JPH08199342A - 軟x線光学素子用多層膜構造 - Google Patents

軟x線光学素子用多層膜構造

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JPH08199342A
JPH08199342A JP7024706A JP2470695A JPH08199342A JP H08199342 A JPH08199342 A JP H08199342A JP 7024706 A JP7024706 A JP 7024706A JP 2470695 A JP2470695 A JP 2470695A JP H08199342 A JPH08199342 A JP H08199342A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】水の窓域の波長範囲を含む波長10nm以下の
軟X線波長領域においても、高い反射率を得ることがで
きるようにした軟X線光学素子用多層膜構造を提供す
る。 【構成】異なる種類の第一の薄膜と第二の薄膜とを層状
に堆積して多層膜を形成する軟X線光学素子用多層膜構
造において、上記第一の薄膜と上記第二の薄膜との少な
くともどちらか一方が酸化物薄膜であるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軟X線光学素子用多層
膜構造に関し、さらに詳細には、高い反射率を得ること
のできる軟X線光学素子用多層膜構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、軟X線領域において適当な光学定
数を持つ2物質よりなる厚さ数nm程度の超薄膜を交互
に積層して多層膜構造を形成し、軟X線に対して強め合
いの干渉を実現する反射鏡、反射型フィルター、偏光素
子あるいは透過型素子などの軟X線光学素子の研究開発
が盛んに行われている。
【0003】こうした軟X線光学素子は、X線顕微鏡、
X線望遠鏡あるいはX線レーザーなどの開発に利用され
ている。
【0004】ところで、多層膜構造を備えた軟X線光学
素子においては、波長13.8nmでは、MoとSiと
の薄膜を50層(Mo薄膜とSi薄膜との1組により1
層を構成する。以下、同様とする。)積層させたMo/
Si多層膜により、反射率58%(入射角θ=3゜)が
得られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、波長1
0nm以下、特に、図1に示す、Cを吸収するとともに
Oを吸収しない波長領域たる、所謂「水の窓(Wate
r Window)」域(波長2.332nm〜4.3
68nm)においては、高い反射率は全く得られていな
かったという問題点があった。
【0006】本発明は、上記したような従来の技術の有
する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とす
るところは、水の窓域の波長範囲を含む波長10nm以
下の軟X線波長領域においても、高い反射率を得ること
ができるようにした軟X線光学素子用多層膜構造を提供
しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明による軟X線光学素子用多層膜構造は、異な
る種類の第一の薄膜と第二の薄膜とを層状に堆積して多
層膜を形成する軟X線光学素子用多層膜構造において、
上記第一の薄膜と上記第二の薄膜との少なくともどちら
か一方が酸化物薄膜であるようにしたものである。
【0008】
【作用】高い反射率を得るためには、多層膜を構成する
金属物質対を選択する際に、金属物質間においてフレネ
ル係数(Fresnel Coefficients)
の実数部(Real Part)の差が大きいととも
に、両金属物質ともフレネル係数の虚数部(Imagi
nary Part)が小さいことが必要である。
【0009】ところが、例えば、図2に示すように、水
の窓域(波長2.332nm〜4.368nm)では、
フレネル係数の実数部の差を大きくできる金属物質の組
み合わせがないので、高い反射率を得ることは困難であ
る。
【0010】このため、多層膜の層数を増加させること
によって、高い反射率を得ることが提案されているが、
層数を増加させると、金属物質間の界面での合金化や多
結晶化に起因した表面ならびに界面での粗さが増し、散
乱損失による反射率の低下が著しいものとなっていた。
【0011】本発明は、水の窓域では酸化物の酸素は透
明であり、しかも金属自身より酸化物のほうがフレネル
係数の虚数部を小さくでき、さらには酸化物により界面
での合金化を抑制することができるという点に着目して
なされたものである。
【0012】即ち、異なる種類の第一の薄膜と第二の薄
膜とを層状に堆積して多層膜を形成する軟X線光学素子
用多層膜構造において、第一の薄膜と第二の薄膜との少
なくともどちらか一方を酸化物薄膜とすると、第一の薄
膜と第二の薄膜との界面での合金化が防止され、表面な
らびに界面での粗さを抑えることができるようになると
ともに、酸化物薄膜は水の窓域では透明で、軟X線領域
での吸収を減らすことができるので、水の窓域の波長範
囲を含む波長10nm以下の軟X線波長領域において、
高い反射率を得ることができるようになる。なお、当然
のことながら、酸化物は大気中では酸化されずに安定し
ている。
【0013】
【実施例】以下、図面に基づいて、本発明による軟X線
光学素子用多層膜構造の実施例を詳細に説明するものと
する。
【0014】まず、図3(a)(b)には、本発明によ
る軟X線光学素子用多層膜構造の概念図が示されてお
り、図3(a)に示すように、種類の異なる第一の酸化
物薄膜1と第二の酸化物薄膜2とを交互に積層させても
よいし、図3(b)に示すように、金属薄膜3と酸化物
薄膜4とを交互に積層させてもよい。
【0015】図4には、上記した第一の酸化物薄膜1、
第二の酸化物薄膜2ならびに酸化物薄膜4を形成可能な
酸化物の種類の例が示されている。
【0016】次に、図5に示す図表を参照しながら、第
