JPH08231729A - 再分散可能な樹脂の製造方法及びそれで得られる再分散可能な樹脂 - Google Patents

再分散可能な樹脂の製造方法及びそれで得られる再分散可能な樹脂

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JPH08231729A
JPH08231729A JP3413395A JP3413395A JPH08231729A JP H08231729 A JPH08231729 A JP H08231729A JP 3413395 A JP3413395 A JP 3413395A JP 3413395 A JP3413395 A JP 3413395A JP H08231729 A JPH08231729 A JP H08231729A
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resin
emulsion
polymer
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core
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JP3413395A
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Yukihiro Ikegami
幸弘 池上
Toshihiro Kasai
俊宏 笠井
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】噴霧乾燥時の耐ブロッキング性が良好で、水に
対する再分散性、及び再分散液の造膜性が良好な再分散
可能な樹脂を得る。 【構成】特定モノマー、不飽和カルボン酸、ヒドロキシ
基含有(メタ)アクリレートを含有するモノマー混合物
(A)を乳化重合してシード粒子となるコア重合体エマ
ルションを生成し、その後特定モノマー、不飽和カルボ
ン酸、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを含有す
るモノマー混合物(B)をコア重合エマルション中に逐
次滴下することによりシード重合を行い、コア−シェル
構造を有するシェル重合体エマルションを生成し、これ
を噴霧乾燥して再分散可能な樹脂を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エマルション噴霧乾燥
時の耐ブロッキング性が良好である再分散可能な樹脂の
製造方法と、その製造方法によって得られる、水に対す
る再分散性、及び再分散液の造膜性が良好な樹脂に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境保護の対策として、コー
ティング材料や各種添加剤等に用いられる合成樹脂は、
無公害、省資源で作業性等の点から溶剤系材料から、水
分散型樹脂や水溶解型樹脂など分散型やエマルション型
の水系材料に移行しつつある。この分散型の水系材料の
うち、加水して攪拌混合することにより、容易に水に再
分散する粉末状樹脂は水再分散型樹脂と言われている
が、これは、使用する直前に加水するため、従来のエマ
ルション型の水系材料に比べ、包装が簡単で、輸送が
しやすい、貯蔵安定性が良好であり凍結の心配がな
い、使用後に包装容器の廃棄処理がしやすい、などの
特徴を有している。
【0003】通常、再分散型樹脂粉体を得る方法とし
て、噴霧乾燥法、凍結乾燥法、減圧乾燥法などが挙げら
れるが、一般に生産性等の観点からエマルション樹脂を
熱風中に噴霧分散させ、該熱風で搬送しながら急速に乾
燥して粉体を得る噴霧乾燥法が広く採用されている。
【0004】しかし、このような噴霧乾燥法で再分散型
樹脂粉体を製造する場合には、最低造膜温度(以下、M
FTと略す)の低いエマルション樹脂を用いると、噴霧
乾燥塔内の内壁、エマルション樹脂を噴霧するアトマイ
ザー口、粉体出口、及び噴霧分散した粉体を熱風で搬送
する搬送管中など(以下、噴霧乾燥装置の内壁と示
す。)に付着、堆積したり、また該粉体同士の融着が起
こりブロッキングが激しく塊状物となり加水しても再分
散しないといった問題があり、コーティング材料等に要
求される20℃以下という低い最低造膜温度を有する再
分散型樹脂粉体を効率よく製造することができなかっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、このような噴
