JP4041171B2 - 血小板保存液 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、血小板保存液に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、血小板製剤は、CPD液またはACD液で凝固阻止された全血から製造され、濃縮血小板(PC)として血漿中に浮遊した状態で保存されている。従って、血小板の保存に用いられた血漿は、血小板輸血を必要とする患者に血小板と共に輸注される。この場合、血小板を保存するために用いられた血漿は、受血者に発熱・悪寒・ショックなどのアレルギー・免疫反応を引き起こすことがあり、輸血の副作用として問題となっている。
【0003】
さらに、近年輸入血漿製剤に由来するヒト免疫不全ウィルス(HIV)感染者の発生が大きな社会問題となっており、国内での血漿製剤の自給のため、これに必要な量の血漿を確保することが必要となっている。
【0004】
これらの問題を解決する一つの方法として、PC中の血漿をできるだけ少なくすることにより、副作用発生の減少と血漿製剤用への利用を図り、血漿のかわりに血小板保存液を添加することが検討されている。
【0005】
血小板の保存に果たす血漿の役割は2つある。1つは血小板への代謝基質の供給であり、もう1つはpHなど血小板をとりまく環境の維持である。したがって、一般に血小板保存液には代謝基質としてグルコースや酢酸塩、pH維持のためにグルコン酸塩やリン酸塩などの緩衝剤が添加される。このような従来の血小板保存液を用いて血小板を保存する場合、血漿を保存液で完全には置換せずに約20%程度以上の血漿を混入させておく必要がある。なぜならば、従来の血小板保存液に用いられているグルコン酸塩やリン酸塩のpH緩衝能が不十分なため、これを血漿の緩衝作用で補わなければならないからである。しかしながら、血漿由来の輸血副作用を防止するためには血漿をほぼ完全に(95%以上)除去する必要があり、この目的には従来の血小板保存液は不適当である。もちろん、グルコン酸塩・リン酸塩などの緩衝剤の濃度を非常に高くすれば十分なpH緩衝能が得られるが、このような液が体内に輸注された場合、腎臓などの臓器に負担がかかり、臨床上好ましくない結果を引き起こすことが懸念される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の問題を解決するために、生理的適合性が高くまた緩衝能が大きい緩衝剤として、重炭酸塩を使用した血小板保存液が提案されている(特表昭63−503381号)。しかしながら、この保存液には、血中濃度に匹敵する23〜50mmol/Lという高濃度の重炭酸塩が配合されているため、通常雰囲気中(空気中)に放置しておくと、重炭酸塩が炭酸ガスとなって揮散してpHが急激に上昇する。このため5%炭酸ガス雰囲気中で血小板を保存する必要があり、特別な装置を必要とする。
【0007】
また、かかる高濃度の重炭酸塩が配合された液を加熱滅菌すると、血小板保存液中の他の成分、特にカルシウム,マグネシウムと反応して炭酸塩の沈殿が生じたり、また加熱中のpHの上昇によってグルコースが変性、分解して液が着色する等の問題があるため、実用化されていない。
【0008】
さらに別の方法として、血液抗凝固保存液であるCPD液と、細胞浮遊液として知られているTyrode(タイロード)液を混合したCPD−Tyrode液が提案されている(米国特許明細書4,447,415号)。この液によれば、通常雰囲気下(空気中)での血小板の保存が可能であるが、血小板の代謝基質として重要な酢酸塩が含まれていないため、長期(3日以上)の保存には不適である。
【0009】
このような現状から、血漿とほぼ完全に置換可能で、通常雰囲気下(空気中)で血小板機能を良好に保存でき、安全性の高い血小板保存液が切望されている。
