JP7289137B2 - 輸液製品 - Google Patents
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Description
項1. 互いに隔離された第1室及び第2室を少なくとも含むマルチチャンバ輸液バッグと、前記第1室に収容された糖含有液剤と、前記第2室に収容されたアミノ酸含有液剤とを含み、
前記糖含有液剤が、50w/v%以上の糖と、クエン酸緩衝剤とを含み、且つpH4以下である、輸液製品。
項2. 前記糖含有液剤が、酢酸及び酢酸の共役塩基及び/又は乳酸及び乳酸の共役塩基を含まない、項1に記載の輸液製品。
項3. 前記輸液製品を60℃で4週間保存した時の前記糖含有液剤の445nmにおける光透過率が、94%以上である、請求項1に記載の輸液製品。
項4. 前記マルチチャンバ輸液バッグに収容された全ての液剤の混合液の滴定酸度が、5~15である、項1~3のいずれかに記載の輸液製品。
項5. 前記マルチチャンバ輸液バッグに収容された全ての液剤の混合液のpHが、pH4~7である、項1~4いずれかに記載の輸液製品。
項6. 前記マルチチャンバ輸液バッグに収容された全ての液剤の混合液がリンを含まない、項1~5のいずれかに記載の輸液製品。
項7. 前記マルチチャンバ輸液バッグに収容された全ての液剤の混合液がカリウムを含まない、項1~6のいずれかに記載の輸液製品。
項8. 前記マルチチャンバ輸液バッグに収容された全ての液剤の混合液が菌に汚染されてから24時間後の菌増殖数が、2倍以内である、項1~7のいずれかに記載の輸液製品。
項9. 投与対象患者が腎不全患者である、項1~8のいずれかに記載の輸液製品。
項10. 互いに隔離された第1室及び第2室を少なくとも含むマルチチャンバ輸液バッグと、前記第1室に収容された糖含有液剤と、前記第2室に収容されたアミノ酸含有液剤とを含み、前記糖含有液剤が50w/v%以上の糖を含み且つpH4以下である輸液製品において、
前記糖含有液剤にクエン酸及びクエン塩の共役塩基を配合することを含む、輸液製品中の糖含有液剤の着色抑制方法。
本発明の輸液製品は、互いに隔離された第1室及び第2室を少なくとも含むマルチチャンバ輸液バッグと、前記第1室に収容された糖含有液剤と、前記第2室に収容されたアミノ酸含有液剤とを含み、前記糖含有液剤が、50w/v%以上の糖と、クエン酸及びクエン塩の共役塩基(以下において、「クエン酸緩衝剤」とも記載する。)とを含み、且つpH4以下であることを特徴とする。以下、本発明の輸液製品について詳細に説明する。
マルチチャンバ輸液バッグは、互いに隔離された第1室及び第2室を少なくとも含む。第1室及び第2室は、連通可能な隔壁で隔離されていればよく、そのような隔壁としては、易剥離シール(イージーピールシール)により形成される隔壁、室間をクリップで挟むことにより形成される隔壁、開封可能な連通手段が設けられた隔壁が挙げられ。これらの隔壁の中でも、輸液バッグの工業的生産性及び連通作業の容易性の観点から、好ましくは易剥離シール(イージーピールシール)により形成される隔壁が挙げられる。マルチチャンバ輸液バッグに設けられるチャンバ(収容室)の数は2以上であればよく、例えば、2~4、好ましくは2~3が挙げられる。
マルチチャンバ輸液バッグの第1室には、糖含有液剤が収容(充填)されている。糖含有液剤は、50w/v%以上の糖と、クエン酸緩衝剤とを含み、且つpH4以下に調整されている。好ましくは、糖含有液剤は、更に電解質及び/又はビタミンを含み、より好ましくは、更に電解質及びビタミンを含む。
糖含有液剤に配合される糖としては、生体への栄養補給を目的とする糖輸液に用いられているものを特に制限することなく用いることができる。糖含有液剤に配合される具体的な糖としては、ブドウ糖、フルクトース、マルトース等の還元糖、キシリトール、ソルビトール、グリセリン等の非還元糖等が挙げられる。これらの糖は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの糖の中でも、血糖値管理等の点から、好ましくは還元糖が挙げられ、更に好ましくはブドウ糖が挙げられる。
