JPH08207420A - 印刷表示を有する成形体およびその製造方法 - Google Patents

印刷表示を有する成形体およびその製造方法

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JPH08207420A
JPH08207420A JP1611295A JP1611295A JPH08207420A JP H08207420 A JPH08207420 A JP H08207420A JP 1611295 A JP1611295 A JP 1611295A JP 1611295 A JP1611295 A JP 1611295A JP H08207420 A JPH08207420 A JP H08207420A
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JP1611295A
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Rikiya Yamashita
力也 山下
Takuya Yamazaki
拓也 山崎
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱成形法による大量生産に応用できる印刷表
示法および、該表示法で得られた成形体を提供する。 【構成】 熱成形時における基材の延伸状態を延伸むら
を考慮して予測し、その予測に基づいて決定したプレ印
刷表示を付す。プレ印刷表示は、基材の延伸に追従して
変形し、最終的に歪みや位置ずれのない印刷表示に変換
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は印刷表示を有する成形体
およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、いわゆる
熱成形法の範疇に属するような方法(たとえば絞り成
形)によって成形されたものであるにもかかわらず、そ
の内側または外側の側面部に歪みのない正確な印刷表示
を有している成形体、およびその製造方法に関するもの
である。
【0002】また、本発明は、いわゆる熱成形法の範疇
に属するような方法(たとえば絞り成形)に応用可能
で、表示部位、成形体の形状あるいは大きさに制限され
ず、しかも大量生産に向いている印刷表示法に関すると
共に、該印刷表示法を応用した熱成形法によって正確な
印刷表示を有する成形体を製造する方法に関するもので
ある。
【0003】
【従来の技術】合成樹脂製の成形体を製造するに際し、
いわゆる熱成形法の範疇に属するような方法(たとえば
絞り成形)、すなわちフィルム状またはシート状の成形
用基材を、加熱軟化し又は加熱せず且つその周囲を固定
した状態で、プラグや真空等の加圧または除圧手段で延
伸することによって成形を行う方法が広く用いられてい
る(以下においては、このような方法を、加熱軟化を行
うか否かにかかわらず「熱成形法」と総称する。)。こ
のような熱成形法は、他の成形方法(たとえば射出成
形)に比べると、成形機等の設備が安価でまた成形速度
が速いので、大量生産に向いている。
【0004】熱成形を行うに際し、成形体の表面に文
字、模様、図形、画像等の印刷表示を付したい場合に
は、通常、成形用基材を熱成形して成形体とした後で、
該成形体の表面に直接印刷(たとえばドライオフセット
法、グラビアオフセット法、パッド印刷、スプレー法、
流動立体印刷法など)したり、ラベルを貼ったり、ある
いは転写用フィルムから転写したりすることが行われて
いる。しかし、これらの方法では、成形体が複雑な表面
形状を有していたり、あるいは大きさが非常に小さいよ
うな場合には印刷表示を付すことが困難である。
【0005】成形後に印刷表示を付すのが困難な場合に
は、成形と印刷を同時に行う方法、たとえばラベルを型
内に挿入して射出成形を行う方法(インモールドラベル
法)、転写用フィルムを型内に挿入して射出成形を行い
成形時の圧力と熱によって転写する方法、あるいは種類
または色の異なる幾つかの樹脂を用いて射出成形する方
法等が採用されている。しかし、これらの方法は射出成
形法であり、型代が高価でまた成形速度が遅いので、生
産コストが高くつく。特に、ラベルや転写用フィルムを
型内に挿入する方法においては自動挿入機が新たに必要
になるので、設備費がより高くつく。
【0006】上記のインモールドラベル法は熱成形法に
も応用されているが、やはりラベル自動挿入機を設置し
なければならないので、設備が大掛かりになり設備費も
高くつく。また、ラベル挿入時にラベルにシワがよった
りラベルの位置がずれたりするので、生産ロスが発生し
やすい。
【0007】一方、金属塑性加工の分野においては、金
属板の表面にあらかじめ印刷表示(以下において「プレ
印刷表示」と称する。)を付した後、該金属板を深絞り
成形することが行われている。この方法では、金属板の
表面に、金属板の延伸倍率を考慮して決定された歪んで
見えるプレ印刷表示が付され、このプレ印刷表示は成形
時に金属板の延伸に追従して変形して行き、延伸終了時
に歪みのない完成された印刷表示に変換される。この方
法によれば、成形体が複雑な表面形状を有していたり、
あるいは大きさが非常に小さいような場合であっても印
刷表示を付すことが可能である。
【0008】しかし、プレ印刷表示を付した合成樹脂製
基材を熱成形する場合には、金属板を深絞り成形する場
合とは異なり成形体の肉厚制御が難しく、肉厚むら、す
なわち延伸むらが生じやすい。特に、成形体の側面部に
該当する部分や複雑な形状に成形される部分には、延伸
むらが生じやすい傾向がある。そのため、単に基材の延
伸倍率を考慮してプレ印刷表示を付すだけでは予定通り
に該プレ印刷表示が変形せず、歪みや位置ずれのない印
刷表示を完成させることができない。ただし例外的に、
成形体の底部に相当する部分の基材は延伸むらが生じに
くいので、この部分についてはプレ印刷表示が有効であ
る。
【0009】このような実情の下、熱成形法に応用可能
で、表示部位、成形体の形状あるいは大きさに制限され
ず、しかも大量生産に向いている印刷表示法の開発が強
く望まれている。また、熱成形法によって製造された成
形体であってプレ印刷を施されたものとしては、成形体
の底部に該プレ印刷表示を施されたものがわずかに存在
しているだけであり、成形体の側面部に該プレ印刷表示
を施されたものは未だ得られていないのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述したよ
うな状況に鑑みてなされたものであり、その第一の目的
は、熱成形法によって成形されたものであるにもかかわ
らず、その内側または外側の側面部に歪みのない正確な
印刷表示を有している成形体を提供することにある。ま
た第二の目的は、熱成形法に応用可能で、表示部位、成
形体の形状あるいは大きさに制限されず、しかも大量生
産に向いている印刷表示法を提供すると共に、該印刷表
示法を応用した熱成形法によって正確な印刷表示を有す
る成形体を製造する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記第一の目的を達成す
るために、本発明においては印刷表示を有する成形体
を、フィルム状またはシート状の成形用基材を、その周
囲を固定した状態でプラグおよび圧力流体よりなる群か
ら選ばれる少なくとも1つの加圧または除圧手段を用い
て延伸することによって得られる成形体であって、前記
成形体は、開口部を有し、外側および内側のうち少なく
とも一方の表面が熱可塑性樹脂層で形成され、且つ、前
記熱可塑性樹脂層で形成されている側の表面であって成
形体の外側および内側のうち少なくとも一方の側面部に
印刷表示を有しており、前記印刷表示は、成形時におけ
る前記成形用基材の延伸状態を予測して予め成形前の成
形用基材上に印刷されたプレ印刷表示が、成形時におい
て成形用基材の延伸に追従して変形することによって形
成されたものとなるように構成した。
【0012】また、上記第二の目的を達成するために、
本発明においては、印刷表示を有する成形体の製造方法
を、成形用基材を延伸して成形体を製造する方法であっ
て、少なくとも一方の表面が熱可塑性樹脂層で形成され
ているフィルム状またはシート状の成形用基材を準備す
る第一工程と、成形時における前記成形用基材の延伸状
態を予測する第二工程と、前記成形用基材における熱可
塑性樹脂層で形成されている側の表面であって成形体の
外側および内側のうち少なくとも一方の側面部に該当す
る部分に、第二工程で行われた成形用基材の延伸状態の
予測結果に基づいて、成形用基材の延伸に追従して変形
し成形終了時には完成時の印刷表示に変換されているプ
レ印刷表示を印刷する第三工程と、延伸を行うために第
三工程で得られたプレ印刷済み成形用基材の位置合わせ
を行う第四工程と、そして、位置合わせの後、前記プレ
印刷済み成形用基材の周囲を固定した状態でプラグおよ
び圧力流体よりなる群から選ばれる少なくとも1つの加
圧または除圧手段を用いてプレ印刷済み成形用基材を延
伸する第五工程とを有することを特徴とし、開口部を有
し、外側および内側のうち少なくとも一方の側面部に印
刷表示を有する成形体を製造できるように構成した。
【0013】
【作用】本発明の印刷表示を有する成形体の製造方法
は、合成樹脂を主成分とする成形用基材の表面に、完成
時には歪みや位置ずれのない印刷表示に変換されている
が当初は歪んでいるプレ印刷表示を付した後で熱成形す
ることによって、印刷表示を有する成形体を製造するも
のであるが、成形用基材の延伸倍率だけでなく延伸むら
をも考慮してその延伸状態を予測し、その予測結果に基
づいてプレ印刷の歪み具合や表示位置を決定するので、
基材上に付されたプレ印刷表示は、基材の延伸に追従し
て予定通りに変形する。
【0014】この方法によれば、成形用基材の延伸状態
を最初に一度予測してプレ印刷の歪み具合や表示位置を
決定しておきさえすれば、延伸むらが生じやすい場所か
否かにかかわらず、また成形後には印刷不可能な場所で
あるか否かにかかわらず、成形用基材上のいかなる場所
にでもプレ印刷表示を付すことができる。したがって、
歪みや位置ずれのない正確な印刷表示を有する成形体
を、熱成形法で効率よく大量生産することができる。な
お、熱成形機には、ラベル自動挿入機のような特別の設
備を付加する必要もない。
【0015】そして、上記方法によって得られる本発明
の印刷表示を有する成形体は、熱成形によって製造され
たものであるにもかかわらず、延伸むらが生じやすい場
所、たとえば側面部や表面形状の複雑な場所等にもプレ
印刷表示から変換された印刷表示を有しており、このよ
うな成形体は従来なかったものである。
【0016】
【実施例】次に、実施例に沿って本発明をさらに詳しく
説明する。図1は本発明の印刷表示を有する成形体の一
例(101)を示す斜視図であり、図2は同じ成形体1
01の縦断面を模式的に示した図である。図3(1)は
成形体101を成形する前の状態であるプレ印刷済み成
形用基材1aの平面図であり、図3(2)は図1と全く
同じで、前記基材1aを成形して得られた成形体101
の斜視図である。また、図4(1)〜(5)は、本発明
の印刷表示を有する成形体の他の例102〜106を示
す斜視図である。
【0017】図1〜4に沿って説明すると、本発明の印
刷表示を有する成形体は、図1の成形体101のよう
に、内部が空洞で開口部13と底部12を有し、外側の
側面部11aおよび内側の側面部11bの少なくとも一
方に印刷表示3が存在する。なお、例示された印刷表示
