JPH08165339A - 乳酸系共重合ポリエステル粒状物の製造方法 - Google Patents

乳酸系共重合ポリエステル粒状物の製造方法

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JPH08165339A
JPH08165339A JP31321294A JP31321294A JPH08165339A JP H08165339 A JPH08165339 A JP H08165339A JP 31321294 A JP31321294 A JP 31321294A JP 31321294 A JP31321294 A JP 31321294A JP H08165339 A JPH08165339 A JP H08165339A
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JP
Japan
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lactic acid
based copolyester
copolyester
component
acid component
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JP31321294A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Ebato
博 江波戸
Keiko Matsuki
桂子 松木
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 乳酸成分とジカルボン酸成分とジオール成分
とから成る乳酸系共重合ポリエステルをガラス転移点温
度以上、融点温度未満で結晶化させることを特徴とする
乳酸系共重合ポリエステル粒状物の製造方法。 【効果】 本発明は、ガラス転移温度が低く、加工成形
機等へローディングしにくい乳酸系共重合ポリエステル
の成形機のスクリュー近辺での融着、乾燥を室温以上の
温度で行う場合の融着、更に、輸送、保管時での粒状物
の融着問題を解決する乳酸系共重合ポリエステル粒状物
の製造方法を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は乳酸系共重合ポリエステ
ルの製造、成形加工を行う際に、製造後の乳酸系共重合
ポリエステルを結晶化して保存し、加工時の操作性を向
上させることを目的とした乳酸系共重合ポリエステル粒
状物の製造法に関するものである。
【0002】更に、結晶化した乳酸系共重合ポリエステ
ルは、成形後には非晶化し透明性を保つことが可能であ
る。本発明の結晶化した乳酸系共重合ポリエステル粒状
物は、押出成形、射出成形、インフレーション成形、積
層成形、プレス成形、発泡成形等の方法により成形加工
を行うことが出来る。
【0003】
【従来の技術】一般にプラスチックスを成形する際、製
造されたプラスチックスを小さな粒、いわゆるペレット
に成形後、成形機に投入する。乳酸系ポリマーを製造す
る際も、汎用ポリマーとして知られているポリスチレン
やポリエチレンテレフタレートと同様に、重合終了した
乳酸系ポリマーをダイスを通してストランド状にして水
槽等で冷却し、カッター、ペレタイザー等で粒状物とす
ることができる。またリペレット、コンパウンディング
時にも同様なことが可能である。
【0004】このような方法で粒状化されたプラスチッ
クスを押し出し機等を使用し、シート、フィルム状に押
し出し成形したり、射出成形、インフレーション、ブロ
ーまたはダイレクトブロー成形、紡糸等の成形加工を行
うが、この際、押し出し機等にスムーズにローディング
される必要がある。
【0005】しかしながら、ポリ乳酸等の乳酸系ポリマ
ーのガラス転移温度は低く、軟化しやすいため、ペレッ
トが成形機等にローディングされた時、比較的温度の高
い押し出し機等でのスクリュー近辺で融着したり、噛み
込みが悪くなる問題が発生する。
【0006】また、粒状化されたプラスチックスを押し
出し機等へローディングする前に、ポリエステル系のプ
ラスチックスは水分を除去することを目的として、乾燥
を行うが、この際、室温以上の温度にさらすことがしば
しばあり、この場合も、用いる乳酸系共重合ポリエステ
ルによっては、そのガラス転移温度は低い為に、乾燥中
にペレットが融着する問題が発生する。
【0007】また、粒状化された乳酸系共重合ポリエス
