JP2004189677A - 輸液製剤 - Google Patents

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JP2004189677A JP2002360505A JP2002360505A JP2004189677A JP 2004189677 A JP2004189677 A JP 2004189677A JP 2002360505 A JP2002360505 A JP 2002360505A JP 2002360505 A JP2002360505 A JP 2002360505A JP 2004189677 A JP2004189677 A JP 2004189677A
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Yasuhiro Mitsumoto
靖洋 三本
Shigeaki Arita
重明 有田
Takashi Fujimoto
貴司 藤本
Haruhito Tani
晴仁 谷
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Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

【課題】使用前に2室の液を混合し忘れた場合であっても、患者が高カリウム血症を引き起こし、最悪の場合には心停止に至る危険性を著しく低下させることができる安全な輸液製剤を提供することである。
【解決手段】還元糖、アミノ酸及び電解質を含有するものであって、還元糖液とアミノ酸液がそれぞれ分別して収容され、カリウムが前記還元糖液と前記アミノ酸液の両方にそれぞれ40mEq/L以下の濃度で配合されている輸液製剤である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、糖、アミノ酸および電解質を含有する輸液製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
2室を有する輸液バッグに収容された、糖、アミノ酸および電解質を含有する輸液製剤は公知であり、患者の栄養管理に汎用されている(非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】
「薬理と治療」,24(10),2151(1996)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記輸液製剤では、還元糖とアミノ酸とがメイラード反応を起こすのを防止するために、輸液バッグの一室に還元糖液が、他室にアミノ酸液がそれぞれ分別して収容される。そして、使用前に2室を連通してそれぞれの液を混合する。しかしながら、この連通操作をし忘れて一方の液のみを患者に投与してしまうというミスが生じることがある。その際、従来の輸液製剤では電解質としてのカリウムはどちらか一方の液に配合されているため、このようなミスにより液が片方ずつ投与されることになった場合には、比較的カリウム濃度の高い液が患者に投与されることになる。その場合、カリウム濃度が過度に高いと、患者は高カリウム血症をきたし、最悪の場合には心停止により死に至らしめるおそれもある。
【0005】
したがって、本発明の目的は、使用前に2室の液を混合し忘れた場合であっても、患者が高カリウム血症を引き起こすことがない安全な輸液製剤を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、これまで一方の室にのみ収容されていたカリウムを2室に分けて収容し、液中のカリウム濃度をそれぞれ40mEq/L以下とすることによって、たとえ使用前に2室の液を混合し忘れた場合であっても、高カリウム血症を引き起こす高濃度のカリウムが患者に投与されることがないので安全であるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明にかかる輸液製剤は以下の構成からなる。
(1)還元糖、アミノ酸及び電解質を含有する輸液製剤であって、還元糖液とアミノ酸液がそれぞれ分別して収容され、カリウムが前記還元糖液と前記アミノ酸液の両方にそれぞれ40mEq/L以下の濃度で配合されていることを特徴とする輸液製剤。
(2)前記カリウムが前記還元糖液およびアミノ酸液に合計で5〜30mEq配合されている(1)記載の輸液製剤。
(3)前記還元糖液に配合される前記カリウムの供給源がリン酸塩である(1)または(2)記載の輸液製剤。
(4)カルシウム及び/またはマグネシウムが前記還元糖液に配合され、この還元糖液のpHがクエン酸で4.5〜5.5に調整されている(3)記載の輸液製剤。