霧乾燥法による再分散型樹脂粉体の問題点を解決するた
めに、噴霧乾燥塔内でエマルション樹脂と同時に水分散
型無機粒子を霧化し、気流中で粒状になった再分散型樹
脂粉体を該無機粒子で被覆することによって、噴霧乾燥
装置の内壁への付着、堆積や粉体同士の融着を防ぐ方法
(特公昭55−50971号公報)が提案されている。
【0006】しかしながら、このような方法で得られた
再分散型樹脂粉体は、前記無機粒子がその表面に残存す
るため、コーティング材料として塗膜の透明性が低下し
たり、本質的に融着しやすい樹脂が再分散型樹脂粉体内
部に存在しているため、積載等の保存時に粉体同士のブ
ロッキングが発生し、長期保存性が不良となるといった
問題点を有していた。
【0007】また、MFTの低いエマルション樹脂に保
護コロイドとしてポリビニルアルコールを多量に添加
し、噴霧乾燥する方法(特公昭46−12907号公
報)が提案されているが、この方法ではポリビニルアル
コールと相溶性の低い樹脂を用いた再分散液では相分離
が生じてしまい、これをコーティング材として用いた場
合には、成膜不良となり均一なコーティング膜を得るこ
とができない。そこで、多量のポリビニルアルコールを
使用することによって、樹脂粉体同士の融着を防止し、
エマルション中での樹脂の分散性を向上させることが考
えられるが、多量のポリビニルアルコールを使用するた
め、コーティング膜の耐水性、耐候性が不良となるなど
エマルション本来の物性が発現し難くなるという問題点
を有している。
【0008】さらに、特開平5−194681号公報に
は、アルカリ溶解性の乳化重合体の殻と、水不溶解性の
乳化重合体の芯を有する、芯−殻の粒子構造を持たせた
重合体粉末の製造方法が提案されている。これは、まず
アルカリ溶解性のシェル重合体を生成した後にこれをア
ルカリ中和して水溶性としてから、引き続きコア重合体
を製造するという手法が用いられている。しかしなが
ら、この中和時の増粘を抑制するために、シェル重合体
の溶解性を高める必要があるため、シェル重合体の重量
平均分子量を2500〜12000程度と極めて低くし
なければならないという欠点があり、それ以上高い分子
量を有する重合体を得ることは不可能である。そこで、
本質的にこのようなエマルションから得られた塗膜の耐
水性、耐薬品性、耐候性は不良であり、コーティング材
料として用いるには性能が不十分である。
【0009】前記従来技術では、樹脂粉体のブロッキン
グ防止をするために、さらに無機粉体の添加も行ってい
る。すなわち、エマルションを噴霧乾燥する際に、炭酸
カルシウムやシリカゲルなどの無機粉体を同時に噴霧
し、樹脂粉体の表面に無機粉体を分散させることによっ
て樹脂粉体同士のブロッキングを防止するというもので
ある。こうして得られた樹脂粉体は、非ブロッキング性
は向上するものの、本質的な解決にはなっていないた
め、積載時など荷重がかかる場合などには、樹脂粉体
同士がブロッキングしてしまう、得られた樹脂粉体の
再分散液より得られる塗膜の強伸度が不足することや、
塗膜の透明性が不十分であるなど、コーティング材料と
して用いるには不適当な課題を抱えている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
について鋭意検討を行った結果、ガラス転移温度(以
下、Tgと示す。)が30℃以下の非アルカリ溶解型樹
脂をコアとし、Tgが50℃以上のアルカリ溶解型樹脂
をシェルとする、コア−シェル構造を有するエマルショ
ンを噴霧乾燥した場合、得られる樹脂粉体の耐ブロッキ
ング性が良好で、さらに得られた樹脂粉体をアルカリ条
件下で加水して再分散液とした場合、MFTを20℃以
下に低下でき、かつシェル重合体の分子量を50000
以上にすることにより耐水性の良好な塗膜が得られるこ
とを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明の再分散可能な樹脂の製
造方法及びそれで得られる樹脂は、アルキル(メタ)ア
クリレート、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビニルから選
ばれる少なくとも1種以上のモノマー(a−1)90〜
100重量%、不飽和カルボン酸(a−2)0〜5重量
%、及びヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(a−
