性及び透明導電膜との密着性を得ることができる。
Mn:
Mnは、膜の耐湿性・耐塩化性を高める作用を有すると共に、透明導電膜との密着性を著しく改善する作用を有する。
Mnを上記含有量の範囲に設定した理由は、Mnが0.05原子%未満であると、透明導電膜に対する密着性の改善効果が得られなくなるためであり、Mnが2原子%を超えると電気抵抗(比抵抗)が高くなり、配線膜の材料として十分な低抵抗が得られないためである。なお、より好ましいMnの含有量範囲は、0.5〜1.5原子%である。
第2の発明に係る導電体膜は、Mnを、0.05〜2原子%含有し、さらにMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上を、合計で4原子%以下含有し、 残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されていることを特徴とする。
すなわち、この導電体膜では、Mg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上を合計で4原子%以下含有しているので、透明導電膜との密着性をさらに向上させると共に、膜の耐湿性及び耐塩化性を著しく向上させることができる。
Mg,Zn,Pd,In,Sn及びGa:
Mg,Zn,Pd,In,Sn及びGaと、Mnとが両方存在することで、相乗効果により耐湿性、耐塩化性及び膜の密着性がさらに向上する。特に大きな特徴として耐湿性及び耐塩化性を著しく向上させる作用を有する。
Mg,Zn,Pd,In,Sn及びGaを上記含有量の範囲に設定した理由は、4原子%を超えると電気抵抗が高くなり、配線膜の材料として十分な低抵抗が得られないためである。なお、電気抵抗の上昇を抑制しつつ耐塩化性を向上させるためにより好ましい範囲は、0.4〜4原子%である。
第3の発明に係る導電体膜は、Mnを、0.05〜2原子%含有し、さらにSbを、0.4〜2.0原子%含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されていることを特徴とする。
第4の発明に係る導電体膜は、Mnを、0.05〜2原子%含有し、Sbを、0.4〜2.0原子%含有し、さらにMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上を合計で4原子%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されていることを特徴とする。
すなわち、これらの導電体膜では、Sbを0.4〜2.0原子%含有しているので、膜の耐熱性、耐湿性及び耐塩化性を著しく向上させることができる。
なお、第4の発明において、Sbと、Mg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上(以下、Mg等とも称す)とを双方添加しても、双方の元素の効果が干渉し合うことはなく、Sbのみの添加の場合やMg等のみの添加の場合と同様の効果を得ることができる。
Sb:
Sbと、Mnとが両方存在することで、相乗効果により耐熱性、耐湿性及び耐塩化性を著しく向上させる作用を有する。
Sbを上記含有量の範囲に設定した理由は、Sbが0.4原子%未満であると、耐熱性等の改善効果が得られなくなるためであり、2.0原子%を超えると電気抵抗が高くなり、配線膜の材料として十分な低抵抗が得られないためである。なお、電気抵抗の上昇を抑制しつつ耐塩化性を向上させるためにより好ましい範囲は、0.5〜1.5原子%である。
第5の発明に係る導電体膜の製造方法は、Mnを、0.05〜2原子%含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されているスパッタリングターゲットを用いてスパッタにより成膜することを特徴とする。
すなわち、この導電体膜の製造方法では、第1の発明の導電体膜と同じ成分組成の銀合金スパッタリングターゲットを用いてスパッタ成膜するので、第1の発明の導電体膜を安定して得ることができる。
第6の発明に係る導電体膜の製造方法は、Mnを、0.05〜2原子%含有し、さらにMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上を合計で4原子%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されているスパッタリングターゲットを用いてスパッタにより成膜することを特徴とする。
すなわち、この導電体膜の製造方法では、第2の発明の導電体膜と同じ成分組成の銀合金スパッタリングターゲットを用いてスパッタ成膜するので、第2の発明の導電体膜を安定して得ることができる。
第7の発明に係る導電体膜の製造方法は、Mnを、0.05〜2原子%含有し、さらにSbを、0.4〜2.0原子%含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されているスパッタリングターゲットを用いてスパッタにより成膜することを特徴とする。
第8の発明に係る導電体膜の製造方法は、Mnを、0.05〜2原子%含有し、Sbを、0.4〜2.0原子%含有し、さらにMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上を合計で4原子%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されているスパッタリングターゲットを用いてスパッタにより成膜することを特徴とする。
すなわち、これらの導電体膜の製造方法では、第3の発明又は第4の発明の導電体膜と同じ成分組成の銀合金スパッタリングターゲットを用いてスパッタ成膜するので、第3の発明又は第4の発明の導電体膜を安定して得ることができる。
第9の発明に係る導電体膜形成用スパッタリングターゲットは、Mnを、0.05〜2原子%含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されていることを特徴とする。
第10の発明に係る導電体膜形成用スパッタリングターゲットは、 Mnを、0.05〜2原子%含有し、さらにMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上を合計で4原子%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されていることを特徴とする。