3はバーコードであり、外側の側面部11aにのみ付さ
れている。この成形体101は、図3に示した円盤状の
プレ印刷済み成形用基材1aを、その周囲を固定した状
態でプラグおよび圧力流体よりなる群から選ばれる少な
くとも1つの加圧または除圧手段を用いて延伸する(熱
成形)ことによって製造されるが、製造方法の詳細につ
いては後述する。
【0018】成形体の形状は、成形体101のような平
底円筒状に限定されず、たとえば図4に示すように丸底
円筒状(成形体102)、半球状(成形体103)、浅
い凸面状(成形体104)、直方体状(成形体10
5)、あるいは多角柱状(成形体106)等、熱成形に
よって製造できるあらゆる形状をとることができる。成
形体が丸底、半球状、浅い凸面状等の場合には、外見
上、底部と側面部の境界は明確でないが、本発明におい
て成形体の側面部とは、成形体の胴部を構成し、且つ単
に基材の延伸倍率を計算しただけでプレ印刷したのでは
予定通りにプレ印刷表示が変形せず、延伸むらをも考慮
してプレ印刷しなければ歪みや位置ずれのない印刷表示
を完成させることができない領域を意味し、外見上明瞭
でないものも包含している。なお、つば部14は、成形
体の用途に応じて適宜設けてもよいが、必ず必要という
わけではない。
【0019】歪みや位置ずれのない印刷表示3(バーコ
ード)は、図3(1)に示した円盤状の成形用基材1a
上に予め印刷された歪んだプレ印刷表示2が,熱成形の
際に基材の延伸に追従して変形した結果完成されたもの
である。プレ印刷表示2の歪み具合や表示位置は、後述
のように成形用基材の延伸倍率だけでなく延伸むらをも
考慮して決定される。
【0020】本発明において成形体本体の積層構造は、
主要な層として熱可塑性樹脂層が少なくとも一層存在し
且つ印刷表示が必ず熱可塑性樹脂層上に付されている限
り、単層構造であってもよいし多層構造であってもよ
い。たとえば成形体101の場合には図2に示すように
多層構造を有し、印刷表示3が付されている外側表面は
熱可塑性樹脂層21で形成されており、他の層、すなわ
ち2つの中間層22、22および最内層23としては、
成形体の用途等を考慮して任意に選ばれた層が積層され
ている。積層構造中には熱可塑性樹脂層が2層以上存在
していてもよく、たとえば上記した他の層22、22、
23が熱可塑性樹脂層であっても差支えない。なお、保
護層24によって印刷面あるいは成形体表面を保護する
ことができる。
【0021】熱可塑性樹脂層以外の層としては、たとえ
ば以下の(a)〜(l)の各層を例示することができ
る。 (a)中間層である熱可塑性樹脂層、(b)20℃、相
対湿度65%における酸素透過量が20cc・20μm
/m2 ・24hr・atm以下である酸素遮断性樹脂
層、(c)酸素吸収性物質含有層、(d)水分吸収性物
質含有層、(e)金属箔層、(f)紙層、(g)不織布
層、(h)非吸着性樹脂層、(i)抗菌・抗カビ性層、
(j)生分解性高分子層、(k)発泡性高分子層、
(l)リサイクル層。
【0022】また、成形体本体が単層構造を有する場
合、すなわち一層の熱可塑性樹脂層のみで構成されてい
る場合には、上記のような他の層を積層するかわりに、
成形体の用途等に応じて、該熱可塑性樹脂層が以下の各
層のいずれかひとつまたはふたつ以上を兼ねるようにす
ることができる。
【0023】(d)水分吸収性物質含有層、(h)非吸
着性樹脂層、(i)抗菌・抗カビ性層、(j)生分解性
高分子層、(k)発泡性高分子層。
【0024】なお、成形体本体の積層構造は、成形され
る前の状態である成形用基材と同じなので、各層および
それらの組み合わせについては、成形用基材の説明の中
で併せて詳述する。
【0025】次に、図5から図8に、上記のような成形
体を製造するための一連の工程をいくつか示す。図5
は、成形体一個分ずつに分割された成形用基材を準備
し、基材の延伸状態を予測してプレ印刷をし、ヒータで
加熱軟化し、保温部で基材温度を調整し、金型で熱成形
して成形体とするまでの一連の工程を示している。図6
は、図5の工程群に射出成形によるインサート工程を組
み込んだ例である。図7は、長尺状の成形用基材を準備
し、基材の延伸状態を予測して成形体2個分以上のプレ
印刷をし、ヒータで加熱し、保温部で基材温度を調整
し、金型で熱成形し、最後に打ち抜いて成形体とするま
での一連の工程を示している。図8は、図5の工程群に
射出成形によるインサート工程を組み込んだ例である。
【0026】本発明の製造方法においては、先ず、フィ
ルム状またはシート状の成形用基材1を準備しなければ
ならない(第一工程)。図5(1)は円盤状の成形用基
材1が準備された状態を示し、一方、図7(1)は長尺
状の成形用基材1が準備された状態を示している。な
お、図5では円盤状の成形用基材1を準備してからプレ
印刷を行っているが、その代わりに長尺状の成形用基材
に成形体2個分以上のプレ印刷を行ってから成形体1個
分ずつに切断してもよい。
【0027】成形用基材1の積層構造は、前述した成形
体本体の積層構造と同じである。すなわち該基材の積層
構造は、主要な層として熱可塑性樹脂層が少なくとも一
層存在し且つプレ印刷表示を付すべき表面が必ず熱可塑
性樹脂層で形成されている限り、単層構造であってもよ
いし多層構造であってもよい。
【0028】成形用基材が多層構造である場合には、少
なくともプレ印刷表示を付すべき側の表面が熱可塑性樹
脂層で形成されていなければならないが、それ以外の層
は、成形体の用途等を考慮して任意に選ぶことができ、
各層は接着剤あるいは接着性樹脂を介すかまたは介さず
に接着積層されるか、あるいは熱溶融接着される。基材
表面の熱可塑性樹脂層以外の層としては以下の(a)〜
(l)の各層を例示することができる。
【0029】(a)中間層である熱可塑性樹脂層、
(b)20℃、相対湿度65%における酸素透過量が2
0cc・20μm/m2 ・24hr・atm以下である
酸素遮断性樹脂層、(c)酸素吸収性物質含有層、
(d)水分吸収性物質含有層、(e)金属箔層、(f)
紙層、(g)不織布層、(h)非吸着性樹脂層、(i)
抗菌・抗カビ性層、(j)生分解性高分子層、(k)発
泡性高分子層、(l)リサイクル層。
【0030】また、ひとつの層に幾つかの機能を併せ持
たせることもでき、たとえば、複数の層のうちの一層ま
たは複数の層間のうちの一つの層間に酸素吸収性物質と
水分吸収性物質の両方を添加することによって、酸素吸
収性物質含有層と水分吸収性物質含有層とを兼ねさせる
ことができる。
【0031】一方、成形体を多層化する必要がない場合
には、単層構造の成形用基材を使用する。この場合、成
形体の用途等に応じて、成形用基材である熱可塑性樹脂
製の単層フィルムまたはシートに幾つかの機能を併せ持
たせてもよい。たとえば熱可塑性樹脂層には、以下の各
層うちのいずれかひとつまたはふたつ以上を兼ねさせる
ことができる。
【0032】(d)水分吸収性物質含有層、(h)非吸
着性樹脂層、(i)抗菌・抗カビ性層、(j)生分解性
高分子層、(k)発泡性高分子層。
【0033】熱過塑性樹脂層に幾つかの機能を兼ねさせ
たい場合には、非吸着性樹脂、生分解性高分子または発
泡性高分子でもある熱可塑性樹脂を用いたり、水分吸収
性物質および抗菌・抗カビ剤のうちの少なくとも一種を
添加した熱可塑性樹脂を用いたりして単層フィルムまた
は単層シートを形成すればよい。
【0034】成形用基材の厚みは、通常50〜4000
μm程度である。なお、成形用基材を製造するには公知
の種々の方法を採用できる。熱可塑性樹脂層用の樹脂と
しては、各種の熱可塑性樹脂を用いることができ、たと
えばポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、塩素含有樹脂、フッ化樹脂、ポリアミ
ド系樹脂、ポリイミド系樹脂、気体遮断性樹脂、吸湿性
樹脂、接着性樹脂、エンジニアリングプラスチック、ポ
リウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、天然高分子系樹
脂、熱可塑性エラストマー(TPE)、エチレンとアク
リル酸誘導体あるいはメタクリル酸誘導体との共重合
体、非晶性ポリオレフィン、これら各樹脂の発泡物、架
橋物、水素添加物、エラストマー、あるいは数種の熱可
塑性樹脂からなるポリマーアロイ、ポリマーブレンド等
を例示できる。
【0035】より詳しくは、ポリオレフィン系樹脂とし
ては低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度
ポリエチレン、アイソタクチックポリエチレン、エチレ
ン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−
ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合
体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン
−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオ
ノマー)、ポリメチルペンテン、ポリビニルアルコー
ル、超高分子量ポリエチレン等を例示できる。
【0036】ポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレ
ン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−ブタジエ
ン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、アクリロ
ニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹
脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹
脂)等を例示できる。
【0037】ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタ
レート、ポリブチレンナフタレート等を例示できる。
【0038】塩素含有樹脂としては、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン、プロピレン−塩化ビニル共重合
体、塩素化塩化ビニル等を例示できる。フッ化樹脂とし
ては、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレ
ン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等を例示
できる。
【0039】ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、
ナイロン6,6、ナイロン6/6,6共重合体、メタキ
シリレンアジパミド、ナイロン6,10、ナイロン1
1、ナイロン12、ナイロン13等を例示できる。
【0040】ポリイミド系樹脂としては、ポリアミドイ
ミド、ポリエーテルイミド等を例示できる。気体遮断性
樹脂としては、ポリアクリロニトリル、エチレン−ビニ
ルアルコール共重合体ケン化物等を例示できる。
【0041】吸湿性樹脂としては、ポリアクリル酸、ポ
リアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニル
メチルエーテル、ビニルアルコール−アクリル酸共重合
体等を例示できる。
【0042】接着性樹脂としては、エチレン−アクリル
酸共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノ
