JP2004001900A - 中心静脈投与用輸液中のビタミン類の安定化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 中心静脈投与用輸液中の複数のビタミン類を長期間安定に保持する方法の提供。
【解決手段】 連通可能な隔壁で隔てられた2室容器の各室に、脂肪乳剤を含まない、特定のビタミン類を配合した溶液(A)と溶液(B)の2液からなる輸液をそれぞれ収容した輸液容器を、脱酸素剤と共に遮光性を有するガス非透過性外装容器で包装することを特徴とする中心静脈投与用輸液中のビタミン類の安定化方法。

【選択図】なし

Description

 本発明は、糖輸液とアミノ酸輸液の2液からなる中心静脈投与用輸液中のビタミン類の安定化方法。
 消化器手術の術後患者等は、経口摂取が不可能な場合が多いので、このような患者の栄養管理は、一般に中心静脈からの高カロリー輸液(IVH)により行われている。IVHは、上記患者の栄養状態を改善し且つ良好に保つことにより、患者の回復、治癒を促進し、その効果は絶大なものであるので、今や外科治療の分野で広く普及している。
 IVHでは、通常、栄養源である糖質及びアミノ酸と、電解質が投与される。そして、IVH用の輸液製剤としては、これらを全て含んだものが開発されており、一般に、メイラード反応を起こすブドウ糖とアミノ酸を2室容器に分別収容したタイプの製剤が市販されている。
 ところで、IVHを施行する際、その期間が比較的長期になると、輸液製剤に含まれていない微量元素やビタミンの欠乏症が問題となってくる。特に、ビタミンB1は、糖代謝において消費されるために欠乏に陥り易く、それにより重篤なアシドーシスが惹起する。従って、IVHが短期間(1週間程度)で終わらない場合は、ビタミンを併用することが不可欠である。しかして、ビタミンは、安定性に欠けるため、専ら混合ビタミン剤や総合ビタミン剤の形態で単独に製剤化され、用事にIVH製剤に混注されている。しかし、混注操作は煩雑なうえに、操作時に細菌汚染の虞があるので、作業に効率性と慎重性の両方が要求され、担当者に多大な負担を強いているのが現状である。
 このため、上記のような混注作業を簡便にすべく、2室容器タイプのIVH製剤にビタミンを配合することが試みられている。例えば、2室の一方に脂肪と糖を、他方にアミノ酸と電解質を収容し、種々のビタミンをそれぞれどちらかに収容することが行われている(特許文献1、特許文献2)。
 しかして、ここで用いられる脂肪は重要な栄養源ではあるが、脂肪の投与は必ずしも全ての患者に許容されるものではなく、例えば高脂血症、肝障害、血栓症、糖尿病ケトーシス等の患者には、脂肪の投与は禁忌とされている。また、脂肪は患者によってその至適投与量が異なる場合があり、単独投与が望まれることもある。
 しかしながら、前記のような製剤では脂肪を配合することによって特定のビタミンが安定化されているため、脂肪を除いた場合には、ある種のビタミン(例えばビタミンB2)を安定に保持することは困難であった。
 また、水溶性ビタミンB類を安定に配合するために、輸液のpHを酸性にしたり亜硫酸イオンを配合しない試みがなされている(特許文献3)。しかしながら、当該輸液においては、ビタミンB1は安定に配合されているが、他のビタミン類については具体的に示されていない。
 IVHにおいて、ビタミンB1の欠乏は上記の通り大きな問題であるが、他のビタミンの欠乏も決して無視できるものではない。例えば、病態によっては、ビタミンCの欠乏で粘膜など組織での出血が起こったり、ビタミンB2の欠乏により口内炎、口角炎、舌炎等が発症する虞がある。更に、ビタミンB12欠乏や葉酸欠乏による貧血等の合併症も報告されている。
特開平6−209979号公報 特開平8−709号公報 特開平8−143459号公報
 従って、本発明の目的は、中心静脈投与用輸液の複数のビタミン類を長期間安定に保持する方法を提供することにある。
 かかる実情において、本発明者らは鋭意研究を行った結果、脂肪乳剤を含まない、糖輸液とアミノ酸輸液の2液からなる輸液において、それぞれのビタミン類を特定の輸液側に配合して容器に充填、包装すれば、長期間ビタミン類を安定に保持できることを見出し、本発明を完成した。
 すなわち、本発明は、連通可能な隔壁で隔てられた2室容器の各室に、脂肪乳剤を含まない下記の溶液(A)と溶液(B)の2液からなる輸液をそれぞれ収容した輸液容器を、脱酸素剤と共に遮光性を有するガス非透過性外装容器で包装することを特徴とする中心静脈投与用輸液中のビタミン類の安定化方法を提供するものである。