3)0〜5重量%を含有するモノマー混合物(A)を、
乳化重合して、シード粒子となるコア重合体エマルショ
ンを生成し、引き続いて、アルキル(メタ)アクリレー
ト、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビニルから選ばれる少
なくとも1種以上のモノマー(b−1)50〜95重量
%と、不飽和カルボン酸(b−2)5〜30重量%と、
ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(b−3)0〜
20重量%を含有するモノマー混合物(B)を、コア重
合体エマルション中に逐次滴下することによりシード重
合を行い、コア−シェル構造を有する重合体エマルショ
ンを生成し、得られたエマルション重合体(C)を噴霧
乾燥して、再分散可能な樹脂粉体に転換することを特徴
とするものである。
【0012】以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】[製造方法]まず、本発明の再分散可能な
樹脂の製造方法は、2段階の乳化重合法によって、具体
的には、一段目の乳化重合では、非アルカリ溶解性のコ
ア重合体エマルションを製造し、引き続いて二段目の乳
化重合では、コア重合体エマルション中にアルカリ溶解
性のシェル重合体エマルションを逐次滴下し、シード重
合してコア−シェル構造を有する重合体エマルションを
製造し、これを噴霧乾燥して、再分散可能な樹脂を得る
というものである。
【0014】本発明の製造方法では、まず非アルカリ溶
解性のコア重合体を製造し、その後アルカリ中和を経ず
にシェル重合体を製造するという手法を用いるため、シ
ェル重合体の分子量は従来の技術に比べて極めて大きく
することが可能である。これにより、従来技術の欠点で
あった、再分散可能な樹脂を用いた塗膜の耐水性、耐候
性などの塗膜性能を改良することが可能となる。
【0015】[コア重合体について]一段目の乳化重合
では、非アルカリ溶解性のコア重合体を形成する。本発
明の再分散可能な樹脂を製造するには、コア重合体は、
アルキル(メタ)アクリレート、スチレン、塩化ビニ
ル、酢酸ビニルから選ばれる少なくとも1種のモノマー
(a−1)90〜100重量%、不飽和カルボン酸0〜
5重量%(a−2)%、及びヒドロキシ基含有(メタ)
アクリレート(a−3)0〜5重量%を含有するモノマ
ー混合物(A)を乳化重合してシード粒子とすればよ
い。
【0016】コア重合体を非アルカリ溶解性にするに
は、その酸価を30mgKOH/g未満である必要があ
る。そこで、コア重合体に使用されるモノマー混合物
(A)中の不飽和カルボン酸(a−2)の含有量は、5
重量%以下であることが好ましい。コア重合体の酸価が
30mgKOH/gを越えたモノマー混合物(A)を用
いてコア−シェル構造を有する再分散可能な樹脂を得て
も、これをアルカリ加水すると溶解が始まり、再分散可
能な樹脂から水溶性樹脂となってしまうため、増粘によ
る塗工不良が生じてしまう。
【0017】コア重合体のTgは、再分散可能な樹脂を
水に再分散させる時にMFTを低下させる効果をだすた
め、−40〜30℃、特に好ましくは−20〜15℃の
範囲がよい。コア重合体のTgが30℃を越える場合、
シェル重合体のアルカリ溶解性を上げたとしても、これ
で再分散した樹脂は、20℃以下での良好な成膜性は実
現困難である。また、コア重合体のTgが−40℃未満
である場合、噴霧乾燥時にブロッキングが増大して粉体
を得ることは困難になったり、あるいは得られた再分散
可能な樹脂が容易にブロッキングしてしまい、分散媒へ
の再分散性を低下させる等の弊害が生じるため好ましく
ない。
【0018】[シェル重合体について]コア重合体エマ
ルション中に、モノマー混合物(B)を逐次滴下してシ
ード重合を行うことにより、アルカリ溶解性のシェル重
合体を形成する。具体的には、前記方法にて得られたコ
ア重合体エマルション中に、アルキル(メタ)アクリレ
ート、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビニルから選ばれる
少なくとも1種のモノマー(b−1)50〜95重量
%、不飽和カルボン酸(b−2)5〜30重量%、及び
ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(b−3)0〜
20重量%を含有するモノマー混合物(B)を乳化重合
してシード粒子とすればよい。