テルを輸送、保管する際にも、気温の上昇や、輸送、保
管状態で高温にさらされることによるプラスチックス粒
の融着が発生し易い。現在までには成形時の溶融状態で
のポリ乳酸の分解を抑制し、安定化をはかる発明例は、
特開平6−299054号公報など僅かに報告されてい
るものの、乳酸系共重合ポリエステルの輸送、保管、乾
燥および成形機へのローディングの安定化を目的とした
報告例は見られない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、ガラス転移温度が低く、成形機等へローデ
ィングしにくい乳酸系共重合ポリエステルの成形機のス
クリュー近辺での融着、乾燥を室温以上の温度で行う場
合の融着、更に、輸送、保管時での粒状物の融着問題を
解決する乳酸系共重合ポリエステル粒状物の製造方法を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
状況を鑑み、工業化を行い易い手法を鋭意検討した結
果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、乳酸
成分とジカルボン酸成分とジオール成分とから成る乳酸
系共重合ポリエステルを、ガラス転移点温度以上、融点
温度未満で結晶化させることを特徴とする乳酸系共重合
ポリエステル粒状物の製造方法である。
【0010】詳しくは、該結晶化温度が60〜140℃
であることを特徴とする乳酸系共重合ポリエステル粒状
物の製造方法であり、重合後の乳酸系共重合ポリエステ
ルを徐々に冷却して結晶化させることを特徴とする乳酸
系共重合ポリエステル粒状物の製造方法や、固化した乳
酸系共重合ポリエステルを加温して結晶化させることを
特徴とする乳酸系共重合ポリエステル粒状物の製造方法
を含むものである。
【0011】次に本発明を詳細に説明する。まず乳酸系
共重合ポリエステル粒状物の製造方法について説明を行
う。本発明で言う乳酸系共重合ポリエステル粒状物と
は、乳酸成分とジカルボン酸成分とジオール成分とから
成る乳酸系共重合ポリエステルを、保存または仕込みに
便利な形のペレット、フレーク、ビーズ等の粒状の形状
に成形したものを言う。粒状物の製造方法は大きく2つ
の手法に大別される。一つは重合後の乳酸系共重合ポリ
エステルを徐々に冷却して結晶化させることを特徴とす
る乳酸系共重合ポリエステル粒状物の製造方法である。
【0012】即ち、重合され溶融状態にある乳酸系共重
合ポリエステル、または、リペレット、コンパウンディ
ング後の溶融状態の乳酸系共重合ポリエステルをダイス
を通してストランド状にして冷却、切断し粒状物とする
際に、乳酸系共重合ポリエステルストランドを徐々に冷
却して結晶化させる。
【0013】この時の温度はガラス転移点温度以上融点
温度未満で結晶化させることが必要であり、結晶化時間
をより短くして効率よく結晶化する為には、具体的に6
0〜140℃で結晶化させることが好ましい。樹脂の組
成によるが、80〜120℃が更に好ましく、多くの乳
酸系共重合ポリエステルにとって実用的である。
【0014】結晶化の時間は特に問わないが、溶融物を
ダイスからストランドに出し、粒状物に切断する工程ま
での時間として表面のみ結晶化させるためには、通常3
〜20分を要し、100℃/分以下の冷却速度で冷却す
る必要があり、工業的には50℃/分の方が制御し易
く、特に20℃/分以下のゆっくりとした速度で冷却す
ることが好ましい。
【0015】粒状物の中心まで結晶化させるためには、
5分以上かけて50℃/分以下の冷却速度で冷却する必
要があり、10℃/分以下の速度で冷却することが好ま
しい。一般的には1〜10分をかけて結晶化温度付近で
徐冷して結晶化させることが好ましい。
【0016】工程を具体的に例示すると、乳酸系共重合
ポリエステルの溶融物をダイスからストランドに出し、
20℃/分以下のゆっくりとした速度で冷却し、必要に
応じて水冷後に切断、粒状化する方法や、結晶化温度よ
り5〜10℃高い温度まで水冷等で早い冷却を行い、こ
の温度付近で空冷または必要に応じて保温し、ゆっくり
した速度で冷却し、更に必要に応じて水冷し切断、粒状
化する製造方法が挙げられる。
【0017】もう一つの方法として、一度冷却した乳酸
系共重合ポリエステルを加温して結晶化させる製造方法
がある。この場合も、温度はガラス転移点温度以上融点
温度未満で結晶化させることが必要であり、結晶化時間
をより短くして効率よく結晶化する目的と、結晶化中に
