JPH0817024B2 - テープカートリッジ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、記録可能か否かを識別
するための誤消去防止弁を備えたテープカートリッジに
関し、誤消去防止弁を外れ出しや位置ずれなく仮組みで
きるようにしたものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の誤消去防止手段として、本体ケー
スの後壁に誤消去防止穴をケース内方に入り込み状に凹
設し、この誤消去防止穴に誤消去防止弁を記録可能位置
と記録不能位置との間にわたって左右横方向にスライド
操作可能に組み込んだものがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】そこでは、上下ケース
を突き合わせてなる本体ケースにおいて、まず下ケース
側に所要部品と共に誤消去防止弁を組み込む。従って下
ケースの後壁に誤消去防止穴を設けることになる。その
際に、従来の誤消去防止弁は、下ケースの誤消去防止穴
まわりに仮組みした状態において、上ケースを被せるま
での組み付けライン上で衝撃等により下ケースの誤消去
防止穴から上方ないし後方に外れ出たり、位置ずれする
不具合がみられた。そのため誤消去防止弁が正しい姿勢
にあるべく本組みすることを予想しているのに、例えば
下ケースに外れ出た状態のまま本組みされるといった事
態を招き、製品後に再チエックを要するところに問題が
あった。

【０００４】そこで本発明の目的は、下ケースの誤消去
防止穴に誤消去防止弁を外れ出しや位置ずれなく確実に
仮組みしておけるテープカートリッジを得るにある。本
発明の他の目的は、下ケースの該当部位に誤消去防止弁
が簡単に落とし込み装着するだけでよく、組立の自動機
械化への発展も可能としたテープカートリッジを得るに
ある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、例えば第１図
に示すように、互いに突き合わせてなる上下ケース１ａ
・１ｂのうち下ケース１ｂの後壁１０ｂに、誤消去防止
穴１１がケース内方へ入り込み状に凹設されており、こ
の誤消去防止穴１１に誤消去防止弁１２を記録可能位置
と記録不能位置とにわたって左右横方向にスライド操作
可能に組み込んだテープカートリッジを前提とする。そ
のうえで、下ケース１ｂの誤消去防止穴１１の内奥壁１
３は、上ケース１ａの後壁１０ａよりもケース内方に偏
した位置に存するように設ける。誤消去防止弁１２は、
レコーダ側の検知部材Ｐが作用する主壁１５と、主壁１
５の上端側に設けた係止腕１６と、主壁１５の下端に設
けた凸部１９とを有する。係止腕１６は、前記内奥壁１
３の上端にケース外方向に外れ止め状に係合されて該内
奥壁１３に沿ってスライド自在とする。誤消去防止穴１
１の底に凹溝１８を設け、該凹溝１８に前記凸部１９を
スライド自在に嵌合する。そして、内奥壁１３に対する
係止腕１６の上下方向の係合深さＡは、凹溝１８に対す
る凸部１９の嵌合深さＢよりも大きく寸法設定したもの
である。

【０００６】

【作用】下ケース１ｂの誤消去防止穴１１の内奥壁１３
に誤消去防止弁１２をこれの係止腕１６が内奥壁１３の
上端にケース外方向に外れ止め状に係合するよう上方か
ら落とし込み装着する。これにより誤消去防止弁１２は
主壁１５が内奥壁１３の外側に位置し、凸部１９が凹溝
１８に嵌合する仮組み状態となる。この仮組み状態にお
いて、衝撃を受けて誤消去防止弁１２の凸部１９が凹溝
１８から上方へ抜け出ても、係止腕１６は内奥壁１３に
なお係合しており、凸部１９が再び凹溝１８に嵌合す
る。

【０００７】

【発明の効果】本発明によれば、下ケース１ｂに設けた
誤消去防止穴１１の内奥壁１３の上端に係止腕１６が係
合し、凸部１９が凹溝１８に嵌合する状態に誤消去防止
弁１２を内奥壁１３にこれの上方から落とし込み装着さ
せるだけでよく、下ケース１ｂに対する誤消去防止弁１
２の仮組み状態が容易で組立の自動機械化も簡単に図れ
る。しかも、内奥壁１３に対する係止腕１６の係合深さ
Ａは凹溝１８に対する凸部１９の嵌合深さＢよりも大き
く設定してあるから、誤消去防止弁１２の仮組み状態時
に組立ライン上で衝撃などを受けたとき、凸部１９が凹
溝１８から抜け外れても係止腕１６までが内奥壁１３か
ら抜け外れることはなく、凸部１９が凹溝１８に再び嵌
合し、誤消去防止弁１２の上方への抜け出しや後方への
倒れ出しを有効に防止できる。