糖含有液剤には、クエン酸緩衝剤として、クエン酸及びクエン酸の共役塩基を含む。クエン酸緩衝剤は、糖含有液剤をpH4以下に調整するとともに、糖含有液剤の保存後における着色(黄変)を抑制する。上述のとおり、糖を50w/v%以上の高濃度で含む糖含有液剤は、乳酸や酢酸を含ませることでpHを4以下の低pHとなるように調整しても、保存後の着色(黄変)を十分に抑制できないが、本発明の輸液製品においては、糖含有液剤にクエン酸緩衝剤を含ませることによって、糖含有液剤の保存後の着色を充分に抑制することができる。
糖含有液剤には電解質を配合することができる。糖含有液剤に用いられる電解質としては、輸液分野で用いられる電解質を特に制限なく用いることができる。具体的には、電解質として、体液(例えば血液、細胞内液)に含まれる電解質(体液電解質)が挙げられ、より具体的には、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛、塩素、カリウム、リン等が挙げられる。
糖含有液剤にはビタミンを配合することができる。糖含有液剤に用いられるビタミンとしては、輸液分野で用いられるビタミンを特に制限なく用いることができる。具体的には、ビタミンとしては、ビタミンB群、ビタミンC等の水溶性ビタミン;ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK等の脂溶性ビタミンが挙げられる。これらの中でも、糖含有液剤に用いられるビタミンとしては、好ましくはビタミンB群が挙げられる。
糖含有液剤には、上記以外の他の成分を適宜含有することができる。他の成分としては、溶媒、安定剤、pH調整剤等が挙げられる。通常、糖含有液剤には溶媒として水が含まれており、水としては、好ましくは注射用蒸留水が挙げられる。また、糖含有液剤には、糖含有液剤の保存後における着色抑制効果をより良好に得る観点から、酢酸緩衝剤(酢酸及び酢酸の共役塩基)及び/又は乳酸緩衝剤(乳酸及び乳酸の共役塩基)を含まないことが好ましく、酢酸緩衝剤(酢酸及び酢酸の共役塩基)及び乳酸緩衝剤(乳酸及び乳酸の共役塩基)を含まないことがより好ましい。酢酸緩衝剤を構成する酢酸の共役塩基としては、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム等の酢酸の金属塩が挙げられ、乳酸緩衝剤を構成する乳酸の共役塩基としては、L-乳酸カリウム、L-乳酸ナトリウム等のL-乳酸の金属塩が挙げられる。
糖含有液剤は、pHが4以下に調整されている。なお、本発明において、pHは、20℃における測定温度である。糖を50w/v%以上の高濃度で含む糖含有液剤は、乳酸や酢酸を含ませることでpH4以下の低pHとなるように調製しても、保存後に着色(黄変)が生じるが、本発明の輸液製品においては、クエン酸緩衝剤を含むことにより、保存後の着色が効果的に抑制されている。このような保存後の優れた着色抑制効果に鑑みると、糖含有液剤における好適なpHの例として、3.9以下が挙げられ、好ましくは3.9未満が挙げられる。pHの下限としては特に限定されないが、本発明の輸液製品を腎不全患者にも投与する場合に滴定酸度を低く抑える観点から、例えば2.3以上、好ましくは3以上、より好ましくは3.5以上が挙げられる。なお、糖含有液剤を所定のpH4に調整するために用いられるpH調整剤としては特に限定されないが、好ましくは、クエン酸緩衝剤を構成するクエン酸を用いることができる。
糖含有液剤の収容量としては、マルチチャンバ輸液バッグに収容された全ての液剤の混合液に対する比率で、たとえば20~80体積%、好ましくは40~70体積%、より好ましくは50~60体積%が挙げられる。
マルチチャンバ輸液バッグの第2室には、アミノ酸含有液剤が収容(充填)されている。アミノ酸含有液剤の組成は、アミノ酸が含まれていれば特に限定されない。好ましくは、アミノ酸含有液剤は、アミノ酸に加えて、電解質及び/又はビタミンを含み、より好ましくは、アミノ酸、電解質及びビタミンを含む。
アミノ酸含有液剤に用いられるアミノ酸としては、生体への栄養補給を目的とするアミノ酸輸液に配合されているものを特に制限することなく用いることができる。アミノ酸は、遊離アミノ酸の状態で用いられてもよいし、その薬学的に許容される塩、エステル体、N-アシル誘導体、ジペプチドの形態で用いられてもよい。
L-ロイシン:2.5~33g/L、好ましくは5~18g/L、より好ましくは13~15g/L
L-イソロイシン:0~23g/L、好ましくは3~12g/L、より好ましくは8~10g/L
L-バリン:0.9~27g/L、好ましくは3~13g/L、より好ましくは9~11g/L