融着させない目的で、60〜140℃で結晶化させるこ
とが好ましい。
【0018】特に結晶化温度以上が好ましく、樹脂の組
成にもよるが、80〜120℃が多くの乳酸系共重合ポ
リエステルにとって実用的と考えられる。結晶化時間は
特に問わないが、乳酸系共重合ポリエステルの光学組
成、結晶化する温度に大きく依存する為、一般に粒状物
の表面のみ結晶化させるためには数秒〜15分が好まし
く、粒状物の中心まで結晶化させるためには5分以上が
好ましい。一般的には5〜120分でガラス転移点温度
以上、融点温度未満で結晶化させることが好ましい。
【0019】具体的には60℃で60〜720分、80
℃で30〜360分、100℃で10〜120分、12
0℃で2〜30分である。また、結晶化中にポリマーの
劣化の可能性がある為、できるだけ短時間で行うことが
肝要であり、乾燥した窒素等の不活性ガス雰囲気下、乾
燥空気下で行うことが好ましい。
【0020】乳酸系共重合ポリエステルの溶融物を冷
却、切断して粒状化後に、結晶化温度以上、融点未満の
温度、または、結晶化温度付近まで加温し、必要に応じ
て保温し冷却する方法、またはこれらの温度からゆっく
りとした速度で冷却し、粒状物を結晶化する製造方法が
挙げられるが、この際、粒状物の融着を起こす可能性が
あり、この場合、粒状物に適度な攪拌を加えることが好
ましい。
【0021】特に、この工程と粒状物の乾燥を同時に行
うこともでき、乾燥空気の気流下または減圧下に加温し
て結晶化と乾燥工程を同時に行うことが実用上、好まし
い。次に本発明の乳酸系共重合ポリエステルの成分につ
いて説明を行う。本発明の乳酸系共重合ポリエステルと
は、乳酸成分とジカルボン酸成分とジオール成分とから
成る乳酸系共重合ポリエステルである。
【0022】重合方法は、乳酸を直接、溶媒の存在下、
または非存在下にジカルボン酸成分とジオール成分とか
ら成るポリエステル成分と縮重合する方法と、乳酸の環
状2量体であるラクタイドを用いる方法があるが、本発
明においてはその方法は問わない。また乳酸に立体異性
体が存在し、これからなるラクタイドも立体異性体をも
ったモノマーである。
【0023】即ち、乳酸にはL−乳酸とD−乳酸、ラク
タイドには2つのL−乳酸からなるL−ラクタイド、D
−乳酸からなるD−ラクタイド、L−乳酸とD−乳酸か
らなるMESO−ラクタイドが存在する。L−乳酸、お
よびL−ラクタイド、またはD−乳酸およびD−ラクタ
イドのみを含む共重合体は結晶化し、高融点が得られ
る。本発明に用いる乳酸系共重合ポリエステルは、これ
らの光学活性体の組み合わせによって好ましい樹脂特性
を実現できる。
【0024】本発明では結晶性を発現するため、乳酸成
分はL−乳酸成分を総乳酸成分中75%以上含むものが
好ましく、更に高い結晶性と高い熱物性を発現するため
には、乳酸成分はL−乳酸成分を総乳酸成分中90%以
上含むものが好ましい。
【0025】また、速い結晶性を発現するため、乳酸成
分はL−乳酸成分を総乳酸成分中95%以上含むものが
好ましく、速い結晶性とより高い熱物性を発現するため
には、乳酸成分はL−乳酸成分を総乳酸成分中97%以
上含むものが好ましい。
【0026】本発明においては速い結晶性、高い耐熱
性、および実用的な非晶状態での透明性を得る目的でL
−乳酸成分を総乳酸成分中97〜98%含むものが好ま
しい。乳酸成分の他に応用可能な成分としてはグリコー
ル酸、ジエチルグリコール酸、メチルグリコール酸、
α,α−ジメチルグリコール酸、トリメチルグリコール
酸、テトラメチルグリコール酸等のヒドロキシカルボン
酸成分類が挙げられる。
【0027】また本発明は、乳酸成分とポリエステルを
共重合させて乳酸系共重合ポリエステルを製造させる際
に応用することができる。ジカルボン酸成分とジオール
成分とから成るポリエステルは非常に多くの種類が存在
し、そのポリエステルの特性、量によって得られ乳酸系
共重合ポリエステルは硬質なものから軟質なものまで多
種多様なものを実現できる。
【0028】柔軟な共重合体を得る目的では、更にポリ
エステルの他にポリアルキルエーテルを使用することも
好ましい。本発明にはポリエステルおよび、またはポリ
エーテルの1種以上またはこれらの混合物を特に制限な
く用いることができるが、用いるポリマーの分子量の比
較的大きなもの、具体的には重量平均分子量10,00
0〜300,000、更に好ましくは重量平均分子量2
0,000〜200,000で、融点または軟化点が1
80℃以下であるものが好ましい。
