JP7143180B2 - 熱収縮性多層フィルム - Google Patents
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Description
熱収縮性フィルムには、低温収縮性に加えて、耐熱性、耐溶剤性、ミシン目カット性等の種々の性能が要求されている。
しかしながら、これらのアンチブロッキング剤は、フィルム表面を粗くすることで滑り性や耐ブロッキング性を発現させるものであるが、フィルムの汚れが生じて、外観不良の原因になるという問題があった。
以下、本発明を詳述する。
なお、本明細書中、表裏層とは、表面層と裏面層との両方を意味する。
上記表裏層は、ポリエステル系樹脂を含有する。
上記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分とを縮重合させることにより得られるものが挙げられる。
特に上記ジカルボン酸成分として、ジカルボン酸成分100モル%のうちテレフタル酸を55モル%以上含有する芳香族ポリエステル系樹脂が好ましい。
更に、上記ジカルボン酸成分としては、上記テレフタル酸以外に、o-フタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンカルボン酸、これらの無水物及び低級アルキルエステル等を含むことができる。
このような芳香族ポリエステル系ランダム共重合樹脂を用いることにより、熱収縮性フィルムに優れた熱収縮性を付与することができる。
熱収縮性をより高めたい場合には、ジオール成分100モル%のうち、エチレングリコールに由来する成分の含有量が60~80モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノールに由来する成分の含有量が10~40モル%であるものを用いることが好ましい。
上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂は、上記ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を含有し、かつ、ジオール成分としてエチレングリコール及び1,4-シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を含有する芳香族ポリエステル系ランダム共重合樹脂と、併用されることが好ましい。このような混合樹脂を用いることでより優れた仕上り性を付与することができる。
なお、上記テレフタル酸に由来する成分以外のジカルボン酸成分の含有量は、ジカルボン酸成分100モル%のうち、40モル%以下であることが好ましい。
40モル%以下であると、上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂の耐熱性を向上させることができる。また、上記1,4-ブタンジオールに由来する成分以外のジオール成分の含有量は、ジオール成分100モル%のうち、10モル%以下であることが好ましい。10モル%以下であると、上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂の耐熱性を向上させることができる。
30重量%以下であると自然収縮を抑制して、フィルムの剛性の低下を防止することができる。
上記ガラス転移温度が55℃以上であると、熱収縮性フィルムの収縮開始温度を充分に高くすることができ、自然収縮を抑制することができる。上記ガラス転移温度が95℃以下であると、熱収縮性フィルムの低温収縮性及び収縮仕上り性を向上させることができるとともに、経時での低温収縮性の低下を抑制することができる。
上記ガラス転移温度のより好ましい下限は60℃、より好ましい上限は90℃である。
なお、上記ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)で測定することができる。
上記引張弾性率が1000MPa以上であると熱収縮性フィルムの収縮開始温度を充分に高めて、自然収縮を抑制することができる。上記引張弾性率が4000MPa以下であると、熱収縮性フィルムの低温収縮性及び収縮仕上り性を向上させることができるとともに、経時での低温収縮性の低下を抑制することができる。
上記引張弾性率のより好ましい下限は1500MPa、より好ましい上限は3700MPaである。
なお、上記引張弾性率は、ASTM-D882(TestA)に準拠した方法で測定することができる。
上記有機系微粒子としては、アクリル系樹脂微粒子、スチレン系樹脂微粒子、スチレン-アクリル系樹脂微粒子、ウレタン系樹脂微粒子、シリコーン系樹脂微粒子等の有機系微粒子を用いることができる。これらは架橋されていても架橋されていなくてもよいが、微粒子の耐熱性を高めるために架橋されていることが望ましい。なかでも上記ポリエステル系樹脂との相溶性の観点からアクリル系樹脂微粒子が好ましく、ポリメタクリル酸メチル系架橋微粒子がより好ましい。
