JP2015178239A - 積層膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明導電膜とAg合金膜との密着性に優れ、耐硫化性や耐熱性などの耐性が高く、かつ、純銀と同等の反射率及び抵抗率を有する積層膜を提供する。
【解決手段】Ag合金膜11と、このAg合金膜11に積層された透明導電膜12と、を備えた積層膜10であって、Ag合金膜11は、Sb;0.1原子%以上2.0原子%以下を含有し、残部がAgと不可避不純物とからなる組成を有しており、Ag合金膜11と透明導電膜12との界面に、Sbと酸素とを含むSb酸化物層13が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば電子機器の反射膜や配線電極膜などに用いられる積層膜に関するものである。
一般に、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイやLED等の発光素子等においては、透過型電極層や反射型電極層として、反射率が高くて抵抗率の低い金属膜を有する積層膜が用いられている。
例えば、特許文献1、2においては、有機EL素子の電極として、金属膜の表面に対して酸素プラズマ処理等を施して表面酸化膜を形成し、仕事関数を大きくした積層膜が用いられている。
また、特許文献3,4においては、有機EL素子の電極として、金属膜の表面にITO等の透明導電膜を形成し、光学特性を向上させた積層膜が用いられている。
ここで、表面酸化膜を有する積層膜においては、酸素プラズマ処理の際のダメージにより、反射率が低下するとともに抵抗率が上昇するおそれがあった。また、金属膜として純銀からなるAg膜を用いた場合、耐硫化性が不十分となり、大気中における使用により反射率が低下するとともに抵抗率が上昇するおそれがあった。
さらに、ITO等の透明導電膜を形成した積層膜においては、金属膜と透明導電膜との間の密着性が不十分であると、仕事関数向上のために行う透明導電膜に対する酸素プラズマ処理の際にアーキングによって膜の剥離が生じたり、パターニング後に断面に隙間が生じて硫化に対する耐食性が低下したりするおそれがあった。なお、これらの現象は、有機EL素子を作製した後に、発光が起こらないブラックポイント(BP)と呼ばれる欠陥の原因となる。
そこで、特許文献5には、積層電極膜として、Ag−In合金からなるAg合金薄膜層と、透明酸化物層とを備えた積層電極膜が提案されている。特許文献5に記載された積層電極膜においては、Ag−In合金からなるAg合金薄膜層と透明酸化物層との接合界面にIn酸化物が形成されることにより、Ag合金薄膜層と透明酸化物層との密着性の向上を図っている。
特開2006−294261号公報 国際公開第2010/032443号 特開2004−103247号公報 特開2011−009790号公報 特開2012−221668号公報
ところで、特許文献5に記載された積層電極膜においては、Ag合金膜としてAg−In合金を用いていることから、密着性を向上させるためにInの含有量を多くすると、純銀に比べて反射率が大きく低下するとともに抵抗率が大きく上昇する。
最近では、有機EL素子等の小型化及び高輝度化が進められており、上述の積層電極膜には、純銀と同等の高い反射率と低い抵抗率が要求されている。このため、できるだけ純銀と同等の反射率、抵抗率を維持しつつ、透明導電膜とAg合金膜との密着性が確保された積層電極膜(積層膜)が求められている。さらに、有機EL素子等に用いられる積層膜においては、作製工程で大気中の高温環境下に置かれることもあることから、これらの環境による劣化を抑制するために、耐硫化性、耐熱性も求められている。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、透明導電膜とAg合金膜との密着性に優れ、耐硫化性や耐熱性などの耐性が高く、かつ、純銀と同等の反射率及び抵抗率を有する積層膜を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の積層膜は、Ag合金膜と、このAg合金膜に積層された透明導電膜と、を備えた積層膜であって、前記Ag合金膜は、Sb;0.1原子%以上2.0原子%以下を含有し、残部がAgと不可避不純物とからなる組成を有しており、前記透明導電膜と前記Ag合金膜との界面に、Sbと酸素とを含むSb酸化物層が形成されていることを特徴としている。