一の酸化物薄膜1と第二の酸化物薄膜2との組み合わせ
の例ならびに金属薄膜3と酸化物薄膜4との組み合わせ
の例を説明する。なお、図5における「元素のグルー
プ」は、波長3.98nmでの原子散乱因子の実数部の
大きさにより「A1グループ〜D1グループ」にグルー
プ分けしている。原子散乱因子の大小と直入射における
フレネル係数とは、相関関係がある(図6参照)。
【0017】ここで、原子散乱因子とは、原子を構造単
位と考えたときの形状に起因する散乱強度にかかる因子
で、原子形状因子ともいう。この原子散乱因子は、波長
によって異なるが、物質固有の値を有し、その実数部
(f1)と虚数部(f2)の値は計算から求められてい
る。
【0018】また、原子散乱因子と直入射におけるフレ
ネル係数との関係は、以下の通りである。
【0019】即ち、屈折率n、kと原子散乱因子f1
2との関係は、 n−ik=(Naeλ2/2π)(f1+if2) である。ただし、Naは原子の密度、reは古典電子半
径、λはX線の波長である。
【0020】また、直入射におけるフレネル係数(Fr
+iFi)と屈折率との関係は、 Fr+iFi={1−(n−ik)}/{1+(n−i
k)} である。
【0021】図5において、A1グループは原子散乱因
子の実数部の大きさが10程度以下であり、B1グルー
プは原子散乱因子の実数部の大きさが10〜15程度以
下であり、C1グループは原子散乱因子の実数部の大き
さが15〜20程度以下であり、D1グループは原子散
乱因子の実数部の大きさが20程度以上である。
【0022】また、「A1グループ〜D1グループ」に
示されている元素としては、原子散乱因子の虚数部が1
0程度以下のものを全て選択した。
【0023】なお、「酸化物のグループ」の「A2グル
ープ〜D2グループ」に関しても、図6からわかるよう
に、上記した「元素のグループ」と同様な傾向を備えて
いる。
【0024】ここにおいて、第一の酸化物薄膜1と第二
の酸化物薄膜2とにより多層膜構造を構成する場合に
は、図5において、酸化物のグループ中のA2グルー
プ、B2グループ、C2グループならびにD2グループ
のうちの異なる2つのグループから1つずつ酸化物を選
び、それらにより第一の酸化物薄膜1および第二の酸化
物薄膜2を構成する。
【0025】例えば、B2グループの中から酸化アルミ
ニウムを選択し、C2グループの中から酸化錫を選ぶ
と、水の窓域で有効な多層膜構造を形成することができ
る。
【0026】なお、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化
カドミウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化アンチモン
を第一の酸化物薄膜1として選択した場合には、選択し
た当該元素の属するグループ内の異なる酸化物を第二の
酸化物薄膜2として選択することができる。
【0027】また、最も高い反射率は、A2グループと
D2グループとから酸化物をそれぞれ一つずつ選択した
ときに得られ、A2グループと他のグループとの組み合
わせの関係では、「A2グループとD2グループとから
酸化物をそれぞれ一つずつ選択した場合→A2グループ
とC2グループとから酸化物をそれぞれ一つずつ選択し
た場合→A2グループとB2グループとから酸化物をそ
れぞれ一つずつ選択した場合」の順番で反射率は低下す
る。
【0028】一方、金属薄膜3と酸化物薄膜4とにより
多層膜構造を構成する場合には、図5において、元素の
グループ中のA1グループ、B1グループ、C1グルー
プならびにD1グループから元素を1つ選択して金属薄
膜3を構成し、酸化物のグループ中のA2グループ、B
2グループ、C2グループならびにD2グループから酸
化物を1つ選択して酸化物薄膜4を構成する。
【0029】また、最も高い反射率は、A2グループか
ら酸化物を選択しD1グループから元素をそれぞれ一つ
ずつ選択したときに得られ、A2グループを固定した場
合における他のグループとの組み合わせの関係では、
「A2グループから酸化物を選択するとともにD1グル
ープから元素をそれぞれ選択した場合→A2グループか
ら酸化物を選択するとともにC1グループから元素をそ
れぞれ選択した場合→A2グループから酸化物を選択す
るとともにB1グループから元素をそれぞれ選択した場
合→A2グループから酸化物を選択するとともにA1グ
ループから元素をそれぞれ選択した場合」の順番で反射
率は低下する。
【0030】さらに、D1グループを固定した場合にお
ける他のグループとの組み合わせの関係では、「A2グ
ループから酸化物を選択するとともにD1グループから
元素をそれぞれ選択した場合→B2グループから酸化物
を選択するとともにD1グループから元素をそれぞれ選
択した場合→C2グループから酸化物を選択するととも
にD1グループから元素をそれぞれ選択した場合→D2
グループから酸化物を選択するとともにD1グループか
ら元素をそれぞれ選択した場合」の順番で反射率は低下
する。
【0031】次に、上記した図5に示す図表に基づいて
選択された第一の酸化物薄膜1と第二の酸化物薄膜2と
の組み合わせの例における反射率を、原子散乱因子を使
った計算値より求める。
【0032】まず、図7は、厚さ0.75nmのSnO
2と厚さ1.05nmのAl23とを150層(N=1
50)だけ積層した多層膜構造に、「波長λ=2.43
nm」において「入射角(Incident Angl
e)θ=47.4゜」で軟X線を入射した場合の反射率
(Reflectivity)を示すグラフである。図
7のグラフからわかるように、s偏光の反射率(Rs)
23.67%、p偏光の反射率(Rp)0.17%が得
られ、偏光度(Rs/Rp)は139となった。
【0033】図8は、厚さ0.75nmのSnO2と厚
さ1.05nmのAl23とを50層だけ積層した多層
膜構造に、「波長λ=2.43nm」において「入射角
θ=47.4゜」で軟X線を入射した場合の反射率A
と、厚さ1nmのSnO2と厚さ1.4nmのAl23
とを50層だけ積層した多層膜構造に、「波長λ=2.