第11の発明に係る導電体膜形成用スパッタリングターゲットは、Mnを、0.05〜2原子%含有し、さらにSbを、0.4〜2.0原子%含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されていることを特徴とする。
第12の発明に係る導電体膜形成用スパッタリングターゲットは、Mnを、0.05〜2原子%含有し、Sbを、0.4〜2.0原子%含有し、さらにMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上を合計で4原子%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
本発明の導電体膜によれば、上記含有量範囲でMnを含有した銀合金で構成されているので、配線膜用、特にタッチパネルの引き出し配線に用いられる導電体膜として要求される比抵抗を維持しつつ高い耐湿性,耐塩化性及び透明導電膜との密着性を得ることができ、高信頼性を有するタッチパネルを製造することができる。
本発明に係る導電体膜及びその製造方法並びに導電体膜形成用スパッタリングターゲットの一実施形態において、タッチパネルの配線構造を簡易的に示す断面図である。 本発明に係る導電体膜及びその製造方法並びに導電体膜形成用スパッタリングターゲットの実施例において、耐塩化性評価において優良な場合(a)と良好な場合(b)とを示す光学顕微鏡による観察写真である。
以下、本発明に係る導電体膜及びその製造方法並びに導電体膜形成用スパッタリングターゲットの一実施形態を、図1を参照しながら説明する。
本実施形態の導電体膜は、Mnを、0.05〜2原子%含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されている。
また、本実施形態の導電性膜は、Mnを、0.05〜2原子%含有し、さらにMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上を、合計で4原子%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されていても構わない。
また、本実施形態の導電性膜は、Mnを、0.05〜2原子%含有し、さらにSbを、0.4〜2.0原子%含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されていても構わない。
さらに、本実施形態の導電性膜は、Mnを、0.05〜2原子%含有し、Sbを、0.4〜2.0原子%含有し、さらにMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上を合計で4原子%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されていても構わない。
これらの導電体膜は、例えば図1に示すように、タッチパネルの引き出し配線として採用される。
すなわち、このタッチパネルの引き出し配線構造は、ガラス板やPETフィルム等の基材1上に、透明導電膜である透明電極膜(ITOなど)2が形成され、さらにその上に引き出し配線膜3が積層された層構造を有しており、本実施形態の導電体膜は、引き出し配線膜3として用いられる。
本実施形態の導電体膜の製造方法は、Mnを、0.05〜2原子%含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されているスパッタリングターゲットを用いてスパッタにより成膜することで形成される。
また、必要に応じて、Mnを、0.05〜2原子%含有し、さらにMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上を、合計で4原子%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されたスパッタリングターゲット、Mnを、0.05〜2原子%含有し、さらにSbを、0.4〜2.0原子%含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されたスパッタリングターゲット、又はMnを、0.05〜2原子%含有し、Sbを、0.4〜2.0原子%含有し、さらにMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上を合計で4原子%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されたスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングすることにより成膜される。
上記スパッタリングターゲットを作製するには、原料として純度:99.99原子%以上の高純度Ag、純度:99.9原子%以上の高純度Mnを用意し、また必要に応じてMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上を添加する場合は、純度99.9質量%以上のMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaを用意し、さらに必要に応じてSbを添加する場合は、純度99.9質量%以上のSbを用意する。そして、まず高純度Agを高真空もしくは不活性ガス雰囲気中で溶解して得られた高純度Ag溶湯を作製し、このAg溶湯にMnを所定の含有量となるように添加する。また必要に応じてMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上を所定の含有量となるように添加し、さらにSbを所定の含有量となるように添加する。
このようにして得られたMn含有Ag合金溶湯を鋳型に鋳造してインゴットを作製し、これらインゴットを冷間加工したのち機械加工することにより製造することができる。このようにして作製したAg合金スパッタリングターゲットを用い、通常のスパッタリング装置を用いて本実施形態の導電体膜を形成することができる。なお、Mnは、予め作製したAgMn母合金として添加すると比率制御の観点からより好ましい。