このような構成とされた本発明の積層膜においては、Ag合金膜と透明導電膜との間に、Sbと酸素を含むSb酸化物層が形成されているので、Ag合金膜と透明導電膜との密着性が大幅に向上することになる。
そして、Ag合金膜におけるSbの含有量が0.1原子%以上とされているので、耐熱性、耐硫化性を向上させることができるとともに、上述のSb酸化物層を確実に形成してAg合金膜と透明導電膜との密着性を向上させることができる。また、Ag合金膜におけるSbの含有量が2.0原子%以下とされているので、純銀と同等の反射率及び抵抗率を確保することができる。
また、本発明の積層膜は、Ag合金膜と、このAg合金膜に積層された透明導電膜と、を備えた積層膜であって、前記Ag合金膜は、In;0.05原子%以上0.5原子%以下、Sb;0.05原子%以上1.5原子%以下を含有し、残部がAgと不可避不純物とからなる組成を有しており、前記透明導電膜と前記Ag合金膜との界面に、Sbと酸素とを含むSb酸化物層が形成されていることを特徴としている。
このような構成とされた本発明の積層膜においては、Ag合金膜と透明導電膜との間に、Sbと酸素を含むSb酸化物層が形成されているので、Ag合金膜と透明導電膜との密着性が大幅に向上することになる。
そして、Ag合金膜が、Sbに加えてInを含有しており、Inの含有量が0.05原子%以上及びSbの含有量が0.05原子%以上とされていることから、耐硫化性及び密着性の更なる向上を図ることができる。また、Inの含有量が0.5原子%以下及びSbの含有量が1.5原子%以下とされているので、純銀と同等の反射率及び抵抗率を確保することができる。
以上のように、本発明によれば、透明導電膜とAg合金膜との密着性に優れ、耐硫化性や耐熱性などの耐性が高く、かつ、純銀と同等の反射率及び抵抗率を有する積層膜を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る積層膜の概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る積層膜の界面近傍の拡大説明図である。 本発明の一実施形態に係る積層膜の製造方法の一例を示すフロー図である。 積層膜(アニール処理無し)における酸素およびアンチモンのXPS深さ方向状態分析結果を示す図である。 積層膜(アニール処理有り)における酸素およびアンチモンのXPS深さ方向状態分析結果を示す図である。 積層膜(アニール処理有り)における深さ方向の組成分析結果を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態について添付した図面を参照して説明する。
本実施形態に係る積層膜10は、例えば有機EL素子の陽極(電極膜)として使用されるものである。
積層膜10は、図1に示すように、Sbを含有するAg合金からなるAg合金膜11と、このAg合金膜11の上に形成された透明導電膜12と、を備えている。
そして、このAg合金膜11と透明導電膜12との接合界面には、Sbと酸素とを含むSb酸化物層13が形成されている。
Ag合金膜11は、Sbを0.1原子%以上2.0原子%以下の範囲内で含有し、残部がAgと不可避不純物とからなる組成を有している。あるいは、Ag合金膜11は、Sbに加えてさらにInを含有し、Inの含有量が0.05原子%以上0.5原子%以下、Sbの含有量が0.05原子%以上1.5原子%以下の範囲内とされ、残部がAgと不可避不純物とからなる組成とされている。
ここで、Ag合金膜11の各元素の含有量を上述のように規定した理由について、以下に説明する。
(Sb:0.1原子%以上2.0原子%以下)
