JPH07252660A - 薄膜の製造方法およびその製造装置 - Google Patents

薄膜の製造方法およびその製造装置

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JPH07252660A
JPH07252660A JP18185794A JP18185794A JPH07252660A JP H07252660 A JPH07252660 A JP H07252660A JP 18185794 A JP18185794 A JP 18185794A JP 18185794 A JP18185794 A JP 18185794A JP H07252660 A JPH07252660 A JP H07252660A
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vapor
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forming
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JP18185794A
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Hiroshi Kumagai
寛 熊谷
Koichi Toyoda
浩一 豊田
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RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
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RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
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Abstract

(57)【要約】 【目的】膜厚、膜質が大面積にわたって均一な薄膜を、
硬X線領域において使用される光学素子の多層膜を作製
可能な高精度で基板などの物体表面に形成することので
きる薄膜の製造方法およびその製造装置を提供する。 【構成】真空容器10内に薄膜を形成すべき物体をセッ
トし、この真空容器10内を所定の圧力以下に減圧した
後に、酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤の蒸気と金属化合物蒸気もしく
は非金属化合物蒸気とを、交互に少なくとも1回づつ減
圧した真空容器10内に導入して物体表面で吸着および
化学反応させ、物体表面に薄膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜の製造方法および
その製造装置に関し、さらに詳細には、物体の表面に、
良質な金属酸化物や非金属酸化物などの薄膜を単層で形
成したり、あるいは、物体の表面に、良質な金属酸化物
や非金属酸化物などの薄膜と、これら良質な金属酸化物
や非金属酸化物などと異なる種類の良質な金属酸化物や
非金属酸化物などの薄膜とを交互に形成し、膜厚、膜質
が大面積にわたって均一な多層膜を形成する際に用いて
好適な薄膜の製造方法およびその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、波長が約4000オングストロー
ム乃至7000オングストロームの可視光領域はもとよ
り、波長が約7000オングストローム以上の赤外線領
域あるいは波長が約100オングストローム乃至400
0オングストロームの紫外線領域(約100オングスト
ローム乃至1000オングストローム:極端紫外領域、
約1000オングストローム乃至2000オングストロ
ーム:真空紫外領域、約2000オングストローム乃至
4000オングストローム:紫外領域)において使用す
ることのできる光学素子が開発されており、こうした光
学素子は一般的に多層膜により形成された多層膜光学素
子であるため、膜厚、膜質が大面積にわたって均一な多
層膜を精度よく形成する薄膜製造技術の重要性が認識さ
れている。
【0003】また、波長が約100オングストロームの
以下のX線領域において使用することのできる光学素子
もあり、3オングストローム乃至100オングストロー
ム程度の波長の軟X線領域において使用される光学素子
としては、軟X線用多層膜を形成した多層膜光学素子が
開発されていて、こうした多層膜光学素子における軟X
線用多層膜は、電子ビーム蒸着法、マグネトロン・スパ
ッタ法、イオン・ビーム・スパッタ法などの薄膜製造技
術により作成されてきた。
【0004】これらの薄膜製造技術のうち電子ビーム蒸
着法は、高真空中で金属または非金属の小片に電子ビー
ムを照射し、当該金属または非金属の小片を加熱、融解
させて、蒸散した元素や化合物を基板に薄膜として凝着
させるという薄膜製造方法である。
【0005】また、マグネトロン・スパッタ法は、金属
または非金属の小片を低気圧中でマグネトロン放電によ
り加熱またはイオン衝撃させ、加熱による蒸発またはイ
オン衝撃による衝突によって原子を気体中に飛散させ、
基板に薄膜として付着させる薄膜製造方法である。
【0006】さらに、イオン・ビーム・スパッタ法は、
金属または非金属の小片に、電子サイクロトロン共鳴方
式などのイオン源からのイオンを照射して加熱またはイ
オン衝撃させ、加熱による蒸発またはイオン衝撃による
衝突によって原子を気体中に飛散させ、基板に薄膜とし
て付着させる薄膜製造方法である。
【0007】さらに、3オングストローム以下の波長の
硬X線領域において使用される光学素子も存在する。と
ころが、硬X線領域において使用される光学素子を多層
膜光学素子により実現する場合には、膜厚が1オングス
トローム乃至2オングストローム程度の極めて薄い薄膜
を製作する必要があるが、そうした薄膜を製造するため
に必要とされる1オングストローム以下の厚さで膜厚を
制御する高精度の膜厚制御手段はこれまで知られていな
かった。
【0008】このため、硬X線領域において使用される
光学素子は多層膜を形成した光学素子ではなく、硬X線
領域の波長が結晶を構成する原子の原子間距離と近いこ
とから、結晶が光学素子として使用されている。そし
て、こうした結晶を使用した光学素子としては、結晶モ
ノクロメーターなどが知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、3オ
ングストローム以下の波長の硬X線領域において使用さ
れる光学素子としては結晶が用いられてきたが、点光源
から放射された硬X線を再び集光するためには結晶に適
当な湾曲を持たせる必要がある。しかしながら、結晶に
こうした湾曲を持たせることは極めて困難であり、結晶
に代わる光学素子として、容易に湾曲した形状を得るこ
とのできる多層膜光学素子の開発が強く望まれていた。
【0010】また、3オングストローム乃至100オン