 イ)溶液(A):還元糖、ビタミンB1を含有し、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩を含有しない。溶液(B):アミノ酸、ビタミンB2、葉酸及びビタミンCを含有し、pH5.0〜7.0である。
 ロ)溶液(A):還元糖、ビタミンB1及びビタミンB12を含有し、pH3.5〜4.5であり、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩を含有しない。溶液(B):アミノ酸、ビタミンB2及びビタミンCを含有し、pH5.0〜7.0である。
 ハ)溶液(A):還元糖、ビタミンB1、並びにビタミンA、ビタミンD、ビタミンE及びビタミンKから選ばれる1種以上を含有し、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩を含有しない。溶液(B):アミノ酸、ビタミンB2及びビタミンCを含有し、pH5.0〜7.0である。
 ニ)溶液(A):還元糖、ビタミンB1、ビタミンB6及びニコチン酸アミドを含有し、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩を含有しない。溶液(B):アミノ酸、ビタミンB2及びビタミンCを含有し、pH5.0〜7.0である。
 本発明の中心静脈投与用輸液は、複数のビタミン類を長期間安定に含有するものである。
 本発明の中心静脈投与用輸液は、還元糖を含有する溶液(A)と、アミノ酸を含有する溶液(B)の2液からなり、用時に混合して使用されるものである。
 溶液(A)に配合される還元糖としては、ブトウ糖、フルクトース、マルトース等が挙げられ、血糖管理などの点で、特にブドウ糖が好ましい。また、これらの還元糖以外にキシリトール、ソルビトール、グリセリン等の非還元糖を配合することもできる。
 還元糖は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、溶液(A)中に120〜450g/l、特に150〜300g/l配合するのが好ましい。
 また、溶液(B)に配合されるアミノ酸としては、必須アミノ酸、非必須アミノ酸の各種アミノ酸で、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−バリン、L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン酸、L−システイン、L−グルタミン酸、L−ヒスチジン、L−プロリン、L−セリン、L−チロシン、グリシン等が挙げられる。これらのアミノ酸は、純粋結晶状アミノ酸であるのが好ましい。また、これらのアミノ酸は、通常遊離アミノ酸の形態で用いられるが、特に遊離形態でなくてもよく、薬理学的に許容される塩、エステル、N−アシル誘導体や、2種アミノ酸の塩、ペプチドの形態で用いることもできる。
 これらのアミノ酸の溶液(B)における好ましい配合量(遊離形態で換算)は以下のとおりである。
Figure 2004001900
 本発明の輸液においては、ビタミンB2及びビタミンCを溶液(B)に配合する。これらのビタミンは、必要に応じて塩や、エステル等の誘導体の形であってもよく、例えばビタミンB2(リボフラビン)は、リン酸エステル、そのナトリウム塩、フラビンモノヌクレオチド等を使用することができ、ビタミンC(アスコルビン酸)は、ナトリウム塩等を使用することができる。また、これらのビタミンの溶液(B)中における配合量は、ビタミンB2が1〜10mg、特に2〜7mgが好ましく、ビタミンCは20〜250mg、特に30〜150mgが好ましい。
 溶液(B)はpH5.0〜7.0、好ましくはpH5.8〜6.5に調整される。pHの調整は、通常用いられる種々の有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基を適宜使用することができる。
 本発明の中心静脈投与用輸液には、更に他のビタミン類等を溶液(A)及び/又は溶液(B)に適宜配合することができる。
 葉酸を配合する場合には、溶液(B)に配合するのが好ましく、溶液(B)中に0.1〜1mg、特に0.2〜0.7mg配合するのが好ましい。
 ビタミンB12を配合する場合は溶液(A)に配合するのが好ましく、溶液(A)中に1〜30μg、特に2〜10μg配合するのが好ましい。また、溶液(A)はpH3.5〜4.5、特にpH3.7〜4.0に調整するのが好ましく、通常用いられる種々の有機酸、無機酸等を用いて調整することができる。
