JP5563858B2 - 熱収縮性多層フィルム及び熱収縮性ラベル - Google Patents

熱収縮性多層フィルム及び熱収縮性ラベル Download PDF

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Description

本発明は、乾熱収縮用の熱収縮性ラベルとして用いた場合に、自然収縮を抑制することができ、装着後にシワ、印刷柄の歪み、収縮ムラ等の不具合が発生することなく、優れた収縮仕上り性を実現することが可能な熱収縮性多層フィルム及び該熱収縮性多層フィルムをベースフィルムとする熱収縮性ラベルに関する。
近年、ペットボトルや金属罐等の容器の多くには、熱収縮性樹脂フィルムからなるベースフィルムに印刷等を施した熱収縮性ラベルが装着されている。熱収縮性ラベルを加熱して容器に装着させる方法としては、湿熱収縮と乾熱収縮の2種類の方法が広く用いられている。
湿熱収縮は、水蒸気を使用して加熱することにより、熱収縮性ラベルを収縮させ、容器に装着する方法である。水蒸気は、熱伝導率が高いことから、短時間で充分な熱量を熱収縮性樹脂フィルムに与えることができ、ラベル装着速度を大幅に高めることができる。また、雰囲気内での熱ムラが発生しにくいことから、装着後に見られる印刷柄の歪みやシワが少なく、収縮仕上り性に優れる。
一方、乾熱収縮は、収縮トンネル等で熱風を使用して加熱することにより、熱収縮性ラベルを収縮させ、容器に装着する方法である。乾熱収縮は、湿熱収縮と比較して水蒸気を使用しないことから、衛生面で優れている。また、湿熱収縮に比べ、簡易的な設備で収縮装着させることができるという利点を有している。従って、ロット数の少ない容器に対して装着させる場合や、内容物を充填する前の容器に熱収縮性ラベルの装着を行う場合には、乾熱収縮による装着が一般的に行われている。
乾熱収縮においては、収縮トンネル内で温度分布が不均一となることで、ラベルにシワ、印刷柄の歪み、収縮ムラ等の不具合が発生しやすく、優れた収縮仕上り性を実現するのが難しいという課題があった。このような不具合を防止するため、乾熱収縮を行う際は、低温収縮性に優れた熱収縮性フィルムをベースとする熱収縮性ラベルを用いるのが一般的である。
一方、熱収縮性フィルムは、フィルム製膜後に、常温(20〜23℃)で保管する場合においても、経時でわずかに収縮する(いわゆる自然収縮)。自然収縮が大きいと、熱収縮性ラベルの径が減少し、容器等に熱収縮性ラベルを被せる場合に、容器径よりも熱収縮性ラベルの径が小さくなり、容器に熱収縮性ラベルが被せられなくなるという現象が生じていた。また、熱収縮性フィルムは経時変化により低温収縮性が低下する場合がある。低温収縮性が低下すると、急激に熱収縮性ラベルが収縮するため、容器に熱収縮性ラベルを装着した時にシワや印刷柄の歪みが発生しやすくなるという問題も生じていた。このような不具合が発生しないようにするために、特に、乾熱収縮用の熱収縮性フィルムにおいては、自然収縮の小さい熱収縮性フィルムや、低温収縮性がフィルムを長期保管しても低下しにくい熱収縮性フィルムが望まれる。
現在、乾熱収縮による装着を行う際に使用される熱収縮性ラベルとしては、低温収縮性に優れることからポリスチレン系樹脂からなるものが主流である。しかし、ポリスチレン系樹脂フィルムは、フィルムの剛性が低いことから、機械への適正が悪く、ラベル詰まり等の不具合が発生しやすいという問題があった。また、ポリスチレン系樹脂フィルムは耐溶剤性が不充分であることから、油分を含む品物の包装に用いた場合に、油分が付着することによって収縮したり溶解したりすることがあるという問題もあった。
一方、ポリスチレン系樹脂フィルムに代えて、耐熱性や耐溶剤性に優れたポリエステル系フィルムを熱収縮性ラベルとして用いる試みもなされている。しかしながら、ポリエステル系フィルムは、低温収縮性が悪く、急激に収縮するため容器に装着した際に印刷柄の歪みやシワが発生しやすいという問題がある。また、熱収縮性ラベルには、容器をリサイクルするために使用後の容器から容易に熱収縮性ラベルを引き剥がせるように引き剥がしのためのミシン目が設けられていることが多いが、ポリエステル系フィルムは、ミシン目におけるカット性が悪く、容易には熱収縮性ラベルを容器から引き剥がすことができないことがあるという問題があった。
これに対して、特許文献1には、ポリスチレン系樹脂からなる中間層に、オレフィン系樹脂からなる接着層を介してポリエステル系樹脂からなる外面層が積層されてなる硬質多層収縮性フィルムが開示されている。また、特許文献2には、ポリスチレン系樹脂からなる中間層の両側に、特定のモノマーからなるポリエステル系樹脂からなる外面層が積層されたものであって、中間層と外面層とが接着層を介さずに積層されてなるベースフィルムを備えた熱収縮性ラベルが開示されている。更に、特許文献3には、ポリエステル系樹脂からなる表面層、スチレン系樹脂からなる中間層及び接着性樹脂からなる接着層を有する積層フィルムが開示されている。
しかしながら、これらの熱収縮性ラベルを乾熱収縮によって容器に装着すると、ポリスチレン系樹脂からなる層と、ポリエステル系樹脂からなる層との収縮挙動が大きく異なるため、装着時にシワ、印刷柄の歪み、収縮ムラ等の不具合が発生するという問題が生じていた。また、経時変化によって低温収縮性が低下する問題についても解決されていなかった。従って、乾熱収縮用の熱収縮性ラベルとして用いた場合に、自然収縮が起こりにくく、装着後においてシワ、印刷柄の歪み、収縮ムラ等の不具合が発生することなく、収縮仕上り性の高い熱収縮性多層フィルムが求められていた。
特開昭61−41543号公報 特開2002−351332号公報 特開2006−15745号公報
本発明は、上記現状に鑑み、乾熱収縮用の熱収縮性ラベルとして用いた場合に、自然収縮を抑制することができ、かつ、経時での収縮率低下が少なく、装着後にシワ、印刷柄の歪み、収縮ムラ等の不具合が発生することなく、優れた収縮仕上り性を実現することが可能な熱収縮性多層フィルム及び該熱収縮性多層フィルムをベースフィルムとする熱収縮性ラベルを提供することを目的とする。