43nm」において「入射角θ=59.5゜」で軟X線
を入射した場合の反射率Bと、厚さ2nmのSnO2
厚さ2.8nmのAl23とを50層だけ積層した多層
膜構造に、「波長λ=2.43nm」において「入射角
θ=75.1゜」で軟X線を入射した場合の反射率Cと
を示している。
【0034】図8のグラフからわかるように、反射率A
におけるs偏光の反射率(Rs)10.87%、p偏光
の反射率(Rp)0.08%が得られ、偏光度(Rs/
Rp)は135.9となり、反射率Bにおけるs偏光の
反射率(Rs)18.44%、p偏光の反射率(Rp)
4.84%が得られ、偏光度(Rs/Rp)は3.8と
なり、反射率Cにおけるs偏光の反射率(Rs)25.
73%、p偏光の反射率(Rp)20.56%が得ら
れ、偏光度(Rs/Rp)は1.25となる。
【0035】図9は、厚さ1.5nmのNiOと厚さ
1.3nmのTiO2とを200層だけ積層した多層膜
構造に、「波長λ=3.98nm」において「入射角θ
=44.4゜」で軟X線を入射した場合の反射率を示す
グラフである。図9のグラフからわかるように、s偏光
の反射率(Rs)41.26%、p偏光の反射率(R
p)0.02%が得られ、偏光度(Rs/Rp)は20
63となった。
【0036】図10は、厚さ1.5nmのNiOと厚さ
1.3nmのTiO2とを50層だけ積層した多層膜構
造に、「波長λ=3.98nm」において「入射角θ=
44.4゜」で軟X線を入射した場合の反射率Aと、厚
さ2.1nmのNiOと厚さ1.9nmのTiO2とを
50層だけ積層した多層膜構造に、「波長λ=2.43
nm」において「入射角θ=59.8゜」で軟X線を入
射した場合の反射率Bと、厚さ4.2nmのNiOと厚
さ3.8nmのTiO2とを50層だけ積層した多層膜
構造に、「波長λ=2.43nm」において「入射角θ
=74.9゜」で軟X線を入射した場合の反射率Cとを
示している。
【0037】図10のグラフからわかるように、反射率
Aにおけるs偏光の反射率(Rs)10.83%、p偏
光の反射率(Rp)0%が得られ、反射率Bにおけるs
偏光の反射率(Rs)27.07%、p偏光の反射率
(Rp)8.34%が得られ、偏光度(Rs/Rp)は
3.2となり、反射率Cにおけるs偏光の反射率(R
s)46.16%、p偏光の反射率(Rp)41.29
%が得られ、偏光度(Rs/Rp)は1.1となる。
【0038】以上において説明した例に示されているよ
うに、本発明によれば、軟X線領域で高い反射率を得る
ことができる。
【0039】なお、本発明による酸化物薄膜ならびに金
属薄膜を形成する方法としては、公知の電子ビーム蒸着
法、マグネトロン・スパッタ法、イオン・ビーム・スパ
ッタ法、CVD(Chemical Vapor De
position:化学的気相成長法)あるいはMBE
(Molecular Beam Epitaxy)な
どを適宜用いることができる。
【0040】また、本発明による酸化物薄膜ならびに金
属薄膜を形成するために、以下に説明するような製造装
置ならびに製造方法を用いてもよい。なお、この製造装
置ならびに製造方法は、酸化物薄膜ならびに金属薄膜以
外の薄膜も製造することができるものであるので、以下
においては、酸化物薄膜ならびに金属薄膜の製造に限定
することなく説明するものとする。
【0041】即ち、図11には、薄膜の製造装置の一例
が示されている。この製造装置は、内部が真空状態に維
持される真空容器10と、第一の金属化合物蒸気または
非金属化合物蒸気を収容する第一の容器12と、第一の
容器12内に収容された金属化合物蒸気または非金属化
合物蒸気と異なる種類の第二の金属化合物蒸気または非
金属化合物蒸気を収容する第二の容器14と、酸化剤、
ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤もしく
は窒化剤の蒸気を収容する第三の容器16とを備えてい
る。
【0042】これら第一の容器12、第二の容器14な
らびに第三の容器16と真空容器10とは、ステンレス
からなる蒸気供給管18、20、22によりそれぞれ連
通可能に接続されている。
【0043】また、蒸気供給管18、20、22には、
それぞれ流量制御弁24、26、28および電磁弁3
0、32、34が設けられている。
【0044】一方、真空容器10には、真空ポンプ36
がゲート・バルブ38を介して接続されている。
【0045】さらに、電磁弁30、32、34およびゲ
ート・バルブ38には、それぞれアクチュエータ40、
42、44、46が設けられてい。そして、これらのア
クチュエータ40、42、44、46は、コンピュータ
48によって開閉制御される電磁弁30、32、34お
よびゲート・バルブ38の駆動ユニット50と接続ケー
ブル52によって接続され、コンピュータ48によって
指示される所定のタイミングで、電磁弁30、32、3
4およびゲート・バルブ38をそれぞれ開閉する。
【0046】なお、符号54は真空計であり、符号56
は薄膜を形成すべき物体を保持するためのホルダーであ
り、符号58はコンピュータ48と駆動ユニット50と
を接続するための接続ケーブルである。
【0047】以上のように構成された薄膜の製造装置に
よって、物体表面に金属または非金属の酸化物薄膜、ハ