 また、ビタミンB1を配合する場合には溶液(A)に配合するのが好ましく、溶液(A)中に1〜10mg、特に1.5〜6mg配合するのが好ましい。ビタミンB1(チアミン)としては、塩酸チアミン、硝酸チアミン、プロスルチアミン、オクトオチアミン等を使用することができる。ビタミンB1を配合する場合には、これが分解されるのを防ぐため、ビタミンB1を配合した溶液(A)中に亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩を実質的に配合しないのが好ましい。
 ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE及びビタミンKから選ばれる脂溶性ビタミンを配合する場合は溶液(A)に配合するのが好ましい。ビタミンA(レチノール)としては、パルミチン酸エステル、酢酸エステル等のエステル形態であっても良く;ビタミンDとしては、ビタミンD1、ビタミンD2、ビタミンD3(コレカルシフェロール)及びそれらの活性型(ヒドロキシ誘導体)のいずれでも良く;ビタミンE(トコフェロール)としては、酢酸エステル、コハク酸エステル等のエステル形態であっても良く;ビタミンK(フィトナジオン)としては、メナテトレノン、メナジオン等の誘導体であっても良い。
 これらの脂溶性ビタミンは、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、溶液(A)中に、ビタミンAは1250〜5000IU、特に1400〜4500IU;ビタミンDは10〜1000IU、特に50〜500IU;ビタミンEは2〜20mg、特に3〜15mg;ビタミンKは0.2〜10mg、特に0.5〜5mg配合するのが好ましい。
 また、これら脂溶性ビタミンを配合する場合には、界面活性剤(10〜1000mg/l)の存在下、溶液(A)中に可溶化させるのが好ましい。かかる界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ツイーン80、ツイーン20等の市販品)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO60等の市販品)、エチレングリコール・プロピレングリコールブロックコポリマー(プルロニックF68等の市販品)などを使用することができる。
 更に、ビタミンB6、ビオチン、パントテン酸誘導体及びニコチン酸誘導体から選ばれる水溶性ビタミンは、溶液(A)及び溶液(B)のいずれにも配合することができる。ビタミンB6(ピリドキシン)としては、塩酸ピリドキシン等の塩の形態であっても良く;パントテン酸誘導体としては、カルシウム塩、還元体(パンテノール)等の形態であっても良く;ニコチン酸誘導体としては、アミド、ナトリウム塩、メチルエステル等の形態であっても良い。
 これらの水溶性ビタミンの配合量は、例えばAMA(American Medical Association)提示の1日所要量に基づき、必要量が投与できるように決定される。例えば、ビタミンB6:1〜10mg、ビオチン:0.01〜0.3mg、パントテン酸:1〜30mg、ニコチン酸:10〜50mgを、好適配合例として示すことができる。
 また、電解質は溶液(A)及び溶液(B)のいずれにも配合することができる。かかる電解質としては、通常の電解質輸液などに用いられるものであれば特に制限されず、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、塩素、亜鉛等が挙げられ、例えば以下の化合物を、水和物、無水物を問わず使用することができる。
 ナトリウム源としては、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、硫酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等が挙げられ、溶液(A)と溶液(B)の混合後に25〜70mEq/lとなるように配合するのが好ましい。
 カリウム源としては、塩化カリウム、酢酸カリウム、クエン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、硫酸カリウム、乳酸カリウム等が挙げられ、混合後に15〜50mEq/lとなるように配合するのが好ましい。
 カルシウム源としては、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム等が挙げられ、混合後に3〜15mEq/lとなるように配合するのが好ましい。