2種以上の有機系微粒子を組み合わせて用いることにより、ブロッキング防止性を向上させるとともに、トラッピング不良を抑制する効果を充分に発揮させることができる。
上記有機系微粒子(B)の平均粒子径は、より好ましい下限が3.2μm、より好ましい上限が3.8μmである。
上記有機系微粒子(A)の平均粒子径と上記有機系微粒子(B)の平均粒子径との比(有機系微粒子(A)の平均粒子径/有機系微粒子(B)の平均粒子径)は、好ましい下限が0.5/10.0、より好ましい下限が1.8/10.0、好ましい上限が2.9/3.0、より好ましい上限が2.4/3.0である。
上記平均粒子径は、例えば、レーザー回折・散乱法等で測定することができる。
上記有機系微粒子の含有量が0.055重量部以上であると、ブロッキング防止性を向上させることができる。上記有機系微粒子の含有量が0.145重量部以下であると、トラッピング不良を防止することができる。
上記有機系微粒子の含有量は、好ましい下限が0.06重量部、好ましい上限が0.125重量部である。
上記表裏層における上記有機系微粒子(B)の含有量は、ポリエステル系樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.015重量部、より好ましい下限が0.02重量部、好ましい上限が0.13重量部、より好ましい上限が0.12重量部である。
上記表裏層における上記有機系微粒子(A)の含有量と上記有機系微粒子(B)の含有量との比(有機系微粒子(A)の含有量/有機系微粒子(B)の含有量)は、好ましい下限が0.015/0.13、より好ましい下限が0.02/0.12、好ましい上限が0.13/0.015、より好ましい上限が0.12/0.02である。
本発明の熱収縮性多層フィルムは、上記中間層を有する。
上記中間層は、ポリスチレン系樹脂を含有する。
上記ポリスチレン系樹脂としては、例えば、芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体、芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体と芳香族ビニル炭化水素-脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体との混合樹脂、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン等が挙げられる。上記ポリスチレン系樹脂を用いることで、本発明の熱収縮性多層フィルムは低温から収縮を開始することができ、また、高収縮性を有する。
上記芳香族ビニル炭化水素は特に限定されず、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記共役ジエンは特に限定されず、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なお、上記芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体は、SBS樹脂、SIS樹脂及びSIBS樹脂のうちのいずれか1つを単独で含有してもよく、複数を組み合わせて含有してもよい。また、SBS樹脂、SIS樹脂及びSIBS樹脂のうちの複数を用いる場合には、各樹脂をドライブレンドしてもよく、各樹脂を特定の組成にて押出機を用いて練り上げペレタイズしたコンパウンド樹脂を用いてもよい。
上記芳香族ビニル炭化水素は特に限定されず、上記芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体において例示した芳香族ビニル炭化水素と同様の芳香族ビニル炭化水素を用いることができる。上記脂肪族不飽和カルボン酸エステルは特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートとの両方を示す。
上記連続相を形成する共重合体中のスチレンの割合は20~80重量%が好ましく、30~70重量%がより好ましい。メタクリル酸アルキルの割合は10~50重量%が好ましく、15~40重量%がより好ましい。アクリル酸アルキルの割合は1~30重量%が好ましく、5~20重量%がより好ましい。
上記分散相を形成する共役ジエンを主体とするゴム成分の粒子径は0.1~1.2μmであることが好ましく、更に好ましくは0.3~0.8μmである。粒子径が0.1μmを下回ると、上記ゴム変性耐衝撃性ポリスチレンの耐衝撃性が不充分となることがあり、1.2μmを上回ると、上記中間層の透明性が低下することがある。
200℃でのMFRが2g/10分以上であると、フィルムの製膜性を向上させることができる。200℃でのMFRが15g/10分以下であると、フィルムの機械的強度を充分に向上させることができる。