Sbは、反射率を大きく低下させることなく、かつ、抵抗率を大きく上昇させることなく、Ag合金膜11の耐熱性、耐硫化性を向上させる作用効果を有する元素である。また、後述するように、Ag合金膜11と透明導電膜12との界面に、Sbと酸素を含むSb酸化物層を形成することにより、Ag合金膜11と透明導電膜12との密着性を向上させる作用効果も有する。
ここで、Sbの含有量が0.1原子%未満の場合には、上述の作用効果を十分に奏功せしめることができないおそれがある。一方、Sbの含有量が2.0原子%を超えた場合には、反射率が低下するとともに抵抗率が上昇してしまい、電極膜としての特性を確保できなくなるおそれがある。
このような理由から、本実施形態では、Sbの含有量を、0.1原子%以上2.0原子%以下の範囲内に設定している。なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、Sbの含有量を、0.3原子%以上1.5原子%以下の範囲内とすることが好ましい。
(In:0.05原子%以上0.5原子%以下、Sb:0.05原子%以上1.5原子%以下)
Inは、Sb含むAg−Sb合金に添加されることにより、Ag合金膜11の耐硫化性をさらに向上させる作用効果を有する。また、Ag合金膜11と透明導電膜12との密着性をさらに向上させる作用効果を有する。一方、Inは、Ag合金膜11の反射率を大きく低下させるとともに抵抗率を大きく上昇させる元素でもある。このため、Inを添加する場合には、InとSbの含有量を規定する必要がある。
ここで、InおよびSbの含有量がそれぞれ0.05原子%未満の場合には、上述の作用効果を十分に奏功せしめることができないおそれがある。一方、Inの含有量が0.5原子%、Sbの含有量が1.5原子%を超えた場合には、反射率が低下するとともに抵抗率が上昇してしまい、電極膜としての特性を確保できなくなるおそれがある。
このような理由から、本実施形態では、Inの含有量を0.05原子%以上0.5原子%以下、Sbの含有量を0.05原子%以上1.5原子%以下の範囲内に設定している。なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、Inの含有量を0.1原子%以上0.5原子%以下、Sbの含有量を0.2原子%以上1.0原子%以下とすることが好ましい。
なお、上述のように、Inは、耐硫化性、Ag合金膜11と透明導電膜12との密着性を向上させる利点を有する反面、Ag合金膜11の反射率を大きく低下させるとともに抵抗率を大きく上昇させる欠点も有している。よって、Ag合金膜11にInを添加する場合には、要求される特性に応じて、InとSbの含有量の比率を調整するとともに、InとSbとの合計含有量を上述の範囲内で調整することが好ましい。Inを添加する場合には、InとSbとの原子比In/Sbを、0.1≦In/Sb≦0.5の範囲内とすることが好ましい。
透明導電膜12は、TCO(Transparent Conductive Oxide)で構成されており、具体的には、例えば、酸化インジウム系の酸化物又は酸化亜鉛系の酸化物によって構成されている。上述の酸化インジウム系の酸化物は、酸化インジウム(In)、スズを添加した酸化インジウム(ITO)のうちのいずれかで構成されていることが好ましい。また、酸化亜鉛系の酸化物は、酸化亜鉛(ZnO)、アルミニウムを添加した酸化亜鉛(AZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)のうちのいずれかで構成されていることが好ましい。
なお、酸化インジウム系の酸化物とは、酸化インジウム(80mass%以上)を主成分とする酸化物のことを意味している。また、酸化亜鉛系の酸化物とは、酸化亜鉛を主成分とする酸化物のことを意味している。添加する元素は、酸化物の形で添加することが好ましく、その添加する酸化物は、0.5〜20mass%であることが好ましい。
ここで、本実施形態では、透明導電膜12の厚さt2は、5nm以上100nm以下の範囲内とされている。