グストローム程度の波長の軟X線領域において使用され
る多層膜光学素子においては、上記した電子ビーム蒸着
法、マグネトロン・スパッタ法あるいはイオン・ビーム
・スパッタ法などを用いて多層膜を製造しているため、
以下のような問題点が指摘されていた。
【0011】即ち、上記した電子ビーム蒸着法、マグネ
トロン・スパッタ法あるいはイオン・ビーム・スパッタ
法などは、微小領域からの蒸散もしくはスパッタリング
により基板に薄膜を成膜するため、薄膜が形成される対
向する基板上においては、当該微小領域から離れる周辺
部へ向かうにつれて膜厚が薄くなってしまい、そのため
基板上に大面積にわたって膜厚、膜質ともに均一に着膜
することは極めて困難であった。
【0012】また、上記した電子ビーム蒸着法、マグネ
トロン・スパッタ法あるいはイオン・ビーム・スパッタ
法などの堆積法では、電子ビーム蒸着法においては電子
ビームの安定性が、またマグネトロン・スパッタ法にお
いてはマグネトロン放電の安定性が、さらにイオン・ビ
ーム・スパッタ法においてはイオン・ビームの安定性が
重要であり、その安定度によって堆積中の成膜速度が変
化するので、堆積中の成膜速度を一定に維持することは
困難であった。
【0013】このため、堆積している膜厚を高精度で制
御するためには、in−situエリプソメータなどに
よって堆積中の膜厚を高精度でモニターする必要があっ
た。
【0014】さらに、上記した電子ビーム蒸着法、マグ
ネトロン・スパッタ法あるいはイオン・ビーム・スパッ
タ法などでは、蒸散もしくはスパッタリングする対象が
化合物ではなくて、金属もしくは非金属元素そのもので
あったため、基板上に作製された多層膜の表面が容易に
変質される恐れがあるという問題点があった。
【0015】また、波長が約100オングストローム以
上の光(紫外線領域、可視光領域および赤外線領域)に
使用される多層膜光学素子においても、より精度の高い
薄膜の製造技術の開発が望まれている。
【0016】本発明は、上記したような種々の要望なら
びに従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、膜厚、膜質が大面積に
わたって均一な薄膜を、硬X線領域において使用される
光学素子の多層膜を作製可能な高精度で基板などの物体
表面に形成することのできる薄膜の製造方法およびその
製造装置を提供しようとするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明による薄膜の製造方法は、真空容器内に薄膜
を形成すべき物体をセットし、この真空容器内を所定の
圧力以下に減圧した後に、酸化剤、ハロゲン化剤、硫化
剤、セレン化剤、テルル化剤もしくは窒化剤の蒸気と金
属化合物蒸気もしくは非金属化合物蒸気とを、交互に少
なくとも1回づつ減圧した真空容器内に導入して物体表
面で吸着および化学反応させ、物体表面に薄膜を形成す
るようにしたものである。
【0018】上記薄膜の製造方法により物体上に多層膜
を形成するには、真空容器内に多層膜を構成する薄膜を
形成すべき物体を適切な温度でセットし、真空容器内を
所定の圧力以下に減圧した後に、酸化剤、ハロゲン化
剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤もしくは窒化剤の
蒸気と金属化合物蒸気もしくは非金属化合物蒸気とを、
交互に少なくとも1回づつ減圧した真空容器内に導入し
て物体表面で吸着および化学反応を起こさせ、物体表面
に第一の薄膜を形成する。次ぎに、酸化剤、ハロゲン化
剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤もしくは窒化剤の
蒸気と上記金属化合物蒸気もしくは非金属化合物蒸気と
異なる種類の金属化合物蒸気もしくは非金属化合物蒸気
とを、交互に少なくとも1回づつ減圧した真空容器内に
導入して物体表面で吸着および化学反応を起こさせ、物
体表面に第二の薄膜を形成する。
【0019】このようにして、例えば高反射率を必要と
するX線領域などの所望の波長領域で異なる屈折率を有
する二種類の薄膜を物体上に層状に堆積させる。そし
て、上記した操作を少なくとも1回以上繰り返すことに
より、物体上に多層膜を形成させるものである。
【0020】また、上記した薄膜の製造方法において、
薄膜を形成すべき物体を反応中適切な温度で加熱処理す
ることにより、物体表面での酸化剤、ハロゲン化剤、硫
化剤、セレン化剤、テルル化剤もしくは窒化剤の蒸気お
よび金属化合物蒸気もしくは非金属化合物蒸気の分子の
吸着の自己停止機能を発現させ、薄膜の膜厚を自動的に
原子寸法サイズで制御することができるようにしてもよ
い。
【0021】なお、上記した薄膜の製造方法の実施は、
室温もしくは低温において行ってよい。
【0022】一方、本発明による薄膜の製造装置は、薄
膜を形成すべき物体がセットされる真空容器と、この真
空容器内を所定の圧力以下に減圧する真空ポンプと、一
もしくは二以上の酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレ
ン化剤、テルル化剤もしくは窒化剤の蒸気を真空容器内
へ導入するための第一の導入手段と、金属化合物蒸気も
しくは非金属化合物蒸気を真空容器内へ導入するための
第二の導入手段と、第一の導入手段に配設された第一の
弁機構と、第二の導入手段に配設された第二の弁機構
と、第一の弁機構および第二の弁機構を制御して、第一
の導入手段から真空容器内への酸化剤、ハロゲン化剤、
硫化剤、セレン化剤、テルル化剤もしくは窒化剤の蒸気
の導入および第二の導入手段から真空容器内への金属化
合物蒸気もしくは非金属化合物蒸気の導入をそれぞれ制
御する制御手段とを有するようにした。
【0023】また、この薄膜の製造装置は、第二の導入
手段を金属化合物蒸気もしくは非金属化合物蒸気の種類
毎にそれぞれ配設するとともに、第二の導入手段に対応
して第二の弁機構を備えるようにしてもよく、このよう
に構成すると、複数種類の薄膜を物体に層状に形成して
多層膜を作製することができる。
【0024】さらに、真空容器内にセットされた物体を
所定の温度に加熱する加熱手段を備えるようにして、薄
膜を形成すべき物体を反応中適切な温度で加熱処理する
ことにより、物体表面での酸化剤、ハロゲン化剤、硫化
剤、セレン化剤、テルル化剤もしくは窒化剤の蒸気およ
び金属化合物蒸気もしくは非金属化合物蒸気の分子の吸
着の自己停止機能を発現させ、薄膜の膜厚を自動的に原
子寸法サイズで制御することができるようにしてもよ
い。
【0025】
【作用】本発明によれば、金属化合物蒸気もしくは非金
属化合物蒸気により物体上に金属化合物もしくは非金属
化合物を堆積させるものであるため、薄膜の膜厚、膜質
が大面積にわたって均一になる。
【0026】また、薄膜が金属もしくは非金属元素その
ものではなく化合物であるため、物体上に形成された薄
膜の表面が変質される恐れはない。
【0027】即ち、本発明によれば、交互に真空容器内
に導入された金属化合物蒸気もしくは非金属化合物蒸気
と酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル
化剤もしくは窒化剤の蒸気とが、それぞれ物体の表面に
吸着および反応し、物体の表面に金属または非金属の酸
化物薄膜、ハロゲン化物薄膜、硫化物薄膜、セレン化物
薄膜、テルル化物薄膜もしくは窒化物薄膜などの化合物
薄膜が形成されることになる。
【0028】このようにして形成される金属または非金
属の酸化物薄膜、ハロゲン化物薄膜、硫化物薄膜、セレ
ン化物薄膜、テルル化物薄膜もしくは窒化物薄膜などの
化合物薄膜は、単に金属化合物蒸気もしくは非金属化合
物蒸気の導入量と酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレ
ン化剤、テルル化剤もしくは窒化剤の蒸気の導入量、即
ち、これらを交互に導入する1サイクル(図2参照)に
おける導入量あるいは蒸気導入のサイクル数を適当に選
択することによって、容易に制御することができるか
ら、所望の厚さの金属または非金属の酸化物薄膜、ハロ
ゲン化物薄膜、硫化物薄膜、セレン化物薄膜、テルル化
物薄膜もしくは窒化物薄膜などの化合物薄膜を、原子寸
法サイズの精度で物体の表面に形成することが可能にな
る。
【0029】また、各サイクルにおける金属化合物蒸気
もしくは非金属化合物蒸気の導入時間と酸化剤、ハロゲ
ン化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤もしくは窒化
剤の蒸気の導入時間とを制御することにより、金属化合
物蒸気もしくは非金属化合物蒸気および酸化剤、ハロゲ
ン化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤もしくは窒化
剤の蒸気の分子を、極めて微細な間隙に入り込むように
することができるから、如何なる形状の物体に対して
も、所望の膜厚の金属または非金属の酸化物薄膜、ハロ
ゲン化物薄膜、硫化物薄膜、セレン化物薄膜、テルル化
物薄膜もしくは窒化物薄膜などの化合物薄膜を、原子寸
法レベルで形成することができる。
【0030】さらに、屈折率の異なる金属または非金属
の酸化物薄膜、ハロゲン化物薄膜、硫化物薄膜、セレン
化物薄膜、テルル化物薄膜もしくは窒化物薄膜などの化
合物薄膜を交互に堆積することによって、所望の波長で
高反射率の得られる多層膜を原子寸法レベルで形成する
ことができるので、硬X線用の多層膜光学素子の製造が
可能となる。
【0031】さらに、多層膜を形成すべき物体を反応中
適切な温度で加熱処理することにより、表面での酸化
剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤も
しくは窒化剤の蒸気および金属化合物蒸気もしくは非金
属化合物蒸気の分子の吸着の自己停止機能を発現させる
と、膜厚を自動的に原子寸法サイズで制御することがで
きる。そのため、薄膜製造時において、in−situ
エリプソメータなどによって高精度に膜厚をモニターす
る必要がない。
【0032】従って、本発明によれば、膜厚を原子寸法
サイズの高精度で制御して、膜厚、膜質が大面積にわた
って均一な薄膜を形成することができるので、従来不可
能であった直入射光学系を構成することができ、X線顕
微鏡、X線レーザー、シンクロトロン放射光、プラズマ
計測あるいはX線リソグラフィーなどに用いる高反射率
を有する大面積の多層膜光学素子を製造することが可能
になる。
【0033】また、斜め入射においても、多層膜の干渉
効果の入射角依存性を利用した反射型フィルターや、偏
光特性を利用した偏光素子の製造も可能になる。
【0034】さらに、フリー・スタンディング状態にす
ることによって、透過型の光学素子の製造も可能にな
る。
【0035】特に、上記において、酸化剤あるいは窒化
剤の蒸気と、金属化合物蒸気として銅、ニッケル、鉄、
マンガンあるいはクロムの化合物蒸気とを用いて、銅、
ニッケル、鉄、マンガンあるいはクロムの酸化物薄膜あ
るいは窒化物薄膜を形成し、また、酸化剤あるいは窒化
剤の蒸気と、金属化合物蒸気としてスカンジナビウム、
マグネシウム、インジウム、ベリリウムあるいはチタニ
ウムの化合物蒸気とを用いて、スカンジナビウム、マグ
ネシウム、インジウム、ベリリウムあるいはチタニウム
の酸化物薄膜あるいは窒化物薄膜を形成し、これら銅、
ニッケル、鉄、マンガンあるいはクロムの酸化物薄膜あ
るいは窒化物薄膜のグループからいずれかを選択し、ス
カンジナビウム、マグネシウム、インジウム、ベリリウ
ムあるいはチタニウムの酸化物薄膜あるいは窒化物薄膜
のグループからいずれかを選択して組み合わせて(組み
合わせとしては、銅、ニッケル、鉄、マンガン、クロム
の酸化物薄膜(5種類)と銅、ニッケル、鉄、マンガ
ン、クロムの窒化物薄膜(5種類)とからなるグループ
(全部で10種類(=5種類+5種類))からいずれか
一つ選択し、スカンジナビウム、マグネシウム、インジ
ウム、ベリリウム、チタニウムの酸化物薄膜(5種類)
とスカンジナビウム、マグネシウム、インジウム、ベリ
リウム、チタニウムの窒化物薄膜(5種類)とからなる
グループ(全部で10種類(=5種類+5種類))から
いずれか一つ選択して、それらを組み合わせればよいの
で、全部で「100種類(=10種類×10種類)」あ
る。)、多層膜を形成することにより、100オングス
トローム以下の軟X線波長での多層膜ミラー、フィルタ
ー、偏光素子あるいはニュートロン素子に用いて好適な
多層膜を形成することができる。
【0036】
【実施例】以下、図面に基づいて、本発明による薄膜の
製造方法およびその製造装置の実施例を詳細に説明する
ものとする。
【0037】図1には、本発明による薄膜の製造装置の
一実施例が示されている。この薄膜の製造装置は、内部
が真空状態に維持される真空容器10と、第一の金属化
合物蒸気または非金属化合物蒸気を収容する第一の容器
12と、第一の容器12内に収容された金属化合物蒸気
または非金属化合物蒸気と異なる種類の第二の金属化合
物蒸気または非金属化合物蒸気を収容する第二の容器1
4と、酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤の蒸気を収容する第三の容器1
6とを備えている。
【0038】これら第一の容器12、第二の容器14な
らびに第三の容器16と真空容器10とは、ステンレス
からなる蒸気供給管18、20、22によりそれぞれ連
通可能に接続されている。
【0039】また、蒸気供給管18、20、22には、
それぞれ流量制御弁24、26、28および電磁弁3
0、32、34が設けられている。
【0040】一方、真空容器10には、真空ポンプ36
がゲート・バルブ38を介して接続されている。
【0041】さらに、電磁弁30、32、34およびゲ
ート・バルブ38には、それぞれアクチュエータ40、
42、44、46が設けられてい。そして、これらのア
クチュエータ40、42、44、46は、コンピュータ
48によって開閉制御される電磁弁30、32、34お
よびゲート・バルブ38の駆動ユニット50と接続ケー