従って、本発明の目的は、血漿とほぼ完全に置換してもpHを良好な範囲内に維持する緩衝能を持ち、通常雰囲気下での血小板保存が可能であり、さらに、熱滅菌に対する安定性を備えた血小板保存液を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するものは、内部に血小板保存液が充填された容器であって、前記血小板保存液は、5〜20mmol/Lのグルコース、2〜20mmol/Lの重炭酸ナトリウム、5〜30mmol/Lの酢酸および/またはその塩を含有し、かつ、pHが6.5〜7.4であり、前記容器は、血小板を収納可能な内部収納力および血小板を注入するための注入口を有する合成樹脂製容器であり、かつ前記合成樹脂の表面にガスバリアー性を有する樹脂の被覆を有するもしくはガスバリアー性包材により包装されており、さらに、前記血小板保存液は、前記容器とともに加熱滅菌されている内部に血小板保存液が充填された容器である。
【0011】
そして、血小板保存液は、100〜200mEq/Lのナトリウムイオン、2〜6mEq/Lのカリウムイオン、1〜5mmol/Lのマグネシウム塩、2〜10mmol/Lのクエン酸および/またはその塩、5〜15mmol/Lのリン酸および/またはその塩を含有していることが好ましい。また、血小板保存液は、血小板を5日間保存した時のpHが6.5〜7.4の範囲にあることが好ましい。
【0012】
また、ガスバリアー性包材は、炭酸ガス透過性が50ml/m2・24hr・atm(25℃−70%RH)以下のものであることが好ましい。
【0013】
本発明の血小板保存液について、説明する。
本発明の血小板保存液は、5〜20mmol/Lのグルコース、2〜20mmol/Lの重炭酸ナトリウム、5〜30mmol/Lの酢酸および/またはその塩を含有し、かつ、pHが6.5〜7.4に調整され、さらに、熱滅菌されている。
【0014】
特に、グルコース及び重炭酸ナトリウムを配合する組成を上記のように選択することにより、高いpH緩衝能と、通常雰囲気下(空気中)での血小板保存が可能であり、さらに、100℃以上の熱滅菌を行っても、グルコースの変性、分解などが発生せず、それに起因する着色なども生じない。このため、熱滅菌された状態で提供することができる。つまり、本発明の血小板保存液は、従来の重炭酸塩含有の血小板保存液(特表昭63−503381号)に比較して重炭酸の含有量が低いため、100℃以上の高圧蒸気滅菌または熱水滅菌によってもグルコースの分解はほとんど起こらず、着色や沈澱も認められない。
【0015】
本発明の血小板保存液の上述のような特性をさらに向上させるためには、血小板保存液は、他には生理的な成分、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、酢酸、クエン酸、リン酸等を生理的な濃度あるいは血小板の機能維持に最適な濃度で含有することが好ましい。
【0016】
本発明の血小板保存液の上記の成分を含めた好適配合としては、5〜20mmol/Lのグルコース(好ましくは、10〜18mmol/L)、2〜20mmol/Lの重炭酸ナトリウム(好ましくは、2〜15mmol/L)、5〜30mmol/Lの酢酸および/またはその塩(好ましくは、10〜20mmol/L)、100〜200mEq/Lのナトリウムイオン(なお、このナトリウムイオンは血小板保存液中の全ナトリウムイオンを示す)、2〜6mEq/Lのカリウムイオン、1〜5mmol/Lのマグネシウム塩、2〜10mmol/Lのクエン酸および/またはその塩、5〜15mmol/Lのリン酸および/またはその塩を含有し、pHが約6.5〜約7.4、好ましくは、6.7〜7.1に調整される。
【0017】
そして、本発明の血小板保存液は、血漿とほぼ完全に置換しても、通常雰囲気下で少なくとも5日間の血小板の保存においても、pHが6.5〜7.4の範囲に維持できるものであり、逆に、このような効果が生じるように上記の成分の配合比を調整することが好ましい。さらに、好ましくは6.7〜7.1の間に維持できることが望ましい。
【0018】
次に、本発明の他の実施例血小板保存液について説明する。
本発明の血小板保存液は、容器と、該容器内に収納された血小板保存液とからなり、加熱滅菌されている。
血小板保存液については、上述した通りである。
【0019】