(5)各成分が下記の組成範囲で配合されている(4)記載の輸液製剤。
<還元糖液>
ブドウ糖 80-120 g/L
Na+ 20-50 mEq/L
+ 10-20 mEq/L
Mg2+ 2-10 mEq/L
Ca2+ 2-10 mEq/L
Cl- 20-50 mEq/L
P 5-10 mmol/L
Zn 2-10 μmol/L
<アミノ酸液>
アミノ酸 80-120 g/L
+ 20-40 mEq/L
P 10-20 mmol/L
(6)前記アミノ酸液の組成が、遊離アミノ酸換算でL-ロイシン:10-20(g/L)、L-イソロイシン:5-15(g/L)、L-バリン:5-15(g/L)、L-リジン:5-15(g/L)、L-トレオニン:2-10(g/L)、L-トリプトファン:0.5-5(g/L)、L-メチオニン:1-8(g/L)、L-フェニルアラニン:3-15(g/L)、L-システイン:0.1-3(g/L)、L-チロジン:0.1-2(g/L)、L-アルギニン:5-15(g/L)、L-ヒスチジン:2-10(g/L)、L-アラニン:5-15(g/L)、L-プロリン:2-10(g/L)、L-セリン:1-7(g/L)、グリシン:2-10(g/L)、L-アスパラギン酸:0.2-3(g/L)、L-グルタミン酸:0.2-3 (g/L)である(5)記載の輸液製剤。
(7)前記アミノ酸液のpHが6.5〜8に調整されている(4)〜(6)のいずれかに記載の輸液製剤。
(8) 前記還元糖液の量が200〜1000mL、前記アミノ酸液の量が100〜500mLである(7)記載の輸液製剤。
(9)前記還元糖液とアミノ酸液を混合した後の混合液は、pHが6〜7.5、滴定酸度が5〜10である(8)記載の輸液製剤。
(10)前記還元糖液の滴定酸度が10以下である(9)記載の輸液製剤。
(11)前記還元糖液は、亜硫酸塩を含まず、pHが3〜5.0に調整され、更にビタミンB1が配合されている(1)または(2)記載の輸液製剤。
(12)前記還元糖液のpH調整剤がクエン酸である(11)記載の輸液製剤。
(13)前記還元糖液は乳酸塩を含まない(12)記載の輸液製剤。
(14)前記還元糖液は、カルシウム及び/またはマグネシウムが配合され、かつリン供給源を含まない(12)または(13)記載の輸液製剤。
(15)易剥離シールで分割された2室を有する柔軟性プラスチック製輸液バッグの一方の室に前記還元糖液が収容され、他方の室にアミノ酸液が収容されてなる(1)〜(14)のいずれかに記載の輸液製剤。
(16)前記輸液バッグが、前記易剥離シール部分で二つ折りにされた状態で酸素バリア性外装袋中に脱酸素剤と共に封入されている(15)記載の輸液製剤。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の輸液製剤について詳細に説明する。本発明の輸液製剤は、還元糖、アミノ酸及び電解質を含有するものであって、還元糖液とアミノ酸液がそれぞれ分別して収容され、カリウムが前記還元糖液と前記アミノ酸液の両方に配合されている。
【0009】
<還元糖液>
本発明において、還元糖液に用いられる還元糖としては、ブドウ糖、フルクトース、マルトース等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を還元糖液に配合することができる。これらのうち、血糖管理などの観点から言えば、ブドウ糖を用いるのが好ましく、更に必要に応じて、キシリトール、ソルビトール、グリセリン等の非還元糖の至適量を配合してもよい。
【0010】
還元糖の配合量は、投与経路等の使用目的に応じて適宜決定できるが、例えば末梢投与用とする場合には、還元糖濃度を80〜120g/Lとするのが好ましい。また、輸液バッグの一室に収容する還元糖液の液量は200〜1000mLとするのがよい。還元糖液の溶媒としては、通常、注射用蒸留水が用いられる。
【0011】
なお、後記する混合液のpHを6〜7.5に調整し易くするために、還元糖液の滴定酸度を10以下、好ましくは0.5〜8.5とするのがよい。
【0012】
<アミノ酸液>
本発明において、アミノ酸液には、少なくとも必須アミノ酸からなるアミノ酸組成物を配合する。アミノ酸の配合量は、例えば末梢投与用とする場合には、アミノ酸濃度を遊離アミノ酸換算で80〜120g/Lとするのが好ましい。使用される各アミノ酸は、一般のアミノ酸輸液と同様、純粋結晶状アミノ酸であるのが好ましい。これらは、通常、遊離アミノ酸の形態で用いられるが、特に遊離形態でなくてもよく、薬理学的に許容される塩、エステル、N-アシル誘導体、2種のアミノ酸の塩やペプチドの形態で用いることもできる。また、輸液バッグの一室に収容するアミノ酸液の液量は100〜500mLとするのがよい。アミノ酸液の溶媒としては、通常、注射用蒸留水が用いられる。