ロゲン化物薄膜、硫化物薄膜、セレン化物薄膜、テルル
化物薄膜もしくは窒化物薄膜などの化合物薄膜により構
成される多層膜を形成する場合には、まず多層膜を構成
する薄膜を形成すべき物体を、真空容器10内にセット
する。この際に、物体の形状に応じて、当該物体をホル
ダー56に保持するようにしても良いし、あるいは、単
に物体を真空容器10内に載置するようにしてもよい。
【0048】次いで、ゲート・バルブ38を開き、真空
ポンプ36によって真空容器10内の圧力を10-3Pa
以下に減圧する。なお、真空容器10内の圧力は、真空
計54によって測定する。
【0049】その後に、多層膜を構成する薄膜として第
一の薄膜および第二の薄膜を作製することになる。以下
に、第一の薄膜および第二の薄膜の作製操作を図11な
らびに図12を参照しながら説明するとともに、第一の
薄膜および第二の薄膜を層状に堆積させて多層膜を形成
する操作に関して説明する。
【0050】〔第一の薄膜の作製操作:第一の工程〕ま
ず、電磁弁30を開き、第一の容器12に収容されてい
る第一の金属化合物蒸気または非金属化合物蒸気を、真
空容器10内の圧力が10-2Pa以上になるまで導入
し、電磁弁30を所定時間開いたままの状態で保持す
る。これにより、物体の表面に第一の金属化合物蒸気ま
たは非金属化合物蒸気の分子が吸着する。
【0051】次いで、電磁弁30を閉じた後に、真空ポ
ンプ36によって真空容器10内の圧力が10-3Pa以
下になるまで第一の金属化合物蒸気または非金属化合物
蒸気を排気する。
【0052】真空容器10内の圧力が10-3Pa以下に
なると、電磁弁34を開き、第三の容器16に収容され
ている酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤の蒸気を、真空容器10内の圧
力が10-2Pa以上になるまで導入し、電磁弁34を所
定時間開いたままの状態で保持する。これにより、物体
の表面に酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、
テルル化剤もしくは窒化剤の蒸気の分子が吸着する。
【0053】ここにおいて、物体の表面には、既に第一
の金属化合物蒸気または非金属化合物蒸気の分子が吸着
しているから、酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン
化剤、テルル化剤もしくは窒化剤の蒸気の分子の吸着に
より、表面での化学反応が生じ、物体の表面に金属もし
くは非金属の酸化物薄膜、ハロゲン化物薄膜、硫化物薄
膜、セレン化物薄膜、テルル化物薄膜もしくは窒化物薄
膜などの化合物薄膜(第一の薄膜)が形成される。
【0054】次いで、電磁弁34を閉じた後に、真空ポ
ンプ36によって真空容器10内の圧力が10-3Pa以
下になるまで酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化
剤、テルル化剤もしくは窒化剤の蒸気を排気する。
【0055】以上により、第一の薄膜作製の工程たる第
一の工程の1サイクルが終了し、必要とされる第一の薄
膜の膜厚に応じて、上記第一の工程を複数サイクル数繰
り返し行う。
【0056】上記のようにして形成された第一の薄膜の
膜厚は、単に真空容器10への第一の金属化合物蒸気ま
たは非金属化合物蒸気の導入量および酸化剤、ハロゲン
化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤もしくは窒化剤
の蒸気の導入量、即ち、これらを交互に導入する1サイ
クルにおける導入量あるいは蒸気導入のサイクル数を適
当に選択して制御することにより、原子寸法サイズの精
度で所望の厚さに制御できるようになる。
【0057】また、各サイクルにおける第一の金属化合
物蒸気または非金属化合物蒸気の導入時間と酸化剤、ハ
ロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤もしくは
窒化剤の蒸気の導入時間とを制御することにより、第一
の金属化合物蒸気または非金属化合物蒸気および酸化
剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤も
しくは窒化剤の蒸気の分子が、物体の極めて微細な間隙
にも入り込むようにすることができるから、如何なる形
状、例えば、湾曲した形状などの物体に対しても、第一
の薄膜を原子寸法サイズの精度で所望の膜厚に制御して
形成することができるようになる。
【0058】また、後に詳述するように、物体を反応中
適切な温度で加熱処理することにより、表面での酸化
剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤も
しくは窒化剤の蒸気および第一の金属化合物蒸気もしく
は非金属化合物蒸気の分子の吸着の自己停止機能を発現
でき、膜厚を自動的に原子寸法サイズの精度で制御する
ことができる。
【0059】なお、上記した第一の工程のみを行って物
体の表面に第一の薄膜のみを形成すると、物体の表面に
単層の薄膜が形成されることになる。
【0060】〔第二の薄膜の作製操作:第二の工程〕次
に、上記のようにして作製した第一の薄膜の表面に付着
される第二の薄膜の製造に関して説明する。