Sb酸化物層13は、Ag合金膜11に含有されたSbが、界面に濃集することによって形成されるものである。なお、Inを添加したAg合金からなるAg合金膜11の場合には、Sb酸化物層13には、Inも含有されることになる。
ここで、本実施形態では、Sb酸化物層13の厚さt1は、5nm以下とされている。なお、Sb酸化物層13の厚さt1は、1nm以上5nm以下の範囲内とすることが好ましい。
このSb酸化物層13は、上述のAg合金膜11、透明導電膜12いずれとも濡れ性が良いため、Ag合金膜11と透明導電膜12との間に介在することにより、それらの密着性を向上させ、また、透明導電膜12が10nm以下の薄膜の場合でも、凝集して島状の不連続膜になるのを防ぎ、隙間のない均一な透明導電膜を形成することに大きな効果を持つ。
このような構成の積層膜10においては、反射率が高く、かつ、抵抗率が低い。具体的には、積層膜10の反射率は、可視域(波長400〜800nm)の平均値で96%以上であることが好ましく、97%以上であることがさらに好ましい。また、積層膜10の抵抗率は、4.0μΩ・cm以下であることが好ましく、3.5μΩ・cm以下であることがさらに好ましい。
次に、本実施形態に係る積層膜10の製造方法について、図3のフロー図を用いて説明する。
まず、スパッタリング法により、Sbを含むAg合金ターゲットを用いてAg合金膜11を形成する(Ag合金膜形成工程S01)。ここで、使用するAg合金ターゲットの組成及びスパッタ条件を調整することにより、成膜されたAg合金膜11の組成を上述の範囲内となるように制御する。
ここで、Ag合金膜形成工程S01によって形成したAg合金膜11の表面には、Sb酸化物層13が形成される。
また、このSb酸化物層13を確実に形成する場合には、Ag合金膜11を大気中で熱処理する(アニール処理工程S02)。ここで、アニール条件は、温度;200℃以上400℃以下の範囲内、保持時間;0.5時間以上3時間以下の範囲内とすることが好ましい。このアニール処理工程S02によって、Sb酸化物層13の厚さt1を2.0nm以上とすることが可能となる。
次に、上記のように、Sb酸化物層13が形成されたAg合金膜11の上に、さらに、スパッタリング法により、酸化インジウム系の酸化物ターゲット又は酸化亜鉛系の酸化物ターゲットを用いて、透明導電膜12を形成する(透明導電膜形成工程S03)。スパッタリング法により透明導電膜12を形成する際には、抵抗率が最小となるように酸素ガスを導入して行うことが好ましい。
このように形成された積層膜10は、その後、熱処理、エッチング処理、酸素プラズマ処理等が施された後、有機EL膜が形成され、有機EL素子が製造される。
以上のような構成とされた本実施形態である積層膜10によれば、Ag合金膜11と透明導電膜12との間に、Sbと酸素を含むSb酸化物層13が形成されているので、Ag合金膜11と透明導電膜12との密着性が大幅に向上する。すなわち、Ag合金膜11の表面に、Ag合金膜11に含有されたSbが表面に濃集することによりSb酸化物層13が形成され、このSb酸化物層13が、TCOからなる透明導電膜12と結合するため、Ag合金膜11と透明導電膜12との密着性が大幅に向上することになる。
また、本実施形態では、Ag合金膜11におけるSbの含有量が0.1原子%以上とされているので、耐熱性、耐硫化性を向上させることができるとともに、上述のSb酸化物層13を確実に形成してAg合金膜11と透明導電膜12との密着性を向上させることができる。
一方、Ag合金膜11におけるSbの含有量が2.0原子%以下とされているので、純銀と同等の反射率及び抵抗率を確保することができる。
あるいは、本実施形態では、Ag合金膜11がSbに加えてInを含有しており、Inの含有量が0.05原子%以上及びSbの含有量が0.05原子%以上とされているので、耐硫化性及び密着性の更なる向上を図ることができる。
一方、Inの含有量が0.5原子%以下及びSbの含有量が1.5原子%以下とされているので、純銀と同等の反射率及び抵抗率を確保することができる。
また、本実施形態においては、Sb酸化物層13の厚さが5nm以下と比較的薄くされているので、積層膜10の反射率の低下及び抵抗率の上昇を抑制することができる。