【0013】
好ましいアミノ酸組成としては、遊離アミノ酸換算でL-ロイシン:10-20(g/L)、L-イソロイシン:5-15(g/L)、L-バリン:5-15(g/L)、L-リジン:5-15(g/L)、L-トレオニン:2-10(g/L)、L-トリプトファン:0.5-5(g/L)、L-メチオニン:1-8(g/L)、L-フェニルアラニン:3-15(g/L)、L-システイン:0.1-3(g/L)、L-チロジン:0.1-2(g/L)、L-アルギニン:5-15(g/L)、L-ヒスチジン:2-10(g/L)、L-アラニン:5-15(g/L)、L-プロリン:2-10(g/L)、L-セリン:1-7(g/L)、グリシン:2-10(g/L)、L-アスパラギン酸:0.2-3(g/L)、L-グルタミン酸:0.2-3 (g/L)の範囲を示すことができる。
【0014】
アミノ酸液は、必要に応じてpH調整剤を少量添加して、pH6.5〜8.0、好ましくはpH6.8〜7.5に調整される。pHが6.5未満であると、還元糖液とアミノ酸液を混合した後の混合液のpHを後記する至適範囲に維持できなくなり、pHが8.0を超えると、L-システイン等の酸化され易いアミノ酸がより不安定となり、好ましくない。
【0015】
<電解質>
本発明の輸液製剤に用いられる電解質としては、一般の電解質輸液などに用いられる化合物と同様のものを使用できる。
【0016】
具体的には、カリウムの供給源としては、例えば塩化カリウム、酢酸カリウム、クエン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、グリセロリン酸カリウム、硫酸カリウム、乳酸カリウム等を例示することができる。これらのうち、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、グリセロリン酸カリウムなどのリン酸塩は、リン供給源にもなるので好適である。これらのカリウム供給源は水和物形態であってもよい。
【0017】
カリウムは、前記した還元糖液およびアミノ酸液の両方にそれぞれ40mEq/L以下の濃度で配合される。その際の配合割合は、前記濃度範囲内であれば特に限定されない。そして、還元糖液およびアミノ酸液に合計で5〜30mEq配合されるのがよい。
【0018】
他の電解質の具体例を挙げると、(a)ナトリウム供給源としては、例えば塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、硫酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等を例示することができる。(b)カルシウム供給源としては、例えば塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム等を例示することができる。(c)マグネシウム供給源としては、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム等を例示することができる。(d)リン供給源としては、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、グリセロリン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、グリセロリン酸ナトリウム等を例示することができる。(e)塩素供給源としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルウシム、塩化マグネシウム等を例示することができる。(f)亜鉛供給源としては、硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を例示することができる。これらの(a)〜(f)の各供給源は水和物形態であってもよい。
【0019】
(a)〜(f)の供給源から供給される電解質は、還元糖液、アミノ酸液のどちらにも配合できるが、カルシウム及び/またはマグネシウムについては、カリウム供給源として前記リン酸塩を用いる場合、還元糖液に配合するのが好ましい。その際には、沈殿を防止するために、還元糖液のpHをクエン酸で4.5〜5.5の範囲に調整するのが望ましい。
【0020】
<添加剤、配合剤>
本発明の輸液製剤には、必要に応じて亜硫酸水素ナトリウム等の安定化剤などを添加することができる。また、投与時には、必要に応じて他の配合薬、例えば各種ビタミン類、微量元素(ミネラル)等を任意に添加配合することもできる。
【0021】