ブル52によって接続され、コンピュータ48によって
指示される所定のタイミングで、電磁弁30、32、3
4およびゲート・バルブ38をそれぞれ開閉する。
【0042】なお、符号54は真空計であり、符号56
は薄膜を形成すべき物体を保持するためのホルダーであ
り、符号58はコンピュータ48と駆動ユニット50と
を接続するための接続ケーブルである。
【0043】以上のように構成された薄膜の製造装置に
よって、物体表面に金属または非金属の酸化物薄膜、ハ
ロゲン化物薄膜、硫化物薄膜、セレン化物薄膜、テルル
化物薄膜もしくは窒化物薄膜などの化合物薄膜により構
成される多層膜を形成する場合には、まず多層膜を構成
する薄膜を形成すべき物体を、真空容器10内にセット
する。この際に、物体の形状に応じて、当該物体をホル
ダー56に保持するようにしても良いし、あるいは、単
に物体を真空容器10内に載置するようにしてもよい。
【0044】次いで、ゲート・バルブ38を開き、真空
ポンプ36によって真空容器10内の圧力を10-3Pa
以下に減圧する。なお、真空容器10内の圧力は、真空
計54によって測定する。
【0045】その後に、多層膜を構成する薄膜として第
一の薄膜および第二の薄膜を作製することになる。以下
に、第一の薄膜および第二の薄膜の作製操作を図1なら
びに図2を参照しながら説明するとともに、第一の薄膜
および第二の薄膜を層状に堆積させて多層膜を形成する
操作に関して説明する。
【0046】〔第一の薄膜の作製操作:第一の工程〕ま
ず、電磁弁30を開き、第一の容器12に収容されてい
る第一の金属化合物蒸気または非金属化合物蒸気を、真
空容器10内の圧力が10-2Pa以上になるまで導入
し、電磁弁30を所定時間開いたままの状態で保持す
る。これにより、物体の表面に第一の金属化合物蒸気ま
たは非金属化合物蒸気の分子が吸着する。
【0047】次いで、電磁弁30を閉じた後に、真空ポ
ンプ36によって真空容器10内の圧力が10-3Pa以
下になるまで第一の金属化合物蒸気または非金属化合物
蒸気を排気する。
【0048】真空容器10内の圧力が10-3Pa以下に
なると、電磁弁34を開き、第三の容器16に収容され
ている酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤の蒸気を、真空容器10内の圧
力が10-2Pa以上になるまで導入し、電磁弁34を所
定時間開いたままの状態で保持する。これにより、物体
の表面に酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、
テルル化剤もしくは窒化剤の蒸気の分子が吸着する。
【0049】ここにおいて、物体の表面には、既に第一
の金属化合物蒸気または非金属化合物蒸気の分子が吸着
しているから、酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン
化剤、テルル化剤もしくは窒化剤の蒸気の分子の吸着に
より、表面での化学反応が生じ、物体の表面に金属もし
くは非金属の酸化物薄膜、ハロゲン化物薄膜、硫化物薄
膜、セレン化物薄膜、テルル化物薄膜もしくは窒化物薄
膜などの化合物薄膜(第一の薄膜)が形成される。
【0050】次いで、電磁弁34を閉じた後に、真空ポ
ンプ36によって真空容器10内の圧力が10-3Pa以
下になるまで酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化
剤、テルル化剤もしくは窒化剤の蒸気を排気する。
【0051】以上により、第一の薄膜作製の工程たる第
一の工程の1サイクルが終了し、必要とされる第一の薄
膜の膜厚に応じて、上記第一の工程を複数サイクル数繰
り返し行う。
【0052】上記のようにして形成された第一の薄膜の
膜厚は、単に真空容器10への第一の金属化合物蒸気ま
たは非金属化合物蒸気の導入量および酸化剤、ハロゲン
化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤もしくは窒化剤
の蒸気の導入量、即ち、これらを交互に導入する1サイ
クルにおける導入量あるいは蒸気導入のサイクル数を適
当に選択して制御することにより、原子寸法サイズの精
度で所望の厚さに制御できるようになる。
【0053】また、各サイクルにおける第一の金属化合
物蒸気または非金属化合物蒸気の導入時間と酸化剤、ハ
ロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤もしくは
窒化剤の蒸気の導入時間とを制御することにより、第一
の金属化合物蒸気または非金属化合物蒸気および酸化
剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤も
しくは窒化剤の蒸気の分子が、物体の極めて微細な間隙
にも入り込むようにすることができるから、如何なる形
状、例えば、湾曲した形状などの物体に対しても、第一
の薄膜を原子寸法サイズの精度で所望の膜厚に制御して
形成することができるようになる。
【0054】また、後に詳述するように、物体を反応中
適切な温度で加熱処理することにより、表面での酸化
剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤も
しくは窒化剤の蒸気および第一の金属化合物蒸気もしく
は非金属化合物蒸気の分子の吸着の自己停止機能を発現
でき、膜厚を自動的に原子寸法サイズの精度で制御する
ことができる。
【0055】なお、上記した第一の工程のみを行って物
体の表面に第一の薄膜のみを形成すると、物体の表面に
単層の薄膜が形成されることになる。
【0056】〔第二の薄膜の作製操作:第二の工程〕次
に、上記のようにして作製した第一の薄膜の表面に付着
される第二の薄膜の製造に関して説明する。
【0057】真空容器10内の圧力が10-3Pa以下に
なると、電磁弁32を開き、第二の容器14に収容され
ている第二の金属化合物蒸気または非金属化合物蒸気
を、真空容器10内の圧力が10-2Pa以上になるまで
導入し、電磁弁32を所定時間開いたままの状態で保持
する。これにより、物体の表面に第二の金属化合物蒸気
または非金属化合物蒸気の分子が吸着する。
【0058】次いで、電磁弁32を閉じた後に、真空ポ
ンプ36によって真空容器10内の圧力が10-3Pa以
下になるまで第二の金属化合物蒸気または非金属化合物
蒸気を排気する。
【0059】真空容器10内の圧力が10-3Pa以下に
なると、電磁弁34を開き、第三の容器16に収容され
ている酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤の蒸気を、真空容器10内の圧
力が10-2Pa以上になるまで導入し、電磁弁34を所
定時間開いたままの状態で保持する。これにより、物体
の表面に酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、
テルル化剤もしくは窒化剤の蒸気の分子が吸着する。
【0060】ここにおいて、物体の表面には、既に第二