本発明は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂を10〜30重量%含有するポリエステル系樹脂からなる表裏層と、芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体からなる中間層とが積層され、前記表裏層と前記中間層の間にポリエステル系エラストマー又は前記ポリエステル系エラストマーの変性物からなる接着層を形成されてなる熱収縮性多層フィルムを用いてなる乾熱収縮用熱収縮性ラベルである。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体からなる中間層に、ポリエステル系樹脂からなる表裏層が積層された熱収縮性多層フィルムにおいて、上記表裏層を構成するポリエステル系樹脂に、ポリブチレンテレフタレート系樹脂を所定量含有させることにより、自然収縮の発生が極めて少なくなり、長期間に渡って保管を行う場合でも、低温収縮性が低下しないことから、乾熱収縮用の熱収縮性ラベルとして用いた場合に、装着後にシワ、印刷柄の歪み、収縮ムラ等の不具合が発生することなく、収縮仕上り性に優れる熱収縮性多層フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の熱収縮性多層フィルムは、ポリエステル系樹脂からなる表裏層と、芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体からなる中間層とが積層されたものである。
本発明では、上記表裏層を構成するポリエステル系樹脂は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂を含有する。上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂を含有することで、熱収縮性多層フィルムの自然収縮を防止できるとともに、乾熱収縮率の経時変化を低下させることが可能となる。
上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂としては、ポリブチレンテレフタレートのみからなる樹脂のほか、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分として1,4−ブタンジオールを主成分とし、それ以外のジカルボン酸成分、ジオール成分を10モル%以下の範囲で含むものや、ポリブチレンテレフタレートに対してポリアルキレンエーテルグリコールや脂肪族ポリエステルが20重量%以下の範囲で共重合されたブロック共重合体であってもよい。
上記テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンカルボン酸、これらの無水物及び低級アルキルエステル等を挙げることができる。
上記1,4−ブタンジオール以外のジオール成分としては、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール類;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール類等を挙げることができる。なお、上記テレフタル酸、1,4ブタンジオール以外のジカルボン酸成分、ジオール成分がそれぞれ10モル%を超えると、耐熱性が低下し、経済的にも不利となることがある。
また、上記ポリアルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−及び/又は1,3−プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンエーテル)グリコール等が挙げられる。なお、上記ポリアルキレンエーテルグリコールや脂肪族ポリエステルが20重量%を超えると、耐熱性が低下し、経済的にも不利となることがある。
上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂のガラス転移温度の好ましい下限は0℃、好ましい上限は60℃である。上記ガラス転移温度が0℃未満であると、自然収縮率が大きくなることがある。上記ガラス転移温度が60℃を超えると、経時で低温収縮性が低下することがある。なお、上記ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC:Differential Scanning Calorimetry)で測定することができる。
上記表裏層を構成するポリエステル系樹脂全体に対するポリブチレンテレフタレート系樹脂の含有量の下限は10重量%、上限は30重量%である。上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂の含有量が10重量%未満であると、経時での低温収縮性が低下する。30重量%を超えると、自然収縮率が大きくなる。上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂の含有量の好ましい下限は15重量%、好ましい上限は25重量%である。
上記表裏層は、上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂以外にポリエステル系樹脂(以下、他のポリエステル系樹脂ともいう)を含有する。
上記他のポリエステル系樹脂としては、テレフタル酸とエチレングリコールを主成分として、ジカルボン酸成分、又は、ジオール成分として、40モル%以下の共重合成分を含む重合体が好ましい。
上記ジカルボン酸としては特に限定されず、例えば、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンカルボン酸、これらの無水物及び低級アルキルエステル等が挙げられる。
