JP7130512B2 - 熱収縮性多層フィルム及び熱収縮性ラベル - Google Patents
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Description
熱収縮性ラベルを加熱して容器に装着させる方法としては湿熱収縮と乾熱収縮の2種類の方法が広く用いられている。
以下、本発明を詳述する。
なお、本明細書中、表裏層とは、表面層と裏面層との両方を意味する。従って、本発明の熱収縮性多層フィルムは、中間層が表面層と裏面層とに挟まれた構造を有する。
上記表裏層は、非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂を含有する。
なお、非晶性とは、ISO 3146:2000に準拠したDSC(示差走査熱量計)測定において、結晶化熱あるいは融解熱のピークを確認できないものを示す。
上記非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂とは、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を70モル%以上、ジオール成分としてエチレングリコールに由来する成分を60モル%以上含有するポリマーを意味する。
上記ジカルボン酸成分としては、上記テレフタル酸以外に、o-フタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンカルボン酸、これらの無水物及び低級アルキルエステル等を含むことができる。
また、上記非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、ジオール成分100モル%のうち、1,4-シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を10~40モル%含有することが好ましい。
このような非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂を用いることにより、熱収縮性をより向上させることができる。
上記非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂におけるジエチレングリコールに由来する成分の含有量は、0~30モル%であることが好ましく、1~25モル%であることがより好ましく、2~20モル%であることが更に好ましい。
ジエチレングリコールを用いることにより、熱収縮性フィルムの主収縮方向の引張破断伸度が高まり、ミシン目を裂いたときに層間剥離が生じて内面側のみが容器に残ってしまうことを防止することができる。ジエチレングリコールに由来する成分が30モル%以下であると、熱収縮性フィルムの低温収縮性を低下させることができ、容器に装着する際のシワの発生を防止することができる。
なお、上記ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)で測定することができる。
なお、上記引張弾性率は、ASTM-D882(TestA)に準拠した方法で測定することができる。
上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂とは、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を50モル%以上、ジオール成分として1,4-ブタンジオールに由来する成分を50モル%以上含有するポリマーを意味する。
上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂を含有することで、優れた仕上り性を付与することができる。
上記ジオール成分としては、上記1,4-ブタンジオール以外に、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール)、1,2-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール類;2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール類等を含むことができる。
上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂は、ジカルボン酸成分100モル%のうち、イソフタル酸に由来する成分を15~45モル%含有することが好ましく、25~40モル%含有することがより好ましい。
また、上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂における上記1,4-ブタンジオールに由来する成分以外のジオール成分の含有量は、ジオール成分100モル%のうち、好ましい上限が50モル%である。
上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂の含有量は、好ましい下限が8重量%、より好ましい下限が9重量%、好ましい上限が35重量%、より好ましい上限が32重量%である。
他のポリエステル系樹脂は特に限定されず、ジカルボン酸成分及びジオール成分を含有する共重合体を用いることができる。
上記ジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンカルボン酸、これらの無水物及び低級アルキルエステル等が挙げられる。