添加剤のうち最も重要なものの一つであるビタミンB1を配合する場合には、ビタミンB1は還元糖液に配合するのが好ましい。その際には、ビタミンB1の分解を防止するために、還元糖液のpHを3〜5.0の範囲に調整し、また亜硫酸塩を添加しないようにするのが望ましい。更に、還元糖液のpHを上記の範囲に調整する際に用いる酸の量をなるべく少なくできるように、乳酸塩のような緩衝性の高い塩を還元糖液に配合しないようにするのが望ましい。
【0022】
なお、ビタミンB1を配合する場合には、上記のようにpHの設定が低めになるので、カルシウム塩やマグネシウム塩とリン供給源とは分別しておくのが好ましい。すなわち、カルシウム及び/またはマグネシウムを還元糖液に配合し、リン供給源をアミノ酸液に配合するのがよい。そして、還元糖液とアミノ酸液を混合した後にカルシウム及び/またはマグネシウムとリン供給源との沈殿が生成するのを防止するために、pH調整剤としてクエン酸を用いるのが好適である。
【0023】
ビタミンB1は、還元糖液中に、チアミンとして1〜10mg/Lの濃度で配合するのが好ましく、絶対量として0.5〜8mg配合するのが好ましい。ビタミンB1(チアミン)としては、塩酸チアミン、硝酸チアミン、プロスルチアミン、オクトオチアミン等を使用することができる。
【0024】
<混合液>
本発明の輸液製剤は、用時に前記の還元糖液とアミノ酸液を混合する。この混合液は、患者に血管痛を起こさないようにするために、pHが6〜7.5、滴定酸度が5〜10の範囲となるようにするのが好ましい。そのためには、それぞれの液のpHを前記の範囲とし、また、電解質として、解離度が100%に近い強電解質を多く用いるのがよい。
【0025】
<輸液容器>
本発明の輸液製剤を収容する容器としては、連通可能な2室を有するものであれば特に限定されないが、例えば易剥離シールにより隔壁が形成されたもの(特開平2-4671号公報、実開平5-5138号公報等)、室間をクリップで挟むことにより隔壁が形成されたもの(特開昭63-309263号公報等)、隔壁に開封可能な種々の連通手段を設けたもの(特公昭63-20550号公報等)などのように連通可能な隔壁で隔てられた2室を有する輸液バッグが挙げられる。これらのうち、隔壁が易剥離シールにより形成された輸液バッグが、大量生産に適しており、また連通作業も容易であるので好ましい。
【0026】
また、上記輸液バッグの材質としては、医療用容器等に慣用されている各種のガス透過性プラスチック、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、架橋エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、これら各ポリマーのブレンドや積層体などの柔軟性プラスチックが挙げられる。
【0027】
輸液バッグへの輸液製剤の充填、収容は、常法に従って行うことができ、例えば、各液を各室に不活性ガス雰囲気下で充填後、施栓し、加熱滅菌する方法が挙げられる。ここで、加熱滅菌は、高圧蒸気滅菌、熱水シャワー滅菌等の公知の方法を採用することができ、必要に応じて二酸化炭素、窒素等の不活性ガス雰囲気中で行うことができる。
【0028】
更に、上記輸液バッグに収容された輸液製剤は、変質、酸化等を確実に防止するために、輸液バッグを脱酸素剤と共に酸素バリア性外装袋で包装するのが好ましい。とりわけ、輸液バッグとして隔壁が易剥離シールにより形成されたものを採用した場合には、この輸液バッグは、外圧により隔壁が連通しないように易剥離シール部分で二つ折りにした状態(折り畳まれた状態)で酸素バリア性外装袋に封入されるのが好ましい。また、必要に応じて不活性ガス充填包装等を行うこともできる。
【0029】
酸素バリア性外装袋の材質としては、一般に汎用されている各種材質のフィルム、シート等を使用できる。その具体例としては、例えばエチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ホリエステル等、又はこれらの少なくとも1種を含む材質からなるフィルム、シート等が挙げられる。
【0030】
また、脱酸素剤としては、公知の各種のもの、例えば水酸化鉄、酸化鉄、炭化鉄等の鉄化合物を有効成分とするものや、低分子フェノールと活性炭を用いたものを使用することができる。その代表的な市販品の商品名としては、「エージレス」(三菱ガス化学社製)、「モジュラン」(日本化薬社製)、「セキュール」(日本曹達社製)、「タモツ」(王子化工社製)等が挙げられる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
実施例1
<還元糖液>
ブドウ糖および下記の各電解質を注射用蒸留水に溶解し、下記の組成の還元糖液を調製した。ついで、この液にクエン酸を8.86mEq/Lの濃度で添加して、液のpHを5.08に調整した。この還元糖液の滴定酸度は8.1であった。