上記ジオールとしては特に限定されず、例えば、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2nブチル−2エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール類;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール類等が挙げられる。
上記他のポリエステル系樹脂としては、なかでも、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を含有し、かつ、ジオール成分としてエチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を含有するものが好ましい。このようなポリエステル系樹脂を用いることにより、自然収縮率抑制と低温収縮性を付与することができる。耐低温性及び耐熱性をより高めたい場合には、エチレングリコールに由来する成分の含有量が60〜80モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分の含有量が10〜40モル%であるものを用いることが好ましい。このようなポリエステル系樹脂は、更に、ジエチレングリコールに由来する成分を0〜30モル%含有していてもよい。
上記中間層を構成する芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体としては特に限定されず、例えば、芳香族ビニル炭化水素としてはスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が、共役ジエンとしては1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いられてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、特に低温収縮性に優れることから、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS樹脂)が好適である。また、よりフィッシュアイの少ないフィルムを作製するためには、共役ジエンとして2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)を用いたスチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS樹脂)や、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SIBS樹脂)等を用いることが好ましい。
上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体として、SBS樹脂、SIS樹脂又はSIBS樹脂を用いる場合には、1種の樹脂を単独で用いてもよく、複数の樹脂を組み合わせて用いてもよい。複数で用いる場合にはドライブレンドしてもよく、ある特定の組成にて押出機を用いて練り上げペレタイズしたコンパウンド樹脂を用いてもよい。
このような樹脂を単独又は複数で用いる場合は、スチレン含有量が65〜90重量%、共役ジエン含有量が10〜35重量%の組成とすることが好ましい。このような組成とすることで、特に低温収縮性に優れるものとなる。
一方、スチレン含有量が90重量%を超えるか、共役ジエン含有量が10重量%未満であると、熱収縮性多層フィルムにテンションをかけたときに切れ易くなったり、印刷等の加工時に思いもよらず破断したりすることがある。スチレン含有量が65重量%未満か、共役ジエン含有量が35重量%を超えると、成形加工時にゲル等の異物が発生しやすくなったり、熱収縮性多層フィルムの腰が弱くなったりして、取り扱い性が悪化することがある。
上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体のビカット軟化温度の好ましい下限は65℃、好ましい上限は85℃である。65℃未満であると、低温で収縮を開始したり、自然収縮率が大きくなったりすることがある。また、経時での収縮率低下が大きくなる。85℃を超えると、自然収縮率が大きくなったり、収縮開始温度が高くなることがある。ビカット軟化温度のより好ましい下限は70℃であり、より好ましい上限は80℃である。
また、2種類以上の上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体を混合して用いる場合には、混合物のビカット軟化温度が65〜85℃の範囲であることが好ましい。
上記ビカット軟化温度は、芳香族ビニル炭化水素成分と共役ジエン成分の比率によって調整される。なお、両者の比率が同じであっても、ランダム(又はテーパー)共重合体の構造をとるか、ブロック共重合体の構造をとるか、又は、これらの混合構造をとるかによってビカット軟化温度は異なる。一般に、両者の比率が同じ場合、ブロック共重合体よりもランダム(又はテーパー)共重合体の方がビカット軟化温度は低くなる傾向にある。また、ブロック共重合体とランダム(又はテーパー)共重合体の両方の構造を有する場合には、ランダム(又はテーパー)共重合体の比率が大きければ、ビカット軟化温度は低くなり、ランダム(又はテーパー)共重合体の比率が小さければビカット軟化温度は高くなる。
なお、上記ビカット軟化温度は、JIS K 7206(1999)に準拠した方法で、樹脂から試験片を採取した後、試験片に置いた針状圧子に10Nの荷重を加えながら、120℃/hの速度で昇温させ、針状圧子が1mm進入したときの温度を確認することにより、測定することができる。また、上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体が、複数の芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体の混合物である場合は、各々の芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体のビカット軟化温度及び含有比から芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体の混合物全体のビカット軟化温度を算出する。