さらに、本実施形態においては、必要に応じてアニール工程S02を有し、Sb酸化物層13の厚さが2.0nm以上とされているので、Ag合金膜11と透明導電膜12との密着性を確実に向上させることができる。
また、本実施形態においては、透明導電膜12の厚さが5nm以上とされているので、例えば酸素プラズマ処理を実施した場合であっても透明導電膜12が消失することが抑制され、積層膜10の耐食性を確保することができる。
さらに、本実施形態においては、透明導電膜12の厚さが100nm以下とされているので、高い反射率及び低い抵抗率を確保することができる。
以下に、本発明に係る積層膜の作用効果について評価した評価試験の結果について説明する。
本発明例1−1〜1−3及び本発明例2−1〜2−3では、Ag−Sb合金ターゲットを用いて、室温でスパッタリングを行い、表1に示す組成のAg合金膜(厚さ100nm)を形成した。
本発明例3−1〜3−4及び本発明例4−1〜4−4では、Ag−Sb−In合金ターゲットを用いて、室温でスパッタリングを行い、表1に示す組成のAg合金膜(厚さ100nm)を形成した。
比較例1−1、比較例2−1では、純銀ターゲットを用いて、室温でスパッタリングを行い、表1に示す組成のAg膜(厚さ100nm)を形成した。
比較例1−2、比較例2−2では、Ag−In合金ターゲットを用いて、室温でスパッタリングを行い、表1に示す組成のAg合金膜(厚さ100nm)を形成した。
比較例1−3、1−4、比較例2−3、2−4では、Ag−Sb合金ターゲットを用いて、室温でスパッタリングを行い、表1に示す組成のAg合金膜(厚さ100nm)を形成した。
なお、本発明例2−1〜2−3、本発明例4−1〜4−4及び比較例2−1〜2−4においては、Ag合金膜を形成した後に、大気中、200℃×1時間の条件で、アニール処理を行った。
次に、上述のAg合金膜の上に、スパッタ法により、厚さ10nmのITO膜を形成して積層膜を形成した。
得られた積層膜に対して、フォトリソグラフィー及びエッチングにより、Line/Spaceが30μmの配線パターンを形成した後に酸素プラズマ処理を実施した。
ここで、Ag合金膜(Ag膜)、透明導電膜を形成する際のスパッタ条件は、以下に示す通りである。
(スパッタリング成膜条件)
スパッタリング装置:DCマグネトロンスパッタ装置(アルバック社製 CS−200)
磁界強度:1000Gauss(ターゲット直上の垂直成分の磁界強度)
到達真空度:5×10−5Pa未満
スパッタリングガス:Ar(アルゴン)
透明導電膜形成時の導入酸素流量:1〜3sccm
スパッタリングガス圧:0.5Pa
スパッタリングパワー:DC200W
ターゲットサイズ:4インチφ×6mmt
得られたAg合金膜(Ag膜)及び積層膜について、以下のように評価を行った。
(積層膜の表面分析)
形成された積層膜の表面分析を以下のようにして実施した。
積層膜について、ULVAC PHI社製model−5600LSを用いて深さ方向のXPS分析を実施した。アニール処理を実施していない積層膜のXPS分析結果の一例を図4に示す。また、アニール処理を行った積層膜のXPS分析結果の一例を図5に示す。また、アニール処理を行った積層膜における深さ方向の組成分析結果を図6に示す。
この分析結果より、Sbと酸素とを含むSb酸化物層の厚さを、Arガスによるスパッタで膜を削り取りながらXPS深さ方向元素分析を進める際のスパッタ速度に、Sb酸化状態のXPSピークが出現してから消失するまでのスパッタ時間を乗じて算出した。そのSb酸化物層の厚さを表1に示す。
(反射率)
分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、U4100)を用いて、400nm〜800nmの波長範囲における積層膜の反射率スペクトルを測定し平均反射率を求めた。評価結果を表2に示す。
(抵抗率)
表面抵抗測定器(三菱油化社製、Loresta AP MCP−T400)を用いて、四探針法により、積層膜の抵抗率を測定した。測定結果を表2に示す。