 マグネシウム源としては、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム等が挙げられ、混合後に3〜10mEq/lとなるように配合するのが好ましい。
 リン源としては、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、グリセロリン酸ナトリウム等が挙げられ、混合後に5〜20mmol/lとなるように配合するのが好ましい。
 塩素源としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられ、混合後に25〜70mEq/lとなるように配合するのが好ましい。
 亜鉛源としては、塩化亜鉛、硫酸亜鉛等が挙げられ、混合後に0〜30μmol/lとなるように配合するのが好ましい。
 これらの電解質のうち、カルシウム塩及びマグネシウム塩はリン化合物と分離して、異なる溶液に配合しておくのが好ましい。その他の電解質は特に制限されず、溶液(A)及び溶液(B)のいずれに配合してもよい。
 なお、溶液(B)には、安定化剤として亜硫酸塩及び/又は亜硫酸水素塩を添加することもでき、その場合、溶液(B)中に50mg/l以下配合するのが好ましい。
 本発明の輸液を収容するための容器としては、連通可能な隔壁で隔てられた2室容器であれば特に制限されず、例えば、隔壁が易剥離性溶着により形成されたもの(特開平2−4671号公報、実開平5−5138号公報等参照)、室間をクリップで挟むことにより隔壁が形成されたもの(特開昭63−309263号公報等参照)、隔壁に開封可能な種々の連通手段を設けたもの(特公昭63−20550号公報等参照)などが挙げられる。これらのうち、特に隔壁が易剥離性溶着により形成されたものが、大量生産に適しておりまた連通作業も容易であるので好ましい。
 また、上記容器の材質は、従来より医療用容器等に慣用されている各種のガス透過性プラスチックのいずれでも良く、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、架橋エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、これらのポリマーのブレンド、これらのポリマーの積層体などのいずれであってもよい。
 なお、各室への各成分の充填、収容は、常法に従って行うことができ、例えば、各液を各室に不活性ガス雰囲気下で充填した後、施栓し、加熱滅菌する方法が挙げられる。ここで、加熱滅菌の方法としては、高圧蒸気滅菌、熱水シャワー滅菌等の公知の方法を採用し得る。また、加熱滅菌は、必要に応じて二酸化炭素や窒素等の不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。
 更に、上記のような容器に収容された本発明の輸液は、変質、酸化等を確実に防止するために、該容器を脱酸素剤と共にガス非透過性外装容器で包装するのがよく、とりわけ容器として、隔壁が易剥離性溶着により形成されたものを採用した場合は、外圧により隔壁が連通しないように該隔壁部にて折り畳まれた状態で包装するのが好ましい。また、必要に応じて不活性ガス充填包装等を行うこともできる。
 なお、包装に適したガス非透過性外装容器の材質としては、一般に汎用されている各種材質のフィルム乃至シートを使用することができ、例えばエチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリエステル等及びこれらの少なくとも1種を含むフィルム乃至シートなどが挙げられる。また、外装容器に遮光性をもたせるとより好適であり、例えば上記フィルム乃至シートにアルミラミネートを施すことにより実施できる。
 また、脱酸素剤としては、公知の各種のもの、例えば水酸化鉄、酸化鉄、炭化鉄等の鉄化合物を有効成分とするものを利用でき、例えば「エージレス」(三菱瓦斯化学社製)、「モジュラン」(日本化薬社製)、「セキュール」(日本曹達社製)等の市販品を使用することができる。
 なお、本発明の輸液の投与時には、必要に応じて他の配合薬、例えば微量元素(鉄、マンガン、銅、ヨウ素など)、抗生物質等を、配合変化等が起こらない範囲で任意に添加配合することもできる。
 次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
 注射用蒸留水にブドウ糖及び電解質を溶解し、酢酸でpH4として、糖電解質液を調製した。一方、ビタミンB1(塩酸チアミン)及びビタミンB12(シアノコバラミン)を注射用蒸留水に溶解し、更にこれとは別に、ビタミンA(パルミチン酸レチノール)、ビタミンD(コレカルシフェロール)、ビタミンE(酢酸トコフェロール)及びビタミンK(フィトナジオン)をポリソルベート80(溶液(A)中の濃度=33mg/l)により可溶化した後注射用蒸留水に溶解した。これら各液を混合し、無菌濾過して、表2に示した組成の溶液(A)を調製した。