マー)、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マ
レイン酸グラフトポリプロピレン、アクリル酸グラフト
ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、共重
合ポリエステル、共重合ポリアミド等を例示できる。
【0043】エンジニアリングプラスチックとしては、
ポリカーボネート、ポリアリールエステル(ポリアリレ
ート(PA))、ポリアセタール、ポリエーテルスルフ
ォン(PES)、ポリフェニレンスルファイド(PP
S)、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルエーテル
ケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエ−テ
ルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)、全
芳香族ポリアミド(APA)、ポリエステルエーテル
(PEE)、ポリパラバン酸(PPA)、ポリオキサジ
アゾール(POD)、ポリヒダントイン(PHY)、ア
ラミド、液晶ポリマー等を例示できる。
【0044】アクリル系樹脂としては、ポリメタクリル
酸メチル、ポリメタクリル酸メチル−スチレン共重合
体、メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体等
を例示できる。
【0045】天然高分子系樹脂としては、セルロース、
エチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セル
ロース、硝酸セルロース等を例示できる。熱可塑性エラ
ストマー(TPE)としては、ポリスチレン系エラスト
マー、塩化ビニル系エラストマー、オレフィン系エラス
トマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エ
ラストマー、ポリウレタン系エラストマー、その他のエ
ラストマーを例示できる。
【0046】TPEの1種であるポリスチレン系エラス
トマーとしては、ハードセグメント成分としてポリスチ
レンを有し、ソフトセグメント成分としてポリブタジエ
ン、ポリイソプレン、ポリエチレン−ポリブチレンブロ
ック共重合体(EB)、ポリエチレン−ポリプロピレン
ブロック共重合体(EP)のうちの少なくとも1種を有
するもの(SBS、SIS、SEBS、SEPS等)を
例示できる。
【0047】TPEの1種である塩化ビニル系エラスト
マーとしては、ハードセグメント成分としてポリ塩化ビ
ニルを有し、ソフトセグメント成分としてニトリルブタ
ジエンゴム(NBR)、ウレタン、ポリエステルのうち
の少なくとも1種を有するものを例示できる。
【0048】TPEの1種であるオレフィン系エラスト
マーとしては、ハードセグメント成分としてポリエチレ
ン、ポリプロピレンのうちの少なくとも1種を有し、ソ
フトセグメント成分としてエチレン−プロピレン共重合
ゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重
合ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合ゴム(EVA)、
エチレン−アクリル酸エチル共重合ゴム(EEA)、エ
チレン−メタクリル酸グリシジル共重合ゴム(EGM
A)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴ
ム(AR)のうちの少なくとも1種を有するものを例示
できる。
【0049】TPEの1種であるポリエステル系エラス
トマーとしては、ハードセグメント成分としてポリブチ
レンテレフタレートを有し、ソフトセグメント成分とし
て脂肪族ポリエーテル(ポリテトラメチレングリコール
とテレフタル酸との縮合物(PTMEGT)等)、脂肪
族ポリエステル(ポリカプロラクトンから構成されるブ
ロック共重合体等)のうちの少なくとも1種を有するも
のを例示できる。
【0050】TPEの1種であるポリアミド系エラスト
マーとしては、ハードセグメント成分としてナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、
ナイロン11、ナイロン12のうちの少なくとも1種を
有し、ソフトセグメント成分としてポリエーテル(ポリ
エチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコ
ール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PT
MG)等)、ポリエステルのうちの少なくとも1種を有
するものを例示できる。
【0051】TPEの1種であるポリウレタン系エラス
トマーとしては、ハードセグメント成分としてポリウレ
タンを有し、ソフトセグメント成分としてポリカーボネ
ート系ポリオール、エーテル系ポリオール、カプロラク
トン系ポリオール、アジペート系ポリオール、炭酸エス
テル系ポリオールのうちの少なくとも1種を有するもの
を例示できる。
【0052】その他のエラストマーとしては、ハードセ
グメント成分/ソフトセグメント成分の組み合わせが、
シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン/アタク
チック−1,2−ポリブタジエン、ポリエチレン/11
イソブテン−イソプレン共重合体ゴム、イオンクラスタ
ー(アイオノマー)/アモルファスポリエチレン、トラ
ンス−ポリイソプレン/アモルファスポリイソプレン、
フッ素樹脂/フッ素ゴム、ポリエチレン/天然ゴム、ポ
リプロピレン/天然ゴムを例示できる。
【0053】エチレンとアクリル酸誘導体あるいはメタ
クリル酸誘導体との共重合体としては、エチレン−アク
リル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸メチ
ル共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸エチル
共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共
重合体(EMMA)、エチレン−メタクリル酸エチル共
重合体(EMA)等を例示できる。
【0054】非晶性ポリオレフィンとしては、側鎖に環
状構造を持つものとしてスチレン系樹脂の芳香環に水素
添加して得られるポリビニルシクロヘキサン系樹脂を例
示でき、主鎖に環状構造を持つものとしてジシクロペン
タジエンをモノマーとして有する開環重合体およびその
水素添加物、ジシクロペンタジエンとエチレンとの共重
合体およびその水素添加物、ペンタシクロペンタデセン
をモノマーとして有する開環重合体およびその水素添加
物、テトラシクロドデセン類とノルボルネン類との開環
重合体およびその水素添加物、テトラシクロドデセン類
またはそれ以上の多環ノルボルネン類とα−オレフィン
との付加重合体およびその水素添加物、ペンタシクロペ
ンタデカンおよび/またはペンタシクロペンタデセンを
必要に応じて他のコモノマーと共に開環重合して得られ
る開環重合体およびその水素添加物等を例示できる。
【0055】熱可塑性樹脂層には、30重量%程度を上
限として熱可塑性樹脂以外の成分を添加することができ
る。そのような所望成分としては、たとえば、炭酸カル
シウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、水酸化アルミニ
ウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、酸化亜鉛、酸
化マグネシウム等の酸化物、ケイ酸アルミニウム、ケイ
酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム等のケイ酸塩、ケイ
酸等を主成分とする粉末状充填剤、マイカ等のフレーク
状充填剤、あるいはアスベスト、鉱物繊維、ゾノライ
ト、チタン酸カリウム、硝酸根(SO4 )を有するエ
レスタダイト、石膏繊維、マグネシウム系繊維等の繊維
状充填剤を添加できる。また、遮光性、紫外線遮断性、
色彩を付与するために顔料、金属粉、カーボンブラック
等を添加できる。
【0056】さらに、印刷適性を向上させるために、帯
電防止剤や静電誘導遮断剤等の添加剤を添加できる。そ
のような添加剤としては、アニオン系界面活性剤、カチ
オン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活
性剤、脂肪酸誘導体、四官能基性ケイ素部分加水分解
物、金属微粉末、金属酸化物粉末、金属硫化物、導電性
処理を施した微粉末、導電性カーボン、ビスアンモニウ
ム系有機イオウ半導体を例示できる。帯電防止性や静電
誘導遮断性を向上させる添加剤は、成形体の材料や添加
剤の中に静電気によって分解や劣化しやすい成分がある
場合や、製造段階や成形後に特にごみの付着を避けたい
場合にも好適に使用される。なお、帯電防止性や静電誘
導遮断性を向上させる添加剤は、接着剤層や保護層等に
添加したり、成形用基材の層間や表面に塗布加工しても
よい。
【0057】本発明の成形体が酸素感受性を有する食品
や工業部品等の容器である場合には、成形用基材の一層
として酸素遮断性樹脂層や酸素吸収性物質含有層を積層
するのが好ましい。なお、酸素吸収性物質含有層と酸素
遮断性樹脂層を組み合わせても差支えない。
【0058】酸素遮断性樹脂としては、たとえば、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体けん化物(エチレン含有量2
0〜60モル%、けん化度96%以上)、メタキシリレ
ンジアミン(MXDA)とアジピン酸とから得られるポ
リアミド(MXD6ナイロン)、アクリロニトリル共重
合体、塩化ビニリデン共重合体等を例示することができ
る。また、20℃、相対湿度65%における酸素透過量
が20cc・20μm/m2 ・24hr・atm以下で
あるものが好適である。酸素遮断性樹脂層は、ドライラ
ミネーション法、多層共押出し法、押出しラミネーショ
ン法などによって形成したり、酸素遮断性樹脂を有機溶
媒、水、アルコール等に溶解分散した液をコーティング
したりして形成する。なお、酸素遮断性樹脂の溶解分散
液は、成形用基材を成形体とした後でその表面にコーテ
ィングしてもよい。酸素遮断性樹脂層の厚みは5〜20
0μm程度が好ましい。
【0059】酸素吸収性物質としては、フェノール性水
酸基を有する化合物、還元性を有する金属、金属酸化
物、還元性金属化合物、糖類、工業用還元剤、不飽和有
機酸、金属錯体、遷移金属化合物等を例示できる。
【0060】より詳しくは、フェノール性水酸基を有す
る化合物としては、トコフェノール等のフェノール類、
ピロガロール類、メチルハイドロキノン等のヒドロキノ
ン類、没食子酸メチルや没食子酸エチル等の没食子酸
類、フェノール−アルデヒド樹脂等のタンニン酸類を例
示できる。
【0061】還元性を有する金属としては、還元性鉄、
還元性亜鉛、還元性錫、パラジウム等の長周期型周期表
において3A〜7A、8または1Bに属する遷移金属、
アルミニウム、マグネシウム、リチウム、およびこれら
の表面にハロゲン化金属を被覆したものを例示できる。
【0062】金属酸化物としては、酸化第一鉄や四三酸
化鉄を例示できる。還元性金属化合物としては、炭化
鉄、ケイ素鉄、鉄カルボニル、水酸鉄を例示できる。糖
類としては、グルコース、ガラクトース、マルトースを
例示できる。工業用還元剤としては、ロンガリットを例
