JPH08239805A - 上下振動用制振装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 風や交通振動による橋梁などの上下振動を低
減するのに利用できる制振装置。 【構成】 ベースフレーム１の縁部に直立した複数のガ
イド柱６に囲まれた内側にコイルばね２を並べ、この一
群コイルばねの上に上記柱６によって誘導されるガイド
ローラー９を有する重錘４を載置し、オイルダンパー８
の一端をベースフレーム１に固定し、他端をキャンチレ
バー７の一端に枢着し、そのキャンチレバー７の他端を
重錘４に枢着した上下振動用制振装置。コイルばね２が
安定板３を介して何段か重なった構造になっており、安
定板３がガイドローラー５によって誘導される構造のも
のが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、上下方向の振動を抑制
するための制振装置、例えば風や交通振動による橋梁な
どの上下振動を低減するのに利用できる制振装置であ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、鋼箱桁橋の振動を防止するために
Ｔ．Ｍ．Ｄ（Ｔｕｎｅｄ ＭａｓｓＤａｍｐｅｒ）が提
案され、実際に用いられている。このＴ．Ｍ．Ｄはベー
スフレームの一端に直立した支柱の頂部にある支点で一
端を支えられたキャンチレバーの他端に重錘を固定し、
支点と重錘との間にキャンチレバーを押上げるように取
付けた大型のコイルバネとオイルダンパーを備えたもの
である。しかし、このような装置は次のような問題点が
ある。 （１）必要とするコイルばねが大型になり、製作ができ
ない場合もある。 （２）コイルばねの座屈を防止するためにガイドを必要
とする場合があり、その場合は製作のための費用が大に
なる。 （３）装置全体の形状が大きくなるので設置するために
必要な場所が大きくなる。

【０００３】（４）支点部の反力が大きくなり摩擦が大
きくなるので小さな加速度では作動しない。 （５）変位振幅により、振動数が非線形になる。 （６）装置全体の価格が高い。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記、従来
の制振装置の欠点を改善した新しい制振装置を提供しよ
うとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の構成は、特許請求の範囲に記載のとおりの上
下振動用制振装置である。すなわち、（１）ベースフレ
ームの縁部に直立した複数のガイド柱を備え、このガイ
ド柱に囲まれた内側にコイルばねを複数個配置し、この
コイルばねの上に、上記ガイド柱によって誘導されるガ
イドローラーを有する重錘を載置し、一端をベースフレ
ームに固定したオイルダンパーの他端とキャンチレバー
の一端を枢着し、このキャンチレバーの他端は重錘に枢
着して成る上下振動用制振装置。 （２）ガイド柱に囲まれた内側に配置された複数個のコ
イルばねが、ガイド柱によって誘導されるガイドローラ
ーを有する安定板を介して二段以上重なるように配置さ
れている上記（１）記載の上下振動用制振装置である。

【０００６】図面を参照してこの構成を具体的に説明す
ると、図１は本発明の制振装置の正面図、図２は同平面
図、図３は同側面図、図４は部分拡大説明図である。図
に示すようにベースフレーム１の大体４隅にガイド柱６
を垂直に設け、それに囲まれた位置に必要な個数のコイ
ルばね２を並べ、その上に重錘４を載せる。重錘４には
ガイド柱６によって誘導されるようにガイドローラー９
が設けられている。ベースフレームの一端には、ガイド
柱６に並んでオイルダンパー８の一端が固定され、その
他端はキャンチレバー７の一端に取付けられている。キ
ャンチレバー７の他端は重錘４の側面に設けられたノブ
１２に係合しており、キャンチレバー７はキャンチレバ
ーの支柱１１によって支えられている。

【０００７】コイルばね２として長いばねを用いる場合
は、その座屈を防止するためにガイドローラー５を有す
る安定板３を中間部に設けるとよい。この場合拡大図、
図４に示すように、ばねに接する安定板３の面に、ばね
２に係合する突起１３を設けておき、ばね２として座屈
を起さない程度の短いものを、安定板３を介して重ねて
用いればよい。ばね２に係合する突起１３に替り、安定
板３の表面に、ばねの端部が入る凹部を設けてあっても
よい。また、オイルダンパーの一端はベースフレームに
固定する替りに振動を防止しようとする構造物に直接取
付けてもよい。

