JPH0822236B2 - 多環性キサントン系化合物の製造法 - Google Patents

多環性キサントン系化合物の製造法

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JPH0822236B2
JPH0822236B2 JP1996787A JP1996787A JPH0822236B2 JP H0822236 B2 JPH0822236 B2 JP H0822236B2 JP 1996787 A JP1996787 A JP 1996787A JP 1996787 A JP1996787 A JP 1996787A JP H0822236 B2 JPH0822236 B2 JP H0822236B2
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隆 三川
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、制癌活性を有する多環性キサントン系化合
物の製造法に関するものである。
(従来の技術および発明の構成) 従来、多環性キサントン系化合物としては、例えば、
ストレプトマイセス属菌の生産するCervinomycin(JAC
S,108,6088(1986))、およびLysolipin(Helvetica C
himica Acta,60,178(1977),Arch Microbiol.,106,175
(1975))、アクチノマイセス属菌の生産するAlbofung
in(Bioorg.Khim.,,1418(1978)、Tetrahedron Let
t.,1972,1751)等が知られているが、本発明者等は各種
の微生物を探索し、それ等が生産する生理活性物質につ
いて、種々検討したところ、アクチノプラネス(Actino
planes)属菌が良好な制癌活性を有する多環性キサント
ン系化合物を生産し得ることを見い出し、本発明を完成
するに至つた。
即ち、本発明の要旨はアクチノプラネス(Actinoplan
es)属に属する多環性キサントン系化合物生産菌を培養
し、培養物から多環性キサントン系化合物を採取するこ
とを特徴とする多環性キサントン系化合物の製造法に存
する。
以下に本発明を詳述する。本発明の多環性キサントン
系化合物を生産する菌株は、アクチノプラネス属に属す
る菌株であつて、具体的には、例えば、アクチノプラネ
ス エスピーR−304(Actinoplanes sp.R−304)が挙
げられる。このアクチノプラネス エスピーR−304は
微工研菌寄第9132号(FERM P−9132)として寄託されて
いる。
上記アクチノプラネス エスピー R−304の形態学的
特徴は、各種培地上の性状及び生理的、生化学的性質は
以下に示す通りである。
1. 形態的特徴 胞子嚢形成培地としてキチン培地を用い、2〜3週間
平板培養した。胞子の鞭毛は胞子嚢を滅菌水に30分〜1
時間懸濁させ、胞子の遊泳を確認すると共に細菌鞭毛染
色法によつて染色した。胞子嚢の直径は7〜16.7μm、
球形〜不規則な亜球形を示す。胞子は1.0〜1.2μm、球
形、鞭毛を有する。
2. 各種培地上の生育状態 (各培地、30℃、21日後の特徴) イースト・麦芽寒天培地(ISP No.2)上の特性 生育良好、にぶい橙色〜褐色、可溶性色素なし、胞子
嚢を形成する。
オートミール寒天培地(ISP No.3)上の特性 生育良好、暗黄色〜黄褐色、可溶性色素なし、胞子嚢
を形成する。
スターチ・無機塩寒天培地(ISP No.4)上の特性 生育良好、橙黄色〜黄土色、可溶性色素なし、胞子嚢
を形成する。
グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP No.5)上の
特性 生育良好、黄褐色、可溶性色素なし、胞子嚢を形成し
ない。
ペプトン・イースト・鉄寒天培地(ISP No.6)上の特
性 生育良好、暗褐色、可溶性色素を生産する、胞子嚢を
形成しない。
チロシン寒天培地(ISP No.7)上の特性 生育良好、黄褐色〜暗褐色、可溶性色素なし、胞子嚢