示できる。不飽和有機酸としては、アスコルビン酸を例
示できる。
【0063】金属錯体としては、遷移金属の金属イオン
とポリアルキルアミン、ポリピジン、ポリイミダゾー
ル、ポリリシン、ポリヒスチジン、ポリフィリン等の配
位子とで形成される錯体(ポリフィリン鉄、ポリエチレ
ンイミン−コバルト等)、コバルト(II)−シッフ塩
基錯体(Co(II)サレン、Co(II)サルバ、Co(II)サ
ルヘン、Co(II)アカセン、Co(II)ヒガセン、サルコ
ミン、N,N´−ビス(4−メトキシサリチルアルデヒ
ド)ジメチルエチレンジアミンコバルト(II)、N,N´
−ビス(4−メトキシサリチルアルデヒド)テトラメチ
ルエチレンジアミンコバルト(II)等)、有機金属錯体
(エトラエチレンペンタミンコバルト、プロトポルフィ
リンIXジメチルエステルコバルト(II)等)、5配位錯
体、銅アミン錯体を例示できる。
【0064】遷移金属化合物としては、ステアリン酸コ
バルトを例示できる。酸素吸収性物質含有層を形成する
には種々の方法がある。たとえば、上記のような酸素吸
収性物質を、熱可塑性樹脂に配合して得た酸素吸収性フ
ィルムを接着剤や接着性樹脂を介してドライラミネーシ
ョン、押出しラミネーション、あるいは多層共押出しラ
ミネーションすればよい。また、酸素吸収性物質を配合
した接着剤または接着性樹脂を用いて各層を接着しても
よい。接着剤または接着性樹脂の層上に粉体の酸素吸収
性物質をコーティングしてから別の層を貼ってもよい。
酸素反応性を有する金属(鉄、ニッケル、錫等)を蒸
着、イオンプレーティング、スパッタリング、あるいは
化学的蒸着(CVD)させた熱可塑性樹脂フィルムを接
着積層してもよい。
【0065】酸素吸収性物質は、水溶性ポリマーでマイ
クロカプセル化したり、サイクロデキストリンで包接し
たり、シリカゲルのような無機硬質支持体、多孔性有機
高分子あるいは繊維質基材に保持させた状態で使用して
もよい。
【0066】さらに、活性型ポリアミド(メタキシリレ
ンジアミンとアジピン酸とからなるポリアミドとコバル
ト等の金属イオンをブレンドした樹脂)を用いて酸素吸
収性物質含有層を形成してもよい。酸素吸収性物質含有
層の厚みは5〜200μm程度が好ましい。
【0067】酸素吸収性物質含有層には助剤を添加して
もよい。この助剤は、それ自体が酸素吸収性を有する物
質あるいは電子供与物質として関与する。そのような助
剤としては、たとえばアルカリ金属またはアルカリ土類
金属の水酸化物、炭酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、第三
燐酸塩、第二燐酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物等を例示
できる。また、活性炭、活性アルミナ、活性白土、フェ
ノール類も例示できる。
【0068】本発明の成形体が水分感受性を有する食品
や工業部品等の容器である場合や、前述の酸素遮断性樹
脂層が高温高湿度雰囲気下で吸湿して酸素遮断性が低下
するのを防止したい場合には、水分吸収性物質含有層を
積層するのが好ましい。
【0069】水分吸収性物質としては、種々の吸湿剤、
乾燥剤を使用することができ、たとえば、以下に示す無
機塩類、有機化合物、水溶性ポリマー、高吸水性樹脂、
その他の物質等を例示できる。無機塩類に属するものと
しては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネ
シウム、塩化亜鉛、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウ
ム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニ
ウム、燐酸水素二ナトリウム、二燐酸ナトリウム、ピロ
リン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸カルシウム、硝酸ナトリウム、カリウムミョウ
バン、一燐酸アンモニウム、臭化カリウム等を例示でき
る。
【0070】有機化合物に属するものとしては、グルコ
ース、果糖、蔗糖、ゼラチン、変性カゼイン、変性デン
プン、トラガントゴム、カルボキシメチルセルロース、
アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルヒ
ドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース等を例示できる。
【0071】水溶性ポリマーに属するものとしては、ポ
リビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリ
ル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリビニルアル
コール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、
イソブテン−無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエ
ーテル−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコー
ルのアクリルアミド変性物、スチレン−アリルアルコー
ル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニ
ルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、アルキル化ビニル
ピロリドンポリマー、ビニルピロリドン−スチレン共重
合体等を例示できる。
【0072】高吸水性樹脂に属するものとしては、デン
プン系およびセルロース系のグラフト誘導体(アクリル
酸(塩)グラフト化デンプン、デンプンのアクリルニト
リルグラフト化加水分解物、アクリル酸(塩)グラフト
化セルロース、セルロースのアクリルニトリルグラフト
化加水分解物、上記のアクリル酸のかわりにグラフト化
モノマーとしてメタクリル酸メチル、アクリルアミド、
メタクリル酸ジメチルアミノエチルあるいは酢酸ビニル
を用いたもの等)、ポリアクリル酸塩の部分架橋物、ポ
リイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、メタクリル
酸メチル−酢酸ビニル共重合体の加水分解物、カルボキ
シメチルセルロース架橋物、ポリビニルアルコール−無
水マレイン酸反応物、ポリビニルアルコール−無水フタ
ル酸反応物、ポリアクリルニトリル系のケン化物(ビニ
ルアルコール−アクリル酸(塩)ブロック共重合体
等)、ポリエチレンオキサイド変性物等を例示できる。
【0073】その他の水分吸収性物質としては、シリカ
ゲル、アルミナゲル、シリカ−アルミナゲル、各種ゼオ
ライト、セリモイト、モンモリナイト、カオリンクレ
ー、タルク、ケイ酸カルシウム、天然ケイ酸、合成ケイ
酸等を例示できる。
【0074】水分吸収性物質含有層を形成するには種々
の方法がある。たとえば、上記のような水分吸収性物質
を、熱可塑性樹脂に配合して得た水分吸収性フィルムを
接着剤や接着性樹脂を介してドライラミネーション、押
出しラミネーション、あるいは多層共押出しラミネーシ
ョンすればよい。また、水分吸収性物質を配合した接着
剤または接着性樹脂を用いて各層を接着してもよい。接
着剤または接着性樹脂の層上に粉末状の水分吸収性物質
をコーティングしてから別の層を貼ってもよい。水分吸
収性物質含有層の厚みは10〜2000μm程度が好ま
しい。
【0075】本発明の成形体の意匠性や酸素遮断性を向
上させる目的で、成形用基材の一層として金属箔層を積
層することもできる。金属箔の材料としては、たとえば
鉄、ニッケル、アルミニウム、銅等を例示できる。金属
箔層の厚みは2〜500μm程度が好ましい。
【0076】本発明の成形体の意匠性、手で持ったとき
の感触、クッション性等を向上させる目的で、成形用基
材の一層として紙や不織布を積層することもできる。紙
としては、熱成形可能なパルプモールド紙(成形紙)が
好適である。不織布としては、レーヨン、ポリエステ
ル、ポリエチレン、ナイロン、ビニロン、塩化ビニリデ
ン等の高分子繊維を、樹脂接着式、ニードルパンチ式、
ステッチボンド式、サーマルボンド式(熱融着式)、ス
パンレース式(ウォータジェット式)の各方式による乾
式法、湿式法、メルトブロー法、あるいはスパンボンド
法のいずれかで製造されたものが好適である。紙層およ
び不織布層の各層の厚みは5〜3000μm程度が好ま
しい。
【0077】本発明の成形体が、容器の内面に付着しや
すい成分を含む内容物(油分の多い食品、工業用材料、
柑橘系の香気成分を含有するジュース等)に用いられる
容器である場合には、成形用基材の一層として容器の最
内層となるべき非吸着性樹脂層(非付着性樹脂層)を積
層するのが好ましい。
【0078】非吸着性樹脂層は、非吸着性樹脂および非
付着性樹脂を少なくとも一種含有する層であり、非付着
性樹脂としては、たとえばシリコンでグラフト化したポ
リオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンと
アクリル酸誘導体またはメタクリル酸誘導体との共重合
体(エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等)、フッ
化樹脂等を例示でき、非吸着性樹脂としては、たとえば
エチレン−ビニルアルコール共重合体ケン化物、ポリエ
ステル系樹脂等を例示できる。非吸着性樹脂層を形成す
るには種々の方法があり、たとえば上記のような非吸着
性樹脂または非付着性樹脂からなるフィルムを接着剤や
接着性樹脂を介してドライラミネーション、押出しラミ
ネーション、あるいは多層共押出しラミネーションすれ
ばよい。非吸着性樹脂層の厚みは2〜3000μm程度
が好ましい。
【0079】本発明の成形体が、微生物等によって腐敗
や変質しやすい内容物に用いられる容器であったり、微
生物の付着を避けたい成形体である場合には、成形用基
材の一層として容器の最内層および/または最外層とな
るべき抗菌・抗カビ性層を積層するのが好ましい。
【0080】抗菌・抗カビ性層は、抗菌剤および/また
は抗カビ剤を少なくとも一種含有する層であり、抗菌剤
としては、たとえば合成ゼオライトの骨格内に銀イオン
や銅イオンを結合させてなる抗菌性ゼオライト、ヒノキ
科の木材に含有されるトロポロン、ヒノキチオール、β
−ドラブリン等の抗菌剤、プロタミン、キトサン、リゾ
チーム、寒天オリゴ糖、ベタイン、精油含有物質(シナ
モン、オレガノ、ガーリック、ワサビ等)等の天然抗菌
剤、ケイ酸カルシウム等を例示できる。
【0081】抗菌・抗カビ性層を形成するには種々の方
法がある。たとえば、上記のような抗菌・抗カビ性物質
を、熱可塑性樹脂に配合して得たフィルムを接着剤や接
着性樹脂を介してドライラミネーション、押出しラミネ
ーション、あるいは多層共押出しラミネーションすれば
よい。抗菌・抗カビ性層の厚みは2〜3000μm程度
が好ましい。
【0082】本発明の成形体の廃棄性を向上させる目的
で、成形用基材の一層として生分解性高分子層を積層す
ることもできる。生分解性高分子層は、生分解性高分子
を少なくとも一種含有する層であり、生分解性高分子と
しては、たとえばポリカプロラクトン、ポリブチレンサ
クシネート、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル、該脂肪
族ポリエステルと汎用プラスチックとのブレンド体、該
脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルとの共重合
体、該脂肪族ポリエステルとポリアミドとの共重合体、
ポリヘキサメチレンカーボネート等の脂肪族ポリカーボ
ネート、デンプンまたは糊化デンプンと熱可塑性樹脂と
のブレンド体、ポリヒドロキシアルカノエート類(ポリ
−3−ヒドロキシ酪酸(PHB)、PHBとポリヒドロ
キシ吉草酸との共重合体等)、デンプンとポリカプロラ
クトンとのブレンド体、デンプンと変性ポリビニルアル
コールとのブレンド体、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸とポ
リカプロラクトンとのブレンド体等を例示できる。
【0083】生分解性高分子層を形成するには種々の方
法があり、たとえば上記のような生分解性高分子からな
るフィルムを接着剤や接着性樹脂を介してドライラミネ
ーション、押出しラミネーション、あるいは多層共押出
しラミネーションすればよい。生分解性高分子層の厚み
は10〜3000μm程度が好ましい。
【0084】本発明の成形体に断熱性を付与したり軽量
化を図る目的で、成形用基材の一層として発泡性高分子
層を積層することもできる。発泡性高分子としては、た
とえばポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂また
はポリエステル系樹脂を、発泡剤によって発泡させたも
のを例示できる。発泡剤としては、揮発性発泡剤(炭素
数4〜7の低沸点溶剤、塩素化脂肪族炭化水素、フッ素
化脂肪族炭化水素等)、無機発泡剤(重炭酸ナトリウ
ム、炭酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム等)、
有機発泡剤(アゾ系、ニトロソ系、ヒドラジド系等)を
例示できる。なお、発泡剤と共に発泡補助剤を併用でき
る。
【0085】発泡性高分子層を形成するには種々の方法
があり、たとえば上記のような発泡性高分子からなるフ
ィルムを接着剤や接着性樹脂を介してドライラミネーシ
ョン、押出しラミネーション、あるいは多層共押出しラ
ミネーションすればよい。発泡性高分子層の厚みは20
〜3000μm程度が好ましい。
【0086】リサイクル層とは、成形体を打ち抜く時な
どに生じる基材の不要部分、すなわち基材のかすを再利
用した層である。成形用基材中の一層としてリサイクル
層を積層することによって、基材の厚みを調節すると同
時に廃棄物の量を減らすことができる。リサイクル層を
形成するには、成形用基材のかすを再溶融してから公知
の方法で積層すればよい。
【0087】成形用基材中の各層を接着するために用い
られることがある接着剤としては、ポリオレフィン系、
ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、有機チタン
化合物、イソシアネート系、ウレタン系の各接着剤を例
示できる。接着性樹脂としては、カルボン酸、カルボン
酸塩、カルボン酸無水物、カルボン酸アミド、カルボン
酸エステル等に由来する少なくとも一種のカルボニル基
を主鎖または側鎖に有する熱可塑性樹脂を例示でき、そ
の中でもエチレン−アクリル酸共重合体、イオン架橋オ
レフィン共重合体(アイオノマー)、無水マレイン酸グ
ラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロ
ピレン、アクリル酸グラフトポリオレフィン、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、共重合ポリエステル、共重合ポ
リアミドが好適である。接着剤層および接着性樹脂層
は、公知の貼り合わせ方法またはコーティング方法にて
積層できる。
【0088】さらに、成形用基材中の各層間に、低密度
ポリエチレン、密度が0.915〜0.940g/cm
3 のエチレン−αオレフィン共重合体、ポリエチレンビ
ニルアセテート共重合体、アイオノマー、ポリプロピレ
ン、エチレンとアクリル酸誘導体またはメタクリル酸誘
導体との共重合体からなる接着補強層を形成してもよ
い。この場合、前記接着剤を接着促進剤として用いる。
【0089】なお、接着剤層、接着性樹脂層および接着
補強層の各層の厚みは、0.01〜60μm程度が好ま
しい。成形時において金型との摩擦やひっかき等から印
刷表示を保護したり、流通時において落下強度や耐摩擦
性を向上させたり、あるいは意匠性や耐薬品性を向上さ
せたりするために、成形用基材の表面、特にプレ印刷が
施された側の表面には保護層を積層するのが好ましい。
【0090】保護層を形成するための材料としては、た
とえば上述の熱可塑性樹脂のほか、ポリエステル系、ア
クリル系、ポリオレフィン系、ウレタン系、塩化ビニル
系、塩化ビニリデン系、ポリアミド系、セルロース系、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系あるいはエチレン−
酢酸ビニル共重合体系の熱可塑性樹脂を有機溶媒、水、
アルコール等に分散・溶解したものを例示できる。ま
た、アクリル系の紫外線硬化性または電子線硬化性(E
B)樹脂も例示できる。
【0091】保護層を形成するには、基材に対して、た
とえば上記の保護層用樹脂を接着剤、接着性樹脂または
接着促進剤を介してドライラミネーションや押出しラミ
ネーションで貼り合わせたり、上記の分散・溶解液をロ
ールコーティング法、スプレーコーティング法等によっ
て塗布したりすればよい。また、基材を成形した後で成
形体の表面に塗工してもよい。なお、保護層の厚みは
0.05〜3000μm程度が好ましい。
【0092】図9(1)〜(12)に、各層の組み合わ
せを幾つか示す。いずれの図も向かって左側が外側表面
で向かって右側が内側表面である。図9(1)は、プレ
印刷表示1a/外側表面の熱可塑性樹脂層(A)/接着
剤層(P)/内側表面の熱可塑性樹脂層(B)の組み合
わせを示している。内側表面の熱可塑性樹脂層(B)
は、(A)層の厚みを調整したり、(A)層と異なる材
質の熱可塑性樹脂を積層したり、着色された熱可塑性樹
脂を積層したい場合等に積層される。図9(2)は、図
9(1)の基材の内側表面にさらにプレ印刷表示1aを
設けたものである。図9(3)は、プレ印刷表示1a/
外側表面の熱可塑性樹脂層(A)/接着性樹脂層(Q)
/酸素遮断性樹脂層(b)/接着性樹脂層(Q)/内側
表面の熱可塑性樹脂層(B)の組み合わせを示してい
る。図9(4)は、プレ印刷表示1a/外側表面の熱可
塑性樹脂層(A)/酸素吸収性物質含有層(c)/酸素
遮断性樹脂層(b)/酸素吸収性物質含有層(c)/内
側表面の熱可塑性樹脂層(B)の組み合わせを示してい
る。図9(5)は、プレ印刷表示1a/外側表面の熱可
塑性樹脂層(A)/水分吸収性物質含有層(d)/酸素
遮断性樹脂層(b)/水分吸収性物質含有層(d)/内
側表面の熱可塑性樹脂層(B)の組み合わせを示してい
る。図9(6)は、プレ印刷表示1a/外側表面の熱可
塑性樹脂層(A)/接着性樹脂層(Q)/金属箔層
(e)/接着性樹脂層(Q)/内側表面の熱可塑性樹脂
層(B)の組み合わせを示している。図9(7)は、プ
レ印刷表示1a/外側表面の熱可塑性樹脂層(A)/紙
層(f)または不織布(g)/内側表面の熱可塑性樹脂
層(B)の組み合わせを示している。図9(8)は、プ
レ印刷表示1a/外側表面の熱可塑性樹脂層(A)/接
着剤層(P)/非付着性樹脂層(h)の組み合わせを示
している。図9(9)は、プレ印刷表示1a/抗菌・抗
カビ性層および生分解性高分子層でもある単層の熱可塑
性樹脂層(A+B+i+j)の組み合わせを示してい
る。図9(10)は、プレ印刷表示1a/外側表面の熱
可塑性樹脂層(A)/接着剤層(P)/発泡性高分子層
(k)の組み合わせを示している。図9(11)は、保
護層24/プレ印刷表示1a/単層の熱可塑性樹脂層
(A+B)の組み合わせを示している。図9(12)
は、保護層24/接着剤層(P)/プレ印刷表示1a/
外側表面の熱可塑性樹脂層(A)/接着剤層(P)/酸
素遮断性樹脂層(b)/接着剤層(P)/内側表面の熱
可塑性樹脂層(B)の組み合わせを示している。
【0093】次に、上記第一工程で準備された成形用基
材について熱成形時における基材の延伸状態を予測し
(第二工程)、その予測結果に基づいて基材の表面にプ
レ印刷表示を印刷する(第三工程)。図5(2)に、プ
レ印刷表示2が印刷された成形用基材1aを示す。プレ
印刷表示2は、後述の熱成形によって基材が延伸してい
くのに伴ってその延伸に追従して変形し、成形終了時に
は当初予定されていた位置に存在し且つ歪みのない完成
された印刷表示に変換されている必要がある。このた
め、プレ印刷表示を印刷するのに先立ち、熱成形時にお
ける成形用基材の延伸状態を予測しておく必要がある。
そして、金属を絞り加工する場合と異なり、熱可塑性樹
脂製の成形用基材を熱成形する場合には基材の延伸むら
が大きいので、本発明の第二工程においては、かかる延
伸むらをも考慮して成形用基材の延伸状態を予測する。
【0094】たとえば、成形用基材の表面に基準点およ
び必要に応じて基準線をプレ印刷した後、該基材の位置
合わせと熱成形を行い、その結果判明した基準線または
基準点の変形および移動状態から、どのような歪み具合
でどのような位置にプレ印刷表示を行えば予定通りの印
刷表示を完成できるか予測することができる。
【0095】上記の予測方法を図10(1)〜(3)に
沿ってより具体的に説明すると、先ず、図10(1)に
おいて、平底円筒状または丸底円筒状の成形体について
延伸状態を予測するために、成形用基材上に、基材が延
伸する際の中心5(基材の延伸方向の収束点)を中心点
とし、正確に設置された基準点と、各基準点を通過する
同心円状および放射状の基準線4をプレ印刷する。この
段階においては、正確に基準点を設置することが重要で
あり、基準線は補助的なものである。
【0096】基準線や基準点の形状は成形体の形状に応
じて決められる。成形体が直方体、立方体、多角形柱ま
たはこれらに類似する形状の場合には、図10(1´)
や図10(1´´)に示すように、同心花形状の基準線
と放射状の基準線を印刷するのが好ましい。この同心花
形状は、成形体が直方体、立方体のような四角柱の場合
には4枚の花弁を有し、六角柱の場合には6枚の花弁を
有し、多角形柱の場合にはその多角形が有する辺の数に
相当する枚数の花弁を有している。また、成形体が複雑
な形状の場合には適当な同心相似形状の基準線や碁盤目
状の基準線を印刷する。
【0097】次に、図10(2)において、基準点と基
準線をプレ印刷した基材1aの位置合わせを行い、熱成
形を行う。位置合わせは、基材の伸びの中心にしたい位
置と延伸時における実際の中心とを一致させるために行
う。具体的には、プレ印刷表示の中心点5とプラグの中
心44とを一致させたり、キャビティや固定治具の周縁
部に付けられた目印と成形用基材の周縁部に付けられた
目印6とを一致させたり、あるいは基材1aの外周を抑
える(インロー型)などして行う。
【0098】そして、上記の位置合わせが済んだら、熱
成形を行って図10(3)のような成形体100を製造
し、成形体上の何箇所かにおいて肉厚および伸び率を定
点測定し、測定結果をコンピュータ解析するなどして延
伸状態を予測する。
【0099】図14から図16に、基材の延伸状態を予
測した一例を示す。この例では、厚さ0.5μmのアモ
ルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)製
円盤の表面に図10(1)のような基準線(ピッチ2.