200℃でのMFRのより好ましい下限は4g/10分、より好ましい上限は12g/10分である。なお、MFRは、ISO1133に準拠した方法で測定することができる。
上記ポリスチレン系樹脂の含有量が上記下限以上、かつ、上記上限以下であると、MD方向及びTD方向の両方向に対するミシン目カット性に優れるものとすることができる。
上記中間層における上記ポリスチレン系樹脂の含有量は、より好ましい下限が85重量%、より好ましい上限が99重量%、更に好ましい上限が95重量%である。
上記ビカット軟化温度が80℃以上であるポリスチレン系樹脂を所定量含有することで、乾熱収縮させた際の緩み防止効果をより向上させることができる。
上記中間層における上記ビカット軟化温度が80℃以上であるポリスチレン系樹脂の含有量は、より好ましい下限が10重量%、更に好ましい下限が20重量%、より好ましい上限が50重量%である。
なお、上記ビカット軟化温度が80℃以上であるポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度の上限は、好ましくは90℃、より好ましくは85℃である。
上記ビカット軟化温度が80℃未満であるポリスチレン系樹脂を所定量含有することで、乾熱収縮させた際の緩み防止効果をより向上させることができる。
上記中間層における上記ビカット軟化温度が80℃未満であるポリスチレン系樹脂の含有量は、より好ましい下限が50重量%、より好ましい上限が90重量%、更に好ましい上限が80重量%である。
なお、上記ビカット軟化温度が80℃未満であるポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度の下限は、好ましくは50℃、より好ましくは55℃である。
なお、上記ビカット軟化温度は、ISO 306に準拠した方法で測定することができる。
上記中間層に用いることのできるポリエステル系樹脂としては、上記表裏層に用いることができるものと同様のものが挙げられる。
上記ポリエステル系樹脂としては、上記表裏層を構成するものと同様のものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。
上記ポリエステル系樹脂の含有量が上記下限以上、かつ、上記上限以下であると、MD方向及びTD方向の両方向に対するミシン目カット性に優れるものとすることができる。
上記中間層における上記ポリエステル系樹脂の含有量は、より好ましい下限が5重量%、より好ましい上限が17重量%である。
ポリエスエル系エラストマーとしては、後述する接着層に用いることができるものと同様のものを用いることができる。
スチレン系エラストマーとしては、後述する接着層に用いることができるものと同様のものを用いることができる。
上記表裏層と上記中間層との間により高い層間接着強度が求められる場合には、本発明の熱収縮性多層フィルムは、上記表裏層と上記中間層とが、接着層を介して積層されてなることが好ましい。
接着層を有することで、熱収縮性多層フィルムの各層間の接着強度を高めることができる。
なお、上記ポリスチレン系樹脂は、SBS樹脂、SIS樹脂及びSIBS樹脂のうちの何れかを単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。また、SBS樹脂、SIS樹脂及びSIBS樹脂のうちの複数を組み合わせて用いる場合、各樹脂をドライブレンドしてもよく、各樹脂を特定の組成にて押出機を用いて練り上げペレタイズしたコンパウンド樹脂を用いてもよい。
上記ビカット軟化温度が55℃以上であると、熱収縮性多層フィルムをベースフィルムとする熱収縮性ラベルを容器に装着する際の加熱による各層間での剥離を防止することができる。上記ビカット軟化温度が85℃以下であると、熱収縮性多層フィルムの層間接着強度を充分に向上させることができる。
上記ビカット軟化温度は、より好ましい下限が60℃、更に好ましい下限が65℃、より好ましい上限が80℃である。
なお、上記ビカット軟化温度は、ISO 306に準拠した方法で測定することができる。
200℃でのMFRが2g/10分以上であると、押出機内での樹脂の滞留が生じにくく、ゲル等の異物の発生を防止することができる。200℃でのMFRが15g/10分以下であると、製膜工程での圧力を均等にして、厚みを均一にすることができる。
上記MFRは、より好ましい下限が4g/10分、より好ましい上限が12g/10分である。
なお、MFRは、ISO1133に準拠した方法で測定することができる。
上記ジカルボン酸としては特に限定されず、例えば、o-フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンカルボン酸、これらの無水物及び低級アルキルエステル等が挙げられる。