【0061】真空容器10内の圧力が10-3Pa以下に
なると、電磁弁32を開き、第二の容器14に収容され
ている第二の金属化合物蒸気または非金属化合物蒸気
を、真空容器10内の圧力が10-2Pa以上になるまで
導入し、電磁弁32を所定時間開いたままの状態で保持
する。これにより、物体の表面に第二の金属化合物蒸気
または非金属化合物蒸気の分子が吸着する。
【0062】次いで、電磁弁32を閉じた後に、真空ポ
ンプ36によって真空容器10内の圧力が10-3Pa以
下になるまで第二の金属化合物蒸気または非金属化合物
蒸気を排気する。
【0063】真空容器10内の圧力が10-3Pa以下に
なると、電磁弁34を開き、第三の容器16に収容され
ている酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤の蒸気を、真空容器10内の圧
力が10-2Pa以上になるまで導入し、電磁弁34を所
定時間開いたままの状態で保持する。これにより、物体
の表面に酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、
テルル化剤もしくは窒化剤の蒸気の分子が吸着する。
【0064】ここにおいて、物体の表面には、既に第二
の金属化合物蒸気または非金属化合物蒸気の分子が吸着
しているから、酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン
化剤、テルル化剤もしくは窒化剤の蒸気の分子の吸着に
より、表面での化学反応が生じ、物体の表面に第一の薄
膜(第一の金属もしくは非金属の酸化物薄膜、ハロゲン
化物薄膜、硫化物薄膜、セレン化物薄膜、テルル化物薄
膜もしくは窒化物薄膜などの化合物薄膜)とは異なる種
類の第二の金属もしくは非金属の酸化物薄膜、ハロゲン
化物薄膜、硫化物薄膜、セレン化物薄膜、テルル化物薄
膜もしくは窒化物薄膜などの化合物薄膜(第二の薄膜)
が形成される。
【0065】次いで、電磁弁34を閉じた後に、真空ポ
ンプ36によって真空容器10内の圧力が10-3Pa以
下になるまで酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化
剤、テルル化剤もしくは窒化剤の蒸気を排気する。
【0066】以上により、第二の薄膜作製の工程たる第
二の工程の1サイクルが終了し、必要とされる第二の薄
膜の膜厚に応じて、上記第二の工程を複数サイクル数繰
り返し行う。
【0067】上記のようにして形成された第二の薄膜の
膜厚は、単に真空容器10への第二の金属化合物蒸気ま
たは非金属化合物蒸気の導入量および酸化剤、ハロゲン
化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤もしくは窒化剤
の蒸気の導入量、即ち、これらを交互に導入する1サイ
クルにおける導入量あるいは蒸気導入のサイクル数を適
当に選択して制御することにより、原子寸法サイズの精
度で所望の厚さに制御できるようになる。
【0068】また、各サイクルにおける第二の金属化合
物蒸気または非金属化合物蒸気の導入時間と酸化剤、ハ
ロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤もしくは
窒化剤の蒸気の導入時間とを制御することにより、第二
の金属化合物蒸気または非金属化合物蒸気および酸化
剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤も
しくは窒化剤の蒸気の分子が、物体の極めて微細な間隙
にも入り込むようにすることができるから、如何なる形
状、例えば、湾曲した形状などの物体に対しても、第二
の薄膜を原子寸法サイズの精度で所望の膜厚に制御して
形成することができるようになる。
【0069】また、後に詳述するように、物体を反応中
適切な温度で加熱処理することにより、表面での酸化
剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤も
しくは窒化剤の蒸気および第二の金属化合物蒸気もしく
は非金属化合物蒸気の分子の吸着の自己停止機能を発現
でき、第二の薄膜の膜厚を自動的に原子寸法サイズの精
度で制御することができる。
【0070】〔第一の薄膜と第二の薄膜との交互堆積〕
次に、上記のようにして作製した第一の薄膜と第二の薄
膜とを、交互に堆積させる操作について説明する。
【0071】上記した第一の薄膜の作製操作の第一の工
程と上記した第二の薄膜の作製操作の第二の工程とを交
互に繰り返すことにより、屈折率の異なる金属または非
金属の酸化物薄膜、ハロゲン化物薄膜、硫化物薄膜、セ
レン化物薄膜、テルル化物薄膜もしくは窒化物薄膜など
の化合物薄膜を交互に堆積でき、所望の波長で高反射率
の得られる光学素子用の多層膜が得られる。しかも、多
層膜の膜厚を原子寸法レベルで制御して形成することが
できるので、波長3オングストローム以下の硬X線用の
多層膜光学素子に使用可能な多層膜を作製することがで
きるようになる。
【0072】次に、実験例を説明することとする。
【0073】〔酸化アルミニウム薄膜の作製および酸化
アルミニウム薄膜の自己停止機能〕まず、第一の金属も
しくは非金属の酸化物薄膜、ハロゲン化物薄膜、硫化物