容器としては、熱滅菌可能なものであり、かつ、血小板保存が可能であればどのようなものでもよく、硬質容器、軟質容器のいずれでもよい。好ましくは、取り扱いの容易なことより、軟質容器が好適であり、例えば、血液保存容器(例えば、血液バッグ)、さらに、輸液用のプラスチック容器などが使用が可能であり、特に高圧蒸気滅菌または熱水滅菌に耐えられるものが使用される。
【0020】
軟質容器の材質としては、合成樹脂であり、輸液用プラスチック容器試験に適合するものであれば通常のものでもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等であり、高圧蒸気滅菌または熱水滅菌可能なものが使用できる。さらに、容器としては、血小板を収納可能な内部収納力を有すること、および、血小板を注入するための注入口を有することが好ましい。注入口としては、無菌的に接続可能なものが好適である。
【0021】
また、合成樹脂は、ある程度のガス透過性を有するため、収納した血小板保存液中の水分の蒸散により、成分濃度が変化、炭酸ガスの流出による重炭酸ナトリウムの濃度変化などの可能性がある。このため、合成樹脂容器を用いる場合、合成樹脂の表面にガスバリヤー性を有する樹脂を被覆するか、血小板保存液の包装形態による対応を行うことが好ましい。
【0022】
包装形態としては、ガスバリアー性包材を用いることが考えられる。そして、血小板保存液の外面の滅菌性を保証するためには、ガスバリアー性包材内に血小板保存液を収納した状態で、熱滅菌することが好ましい。このため、ガスバリアー性包材としては、高圧蒸気滅菌または熱水滅菌に耐えられるものが好適となる。ガスバリアー性包材の具体例としては、炭酸ガス透過性が50ml/m2・24hr・atm(25℃−70%RH)以下のものが望ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC),ポリアミド(PA)、アルミラミネート等のものやこれらの材質の組み合わせからなる多層フィルムからなるもの、あるいはこれらの多層フィルムに酸化金属やセラミックを蒸着コートしたもの等が挙げられる。容器をガスバリアー性包材で包装する形態については、通常の工程によっておこなわれている真空包装が好適である。
【0023】
ラミネートガスバリヤー性包材の具体例としては、アルミナ蒸着PETフィルム[PET−Al、PET/アルミナ蒸着PET/CPP(ポリプロピレン),富士産業株式会社製)]、エチレンビニルアルコール共重合体ラミネートフィルム(PET/EVOH/NY(ナイロン)/CPP,富士産業株式会社製)、ポリ塩化ビニリデンラミネートフィルム[酸化金属蒸着PET/PVDC−MA(メチルアクリレート)/PA(ポリアミド)/CPP,細川洋行株式会社製]、ラミネートPETフィルム[PET/SiOx蒸着PET/CPP、凸版印刷株式会社製]などがある。
【0024】
また、血小板保存用容器を形成する合成樹脂の表面にガスバリヤー性を有する樹脂を被覆方法としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC),ポリアミド(PA)などを被覆することが考えられる。
【0025】
そして、このように、内部に血小板保存液が充填された容器は、このまま、もしくは、上記のように包装された後、熱滅菌される。熱滅菌としては、高圧蒸気滅菌もしくは熱水滅菌が好適であるが、特に、高圧蒸気滅菌が好適であり、例えば、100〜120℃で10〜60分程度行うことが考えられる。
このようにして、本発明の血小板保存液中の血小板保存液は、調整された濃度およびpH条件が、使用時まで維持され、保存中での変性がほとんどない。
【0026】
【実施例】
次に、本発明の血小板保存液の具体的実施例について説明する。
【0027】
(実施例1〜3および比較例1〜5)
[血小板保存液の調整]
表1に示す組成の実施例1〜3の血小板保存液および本発明の範囲を外れる表2に示す組成の比較例1〜5の血小板保存液を調製した。これらの液を200mlずつエチレンビニルアルコール共重合体製の軟質プラスチックバックに充填し、高圧蒸気滅菌(110℃、20分間)を行い、血小板保存液を作成した。