本発明の熱収縮性多層フィルムにおいて、上記中間層は、紫外線吸収剤を含有していてもよい。このように、紫外線吸収剤を含有することで、紫外線カット性を付与することができ、特に日光や蛍光灯から発せられる紫外線(波長380nm以下)のカット性に優れるため、容器の内容物の劣化を防止して、保管性を高めることができる。
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−n−メトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤;p−tert−ブチルフェニルサリシレート等のサリシレート系紫外線吸収剤;エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オクチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
なかでも、紫外線吸収性と耐熱性とのバランスに優れることから、2−(2’−ヒドロキシ−5’−n−メトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールが好ましい。
上記紫外線吸収剤の含有量は、中間層を構成する材料100重量部に対して、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が10重量部である。1重量部未満であると、紫外線カット性が不充分となり、容器のシュリンクラベルとして使用した場合に、内容物の劣化を防止できないことがあり、10重量部を超えると、熱収縮性多層フィルムの機械的強度が低下し、印刷等のコンバーティングやシュリンクラベルとして使用する場合に、破断等が発生することがある。上記紫外線吸収剤の含有量のより好ましい下限は2重量部、より好ましい上限は8重量部である。
本発明において、表裏層と中間層との間により高い層間接着強度が求められる場合には、表裏層と中間層の間に接着層を形成することが好ましい。
上記接着層に含まれる接着性樹脂としては、一般的に市販されているものであれば、特に限定されない。上記接着層を構成する樹脂としては、なかでもスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、又は、これらの変性物が好ましい。このような接着層は、中間層を構成する芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体、表裏層を構成するポリエステル系樹脂のいずれもと親和性が高く、両者を高い強度で接着することができる。また、表裏層を構成するポリエステル系樹脂を溶解する溶剤に溶解又は膨潤することから、センターシール時には、溶剤がシュリンクラベルの内部にまで浸透することができ、その後の熱収縮時に層間剥離が生じるのを防止することができる。更に、中間層と表裏層とともに、共押出法により成形可能であることから、生産性にも優れる。なお、上記接着層を構成する樹脂としては、上述した樹脂のほか、一般的に市販されている接着樹脂を使用することができる。
上記スチレン系エラストマーは、ハードセグメントとしてのポリスチレンと、ソフトセグメントとしてポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリブタジエンとポリイソプレンとの共重合体とからなるものや、これらの水素添加物のことである。なお、上記水素添加物は、ポリブタジエンやポリイソプレンの一部が水素添加されたものであってもよく、全てが水素添加されたものであってもよい。
上記スチレン系エラストマーの市販品としては、例えば、「タフテック」、「タフプレン」(何れも旭化成ケミカルズ社製)、「クレイトン」(クレイトンポリマージャパン社製)、「ダイナロン」(JSR社製)、「セプトン」(クラレ社製)等が挙げられる。
上記スチレン系エラストマーの変性物としては、例えば、カルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基及び水酸基等の官能基によって変性されたものが挙げられる。
上記スチレン系エラストマーの変性物における上記カルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基及び水酸基等の官能基の含有量の好ましい下限は0.05重量%、好ましい上限は5.0重量%である。0.05重量%未満であると、特に外面層との接着性が不充分となることがあり、5.0重量%を超えると、上記官能基を付加する際に樹脂が熱劣化し、ゲル等の異物が発生しやすくなることがある。より好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は3.0重量%である。
上記ポリエステル系エラストマーは、飽和ポリエステル系エラストマーであることが好ましく、特に、ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する飽和ポリエステル系エラストマーであることが好ましい。ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する飽和ポリエステル系エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントである芳香族ポリエステルと、ソフトセグメントであるポリアルキレンエーテルグリコールや脂肪族ポリエステルとからなるブロック共重合体が好ましい。更に、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルグリコールを有するポリエステルポリエーテルブロック共重合体がより好ましい。