 他方、各結晶アミノ酸及び電解質を注射用蒸留水に溶解し、酢酸でpH6とした後、葉酸を加えてアミノ酸電解質液を調製した。更に、ビタミンB2(リン酸リボフラビン)、ビタミンB6(塩酸ピリドキシン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ニコチン酸アミド、パンテノール及びビオチンを注射用蒸留水に溶解し、これを上記アミノ酸電解質液と混合し、無菌濾過して、表2に示した組成の溶液(B)を調製した。なお、溶液(B)には、安定化剤として亜硫酸水素ナトリウムを濃度50mg/lとなるように添加した。
 溶液(A)の600ml及び溶液(B)の200mlを、それぞれ窒素置換下、ポリエチレン製2室容器の各室に充填し、密封した後、常法に従い高圧蒸気滅菌を行って、本発明の中心静脈投与用輸液を得た。
実施例2
 注射用蒸留水にブドウ糖及び電解質を溶解し、酢酸でpH4として、糖電解質液を調製した。一方、ビタミンB1(塩酸チアミン)、ビタミンB6(塩酸ピリドキシン)、ニコチン酸アミド、パンテノール、ビオチン及びビタミンB12(シアノコバラミン)を注射用蒸留水に溶解し、更にこれとは別に、ビタミンA(パルミチン酸レチノール)、ビタミンD(コレカルシフェロール)、ビタミンE(酢酸トコフェロール)及びビタミンK(フィトナジオン)をポリソルベート80(溶液(A)中の濃度=33mg/l)により可溶化した後注射用蒸留水に溶解した。これら各液を混合し、無菌濾過して、表2に示した組成の溶液(A)を調製した。
 他方、各結晶アミノ酸及び電解質を注射用蒸留水に溶解し、酢酸でpH6とした後、葉酸を加えてアミノ酸電解質液を調製した。更に、ビタミンB2(リン酸リボフラビン)及びビタミンC(アスコルビン酸)を注射用蒸留水に溶解し、これを上記アミノ酸電解質液と混合し、無菌濾過して、表2に示した組成の溶液(B)を調製した。なお、溶液(B)には、安定化剤として亜硫酸水素ナトリウムを濃度50mg/lとなるように添加した。
 溶液(A)の600ml及び溶液(B)の300mlを、それぞれ窒素置換下、ポリエチレン製2室容器の各室に充填し、密封した後、常法に従い高圧蒸気滅菌を行って、本発明の中心静脈投与用輸液を得た。
Figure 2004001900
比較例1
 注射用蒸留水にブドウ糖及び電解質を溶解し、酢酸でpH4として、糖電解質液を調製した。一方、ビタミンB1(塩酸チアミン)、ビタミンB2(リン酸リボフラビン)、ビタミンB6(塩酸ピリドキシン)、ニコチン酸アミド、パンテノール、ビオチン及びビタミンB12(シアノコバラミン)を注射用蒸留水に溶解し、更にこれとは別に、ビタミンA(パルミチン酸レチノール)、ビタミンD(コレカルシフェロール)、ビタミンE(酢酸トコフェロール)及びビタミンK(フィトナジオン)をポリソルベート80(溶液(A)中の濃度=33mg/l)により可溶化した後注射用蒸留水に溶解した。これら各液を混合し、無菌濾過して、表3に示した組成の溶液(A)を調製した。
 他方、各結晶アミノ酸及び電解質を注射用蒸留水に溶解し、酢酸でpH6とした後、葉酸を加えてアミノ酸電解質液を調製した。更に、ビタミンC(アスコルビン酸)を注射用蒸留水に溶解し、これを上記アミノ酸電解質液と混合し、無菌濾過して、表3に示した組成の溶液(B)を調製した。なお、溶液(B)には、安定化剤として亜硫酸水素ナトリウムを濃度50mg/lとなるように添加した。
 溶液(A)の600ml及び溶液(B)の300mlを、それぞれ窒素置換下、ポリエチレン製2室容器の各室に充填し、密封した後、常法に従い高圧蒸気滅菌を行って、中心静脈投与用輸液を得た。
比較例2
 注射用蒸留水にブドウ糖及び電解質を溶解し、酢酸でpH4として、糖電解質液を調製した。更に、ビタミンB2(リン酸リボフラビン)、ビタミンC(アスコルビン酸)及び葉酸を注射用蒸留水に溶解し、これを上記糖電解質液と混合し、無菌濾過して、表3に示す組成の溶液(A)を調製した。
 他方、各結晶アミノ酸及び電解質を注射用蒸留水に溶解し、酢酸でpH6として、アミノ酸電解質液を調製した。これとは別に、ビタミンB1(塩酸チアミン)、ビタミンB6(塩酸ピリドキシン)、ニコチン酸アミド、パンテノール、ビオチン及びビタミンB12(シアノコバラミン)を注射用蒸留水に溶解し、更にこれとは別に、ビタミンA(パルミチン酸レチノール)、ビタミンD(コレカルシフェロール)、ビタミンE(酢酸トコフェロール)及びビタミンK(フィトナジオン)をポリソルベート80(溶液(B)中の濃度100mg/l)により可溶化した後注射用蒸留水に溶解した。これら各液を混合し、無菌濾過して、表3に示した組成の溶液(B)を調製した。なお、溶液(B)には、安定化剤として亜硫酸水素ナトリウムを濃度50mg/lとなるように添加した。
