JPH08165245A - 血小板保存液 - Google Patents
血小板保存液Info
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- JPH08165245A JPH08165245A JP6333289A JP33328994A JPH08165245A JP H08165245 A JPH08165245 A JP H08165245A JP 6333289 A JP6333289 A JP 6333289A JP 33328994 A JP33328994 A JP 33328994A JP H08165245 A JPH08165245 A JP H08165245A
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Abstract
囲内に維持する緩衝能を持ち、通常雰囲気下での血小板
保存が可能であり、さらに、熱滅菌に対する安定性を備
えた血小板保存液を提供する。 【構成】 5〜20mmol/Lのグルコース、2〜2
0mmol/Lの重炭酸ナトリウム、5〜30mmol
/Lの酢酸および/またはその塩を含有し、かつ、pH
が6.5〜7.4である血小板保存液。
Description
る。
CD液で凝固阻止された全血から製造され、濃縮血小板
(PC)として血漿中に浮遊した状態で保存されてい
る。従って、血小板の保存に用いられた血漿は、血小板
輸血を必要とする患者に血小板と共に輸注される。この
場合、血小板を保存するために用いられた血漿は、受血
者に発熱・悪寒・ショックなどのアレルギー・免疫反応
を引き起こすことがあり、輸血の副作用として問題とな
っている。
免疫不全ウィルス(HIV)感染者の発生が大きな社会
問題となっており、国内での血漿製剤の自給のため、こ
れに必要な量の血漿を確保することが必要となってい
る。
て、PC中の血漿をできるだけ少なくすることにより、
副作用発生の減少と血漿製剤用への利用を図り、血漿の
かわりに血小板保存液を添加することが検討されてい
る。
る。1つは血小板への代謝基質の供給であり、もう1つ
はpHなど血小板をとりまく環境の維持である。したが
って、一般に血小板保存液には代謝基質としてグルコー
スや酢酸塩、pH維持のためにグルコン酸塩やリン酸塩
などの緩衝剤が添加される。このような従来の血小板保
存液を用いて血小板を保存する場合、血漿を保存液で完
全には置換せずに約20%程度以上の血漿を混入させて
おく必要がある。なぜならば、従来の血小板保存液に用
いられているグルコン酸塩やリン酸塩のpH緩衝能が不
十分なため、これを血漿の緩衝作用で補わなければなら
ないからである。しかしながら、血漿由来の輸血副作用
を防止するためには血漿をほぼ完全に(95%以上)除
去する必要があり、この目的には従来の血小板保存液は
不適当である。もちろん、グルコン酸塩・リン酸塩など
の緩衝剤の濃度を非常に高くすれば十分なpH緩衝能が
得られるが、このような液が体内に輸注された場合、腎
臓などの臓器に負担がかかり、臨床上好ましくない結果
を引き起こすことが懸念される。
ために、生理的適合性が高くまた緩衝能が大きい緩衝剤
として、重炭酸塩を使用した血小板保存液が提案されて
いる(特表昭63−503381号)。しかしながら、
この保存液には、血中濃度に匹敵する23〜50mmo
l/Lという高濃度の重炭酸塩が配合されているため、
通常雰囲気中(空気中)に放置しておくと、重炭酸塩が
炭酸ガスとなって揮散してpHが急激に上昇する。この
ため5%炭酸ガス雰囲気中で血小板を保存する必要があ
り、特別な装置を必要とする。
た液を加熱滅菌すると、血小板保存液中の他の成分、特
にカルシウム,マグネシウムと反応して炭酸塩の沈殿が
生じたり、また加熱中のpHの上昇によってグルコース
が変性、分解して液が着色する等の問題があるため、実
用化されていない。
であるCPD液と、細胞浮遊液として知られているTy
rode(タイロード)液を混合したCPD−Tyro
de液が提案されている(米国特許明細書4,447,
415号)。この液によれば、通常雰囲気下(空気中)
での血小板の保存が可能であるが、血小板の代謝基質と
して重要な酢酸塩が含まれていないため、長期(3日以
上)の保存には不適である。
換可能で、通常雰囲気下(空気中)で血小板機能を良好
に保存でき、安全性の高い血小板保存液が切望されてい
る。従って、本発明の目的は、血漿とほぼ完全に置換し
てもpHを良好な範囲内に維持する緩衝能を持ち、通常
雰囲気下での血小板保存が可能であり、さらに、熱滅菌
に対する安定性を備えた血小板保存液を提供することに
ある。
は、5〜20mmol/Lのグルコース、2〜20mm
ol/Lの重炭酸ナトリウム、5〜30mmol/Lの
酢酸および/またはその塩を含有し、かつ、pHが6.