5mm間隔の同心円と45°間隔の放射状直線)を描い
た単層基材を用い、該基材を固定治具で固定し、接触方
式で加熱軟化し、直径40mmでR2mmのコーナー部
を有する下型と直径35mmでR10mmのコーナー部
を有するプラグとからなる金型内に導入し、プラグによ
る加圧と真空による除圧で平底円筒状の成形体に成形し
た場合の延伸状態を予測した。
【0100】図14は、縦方向すなわち放射状直線の基
準線が伸びる方向への基材の延び率を予測してグラフ化
したものであり、図15は、横方向すなわち同心円の基
準線の円周方向への基材の延び率を予測してグラフ化し
たものであり、図16は成形体各部の厚さを予測してグ
ラフ化したものである。これらのグラフにおいて、横軸
は基材の中心からの距離を表し、中心から約12.5m
mの位置で底部から側面部へ移行している。これらのグ
ラフは、基材の伸びは均一でなく延伸むらを有し、側面
部の底部寄りで最も伸びが大きくなることを示してい
る。
【0101】このような延伸むらは、基材の延伸に影響
を与える諸条件、たとえば中心合わせのための基材の固
定方法、加圧および/または除圧手段の選定、加熱方
法、基材温度等によって変化するが、本発明において
は、これらの緒条件を制御することによって、基材の延
伸状態を完全に予測することができる。
【0102】第三工程においては、上記第二工程で行っ
た延伸状態の予測結果に基づいて、予定通りの印刷表示
に変換され得るプレ印刷表示の歪み具合や印刷位置を決
定し、成形用基材にプレ印刷を行う。プレ印刷は、成形
体1個分ずつに分割された基材にそれぞれ行うこともあ
るし、長尺状の基材に成形体2個分以上を連続して行う
こともある。成形体2個分以上のプレ印刷表示を付され
た長尺状の基材は、そのまま熱成形工程に送ってもよい
し(図7(2))、成形体1個分ずつに切断してもよ
い。なお、歪み具合や印刷位置の決定は、延伸状態の予
想と共にコンピュータ解析によるのが好ましい。
【0103】成形体の側面に相当する部分のプレ印刷表
示は、図3(1)に示すバ−コード模様や図18(1)
に示すアルファベット文字のように、延伸する際の中心
から周縁部に向かって放射状に歪んだ状態に印刷され
る。ただし、プレ印刷表示の歪み具合は成形用基材の延
伸むらを考慮して微調整されるので、正確な放射状に歪
んでいることはまれである。また、成形体の全体的形状
または表面形状が複雑な場合には、プレ印刷表示の歪み
具合がより変則的になる。
【0104】プレ印刷表示2は、基材表面のなかの、少
なくとも成形体の側面部となるべき部分に印刷される。
成形体の側面部となるべき部分は延伸むらが大きいの
で、従来はプレ印刷ができなかったが、本発明において
は可能である。プレ印刷表示は、成形体の内側となるべ
き基材表面や基材の両面に印刷してもよい。たとえば、
容器の内面に付すべき計量目盛り等をプレ印刷で付すこ
とができる。特に、従来は印刷表示が困難であった小型
成形体の内面(特に側面部)に対しても、本発明によれ
ばプレ印刷によって容易に印刷表示を付すことができ
る。
【0105】またプレ印刷表示2は、成形体の側面部と
なるべき部分に印刷されている限り、さらに基材表面の
他の部分に印刷されていても差支えない。たとえば、成
形体が複雑な形状を有していたり小さすぎたりして成形
後には実質的に印刷することができないような場合に
は、成形体の底面部12やつば部14に該当する部分に
もプレ印刷を行うのが好ましい。
【0106】なお、図11に示すように、成形用基材を
後の第五工程で熱成形できる程度に予備成形してからプ
レ印刷を行ってもよい。プレ印刷に用いられる印刷イン
キは、成形体の用途に応じ、成形用基材の表面に対する
密着性、基材の延伸に対する追従性、高温加熱時の耐熱
性、耐薬品性等の諸条件を考慮して、従来あるものの中
から適宜選定される。また印刷方法としては種々の公知
の方法、たとえばグラビア印刷、フレキソ印刷、オフセ
ット印刷、スクリーン印刷、転写印刷、曲面印刷、パッ
ド印刷、静電印刷、インキジェット印刷等を採用でき
る。
【0107】上記第三工程で得られたプレ印刷済み成形
用基材1aを、熱成形機内に導入して位置合わせを行っ
た後(第四工程)、熱成形することによって(第五工
程)、上述した側面部に歪みのない印刷表示を有する成
形体100が完成する(図5、図7)。プレ印刷表示を
予定通りに変形させるためには、位置合わせから熱成形
までの一連の工程において、基材の延伸状態に影響を与
える諸条件、たとえば位置合わせのための基材の固定方
法、加圧および/または除圧手段の選定、加熱方法、基
材温度等は、第二工程で延伸状態を予測した時と同じに
なるよう制御する必要がある。
【0108】プレ印刷済み成形用基材1aが成形体1個
分ずつに分割されている場合には、通常、図5(3)の
ように固定治具31に把持された状態で成形機内に導入
される。第四工程における位置合わせは、第二工程で基
材の延伸状態を予測する場合と同様に、基材の延伸の中
心にしたい位置と、延伸時における実際の中心とを一致
させるために行う。具体的には、プレ印刷済み成形用基
材の中心5(延伸方向の収束点)と金型またはプラグの
中心44(金型の中心軸やプラグの頂点)とを一致させ
たり、プレ印刷済み成形用基材の周縁部に付された位置
合わせ用目印6と金型や固定治具の周縁部に付された位
置合わせ用目印とを一致させたりして行う。位置合わせ
に失敗して延伸の中心がずれると、図12に示すように
プレ印刷が予定通りに変形しない。
【0109】本発明において基材の位置合わせ後に行わ
れる熱成形とは、成形用基材の周囲を固定した状態でプ
ラグおよび圧力流体よりなる群から選ばれる少なくとも
一つの加圧または除圧手段を用いて該基材を成形する方
法を意味し、一般的な意味での熱成形法を包含するだけ
でなく、基材を加熱しない場合や、金型あるいはプラグ
を用いないフリードローイング成形法をも包含してい
る。また、圧力流体よりなる群から選ばれる加圧または
除圧手段としては、圧空や真空を例示できる。
【0110】代表的な熱成形法としては、絞り成形、プ
ラグアンドリング成形、フリードローイング成形、リッ
ジ成形、マッチモールド成形(プレス成形)、ストレー
ト成形、ドレープ成形、プラグアシスト成形、リバース
ドロー成形、プラグアシスト・リバースドロー成形、エ
アスリップ成形、エアクッション成形等を例示でき、そ
のような熱成形法の詳細は、「現場マニュアルIX巻(プ
ラスチック加工の問題点とその解決)、熱加工成形編
(真空成形、圧空成形)、6〜35頁」(綜合化学研究
所、昭和46年9月発行)および「プラスチック板の熱
成形、5〜32頁」((株)プラスチック・エージ、昭
和60年9月発行)に記載されている。また、その他の
熱成形法としては、特公平3−75337号公報に記載
されている特殊なプラグを用いる方法、特開平1−15
6039号公報に記載されているプラグと金型とを閉じ
る方向へ相対的に移動させる方法、特公平2−1537
4号公報に記載されている多層ブランクを圧縮成形する
方法等を例示できる。
【0111】好適な熱成形法としては、上型、下型およ
びプラグから構成される成形用金型を用い、プラグまた
はプラグと真空および/または圧空との併用により基材
を延伸する方法、たとえばプラグアンドリング成形やプ
ラグアシスト成形を挙げることができる。図13はプラ
グアシスト成形の説明であり、図13(1)で固定治具
31に把持されたプレ印刷済み成形用基材1aの位置合
わせを行い、図13(2)で下型42が上昇して基材を
型内に固定し、図13(3)でプラグ43を降下させて
延伸を開始し、図13(4)で下型42側の空間を真空
減圧して延伸を完了するまでの手順が示されている。
【0112】他の好適な熱成形法としては、上型および
下型から構成される成形用金型を用い、真空、圧空また
はこの両者の併用により基材を延伸する方法、たとえば
ストレート成形、ドレープ成形またはリバースドロー成
形を挙げることができる。
【0113】熱成形とそれに続く冷却を行った後、成形
体を金型から取り出し、必要に応じて固定治具を取り外
したり(図5(7))、成形体を打ち抜いて不要部分を
取り除いたりすれば(図7(2))、成形体が完成す
る。基材から成形体を打ち抜きたい場合には、金型自体
に打ち抜き機構を併せ持たせてもよい。
【0114】なお、上記のようにして得られた成形体の
内側または外側表面には、さらに種々の材料を積層する
ことができる。図6および図8は、金型から取り外した
成形体の表面に,射出部35において溶融樹脂をコーテ
ィングする方法を示している。
【0115】本発明の方法においては熱成形工程に先立
ち、プレ印刷済み成形用基材1aを加熱軟化したり、基
材温度を所定の温度に均一化したり、あるいはその両方
を行ったりすることができる。図5および図7は,ヒー
ター部32によって加熱軟化し、保温部33によって基
材温度を調整する工程を示している。
【0116】本発明の方法において成形用基材の加熱軟
化や温度調整は必須でないが、これらの工程によって、
基材をより円滑且つ均一に延伸することが可能になる。
また、基材の材質によっては加熱軟化しないと充分に延
伸しなかったり著しい延伸むらが生じたりして実質的に
熱成形できない場合があり、このような場合には加熱軟
化が必要である。
【0117】ヒーター部32による加熱は、接触加熱方
式でもよいし、輻射加熱や高周波加熱のような非接触加
熱方式でもよい。一方、基材温度の調整は、基材温度を
均一化して延伸むらを防止したり、または基材を熱成形
に最も都合のよい軟化状態に調整するために行われ、上
記の加熱軟化を行った後に行うのが特に好ましい。この