【0029】従って、本発明で使用するポリエステルと
しては、特にその構造は問わないが、高分子量の乳酸系
共重合ポリエステルを得るために、高分子量ポリエステ
ルを用いることが好ましく、具体的には重量平均分子量
で10,000〜250,000である。また高分子量
のポリエステルを得る為には、ジカルボン酸成分とジオ
ール成分のモル分率はほぼ1であることが好ましい。
【0030】ポリエステル中のジカルボン酸成分として
は、特に限定されないが、具体的にはコハク酸、アジピ
ン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、シクロ
ヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。この他にダイマ
ー酸等も使用することが出来る。芳香族系のものも使用
でき、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタ
レンジカルボン酸、無水フタル酸、等が挙げられる。
【0031】これらのジカルボン酸等とのアルコール、
およびジオールとのエステルももちろん原料として使用
し得る。なかでも炭素原子数4〜14の脂肪族ジカルボ
ン酸成分であることが好ましい。
【0032】ポリエステル中のジオール成分に関して
は、ジオールであれば特に種類を問わないが、なかでも
炭素数が2〜10のジオールが好ましく、具体的にはエ
チレングリコール、1,2−プロピレングリコール、
1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリ
コール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレ
ングリコール、ペンタンジオール、ヘキサメチレングリ
コール、
【0033】オクタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ジプロピレングリコール、ジブタンジオール、3−ヒド
ロキシピバリルピバレート等、および、水添ビスフェノ
ールAが挙げられる。
【0034】本発明ではポリエーテルを使用することも
可能で、本発明で使用するポリエーテルとしては、特に
その構造は問わないが、重量平均分子量で10,000
〜250,000である。
【0035】ポリエーテル中のジオール成分に関して
は、ジオールであれば特に種類を問わないが、なかでも
炭素数が2〜10のジオールが好ましく、具体的にはエ
チレングリコール、1,2−プロピレングリコール、
1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリ
コール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレ
ングリコール、ペンタンジオール、ヘキサメチレングリ
コール、オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、
シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコールが挙
げられる。
【0036】高分子量のポリエーテルの原料としてはエ
ポキシの開環重合体がある。具体的にはエチレンオキサ
イド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シ
クロヘキシルオキサイド、メチルシクロヘキシルオキサ
イドが挙げられる。
【0037】ポリエステルおよびポリエーテルの分子量
は高い方が好ましく、両ポリマー合成後に架橋反応によ
って高分子量化したものでも良い。また、ポリエステル
およびポリエーテルは必ずしも直鎖状である必要はな
く、3官能性以上のモノマーを含んでも良い。ポリエス
テルの場合は縮重合時に添加してもよく、また、ポリエ
ステルを合成後に架橋反応によって分岐、高分子量化し
ても良い。
【0038】加える架橋剤、3官能性以上のモノマーの
例としては、多官能性イソシアネート、酸無水物、多価
アルコール、多価カルボン酸、多価エポキサイド、多価
カルボン酸多価オール等が挙げられる。具体的には、ヘ
キサメチレンジイソシアネート、フェニルジイソシアネ
ート、ジフェニルジイソシアネート、トリメリット酸、
ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリッ
ト酸、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、リンゴ