薄膜、セレン化物薄膜、テルル化物薄膜もしくは窒化物
薄膜などの化合物薄膜として、硬X線用光学素子に使用
可能な多層膜の第一の薄膜を構成する酸化アルミニウム
薄膜の作製および酸化アルミニウム薄膜の自己停止機能
に関して説明する。
【0074】有機溶剤、純水の順に超音波洗浄し、さら
に4.7重量%の弗酸に15秒間浸し超純水で洗い流す
ことにより洗浄を行った、直径200mm、長さ300
mmのSUS316製の円筒容器(真空容器10)内
に、乾燥窒素を用いて乾燥させた(100)面方位のシ
リコン基板(薄膜を形成する物体としての基板)をセッ
トし、200リットル/秒の真空ポンプ36を用いて、
多層膜の第一の薄膜を構成する酸化アルミニウム薄膜を
形成した。
【0075】まず、真空ポンプ36により、真空容器1
0内を「1.3×10-4Pa」にまで減圧し、その後
に、第一の容器12から真空容器10内にトリメチルア
ルミニウム(TMA)蒸気を1秒間導入して、真空容器
10内の圧力を「1.3×10-2Pa」に上昇させたあ
と、真空ポンプ36により2秒間排気して真空容器10
内を「1.3×10-4Pa」にまで減圧する。
【0076】さらに、第三の容器16から真空容器10
内に過酸化水素水蒸気を1秒間導入して、真空容器10
内の圧力を「1.3×10-2Pa」に上昇させた後に、
真空ポンプ36により2秒間排気して真空容器10内を
「1.3×10-4Pa」にまで減圧する。
【0077】上記サイクルを繰り返したところ、15分
間で150サイクルの酸化アルミニウム薄膜が形成され
たことが、in−situエリプソメータの解析から判
明した。
【0078】図13に、酸化アルミニウム薄膜の成長速
度の基板温度依存性を示す。基板は赤外線加熱装置によ
って所定の温度に加熱した。図13に示されているよう
に、基板温度(Tsub)が室温から750゜Cまでにわ
たって、成長速度(Growth Rate)がほぼ
0.1nm/cycleと一定になることが判明した。
成長速度がほぼ一定になることは、幅広い基板温度に対
して原料の吸着過程に自己停止機能があることを示して
おり、成長速度が表面での熱分解によって支配されてい
ないことを示している。
【0079】また、図14には、観察開始2分後にTM
A蒸気の導入を開始し、その後TMA蒸気と過酸化水素
水蒸気とを1分毎に交互に20秒間づつ導入した場合
(図15(A)参照)における膜厚の変化Aと、TMA
蒸気のみを2分毎に20秒間づつ導入した場合(図15
(B)参照)における膜厚の変化Bとを、in−sit
uエリプソメータを用いて観察した結果が示されてい
る。
【0080】この図14に示されているように、変化A
においてはTMA蒸気の導入時に膜厚増加の大きなジャ
ンプが見られるが、変化Bにおいては薄膜の厚さがほぼ
一定である。
【0081】即ち、TMAは過酸化水素水と化合するこ
とにより膜厚を増加できるが、TMAのみでは自己停止
機能が働いて、自己停止機能が働いた時点で膜厚の堆積
が禁止されていることを示している。
【0082】〔酸化チタン薄膜の作製および酸化チタン
薄膜の自己停止機能〕次に、第二の金属もしくは非金属
の酸化物薄膜、ハロゲン化物薄膜、硫化物薄膜、セレン
化物薄膜、テルル化物薄膜もしくは窒化物薄膜などの化
合物薄膜として、硬X線用光学素子に使用可能な多層膜
の第二の薄膜を構成する酸化チタン薄膜の作製および酸
化チタン薄膜の自己停止機能に関して説明する。
【0083】有機溶剤、純水の順に超音波洗浄し、さら
に4.7重量%の弗酸に15秒間浸し超純水で洗い流す
ことにより洗浄を行った、直径200mm、長さ300
mmのSUS316製の円筒容器(真空容器10)内
に、乾燥窒素を用いて乾燥させた(100)面方位のシ
リコン基板(薄膜を形成する物体としての基板)をセッ
トし、基板温度を300゜C乃至500゜Cにして、2
00リットル/秒の真空ポンプ36を用いて、多層膜の
第二の薄膜を構成する酸化チタン薄膜を形成した。
【0084】まず、真空ポンプ36により、真空容器1
0内を「1.3×10-4Pa」にまで減圧し、その後
に、第二の容器14から真空容器10内にテトラクロロ
チタン蒸気を1秒間導入して、真空容器10内の圧力を
「1.3×10-2Pa」に上昇させたあと、真空ポンプ
36により2秒間排気して真空容器10内を「1.3×
10-4Pa」にまで減圧する。
【0085】さらに、第三の容器16から真空容器10
内に過酸化水素水蒸気を1秒間導入して、真空容器10
内の圧力を「1.3×10-2Pa」に上昇させた後に、
真空ポンプ36により2秒間排気して真空容器10内を
「1.3×10-4Pa」にまで減圧する。
【0086】上記サイクルを繰り返したところ、15分
間で150サイクルの酸化チタン薄膜が形成されたこと
が、in−situエリプソメータの解析から判明し
た。
【0087】図16に、酸化チタン薄膜の成長速度の基
板温度依存性を示す。基板は赤外線加熱装置によって、
所定の温度に加熱した。基板温度が室温から上昇するに
従って成長速度は大きくなり、340゜C乃至490゜
C付近にわたって、成長速度がほぼ0.1nm/cyc
leと一定になることが判明した。340゜C乃至49
0゜C付近の基板温度に対して、原料の吸着過程に自己
停止機能があることは明かである。このとき、632.