(膜の剥がれ)
エッチング及び酸素プラズマ処理を実施した後の積層膜の表面について光学顕微鏡観察(キーエンス社製 デジタルマイクロスコープ VHX−100)、SEM観察(日立ハイテクノロジーズ社製 SU8000)を行い、膜が局所的に剥がれた箇所の単位面積当たりの個数を評価した。なお、剥がれた箇所の個数は、光学顕微鏡において画像処理ソフトを用いて導出した。評価結果を表2に示す。
(変色)
得られた積層膜を、大気中に1週間放置した後に、膜表面の観察を行い、硫化による変色度合を評価した。評価結果を表2に示す。
Figure 2015178239
Figure 2015178239
純銀からなるAg膜の上に透明導電膜を形成した比較例1−1においては、反射率が高く、かつ、抵抗率が低いが、膜の剥がれ箇所が多く、大気中に1週間保管後の変色が著しい。なお、Ag膜にアニール処理を実施した比較例2−1においては、Ag膜の反射率が低下し、抵抗率が上昇した。また、膜の剥がれ箇所がさらに多く、大気中に1週間保管後の変色が著しい。
Inを1.5原子%含有するAg−In合金からなるAg合金膜を形成した比較例1−2、2−2においては、反射率が低く、抵抗率も高かった。
Sbの含有量が0.05原子%とされた比較例1−3、2−3においては、膜の剥がれ箇所が多く、変色も著しかった。
Sbの含有量が3.0原子%とされた比較例1−4、2−4においては、反射率が低く、抵抗率も高かった。
本発明例1−1〜1―3及び本発明例3−1〜3―4においては、表1に示すように、Ag合金膜の表面に1.0〜2.0nmのSb酸化物層が形成されていることが確認された。
また、アニール処理を施した本発明例2−1〜2―3及び本発明例4−1〜4―4においては、表1に示すように、Ag合金膜の表面に2.0nm〜4.8nmのSb酸化物層が確認された。
Ag合金膜の表面にSb酸化物層が形成された本発明例1−1〜1―3、本発明例2−1〜2―3、本発明例3−1〜3―4及び本発明例4−1〜4―4においては、反射率が高く、抵抗率も低かった。また、膜の剥がれも抑えられており、大気中での変色も抑制されていた。
以上のことから、本発明例によれば、Ag合金膜の表面にSbと酸素を含むSb酸化物層が形成されており、Ag合金膜と透明導電膜との密着性に優れ、かつ、反射率が高く、抵抗率が低く、耐硫化性および耐熱性に優れた積層膜を提供可能であることが確認された。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態及び上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、基板上にAg合金薄膜層、透明酸化物層の順に積層しているが、逆に透明酸化物層、Ag合金薄膜層の順に積層しても構わない。また、Ag合金薄膜層の上下に透明酸化物層を積層した三層構造としても構わない。さらに、基板上に積層電極膜を直接形成しているが、他の層などを介して積層しても構わない。
10 積層膜
11 Ag合金膜
12 透明導電膜
13 Sb酸化物層

Claims (2)

  1. Ag合金膜と、このAg合金膜に積層された透明導電膜と、を備えた積層膜であって、
    前記Ag合金膜は、Sb;0.1原子%以上2.0原子%以下を含有し、残部がAgと不可避不純物とからなる組成を有しており、
    前記透明導電膜と前記Ag合金膜との界面に、Sbと酸素とを含むSb酸化物層が形成されていることを特徴とする積層膜。
  2. Ag合金膜と、このAg合金膜に積層された透明導電膜と、を備えた積層膜であって、
    前記Ag合金膜は、In;0.05原子%以上0.5原子%以下、Sb;0.05原子%以上1.5原子%以下を含有し、残部がAgと不可避不純物とからなる組成を有しており、
    前記透明導電膜と前記Ag合金膜との界面に、Sbと酸素とを含むSb酸化物層が形成されていることを特徴とする積層膜。
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