上記ポリエステルポリエーテルブロック共重合体としては、(i)炭素原子数2〜12の脂肪族及び/又は脂環族ジオールと、(ii)芳香族ジカルボン酸及び/又は脂肪族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルと、(iii)ポリアルキレンエーテルグリコールとを原料とし、エステル化反応又はエステル交換反応により得られたオリゴマーを重縮合させたものが好ましい。
上記炭素原子数2〜12の脂肪族及び/又は脂環族ジオールとしては、例えば、ポリエステルの原料、特にポリエステル系エラストマーの原料として一般に用いられるものを用いることができる。具体的には例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらの中では、1,4−ブタンジオール又はエチレングリコールが好ましく、特に1,4−ブタンジオールが好ましい。これらのジオールは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記芳香族ジカルボン酸としては、ポリエステルの原料、特にポリエステル系エラストマーの原料として一般的に用いられているものを用いることができる。具体的には例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。これらの中では、テレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、特にテレフタル酸が好ましい。これらの芳香族ジカルボン酸は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとしては、上記芳香族ジカルボン酸のジメチルエステルやジエチルエステル等が挙げられる。なかでも、ジメチルテレフタレート及び2,6−ジメチルナフタレンジカルボキシレートが好ましい。
上記脂肪族ジカルボン酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸等が好ましく、そのアルキルエステルとしては、ジメチルエステルやジエチルエステル等が好ましい。また、上記の成分以外に3官能のアルコールやトリカルボン酸又はそのエステルを少量共重合させてもよく、更に、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸又はそのジアルキルエステルを共重合成分として用いてもよい。
上記ポリアルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−及び/又は1,3−プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンエーテル)グリコール等が挙げられる。
上記ポリアルキレンエーテルグリコールの数平均分子量の好ましい下限は400、好ましい上限は6000である。400以上とすることで、共重合体のブロック性が高くなり、6000以下とすることで、系内での相分離が起こり難く、ポリマー物性が発現しやすくなる。より好ましい下限は500、より好ましい上限は4000、更に好ましい下限は600、更に好ましい上限は3000である。なお、本明細書において、数平均分子量とはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定されたものをいう。また、上記GPCのキャリブレーションは、例えば、POLYTETRAHYDROFURANキャリブレーションキット(英国POLYMER LABORATORIES社製)を使用することにより行うことができる。
上記ポリエステル系エラストマーには、天然ゴム、合成ゴム(例えば、ポリイソプレンゴム)等のゴム成分及びプロセスオイル等の軟化剤を共存させてもよい。上記軟化剤を共存させることで、ゴム成分の可塑化促進や得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性を向上させることができる。上記軟化剤は、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系のいずれであってもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲において、該樹脂成分及びゴム成分に上記以外の樹脂やゴム、フィラー、添加剤等他の成分を添加してもよい。
上記フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、カオリン、クレー、ケイソウ土、珪酸カルシウム、雲母、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭素繊維、ガラス繊維、ガラス球、硫化モリブデン、グラファイト、シラスバルーン等が挙げられる。また、添加剤としては、例えば、耐熱安定剤、耐候安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、核剤、滑剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤等が挙げられる。
上記耐熱安定剤としては、例えば、フェノール系、リン系、硫黄系等の公知のものを使用することができる。上記耐候安定剤としてはヒンダードアミン系、トリアゾール系等の公知のものを使用することができる。上記着色剤としてはカーボンブラック、チタンホワイト、亜鉛華、べんがら、アゾ化合物、ニトロソ化合物、フタロシアニン化合物等が挙げられる。また、帯電防止剤、難燃剤、核剤、滑剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤等についてもいずれも公知のものが使用可能である。
上記ポリエステル系エラストマーの市販品としては、「プリマロイ」(三菱化学社製)、「ペルプレン」(東洋紡績社製)、「ハイトレル」(東レ・デュポン社製)等が挙げられる。