L-リシン:1.5~23g/L、好ましくは2~11g/L、より好ましくは2~8g/L
L-トレオニン:1~13g/L、好ましくは1.2~6g/L
L-トリプトファン:0.5~5g/L
L-メチオニン:0.7~13g/L、好ましくは1~5g/L、より好ましくは2~4g/L
L-フェニルアラニン:1~20g、好ましくは1.8~9g/L、より好ましくは4~6g/L
L-システイン:0.1~3g/L、好ましくは0.3~1.3g/L
L-チロジン:0.06~1.2g/L
L-アルギニン:1.5~23g/L、好ましくは2~11g/L
L-ヒスチジン:1~13g/L、好ましくは1.2~6g/L
L-アラニン:1~23g/L、好ましくは1~8g/L
L-プロリン:0.5~17g/L、好ましくは1.2~6g/L
L-セリン:0.5~10g/L、好ましくは1~5g/L
L-アスパラギン酸:0.1~7g/L、好ましくは0.12~1.8g/L
L-グルタミン酸:0.1~10g/L、好ましくは0.12~1.8g/L
アミノ酸含有液剤には電解質を配合することができる。アミノ酸含有液剤に用いられる電解質としては、輸液分野で用いられる電解質を特に制限なく用いることができる。具体的には、電解質として、体液(例えば血液、細胞内液)に含まれる電解質(体液電解質)が挙げられ、より具体的には、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛、塩素等が挙げられる。
アミノ酸含有液剤にはビタミンを配合することができる。アミノ酸含有液剤に用いられるビタミンとしては、輸液分野で用いられるビタミンを特に制限なく用いることができる。具体的には、ビタミンとしては、ビタミンB群、ビタミンC等の水溶性ビタミン;ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK等の脂溶性ビタミンが挙げられる。これらの中でも、アミノ酸含有液剤に用いられるビタミンとしては、好ましくはビタミンB群が挙げられる。
アミノ酸含有液剤には、上記以外の他の成分を適宜含有することができる。他の成分としては、溶媒、安定剤、緩衝剤、pH調整剤等が挙げられる。通常、アミノ酸含有液剤には溶媒として水が含まれており、水としては、好ましくは注射用蒸留水が挙げられる。
アミノ酸含有液剤のpHとしては、マルチチャンバ輸液バッグに収容された全ての液剤の混合液が所望のpHに調整されるよう、糖含有液のpHよりも高く調整されていれば特に限定されない。例えば、アミノ酸含有液剤のpHとしては、5~8、好ましくは6~7.5、より好ましくは6.5~7.5が挙げられる。なお、アミノ酸含有液剤に用いられるpH調整剤としては特に限定されないが、好ましくは、酢酸(氷酢酸の形態であってもよい)を用いることができる。
アミノ酸含有液剤の収容量としては、マルチチャンバ輸液バッグに収容された全ての液剤の混合液に対する比率で、たとえば20~70体積%、好ましくは30~50体積%、より好ましくは40~50体積%が挙げられる。
上述のように、本発明の輸液製品において、マルチチャンバ輸液バッグは、第1室及び第2室以外の他の収容室を有していてもよい。本発明の輸液製品のマルチチャンバ輸液バッグが他の収容室として第3室を有する場合、第3室には、ビタミン含有液剤を収容(充填)することができる。第3室は、第1室又は第2室の内部に収納されていてもよい。
ビタミン含有液剤に用いられるビタミンとしては、輸液分野で用いられるビタミンを特に制限なく用いることができる。具体的には、ビタミンとしては、ビタミンB群、ビタミンC等の水溶性ビタミン;ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK等の脂溶性ビタミンが挙げられる。これらの中でも、ビタミン含有液剤に用いられるビタミンとしては少なくとも脂溶性ビタミンを含むことが好ましい。また、ビタミン含有液に用いられるビタミンとしては、水溶性ビタミンであるビタミンB群及び/又はビタミンCを含むことができ、好ましくはビタミンB群及びビタミンCを含むことができる。ビタミン含有液剤がビタミンB群を含む場合は、ビタミンB群として、好ましくはビタミンB2及びビタミンB7(ビオチン)が挙げられる。
ビタミン含有液剤には、ビタミン以外の他の成分を適宜含有することができる。他の成分としては、溶媒、安定剤、緩衝剤、pH調整剤等が挙げられる。通常、ビタミン含有液剤には溶媒として水が含まれており、水としては、好ましくは注射用蒸留水が挙げられる。