上記ジオール成分としては、例えば、1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール)、1,2-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2nブチル-2エチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール類;2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール類等が挙げられる。
上記表裏層を構成する樹脂は、イソフタル酸成分、テレフタル酸成分、エチレングリコール成分及びブタンジオール成分以外のその他の成分を含有してもよい。
上記表裏層を構成する樹脂におけるジカルボン酸に由来する成分であるテレフタル酸成分、イソフタル酸成分、及び、その他の成分合計は100モル%である。
上記表裏層を構成する樹脂におけるジオールに由来する成分であるエチレングリコール成分、ブタンジオール成分、及び、その他の成分の合計は100モル%である。
上記表裏層を構成する樹脂におけるイソフタル酸成分、テレフタル酸、エチレングリコール成分及びブタンジオール成分の含有量は、例えば、表裏層を構成する原料樹脂中のイソフタル酸成分、テレフタル酸成分、エチレングリコール成分、ブタンジオール成分の含有量をNMR(核磁気共鳴法)により測定し、得られた各成分の含有量と表裏層における各原料樹脂の配合割合に基づいて算出することができる。
本発明の熱収縮性多層フィルムは、上記中間層を含有する。
上記中間層は、ビカット軟化温度が80℃以上であるポリスチレン系樹脂(以下、高軟化温度ポリスチレン系樹脂ともいう)を含有する。
上記高軟化温度ポリスチレン系樹脂としては、例えば、芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体、芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体と芳香族ビニル炭化水素-脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体との混合樹脂、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン等が挙げられる。上記ポリスチレン系樹脂を用いることで、本発明の熱収縮性多層フィルムは低温から収縮を開始することができ、また、高収縮性を有する。
上記芳香族ビニル炭化水素は特に限定されず、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記共役ジエンは特に限定されず、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なお、上記芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体は、SBS樹脂、SIS樹脂及びSIBS樹脂のうちのいずれか1つを単独で含有してもよく、複数を組み合わせて含有してもよい。また、SBS樹脂、SIS樹脂及びSIBS樹脂のうちの複数を用いる場合には、各樹脂をドライブレンドしてもよく、各樹脂を特定の組成にて押出機を用いて練り上げペレタイズしたコンパウンド樹脂を用いてもよい。
上記芳香族ビニル炭化水素は特に限定されず、上記芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体において例示した芳香族ビニル炭化水素と同様の芳香族ビニル炭化水素を用いることができる。上記脂肪族不飽和カルボン酸エステルは特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートとの両方を示す。
上記連続相を形成する共重合体中のスチレンの割合は20~80重量%が好ましく、30~70重量%がより好ましい。メタクリル酸アルキルの割合は10~50重量%が好ましく、15~40重量%がより好ましい。アクリル酸アルキルの割合は1~30重量%が好ましく、5~20重量%がより好ましい。
上記分散相を形成する共役ジエンを主体とするゴム成分の粒子径は0.1~1.2μmであることが好ましく、更に好ましくは0.3~0.8μmである。粒子径が0.1μmを下回ると、上記ゴム変性耐衝撃性ポリスチレンの耐衝撃性が不充分となることがあり、1.2μmを上回ると、上記中間層の透明性が低下することがある。
上記高軟化温度ポリスチレン系樹脂の含有量が20重量%以上であると、乾熱によるラベル装着後のラベルの緩みを抑えることができる。上記高軟化温度ポリスチレン系樹脂の含有量が90重量%以下であると熱収縮率を充分に高めることができる。
上記高軟化温度ポリスチレン系樹脂の含有量は、好ましい下限が25重量%、更に好ましい下限が30重量%、好ましい上限が93重量%、更に好ましい上限が90重量%である。
上記低軟化温度ポリスチレン系樹脂としては、例えば、芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体、芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体と芳香族ビニル炭化水素-脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体との混合樹脂、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン等が挙げられる。上記ポリスチレン系樹脂を用いることで、本発明の熱収縮性多層フィルムは低温から収縮を開始することができ、また、高収縮性を有する。
