JPH08208954A - ランプケース用ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

ランプケース用ポリエステル樹脂組成物

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JPH08208954A
JPH08208954A JP7016955A JP1695595A JPH08208954A JP H08208954 A JPH08208954 A JP H08208954A JP 7016955 A JP7016955 A JP 7016955A JP 1695595 A JP1695595 A JP 1695595A JP H08208954 A JPH08208954 A JP H08208954A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】良好な表面性を有し、かつ使用されるガラス面
を曇らせないランプケース用ポリエステル樹脂組成物を
得ること。 【構成】ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポ
リブチレンテレフタレート100重量部に対しカルボジ
イミド化合物0.1〜5.0重量部および無機強化材0
〜150重量部を含有することを特徴とするランプケー
ス用ポリエステル樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用のランプケー
スや密閉型の照明用ランプケースとして使用されるガラ
ス面が曇らないランプケースに成形することができるポ
リエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ランプケースとしては、板金製の
ものや不飽和ポリエステル樹脂組成物の成形品が使用さ
れていた。ところが、最近では機能性アップの要求に伴
いランプケースの形状が複雑になり、ケース用材料に深
絞り加工性が要求されるようになってきたので、図1及
び図2に示すような樹脂の成形品が使用されている。な
お、図1は自動車ランプケース1と、このランプケース
1と組み合わせて使用されるガラス2と、ガラス2とラ
ンプケース1によって密閉されるランプ3とを備えた自
動車用ランプユニットの平面を示し、図2は室内用ラン
プケース11と、このランプケース11と組み合わせて
使用されるガラス12と、ガラス12とランプケース1
1によって密閉されるランプ13とを備えた室内用ラン
プユニットの正面を示す。
【0003】また、従来より使用されている不飽和ポリ
エステル樹脂組成物は成形性に劣るために、より生産性
の高いポリエチレンテレフタレート樹脂組成物やポリブ
チレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形品が使用
されるようになってきた。
【0004】しかし、ランプの熱容量が大きい場合やラ
ンプと成形品が近接している場合では、成形品の温度が
高温になるために、成形品から分解物や配合物が昇華し
て、成形品と組み合わせられているガラス面にこれらが
析出し、ガラス面が曇るという問題が発生していた。こ
のためポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレ
フタレート樹脂組成物の用途が限定されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解消するためになされたものであって、その課題は、良
好な表面性と成形性を有する上に、長時間の使用におい
てもガラス面を曇らせることのないランプケースを成形
し得るポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、組み合わ
せて使用されるガラス面を曇らせないランプケースを鋭
意検討した結果、ついに本発明を完成するに到った。す
なわち本発明は、ポリエチレンテレフタレートおよび/
またはポリブチレンテレフタレート100重量部に対し
て、カルボジイミド化合物0.1〜5.0重量部および
無機強化材0〜150重量部を含有することを特徴とす
るランプケース用ポリエステル樹脂組成物である。
【0007】本発明において使用されるポリエチレンテ
レフタレートやポリブチレンテレフタレートとしては、
エチレングリコールまたはブチレングリコールとテレフ
タル酸(その誘導体を含む)との重合体のみならず、少
なくとも80モル%以上のエチレンテレフタレートおよ
び/またはブチレンテレフタレート繰り返し単位を含む
共重合ポリエステルが挙げられる。共重合成分としては
公知の酸成分および/またはグリコール成分が使用でき
る。すなわち共重合成分としては、例えば、イソフタル
酸、ナフタレン1,4または2,6ジカルボン酸、ジフ
ェニルエーテル4,4ジカルボン酸、アジピン酸、セバ
シン酸のような酸成分;エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタ
ノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニール)プ
ロパンのようなグリコール成分;p−オキシ安息香酸の
ようなオキシ酸等が挙げられる。
【0008】また本発明に使用されるポリエステル樹脂
(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタ
レート)は、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒
(6/4重量比)により30℃で測定して求めた固有粘
度が通常0.4以上であり、0.5以上が好ましい。ポ
リエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレー
トの混合比は特に限定はなく、ポリエチレンテレフタレ
ート0〜100重量部に対してポリブチレンテレフタレ
ート100〜0重量部である。好ましくはポリエチレン
テレフタレート20〜80重量部に対してポリブチレン
テレフタレート80〜20重量部であり、さらに望まし
くはポリエチレンテレフタレート30〜70重量部に対
して、ポリブチレンテレフタレート70〜30重量部で
ある。
【0009】また、上記ポリエステル樹脂を主体とし、
これにポリシクロジメチレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート等の芳香族ポリエステル、ポリブチレ
ンアジペートやポリラクトン等のポリエステル、ポリカ
ーボネート等や他の熱可塑性樹脂を混合しても良い。そ
の場合、ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポ
リブチレンテレフタレート100重量部に対して20重
量部までが好ましい。20重量部を越えると、ポリエチ
レンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート
樹脂の持つ本来の特性が失われ、本発明の要求を満たさ
ないので好ましくない。
【0010】本発明に用いられるカルボジイミド化合物
としては下記一般式(I)で示されるものである。 RN=C=NR (I) (式中Rは1価の炭素数1〜20の炭化水素基を表す)