 溶液(A)の600ml及び溶液(B)の200mlを、それぞれ窒素置換下、ポリエチレン製2室容器の各室に充填し、密封した後、常法に従い高圧蒸気滅菌を行って、中心静脈投与用輸液を得た。
Figure 2004001900
試験例
 実施例1及び2、並びに比較例1及び2で得られた輸液について、滅菌後及び更に40℃で4カ月放置した後の各ビタミンの含量を、日本薬局方に基づくバイオアッセイ(ビタミンB12及びビオチン)又はHPLC(その他のビタミン)により測定した。含量低下をきたしたビタミンについて、結果を表4に示す。なお、表4には、配合量に対する割合を百分率で示す。
Figure 2004001900
 表4の結果より、本発明の輸液では、各ビタミンの含量は4カ月放置後も、それぞれ許容範囲内であった。
 これに対し、比較例1では、ビタミンB2を溶液(A)中に配合したので、その含量低下が著しい。また、比較例2では、ビタミンB2は溶液(A)中でもビタミンCが共存しているため比較的安定であるものの、ビタミンCが溶液(A)に配合されているため、その含量低下が著しい。なお、ビタミンB1やビタミンB12は、溶液(B)では不安定で、葉酸は溶液(A)中で不安定であることが判る。

Claims (5)

  1.  連通可能な隔壁で隔てられた2室容器の各室に、脂肪乳剤を含まない下記の溶液(A)と溶液(B)の2液からなる輸液をそれぞれ収容した輸液容器を、脱酸素剤と共に遮光性を有するガス非透過性外装容器で包装することを特徴とする中心静脈投与用輸液中のビタミン類の安定化方法。
    溶液(A):還元糖、ビタミンB1を含有し、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩を含有しない。
    溶液(B):アミノ酸、ビタミンB2、葉酸及びビタミンCを含有し、pH5.0〜7.0である。
  2.  連通可能な隔壁で隔てられた2室容器の各室に、脂肪乳剤を含まない下記の溶液(A)と溶液(B)の2液からなる輸液をそれぞれ収容した輸液容器を、脱酸素剤と共に遮光性を有するガス非透過性外装容器で包装することを特徴とする中心静脈投与用輸液中のビタミン類の安定化方法。
    溶液(A):還元糖、ビタミンB1及びビタミンB12を含有し、pH3.5〜4.5であり、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩を含有しない。
    溶液(B):アミノ酸、ビタミンB2及びビタミンCを含有し、pH5.0〜7.0である。
  3.  連通可能な隔壁で隔てられた2室容器の各室に、脂肪乳剤を含まない下記の溶液(A)と溶液(B)の2液からなる輸液をそれぞれ収容した輸液容器を、脱酸素剤と共に遮光性を有するガス非透過性外装容器で包装することを特徴とする中心静脈投与用輸液中のビタミン類の安定化方法。
    溶液(A):還元糖、ビタミンB1、並びにビタミンA、ビタミンD、ビタミンE及びビタミンKから選ばれる1種以上を含有し、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩を含有しない。
    溶液(B):アミノ酸、ビタミンB2及びビタミンCを含有し、pH5.0〜7.0である。
  4.  連通可能な隔壁で隔てられた2室容器の各室に、脂肪乳剤を含まない下記の溶液(A)と溶液(B)の2液からなる輸液をそれぞれ収容した輸液容器を、脱酸素剤と共に遮光性を有するガス非透過性外装容器で包装することを特徴とする中心静脈投与用輸液中のビタミン類の安定化方法。
    溶液(A):還元糖、ビタミンB1、ビタミンB6及びニコチン酸アミドを含有し、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩を含有しない。
    溶液(B):アミノ酸、ビタミンB2及びビタミンCを含有し、pH5.0〜7.0である。
  5.  更に、電解質が溶液(A)及び/又は溶液(B)に配合されている請求項1〜4のいずれか1項記載の中心静脈投与用輸液中のビタミン類の安定化方法。
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