このように本実施形態の導電体膜では、Mnを、0.05〜2原子%含有した銀合金で構成されているので、タッチパネルの引き出し配線等に要求される比抵抗を維持しつつ高い耐塩化性及び透明導電膜との密着性を得ることができる。
また、さらにMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上を合計で4原子%以下含有させることで、透明導電膜との密着性をさらに向上させると共に、膜の耐湿性及び耐塩化性を著しく向上させることができる。
また、さらにSbを0.4〜2.0原子%含有させることで、膜の耐熱性、耐湿性及び耐塩化性を著しく向上させることができる。
次に、本発明に係る導電体膜及びその製造方法並びに導電体膜形成用スパッタリングターゲットの実施例として、様々な導電体膜を作製し、評価した結果を説明する。
まず、原料として、純度:99.99原子%以上のAgと、純度:99.9原子%以上のMnと、必要に応じて純度:99.99原子%以上のMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上とを用意した。上記Agを高周波真空溶解炉で溶解してAg溶湯を作製し、このAg溶湯にMnを添加し、さらに必要に応じてMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上を添加し、さらに必要に応じてSbを添加して溶解し鋳造することによりインゴットを作製した。得られたインゴットを冷間圧延したのち、大気中で600℃、2時間保持の熱処理を施し、次いで機械加工することにより直径:152.4mm、厚さ:6mmの寸法を有する本発明の実施例ターゲット1〜54及び比較例ターゲット1〜5を作製した。
次に、本発明の実施例ターゲット1〜54を用いてスパッタすることでそれぞれ導電体膜の実施例1〜54を作製した。また、同様に、比較例ターゲット1〜5を用いてスパッタすることでそれぞれ導電体膜の比較例1〜5を作製した。
(a)膜のシート抵抗測定
上記本実施例ターゲット1〜54及び比較例ターゲット1〜5をそれぞれ無酸素銅製のバッキングプレートにはんだ付けし、これを直流マグネトロンスパッタ装置に装着した。また、市販のITOターゲットも同様に、同時に直流マグネトロンスパッタ装置に装着した。
次に、真空排気装置にて直流マグネトロンスパッタ装置内を5×10−5Pa以下まで排気した後、ArガスおよびOガスを99:1の流量比で導入して0.5Paのスパッタガス圧とし、続いて直流電源にてITOターゲットに250Wの直流スパッタ電力を印加することにより上記ターゲットに対向しかつ70mmの間隔を設けて上記ターゲットと平行に配置した縦:30mm、横:30mmの四角形状のコーニング社製#1737ガラス基板上にITOを20nm成膜した。続けてArガスのみを導入して0.5Paのスパッタガス圧とし、直流電源にて上記の実施例または比較例ターゲットに250Wの直流スパッタ電力を印加することにより、ITOが成膜されたガラス基板上に表1及び表2に示される成分組成を有する本実施例の導電体膜(実施例1〜54)及び比較例の導電体膜(比較例1〜5)を形成した。なお、これらの導電体膜の厚さは、200nmとした。
これら各導電体膜の成分組成を表1及び表2に示す。なお、膜の組成は、別途1μm成膜し、その組成を電子線マイクロプローブアナライザ(EPMA)により測定した。
また、表1及び表2に示される成分組成を有する本発明の実施例1〜54及び比較例1〜5の導電体膜について、そのシート抵抗を四探針法により測定した。その結果を表1及び表2に示す。
(b)膜の耐湿性評価
上記ITO上に成膜した実施例1〜54及び比較例1〜5の各導電体膜の試料を、80℃、湿度85%の恒温恒湿層中に入れて、100時間の保存試験を行った。100時間保持後、恒温恒湿層から取り出し、目視にて膜表面に発生する斑点状の欠陥の有無を確認した。膜に全く欠陥が見られないものを良「○」、欠陥の発生が見られるものを不良「×」とし、2段階の評価を行った。これらの測定結果を表1及び表2に示す。
(c)膜の耐塩化性評価
上記実施例1〜54及び比較例1〜5の各導電体膜の試料を、室温で、5%NaCl水溶液中に24時間浸漬した後、水溶液から取り出して純水で十分にすすいだ後、乾燥空気を噴射して水分を取り除いた。これらの試料について目視および光学顕微鏡により膜表面を観察し、目視で鏡面を保っており、かつ光学顕微鏡でも図2の(a)に示すように欠陥がほとんど見られないものを優良「◎」、目視では鏡面を保っているが、光学顕微鏡観察では、図2の(b)に示すように細かな黒点状の欠陥の発生が多数みられるものを良「○」、目視で白濁が発生しているものを不良「×」とする3段階の評価を行った。これらの測定結果を表1及び表2に示す。
(d)膜の密着性評価
密着性評価用の試料は、市販のPETフィルム基板上にITOを20nm成膜した後、スパッタ装置から取り出すことにより、ITO膜表面を一度大気に曝し、その後再びスパッタ装置に装填して、ITO上に上記実施例1〜54及び比較例1〜5の各導電体膜を200nm成膜した。なお、密着性の評価は、JIS K5600 5−6にて規定される方法(クロスカット法)を参考にした。上記各導電体膜の表面に1mmの間隔でカッター刃にて切り込みを入れることにより、10マス×10マス=100マスの格子を描き、その部分に市販のセロハンテープ(3M社製 No.375)を、一旦貼り付けてから引き剥がした。上記各導電体膜とITOとの密着性が弱い場合、テープの粘着力によりマス目から膜が引き剥がされる。本評価においては、100マスの内、膜が完全に残っているマス目の数を数え、これを密着性の指標とした。なお、100マス中に膜が完全に残っているマス目が80以上であることを良好であると判断した。
(e)膜の耐熱性評価
上記実施例1〜54及び比較例1〜5の各導電体膜の試料に対し、大気雰囲気中、220℃、1時間の熱処理を行った後、膜表面を対物50倍、対眼10倍の光学顕微鏡の暗視野像にて観察、撮影した。暗視野像であるため、表面に突起(ヒロック)が生じている場合、その突起は白く光る点として検出される。撮影した画像の290μm×200μmの範囲に存在するヒロックの個数を画像処理ソフトウェア(三谷商事社製、Winroof)により計測した。