ビタミン含有液剤の収容量としては、マルチチャンバ輸液バッグに収容された全ての液剤の混合液に対する比率で、たとえば0.3~1.5体積%、好ましくは0.5~1.0体積%が挙げられる。
本発明の輸液製品は、用時に、マルチチャンバ輸液バッグに収容された全ての液剤が混合され、調製された混合液が投与輸液として使用される。
本発明においては、マルチチャンバ輸液バッグに収容された全ての液剤が混合した時に、混合液を、アミノ酸含有液剤のpHに近いpHに制御することができる。当該混合液のpHとしては、4~7、好ましくは5~7、より好ましくは5.6~6.2が挙げられる。
本発明の輸液製品によって得られる混合液において、浸透圧比としては、例えば7~9.6、好ましくは7.4~9.4、より好ましくは7.6~9.2が挙げられる。ここで、浸透圧比とは、生理食塩水の浸透圧に対する比(すなわち、生理食塩水の浸透圧を1としたときの相対比)である。
本発明の輸液製品によって得られる混合液において、滴定酸度としては、例えば5~15、好ましくは6~12、より好ましくは7~9が挙げられる。
本発明の輸液製品によって得られる混合液の熱量としては、糖、アミノ酸等の含有成分の含有量に応じて決定されるが、例えば1200~1700kcal/L、好ましくは1300~1600kcal/Lが挙げられる。
本発明の輸液製品によって得られる混合液を腎不全患者に対して投与する場合においては、当該混合液には、カリウム及びリンの少なくともいずれかを含まないことが好ましく、カリウム及びリンの両方を含まないことがより好ましい。
本発明の輸液製品によって得られる混合液の組成として、以下の組成が挙げられる。
ブドウ糖 50~450g/L、
好ましくは、100~400g/L、
より好ましくは、300~350g/L
総アミノ酸(遊離アミノ酸換算量)
10~60g/L、
好ましくは、15~45g/L、
より好ましくは、20~40g/L、
さらに好ましくは、25~35g/L
ナトリウムイオン 10~160mEq/L、
好ましくは40~70mEq/L、
より好ましくは、45~65mEq/L、
さらに好ましくは、40~60mEq/L
マグネシウムイオン 1~40mEq/L、
好ましくは、2~20mEq/L、
より好ましくは、2~10mEq/L
カルシウムイオン 1~40mEq/L、
好ましくは、2~20mEq/L、
より好ましくは、2~10mEq/L
塩化物イオン 20~60mEq/L、
好ましくは、25~55mEq/L、
より好ましくは、30~50mEq/L
乳酸イオン 1~30mEq/L、
好ましくは、5~25mEq/L、
より好ましくは、10~20mEq/L
酢酸イオン 1~70mEq/L、
好ましくは、5~55mEq/L、
より好ましくは、10~30mEq/L
クエン酸イオン 1~25mEq/L、
好ましくは、5~15mEq/L、
亜鉛 2~200μmol/L、
好ましくは、10~50μmol/L、
より好ましくは、15~30μmol/L
ビタミンB1 0.4~30mg/L
好ましくは1~10mg/L
ビタミンB2 0.5~15mg/L
好ましくは1~10mg/L
ビタミンB6 0.5~20mg/L
好ましくは1~10mg/L
ビタミンB12 0.5~50μg/L、
好ましくは1~10μg/L
ニコチン酸類 5~80mg/L
好ましくは10~60mg/L
葉酸 0.05~1mg/L
好ましくは0.1~0.8mg/L
ビタミンC 12~400mg/L
好ましくは20~300mg/L
ビタミンA 400~6500IU/L
好ましくは800~4000IU/L
ビタミンD 0.5~10μg/L、
好ましくは1~6μg/L
ビタミンE 1~30mg/L、
好ましくは2.5~15mg/L
ビタミンK 0.01~10mg/L、
好ましくは0.03~5mg/L、
より好ましくは0.05~1mg/L
ビオチン 5~150μg/L、
好ましくは10~70μg/L
本発明の輸液製品の製造方法は、常法に従い、当業者によって適宜選択される。例えば、不活性ガス(例えば、二酸化炭素又は窒素)雰囲気下でマルチチャンバ輸液バッグへの第1室及び第2室を含む各室への液剤の収容(充填)を行い、施栓した後、加熱滅菌する方法が挙げられる。加熱滅菌の方法としては、高圧蒸気滅菌、熱水シャワー滅菌等が挙げられる。また加熱滅菌は、必要に応じて不活性ガス(例えば、二酸化炭素又は窒素)雰囲気中で行うこともできる。