ブドウ糖 107.14 g/L
塩化ナトリウム 1.14 g/L
70%乳酸ナトリウム 3.27 g/L
グルコン酸カルシウム 1.60 g/L
硫酸マグネシウム(7H20) 0.89 g/L
リン酸水素二カリウム 1.18 g/L
(カリウム: 13.55 mEq/L)
硫酸亜鉛 2.00 mg/L
亜硫酸水素ナトリウム 0.10 g/L
<アミノ酸液>
一方、下記の結晶アミノ酸及び各電解質を注射用蒸留水に溶解し、下記組成のアミノ酸液を調製した。ついで、この液にpH調整剤として微量の酢酸を添加して、液のpHを7.3に調整した。
L-ロイシン 14.0 g/L
L-イソロイシン 8.0 g/L
L-バリン 8.0 g/L
塩酸L-リジン 13.1 g/L
L-トレオニン 5.7 g/L
L-トリプトファン 2.0 g/L
L-メチオニン 3.9 g/L
L-フェニルアラニン 7.0 g/L
L-システイン 1.0 g/L
L-チロジン 0.5 g/L
L-アルギニン 10.5 g/L
L-ヒスチジン 5.0 g/L
L-アラニン 8.0 g/L
L-プロリン 5.0 g/L
L-セリン 3.0 g/L
グリシン 5.9 g/L
L-アスパラギン酸 1.0 g/L
L-グルタミン酸 1.0 g/L
リン酸水素二カリウム 3.05 g/L
(カリウム: 35.0 mEq/L)
亜硫酸水素ナトリウム 0.2 g/L
<輸液製剤>
上記で得られた両液を無菌濾過し、還元糖液700mL及びアミノ酸液300mLをそれぞれ輸液バッグ(易剥離シールで分割された、ポリエチレン製の2室を有する容器)の各室に充填し、アミノ酸液については窒素置換を行い、密封した後、常法に従い高圧蒸気滅菌を行った。
その後、容器を易剥離シール部で折り畳み、脱酸素剤(商品名「エージレス」;三菱ガス化学社製)と共に、多層バリアフィルム(商品名「ボブロン」;NSR社製)外装袋(酸素バリア性外装袋)に封入し、本発明の輸液製剤を得た。
なお、この輸液製剤の2液を混合した後の混合液は、pHが6.7、滴定酸度が7、カリウム配合量が20mEqであった。
【0033】
実施例2
<還元糖液>
ブドウ糖および下記の各電解質を注射用蒸留水に溶解し、下記の組成の還元糖液を調製した。ついで、この液にクエン酸を9.29mEq/Lの濃度で添加して、液のpHを5.0に調整した。この還元糖液の滴定酸度は8.5であった。
ブドウ糖 107.14 g/L
塩化ナトリウム 1.14 g/L
70%乳酸ナトリウム 3.27 g/L
グルコン酸カルシウム 1.60 g/L
硫酸マグネシウム(7H20) 0.89 g/L
リン酸水素二カリウム 1.18 g/L
(カリウム: 13.55 mEq/L)
硫酸亜鉛 2.00 mg/L
亜硫酸水素ナトリウム 0.06 g/L
<アミノ酸液>
実施例1と同様にして、同一組成のアミノ酸液を調製した。
<輸液製剤>
上記で得られた両液を用いて、実施例1と同様にして、本発明の輸液製剤を得た。
なお、この輸液製剤の2液を混合した後の混合液は、pHが6.7、滴定酸度が7、カリウム配合量が20mEqであった。
【0034】
実施例3
実施例1と同様の還元糖液およびアミノ酸液を製造し、還元糖液350mL及びアミノ酸液150mLをそれぞれ輸液バッグ(実施例1と同じ輸液バッグ)に充填した他は、実施例1と同様にして本発明の輸液製剤を得た。
なお、この輸液製剤の2液を混合した後の混合液は、pHが6.7、滴定酸度が7、カリウム配合量が10mEqであった。
【0035】
実施例4
<還元糖液>
ブドウ糖および下記の各電解質を注射用蒸留水に溶解し、下記の組成の還元糖液を調製した。ついで、この液にクエン酸を0.71mEq/Lの濃度で添加して、液のpHを4.50に調整した。この還元糖液の滴定酸度は0.6であった。
ブドウ糖 107.14 g/L
塩化ナトリウム 0.33 g/L
グルコン酸カルシウム 1.60 g/L
硫酸マグネシウム(7H20) 0.88 g/L
塩化カリウム 1.01 g/L
(カリウム: 13.55 mEq/L)
硫酸亜鉛 2.00 mg/L
塩酸チアミン 2.70 mg/L
<アミノ酸液>
一方、下記の結晶アミノ酸及び各電解質を注射用蒸留水に溶解し、下記組成のアミノ酸液を調製した。ついで、この液にpH調整剤として微量の酢酸を添加して、液のpHを6.90に調整した。
L-ロイシン 14.0 g/L
L-イソロイシン 8.0 g/L
L-バリン 8.0 g/L
塩酸L-リジン 13.1 g/L
L-トレオニン 5.7 g/L
L-トリプトファン 2.0 g/L
L-メチオニン 3.9 g/L
L-フェニルアラニン 7.0 g/L
L-システイン 1.0 g/L
L-チロジン 0.5 g/L
L-アルギニン 10.5 g/L