上記ポリエステル系エラストマーとして、ポリエステルとポリアルキレンエーテルグリコールとからなるポリエステルポリエーテルブロック共重合体を用いる場合、ポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量は、好ましい下限が5重量%、好ましい上限が90重量%である。5重量%以上であると、柔軟性及び耐衝撃性に優れるものとなり、90重量%以下であると、硬度及び機械強度に優れるものとなる。より好ましい下限は30重量%、より好ましい上限は80重量%であり、更に好ましい下限は55重量%である。なお、ポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量は核磁気共鳴スペクトル法(NMR)を用い、水素原子の化学シフトとその含有量に基づいて算出することができる。
上記ポリエステル系エラストマーの変性物(以下、変性ポリエステル系エラストマーともいう)とは、上記ポリエステル系エラストマーを変性剤を用いて変性させたものである。上記変性ポリエステル系エラストマーを得るための変性反応は、例えば、ポリエステル系エラストマーに変性剤としてのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸を反応させることによって行われる。変性反応に際してはラジカル発生剤を使用するのが好ましい。変性反応においては、ポリエステル系エラストマーにα,β−エチレン性不飽和カルボン酸やその誘導体が付加するグラフト反応が主として起こるが、分解反応も起こる。その結果、変性ポリエステル系エラストマーは、分子量が低下して溶融粘度が低くなる。また、変性反応においては、通常、他の反応として、エステル交換反応等も起こるものと考えられ、得られる反応物は、一般的には、未反応原料等を含む組成物となるが、この場合、得られる反応物中の変性ポリエステル系エラストマーの含有率の好ましい下限は10重量%、より好ましい下限は30重量%であり、変性ポリエステル系エラストマーの含有率が100重量%であることが更に好ましい。
上記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸等の不飽和カルボン酸;コハク酸2−オクテン−1−イル無水物、コハク酸2−ドデセン−1−イル無水物、コハク酸2−オクタデセン−1−イル無水物、マレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、1−ブテン−3,4−ジカルボン酸無水物、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、endo−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物等の不飽和カルボン酸無水物が挙げられる。これらのなかでは、反応性が高いことから、酸無水物が好ましい。上記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸は、変性すべきポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する共重合体や変性条件に応じて適宜選択することができ、また、2種以上を併用してもよい。なお、上記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸は有機溶剤等に溶解して使用することもできる。
上記ラジカル発生剤としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルへキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ターシャリーブチルオキシ)ヘキサン、3,5,5−トリメチルへキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジブチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、過酸化カリウム、過酸化水素等の有機及び無機の過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)ジハライド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、アゾジ−t−ブタン等のアゾ化合物、ジクミル等の炭素ラジカル発生剤等が挙げられる。上記ラジカル発生剤は、変性反応に使用するポリエステル系エラストマーの種類、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の種類及び変性条件に応じて適宜選択することができ、また、2種以上を併用してもよい。更に、ラジカル発生剤は有機溶剤等に溶解して使用することもできる。
上記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の配合量の好ましい下限は、ポリエステル系エラストマー100重量部に対して0.01重量部、好ましい上限は30.0重量部である。0.01重量部以上とすることで、変性反応を充分に行うことができ、30.0重量部以下とすることで、経済的に有利なものとなる。より好ましい下限は0.05重量部、より好ましい上限は5.0重量部、更に好ましい下限は0.10重量部、更に好ましい上限は1.0重量部である。
上記ラジカル発生剤の配合量の好ましい下限は、ポリエステル系エラストマー100重量部に対して0.001重量部、好ましい上限は3.00重量部である。0.001重量部以上とすることで、変性反応が起きやすくなり、3.00重量部以下とすることで、変性時の低分子量化(粘度低下)による材料強度の低下が起こりにくくなる。より好ましい下限は0.005重量部、より好ましい上限は0.50重量部、更に好ましい下限は0.010重量部、更に好ましい上限は0.20重量部であり、特に好ましい上限は0.10重量部である。
上記変性ポリエステル系エラストマーを得るための変性反応としては、溶融混練反応法、溶液反応法、懸濁分散反応等の公知の反応方法を使用することができるが、通常は安価であることから溶融混練反応法が好ましい。