の金属化合物蒸気または非金属化合物蒸気の分子が吸着
しているから、酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン
化剤、テルル化剤もしくは窒化剤の蒸気の分子の吸着に
より、表面での化学反応が生じ、物体の表面に第一の薄
膜(第一の金属もしくは非金属の酸化物薄膜、ハロゲン
化物薄膜、硫化物薄膜、セレン化物薄膜、テルル化物薄
膜もしくは窒化物薄膜などの化合物薄膜)とは異なる種
類の第二の金属もしくは非金属の酸化物薄膜、ハロゲン
化物薄膜、硫化物薄膜、セレン化物薄膜、テルル化物薄
膜もしくは窒化物薄膜などの化合物薄膜(第二の薄膜)
が形成される。
【0061】次いで、電磁弁34を閉じた後に、真空ポ
ンプ36によって真空容器10内の圧力が10-3Pa以
下になるまで酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化
剤、テルル化剤もしくは窒化剤の蒸気を排気する。
【0062】以上により、第二の薄膜作製の工程たる第
二の工程の1サイクルが終了し、必要とされる第二の薄
膜の膜厚に応じて、上記第二の工程を複数サイクル数繰
り返し行う。
【0063】上記のようにして形成された第二の薄膜の
膜厚は、単に真空容器10への第二の金属化合物蒸気ま
たは非金属化合物蒸気の導入量および酸化剤、ハロゲン
化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤もしくは窒化剤
の蒸気の導入量、即ち、これらを交互に導入する1サイ
クルにおける導入量あるいは蒸気導入のサイクル数を適
当に選択して制御することにより、原子寸法サイズの精
度で所望の厚さに制御できるようになる。
【0064】また、各サイクルにおける第二の金属化合
物蒸気または非金属化合物蒸気の導入時間と酸化剤、ハ
ロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤もしくは
窒化剤の蒸気の導入時間とを制御することにより、第二
の金属化合物蒸気または非金属化合物蒸気および酸化
剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤も
しくは窒化剤の蒸気の分子が、物体の極めて微細な間隙
にも入り込むようにすることができるから、如何なる形
状、例えば、湾曲した形状などの物体に対しても、第二
の薄膜を原子寸法サイズの精度で所望の膜厚に制御して
形成することができるようになる。
【0065】また、後に詳述するように、物体を反応中
適切な温度で加熱処理することにより、表面での酸化
剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤も
しくは窒化剤の蒸気および第二の金属化合物蒸気もしく
は非金属化合物蒸気の分子の吸着の自己停止機能を発現
でき、第二の薄膜の膜厚を自動的に原子寸法サイズの精
度で制御することができる。
【0066】〔第一の薄膜と第二の薄膜との交互堆積〕
次に、上記のようにして作製した第一の薄膜と第二の薄
膜とを、交互に堆積させる操作について説明する。
【0067】上記した第一の薄膜の作製操作の第一の工
程と上記した第二の薄膜の作製操作の第二の工程とを交
互に繰り返すことにより、屈折率の異なる金属または非
金属の酸化物薄膜、ハロゲン化物薄膜、硫化物薄膜、セ
レン化物薄膜、テルル化物薄膜もしくは窒化物薄膜など
の化合物薄膜を交互に堆積でき、所望の波長で高反射率
の得られる光学素子用の多層膜が得られる。しかも、多
層膜の膜厚を原子寸法レベルで制御して形成することが
できるので、波長3オングストローム以下の硬X線用の
多層膜光学素子に使用可能な多層膜を作製することがで
きるようになる。
【0068】次に、実験例を説明することとする。
【0069】〔酸化アルミニウム薄膜の作製および酸化
アルミニウム薄膜の自己停止機能〕まず、第一の金属も
しくは非金属の酸化物薄膜、ハロゲン化物薄膜、硫化物
薄膜、セレン化物薄膜、テルル化物薄膜もしくは窒化物
薄膜などの化合物薄膜として、硬X線用光学素子に使用
可能な多層膜の第一の薄膜を構成する酸化アルミニウム
薄膜の作製および酸化アルミニウム薄膜の自己停止機能
に関して説明する。
【0070】有機溶剤、純水の順に超音波洗浄し、さら
に4.7重量%の弗酸に15秒間浸し超純水で洗い流す
ことにより洗浄を行った、直径200mm、長さ300
mmのSUS316製の円筒容器(真空容器10)内
に、乾燥窒素を用いて乾燥させた(100)面方位のシ
リコン基板(薄膜を形成する物体としての基板)をセッ
トし、200リットル/秒の真空ポンプ36を用いて、
多層膜の第一の薄膜を構成する酸化アルミニウム薄膜を
形成した。
【0071】まず、真空ポンプ36により、真空容器1
0内を「1.3×10-4Pa」にまで減圧し、その後
に、第一の容器12から真空容器10内にトリメチルア
ルミニウム(TMA)蒸気を1秒間導入して、真空容器
10内の圧力を「1.3×10-2Pa」に上昇させたあ
と、真空ポンプ36により2秒間排気して真空容器10
内を「1.3×10-4Pa」にまで減圧する。
【0072】さらに、第三の容器16から真空容器10
内に過酸化水素水蒸気を1秒間導入して、真空容器10
内の圧力を「1.3×10-2Pa」に上昇させた後に、
真空ポンプ36により2秒間排気して真空容器10内を
「1.3×10-4Pa」にまで減圧する。
【0073】上記サイクルを繰り返したところ、15分
間で150サイクルの酸化アルミニウム薄膜が形成され
たことが、in−situエリプソメータの解析から判
明した。
【0074】図3に、酸化アルミニウム薄膜の成長速度
の基板温度依存性を示す。基板は赤外線加熱装置によっ
て所定の温度に加熱した。図3に示されているように、
基板温度(Tsub)が室温から750゜Cまでにわたっ
て、成長速度(Growth
【0075】Rate)がほぼ0.1nm/cycle
と一定になることが判明した。成長速度がほぼ一定にな
ることは、幅広い基板温度に対して原料の吸着過程に自
己停止機能があることを示しており、成長速度が表面で
の熱分解によって支配されていないことを示している。
【0076】また、図4には、観察開始2分後にTMA
蒸気の導入を開始し、その後TMA蒸気と過酸化水素水
蒸気とを1分毎に交互に20秒間づつ導入した場合(図
5(A)参照)における膜厚の変化Aと、TMA蒸気の
みを2分毎に20秒間づつ導入した場合(図5(B)参
照)における膜厚の変化Bとを、in−situエリプ
ソメータを用いて観察した結果が示されている。
【0077】この図4に示されているように、変化Aに
おいてはTMA蒸気の導入時に膜厚増加の大きなジャン
プが見られるが、変化Bにおいては薄膜の厚さがほぼ一
定である。
【0078】即ち、TMAは過酸化水素水と化合するこ
とにより膜厚を増加できるが、TMAのみでは自己停止
機能が働いて、自己停止機能が働いた時点で膜厚の堆積
が禁止されていることを示している。
【0079】〔酸化チタン薄膜の作製および酸化チタン