L-ヒスチジン 5.0 g/L
L-アラニン 8.0 g/L
L-プロリン 5.0 g/L
L-セリン 3.0 g/L
グリシン 5.9 g/L
L-アスパラギン酸 1.0 g/L
L-グルタミン酸 1.0 g/L
リン酸水素二カリウム 3.05 g/L
(カリウム: 35.0 mEq/L)
70%乳酸ナトリウム 7.63 g/L
リン酸水素二ナトリウム (12H20) 5.67 g/L
亜硫酸水素ナトリウム 0.2 g/L
<輸液製剤>
上記で得られた両液を用いて、実施例1と同様にして、本発明の輸液製剤を得た。
なお、この輸液製剤の2液を混合した後の混合液は、pHが6.7、滴定酸度が7、カリウム配合量が20mEqであった。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、誤って高濃度のカリウムが患者に投与されることがないので、患者が高カリウム血症を引き起こし、最悪の場合には心停止に至る危険性を著しく低下させることができるという効果がある。

Claims (16)

  1. 還元糖、アミノ酸及び電解質を含有する輸液製剤であって、還元糖液とアミノ酸液がそれぞれ分別して収容され、カリウムが前記還元糖液と前記アミノ酸液の両方にそれぞれ40mEq/L以下の濃度で配合されていることを特徴とする輸液製剤。
  2. 前記カリウムが前記還元糖液およびアミノ酸液に合計で5〜30mEq配合されている請求項1記載の輸液製剤。
  3. 前記還元糖液に配合される前記カリウムの供給源がリン酸塩である請求項1または2記載の輸液製剤。
  4. カルシウム及び/またはマグネシウムが前記還元糖液に配合され、この還元糖液のpHがクエン酸で4.5〜5.5に調整されている請求項3記載の輸液製剤。
  5. 各成分が下記の組成範囲で配合されている請求項4記載の輸液製剤。
    <還元糖液>
    ブドウ糖 80-120 g/L
    Na+ 20-50 mEq/L
    + 10-20 mEq/L
    Mg2+ 2-10 mEq/L
    Ca2+ 2-10 mEq/L
    Cl- 20-50 mEq/L
    P 5-10 mmol/L
    Zn 2-10 μmol/L
    <アミノ酸液>
    アミノ酸 80-120 g/L
    + 20-40 mEq/L
    P 10-20 mmol/L
  6. 前記アミノ酸液の組成が、遊離アミノ酸換算でL-ロイシン:10-20(g/L)、L-イソロイシン:5-15(g/L)、L-バリン:5-15(g/L)、L-リジン:5-15(g/L)、L-トレオニン:2-10(g/L)、L-トリプトファン:0.5-5(g/L)、L-メチオニン:1-8(g/L)、L-フェニルアラニン:3-15(g/L)、L-システイン:0.1-3(g/L)、L-チロジン:0.1-2(g/L)、L-アルギニン:5-15(g/L)、L-ヒスチジン:2-10(g/L)、L-アラニン:5-15(g/L)、L-プロリン:2-10(g/L)、L-セリン:1-7(g/L)、グリシン:2-10(g/L)、L-アスパラギン酸:0.2-3(g/L)、L-グルタミン酸:0.2-3 (g/L)である請求項5記載の輸液製剤。
  7. 前記アミノ酸液のpHが6.5〜8に調整されている請求項4〜6のいずれかに記載の輸液製剤。
  8. 前記還元糖液の量が200〜1000mL、前記アミノ酸液の量が100〜500mLである請求項7記載の輸液製剤。
  9. 前記還元糖液とアミノ酸液を混合した後の混合液は、pHが6〜7.5、滴定酸度が5〜10である請求項8記載の輸液製剤。
  10. 前記還元糖液の滴定酸度が10以下である請求項9記載の輸液製剤。
  11. 前記還元糖液は、亜硫酸塩を含まず、pHが3〜5.0に調整され、更にビタミンB1が配合されている請求項1または2記載の輸液製剤。
  12. 前記還元糖液のpH調整剤がクエン酸である請求項11記載の輸液製剤。
  13. 前記還元糖液は乳酸塩を含まない請求項12記載の輸液製剤。
  14. 前記還元糖液は、カルシウム及び/またはマグネシウムが配合され、かつリン供給源を含まない請求項12または13記載の輸液製剤。
  15. 易剥離シールで分割された2室を有する柔軟性プラスチック製輸液バッグの一方の室に前記還元糖液が収容され、他方の室にアミノ酸液が収容されてなる請求項1〜14のいずれかに記載の輸液製剤。
  16. 前記輸液バッグが、前記易剥離シール部分で二つ折りにされた状態で酸素バリア性外装袋中に脱酸素剤と共に封入されている請求項15記載の輸液製剤。
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