【0028】
[滅菌後の血小板保存液の性状の確認]
上記実施例1〜3および比較例1〜5の血小板保存液を室温まで冷却した。そして、以下の点について確認した。
▲1▼ 血小板保存液の外観の肉眼による観察
▲2▼ pH測定[使用機器:pHメーター(東亜電波工業株式会社製、HM−20E型)]
▲3▼ 浸透圧測定[使用機器:浸透圧計(アドバンスド・インダストリーズ・インク製、3C2型)]
▲4▼ グルコースの分解生成物である5−ヒドロキシメチルフルフラール(5−HMF)の生成量の指標となる284nmにおける吸光度の測定[使用機器:分光光度計(島津製作所株式会社製:MPS−2000型)]
【0029】
[滅菌後の血小板保存液の性状の確認結果]
本発明の実施例1〜3の血小板保存液、および比較例1・2・5の液においては外観は無色澄明であり284nmの吸光度も0.003以下であったが、重炭酸濃度の高い比較例3の液では液の着色および沈殿の生成がおこり、また284nmの吸光度も0.082に達し、成分が変性していることが示された。また、リン酸濃度の高い比較例5の液では沈殿の生成見られた。
【0030】
[血小板保存性の確認実験]
8名の同型(A型)の健常成人からそれぞれ400mlの血液を市販の血液バッグ(テルモ製:BB−TC407J、CPD液入り)に採血し、1250Gで6分間遠心して上層に多血小板血漿(PRP)を得た。8人分のPRPを混合した後、8つの血液バッグ(テルモ製:BB−TC407Jの子バッグ)に150mlずつ分注した。これらのバッグを3000Gで6分間遠心し、上澄の乏血小板血漿(PPP)を除去し、残った血小板ぺレットに実施例1〜3、比較例1〜5の液50mlを加えて1時間静置した後に、血液バッグ用振盪機(タイテック製、NR−30型)で1時間振盪して血小板を再浮遊させた。得られた濃縮血小板(PC)を振盪しながら22℃で5日間保存した。
【0031】
PC調製直後および保存1、3、5日後にサンプリングし、pHおよびATP(アデノシン三リン酸)含有量を測定した。pHの測定は血液ガス分析装置(ラジオメーター株式会社製、ABL−30型)で、ATP量はPCを0.6N過塩素酸で除タンパクした後に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(島津製作所株式会社製、LC−6A型)で測定した。
【0032】
保存中のPCのpH、乳酸産生量およびATP含有量の変動を図1〜3に示す。本発明の実施例1〜3の液中で保存した血小板はいずれも良好な血小板保存能を示したのに対して、比較例1〜5の液では血小板保存能が著しく劣っていた。すなわち、比較例1の液はグルコースを含有しないため代謝基質が枯渇し、保存3、5日目にATP含有量が顕著に低下した。比較例2の液は重炭酸塩を含有しないためpH緩衝能が不足し、保存3、5日目にpHの著しい低下を示した。また、高濃度の重炭酸塩を含有する比較例3の液においてはpHが著しく上昇し、この環境悪化によって血小板の代謝が阻害され、結果としてATPレベルの顕著な低下を示した。さらに、比較例4および5の液は酢酸塩を含有しないために代償的にグルコースの嫌気的代謝が亢進して多量の乳酸が産生され、保存3、5日目にpHの著しい低下を示した。
【0033】
【表1】
Figure 0004041171
【0034】
【表2】
Figure 0004041171
【0035】
A:無色澄明,B:微黄色・白色沈殿,C:白色沈殿
D:ATPレベル低下,E:pH低下,F:pH上昇・代謝阻害
【0036】
(実施例4〜6)
表1に示す組成の実施例1〜3の血小板保存液を200mlずつエチレンビニルアルコール共重合体製の軟質プラスチックバックに注入した。軟質プラスチックバックとしては、容量400ml、接続針および注射針による接続可能な注入口を有するものを用いた。そして、ラミネートガスバリヤー性包材(アルミナ蒸着PETフィルム、PET−Al、PET/アルミナ蒸着PET/CPP,富士産業株式会社製)にて真空包装したのち、高圧蒸気滅菌(110℃、20分間)を行い、本発明の血小板保存液を作成した。