【０００８】

【実施例】図面はＶＨＳ−Ｃ型のテープカートリッジを
例示している。図２および図３において、これの本体ケ
ース１はプラスチック製の上下ケース１ａ・１ｂを突き
合わせてねじ等で一体的に結合してなる。本体ケース１
の内部左右には繰出テープリール２と巻取テープリール
３を配置してある。繰出テープリール２から導出された
テープ４は、ケース内前端の左右に設けたガイド部材５
・５を介して巻取テープリール３に巻き取られる。本体
ケース１の前面には、両ガイド部材５・５間にテープロ
ーディング用のポケット６を凹設してあり、このポケッ
ト６を横断するテープ４の前方外側が本体ケース１に付
設した前蓋７で不使用時に覆われている。

【０００９】本体ケース１の後壁１０は上下ケース１ａ
・１ｂの後壁１０ａ・１０ｂどうしを突き合わせてな
り、本体ケース１の後壁１０の左側のコーナ部にスライ
ド切換式の誤消去防止手段９を有する。その誤消去防止
手段９は、下ケース１ｂの後壁１０ｂに凹設した誤消去
防止穴１１を含み、この誤消去防止穴１１に誤消去防止
弁１２が記録（録画）可能位置と記録（録画）不能位置
とにわたって左右横方向にスライド自在に組み込まれて
いる。

【００１０】図４および図６において、誤消去防止穴１
１は下ケース１ｂの後壁１０ｂの左端側にケース内方に
入り込み状に凹設されており、従来のテープカートリッ
ジにおける折り取り除去方式の誤消去防止弁の設定位置
を含んで、この設定位置より左側方に延長された正面視
において横長四角形状に形成してある。誤消去防止穴１
１の内奥にはテープリール収納領域と仕切る形の内奥壁
１３を後壁１０ｂと一体に形成する。その内奥壁１３は
これの上方に位置する上ケース１ａの後壁１０ａよりも
ケース内方に偏する位置に設定されており、下ケース１
ｂに上ケース１ａを被せ付けると、図１に示すごとく上
ケース１ａ側の後壁１０ａの下端と内奥壁１３の上端面
１３ａとが内外互い違い状に対向し、この対向間に空隙
１４が形成されている。

【００１１】図６および図７において、誤消去防止弁１
２はプラスチック成形品であって、レコーダ側のレバー
タイプの検知部材Ｐが誤消去防止穴１１内に進入するこ
とを阻む垂直な主壁１５を有し、該主壁１５の上端側か
ら横形腕部１６ａをケース内方に向けて水平に突設し、
更に該腕部１６ａの突出端側から縦形腕部１６ｂを下向
きに屈曲連設して鉤形の係止腕１６を主壁１５と一体に
形成してある。主壁１５は従来のテープカートリッジに
おける折り取り除去方式の誤消去防止弁とほぼ同じ大き
さの四角形である。

【００１２】誤消去防止弁１２の組み付けに際しては、
先ず下ケース１ｂにテープリール２・３やガイド部材５
などの所要部品と共に組み込む。このとき誤消去防止弁
１２は誤消去防止穴１１に上方から落とし込む。これで
図１および図４に示すように前記横形腕部１６ａが内奥
壁１３の上端面１３ａ上に位置し、また縦形腕部１６ｂ
が内奥壁１３の内面側に位置するようにまたがせる。す
ると、主壁１５の外面が後壁１０ｂの外面と面一状に組
み込まれる。

【００１３】次に、下ケース１ｂに上ケース１ａを被せ
ると、図１に示すように誤消去防止穴１１内において誤
消去防止弁１２が上ケース１ａの後壁１０ａの下端と、
内奥壁１３の上端面１３ａとの間に形成された空隙１４
内に係止腕１６の横形腕部１６ａが僅かな隙間をおいて
上下方向に弾性変形できるように納まるとともに、該後
壁１０ａの下端が主壁１５の直上に僅かな隙間をおいて
位置する納まり状態が得られる。また、誤消去防止弁１
２の主壁１５の外面は、誤消去防止穴１２内において上
下ケース１ａ・１ｂの後壁１０ａ・１０ｂの外面と面一
状態にあるので、レコーダに装填したときレコーダ側の
検知部材Ｐをそれらの外面上にスムーズに滑らすことが
できて記録可否の確実な検知動作を保証する。誤消去防
止弁１２はその係止腕１６を内奥壁１３に沿って左右横
方向にスライドさせることにより、誤消去防止穴１１内
の右端側の記録可能位置（図４）と、左端側の記録不能
位置（図５）とにわたって切り換えることができる。