【０００８】

【作用】このような制振装置は、外力により、上下方向
の振動が入力されるとコイルばねの伸縮によって重錘が
上下方向の振動をし、オイルダンパーがその減衰を行
う。重錘の重量にしたがって、一段に並べるコイルばね
の個数が決り、重錘が動く固有振動数によってコイルば
ねの長さ、すなわち段数が決められる。重錘とコイルば
ねの上下振動は極めて円滑に行われる。本発明の制振装
置は従来の制振装置に比較して以下のような利点があ
る。

【０００９】（１）小形のコイルばねのみで所定の反
力、所定の長さのものが得られるので、製作費の安い部
材のみで作製することができる。 （２）ばね部分の長さが大きくなっても座屈防止のため
に特別の構造をとる必要がない。 （３）重錘をばねの上に直接載せるので、重錘を支持す
るための部材を必要とせず、かつ、装置の容積の小さく
なる。 （４）部材相互に大きな摩擦を発生する所がない。 （５）振幅によって振動数が変化することがないので、
所定の性能を維持することができる。 （６）高精度の加工を必要とする部材が少ないので作動
が確実な装置ができる、こと等である。 以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。

【００１０】

【実施例】図１〜図３に示すように、長さ４３００ｍ
ｍ、幅２２５０ｍｍ、厚さ３００ｍｍのベースフレーム
上に、外径３２０ｍｍ、高さ３００ｍｍのコイルばねを
ベースフレームの長さ方向に６個並べた列を幅方向に４
列配置して１段とした。２段目は１段目のコイルばねの
上にガイドローラー５と、図４に示すばね取付けのため
のガイド１０を有する安定板３を載せ、１段目のコイル
ばね２の垂直線上に２段目のコイルばねを配置した。こ
の２段目のコイルばねの上に安定板３を載せ、２段目の
コイルばねと同様に３段目のコイルばね２を並べた。最
後に重錘４を載せる。

【００１１】重錘４の重量は２５０００ｋｇで、四隅の
ガイドローラー９を介してガイド柱６の上下間を自由に
移動できる。オイルダンパー８の一端をベースフレーム
１に固定し、他端はキャンチレバー７の一端と枢着す
る。キャンチレバー７の他端は図３に示すように重錘４
と枢着している。このような配置により、重錘が振動し
た場合には、上下方向のみ移動し、水平方向には動かな
いのでオイルダンパー８により有効に減衰できる。この
実施例の上記寸法の制振装置では振動数０．６Ｈｚ、振
幅±６５０ｍｍであった。

【００１２】

【発明の効果】以上、説明したように、本発明の装置は
従来の装置では不可能であった低振動数、かつ、大振幅
の振動に対する抑制効果を奏することができる。また、
装置の容積が小さく、製造原価が安い。更に、設置場所
における組立も簡単にできるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の制振装置の正面図、

【図２】上記制振装置の平面図、

【図３】上記制振装置の側面図、

【図４】上記制振装置のコイルばねと安定板との関係を
示す部分拡大説明図。

【符号の説明】

１ ベースフレーム ２ コイルばね ３ 安定板 ４ 重錘 ５ ガイドローラー（安定板用） ６ ガイド柱 ７ キャンチレバー ８ オイルダンパー ９ ガイドローラー（重錘用） １０ ガイド １１ キャンチレバーの支柱 １２ ノブ １３ 突起

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 洞 宏一 東京都江東区東雲１−９−31 三菱製鋼株 式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベースフレームの縁部に直立した複数の
   ガイド柱を備え、このガイド柱に囲まれた内側にコイル
   ばねを複数個配置し、このコイルばねの上に、上記ガイ
   ド柱によって誘導されるガイドローラーを有する重錘を
   載置し、一端をベースフレームに固定したオイルダンパ
   ーの他端とキャンチレバーの一端を枢着し、このキャン
   チレバーの他端は重錘に枢着して成ることを特徴とする
   上下振動用制振装置。
2. 【請求項２】 ガイド柱に囲まれた内側に配置された複
   数個のコイルばねが、ガイド柱によって誘導されるガイ
   ドローラーを有する安定板を介して二段以上重なるよう
   に配置されていることを特徴とする請求項１記載の上下
   振動用制振装置。