温度調整を行うには、加熱軟化したか、またはしていな
い基材を一定温度条件下に放置すればよく、たとえば図
5および図7のように保温部(保温機)に放置するほ
か、冷却板状に放置したり、再加熱したりする。
【0118】なお、製造効率の観点から、基材の加熱軟
化および温度調整は、第四工程の位置合わせと第五工程
の熱成形の間に行うのが好ましい。以下に実験例を示
す。実験例1 (1)実験例1−1 第1表に列挙された熱可塑性樹脂からなる、厚さ200
μmの円盤状の単層基材を各種準備した。これらの基材
に図10(1)のような同心円状と放射直線状の基準線
をプレ印刷した後、シート固定治具に固定し、基材が成
形可能な温度になるまで接触加熱法にて上下から加熱
し、図13のようなプラグ駆動式金型に導入し、基材の
中心と金型およびプラグの中心とを一致させ、プラグと
圧空を利用してプラグアシスト成形を行った。得られた
成形体は開口部側につば部を有する平底円筒形状で、外
側表面に基準線が変形してできた模様があり、外側寸法
はつば部を含む開口部直径が60mm、底部直径が50
mmそして高さが60mmであった。
【0119】得られた成形体の各部を定点測定して基材
の延伸状態を予測した後、今度は基材にバーコード模様
に変換されるプレ印刷表示を付し、以下、延伸状態を予
測した時と同じ条件で基材の固定、加熱、中心合わせ、
そしてプラグアシスト成形を行った。その結果、予定通
りのバーコード模様を有する成形体が得られた。
【0120】(2)実験例1−2 実験例1−1で基材にバーコード模様に変換されるプレ
印刷表示を付した後、さらに印刷面に硝化綿系のオーバ
ーコートニスを厚さ1μmとなるようにコーティング
し、以下、延伸状態を予想した時と同じ条件で基材の固
定、加熱、中心合わせ、そしてプラグアシスト成形を行
った。その結果、予定通りのバーコード模様を有する成
形体が得られた。
【0121】(3)比較実験例1−1 実験例1−1で基材にバーコード模様に変換されるプレ
印刷表示を付した後、基材の中心と金型およびプラグの
中心とは一致させないが、他の条件は延伸状態を予測し
た時と同じにして基材の固定、加熱、そしてプラグアシ
スト成形を行った。その結果、バーコード模様は完成せ
ず、模様が非常に大きくずれた。
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
【0124】
【表3】 実験例2 (1)実験例2−1 第2表に列挙された円盤状の多層基材(No.1〜1
3)を各種準備し、実験例1−1と同様にして基材の延
伸状態を予測し、バーコード模様に変換されるプレ印刷
表示を付し、プラグアシスト成形を行った。
【0125】また、上記各基材にプレ印刷後、印刷面に
ポリアミド系のオーバーコートニスを厚さ1μmとなる
ようにコーティングし、以下、同様にプラグアシスト成
形を行った。
【0126】得られた成形体は、いずれも予定通りのバ
ーコード模様を有していた。
【0127】
【表4】 なお、第2表から第4表において使用した略語等の意味
を以下に示す。 PP:ポリプロピレン PS:ポリスチレン樹脂 PE:低密度ポリエチレン PC:ポリカーボネート ナイロン:ナイロン6 EVOH:酸素遮断性樹脂、エチレン−ビニルアルコー
ル共重合体ケン化物(エチレン含有量32%、ケン化度
99%、酸素透過量1.5cc・20μm・m2 ・24
hr・atm(20℃、65%RH)) PVDC:酸素遮断性樹脂、塩化ビニリデン(酸素透過
量7cc・20μm・m2 ・24hr・atm(20
℃、RH65%)) MXD6:酸素遮断性樹脂、メタキシリレンジアミンと
アジピン酸とから得られるポリアミド PET:ポリエチレンテレフタレ−ト A−PET:非吸着性樹脂、アモルファスポリエチレン
テレフタレ−ト 酸素吸収層:還元性酸化鉄をポリプロピレン樹脂に20
重量%混練したもの 水分吸収層:アクリル酸グラフトデンプンをポリプロピ
レン樹脂に20重量%混練したもの(2)実験例2−2 第3表に列挙された円盤状の多層基材(No.14〜1
6)を各種準備し、実験例1−1と同様にして基材の延
伸状態を予測し、No.14の基材については成形体の
内面となる側にバーコード模様に変換されるプレ印刷表
示を付し、一方、No.15および16の基材について
は基材の両面にバーコード模様に変換されるプレ印刷表
示を付し、プラグアシスト成形を行った。
【0128】また、上記No.14〜16の各基材にプ
レ印刷後、印刷面にポリアミド系のオーバーコートニス
を厚さ1μmとなるようにコーティングし、以下、同様
にプラグアシスト成形を行った。
【0129】得られた成形体は、いずれも予定通りのバ
ーコード模様を有していた。
【0130】
【表5】 (3)実験例2−3 第4表に列挙したように多層基材(No.17〜18)
の表面に図10(1)のような同心円状と放射直線状の
基準線をプレ印刷し、さらに接着促進剤を介して保護層
を積層した後、実験例1−1と同様にして基材の延伸状
態を予測した。その予測結果に基づいて、今度は多層基
材の表面にバーコード模様に変換されるプレ印刷表示を
付し、さらに接着促進剤を介して保護層を積層した後、
延伸状態を予測した時と同じ条件で基材の固定、加熱、
中心合わせ、そしてプラグアシスト成形を行った。その
結果、予定通りのバーコード模様を有する成形体が得ら
れた。
【0131】
【表6】 実験例3 (1)実験例3−1 第2表に列挙された円盤状の多層基材(No.1〜1
3)を各種準備し、実験例1−1と同様に操作して基材
の延伸状態を予測した後、延伸状態を予想した時と同じ
条件で基材の固定、加熱、中心合わせ、そしてプラグア
シスト成形を行った。その結果、予定通りのバーコード
模様を有する成形体が得られた。
【0132】(2)比較実験例3−1 第2表に列挙された円盤状の多層基材(No.1〜1
3)を各種準備し、図17(1)に示すように基材の延
伸状態を特に予測しないでバーコード模様をプレ印刷
し、実験例3−1と同様に操作してプラグアシスト成形
を行った。その結果、成形体表面にできあがった印刷表
示は、図17(2)に示すように、底面においてはバー
コード模様だったが、側面においては延伸むらのために
予定通りの表示にならなかった。実験例4 (1)実験例4−1 成形体の外側側面部に横一列に並ぶ歪みのないアルファ
ベット大文字A〜Pを表示する実験を行った。
【0133】先ず、実験例1−1と同様に、ポリエチレ
ンテレフタレートからなる厚さ200μmの円盤状の単
層基材に図10(1)のような同心円状と放射直線状の
基準線をプレ印刷した後、シート固定治具に固定し、基
材が成形可能な温度になるまで接触加熱法にて上下から
加熱し、図13のようなプラグ駆動式金型に導入し、基
材の中心と金型およびプラグの中心とを一致させ、プラ
グと圧空を利用してプラグアシスト成形を行った。得ら
れた成形体は開口部側につば部を有する平底円筒形状
で、外側表面に基準線が変形してできた模様があり、外
側寸法はつば部を含む開口部直径が60mm、底部直径
が40mmそして高さが60mmであった。
【0134】得られた成形体の各部を定点測定して基準
点および基準線の移動方向、移動距離、変形状態を調べ
た。次に、成形体の外側底部の中心(延伸方向の収束
点)をx軸方向、y軸方向およびz軸方向からなる3次
元座標の原点(0,0,0)とし、完成後の成形体の外
側側面部に表示されているべきアルファベット大文字の
位置を3次元座標点a、b、c…の組み合わせで特定し
た。各アルファベット文字は第5表の上段に示すように
それぞれ10個前後の座標点で特定された。また、成形
体の外側側面部に存在する各座標点の位置を第5表の中
段に示す。なお、この3次元座標において、x軸は成形
体に向かって左右方向を示し、y軸は成形体に向かって
前後方向を示し、z軸は成形体に向かって縦方向を示
す。また、単位はmm(ミリメートル)である。
【0135】そして、完成時のアルファベット大文字の
位置を特定する上記の各座標点a、b、c…が、成形前
の基材表面のいかなる場所に存在していたのかを、前記
した基準点の移動状態および基準線の変形状態の調査結
果をもとにして予測した。予測された成形前の基材上に
存在する座標点a´、b´、c´…を第5表の下段に示
す。このようにして予測された基材上の座標点a´、b
´、c´…の組み合わせによって、プレ印刷表示の位置
と歪み具合が特定された。
【0136】上記のようにして基材の延伸状態を予測し
た後、新しい基材に図18(1)に示すように、放射状
に歪んでいるアルファベットの大文字A〜Pを約20°
の間隔で円を描くように並べてプレ印刷した。
【0137】以下、延伸状態を予測した時と同じ条件で
基材の固定、加熱、中心合わせ、そしてプラグアシスト
成形を行った。その結果、図18(2)に示すように、
予定通りのアルファベット大文字が表示された成形体が
得られた。
【0138】
【表7】
【0139】
【表8】
【0140】
【表9】
【0141】
【表10】
【0142】
【表11】
【0143】
【表12】
【0144】
【表13】
【0145】
【表14】
【0146】
【発明の効果】以上のように、本発明においては熱可塑
性樹脂を主体とする基材を熱成形するに際し、延伸倍率
を計算するだけでなく、該基材の延伸状態を予測したう
えでプレ印刷を行うので、成形体の側面部や複雑な形状
を有する部分のように、延伸むらが大きい部分に対して
もプレ印刷によって歪みや位置ずれのない正確な印刷表
示を付すことができる。
【0147】したがって本発明によれば、印刷表示を有
する成形体を、印刷部位、成形体の形状あるいは大きさ