【００１４】このとき、誤消去防止弁１２は係止腕１６
が内奥壁１３の上端面１３ａを跨いでいるので、誤消去
防止穴１１の開口外面に向かって脱落することは阻止さ
れる。但し、この誤消去防止弁１２の仮組み状態におい
て、そのまたぎ深さが少ない場合に誤消去防止弁１２は
主壁１５の下端が誤消去防止穴１１の底からはみ出す方
向に傾くおそれがある。かかる誤消去防止弁１２の傾き
を確実に阻止してその垂直姿勢を維持するために、図１
に示すごとく誤消去防止穴１１の底に凹溝１８を左右方
向に設けてあり、誤消去防止弁１２の主壁１５の下端の
内側寄りに設けた凸部１９を該凹溝１８に嵌合してあ
る。

【００１５】この場合に、内奥壁１３に対する係止腕１
６の上下方向の係合深さＡは、凹溝１８に対する凸部１
９の嵌合深さＢよりも大きく寸法設定した。従って、下
ケース１ｂに誤消去防止弁１２を仮組みした状態下で、
凸部１９が凹溝１８から上方へ抜け出るほどの衝撃を受
けるようなことがあっても、依然として係止腕１６は内
奥壁１３との係合状態を維持しているため、凸部１９が
再び凹溝１８に嵌合し、誤消去防止弁１２が上方に抜け
外れたり、後方に倒れ込んだりすることがない。また、
誤消去防止弁１２の凸部１９と凹溝１８の内底との間に
僅かな隙間を形成するように、内奥壁１３に係止腕１６
を吊り下げておくと、誤消去防止弁１２のスライド操作
をより軽く行えることになる。

【００１６】上下ケース１ａ・１ｂを結合したのち、誤
消去防止弁１２を各切換位置に保持する保持手段として
は、図１および図４に示すように、横形腕部１６ａの下
面側に節度用凸部２１を設ける。一方、内奥壁１３の上
端面１３ａの左右二箇所には、図６に示すごとく節度用
凹部２３を形成する。以て誤消去防止弁１２が記録可能
位置と記録不能位置にそれぞれ完全に切り換わった状態
のとき、節度用凸部２１が横形腕部１６ａの主壁１５と
のつながり基部を支点にした上下方向の弾性変形を介し
て各節度用凹部２３と係合し、誤消去防止弁１２の自由
な横移動を規制するものとした。この状態では上ケース
１ａの後壁１０ａが誤消去防止弁１２の主壁１５の上端
に近接して該弁１２の浮き上がりを接当規制している。

【００１７】しかし、かかる節度用凹凸部２３・２１の
係合状態のみでは、下ケース１ｂに誤消去防止弁１２を
仮組みした状態において組立ライン上で衝撃を受けて係
止腕１６が内奥壁１３から浮き上がると、誤消去防止弁
１２が依然として左右横方向に位置ずれする。この仮組
み状態における誤消去防止弁１２の左右横方向への位置
ずれ防止のために、図１および図４に示すごとく内奥壁
１３の内側面には、前記節度用凹部２３に対応する位置
に縦溝２４を節度用凹凸部２３・２１の係合深さよりも
上下方向に長く設ける。一方、縦形腕部１６ｂには前記
縦溝２４に係合する線状の突部２５を設ける。かくし
て、誤消去防止弁１２が内奥壁１３の上端面１３ａ上の
記録可能位置又は記録不能位置にあるとき、縦溝２４と
突部２５との係合で誤消去防止弁１２が左右方向にずれ
動かないようにした。

【００１８】なお、前記縦溝２４は内奥壁１３の上端か
ら下向きに形成してあり、所定位置で内奥壁１３に誤消
去防止弁１２を落とし込み装着すると、該縦溝２４に前
記突部２５が円滑に係入する。節度用凹凸部２３・２
１、縦溝２４および突部２５にはそれぞれテーパをつけ
て誤消去防止弁１２を軽い操作力でスライドできるよう
にしてあるが、縦溝２４につけるテーパは節度用凹部２
３のテーパよりも緩やかに設定することが、よりスムー
ズにスライド操作できる点で好ましい。