上記ジオールとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール)、1,2-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール類;2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール類等が挙げられる。
また、上記ポリエステル系樹脂としては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を含有し、ジオール成分として1,4-ブタンジオールに由来する成分を含有するものも好適に用いることができる。
上記ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)で測定することができる。
なお、上記引張弾性率は、ASTM-D992(TestA)に準拠した方法で測定することができる。
上記スチレン系エラストマーの変性物としては、例えば、カルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基及び水酸基等の官能基によって変性されたものが挙げられる。
上記官能基の含有量が0.05重量%以上であると、熱収縮性多層フィルムの層間強度を充分に高めることができる。上記官能基の含有量が5.0重量%以下であると、スチレン系エラストマーの熱劣化によるゲル等の発生を抑制することができる。
上記官能基の含有量のより好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限が3.0重量%である。
上記ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する飽和ポリエステル系エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントとしての芳香族ポリエステルと、ソフトセグメントとしてのポリアルキレンエーテルグリコールとからなるブロック共重合体が好ましい。
上記ポリアルキレンエーテルグリコールからなるセグメントの割合が5重量%以上であると、中間層との接着性を充分に高めることができ、90重量%以下であると、表裏層との接着性を充分に高めることができる。
上記ポリアルキレンエーテルグリコールからなるセグメントの割合は、より好ましい下限が30重量%、更に好ましい下限は55重量%、より好ましい上限が80重量%である。
数平均分子量が上記好ましい範囲内であると、層間強度をより向上させることができる。
なお、上記数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定することができる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記融点が120℃以上であると、耐熱性を充分に高めて、熱収縮性ラベルとして容器に被覆させる際に溶剤シール部分からの剥離を防止することができる。上記融点が200℃以下であると、接着強度を充分に高めることができる。
上記融点は、より好ましい下限が130℃、より好ましい上限が190℃である。
なお、上記融点は、示差走査熱量計(島津製作所社製、DSC-60)等を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定することができる。
一般的にポリエステル系エラストマーの融点は、ソフトセグメントであるポリエーテル又はポリエステルの共重合量に依存しやすく、ポリエーテル又はポリエステルの共重合量が多いと融点が低く、少ないと融点が高くなる。
また、ポリエステル系エラストマーを構成するハードセグメントであるポリエステルの融点を共重合成分の変更により調整し、ポリエステル系エラストマー全体の融点を調製することができる。
更に、ソフトセグメントであるポリエーテル又はポリエステルの分子量が小さくなると得られるポリエステル系エラストマーのブロック性が低下するため融点が低下しやすくなる。
上記デュロメーター硬さが10以上であると、接着層の機械的強度を向上させることができる。上記デュロメーター硬さが80以下であると、接着層の柔軟性及び耐衝撃性を向上させることができる。
上記デュロメーター硬さは、より好ましい下限が15、更に好ましい下限が20、より好ましい上限が70、更に好ましい上限が60である。
なお、上記デュロメーター硬さは、ISO18517に準拠した方法でデュロメーター タイプDを用いることにより測定することができる。
上記比重が0.95以上であると、耐熱性を充分に高めて、熱収縮性ラベルとして容器に被覆させる際に溶剤シール部分からの剥離を防止することができる。上記比重が1.20以下であると、接着強度を充分に高めることができる。
上記比重は、より好ましい下限が0.98、より好ましい上限が1.18である。
なお、上記比重はISO 1183に準拠した方法で水中置換法を用いて測定することができる。