を形成しない。
3. 生理的性質 (1) 生育温度範囲:イースト・麦芽寒天培地におい
て、20〜37℃の温度範囲で生育し、30〜37℃で良好に生
育する。10℃、45℃では生育せず。
(2) ゼラチンの液化:陽性 (3) スターチの加水分解:陽性 (4) 硝酸塩の還元:陽性 (5) 脱脂乳のペプトン化:陽性 脱脂乳の凝固:陽性 (6) メラニン様色素の生成:陽性 (ペプトン・イースト・鉄寒天培地上) 4. 炭素源の資化性(PridhammとGottliebの基礎培地) (−):疑わしい、−:利用しない。
グルコース;+、アラビノース;+、シユクロース;
+、キシロース;+、i−イノシトール;+、D−マン
ニトール;+、D−フラクトース;+、ラムノース;
+、ラフイノース;−、セルロース;− 5. 細胞壁組成 ベッカー(Becker)らの方法〔Appl.Microbiol.13:23
6(1965)〕により分析した結果、本菌株の細胞壁組成
の主要成分はmeso−ジアミノピメリン酸、キシロース、
アラビノースを含有する細胞壁をタイプIID型であるこ
とが判明した。
6. 細胞壁のアシル型:グリコリル型 以上の諸性質より本菌株はBergey's Manual第8版(1
974)P.708に記載されているアクチノプラネス(Actino
planes)属に属する放線菌と考えるのが妥当である。従
つて、本発明者らは本菌株をActinoplanes sp.R−304と
同定した。
本発明で使用するActinoplanes属に属する菌株は、他
の放射菌と同様にその性質が変化しやすく、例えば、紫
外線やX線、ニトロソグアニジン等の薬品等により変異
し得るが、これら変異株であつても本発明の多環性キサ
ントン化合物を生産する性質を失わない限り、本発明で
使用することができる。
本菌株の培養は、通常の放射菌が利用し得る栄養物を
含有する培地で培養することができる。炭素源として
は、グリコース、水あめ、グリセロース、デキストリ
ン、シユークロース、澱粉、糖蜜、動・植物油等が使用
できる。また、窒素源としては、大豆粉、小麦はい芽、
コーンステイープリカー、綿実かす、肉エキス、ペプト
ン、酵母エキス、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウ
ム、尿素等が使用できる。その他、必要に応じてナトリ
ウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、コバル
ト、塩素、燐酸、硫酸、或いは、他のイオンを生成し得
る無機塩類等公知の種々の添加剤を添加することができ
る。
培養は、好気的条件下での培養法、特に、深部培養法
が好適である。培養温度は、通常20〜37℃、好ましく
は、26〜30℃の範囲から選ばれる。
本発明の多環性キサントン化合物の生産は、培地や培
養温度等によつて異なるが、振とう培養及びタンク培養
とも通常2〜10日間の培養でその蓄積が最高に達する。
かくして得られた培養液から、常法に従い、溶媒抽
出、カラムクロマトグラフイー、分取薄層クロマトグラ
フイー等により処理して単離・精製することができる。
かくして得られる本発明のキサントン系化合物として
は、例えば、下記骨格を有する化合物が挙げられる。
式中、X及びYは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基
等の置換基を示す。
具体的には、後述するような理化学的性質を有する化
合物(R−304−A,B,E,F,G,H,J,K)等が挙げられる。
その内、R−304−GはXが塩素原子でYがアミノ基
を示し、R−304−HはXが塩素原子でYが水素原子を
示し、R−304−JはXが水素原子でYがアミノ基を示
し、R−304−KはX及びYが共に水素原子を示す構造
で表わされる化合物であることが後述の表1及び図1〜
8の結果、更に、1H−NMR及び13C−NMRの結果から確認
された。
本発明のキサントン系化合物を制癌剤として用いる場
合、静脈内注射、皮下注射、経口カプセル等の方法で投
与され、投与量は、成人に対し、水溶剤(注射)では0.