【００１９】誤消去防止弁１２を記録可能位置に切り換
えた状態では、図３および図４に示すごとく誤消去防止
弁１２の主壁１５の右端１５ａと誤消去防止穴１１内の
右端壁との間に指先等の入る操作溝２６が形成される。
また、図３に示す二点鎖線の状態および図５に示すごと
く誤消去防止弁１２を記録不能位置に切り換えた状態に
おいても、誤消去防止弁１２の主壁１５の左端１５ｂと
誤消去防止穴１１内の左端壁との間に指先等の入る操作
溝２７が形成される。かくして、誤消去防止弁１２の主
壁１５の外面がケース後壁１０の外面と面一状態にある
場合も、それら操作溝２６・２７に指先を掛けて、誤消
去防止弁１２のスライド操作が容易に行えるようにし
た。

【００２０】図１および図６に示すように、下ケース１
ｂの誤消去防止穴１１内の左側端からは接合爪２８を上
向きに一体に突設する。この接合爪２８の先端は上ケー
ス１ａの後壁１０ａに設けた孔２９に上ケース内方から
係入させることにより、上下ケース１ａ・１ｂが当該コ
ーナ部において一体的に結合される。この接合爪２８の
下方に前記操作溝２７を形成して狭隘なスペースの有効
利用を図っている。

【００２１】（別実施例）誤消去防止弁１２の節度手段
としては、上記実施例の場合とは逆に、横形腕部１６ａ
に節度用凹部２３を、内奥壁１３の上端面１３ａに節度
用凸部２１をそれぞれ設けてもよい。また、この節度手
段は本組み状態において誤消去防止弁１２と上ケース１
ａとの間に形成されていてもよい。更に、前述の縦溝２
４と突部２５とが上下ケース１ａ・１ｂを結合した本組
み状態において、誤消去防止弁１２を記録可能位置と記
録不能位置とに保持する節度手段として働くようにし、
上記の凹凸部２３・２１からなる節度手段を省略するこ
ともできる。

【００２２】縦溝２４は縦形腕部１６ｂに、突部２５は
内奥壁１３の内面にそれぞれ設けることもできる。ま
た、これら縦溝２４および突部２５からなる位置決め手
段は、誤消去防止弁１２を記録可能位置か記録不能位置
かのいずれか一方にシフトした少なくとも仮止め状態に
おいて係合する関係にあれば足りる。

【図面の簡単な説明】

【図１】要部の縦断側面図である。

【図２】全体の内部平面図である。

【図３】背面図である。

【図４】誤消去防止弁を記録可能位置に保持した状態で
の平面図である。

【図５】誤消去防止弁を記録不能位置に保持した状態で
の平面図である。

【図６】分解斜視図である。

【図７】誤消去防止弁を背後から見た斜視図である。

【符号の説明】

１ 本体ケース １ａ 上ケース １ｂ 下ケース １０ 本体ケースの後壁 １０ａ 上ケースの後壁 １０ｂ 下ケースの後壁 １１ 誤消去防止穴 １２ 誤消去防止弁 １３ 内奥壁 １５ 主壁 １６ 係止腕 １８ 凹溝 １９ 凸部 Ｐ 検知部材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 互いに突き合わせてなる上下ケース１ａ
   ・１ｂのうち下ケース１ｂの後壁１０ｂに、誤消去防止
   穴１１がケース内方へ入り込み状に凹設されており、 誤消去防止穴１１に誤消去防止弁１２が記録可能位置と
   記録不能位置とにわたって左右横方向にスライド操作可
   能に組み込まれているテープカートリッジにおいて、 下ケース１ｂの誤消去防止穴１１の内奥壁１３が、上ケ
   ース１ａの後壁１０ａよりもケース内方に偏して設けら
   れており、 誤消去防止弁１２は、レコーダ側の検知部材Ｐが作用す
   る主壁１５と、主壁１５の上端側に付設された係止腕１
   ６と、主壁１５の下端に設けた凸部１９とを有してお
   り、 係止腕１６は、前記内奥壁１３の上端にケース外方向に
   外れ止め状に係合されて該内奥壁１３に沿ってスライド
   自在であり、 誤消去防止穴１１の底に設けた凹溝１８に、前記凸部１
   ９がスライド自在に嵌合しており、 内奥壁１３に対する係止腕１６の上下方向の係合深さＡ
   は、凹溝１８に対する凸部１９の嵌合深さＢよりも大き
   く寸法設定してあることを特徴とするテープカートリッ
   ジ。