また、上記接着層中のポリエステル系エラストマーの含有量は、好ましい下限が20重量%、より好ましい下限が25重量%、好ましい上限が80重量%、より好ましい上限が75重量%である。
また、上記接着層中のポリエステル系樹脂の含有量は、好ましい下限が20重量%、より好ましい下限が25重量%、好ましい上限が80重量%、より好ましい上限が75重量%である。
また、上記接着層中のスチレン系エラストマーの含有量は、好ましい下限が20重量%、より好ましい下限が25重量%、好ましい上限が80重量%、より好ましい上限が75重量%である。
また、上記接着層中のポリエステル系樹脂の含有量は、好ましい下限が10重量%、より好ましい下限が20重量%、好ましい上限が80重量%、より好ましい上限が75重量%である。
上記接着層中のスチレン系エラストマー又はポリエステル系エラストマーの含有量は、好ましい下限が2重量%、より好ましい下限が4重量%、好ましい上限が10重量%、より好ましい上限が8重量%である。
また、本発明の熱収縮性多層フィルムにおいて、上記中間層の厚さは、熱収縮性多層フィルム全体の厚みに対する好ましい下限が50%、好ましい上限が90%である。上記中間層の厚さが上記範囲内であると、高い層間強度、高い透明性等が得られる。
上記熱収縮率は、より好ましい下限が20%、好ましい上限が50%である。
本発明の熱収縮性多層フィルムを100℃温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向(TD方向)の熱収縮率は、好ましい下限が60%である。上記熱収縮率が60%以上であると、しわや歪み等の収縮不良の問題を起こすことがなく、熱収縮性多層フィルムとして好適に使用することができる。
上記熱収縮率は、より好ましい下限が62%、好ましい上限が85%である。
上記引張破断伸度が100%以上であると、印刷・シール加工等の工程において、フィルムの破断が生じにくく、生産性が向上する。
上記引張破断伸度は、より好ましい下限が200%、好ましい上限が400%である。
上記自然収縮率が3.0%未満であると、保管の際の収縮が小さく、収縮不良等の問題を起こすことがなく、熱収縮性多層フィルムとして好適に使用することができる。
上記自然収縮率は、2.8%未満であることがより好ましい。
上記層間剥離強度が、0.4N/10mm以上であると、印刷・シール加工やラベル装着時に表裏層と中間層との剥離が生じにくく、熱収縮性ラベルとして好適に用いることができる。
上記延伸の方法としては、例えば、ロール延伸法、テンター延伸法又はこれらの組み合わせを用いることができる。延伸温度はフィルムを構成する樹脂の軟化温度、熱収縮性多層フィルムに要求される収縮特性等に応じて変更されるが、好ましい下限は65℃、好ましい上限は120℃、より好ましい下限は70℃、より好ましい上限は115℃である。主収縮方向の延伸倍率はフィルムを構成する樹脂、延伸手段、延伸温度等に応じて変更されるが、好ましくは3倍以上、より好ましくは4倍以上であって、好ましくは7倍以下、より好ましくは6倍以下である。このような延伸温度及び延伸倍率とすることにより、優れた厚み精度を達成することができる。
(ポリエステル系樹脂)
・ポリエステル系樹脂A:ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する100モル%、ジオール成分としてエチレングリコールに由来する成分を65モル%、ジエチレングリコールに由来する成分を20モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を15モル%含有するポリエステル系樹脂(ガラス転移温度69℃)
・ポリエステル系樹脂B:ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する100モル%、ジオール成分としてエチレングリコールに由来する成分を68モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を32モル%含有するポリエステル系樹脂(ガラス転移温度82℃)
(ポリスチレン系樹脂)
・ポリスチレン系樹脂A:スチレン-ブタジエン共重合体(スチレン78重量%、ブタジエン22重量%、ビカット軟化温度71℃)
・ポリスチレン系樹脂B:スチレン-ブタジエン共重合体(スチレン80重量%、ブタジエン20重量%、ビカット軟化温度77℃)
・ポリスチレン系樹脂C:スチレン-ブタジエン共重合体(スチレン82重量%、ブタジエン18重量%、ビカット軟化温度75℃)
・ポリスチレン系樹脂D:スチレン-ブタジエン共重合体(スチレン81重量%、ブタジエン19重量%、ビカット軟化温度81℃)
・ポリスチレン系樹脂E:スチレン-ブタジエン共重合体(スチレン71重量%、ブタジエン29重量%、ビカット軟化温度76℃)
(ポリエステル系エラストマー)
・エラストマーA:ポリブチレンテレフタレート及びポリエーテルからなるブロック共重合体(融点:193℃、ガラス転移温度:45℃)