薄膜の自己停止機能〕次に、第二の金属もしくは非金属
の酸化物薄膜、ハロゲン化物薄膜、硫化物薄膜、セレン
化物薄膜、テルル化物薄膜もしくは窒化物薄膜などの化
合物薄膜として、硬X線用光学素子に使用可能な多層膜
の第二の薄膜を構成する酸化チタン薄膜の作製および酸
化チタン薄膜の自己停止機能に関して説明する。
【0080】有機溶剤、純水の順に超音波洗浄し、さら
に4.7重量%の弗酸に15秒間浸し超純水で洗い流す
ことにより洗浄を行った、直径200mm、長さ300
mmのSUS316製の円筒容器(真空容器10)内
に、乾燥窒素を用いて乾燥させた(100)面方位のシ
リコン基板(薄膜を形成する物体としての基板)をセッ
トし、基板温度を300゜C乃至500゜Cにして、2
00リットル/秒の真空ポンプ36を用いて、多層膜の
第二の薄膜を構成する酸化チタン薄膜を形成した。
【0081】まず、真空ポンプ36により、真空容器1
0内を「1.3×10-4Pa」にまで減圧し、その後
に、第二の容器14から真空容器10内にテトラクロロ
チタン蒸気を1秒間導入して、真空容器10内の圧力を
「1.3×10-2Pa」に上昇させたあと、真空ポンプ
36により2秒間排気して真空容器10内を「1.3×
10-4Pa」にまで減圧する。
【0082】さらに、第三の容器16から真空容器10
内に過酸化水素水蒸気を1秒間導入して、真空容器10
内の圧力を「1.3×10-2Pa」に上昇させた後に、
真空ポンプ36により2秒間排気して真空容器10内を
「1.3×10-4Pa」にまで減圧する。
【0083】上記サイクルを繰り返したところ、15分
間で150サイクルの酸化チタン薄膜が形成されたこと
が、in−situエリプソメータの解析から判明し
た。
【0084】図6に、酸化チタン薄膜の成長速度の基板
温度依存性を示す。基板は赤外線加熱装置によって、所
定の温度に加熱した。基板温度が室温から上昇するに従
って成長速度は大きくなり、340゜C乃至490゜C
付近にわたって、成長速度がほぼ0.1nm/cycl
eと一定になることが判明した。340゜C乃至490
゜C付近の基板温度に対して、原料の吸着過程に自己停
止機能があることは明かである。このとき、632.8
nmでの屈折率は2.2であった。さらに基板温度を上
げると、成長速度が急激に減少した。これは基板温度の
上昇により、表面における吸着物質の被覆率が減少した
ためである。
【0085】〔自己停止機能による多層膜の形成〕次
に、上記した吸着の自己停止機能を利用して、第一の薄
膜と第二の薄膜とを交互に作製することによる多層膜の
製造に関して説明する。
【0086】有機溶剤、純水の順に超音波洗浄し、さら
に4.7重量%の弗酸に15秒間浸し超純水で洗い流す
ことにより洗浄を行った、直径200mm、長さ300
mmのSUS316製の円筒容器(真空容器10)内
に、乾燥窒素を用いて乾燥させた(100)面方位のシ
リコン基板(薄膜を形成する物体としての基板)をセッ
トし、基板温度を390゜Cにして、200リットル/
秒の真空ポンプ36を用いて、酸化アルミニウム薄膜と
酸化チタン薄膜とを交互に300層重ねた硬X線用の多
層膜を形成した。
【0087】まず、真空ポンプ36により、真空容器1
0内を「1.3×10-4Pa」にまで減圧し、その後
に、第一の容器12から真空容器10内にトリメチルア
ルミニウム(TMA)蒸気を1秒間導入して、真空容器
10内の圧力を「1.3×10-2Pa」に上昇させたあ
と、真空ポンプ36により2秒間排気して真空容器10
内を「1.3×10-4Pa」にまで減圧した。
【0088】さらに、第三の容器16から真空容器10
内に過酸化水素水蒸気を1秒間導入して、真空容器10
内の圧力を「1.3×10-2Pa」に上昇させた後に、
真空ポンプ36により2秒間排気して真空容器10内を
「1.3×10-4Pa」にまで減圧した。
【0089】次に、第二の容器14から真空容器10内
にテトラクロロチタン蒸気を1秒間導入して、真空容器
10内の圧力を「1.3×10-2Pa」に上昇させたあ
と、真空ポンプ36により2秒間排気して真空容器10
内を「1.3×10-4Pa」にまで減圧した。
【0090】さらに、第三の容器16から真空容器10
内に過酸化水素水蒸気を1秒間導入して、真空容器10
内の圧力を「1.3×10-2Pa」に上昇させた後に、
真空ポンプ36により2秒間排気して真空容器10内を
「1.3×10-4Pa」にまで減圧した。
【0091】上記サイクルを300回繰り返したとこ
ろ、30分間で膜厚693オングストローム、屈折率
1.90、1サイクル当たりの膜厚2.31オングスト
ロームの硬X線用の多層膜を形成できた。
【0092】なお、物体に形成することのできる化合物
薄膜は、上記したものに限定されるものではなく、図7
に例示しているように、酸化物薄膜として24種類、ハ
ロゲン化物薄膜として6種類、硫化物薄膜として1種
類、セレン化物薄膜として1種類、テルル化物薄膜とし
て1種類、窒化物薄膜として24種類などの化合物薄膜
が形成可能である。
【0093】また、図8乃至図37に、薄膜を形成させ
る金属化合物と、薄膜を形成させる酸化剤、ハロゲン化
剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤もしくは窒化剤
と、基板(薄膜を形成させる物体)とに関して、図7に
示す各化合物薄膜を形成する際において使用可能な組み
合わせの例を示す。
【0094】特に、酸化剤あるいは窒化剤と、薄膜を形
成させる金属化合物として銅、ニッケル、鉄、マンガン
あるいはクロムの化合物とを用いて、銅、ニッケル、
鉄、マンガンあるいはクロムの酸化物薄膜あるいは窒化
物薄膜を形成し、また、酸化剤あるいは窒化剤と、薄膜
を形成させる金属化合物としてスカンジナビウム、マグ
ネシウム、インジウム、ベリリウムあるいはチタニウム
の化合物とを用いて、スカンジナビウム、マグネシウ
ム、インジウム、ベリリウムあるいはチタニウムの酸化
物薄膜あるいは窒化物薄膜を形成し、これら銅、ニッケ
ル、鉄、マンガンあるいはクロムの酸化物薄膜あるいは
窒化物薄膜のグループからいずれかを選択し、スカンジ
ナビウム、マグネシウム、インジウム、ベリリウムある
いはチタニウムの酸化物薄膜あるいは窒化物薄膜のグル
ープからいずれかを選択して組み合わせて(組み合わせ
としては、銅、ニッケル、鉄、マンガン、クロムの酸化
物薄膜(5種類)と銅、ニッケル、鉄、マンガン、クロ
ムの窒化物薄膜(5種類)とからなるグループ(全部で
10種類(=5種類+5種類))からいずれか一つ選択
し、スカンジナビウム、マグネシウム、インジウム、ベ
リリウム、チタニウムの酸化物薄膜(5種類)とスカン
ジナビウム、マグネシウム、インジウム、ベリリウム、
チタニウムの窒化物薄膜(5種類)とからなるグループ
(全部で10種類(=5種類+5種類))からいずれか
一つ選択して、それらを組み合わせればよいので、全部
で「100種類(=10種類×10種類)」ある。)、
多層膜を形成することにより、100オングストローム
以下の軟X線波長での多層膜ミラー、フィルター、偏光