酸等が挙げられる。
【0039】乳酸成分の使用割合については、特に制約
はないが、好ましくは乳酸成分とポリエステルおよびポ
リエーテルの合計100重量部に対して25〜98重量
部である。より柔軟性の良い樹脂を得る為には、乳酸成
分とポリエステルの合計100重量部に対して25〜8
5重量部である。より硬質な樹脂を得る為には乳酸成分
とポリエステルの合計100重量部に対して60〜98
重量部である。
【0040】乳酸成分とポリエステル成分の共重合はブ
ロック状になっていることが好ましく、耐熱性の良い乳
酸系共重合ポリエステルが得られる。重合反応には縮合
法による場合、触媒を使用することが望ましい。
【0041】触媒としては一般にエステル化触媒、エス
テル交換触媒としても知られる、錫、亜鉛、鉛、チタ
ン、ビスマス、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属お
よびその誘導体が挙げられ、誘導体については特に金属
有機化合物、炭酸塩、酸化物、ハロゲン化物が好まし
い。
【0042】具体的には、酢酸錫、オクタン酸錫、塩化
錫、ジブチル酸化錫、ジエトキシ錫、塩化亜鉛、酢酸亜
鉛、オクタン酸亜鉛、酸化鉛、炭酸鉛、塩化チタン、ア
ルコキシチタン、酸化ゲルマニウム、酸化ジルコニウム
が適している。触媒量は少ない方が好ましいが、乳酸系
共重合ポリエステルの合計の重量に対して、通常10〜
2,000ppm添加する。特に5〜1,000ppm
が好ましい。
【0043】乳酸系共重合ポリエステルには、低分子量
のオリゴマー成分、ラクタイド、溶剤および未反応のポ
リエステル成分が含まれると、結晶化を妨げるのみなら
ず、乳酸系共重合ポリエステルの耐熱性、保存安定性を
悪化させることになるので、これらの物質を取り除く目
的で重合は十分に行い、更に重合後に減圧下に脱揮を行
うことが望ましい。
【0044】特に、乳酸系共重合ポリエステルをシート
状にした場合、これら低分子量成分は水分の付着等によ
る加水分解や熱による融着の原因となり好ましくない。
また製品化したフィルム・シートからラクタイドは昇華
により飛散する為、包装商品の汚染を生じ好ましくな
い。この為、本発明の乳酸系共重合ポリエステル中の残
留ラクタイド量は1重量%以下にすることが望ましく、
更に好ましくは0.1%以下である。
【0045】具体的な脱揮の方法としては、重合後に減
圧下、加熱しながら取り出しを行う方法が好ましい。乳
酸系共重合ポリエステルの分子量を低下させない為に、
脱揮条件は、脱揮時間は1〜30分、温度は145〜2
30℃、減圧度は0.1〜50Torrで行なうことが
好ましい。
【0046】また重合終了後に、乳酸系共重合ポリエス
テルをペレット化、または粉砕し、減圧下、加熱しなが
ら取り出しを行う方法もある。この場合も乳酸系共重合
ポリエステルの分子量を低下させない目的で、脱揮時間
は3〜400分、温度は60〜200℃、減圧度は0.
1〜50Torrが好ましい。
【0047】他の低分子量物の除去方法としては、重合
後に溶剤存在状態またはバルク状態、ペレット状態の乳
酸系共重合ポリエステルを良溶剤に溶解し貧溶媒中で析
出させる方法がある。この析出処理後、更に減圧下、加
熱しながら乾燥を行う方法が好ましい。また、重合後に
溶剤中からポリマーを析出させ、減圧下、加熱しながら
乾燥を行う方法で行なうこともできる。
【0048】
【実施例】以下に実施例および比較例を示して本発明を
更に具体的に説明する。なお、例中の部は特に記載のな
い限り全て重量基準である。
【0049】〔実施例1〕芳香族系ポリエステル(テレ
フタル酸成分25モル%、イソフタル酸成分25モル
%、エチレングリコール成分20モル%、ネオペンチル
グリコール成分30モル%、数平均分子量39,400
(ポリスチレン換算)、軟化点163℃)10重量部に
L−ラクタイド90重量部を加えて、不活性ガスで雰囲
気を置換し、165℃で1時間、両者を溶融・混合さ
せ、エステル化触媒としてオクタン酸錫を200ppm
加えた。
【0050】この後8時間、反応を行い、生成した共重
合体組成物を取り出した。得られた乳酸系共重合ポリエ
ステルは透明な樹脂であった。GPCの結果から分子量
127,800を持った単一組成の乳酸系共重合ポリエ
ステルが確認された。ラクタイドは2.7%が残留し
た。この乳酸系共重合ポリエステルの示差熱量分析(以
下DSCと略す。)を行った結果、ガラス転移点は5