上記溶融混練反応法による方法では、上述した各成分を所定の配合比にて均一に混合した後、溶融混練を行う。各成分の混合には、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等を使用することができ、溶融混練には、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、一軸又は二軸等の多軸混練押出機等を使用することができる。
上記溶融混練を行う場合の混練温度の好ましい下限は100℃、好ましい上限は300℃である。上記範囲内とすることで、樹脂の熱劣化を防止することができる。より好ましい下限は120℃、より好ましい上限は280℃、更に好ましい下限は150℃、更に好ましい上限は250℃である。
上記変性ポリエステル系エラストマーの変性率(グラフト量)の好ましい下限は0.01重量%、好ましい上限は10.0重量%である。0.01重量%以上であることで、ポリエステルとの親和性が高くなり、10.0重量%以下であることで、変性時の分子劣化による強度低下を小さくすることができる。より好ましい下限は0.03重量%、より好ましい上限は7.0重量%であり、更に好ましい下限は0.05重量%、更に好ましい上限は5.0重量%である。
上記変性ポリエステル系エラストマーの変性率(グラフト量)は、H1−NMR測定により得られるスペクトルから、下記の式(1)に従って求めることができる。なお、上記H1−NMR測定に使用する機器としては、例えば、「GSX−400」(日本電子社製)等を用いることができる。
グラフト量(重量%)=100×[(C÷3×98)/{(A×148÷4)+(B×72÷4)+(C÷3×98)}] (1)
式(1)中、Aは7.8〜8.4ppmにおける積分値、Bは1.2〜2.2ppmにおける積分値、Cは2.4〜2.9ppmにおける積分値を表す。
上記変性反応によって得られる変性ポリエステル系エラストマーを含有する反応物のJIS−D硬度の好ましい下限は10、好ましい上限は80である。10以上とすることで、機械的強度が向上し、80以下とすることで、柔軟性及び耐衝撃性が向上する。より好ましい下限は15、より好ましい上限は70、更に好ましい下限は20、更に好ましい上限は60である。なお、上記JIS−D硬度は、JIS K 6253に準拠した方法でデュロメータ タイプDを用いることにより測定することができる。
本発明の熱収縮性多層フィルムには、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤等の添加剤を添加してもよい。特に、熱安定剤や酸化防止剤を添加することでゲルの発生を抑制することができる。
本発明の熱収縮性多層フィルム全体の厚さの好ましい下限は20μm、好ましい上限は80μmである。熱収縮性多層フィルム全体の厚さを上記範囲内とすることで、経済性に優れるとともに、取り扱いやすいものとなる。
本発明の熱収縮性多層フィルムの各層の厚み比率は、表層及び裏層を1とすると、1/3/1〜1/12/1の範囲が好ましい。接着層が必要な場合も、表裏層と中間層がこの範囲となることで、優れた乾熱収縮仕上がり性を実現することができる。
フィルム全体の厚さが40μmである場合、上記中間層の厚さの好ましい下限は24μm、好ましい上限は34.4μmである。24μm未満であると、充分なミシン目におけるカット性が得られないことがあり、34.4μmを超えると、充分な耐熱性が得られないことがある。より好ましい下限は26μm、より好ましい上限は33μmである。
上記表裏層の厚さの好ましい下限は2.8μm、好ましい上限は8μmである。2.8μm未満であると、充分な耐油性や耐熱性が得られないことがあり、8μmを超えると、充分なミシン目におけるカット性が得られないことがある。より好ましい下限は3μm、より好ましい上限は7μmである。
接着層を形成する場合、接着層の厚さの好ましい下限は0.2μm、好ましい上限は2μmである。0.2μm未満では安定した製膜ができないことがあり、2μmを超えると、熱収縮特性や光学特性が悪化することがある。より好ましい下限は0.5μm、より好ましい上限は1.3μmである。
本発明の熱収縮性多層フィルムを製造する方法としては特に限定されないが、共押出法により各層を同時に成形する方法が好適である。例えば、Tダイによる共押出では、積層の方法として、フィードブロック方式、マルチマニホールド方式、又は、これらを併用した方法のいずれであってもよい。具体的には例えば、表裏層を構成する樹脂としてスルホン基を有するポリエステル系樹脂、中間層を構成する樹脂として芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体、接着層を構成する樹脂をそれぞれ押出機に投入し、多層ダイスにより、シート状に押し出し、引き取りロールにて冷却固化した後、1軸又は2軸に延伸する方法を用いることができる。延伸温度はフィルムを構成している樹脂の軟化温度や熱収縮性多層フィルムに要求される収縮特性によって変更する必要があるが、延伸温度の好ましい下限は75℃、好ましい上限は120℃、より好ましい下限は80℃、より好ましい上限は115℃である。
本発明の熱収縮性多層フィルムをベースフィルムとして使用することにより、熱収縮性ラベルを得ることができる。このような熱収縮性ラベルもまた本発明の1つである。
本発明の熱収縮性ラベルは、上記熱収縮性多層フィルムをベースフィルムとして、必要に応じて、印刷層等の他の層を積層してもよい。
容器に熱収縮性ラベルを装着する方法としては、通常、溶剤を用いて熱収縮性フィルムの端部間を接着してチューブ状に加工(センターシール加工)し熱収縮性ラベルとした後、容器を覆った状態で加熱して収縮させる方法が採用されている。
本発明によれば、乾熱収縮用の熱収縮性ラベルとして用いた場合に、自然収縮を抑制することができ、かつ、経時での収縮率低下が少なく、装着後にシワ、印刷柄の歪み、収縮ムラ等の不具合が発生することなく、優れた収縮仕上り性を実現することが可能な熱収縮性多層フィルム及び該熱収縮性多層フィルムをベースフィルムとする熱収縮性ラベルを提供することができる。