8nmでの屈折率は2.2であった。さらに基板温度を
上げると、成長速度が急激に減少した。これは基板温度
の上昇により、表面における吸着物質の被覆率が減少し
たためである。
【0088】〔自己停止機能による多層膜の形成〕次
に、上記した吸着の自己停止機能を利用して、第一の薄
膜と第二の薄膜とを交互に作製することによる多層膜の
製造に関して説明する。
【0089】有機溶剤、純水の順に超音波洗浄し、さら
に4.7重量%の弗酸に15秒間浸し超純水で洗い流す
ことにより洗浄を行った、直径200mm、長さ300
mmのSUS316製の円筒容器(真空容器10)内
に、乾燥窒素を用いて乾燥させた(100)面方位のシ
リコン基板(薄膜を形成する物体としての基板)をセッ
トし、基板温度を390゜Cにして、200リットル/
秒の真空ポンプ36を用いて、酸化アルミニウム薄膜と
酸化チタン薄膜とを交互に300層重ねた硬X線用の多
層膜を形成した。
【0090】まず、真空ポンプ36により、真空容器1
0内を「1.3×10-4Pa」にまで減圧し、その後
に、第一の容器12から真空容器10内にトリメチルア
ルミニウム(TMA)蒸気を1秒間導入して、真空容器
10内の圧力を「1.3×10-2Pa」に上昇させたあ
と、真空ポンプ36により2秒間排気して真空容器10
内を「1.3×10-4Pa」にまで減圧した。
【0091】さらに、第三の容器16から真空容器10
内に過酸化水素水蒸気を1秒間導入して、真空容器10
内の圧力を「1.3×10-2Pa」に上昇させた後に、
真空ポンプ36により2秒間排気して真空容器10内を
「1.3×10-4Pa」にまで減圧した。
【0092】次に、第二の容器14から真空容器10内
にテトラクロロチタン蒸気を1秒間導入して、真空容器
10内の圧力を「1.3×10-2Pa」に上昇させたあ
と、真空ポンプ36により2秒間排気して真空容器10
内を「1.3×10-4Pa」にまで減圧した。
【0093】さらに、第三の容器16から真空容器10
内に過酸化水素水蒸気を1秒間導入して、真空容器10
内の圧力を「1.3×10-2Pa」に上昇させた後に、
真空ポンプ36により2秒間排気して真空容器10内を
「1.3×10-4Pa」にまで減圧した。
【0094】上記サイクルを300回繰り返したとこ
ろ、30分間で膜厚693オングストローム、屈折率
1.90、1サイクル当たりの膜厚2.31オングスト
ロームの硬X線用の多層膜を形成できた。
【0095】なお、物体に形成することのできる化合物
薄膜は、上記したものに限定されるものではなく、図1
7に例示しているように、酸化物薄膜として24種類、
ハロゲン化物薄膜として6種類、硫化物薄膜として1種
類、セレン化物薄膜として1種類、テルル化物薄膜とし
て1種類、窒化物薄膜として24種類などの化合物薄膜
が形成可能である。
【0096】また、図18乃至図47に、薄膜を形成さ
せる金属化合物と、薄膜を形成させる酸化剤、ハロゲン
化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤もしくは窒化剤
と、基板(薄膜を形成させる物体)とに関して、図17
に示す各化合物薄膜を形成する際において使用可能な組
み合わせの例を示す。
【0097】なお、図48は、図11に示す装置を用い
て、基板温度300゜CとしたSi基板上に、厚さ1.
6nmの酸化アルミ薄膜と厚さ1.6nmの酸化チタン
薄膜とを20層積層して得られた多層膜構造の断面TE
M(透過電子顕微鏡)写真である。図42より、1組の
層の膜厚が約3.2nmであり、各層の境界線が明確で
あることがわかる。さらに、この図48に示す試料のX
線回折特性を調べたところ、酸化アルミ、酸化チタン結
晶に関連するスペクトルは見られず、酸化アルミ、酸化
チタンの結晶化が抑制されている。また、1組の層の膜
厚が3.2nmに一致していることを示す鋭いCu−k
α線(λ=0.154056nm)の反射ピーク(2θ
=2.75゜)が現れた。これらの結果より、薄膜が制
御よく堆積されたことがわかる。
【0098】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、水の窓域の波長範囲を含む波長10nm以
下の軟X線波長領域において、高い反射率を得ることが
できる軟X線光学素子用多層膜構造を得ることができる
という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】水の窓域を示すグラフである。
【図2】波長3.98nmでの直入射におけるフレネル
係数を示すグラフである。
【図3】(a)(b)は本発明による軟X線光学素子用
多層膜構造の概念図であり、(a)は種類の異なる第一
の酸化物薄膜と第二の酸化物薄膜とを交互に積層させた
場合を示し、(b)は金属薄膜と酸化物薄膜とを交互に
積層させた場合を示す。
【図4】本発明による第一の酸化物薄膜、第二の酸化物
薄膜ならびに酸化物薄膜を形成可能な酸化物の種類の例
を示す表である。
【図5】本発明による第一の酸化物薄膜、第二の酸化物
薄膜、金属薄膜ならびに酸化物薄膜を形成可能な元素の
グループと酸化物のグループとを示す表である。
【図6】金属および酸化物に関する波長3.98nmで
の直入射におけるフレネル係数を示すグラフである。
【図7】厚さ0.75nmのSnO2と厚さ1.05n
mのAl23とを150層だけ積層した多層膜構造に、
「波長λ=2.43nm」において「入射角θ=47.