2.7℃、融点は176.5℃であった。
【0051】この乳酸系共重合ポリエステルを約3mm
角の粒状にした後に100℃で20分間の結晶化を行っ
た。透明であった乳酸系共重合ポリエステルは白色に変
化した。結晶化した乳酸系共重合ポリエステルに温度を
かけたブロッキング実験を行った。乳酸系共重合ポリエ
ステルを130〜170℃に加熱したチャンバー内で3
0分間放置し、ブロッキングを評価した。
【0052】結果を表1に示す。表中、ブロッキングし
なかったものを○、ブロッキングが僅かで簡単に元の状
態に戻るものは△、ブロッキングしたものを×、の3段
階で示した。140℃まではブロッキングせず、150
℃でわずかに見られるに留まった。
【0053】〔実施例2〕脂肪族系ポリエステル(セバ
シン酸成分49.8モル%、プロピレングリコール成分
49.8モル%、ピロメリット酸成分0.4モル%、分
子量110,000)30重量部にL−ラクタイド68
重量部とD−ラクタイド2重量部を加えて、不活性ガス
で雰囲気を置換し、165℃で1時間、両者を溶融・混
合させ、エステル化触媒としてオクタン酸錫を200p
pm加えて8時間、反応を行った。
【0054】得られた乳酸系共重合ポリエステルは褐色
を帯びた透明性を有する共重合体であり、GPCの結果
から分子量123,000の乳酸系共重合ポリエステル
と確認された。ラクタイドは3.1%が残留した。この
乳酸系共重合ポリエステルのガラス転移点は57.4
℃、融点は157.0℃であった。
【0055】この乳酸系共重合ポリエステルを約3mm
角の粒状にした後、120℃で15分間の結晶化を行っ
た。透明であった乳酸系共重合ポリエステルは白色に変
化した。この結晶化した乳酸系共重合ポリエステルに温
度をかけたブロッキング実験を行った。結果を表1に示
した。140℃まではブロッキングせず、150℃でわ
ずかに見られるに留まった。
【0056】〔実施例3〕芳香族ジカルボン酸成分およ
び脂肪族ジカルボン酸成分を含むポリエステル(テレフ
タル酸成分14モル%、イソフタル酸成分16モル%、
アジピン酸成分20モル%、エチレングリコール成分2
8モル%、ネオペンチルグリコール成分22モル%、数
平均分子量19,800(ポリスチレン換算))10部
にL−ラクタイド75部とD−ラクタイド15部とを加
えて、不活性ガス雰囲気下で、165℃で1時間、混合
させ、エステル化触媒としてオクタン酸錫を0.02部
加えて8時間、反応を行った。
【0057】GPCの結果から分子量121,000の
乳酸系共重合ポリエステルが確認された。ラクタイドモ
ノマーは3.1%が残留した。ガラス転移点は45℃、
融点は151℃であった。この乳酸系共重合ポリエステ
ルを約3mm角の粒状にした後に120℃で30分間の
結晶化を行った。透明であった乳酸系共重合ポリエステ
ルは白色に変化した。この結晶化した乳酸系共重合ポリ
エステルに温度をかけたブロッキング実験を行った。結
果を表1に示した。
【0058】〔実施例4〕ステンレス304製のアンカ
ー翼を持った20Lフラスコを使用して重合を行った。
脂肪族系ポリエステル(テレフタル酸成分14モル%、
イソフタル酸成分16モル%、アジピン酸成分20モル
%、エチレングリコール成分28モル%、ネオペンチル
グリコール成分22モル%、数平均分子量19,800
(ポリスチレン換算))4部にL−ラクタイド79部お
よびD−ラクタイド2部を加え、
【0059】更に溶剤としてトルエンを15部を加え、
不活性ガスで雰囲気を置換し、100℃で1時間、両者
を溶融・混合させ、エステル化触媒としてオクタン酸錫
を0.02部加えて165℃で1時間、この後175℃
で3.5時間の反応を行った。
【0060】反応終了時の乳酸系共重合ポリエステルを
サンプリングすると無色透明な樹脂であった。この重合
溶液を高粘度用の保温可能なギヤポンプで熱交換器、脱
揮槽等からなる装置へ重合溶液を導き、脱揮処理を行っ
た。脱揮装置の前の熱交換器の温度は190℃、脱揮槽
の真空度は2〜10Torrであった。
【0061】得られた乳酸系共重合ポリエステルをペレ
ット化した後に、各種の性状や物性測定を行った。GP
Cの結果から分子量166,000の乳酸系共重合ポリ
エステルが確認され、ラクタイドは0.6%が残留した
が、トルエンは確認されなかった。融点159℃の無色
透明の乳酸系共重合ポリエステルが得られた。
【0062】この乳酸系共重合ポリエステルペレットを
60分間、100℃の乾燥チャンバー中、乾燥結晶化し