01〜1mg/kg体重、経口剤では、0.1〜10mg/kg体重の範囲
である。注射、点滴用製剤とするときは、単位投与量ア
ンプルあるいは添加防腐剤と共に多投量容容中に提供さ
れる。この製剤は、懸濁液、溶液、油性又は水性ビヒク
ル中の乳液のような形態であつてよく、グルコース、ゼ
ラチンのような懸濁液、レシチン、リノール酸のような
安定化剤、アーモンド油、ココナツト油のような非水性
ビヒクル、p−ヒドロキシ安息香酸メチルのような防腐
剤を含んでいてもよい。
本発明のキサントン系化合物を含む制癌剤を経口投与
製剤とするには、カプセルのような腸管からの吸収に好
適な形態で提供されることが好ましい。カプセルでは、
ゼラチンのような結合剤、乳糖のような賦形態、ステア
リン酸マグネシウムのような安定剤、馬鈴著澱粉のよう
な崩壊剤を含有させることができる。また、シクロデキ
ストリンのような包接剤による包接化合物とし、更に該
包接化合物をアクリル酸メチル・メタアクリル酸共重合
体のような腸溶性皮膜形成物質を用いて皮膜を施すこと
ができる。製剤化の方法は、注射、点滴用製剤、経口投
与用製剤のいずれの場合においても常法でよい。
(発明の効果) 本発明のキサントン系化合物は、後述するように癌細
胞に対し、その増殖抑制作用を有するので、制癌剤とし
ての効果が期待され、また、一部の真菌、細菌に対して
も増殖抑制作用を有するので抗菌剤として農薬や飼料添
加剤等への適用が期待される。
(実施例) 以下本発明を実施例により更に詳細に説明するが本発
明はその要旨を越えない限り以下の実施例によつて限定
されるものではない。
〔アクチノプラネス エスピーR−304の培養〕 水あめ4.0%、大豆油0.3%、大豆粉2.0%、綿実かす
1.0%、サングレイン0.5%、CaCO30.3%、FeSO4・7H2O
0.001%、CoCl2.6H2O 0.0001%及びNiCl2・6H2O 0.0001
%を含有する種培地(pH 7.0)を40mlずつ200mlの三角
フラスコ10本に分注して、121℃、20分間高圧滅菌し
た。
次いで、Actinoplanes sp.R−304株を1白金耳ずつ植
菌し、26℃で4日間、210回転にて振とう培養した。
得られた種培養物200mlを上記種培地と同一組成の培
地15を含む30容のタンク2基に夫々移植し、27℃で
6日間通気撹拌培養(通気量100%、210回転/分)し
た。
得られた培養物30をフイルタープレスでろ過してろ
液(培養ブロス)27を得た。
〔多環性キサントン系化合物の精製・単離〕
アクチノプラネス エスピーR−304の培養ブロス27
に濃塩酸を加えて pH2に調整した後、酢酸エチル3
を用い5回抽出し、抽出液に硫酸マグネシウムを加えて
乾燥後、減圧下濃縮して褐色油状残渣10.31gを得た。
本残渣を酢酸エチル500mlに溶解し、飽和重曹水100ml
で3回抽出し、分液して酢酸エチル層を採取し、硫酸マ
グネシウムを用いて乾燥した後、減圧下濃縮して褐色油
状物質1444mgを得た。
得られた褐色油状物質1444mgをシリカゲル(メルク社
製Silicagel 60)70gを充填したカラムクロマトグラフ
イーに付し、0.1%酢酸を含む種々の混合比のCHCl3−CH
3OH系展開溶媒(混合比99.5:0.5,99:1,98:2,96:4,90:1
0)各300mlを用いて、この順序で順次溶出し15mlまで分
画した。27〜45の画分を混合し減圧濃縮して得られた38
2mgの褐色油状物を、カラムとしてUnisil Q C8(ガスク
ロ工業社製、10.7×250mm、粒径5μm)を用いた分取
高速液体クロマトグラフイー(溶離液:55%アセトニト
リル、流速:5ml/mm、検出器:RI検出器)に付し、保持時
間9.8分,11.0分,12.0分,17.5分,22,5分前後に現われる
ピーク相当部を集め、減圧濃縮して化合物R−304−G,
F,E,B及びAを主成分とする黄色固形物を各々100.2mg,2
0.1mg,7.0mg,48,6mg及び6.7mgずつ得た。化合物R−304
−G,F及びE相当部は各々展開溶媒としてCHCl3−CH3OH
(96:4)を用いて分取薄層クロマトグラフイー(Pre−C
oated TLC plates Silicagel 60F−254,メルク社製)に
付し、各々精製されたR−304−G(95.2mg)、F(10.