5〜7.4である血小板保存液である。
mEq/Lのナトリウムイオン、2〜6mEq/Lのカ
リウムイオン、1〜5mmol/Lのマグネシウム塩、
2〜10mmol/Lのクエン酸および/またはその
塩、5〜15mmol/Lのリン酸および/またはその
塩を含有していることが好ましい。また、血小板保存液
は、血小板を5日間保存した時のpHが6.5〜7.4
の範囲にあることが好ましい。
と、該容器内に収納された上記の血小板保存液とからな
り、加熱滅菌されている血小板保存液である。
る。本発明の血小板保存液は、5〜20mmol/Lの
グルコース、2〜20mmol/Lの重炭酸ナトリウ
ム、5〜30mmol/Lの酢酸および/またはその塩
を含有し、かつ、pHが6.5〜7.4に調整され、さ
らに、熱滅菌されている。
配合する組成を上記のように選択により、高いpH緩衝
能と、通常雰囲気下(空気中)での血小板保存が可能で
あり、さらに、100℃以上の熱滅菌を行っても、グル
コースの変性、分解などが発生せず、それに起因する着
色なども生じない。このため、熱滅菌された状態で提供
するすることができる。つまり、本発明の血小板保存液
は、従来の重炭酸塩含有の血小板保存液(特表昭63−
503381号)に比較して重炭酸の含有量が低いた
め、100℃以上の高圧蒸気滅菌または熱水滅菌によっ
てもグルコースの分解はほとんど起こらず、着色や沈澱
も認められない。
をさらに向上させるためには、血小板保存液は、他には
生理的な成分、例えばナトリウム、カリウム、マグネシ
ウム、酢酸、クエン酸、リン酸等を生理的な濃度あるい
は血小板の機能維持に最適な濃度で含有することが好ま
しい。
た好適配合としては、5〜20mmol/Lのグルコー
ス(好ましくは、10〜18mmol/L)、2〜20
mmol/Lの重炭酸ナトリウム(好ましくは、2〜1
5mmol/L)、5〜30mmol/Lの酢酸および
/またはその塩(好ましくは、10〜20mmol/
L)、100〜200mEq/Lのナトリウムイオン
(なお、このナトリウムイオンは血小板保存液中の全ナ
トリウムイオンを示す)、2〜6mEq/Lのカリウム
イオン、1〜5mmol/Lのマグネシウム塩、2〜1
0mmol/Lのクエン酸および/またはその塩、5〜
15mmol/Lのリン酸および/またはその塩を含有
し、pHが約6.5〜約7.4、好ましくは、6.7〜
7.1に調整される。
ほぼ完全に置換しても、通常雰囲気下で少なくとも5日
間の血小板の保存においても、pHが6.5〜7.4の
範囲に維持できるものであり、逆に、このような効果が
生じるように上記の成分の配合比を調整することが好ま
しい。さらに、好ましくは6.7〜7.1の間に維持で
きることが望ましい。
ついて説明する。本発明の血小板保存液は、容器と、該
容器内に収納された血小板保存液とからなり、加熱滅菌
されている。血小板保存液については、上述した通りで
ある。
かつ、血小板保存が可能であればどのようなものでもよ
く、硬質容器、軟質容器のいずれでもよい。好ましく
は、取り扱いの容易なことより、軟質容器が好適であ
り、例えば、血液保存容器(例えば、血液バッグ)、さ
らに、輸液用のプラスチック容器などが使用が可能であ
り、特に高圧蒸気滅菌または熱水滅菌に耐えられるもの
が使用される。
り、輸液用プラスチック容器試験に適合するものであれ
ば通常のものでもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプ
ロピレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体等であり、高圧蒸気滅菌また
は熱水滅菌可能なものが使用できる。さらに、容器とし
ては、血小板を収納可能な内部収納力を有すること、お
よび、血小板を注入するための注入口を有することが好
ましい。注入口としては、無菌的に接続可能なものが好
適である。
を有するため、収納した血小板保存液中の水分の蒸散に
より、成分濃度が変化、炭酸ガスの流出による重炭酸ナ
トリウムの濃度変化などの可能性がある。このため、合
成樹脂容器を用いる場合、合成樹脂の表面にガスバリヤ
ー性を有する樹脂を被覆するか、血小板保存液の包装形
態による対応を行うことが好ましい。
用いることが考えられる。そして、血小板保存液の外面
の滅菌性を保証するためには、ガスバリアー性包材内に
血小板保存液を収納した状態で、熱滅菌することが好ま