なお、上記芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体は、SBS樹脂、SIS樹脂及びSIBS樹脂のうちのいずれか1つを単独で含有してもよく、複数を組み合わせて含有してもよい。また、SBS樹脂、SIS樹脂及びSIBS樹脂のうちの複数を用いる場合には、各樹脂をドライブレンドしてもよく、各樹脂を特定の組成にて押出機を用いて練り上げペレタイズしたコンパウンド樹脂を用いてもよい。
上記連続相を形成する共重合体中のスチレンの割合は20~80重量%が好ましく、30~70重量%がより好ましい。メタクリル酸アルキルの割合は10~50重量%が好ましく、15~40重量%がより好ましい。アクリル酸アルキルの割合は1~30重量%が好ましく、5~20重量%がより好ましい。
上記分散相を形成する共役ジエンを主体とするゴム成分の粒子径は0.1~1.2μmであることが好ましく、更に好ましくは0.3~0.8μmである。粒子径が0.1μmを下回ると、上記ゴム変性耐衝撃性ポリスチレンの耐衝撃性が不充分となることがあり、1.2μmを上回ると、上記中間層の透明性が低下することがある。
上記低軟化温度ポリスチレン系樹脂を所定量含有することで、低温領域での熱収縮性を向上させることができる。
上記低軟化温度ポリスチレン系樹脂の含有量は、より好ましい下限が7重量%、更に好ましい下限が10重量%、より好ましい上限が80重量%、更に好ましい上限が75重量%である。
なお、上記見掛けのビカット軟化温度は、混合樹脂中の高軟化温度ポリスチレン系樹脂及び低軟化温度ポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度と配合割合との積により算出することができる。
上記スチレン系エラストマーとしては、ハードセグメントとしてのポリスチレンと、ソフトセグメントとしてポリブタジエン、ポリイソプレン又はポリブタジエンとポリイソプレンとの共重合体とからなる樹脂、及び、これらの水素添加物等が挙げられる。なお、上記水素添加物は、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の一部が水素添加されたものであってもよく、全てが水素添加されたものであってもよい。
上記スチレン系エラストマーの変性物における上記官能基の含有量の好ましい下限は0.05重量%、好ましい上限は5.0重量%である。上記官能基の含有量が0.05重量%未満であると、熱収縮性多層フィルムの層間強度が低下することがある。上記官能基の含有量が5.0重量%を超えると、上記官能基を付加する際にスチレン系エラストマーが熱劣化し、ゲル等の異物が発生しやすくなることがある。上記官能基の含有量のより好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は3.0重量%である。
なお、上記ビカット軟化温度は、ISO 306に準拠した方法で測定することができる。
上記スチレン系エラストマーの含有量の下限は特に限定されないが、好ましい下限が0重量%、より好ましい下限が1.0重量%、更に好ましい下限が1.5重量%である。
なお上記中間層を構成する樹脂がポリスチレン系樹脂を含む混合樹脂である場合の上記スチレン成分含有比率(重量%)は、上記中間層中のポリスチレン系樹脂の含有量にポリスチレン系樹脂中のスチレン成分の含有量を乗じたものの合計を100で割って算出する。
なお、上記中間層中に共役ジエン成分を含むポリスチレン系樹脂を含有する場合において、上記共役ジエン成分含有比率(重量%)は、共役ジエン成分を含むポリスチレン系樹脂の含有量に共役ジエン成分を含むポリスチレン系樹脂の共役ジエン成分の含有量を乗じたものの合計を100で割って算出する。
本発明の熱収縮性多層フィルムは、接着層を有する。
上記接着層は、非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂を含有する。
上記非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂としては、上記表裏層を構成するものとして例示されたものと同様のものを用いることができる。
上記非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂の含有量が上記範囲であると、良好な層間接着強度を得ることができ好ましい。
上記非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂の含有量は、好ましい下限が45重量%、好ましい上限が65重量%である。
上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂としては、上記表裏層を構成するものとして例示されたものと同様のものを用いることができる。
上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂の含有量が上記範囲であると、良好な層間接着強度を得ることができ好ましい。
上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂の含有量は、好ましい下限が10重量%、好ましい上限が20重量%である。