7mg)及びE(5.6mg)を得た。化合物R−304−B及び
A相当部は、各々、展開溶媒としてCHCl3−CH3OH−CH3C
OOH(96:4:1)を用いて上記同様、分取薄層クロマトグ
ラフイーに付し、各々精製されたR−304−B(45.0m
g)及びA(3.8mg)を得た。
ついで同様にして46〜62の画分を混合し減圧濃縮して
得た393mgの褐色状油状物をカラムとしてUnisil Q C8
(ガスクロ工業社製,10.7×250mm,粒径5μm)を用い
た分取高速液体クロマトグラフイー(溶離液:50%アセ
トニトリル,流速:5ml/min,検出器:RI検出器)に付し、
保持時間8.5分,9.5分,12.8分及び16.3分付近のピーク相
当部を集め、減圧濃縮して化合物R−304−K,J,H及びG
を主成分とする黄色固形物を各々21.3mg,9.3mg,73.2mg
及び15.5mgずつ得た。各残渣は各々展開溶媒としてCHCl
3−CH3OH(96:4)を用いて上記同様、分取薄層クロマト
グラフイーに付し、各々、精製されたR−304−K(17.
5mg),J(8.5mg),H(62.7mg)及びG(12.1mg)を得
た。
なお、上記の精製・単離操作は全て室温で実施した。
かくして得られたR−304−A,B,E,F,G,H,J及びKの理
化学的性質を表1及び図1〜図8に示した。
参考例1 〔ヒーラ細胞増殖抑制試験〕 下記の表2に示す試料物質をジメチルスルホキシドに
溶解し、これを5%仔牛血清を加えたイーグルMEM培地
で所定濃度に希釈し、96穴のマイクロプレートに100μ
/穴で分注した。
これに、1×105個/mlに調製したヒーラ腫瘍細胞の浮
遊液を100μ/穴加えた。
これを炭酸ガス雰囲気下、37℃で4日間培養した後ゲ
ンチアナバイオレツト染色液でマイクロプレートの底に
付着増殖した腫瘍細胞を染色した。水で過剰の染色液を
洗浄後、染色された細胞の色素をエタノール(100μ
/穴)で溶出し、その濃度を分光光度計で測定した。
細胞数と染色された色素の量は比例するので、上記で
測定した試料の各濃度に対する色素濃度をプロツトし、
このグラフから対照(試料物質が無い場合)における腫
瘍細胞の数(100%とする)の50%に相当する試料物質
の濃度をED50として求め、その結果を表2に示した。
対照薬としてマイトマイシンC(商品名,協和醗酵社
製)、アドリアマイシン(商品名,協和醗酵社製)を用
い、その結果も表2に併記した。
【図面の簡単な説明】
図1〜図8は、夫々、実施例で得られたR−304−A,B,
E,F,G,H,J及びKの赤外線吸収スペクトル図である。 図中、2400cm-1付近の2つの吸収ピークは、空気中のCO
2の吸収ピークを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三川 隆 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三 菱化成工業株式会社総合研究所内 (72)発明者 大矢 淳一 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三 菱化成工業株式会社総合研究所内 (72)発明者 佐藤 茂 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三 菱化成工業株式会社総合研究所内 (72)発明者 平山 耕一郎 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三 菱化成工業株式会社総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アクチノプラネス(Actinoplanes)属に属
    する多環性キサントン系化合物生産菌を培養し、培養物
    から多環性キサントン系化合物を採取することを特徴と
    する多環性キサントン系化合物の製造法。
JP1996787A 1987-01-30 1987-01-30 多環性キサントン系化合物の製造法 Expired - Lifetime JPH0822236B2 (ja)

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