(ポリスチレン系エラストマー)
・エラストマーB:変性スチレン-ブタジエン共重合体水添物(酸価2mgCH3ONa/g、スチレン30重量%、MFR:4.5g/10分)
(有機系微粒子)
微粒子A:ポリメチルメタクリレート(PMMA)(平均粒子径:2.2μm、熱分解開始温度:270℃)
微粒子B:ポリメチルメタクリレート(PMMA)(平均粒子径:3.3μm、熱分解開始温度:270℃)
(無機系微粒子)
微粒子C:多孔質シリカ(平均粒子径:4.0μm)
表裏層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂A100重量%を用い、ポリエステル系樹脂A100重量部に対する微粒子A及び微粒子Bの含有量が表1に示す割合となるように添加して混合した。
接着層を構成する樹脂として、エラストマーA60重量%とポリスチレン系樹脂E40重量%とからなる混合樹脂を用いた。
中間層を構成する樹脂として、ポリスチレン系樹脂C70重量%とポリスチレン系樹脂D30重量%とからなる混合樹脂を用いた。
上記表裏層、接着層及び中間層の原料をバレル温度が160~250℃の押出機に投入し、250℃の多層ダイスから3層構造のシート状に押出し、30℃の引き取りロールにて冷却固化した。次いで、延伸倍率1.5倍でMD方向へロール延伸し、引き続き予熱ゾーン112℃(通過時間5.3秒)、延伸ゾーン100℃(通過時間7.8秒)、熱固定ゾーン102℃(通過時間5.3秒)のテンター延伸機内で延伸倍率6倍にてTD方向へ延伸した後、巻き取り機で巻き取ることにより、総厚みが40μmであり、表層(5.7μm)/接着層(0.7μm)/中間層(27.2μm)/接着層(0.7μm)/裏層(5.7μm)の5層構成からなる熱収縮性多層フィルムを得た。
表裏層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂A100重量%を用い、ポリエステル系樹脂A100重量部に対する微粒子A及び微粒子Bの含有量が表1に示す割合となるように添加して混合した。
接着層を構成する樹脂として、エラストマーA40重量%とポリスチレン系樹脂E60重量%とからなる混合樹脂を用いた。
中間層を構成する樹脂として、ポリスチレン系樹脂A70重量%とポリスチレン系樹脂D30重量%とからなる混合樹脂を用いた。
これらの原料を用いた以外は実施例1と同様にして熱収縮性多層フィルムを得た。
得られた熱収縮性多層フィルムは、総厚みが40μmであり、表層(5.7μm)/接着層(0.7μm)/中間層(27.2μm)/接着層(0.7μm)/裏層(5.7μm)の5層構造であった。
表裏層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂A100重量%を用い、ポリエステル系樹脂A100重量部に対する微粒子A及び微粒子Bの含有量が表1に示す割合となるように添加して混合した。
接着層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂A30重量%とポリスチレン系樹脂E70重量%とからなる混合樹脂を用いた。
中間層を構成する樹脂として、ポリスチレン系樹脂B100重量%を用いた。
これらの原料を用いた以外は実施例1と同様にして熱収縮性多層フィルムを得た。
得られた熱収縮性多層フィルムは、総厚みが40μmであり、表層(5.7μm)/接着層(0.7μm)/中間層(27.2μm)/接着層(0.7μm)/裏層(5.7μm)の5層構造であった。
表裏層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂B100重量%を用い、ポリエステル系樹脂B100重量部に対する微粒子A及び微粒子Bの含有量が表1に示す割合となるように添加して混合した。
接着層を構成する樹脂として、エラストマーA100重量%を用いた。
中間層を構成する樹脂として、ポリスチレン系樹脂A100重量%を用いた。
これらの原料を用いた以外は実施例1と同様にして熱収縮性多層フィルムを得た。
得られた熱収縮性多層フィルムは、総厚みが40μmであり、表層(5.7μm)/接着層(0.7μm)/中間層(27.2μm)/接着層(0.7μm)/裏層(5.7μm)の5層構造であった。
表裏層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂B100重量%を用い、ポリエステル系樹脂B100重量部に対する微粒子A及び微粒子Bの含有量が表1に示す割合となるように添加して混合した。
接着層を構成する樹脂として、エラストマーB100重量%を用いた。
中間層を構成する樹脂として、ポリスチレン系樹脂A100重量%を用いた。
これらの原料を用いた以外は実施例1と同様にして熱収縮性多層フィルムを得た。