しい。このため、ガスバリアー性包材としては、高圧蒸
気滅菌または熱水滅菌に耐えられるものが好適となる。
ガスバリアー性包材の具体例としては、炭酸ガス透過性
が50ml/m2・24hr・atm(25℃−70%R
H)以下のものが望ましく、例えば、ポリエチレンテレ
フタレート(PET)、エチレンビニルアルコール共重
合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC),
ポリアミド(PA)、アルミラミネート等のものやこれ
らの材質の組み合わせからなる多層フィルムからなるも
の、あるいはこれらの多層フィルムに酸化金属やセラミ
ックを蒸着コートしたもの等が挙げられる。容器をガス
バリアー性包材で包装する形態については、通常の工程
によっておこなわれている真空包装が好適である。
しては、アルミナ蒸着PETフィルム[PET−Al、
PET/アルミナ蒸着PET/CPP(ポリプロピレ
ン),富士産業株式会社製)]、エチレンビニルアルコ
ール共重合体ラミネートフィルム(PET/EVOH/
NY(ナイロン)/CPP,富士産業株式会社製)、ポ
リ塩化ビニリデンラミネートフィルム[酸化金属蒸着P
ET/PVDC−MA(メチルアクリレート)/PA
(ポリアミド)/CPP,細川洋行株式会社製]、ラミ
ネートPETフィルム[PET/SiOx蒸着PET/
CPP、凸版印刷株式会社製]などがある。
脂の表面にガスバリヤー性を有する樹脂を被覆方法とし
ては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレ
ンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビ
ニリデン(PVDC),ポリアミド(PA)などを被覆
することが考えられる。
が充填された容器は、このまま、もしくは、上記のよう
に包装された後、熱滅菌される。熱滅菌としては、高圧
蒸気滅菌もしくは熱水滅菌が好適であるが、特に、高圧
蒸気滅菌が好適であり、例えば、100〜120℃で1
0〜60分程度行うことが考えられる。このようにし
て、本発明の血小板保存液中の血小板保存液は、調整さ
れた濃度およびpH条件が、使用時まで維持され、保存
中での変性がほとんどない。
について説明する。
の血小板保存液および本発明の範囲を外れる表2に示す
組成の比較例1〜5の血小板保存液を調製した。これら
の液を200mlずつエチレンビニルアルコール共重合
体製の軟質プラスチックバックに充填し、高圧蒸気滅菌
(110℃、20分間)を行い、血小板保存液を作成し
た。
記実施例1〜3および比較例1〜5の血小板保存液を室
温まで冷却した。そして、以下の点について確認した。 血小板保存液の外観の肉眼による観察 pH測定[使用機器:pHメーター(東亜電波工業
株式会社製、HM−20E型)] 浸透圧測定[使用機器:浸透圧計(アドバンスド・
インダストリーズ・インク製、3C2型)] グルコースの分解生成物である5−ヒドロキシメチ
ルフルフラール(5−HMF)の生成量の指標となる2
84nmにおける吸光度の測定[使用機器:分光吸光度
計(島津製作所株式会社製:MPS−2000型)]
果]本発明の実施例1〜3の血小板保存液、および比較
例1・2・5の液においては外観は無色澄明であり28
4nmの吸光度も0.003以下であったが、重炭酸濃
度の高い比較例3の液では液の着色および沈殿の生成が
おこり、また284nmの吸光度も0.082に達し、
成分が変性していることが示された。また、リン酸濃度
の高い比較例5の液では沈殿の生成見られた。
(A型)の健常成人からそれぞれ400mlの血液を市
販の血液バッグ(テルモ製:BB−TC407J、CP
D液入り)に採血し、1250Gで6分間遠心して上層
に多血小板血漿(PRP)を得た。8人分のPRPを混
合した後、8つの血液バッグ(テルモ製:BB−TC4
07Jの子バッグ)に150mlずつ分注した。これら
のバッグを3000Gで6分間遠心し、上澄の乏血小板
血漿(PPP)を除去し、残った血小板ぺレットに実施
例1〜3、比較例1〜5の液50mlを加えて1時間静
置した後に、血液バッグ用振盪機(タイテック製、NR
−30型)で1時間振盪して血小板を再浮遊させた。得
られた濃縮血小板(PC)を振盪しながら22℃で5日
間保存した。
サンプリングし、pHおよびATP(アデノシン三リン
酸)含有量を測定した。pHの測定は血液ガス分析装置