た。ブロッキング実験を行うと、150℃でもブロッキ
ングしないペレットであった。この後、ホットプレスで
10cm×10cm、厚さ100μmのシートとした。
透明なシートが得られた。
【0063】〔実施例5〕内径0.5インチ、長さ60
センチのスタティック・ミキサーを4基直列に連結した
循環重合ラインと、内径3/4インチ、長さ50センチ
のスタティック・ミキサー(ノリタケ製、ミキシングエ
レメント15個内蔵)を4基直列に、循環用ギヤポンプ
を備えた循環重合ラインより引き続き連結した重合ライ
ンとからなる重合領域を有する連続重合装置を用いた。
【0064】触媒は触媒供給ポンプにより、主原料供給
ポンプの直前で内径1/4インチ、長さ15.5cmの
スタティックミキサー(ノリタケ製、ミキシングエレメ
ント12個内蔵)により主原料と混合される。
【0065】窒素ガス雰囲気下で調製した主原料溶液と
して、L−ラクタイド93部、D−ラクタイド2部、脂
肪族系ポリエステル(セバシン酸成分49.8モル%、
プロピレングリコール成分49.8モル%、ピロメリッ
ト酸成分0.4モル%、重量平均分子量110,00
0)5部、触媒としてオクタン酸錫0.02部用い、以
下の条件で連続的に重合した。
【0066】主原料供給流量:400ml/時間、触媒
供給流量:1.6ml/時間、反応温度:175℃、循
環重合ラインに循環される流量:2l/時間、還流比:
【0067】この重合溶液を高粘度用の保温可能なギヤ
ポンプで熱交換器、脱揮槽等からなる装置へ重合溶液を
導き、脱揮処理を行った。脱揮装置の前の熱交換器の温
度は230℃、脱揮槽の真空度は2〜12Torrであ
った。ダイスよりストランド状に押し出し、約5分空冷
して結晶化し、水冷後にペレタイザーによって切断し
た。これをペレット化した後に、各種の性状や物性測定
を行った。
【0068】GPC分析での分子量180,000、融
点160℃の乳酸系共重合ポリエステルが得られた。こ
の白色の結晶化ペレットからホットプレス機で200μ
m厚の透明なフィルムを作成した。引っ張り弾性率は1
3,000kg/cm2であった。このペレットのブロ
ッキング実験を行うと、150℃でもブロッキングしな
いペレットであった。
【0069】〔実施例6〕実施例5で得られた結晶化ペ
レットを十分に絶乾状態にし、押出温度185℃の条件
で、L/D=12の押し出しスクリュー径25mmのニ
ーダー(栗本鉄工所株式会社製)によりストランド状に
押し出し、空冷することによって結晶化した。結晶ペレ
ットは噛み込みよくシリンダーに入った。ストランドは
約5mごとに切断し、20分空冷し、ペレタイザーによ
って切断した。ブロッキング実験を行うと、150℃で
もブロッキングしないペレットであった。
【0070】〔比較例1〕実施例4で作成した乳酸系共
重合ポリエステルペレットを結晶化せず、温度をかけた
ブロッキング実験を行った。結果を表1に示した。12
0℃でブロッキングが始まり、130℃からブロッキン
グした。
【0071】
【表1】
【0072】
【発明の効果】本発明は、ガラス転移温度が低く、加工
成形機等へローディングしにくい乳酸系共重合ポリエス
テルの成形機のスクリュー近辺での融着、乾燥を室温以
上の温度で行う場合の融着、更に、輸送、保管時での粒
状物の融着問題を解決する乳酸系共重合ポリエステル粒
状物の製造方法を提供できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳酸成分とジカルボン酸成分とジオール
    成分とから成る乳酸系共重合ポリエステルをガラス転移
    点温度以上、融点温度未満で結晶化させることを特徴と
    する乳酸系共重合ポリエステル粒状物の製造方法。
  2. 【請求項2】 結晶化温度が60〜140℃であること
    を特徴とする請求項1記載の乳酸系共重合ポリエステル
    粒状物の製造方法。
  3. 【請求項3】 重合後の乳酸系共重合ポリエステルを徐
    々に冷却して結晶化させることを特徴とする請求項1お
    よび2のいずれか1つに記載の乳酸系共重合ポリエステ
    ル粒状物の製造方法。
  4. 【請求項4】 固化した乳酸系共重合ポリエステルを加
    温して結晶化させることを特徴とする請求項1から3の
    いずれか1つに記載の乳酸系共重合ポリエステル粒状物
    の製造方法。
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