【0011】前記一般式(I)で表されるカルボジイミ
ド化合物の具体例としては、2,2’ジメチルジフェニ
ルカルボジイミド、2,6,2’,6’テトラジフェニ
ルカルボジイミド、2,2’ジエチルジフェニルカルボ
ジイミド、2,6,2’,6’テトラエチルジフェニル
カルボジイミド、2,2’ジイソプロピルジフェニルカ
ルボジイミド、2,6,2’,6’テトライソプロピル
ジフェニルカルボジイミド等を上げることができる。こ
のようなガルボジイミド化合物は、単独で使用しても、
2種以上併用してもよい。
【0012】本発明においてカルボジイミド化合物の配
合量は、ポリエステル樹脂100重量部に対して0.1
〜5.0重量部である。好ましくは、0.3〜4.0重
量部で、さらに好ましくは、0.5〜3.0重量部であ
る。0.1重量部未満ではカルボジイミド化合物の添加
効果が小さく、5.0重量部を越えると得られる成形品
の表面性、流動性が低下するばかりか、析出量を低下さ
せる効果も上がらないので好ましくない。
【0013】本発明に必要に応じて用いられる無機強化
材としては、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維強化材、チ
タン酸カリ等のウイスカー、タルク、クレイ、ワラスト
ナイト、モンモリロナイト、ベントナイト、炭酸カルシ
ウム等の粉末強化材が挙げられる。無機強化材により成
形品の剛性や熱変形温度が上がり、寸法安定性が増すの
で、用途により、ポリエステル樹脂100重量部に対し
て、0〜150重量部配合される。好ましくは5〜12
0重量部で、さらに好ましくは10〜100重量部であ
る。なお無機強化材の配合量は使用用途に応じてを決め
ればよいが、150重量部を越えると成形品の外観が悪
くなるので好ましくない。
【0014】なお、通常のポリエチレンテレフタレート
樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂を含む組成物か
らなるランプケースを使用した場合、使用中に組成物に
含まれる低分子量物や熱分解により発生する物質、例え
ばテレフタル酸が昇華してガラス面に析出しガラス面に
曇りが発生するが、本発明のランプケースでは、その曇
りがかなり抑制される。この理由は、カルボジイミド化
合物がそれらの低分子物質や熱分解物質のキャッチャー
として作用するものと考察される。カルボジイミド化合
物は従来、ポリエステル樹脂の加水分解防止に効果があ
ることは知られているが、このようにランプケースに使
用することで曇りの抑制に非常に効果があることは驚く
べきことである。
【0015】本発明ポリエステル樹脂組成物は、目的に
応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、難燃
剤、帯電防止剤、離型剤、着色剤等の添加剤を配合する
ことができる。
【0016】また本発明ポリエステル樹脂組成物の製造
方法としては、特に制限されるものではなく、任意の方
法で行われる。例えば、全成分を予備混合した後、押出
機やニーダ中で混合する方法や、予め任意の数種の成分
を押出機やニーダ中で混練配合して得たペレットに、さ
らに他の成分を溶融混合する方法などが挙げられる。得
られた組成物は、特殊な成形法や成形条件は必要ではな
く通常の熱可塑性ポリエステル樹脂の成形条件、例えば
射出成形によってランプケースに成形することが出来
る。
【0017】
【作用】本発明ランプケース用ポリエステル樹脂組成物
は、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフ
タレート樹脂、及び無機強化材を含む樹脂組成物から成
形されるので、良好な表面性と成形性を有する。しか
も、その樹脂組成物にカルボジイミド化合物が配合され
ることにより、使用中に発生する低分子量物質や熱分解
物質がカルボジイミド化合物によって補足されるので、
ガラスの曇りを抑制できるものと思われる。
【0018】
【実施例】以下本発明を実施例を用いて具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、実施例中の部および%は重量基準であり、射出成形
品の熱変形温度はASTM D648に準じて測定し
た。また、ガラス面への析出量は、次のようにして評価
した。
【0019】射出成形により得られた42×42×2m
mの成形品を、表面温度200℃に調節されたホットプ
レート上に置き、それを60φ、高さ80mmのガラス
秤量瓶で覆い、420時間処理した。ガラス秤量瓶の上
面は約50℃で、その内面に成形品から昇華したテレフ
タル酸を主成分とした白粉が析出して失透した。そのガ
ラス秤量瓶のHaze(透過度合)、および重量変化よ
り昇華析出物の量を評価した。
【0020】実施例1〜11、比較例1〜3 ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフ
タレート樹脂、ガラス繊維、タルク、カルボジイミド化
合物、モンタン酸エステルを表1に示す割合で予備混合
した後、2軸押出機のホッパーに投入し、溶融混練して
コンパウンドチップを得た。このコンパウンドチップを
130℃で4時間乾燥した後、シリンダー温度270℃
に調節した射出成形機によりテストピースを成形し、昇
華析出物の発生量を上述の方法で評価した。なおカルボ
ジイミド化合物として、2,6,2’,6’テトライソ
プロピルジフェニルカルボジイミド(バイエル製;スタ
バクゾールP)を使用した。その結果を表1および表2
に示す。なお表1において、昇華物析出量は成形品に対
する重量%を示し、熱変形温度の測定における荷重は、
18.6kg/cm2 とした。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】表1および表2より明らかなように、本
発明組成物は昇華析出量が減少して透明性が保持される
ことが判る。また、この結果はランプケースの実用テス
トの結果とよく対応した。また本発明組成物は、良好な
表面性と成形性を保持しながら、高温時の昇華物の析出
量を低減してガラス面を曇らせるのを減少することが出
来る。従って、設計の自由度が大きくなり、また高温で
の使用も可能になり、従来使用出来なかった目的にも応
用することが出来る等、産業界に寄与すること大であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動車用ランプユニットの平面図である。
【図2】 室内用ランプユニットの平面図である。
【符合の説明】
1:自動車用ランプケース 2:ガラス 3:ランプ 11:室内用ランプケース 12:ガラス 13:ランプ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエチレンテレフタレートおよび/また
    はポリブチレンテレフタレート100重量部に対しカル
    ボジイミド化合物0.1〜5.0重量部および無機強化
    材0〜150重量部を含有することを特徴とするランプ
    ケース用ポリエステル樹脂組成物。
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