素子あるいはニュートロン素子に用いて好適な多層膜を
形成することができる。
【0095】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0096】膜厚、膜質が大面積にわたって均一な薄膜
を、硬X線領域において使用される光学素子の多層膜を
作製可能な高精度、即ち、原子寸法サイズの精度で基板
上に形成することのできる薄膜の製造方法およびその製
造装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による薄膜の製造装置を示す
概略構成説明図である。
【図2】第一の工程および第二の工程における1サイク
ルを示すタイミング・チャートである。
【図3】酸化アルミニウム薄膜の成長速度の基板温度依
存性を示すグラフである。
【図4】観察開始2分後にTMA蒸気の導入を開始する
とともに、その後TMA蒸気と過酸化水素水蒸気とを1
分毎に交互に20秒間づつ導入した場合における膜厚の
変化Aと、TMA蒸気のみを2分毎に20秒間づつ導入
した場合における膜厚の変化Bとを示すグラフである。
【図5】(A)は図4における変化Aの際のTMA蒸気
および過酸化水素水蒸気の導入のタイミングを示すタイ
ミング・チャートであり、(B)は図4における変化B
の際のTMA蒸気の導入のタイミングを示すタイミング
・チャートである。
【図6】酸化チタン薄膜の成長速度の基板温度依存性を
示すグラフである。
【図7】本発明によって形成可能な化合物薄膜として、
酸化物薄膜を19種類、ハロゲン化物薄膜を6種類、硫
化物薄膜を1種類、セレン化物薄膜を1種類、テルル化
物薄膜を1種類それぞれ例示して示す表である。
【図8】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成さ
せる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テル
ル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図9】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成さ
せる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テル
ル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図10】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図11】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図12】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図13】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図14】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図15】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図16】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図17】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図18】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図19】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図20】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図21】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図22】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図23】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図24】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図25】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図26】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図27】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図28】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図29】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図30】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図31】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図32】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図33】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図34】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図35】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図36】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【図37】薄膜を形成させる金属化合物と、薄膜を形成
させる酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テ
ルル化剤もしくは窒化剤と、基板(薄膜を形成させる物
体)とに関して、図7に示す各化合物薄膜を形成する際
において使用可能な組み合わせの例を示す表である。
【符号の説明】
10 真空容器 12 第一の容器 14 第二の容器 16 第三の容器 18、20、22 蒸気供給管 24、26、28 流量制御弁 30、32、34 電磁弁 36 真空ポンプ 38 ゲート・バルブ 40、42、44、46 アクチュエータ 48 コンピュータ 50 駆動ユニット 52、58 接続ケーブル 54 真空計 56 ホルダー

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器内に薄膜を形成すべき物体をセ
    ットし、 前記真空容器内を所定の圧力以下に減圧した後に、酸化
    剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤も