乾熱収縮率測定における測定サンプルを示す模式図である。 乾熱収縮率測定の測定方法を示す模式図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
なお、PET(I)〜PET(II)、PBT、PS(I)〜PS(IV)及びAD1〜AD3の組成については表1に示す。
参考例1)
表裏層を構成する樹脂として、PET(I)90重量%と、PBT10重量%とからなる混合樹脂を用いた。
中間層を構成する樹脂としてPS(I)[ビカット軟化温度:72℃]を用いた。
接着層を構成する樹脂として、AD1を用いた。
これらの樹脂をバレル温度が160〜250℃の押出機に投入し、250℃の多層ダイスから5層構造のシート状に押出し、30℃の引き取りロールにて冷却固化した。次いで、予熱ゾーン100℃、延伸ゾーン90℃、熱固定ゾーン80℃のテンター延伸機内で延伸倍率6倍にて延伸した後、巻き取り機で巻き取ることにより、熱収縮性多層フィルムを得た。なお、ビカット軟化温度は、JIS K 7206(1999)に準拠した方法で行い、樹脂から試験片を採取した後、試験片に置いた針状圧子に10Nの荷重を加えながら、120℃/hの速度で昇温させ、針状圧子が1mm進入したときの温度を確認することにより、測定した。
得られた熱収縮性多層フィルムは、総厚みが40μmであり、外面層(4.2μm)/接着層(1.0μm)/中間層(29.6μm)/接着層(1.0μm)/外面層(4.2μm)の5層構成からなるものであった。
参考例2、実施例6〜16、比較例1〜4)
表裏層、中間層及び接着層を構成する樹脂として、表2に示す樹脂を用い、参考例1と同様にして、熱収縮性多層フィルムを得た。なお、中間層を構成する樹脂が混合樹脂である場合は、混合樹脂全体のビカット軟化温度を混合比から算出し、表2に示した。
参考例3)
表裏層を構成する樹脂として、PET(II)90重量%と、PBT10重量%とからなる混合樹脂を用いた。
中間層を構成する樹脂として、PS(I)を用いた。
これらの樹脂を用い、接着層を構成する樹脂を用いない事以外は参考例1と同様にして熱収縮性多層フィルムを得た。
得られた熱収縮性多層フィルムは、総厚みが40μmであり、外面層(4.5μm)/中間層(31.0μm)/外面層(4.5μm)の3層構成からなるものであった。
参考例4、5)
表裏層及び中間層を構成する樹脂として、表2に示す樹脂を用い、参考例3と同様にして、熱収縮性多層フィルムを得た。
(評価)
(1)乾熱収縮率測定
得られた熱収縮性多層フィルムを、主収縮方向が長さ方向となるように、長さ300mm、幅25mmとなるようにカットし、標線間距離が200mmとなるように標線を引き、測定サンプルとした(図1参照)。次いで、長さ520mmの指示棒に測定サンプルの両端を固定し、固定部の熱収縮性多層フィルムを外側に折り曲げ(図2参照)、温度:70℃、湿度:25%に設定した恒温恒湿槽(ナガノサイエンス社製、LH31−12M)の横穴から投入した。投入から5秒後で熱収縮性多層フィルムを取り出し、標線間距離を測定し、標線間の収縮率((200mm−収縮後の標線間距離(mm)/200mm)×100)を算出した。なお、収縮率はn=3としてその平均値を用いた。また、平均値よりも2%以上離れた値はカウントしないこととした。
(2)乾熱収縮率の経時変化
「(1)乾熱収縮率測定」で得られた測定サンプルを30℃の雰囲気下で5日間静置した後、静置後における乾熱収縮率を測定した。また、静置前の乾熱収縮率に対する静置後の乾熱収縮率の比率(保持率)を算出した。
(3)自然収縮率
「(1)乾熱収縮率測定」で得られた測定サンプルを40℃で7日間放置した後、放置後の寸法を測定し、放置前の寸法に対する放置後の寸法の比率を算出した。
(4)収縮仕上り性
得られた熱収縮性多層フィルムを用いて、折径102.5mm、長さ113.5mmのラベルを、実施例及び比較例ごとに10枚ずつ作製した。その10枚のうち、半分の5枚を30℃雰囲気下で5日間静置した。
ユニバーサルシュリンカーVL−2000FA(協和電気株式会社製、以下トンネル1)の温調器1を82℃、温調器2を96℃、風量を20Hz、ベルト速度を25Hzに設定し、熱風吹出し口を下から1番目のみ開けた。
また、PURE−2001(日本テクノロジーソリューション社製、以下トンネル2)の予熱部を98℃、加熱部を160℃、風量を予熱部20Hz・加熱部35Hz、ベルト速度を35Hzに設定し、熱風吹出し口を下から1番〜4番まで開けた。
次いで、最大部直径70mm、最小部直径47mm、高さ110mmのPEカップに、得られたラベルを長さ方向に4つの折り目をつけて装着し、トンネル1を通し、常温雰囲気下を7秒通過した後、トンネル2を通過させ収縮仕上り状況を確認した。
シワ、収縮むらの無い場合を「○」、シワ、収縮むらがある場合を「×」とした。
Figure 0005563858
Figure 0005563858
本発明によれば、乾熱収縮用の熱収縮性ラベルとして用いた場合に、自然収縮を抑制することができ、かつ、経時での収縮率低下が少なく、装着後にシワ、印刷柄の歪み、収縮ムラ等の不具合が発生することなく、優れた収縮仕上り性を実現することが可能な熱収縮性多層フィルム及び該熱収縮性多層フィルムをベースフィルムとする熱収縮性ラベルを提供することができる。

Claims (2)

  1. ポリブチレンテレフタレート系樹脂を10〜30重量%含有するポリエステル系樹脂からなる表裏層と、芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体からなる中間層とが積層され、前記表裏層と前記中間層の間にポリエステル系エラストマー又は前記ポリエステル系エラストマーの変性物からなる接着層を形成されてなる収縮性多層フィルムを用いてなることを特徴とする乾熱収縮用熱収縮性ラベル
  2. ポリブチレンテレフタレート系樹脂は、ガラス転移温度が0〜60℃であることを特徴とする請求項1記載の乾熱収縮用熱収縮性ラベル
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