上記ポリスチレン系樹脂としては、例えば、芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体、芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体と芳香族ビニル炭化水素-脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体との混合樹脂、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン等が挙げられる。
層間強度の観点から、芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体が好ましい。
なお、上記芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体は、SBS樹脂、SIS樹脂及びSIBS樹脂のうちのいずれか1つを単独で含有してもよく、複数を組み合わせて含有してもよい。また、SBS樹脂、SIS樹脂及びSIBS樹脂のうちの複数を用いる場合には、各樹脂をドライブレンドしてもよく、各樹脂を特定の組成にて押出機を用いて練り上げペレタイズしたコンパウンド樹脂を用いてもよい。
また、層間強度の観点から、中間層として芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体が用いられる場合、接着層で用いられる芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体の共役ジエンの含有量は、中間層で用いられる芳香族ビニル炭化水素-共役ジエン共重合体の共役ジエン含有量より多い方が好ましい。
上記ポリスチレン系樹脂の含有量が上記範囲であると、良好な層間接着強度を得ることができ好ましい。
上記ポリスチレン系樹脂の含有量は、好ましい下限が20重量%、上限が45重量%、好ましい上限が40重量%である。
上記ポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度の好ましい下限は50℃、好ましい上限は90℃である。上記ビカット軟化温度が50℃以上であると、熱収縮性多層フィルムの低温収縮性を良好なものとして、容器に装着する際のシワの発生を抑制することができる。上記ビカット軟化温度が90℃以下であると、熱収縮性多層フィルムの低温収縮性を充分に高めて、容器に装着する際の未収縮部分の発生を防止することができる。上記ビカット軟化温度のより好ましい下限は55℃、より好ましい上限は85℃である。なお、上記ビカット軟化温度は、ISO 306に準拠した方法で測定することができる。
スチレン系エラストマーとしては、ハードセグメントとしてのポリスチレンと、ソフトセグメントとしてポリブタジエン、ポリイソプレン又はポリブタジエンとポリイソプレンとの共重合体とからなる樹脂、及び、これらの水素添加物等が挙げられる。なお、上記水素添加物は、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の一部が水素添加されたものであってもよく、全てが水素添加されたものであってもよい。
上記スチレン系エラストマーの変性物における上記官能基の含有量の好ましい下限は0.05重量%、好ましい上限は5.0重量%である。上記官能基の含有量が0.05重量%未満であると、熱収縮性多層フィルムの層間強度が低下することがある。上記官能基の含有量が5.0重量%を超えると、上記官能基を付加する際にスチレン系エラストマーが熱劣化し、ゲル等の異物が発生しやすくなることがある。上記官能基の含有量のより好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は3.0重量%である。
上記ポリエステル系エラストマーは、飽和ポリエステル系エラストマーであることが好ましく、特に、ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する飽和ポリエステル系エラストマーであることが好ましい。
上記ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する飽和ポリエステル系エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントとしての芳香族ポリエステルと、ソフトセグメントとしてのポリアルキレンエーテルグリコール又は脂肪族ポリエステルとからなるブロック共重合体が好ましい。更に、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルグリコールを有するポリエステルポリエーテルブロック共重合体がより好ましい。
上記ポリアルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2-及び/又は1,3-プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンエーテル)グリコール等が挙げられる。
なお、上記数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定されたものをいう。また、上記GPCのキャリブレーションは、例えば、POLYTETRAHYDROFURANキャリブレーションキット(英国POLYMER LABORATORIES社製)を使用することにより行うことができる。
なお、上記ポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量は、核磁気共鳴スペクトル法(NMR)を用い、水素原子の化学シフトとその含有量に基づいて算出することができる。