    しくは窒化剤の蒸気と金属化合物蒸気もしくは非金属化
    合物蒸気とを、交互に少なくとも1回づつ減圧した前記
    真空容器内に導入して前記物体表面で吸着および化学反
    応させ、前記物体表面に薄膜を形成することを特徴とす
    る薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 真空容器内に薄膜を形成すべき物体をセ
    ットし、 前記真空容器内を所定の圧力以下に減圧した後に、酸化
    剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤も
    しくは窒化剤の蒸気と、金属化合物蒸気もしくは非金属
    化合物蒸気とを、交互に少なくとも1回づつ減圧した前
    記真空容器内に導入して前記物体表面で吸着および化学
    反応させ、前記物体表面に第一の薄膜を形成する第一の
    工程と、 前記真空容器内を所定の圧力以下に減圧した後に、酸化
    剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤も
    しくは窒化剤の蒸気と、前記金属化合物蒸気もしくは前
    記非金属化合物蒸気と異なる種類の金属化合物蒸気もし
    くは非金属化合物蒸気とを、交互に少なくとも1回づつ
    減圧した前記真空容器内に導入して前記物体の表面で吸
    着および化学反応させ、前記物体表面に第二の薄膜を形
    成する第二の工程とを、 少なくとも1回以上繰り返して、前記物体表面に前記第
    一の薄膜と前記第二の薄膜とを層状に堆積して多層膜を
    形成することを特徴とする薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第一の工程と前記第二の工程とにお
    ける金属化合物蒸気もしくは非金属化合物蒸気の少なく
    ともどちらか一方の種類を、工程毎に変更して前記第一
    の工程と前記第二の工程とを繰り返すことにより、前記
    物体表面に複数の異なる種類の薄膜を層状に堆積して多
    層膜を形成する請求項2記載の薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記吸着および化学反応中において前記
    物体を所定の温度で加熱処理することにより、前記物体
    表面での前記酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化
    剤、テルル化剤もしくは窒化剤の蒸気および前記金属化
    合物蒸気もしくは非金属化合物蒸気の分子の吸着の自己
    停止機能を発現させ、前記物体表面に形成される薄膜の
    膜厚を自動的に原子寸法サイズで制御する請求項1、2
    または3のいずれか1項に記載の薄膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第一の薄膜として、酸化剤あるいは
    窒化剤の蒸気と、金属化合物蒸気として銅、ニッケル、
    鉄、マンガンあるいはクロムの化合物蒸気とを用いて、
    銅、ニッケル、鉄、マンガンあるいはクロムの酸化物薄
    膜あるいは窒化物薄膜を形成し、前記第二の薄膜とし
    て、酸化剤あるいは窒化剤の蒸気と、金属化合物蒸気と
    してスカンジナビウム、マグネシウム、インジウム、ベ
    リリウムあるいはチタニウムの化合物蒸気とを用いて、
    スカンジナビウム、マグネシウム、インジウム、ベリリ
    ウムあるいはチタニウムの酸化物薄膜あるいは窒化物薄
    膜を形成する請求項2または3のいずれか1項に記載の
    薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 薄膜を形成すべき物体がセットされる真
    空容器と、 前記真空容器内を所定の圧力以下に減圧する真空ポンプ
    と、 一もしくは二以上の酸化剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セ
    レン化剤、テルル化剤もしくは窒化剤の蒸気を前記真空
    容器内へ導入するための第一の導入手段と、 金属化合物蒸気もしくは非金属化合物蒸気を前記真空容
    器内へ導入するための第二の導入手段と、 前記第一の導入手段に配設された第一の弁機構と、 前記第二の導入手段に配設された第二の弁機構と、 前記第一の弁機構および前記第二の弁機構を制御して、
    前記第一の導入手段から前記真空容器内への前記酸化
    剤、ハロゲン化剤、硫化剤、セレン化剤、テルル化剤も
    しくは窒化剤の蒸気の導入および前記第二の導入手段か
    ら前記真空容器内への前記金属化合物蒸気もしくは非金
    属化合物蒸気の導入をそれぞれ制御する制御手段とを有
    することを特徴とする薄膜の製造装置。
  7. 【請求項7】 前記第二の導入手段を前記金属化合物蒸
    気もしくは非金属化合物蒸気の種類毎にそれぞれ配設す
    るとともに、前記第二の導入手段に対応して前記第二の
    弁機構を備えた請求項6記載の薄膜の製造装置。
  8. 【請求項8】 前記真空容器内にセットされた前記物体
    を所定の温度に加熱する加熱手段を備えた請求項6また
    は7のいずれか1項に記載された薄膜の製造装置。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005523384A (ja) * 2002-04-19 2005-08-04 マットソン テクノロジイ インコーポレイテッド 低蒸気圧のガス前駆体を用いて基板上にフィルムを蒸着させるシステム
JP2007227616A (ja) * 2006-02-23 2007-09-06 Nec Electronics Corp 成膜装置およびその調整方法
US7338900B2 (en) 2002-12-27 2008-03-04 Ulvac Inc. Method for forming tungsten nitride film
JP2008174842A (ja) * 1999-10-06 2008-07-31 Samsung Electronics Co Ltd 原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法
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JP2010177675A (ja) * 2002-02-28 2010-08-12 Hitachi Kokusai Electric Inc 半導体装置の製造方法
JP2021175815A (ja) * 2020-05-01 2021-11-04 東京エレクトロン株式会社 成膜装置及び成膜方法

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