【0019】シェル重合体の分子量は、重量平均分子量
で50000〜500000の範囲であることが好まし
い。重量平均分子量が50000以下の再分散可能な樹
脂を用いると、この再分散液から得られる塗膜の耐水性
および耐候性が不良となり好ましくない。また、アルカ
リ溶解性は、酸価によって異なってくるものの、重量平
均分子量が500000を越える場合には、アルカリ加
水時の溶解性が低下し、MFTが低下せず好ましくな
い。
【0020】シェル重合体をアルカリ溶解性にするに
は、分子量により異なってくるものの、その酸価は30
〜180mgKOH/gであることが好ましい。酸価が
180mgKOH/g以上のシェル重合体からなる本発
明の再分散可能な樹脂は、アルカリ溶解時の増粘が著し
いため、塗工不良が生じ好ましくない。また、酸価が3
0mgKOH/gより低い場合には、アルカリ溶解性が
不良となり、MFT低下効果が少なく、MFTが20℃
以下とならない。
【0021】そのため、シェル重合体に使用されるモノ
マー混合物(B)中の不飽和カルボン酸(b−2)の含
有量は、5〜30重量%であることが必要である。シェ
ル重合体のTgは、モノマー混合物(B)の噴霧乾燥時
のブロッキングを防止して再分散可能な樹脂の製造を生
産性よくするため、及び得られる再分散可能な樹脂が荷
重などで容易にブロッキングしないようにするため、5
0℃以上、特に好ましくは70℃以上とするとよい。
【0022】コア重合体とシェル重合体の重量比は、9
0:10〜20:80であり、特に40:60〜60:
40であることが好ましい。シェル重合体の重量比が1
0重量%未満の場合には、モノマー混合物(B)の噴霧
乾燥時のブロッキングの原因、あるいは得られる再分散
可能な樹脂のブロッキングや、アルカリ溶解性が低下す
るため低温での造膜性が低下する原因にもなるため好ま
しくない。シェル重合体の重量比が80重量%を越える
場合には、アルカリ溶解した際の増粘が著しく、塗工不
良が生じるため好ましくない。
【0023】本発明において、コア重合体エマルション
およびシェル重合体エマルションに用いられる樹脂は、
上述した酸価およびTgの条件を満たす限りにおいて、
特に限定されるものではなく、アクリル樹脂、塩化ビニ
ル樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ポ
リビニルアルコール樹脂(以下、PVA樹脂と示
す。)、オレフィン樹脂、その他上記樹脂同士の共重合
樹脂や変成樹脂などを用いればよいが、コア重合体とシ
ェル重合体との相溶性を向上させるため、コア重合体と
シェル重合体に用いる樹脂の組み合わせとしては、同種
樹脂を用いることが好ましい。
【0024】特に好ましい態様としては、(a−1)と
して、メチルメタクリレート20〜70重量%、ブチル
メタクリレート及び/またはエチルメタクリレート0〜
10重量%、ブチルアクリレート及び/またはエチルア
クリレート30〜70重量%を含有するモノマー混合物
(A)を用いて乳化重合してシード粒子となるコア重合
体エマルションを生成し、引き続いて、(b−1)とし
て、メチルメタクリレート35〜80重量%、ブチルア
クリレート及び/またはエチルアクリレート10〜40
重量%と、(b−2)としてメタクリル酸10〜25重
量%を含有するモノマー混合物(B)を用いることが挙
げられる。
【0025】本発明の製造方法で得られる再分散可能な
樹脂を得る噴霧乾燥方法は、特に限定されるものではな
く、通常用いられている噴霧乾燥装置を使用して行えば
よい。
【0026】また、本発明では、噴霧乾燥時に、従来技
術にあるような無機粉体を同時に噴霧する必要はない。
従って、本発明の再分散可能な樹脂の再分散液から得ら
れる塗膜は、無機粉体を含まないため、強伸度あるいは
透明性に優れるという利点がある。
【0027】本発明で得られた再分散可能な樹脂を再分
散させるのに用いる分散媒は、再分散液がアルカリ性に
なるように、水、アルカリ性溶媒などを任意に選べばよ
い。
【0028】まず、本発明の製造方法で得られるコアシ
ェル構造の再分散可能な樹脂が、アルカリ性条件下で低
いMFTを発現するというメカニズムについて、本発明
者らは、アルカリ溶解性のシェル重合体が非アルカリ溶
解性のコア重合体を可塑化し、得られた粉体からなる再
分散液の成膜時に粒子の変形抵抗を小さくして粒子間の
融着性を上げるためと考えている。
【0029】
【実施例】本発明について、以下実施例を用いて説明す