等の条件に制限されることなく、熱成形によって容易に
大量生産できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成形体の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の成形体の縦断面を模式的に示した図であ
る。
【図3】図3(1)はプレ印刷済み成形用基材の一例を
示す平面図であり、図3(2)は該基材を熱成形して得
た成形体を示す斜視図である。
【図4】図4(1)から(5)は、それぞれ本発明の成
形体の他の例を示す斜視図である。
【図5】本発明の成形体の製造工程の一例を示す図であ
る。
【図6】本発明の成形体の製造工程の他の例を示す図で
ある。
【図7】本発明の成形体の製造工程の他の例を示す図で
ある。
【図8】本発明の成形体の製造工程の他の例を示す図で
ある。
【図9】図9(1)から(12)は、それぞれ成形用基
材の層構成の例を模式的に示す図である。
【図10】成形用基材の延伸状態を予測する方法の一例
を示す図である。
【図11】基材を予備成形する方法の一例を示す図であ
る。
【図12】第四工程の位置合わせに失敗した場合を示す
図である。
【図13】熱成形の一例を示す図である。
【図14】成形用基材の縦方向の伸び率を予測した結果
を示すグラフである。
【図15】成形用基材の横方向の伸び率を予測した結果
を示すグラフである。
【図16】成形体の厚みの分布状態を予測した結果を示
すグラフである。
【図17】成形用基材の延伸状態を予測しないでプレ印
刷した場合の結果の一例を示す図である。
【図18】図18(1)はプレ印刷済み成形用基材の他
の一例を示す平面図であり、図18(2)は該基材を熱
成形して得た成形体を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…成形用基材 1a…プレ印刷済み成形用基材 1b…予備成形済み成形用基材 2…プレ印刷表示 3…印刷表示 4…基準線 5…基材の中心 6…基材に付された位置合わせ用目印 11…側面部 11a…外側側面部 11b…内側側面部 12…底部 12a…外側底部 12b…内側底部 13…開口部 14…つば部 21…熱可塑性樹脂層 22…中間層 23…最内層 24…保護層 31…固定治具 32…ヒーター部 33…保温部 34…成形部 35…射出部 36…印刷部 37…打ち抜き部 38…抜きかす 41…上型 42…下型 43…プラグ 44…プラグおよび金型の中心 45…真空減圧用通気孔 46…圧空加圧用通気孔

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルム状またはシート状の成形用基材
    を、その周囲を固定した状態でプラグおよび圧力流体よ
    りなる群から選ばれる少なくとも1つの加圧または除圧
    手段を用いて延伸することによって得られる成形体であ
    って、前記成形体は、開口部を有し、外側および内側の
    うち少なくとも一方の表面が熱可塑性樹脂層で形成さ
    れ、且つ、前記熱可塑性樹脂層で形成されている側の表
    面であって成形体の外側および内側のうち少なくとも一
    方の側面部に印刷表示を有しており、前記印刷表示は、
    成形時における前記成形用基材の延伸状態を予測して予
    め成形前の成形用基材上に印刷されたプレ印刷表示が、
    成形時において成形用基材の延伸に追従して変形するこ
    とによって形成されたものであることを特徴とする、印
    刷表示を有する成形体。
  2. 【請求項2】 成形体本体の積層構造は、外側および内
    側のうち少なくとも一方の表面が熱可塑性樹脂層で形成
    されている多層構造である請求項1記載の印刷表示を有
    する成形体。
  3. 【請求項3】 成形体本体の積層構造中に、外側および
    内側のうち少なくとも一方の表面を形成する熱可塑性樹
    脂層以外の層として、以下の(a)〜(l)よりなる群
    から選ばれる少なくとも1つの層を有する請求項2記載
    の印刷表示を有する成形体。 (a)中間層である熱可塑性樹脂層、 (b)20℃、相対湿度65%における酸素透過量が2
    0cc・20μm/m2 ・24hr・atm以下である
    酸素遮断性樹脂層、 (c)酸素吸収性物質含有層、 (d)水分吸収性物質含有層、 (e)金属箔層、 (f)紙層、 (g)不織布層、 (h)非吸着性樹脂層、 (i)抗菌・抗カビ性層、 (j)生分解性高分子層、 (k)発泡性高分子層、 (l)リサイクル層。
  4. 【請求項4】 成形体本体の積層構造は、1層の熱可塑
    性樹脂層で形成されている単層構造である請求項1記載
    の印刷表示を有する成形体。
  5. 【請求項5】 成形体本体の積層構造が1層の熱可塑性
    樹脂層で形成されている単層構造である場合において、
    前記熱可塑性樹脂層が、同時に以下のいずれかの層にも
    該当するものである請求項4記載の印刷表示を有する成
    形体。 (d)水分吸収性物質含有層、 (h)非吸着性樹脂層、 (i)抗菌・抗カビ性層、 (j)生分解性高分子層、 (k)発泡性高分子層。
  6. 【請求項6】 印刷表示を有する側の表面に、さらに保
    護層が形成されている請求項1記載の印刷表示を有する
    成形体。
  7. 【請求項7】 成形用基材を延伸して成形体を製造する
    方法であって、少なくとも一方の表面が熱可塑性樹脂層
    で形成されているフィルム状またはシート状の成形用基
    材を準備する第一工程と、成形時における前記成形用基
    材の延伸状態を予測する第二工程と、前記成形用基材に
    おける熱可塑性樹脂層で形成されている側の表面であっ
    て成形体の外側および内側のうち少なくとも一方の側面
    部に該当する部分に、第二工程で行われた成形用基材の
    延伸状態の予測結果に基づいて、成形用基材の延伸に追
    従して変形し成形終了時には完成時の印刷表示に変換さ
    れているプレ印刷表示を印刷する第三工程と、延伸を行
    うために第三工程で得られたプレ印刷済み成形用基材の
    位置合わせを行う第四工程と、そして、位置合わせの
    後、前記プレ印刷済み成形用基材の周囲を固定した状態
    でプラグおよび圧力流体よりなる群から選ばれる少なく
    とも1つの加圧または除圧手段を用いてプレ印刷済み成
    形用基材を延伸する第五工程とを有することを特徴とす
    る、開口部を有し、外側および内側のうち少なくとも一
    方の側面部に印刷表示を有する成形体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記プレ印刷済み成形用基材を加熱して
    軟化させた後、延伸を行う請求項7記載の印刷表示を有
    する成形体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記プレ印刷済み成形用基材を予備加熱
    した後、一定温度条件下に放置することによって加熱軟
    化を行う請求項8記載の印刷表示を有する成形体の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 上型、下型およびプラグから構成され
    る成形用金型を使用し、前記第四工程において、プレ印
    刷済み成形用基材における延伸時の実質的中心部と、上
    型、下型およびプラグの各中心部のうち少なくとも1つ
    とが一致するようにプレ印刷済み成形用基材の位置合わ
    せを行い、前記第五工程において、少なくともプラグを
    用いてプレ印刷済み成形用基材を延伸する、請求項7記
    載の印刷表示を有する成形体の製造方法。
  11. 【請求項11】 上型および下型から構成される成形用
    金型を使用し、前記第四工程において、プレ印刷済み成
    形用基材における延伸時の実質的中心部と、上型および
    下型の各中心部のうち少なくとも1つとが一致するよう
    にプレ印刷済み成形用基材の位置合わせを行い、前記第
    五工程において、少なくとも真空および圧空のうち少な
    くとも一方を用いてプレ印刷済み成形用基材を延伸す
    る、請求項7記載の印刷表示を有する成形体の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 成形用基材を予備成形した後、前記第
    三工程においてプレ印刷表示を印刷する請求項7記載の
    印刷表示を有する成形体の製造方法。
  13. 【請求項13】 第一工程において、フィルム状または
    シート状で且つ長尺状の成形用基材を準備し、第三工程
    において、少なくとも成形体2個分のプレ印刷表示を連
    続的に印刷する請求項7記載の印刷表示を有する成形体
    の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012000991A (ja) * 2000-09-18 2012-01-05 Yupo Corp 偽造防止用フィルム
JP2016037300A (ja) * 2014-08-07 2016-03-22 日本写真印刷株式会社 転写用治具セット、転写装置及び転写方法
CN115279818A (zh) * 2019-12-17 2022-11-01 Chryso公司 用于水硬组合物的流化化合物

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