このヒロックの個数が耐熱性の指標となり、ヒロックが少ないほど程、耐熱性が高いことを表している。
これらの評価結果から本発明の実施例1〜54の導電体膜は、Mnが本発明の含有量範囲より少ない比較例1の導電体膜に比べて耐湿性又は耐塩化性に優れていることがわかる。また、実施例1〜54の導電体膜は、タッチパネルの引き出し配線用の導電体膜として十分に低い比抵抗が得られている。なお、Mn又はPdが本発明の含有量範囲より多い比較例3及び4は、シート抵抗が実施例1〜54の導電体膜よりも高い値を示している。さらに、比較例1,2の導電性膜は、透明導電膜に対する密着性が低いのに対し、実施例1〜54の導電体膜は、密着性についても全て良好な結果が得られている。
なお、所定量のSbを添加した実施例32〜36は、他の実施例、比較例に比べて耐熱性に優れていることがわかる。
なお、本発明をスパッタリングターゲットとして利用するためには、面粗さ:3μm未満、粒径:500μm未満、酸素含有量:300ppm未満、Bi:100ppm以下、Pb:100ppm以下、Cu:200ppm以下、Fe:200ppm以下、トータル純度:3N以上であることが好ましい。上記各実施例は、いずれもこれらの条件を満たしたものである。
また、本発明の技術範囲は上記実施形態および上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1…基材、2…透明導電膜、3…引き出し配線膜(本実施形態の導電体膜)

Claims (12)

  1. Mnを、0.05〜2原子%含有し、
    残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されていることを特徴とする導電体膜。
  2. Mnを、0.05〜2原子%含有し、
    さらにMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上を、合計で4原子%以下含有し、
    残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されていることを特徴とする導電体膜。
  3. Mnを、0.05〜2原子%含有し、
    さらにSbを、0.4〜2.0原子%含有し、
    残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されていることを特徴とする導電体膜。
  4. Mnを、0.05〜2原子%含有し、
    Sbを、0.4〜2.0原子%含有し、
    さらにMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上を合計で4原子%以下含有し、
    残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されていることを特徴とする導電体膜。
  5. Mnを、0.05〜2原子%含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されているスパッタリングターゲットを用いてスパッタにより成膜することを特徴とする導電体膜の製造方法。
  6. Mnを、0.05〜2原子%含有し、さらにMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上を合計で4原子%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されているスパッタリングターゲットを用いてスパッタにより成膜することを特徴とする導電体膜の製造方法。
  7. Mnを、0.05〜2原子%含有し、さらにSbを、0.4〜2.0原子%含有し、
    残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されているスパッタリングターゲットを用いてスパッタにより成膜することを特徴とする導電体膜の製造方法。
  8. Mnを、0.05〜2原子%含有し、Sbを、0.4〜2.0原子%含有し、さらにMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上を合計で4原子%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されているスパッタリングターゲットを用いてスパッタにより成膜することを特徴とする導電体膜の製造方法。
  9. Mnを、0.05〜2原子%含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されていることを特徴とする導電体膜形成用スパッタリングターゲット。
  10. Mnを、0.05〜2原子%含有し、さらにMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上を合計で4原子%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されていることを特徴とする導電体膜形成用スパッタリングターゲット。
  11. Mnを、0.05〜2原子%含有し、さらにSbを、0.4〜2.0原子%含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されていることを特徴とする導電体膜形成用スパッタリングターゲット。
  12. Mnを、0.05〜2原子%含有し、Sbを、0.4〜2.0原子%含有し、さらにMg,Zn,Pd,In,Sn及びGaのうち1種又は2種以上を合計で4原子%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の銀合金で構成されていることを特徴とする導電体膜形成用スパッタリングターゲット。
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WO2024070277A1 (ja) * 2022-09-30 2024-04-04 北川工業株式会社 導電反射膜

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