る。なお、実施例中の評価方法は、以下の通りである。
【0030】[評価方法] 酸価:樹脂1gを中和するのに必要なKOHのmg数
(mgKOH/g) 噴霧状態:噴霧乾燥機内のアトマイザー出口の噴霧状態
を目視にて観察した。 ○…融着物はなく、霧化が均一 ×…融着物が堆積し、霧化が不均一 ブロッキング:噴霧乾燥させた粉体の状態を電子顕微鏡
(日本電子(株)製;商品名JSM−5200)で観察
した。 ○…流動性のある粉末で直径1mm以上の塊がない。 ×…流動性のない粉末で直径1mm以上の塊が存在す
る。 再分散性:純水150部に樹脂粉体100部を投入し、
150rpm、1分攪拌後の分散状態を黙視にて観察し
た。 ○…乳白色に分散し、凝集・沈殿物は見られない。 ×…溶解及び/又は増粘する。 粘度:樹脂粉体20部に、純粋80部と28%アンモニ
ア水50部を加え、よく攪拌し、粘度の増加を観察す
る。 ○…ほとんど増粘がなく、再分散液は流動性を保つ。 ×…激しく増粘し、再分散液はゲル状になる。 耐水性:樹脂粉体20部に、純水80部と28%アンモ
ニア水50部を加え、よく攪拌する。これをガラス板に
キャストして乾燥成膜させて得られる塗膜を水に24時
間浸漬し、塗膜状態の変化を観察する。 ○:ほとんど変化なし。 ×:脆くなり、剥離又は溶解して剥離する。
【0031】[実施例1] 〈コアシェル構造エマルション1の製造〉2リッターの
4つ口フラスコに、純水925部、ポリオキシエチレン
ノニルフェニルエーテル(花王(株)製;商品名エマル
ゲン910)12.5部、過硫酸カリウム0.75部を
投入し、窒素ガス置換後、窒素ガス気流下130rpm
で攪拌しつつ、70℃に昇温した。次に、メチルメタク
リレート125部、ブチルアクリレート125部、ポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル(花王(株)
製;商品名エマルゲン905)5.0部の混合物を、前
記フラスコ中に3時間で滴下した後、70℃で1時間保
持した。次に、メチルメタクリレート135部、ブチル
アクリレート65部、メタクリル酸50部、ジアルキル
スルホコハク酸ナトリウム(花王(株)製;商品名ペレ
ックスOTP)5.0部の混合物を、前記フラスコ中に
2時間で滴下した。その後、70℃で1時間保持した
後、80℃に昇温し、さらに1時間保持し、重合を終了
させ、乳白色のエマルション樹脂(固形分36.2%、
重量平均分子量8万)を得た。
【0032】〈再分散性樹脂粉体(A1)の製造〉得ら
れたエマルション樹脂を、噴霧乾燥装置(大河原化工機
(株)製;商品名L−8型)用いて、チャンバー入口温
度130℃、チャンバー出口温度70℃、アトマイザー
回転数30000rpmに設定し、噴霧乾燥を行い、再
分散性樹脂粉体(A1)を得た。この時の噴霧状態は良
好であり、チャンバー内壁および搬送管内にエマルショ
ン樹脂及び/又は粉体の付着は見られなかった。得られ
た粉体は、コアTg(計算値)11℃、シェルTg(計
算値)59℃、平均粒子径26μm、水分率1.1重量
%であり、また、該粉体同士のブロッキングは全く見ら
れなかった。また、この該粉体を電子顕微鏡で観察した
ところ、平均粒径が1μm以下の一次粒子が二次凝集し
て、平均粒子径が26μm前後の粒子を形成しているこ
とがわかった。
【0033】〈再分散液の製造〉上記再分散性樹脂粉体
(A1)20部を純水80部と28%アンモニア水溶液
50部中に投入して再分散液を得たところ、再分散性は
良好であり、この再分散液のMFTは5℃以下であっ
た。
【0034】[実施例2、比較例1〜11]表1に示す
組成で、実施例1と同様の手法により、各種のコアシェ
ル構造エマルションを得て、再分散性樹脂粉体(A2)
〜(A13)を得た。得られた粉体の各種評価は、表1
に示した通りである。得られた粉体(A3)、(A
5)、(A8)は、噴霧乾燥時にアトマイザー口にエマ
ルション樹脂の融着物が堆積し、粉体が得られなかった
ため、再分散性、MFT、再分散液の粘度および塗膜耐
水性を評価を行うことができなかった。
【0035】
【表1】
【0036】各実施例で表す本発明の内容は以下の通り
である。実施例1では、樹脂粉体同士のブロッキングが
なく、再分散性が良好であり、20℃以下のMFTを有
する性能を発現している。比較例1〜3は、コア/シェ
ル重量比を変化させた例である。比較例1では、シェル
の割合が低すぎるため、噴霧乾燥時、および得られた粉