【0037】
【発明の効果】
本発明は、内部に血小板保存液が充填された容器であって、前記血小板保存液は、5〜20mmol/Lのグルコース、2〜20mmol/Lの重炭酸ナトリウム、5〜30mmol/Lの酢酸および/またはその塩を含有し、かつ、pHが6.5〜7.4であり、前記容器は、血小板を収納可能な内部収納力および血小板を注入するための注入口を有する合成樹脂製容器であり、かつ前記合成樹脂の表面にガスバリアー性を有する樹脂の被覆を有するもしくはガスバリアー性包材により包装されており、さらに、前記血小板保存液は、前記容器とともに加熱滅菌されている。特に、5〜20mmol/Lのグルコースを含有するから、血小板は十分な量の代謝基質を得ることができ、保存中そのATPレベルが高く維持される。また、2〜20mmol/Lの重炭酸ナトリウムを含有しかつpHが6.5〜7.4の範囲にあるから、保存中のpHが良好に維持され、通常雰囲気(空気中)で保存してもpHが高くなりすぎることがなく、血漿とほぼ完全に置換してもpHを良好な範囲内に維持する緩衝能を持ち、通常雰囲気下での血小板保存が可能である。
【0038】
そして、グルコースと重炭酸ナトリウムが上記範囲であるため、熱滅菌を行ってもグルコースの変性がなく、それに起因する着色なども生じなく、熱安定性が高い。そして、この血小板保存液を用いることにより、実質的に血漿を使用しないで血小板を良好に保存でき、血漿輸注に起因する臨床上の問題もなく安全である。さらに、特殊な設備を必要とせずに通常雰囲気下で容易に血小板が保存可能である。
【0039】
また、本発明の血小板保存液は、容器と、該容器内に収納された上記の血小板保存液とからなり、加熱滅菌されているので、血小板保存にそのまま使用できる。さらに、容器として、血小板の注入が可能なものであれば、この容器内に血小板を注入することにより、血小板を容易に保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例および比較例の血小板保存液の血小板保存性の確認実験におけるpH変動を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施例および比較例の血小板保存液の血小板保存性の確認実験における乳酸産生量変動を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施例および比較例の血小板保存液の血小板保存性の確認実験におけるATP含有量変動を示す図である。

Claims (4)

  1. 内部に血小板保存液が充填された容器であって、前記血小板保存液は、5〜20mmol/Lのグルコース、2〜20mmol/Lの重炭酸ナトリウム、5〜30mmol/Lの酢酸および/またはその塩を含有し、かつ、pHが6.5〜7.4であり、前記容器は、血小板を収納可能な内部収納力および血小板を注入するための注入口を有する合成樹脂製容器であり、かつ前記合成樹脂の表面にガスバリアー性を有する樹脂の被覆を有するもしくはガスバリアー性包材により包装されており、さらに、前記血小板保存液は、前記容器とともに加熱滅菌されていることを特徴とする内部に血小板保存液が充填された容器。
  2. 前記血小板保存液は、100〜200mEq/Lのナトリウムイオン、2〜6mEq/Lのカリウムイオン、1〜5mmol/Lのマグネシウム塩、2〜10mmol/Lのクエン酸および/またはその塩、5〜15mmol/Lのリン酸および/またはその塩を含有している請求項1に記載の内部に血小板保存液が充填された容器。
  3. 前記血小板保存液は、血小板を5日間保存した時のpHが6.5〜7.4の範囲にある請求項1または2に記載の内部に血小板保存液が充填された容器。
  4. ガスバリアー性包材は、炭酸ガス透過性が50ml/m2・24hr・atm(25℃−70%RH)以下のものである請求項1ないし3のいずれかに記載の内部に血小板保存液が充填された容器。
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