本発明の輸液製品は、経口摂取困難で低蛋白血症又は低栄養状態にある患者、手術前後又は侵襲期の患者等に対し、栄養管理の目的で用いることができる。本発明の輸液製品は高濃度高カロリーの混合液(投与輸液)を調製するため、長期間経口摂取が出来ない場合、具体的には、1週間以上、特に10日以上の経口摂取ができない患者に対して用いられることが好ましい。さらに、本発明の輸液製品によって得られる混合液が、カリウム及びリンの少なくともいずれか、好ましくはカリウム及びリンの両方を含まない場合には、腎不全患者に対して好適に用いることができる。ここでいう腎不全とは、急性腎不全時及び慢性腎不全の両方を含む。
更に、本発明は輸液製品中の糖含有液剤の着色抑制方法を提供する。着色抑制とは、50w/v%以上の糖を含み且つpH4以下である糖含有液剤において、クエン酸緩衝剤を含まない場合に比べ(好ましくは酢酸緩衝剤及び/又は乳酸緩衝剤を含む場合に比べ)、クエン酸緩衝剤を含む場合において、着色(黄変)の程度が小さくなることをいう。着色抑制の評価は、例えば、当該糖含有液剤を60℃で4週間保存した後の445nmにおける光透過率を調べることによって評価することができる。保存後の光透過率が高いほど、着色が抑制されていると評価できる。当該保存後の光透過率としては、好ましくは94%以上、より好ましくは95%以上が挙げられる。また、当該光透過率は高いほど好ましいが、その上限としては、例えば100%以下、又は99%以下が挙げられる。
表1の組成を有する、pH3.8又はpH4.0(20℃でのpH。以下において、pHの測定温度は20℃である。)の糖含有液剤[クエン酸緩衝](調製例1)、糖含有液剤[酢酸緩衝](比較調製例1)、及び糖含有液剤[乳酸緩衝](比較調製例2)を調製した。なお、調製した糖含有液中の糖の含有量はいずれも58.4w/v%であった。
試験例1と同様にして実施例1の輸液製品を作製した。実施例1の輸液製品において、マルチチャンバ輸液バッグの一室を押圧することで隔壁を開通させることで、調製例1の糖含有液剤、アミノ酸含有液剤、及びビタミン含有液剤を混合し、混合液を得た。得られた混合液の組成、pH及び浸透圧比を表4に示す。
Claims (10)
- 互いに隔離された第1室及び第2室を少なくとも含むマルチチャンバ輸液バッグと、前記第1室に収容された糖含有液剤と、前記第2室に収容されたアミノ酸含有液剤とを含み、
前記糖含有液剤が、50w/v%以上の糖と、クエン酸及びクエン塩の共役塩基とを含み、且つpH4以下であり、
前記マルチチャンバ輸液バッグに収容された全ての液剤の混合液がリンを含まない、輸液製品。 - 前記糖含有液剤が、酢酸及び酢酸の共役塩基及び/又は乳酸及び乳酸の共役塩基を含まない、請求項1に記載の輸液製品。
- 前記輸液製品を60℃で4週間保存した時の前記糖含有液剤の445nmにおける光透過率が、94%以上である、請求項1に記載の輸液製品。
- 前記マルチチャンバ輸液バッグに収容された全ての液剤の混合液の滴定酸度が、5~15である、請求項1~3のいずれかに記載の輸液製品。
- 前記マルチチャンバ輸液バッグに収容された全ての液剤の混合液のpHが、pH4~7である、請求項1~4いずれかに記載の輸液製品。
- 前記マルチチャンバ輸液バッグに収容された全ての液剤の混合液がカリウムを含まない、請求項1~5のいずれかに記載の輸液製品。
- 前記マルチチャンバ輸液バッグに収容された全ての液剤の混合液が菌に汚染されてから24時間後の菌増殖数が、2倍以内である、請求項1~6のいずれかに記載の輸液製品。
- 投与対象患者が腎不全患者である、請求項1~7のいずれかに記載の輸液製品。
- 前記糖含有液剤に含まれる前記糖の含有量が、57.5w/v%以上である、請求項1~8のいずれかに記載の輸液製品。
- 互いに隔離された第1室及び第2室を少なくとも含むマルチチャンバ輸液バッグと、前記第1室に収容された糖含有液剤と、前記第2室に収容されたアミノ酸含有液剤とを含み、前記糖含有液剤が50w/v%以上の糖を含み且つpH4以下であり、前記マルチチャンバ輸液バッグに収容された全ての液剤の混合液がリンを含まない輸液製品において、
前記糖含有液剤にクエン酸及びクエン塩の共役塩基を配合することを含む、輸液製品中の糖含有液剤の着色抑制方法。
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