体にややブロッキングが認められる。さらに、シエルの
割合を低くした場合、(比較例2)では、噴霧乾燥時に
完全にブロッキングしてしまい、樹脂粉体を得ることが
できなかった。比較例3は、逆にシェルの割合を高くし
た例である。この場合、ブロッキングは認められず、噴
霧状態は良好であり、得られる再分散性も良好である
が、高酸価樹脂の割合が高すぎるため、アルカリ溶解性
の増粘が著しい。比較例4〜7は、コアおよびシェルの
Tgを変化させた例である。比較例4では、コアのTg
を低くしすぎたため、ブロッキングが生じてしまった。
比較例5は、コアのTgは比較例4と同じ0℃未満だ
が、シェルの割合を高くしてあるため、ブロッキングが
防止され、良好に噴霧することができるが、高酸価の割
合がやや高いので、アルカリ溶解時の増粘が認められ
た。比較例6は、逆にコアのTgを高くした例である。
この場合、ブロッキングは認められないが、再分散液の
MFTが20℃以上になった。比較例7は、シェルのT
gを低くした例である。この場合、シェルのTgが低す
ぎるので噴霧乾燥時にブロッキングを生じてしまい、樹
脂粉体を得ることができない。実施例2及び比較例8〜
9は、シェルの酸価を変化させた例である。実施例2
は、シェルの酸価を90mgKOH/gに下げた例であ
る。この場合、MFTは実施例1に比べて高いが、20
℃以下であった。比較例8は、シェルの酸価をさらに1
2mgKOH/gにまで下げた例である。この場合、シ
エルのアルカリ溶解性がなくなり、MFTは低下しなか
った。比較例9は、シェルの酸価を200mgKOH/
gに上げた例である。この場合、MFTは低下するが、
アルカリ溶解時の増粘が著しかった。比較例10〜11
は、シェルの重量平均分子量を変化させた例である。比
較例10は、シェルの重量平均分子量を低くした例であ
るが、この場合、ブロッキングせずMFTも低下する
が、再分散液から得られる塗膜の耐水性は劣った。比較
例11は、シェルの重量平均分子量を高くした例である
が、この場合、シェルのアルカリ溶解性が不足し、MF
Tの低下を実現できなくなる。
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の再分散可
能な樹脂の製造方法により得た、アルカリ性条件下にお
いてMFTが20℃以下の再分散可能な樹脂は、耐ブロ
ッキング性が良好で、効率よく噴霧乾燥により得ること
が可能であり、特に塗料等のコーティング材料用樹脂と
して好適である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08F 2/44 MCS C08J 3/12 101 C08J 3/12 101

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルキル(メタ)アクリレート、スチレ
    ン、塩化ビニル、酢酸ビニルから選ばれる少なくとも1
    種のモノマー(a−1)90〜100重量%、不飽和カ
    ルボン酸(a−2)0〜5重量%、及びヒドロキシ基含
    有(メタ)アクリレート(a−3)0〜5重量%を含有
    するモノマー混合物(A)を乳化重合して、シード粒子
    となるコア重合体エマルションを生成し、引き続いて、
    アルキル(メタ)アクリレート、スチレン、塩化ビニ
    ル、酢酸ビニルから選ばれる少なくとも1種のモノマー
    (b−1)50〜95重量%と、不飽和カルボン酸(b
    −2)5〜30重量%と、ヒドロキシ基含有(メタ)ア
    クリレート(b−3)0〜20重量%を含有するモノマ
    ー混合物(B)を、コア重合体エマルション中に逐次滴
    下することによりシード重合を行い、コア−シェル構造
    を有するエマルション重合体(C)を生成し、これを噴
    霧乾燥して、再分散可能な樹脂粉体に転換することを特
    徴とする、コア−シェル構造を有する再分散可能な樹脂
    の製造方法。
  2. 【請求項2】コア重合体とシェル重合体の重量比が9
    0:10〜20:80で、且つコア重合体が酸価0〜3
    0mgKOH/gで非アルカリ溶解性であり、シェル重
    合体が酸価30〜180mgKOH/gでアルカリ溶解
    性であることを特徴とする、請求項1記載の製造方法に
    より得られる再分散可能な樹脂。
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