得られた熱収縮性多層フィルムは、総厚みが40μmであり、表層(5.7μm)/接着層(0.7μm)/中間層(27.2μm)/接着層(0.7μm)/裏層(5.7μm)の5層構造であった。
表裏層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂B100重量%を用い、ポリエステル系樹脂B100重量部に対する微粒子A及び微粒子Bの含有量が表1に示す割合となるように添加して混合した。
接着層を構成する樹脂として、エラストマーA100重量%を用いた。
中間層を構成する樹脂として、ポリスチレン系樹脂A100重量%を用いた。
これらの原料を用いた以外は実施例1と同様にして熱収縮性多層フィルムを得た。
得られた熱収縮性多層フィルムは、総厚みが40μmであり、表層(5.7μm)/接着層(0.7μm)/中間層(27.2μm)/接着層(0.7μm)/裏層(5.7μm)の5層構造であった。
表裏層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂A100重量%を用い、ポリエステル系樹脂A100重量部に対する微粒子A及び微粒子Bの含有量が表1に示す割合となるように添加して混合した。
接着層を構成する樹脂として、エラストマーA100重量%を用いた。
中間層を構成する樹脂として、ポリスチレン系樹脂A100重量%を用いた。
これらの原料を用いた以外は実施例1と同様にして熱収縮性多層フィルムを得た。
得られた熱収縮性多層フィルムは、総厚みが40μmであり、表層(5.7μm)/接着層(0.7μm)/中間層(27.2μm)/接着層(0.7μm)/裏層(5.7μm)の5層構造であった。
表裏層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂A100重量%を用い、ポリエステル系樹脂A100重量部に対する微粒子A及び微粒子Bの含有量が表1に示す割合となるように添加して混合した。
接着層を構成する樹脂として、エラストマーA60重量%とポリスチレン系樹脂E40重量%とからなる混合樹脂を用いた。
中間層を構成する樹脂として、ポリスチレン系樹脂C70重量%とポリスチレン系樹脂D30重量%とからなる混合樹脂を用いた。
これらの原料を用いた以外は実施例1と同様にして熱収縮性多層フィルムを得た。
得られた熱収縮性多層フィルムは、総厚みが40μmであり、表層(5.7μm)/接着層(0.7μm)/中間層(27.2μm)/接着層(0.7μm)/裏層(5.7μm)の5層構造であった。
表裏層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂A100重量%を用い、ポリエステル系樹脂100重量部に対する微粒子A及び微粒子Bの含有量が表1に示す割合となるように添加して混合した。
接着層を構成する樹脂として、エラストマーA60重量%とポリスチレン系樹脂E40重量%とからなる混合樹脂を用いた。
中間層を構成する樹脂として、ポリスチレン系樹脂C70重量%とポリスチレン系樹脂D30重量%とからなる混合樹脂を用いた。
これらの原料を用いた以外は実施例1と同様にして熱収縮性多層フィルムを得た。
得られた熱収縮性多層フィルムは、総厚みが40μmであり、表層(5.7μm)/接着層(0.7μm)/中間層(27.2μm)/接着層(0.7μm)/裏層(5.7μm)の5層構造であった。
表裏層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂A100重量%を用い、ポリエステル系樹脂A100重量部に対する微粒子A及び微粒子Bの含有量が表1に示す割合となるように添加して混合した。
接着層を構成する樹脂として、エラストマーB100重量%を用いた。
中間層を構成する樹脂として、ポリスチレン系樹脂A100重量%を用いた。
これらの原料を用いた以外は実施例1と同様にして熱収縮性多層フィルムを得た。
得られた熱収縮性多層フィルムは、総厚みが40μmであり、表層(5.7μm)/接着層(0.7μm)/中間層(27.2μm)/接着層(0.7μm)/裏層(5.7μm)の5層構造であった。
表裏層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂A100重量%を用い、ポリエステル系樹脂100重量部に対する微粒子Cの含有量が表1に示す割合となるように添加して混合した。
接着層を構成する樹脂として、エラストマーB100重量%を用いた。
中間層を構成する樹脂として、ポリスチレン系樹脂A100重量%を用いた。
これらの原料を用いた以外は実施例1と同様にして熱収縮性多層フィルムを得た。
得られた熱収縮性多層フィルムは、総厚みが40μmであり、表層(5.7μm)/接着層(0.7μm)/中間層(27.2μm)/接着層(0.7μm)/裏層(5.7μm)の5層構造であった。