なお、上記デュロメーター硬さは、ISO18517に準拠した方法でデュロメーター タイプDを用いることにより測定することができる。
上記変性ポリエステル系エラストマーを得るための変性反応は、例えば、上記ポリエステル系エラストマーに変性剤としてのα,β-エチレン性不飽和カルボン酸を反応させることによって行われる。上記変性反応に際しては、ラジカル発生剤を使用するのが好ましい。
また、上記変性反応においては、通常、他の反応として、エステル交換反応等も起こるものと考えられ、得られる反応物は、一般的には、未反応原料等を含む組成物となる。この場合、得られる反応物中の上記変性ポリエステル系エラストマーの含有量の好ましい下限は10重量%、より好ましい下限は30重量%である。また、上記変性ポリエステル系リラストマーの含有量は、100重量%に近いほど好ましい。
グラフト量(重量%)=100×[(C÷3×98)/{(A×148÷4)+(B×72÷4)+(C÷3×98)}] (2)
式(2)中、Aは7.8~8.4ppmにおける積分値、Bは1.2~2.2ppmにおける積分値、Cは2.4~2.9ppmにおける積分値を表す。
本発明の熱収縮性多層フィルムの各層の厚み比率は、表面層/中間層/裏面層が1/3/1~1/12/1の範囲となることが好ましい。本発明の熱収縮性多層フィルムが上記接着層を有する場合にも、上記表裏層と上記中間層とが上記範囲となることで、優れた収縮仕上り性を実現することができる。
また、本発明の熱収縮性多層フィルムは、主収縮方向(TD方向)の層間強度が0.5~2.0N/10mmであることが好ましい。上記層間強度が0.5N/10mm未満であると、容器にラベルを被覆しダンボール輸送をした際に磨耗により層間剥離が発生することがある。上記層間強度のより好ましい下限は0.65N/10mm、更に好ましい下限は0.8N/10mmである。
なお、上記層間強度は、例えば、測定サンプルについて、MD方向、TD方向に層間を180度方向に剥離させたときの層間強度を剥離試験機を用いて測定することができる。
上記延伸の方法としては、例えば、ロール延伸法、テンター延伸法又はこれらの組み合わせを用いることができる。延伸温度はフィルムを構成する樹脂の軟化温度、熱収縮性多層フィルムに要求される収縮特性等に応じて変更されるが、好ましい下限は65℃、好ましい上限は120℃、より好ましい下限は70℃、より好ましい上限は115℃である。主収縮方向の延伸倍率はフィルムを構成する樹脂、延伸手段、延伸温度等に応じて変更されるが、好ましくは3倍以上、より好ましくは4倍以上であって、好ましくは7倍以下、より好ましくは6倍以下である。このような延伸温度及び延伸倍率とすることにより、優れた厚み精度を達成することができ、また、ミシン目を裂いたときに層間剥離が生じて内面側の表裏層のみが容器に残ってしまうことを防止することができる。
実施例及び比較例においては、以下の原料を用いた。
・ポリエステル系樹脂A:ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する100モル%、ジオール成分としてエチレングリコールに由来する成分を65モル%、ジエチレングリコールに由来する成分を20モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を15モル%含有する非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂(ガラス転移温度69℃)
・ポリエステル系樹脂B:ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を70モル%、イソフタル酸に由来する成分を30モル%、ジオール成分として1,4-ブタンジオールに由来する成分を100モル%含有するポリブチレンテレフタレート系樹脂(融点170℃)
(ポリスチレン系樹脂)
・ポリスチレン系樹脂A:スチレン-ブタジエン共重合体(スチレン81.3重量%、ブタジエン18.7重量%、ビカット軟化温度81℃、MFR6g/10分)
・ポリスチレン系樹脂B:スチレン-ブタジエン共重合体(スチレン79重量%、ブタジエン21重量%、ビカット軟化温度59℃、MFR6g/10分)
・ポリスチレン系樹脂C:スチレン-ブタジエン共重合体(スチレン71重量%、ブタジエン29重量%、ビカット軟化温度76℃、MFR6g/10分)
表裏層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂A90重量%とポリエステル系樹脂B10重量%とを含む混合樹脂を用いた。
中間層を構成する樹脂として、ポリスチレン系樹脂A90重量%とポリスチレン系樹脂B10重量%との混合樹脂を用いた。
接着層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂A59重量%とポリエステル系樹脂B10重量%とポリスチレン系樹脂C31重量%とを含む混合樹脂を用いた。
これらをバレル温度が160~250℃の押出機に投入し、250℃の多層ダイスから5層構造のシート状に押出し、30℃の引き取りロールにて冷却固化した。次いで、予熱ゾーン105℃、延伸ゾーン90℃、熱固定ゾーン85℃のテンター延伸機内で延伸倍率6倍にて延伸した後、巻き取り機で巻き取ることにより、主収縮方向と直交する方向がMD、主収縮方向がTDとなる熱収縮性多層フィルムを得た。