4゜」で軟X線を入射した場合の反射率を示すグラフで
ある。
【図8】厚さ0.75nmのSnO2と厚さ1.05n
mのAl23とを50層だけ積層した多層膜構造に、
「波長λ=2.43nm」において「入射角θ=47.
4゜」で軟X線を入射した場合の反射率Aと、厚さ1n
mのSnO2と厚さ1.4nmのAl23とを50層だ
け積層した多層膜構造に、「波長λ=2.43nm」に
おいて「入射角θ=59.5゜」で軟X線を入射した場
合の反射率Bと、厚さ2nmのSnO2と厚さ2.8n
mのAl23とを50層だけ積層した多層膜構造に、
「波長λ=2.43nm」において「入射角θ=75.
1゜」で軟X線を入射した場合の反射率Cとを示すグラ
フである。
【図9】厚さ1.5nmのNiOと厚さ1.3nmのT
iO2とを200層だけ積層した多層膜構造に、「波長
λ=3.98nm」において「入射角θ=44.4゜」
で軟X線を入射した場合の反射率を示すグラフである。
【図10】厚さ1.5nmのNiOと厚さ1.3nmの
TiO2とを50層だけ積層した多層膜構造に、「波長
λ=3.98nm」において「入射角θ=44.4゜」
で軟X線を入射した場合の反射率Aと、厚さ2.1nm
のNiOと厚さ1.9nmのTiO2とを50層だけ積
層した多層膜構造に、「波長λ=2.43nm」におい
て「入射角θ=59.8゜」で軟X線を入射した場合の
反射率Bと、厚さ4.2nmのNiOと厚さ3.8nm
のTiO2とを50層だけ積層した多層膜構造に、「波
長λ=2.43nm」において「入射角θ=74.9
゜」で軟X線を入射した場合の反射率Cとを示すグラフ
である。
【図11】本発明の一実施例による薄膜の製造装置を示
す概略構成説明図である。
【図12】第一の工程および第二の工程における1サイ
クルを示すタイミング・チャートである。
【図13】酸化アルミニウム薄膜の成長速度の基板温度
依存性を示すグラフである。0
【図14】観察開始2分後にTMA蒸気の導入を開始す
るとともに、その後TMA蒸気と過酸化水素水蒸気とを
1分毎に交互に20秒間づつ導入した場合における膜厚
の変化Aと、TMA蒸気のみを2分毎に20秒間づつ導
入した場合における膜厚の変化Bとを示すグラフであ
る。
【図15】(A)は図14における変化Aの際のTMA
蒸気および過酸化水素水蒸気の導入のタイミングを示す
タイミング・チャートであり、(B)は図14における
変化Bの際のTMA蒸気の導入のタイミングを示すタイ
ミング・チャートである。
【図16】酸化チタン薄膜の成長速度の基板温度依存性
を示すグラフである。
【図17】本発明によって形成可能な化合物薄膜とし
て、酸化物薄膜を19種類、ハロゲン化物薄膜を6種
類、硫化物薄膜を1種類、セレン化物薄膜を1種類、テ
ルル化物薄膜を1種類それぞれ例示して示す表である。
【図18】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図19】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図20】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図21】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図22】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図23】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図24】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図25】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図26】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図27】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図28】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図29】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図30】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図31】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図32】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図33】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図34】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図35】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図36】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図37】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図38】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図39】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図40】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図41】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図42】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図43】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図44】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図45】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図46】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図47】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図17に示す各化合物薄膜を形成する
際において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図48】図11に示す装置を用いて、基板温度300
゜CとしたSi基板上に、厚さ1.6nmの酸化アルミ
薄膜と厚さ1.6nmの酸化チタン薄膜とを20層積層
して得られた多層膜構造の断面TEM(透過電子顕微
鏡)写真である。
【符号の説明】
1 第一の酸化物薄膜 2 第二の酸化物薄膜 3 金属薄膜 4 酸化物薄膜 10 真空容器 12 第一の容器 14 第二の容器 16 第三の容器 18、20、22 蒸気供給管 24、26、28 流量制御弁 30、32、34 電磁弁 36 真空ポンプ 38 ゲート・バルブ 40、42、44、46 アクチュエータ 48 コンピュータ 50 駆動ユニット 52、58 接続ケーブル 54 真空計 56 ホルダー
【手続補正書】
【提出日】平成7年5月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図48
【補正方法】変更
【補正内容】
【図48】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異なる種類の第一の薄膜と第二の薄膜と
    を層状に堆積して多層膜を形成する軟X線光学素子用多
    層膜構造において、 前記第一の薄膜と前記第二の薄膜との少なくともどちら
    か一方が酸化物薄膜であることを特徴とする軟X線光学
    素子用多層膜構造。
  2. 【請求項2】 前記第一の薄膜が酸化物薄膜であり、前
    記第二の薄膜が金属薄膜である請求項1記載の軟X線光
    学素子用多層膜構造。
  3. 【請求項3】 前記第一の薄膜および前記第二の薄膜が
    酸化物薄膜である請求項1記載の軟X線光学素子用多層
    膜構造。
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