表裏層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂A100重量%を用い、ポリエステル系樹脂A100重量部に対する微粒子A、微粒子B及び滑剤の含有量が表1に示す割合となるように添加して混合した。なお、滑剤としては、オレイン酸ビスアマイドを用いた。
接着層を構成する樹脂として、エラストマーB100重量%を用いた。
中間層を構成する樹脂として、ポリスチレン系樹脂A100重量%を用いた。
これらの原料を用いた以外は実施例1と同様にして熱収縮性多層フィルムを得た。
得られた熱収縮性多層フィルムは、総厚みが40μmであり、表層(5.7μm)/接着層(0.7μm)/中間層(27.2μm)/接着層(0.7μm)/裏層(5.7μm)の5層構造であった。
実施例、参考例及び比較例で得られた熱収縮性多層フィルムについて、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
実施例、参考例及び比較例で得られた熱収縮性多層フィルムを30mm×40mmにカットして2枚のサンプルを作製した。得られたサンプルを重ね合わせ、荷重5kg/100cm2、40℃の条件で48時間静置した。その後、引張速度200m/minでせん断方向に引張り、せん断剥離硬度を測定し、以下の基準で評価した。
〇:せん断剥離強度が2000g/cm以下であった。
×:せん断剥離強度が2000g/cmを超えていた。
得られた熱収縮性多層フィルムを以下の条件で、5色のグラビア印刷機を用いて印刷を行った。
フィルム幅:900mm
印刷インキ:大日精化工業株式会社製 OSMタイプ 墨、赤、黄、青、白(下地部分)
インキ粘度:ザーンカップ法 #3のザーンカップで15秒
版;彫刻製版により作成したカラーチャート版
印刷速度;150m/min
印刷後の状態を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
〇:0~100%のグラデーションカーブにおける5~20%部分において、目視もしくは拡大鏡観察や印刷欠点検出装置により輪郭がはっきり印刷できている、若しくは、色の抜け(インキのとび)が25箇所未満であった。
△:色の抜け(インキのとび)が25~50箇所であった。
×:上記以外であった。
ブロッキング及びトラッピングの結果に基づき、以下の基準で評価を行った。
〇:ブロッキング及びトラッピングの評価がいずれも「〇」であった。
×:上記以外であった。
実施例、参考例及び比較例で得られたフィルムを、MD100mm×TD100mmの大きさのサンプルにカットし試験片を得た。得られた試験片を、70℃の温水及び沸騰水(100℃)に10秒間浸漬させた後、熱収縮性多層フィルムを取り出し、15℃の水に5秒間浸漬し、次式に従いTD方向の熱収縮率を求めた。なお、収熱縮率は、各実施例、参考例及び比較例につき、3つの試験片を用いて測定し、その平均値を用いた。
熱収縮率(%)={(100-L)/100}×100
Claims (2)
- 表裏層と、中間層とが、接着層を介して積層されてなる熱収縮性多層フィルムであって、
前記表裏層は、ポリエステル系樹脂及び有機系微粒子を含有し、
前記中間層は、ビカット軟化温度が80℃以上であるポリスチレン系樹脂を10~50重量%、ビカット軟化温度が80℃未満であるポリスチレン系樹脂を50~90重量%含有し、
前記接着層を構成する樹脂は、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系エラストマーとの混合樹脂、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂との混合樹脂、ポリエステル系樹脂とスチレン系エラストマーとの混合樹脂、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂とスチレン系エラストマー又はポリエステル系エラストマーとの混合樹脂、スチレン系エラストマー及びポリエステル系エラストマーからなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記ポリエステル系樹脂100重量部に対する前記有機系微粒子の含有量が0.055~0.145重量部であり、
前記有機系微粒子は、少なくとも平均粒子径が0.5~2.9μmである有機系微粒子(A)と平均粒子径が3.0~10.0μmである有機系微粒子(B)とを含有し、
前記有機系微粒子は、ポリメチルメタクリレートである
ことを特徴とする熱収縮性多層フィルム。 - 有機系微粒子(A)の平均粒子径が0.5~2.4μmであり、有機系微粒子(B)の平均粒子径が3.0~3.8μmであることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性多層フィルム。
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