(ラジオメーター株式会社製、ABL−30型)で、A
TP量はPCを0.6N過塩素酸で除タンパクした後に
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(島津製作所
株式会社製、LC−6A型)で測定した。
TP含有量の変動を図1〜3に示す。本発明の実施例1
〜3の液中で保存した血小板はいずれも良好な血小板保
存能を示したのに対して、比較例1〜5の液では血小板
保存能が著しく劣っていた。すなわち、比較例1の液は
グルコースを含有しないため代謝基質が枯渇し、保存
3、5日目にATP含有量が顕著に低下した。比較例2
の液は重炭酸塩を含有しないためpH緩衝能が不足し、
保存3、5日目にpHの著しい低下を示した。また、高
濃度の重炭酸塩を含有する比較例3の液においてはpH
が著しく上昇し、この環境悪化によって血小板の代謝が
阻害され、結果としてATPレベルの顕著な低下を示し
た。さらに、比較例4および5の液は酢酸塩を含有しな
いために代償的にグルコースの嫌気的代謝が亢進して多
量の乳酸が産生され、保存3、5日目にpHの著しい低
下を示した。
C:白色沈殿 D:ATPレベル低下,E:pH低下,F:pH上昇・
代謝阻害
1〜3の血小板保存液を200mlずつエチレンビニル
アルコール共重合体製の軟質プラスチックバックに注入
した。軟質プラスチックバックとしては、容量400m
l、接続針および注射針による接続可能な注入口を有す
るものを用いた。そして、ラミネートガスバリヤー性包
材(アルミナ蒸着PETフィルム、PET−Al、PE
T/アルミナ蒸着PET/CPP,富士産業株式会社
製)にて真空包装したのち、高圧上記滅菌(110℃、
20分間)を行い、本発明の血小板保存液を作成した。
ol/Lのグルコース、2〜20mmol/Lの重炭酸
ナトリウム、5〜30mmol/Lの酢酸および/また
はその塩を含有し、かつ、pHが6.5〜7.4であ
る。特に、5〜20mmol/Lのグルコースを含有す
るから、血小板は十分な量の代謝基質を得ることがで
き、保存中そのATPレベルが高く維持される。また、
2〜20mmol/Lの重炭酸ナトリウムを含有しかつ
pHが6.5〜7.4の範囲にあるから、保存中のpHが
良好に維持され、通常雰囲気(空気中)で保存してもp
Hが高くなりすぎることがなく、血漿とほぼ完全に置換
してもpHを良好な範囲内に維持する緩衝能を持ち、通
常雰囲気下での血小板保存が可能である。
上記範囲であるため、熱滅菌を行ってもグルコースの変
性がなく、それに起因する着色なども生じなく、熱安定
性が高い。そして、この血小板保存液を用いることによ
り、実質的に血漿を使用しないで血小板を良好に保存で
き、血漿輸注にう起因する臨床上の問題もなく安全であ
る。さらに、特殊な設備を必要とせずに通常雰囲気下で
容易に血小板が保存可能である。
該容器内に収納された上記の血小板保存液とからなり、
加熱滅菌されているので、血小板保存にそのまま使用で
きる。さらに、容器として、血小板の注入が可能なもの
であれば、この容器内に血小板を注入することにより、
血小板を容易に保存することができる。
保存液の血小板保存性の確認実験におけるpH変動を示
す図である。
保存液の血小板保存性の確認実験における乳酸産生量変
動を示す図である。
保存液の血小板保存性の確認実験におけるATP含有量
変動を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 5〜20mmol/Lのグルコース、2
〜20mmol/Lの重炭酸ナトリウム、5〜30mm
ol/Lの酢酸および/またはその塩を含有し、かつ、
pHが6.5〜7.4であることを特徴とする血小板保
存液。 - 【請求項2】 100〜200mEq/Lのナトリウム
イオン、2〜6mEq/Lのカリウムイオン、1〜5m
mol/Lのマグネシウム塩、2〜10mmol/Lの
クエン酸および/またはその塩、5〜15mmol/L
のリン酸および/またはその塩を含有している請求項1
の血小板保存液。 - 【請求項3】 血小板を5日間保存した時のpHが6.
5〜7.4の範囲にある請求項1または2の血小板保存
液。 - 【請求項4】 容器と、該容器内に収納された血小板保
存液とからなり、加熱滅菌されていることを特徴とする
血小板保存液。
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