得られた熱収縮性多層フィルムは、総厚みが40μmであり、表裏層(5μm)/接着層(1μm)/中間層(28μm)/接着層(1μm)/表裏層(5μm)の5層構造であった。
表裏層を構成する樹脂、中間層を構成する樹脂、及び、接着層を構成する樹脂の配合を表1に示す通りとした以外は実施例1と同様にして熱収縮性多層フィルムを得た。
実施例及び比較例で得られた熱収縮性多層フィルムについて、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
熱収縮性多層フィルムを長さ100mm×幅10mmのサイズにカットし、図1に示すようにフィルム端部の一部分を層間剥離した。サンプルの長さ方向に引張速度500mm/minで、図2に示すように180度方向に剥離させたときの常温(23℃)での強度(N/10mm)を、剥離試験機(Peeling TESTER HEIDON-17、新東科学社製)を用いて測定した。図1及び2は、層間強度評価におけるフィルムの剥離方法を示す模式図である。
長さ方向が、主収縮方向(TD)となるように試験を行った。
なお、TDに対し10回試験を行い、TDの層間強度の平均値を求めた。
熱収縮性多層フィルムを主収縮方向(TD)100mm×主収縮方向と直行する方向(MD)100mmの大きさにカットし、70℃の温水に10秒間浸漬させた後、熱収縮性多層フィルムを取り出し、すぐに水道水に10秒間浸漬させた。この熱収縮性多層フィルムのTDの1辺の長さ(L)をそれぞれ測定して、下記式(1)に従いTD方向の熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)={(100-L)/100}×100 (1)
熱収縮性多層フィルムを主収縮方向(TD)100mm×主収縮方向と直行する方向(MD)100mmの大きさにカットし、40℃に調整した低温恒温器(IL-82 ヤマト科学社製)に7日間静置し、熱収縮率と同様にして自然収縮率を測定した。評価指標としてはTD方向のみの自然収縮率を測定した。
2 中間層
Claims (7)
- 表裏層と、中間層とが、接着層を介して積層された熱収縮性多層フィルムであって、
前記表裏層は、非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂を63~93重量%、ポリブチレンテレフタレート系樹脂を7~37重量%含有し、
前記中間層は、ビカット軟化温度が80℃以上であるポリスチレン系樹脂を20~94重量%を含有し、
前記接着層は、非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂を40~70重量%、ポリブチレンテレフタレート系樹脂を5~30重量%、ポリスチレン系樹脂を15~45重量%含有し、
前記表裏層を構成するポリブチレンテレフタレート系樹脂は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を55~85モル%、イソフタル酸に由来する成分を15~45モル%含有することを特徴とする熱収縮性多層フィルム。 - 中間層は、更に、ビカット軟化温度が80℃未満であるポリスチレン系樹脂を含有し、中間層を構成するビカット軟化温度が80℃以上であるポリスチレン系樹脂とビカット軟化温度が80℃未満であるポリスチレン系樹脂とのビカット軟化温度の差が15℃以上30℃以下であることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性多層フィルム。
- 表裏層を構成する非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、ジオール成分としてエチレングリコールに由来する成分を60~80モル%、ジエチレングリコールに由来する成分を0~30モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を10~40モル%含有することを特徴とする請求項1又は2記載の熱収縮性多層フィルム。
- 中間層は、ビカット軟化温度が80℃未満であるポリスチレン系樹脂を6~80重量%含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の熱収縮性多層フィルム。
- 接着層を構成するポリブチレンテレフタレート系樹脂は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を55~85モル%、イソフタル酸に由来する成分を15~45モル%含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の熱収縮性多層フィルム。
- 接着層を構成する非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、ジオール成分としてエチレングリコールに由来する成分を60~80モル%、ジエチレングリコールに由来する成分を0~30モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を10~40モル%含有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の熱収縮性多層フィルム。
- 請求項1、2、3、4、5又は6記載の熱収縮性多層フィルムを含むことを特徴とする熱収縮性ラベル。
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