JP2006137745A - ビタミンb群配合末梢静脈栄養輸液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】糖質、アミノ酸、電解質を主成分とし、複室容器に充填される末梢静脈栄養輸液製剤において、ブドウ糖液側とアミノ酸輸液側に、各種ビタミンB群並びに電解質を振り分けた末梢静脈栄養輸液製剤。
【選択図】なし
Description
しかし、最近では末梢静脈栄養輸液療法においてもビタミン類の配合は考慮すべきとの指摘があり、最近、末梢静脈栄養輸液の対象となる患者においても、ビタミン類の潜在的欠乏があり、高カロリー輸液施行時のみならず、末梢栄養輸液施行時にもビタミン類の配合に配慮すべきであるとの報告が散見されるようになった(非特許文献2および3参照)。
このような事情から、末梢静脈栄養輸液製剤においても、ビタミンB1のみについては、欠乏時にアシドーシスなどの重篤な副作用を来す可能性があることから、配合が考慮されるべきと考えられ、ビタミンB1を配合した末梢静脈栄養輸液製剤の特許が出願されている(特許文献1参照)。
一方、補給される栄養輸液中のブドウ糖やアミノ酸が代謝利用されるためには、ビタミンB群が必須不可欠であり、これらが欠乏あるいは不足した場合は、重篤な代謝障害が起こることが知られている(非特許文献4参照)。
すなわち、ブドウ糖の代謝においてビタミンB1が欠乏した状態では、ピルビン酸からのアセチルCoAを経由したクエン酸回路が障害され、アシドーシスを来すことが知られている。またB6欠乏の場合はアミノ基転移、脱アミノ基、脱炭酸など様々なアミノ酸代謝が影響を受け、口内炎、口角炎、脂漏性皮膚炎などの皮膚症状や、末梢神経炎、痙攣、貧血などの症状発現に関与してくる。さらに、ビタミンB群には相互作用のあることも知られており、例えば動脈硬化の因子の一つと考えられているホモシステインの代謝については、ビタミンB2、B6、B12、葉酸が協同して代謝制御しており、単一のビタミン補充療法では十分な効果が期待できない。この他にも高齢者の多くが潜在的ビタミンB12欠乏状態にあり、軽度のB12欠乏でも集中力の低下や抑うつ状態の症状が認められることが知られてきている。
従って、医療の現場において、ブドウ糖やアミノ酸の代謝利用のために必要な量のビタミンB群が配合された末梢静脈栄養輸液製剤の提供が望まれている。
特許文献1に記載される末梢静脈栄養輸液製剤においては、ビタミンB12および葉酸の配合は、糖質液およびアミノ酸液とは隔離された第3室の薬液に配合される場合のみに限定されている。また、非特許文献1に記載される高カロリー輸液製剤においても、シアノコバラミン(ビタミンB12)および葉酸は、糖質液およびアミノ酸液とは隔離された第3室の薬液に配合されている。これらは、ビタミンB12は輸液中ではビタミンB1、ナイアシン、アスコルビン酸などと配合変化を起こすこと、ナイアシンは強い酸やアルカリ条件では分解すること、葉酸は2価の金属陽イオン、リン酸リボフラビン、アスコルビン酸などと配合変化を起こすことや酸性領域では濁りを生ずるといった問題点を解消するための工夫と思われる。
(1) 糖質を含有する糖質液とアミノ酸を含有するアミノ酸液が複室容器の別々の室に収容され、さらに、電解質、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシンおよび葉酸を含有することを特徴とする末梢静脈栄養輸液製剤、
(2) 糖質1g当たりビタミンB1を2〜20μg、ビタミンB2を2〜20μgおよびナイアシンを10〜100μgナイアシン等量含有し、アミノ酸1g当たりビタミンB6を10〜100μg含有する、上記(1)記載の末梢静脈栄養輸液製剤、
(3) 1L当たりビタミンB12を0.5〜5.0μg、葉酸を30〜300μg含有する、上記(1)記載の末梢静脈栄養輸液製剤、
(4) 糖質液とアミノ酸液を混合した後の混合液中において、各成分が下記の組成範囲となるように配合されている、上記(1)記載の末梢静脈栄養輸液製剤、
ブドウ糖 30 〜 125 g/L
アミノ酸 10 〜 40 g/L
Na+ 20 〜 80 mEq/L
K+ 10 〜 40 mEq/L
Mg2+ 0 〜 10 mEq/L
Ca2+ 0 〜 10 mEq/L
Cl- 20 〜 80 mEq/L
P 0 〜 20 mmol/L
Zn 0 〜 30 μmol/L
ビタミンB1 60 〜 2500μg/L
ビタミンB2 60 〜 2500μg/L
ビタミンB6 100 〜 4000μg/L
ビタミンB12 0.5 〜 5μg/L
ナイアシン 300 〜 12500μg/L
葉酸 30 〜 300μg/L
(5) 糖質液中にカルシウム、マグネシウム、ビタミンB1およびビタミンB2を含有し、アミノ酸液中にビタミンB12および葉酸を含有する、上記(1)記載の末梢静脈栄養輸液製剤、
(6) 糖質液中にクエン酸を含有する、上記(1)記載の末梢静脈栄養輸液製剤、
(7) 糖質液のpHが4.0〜6.0に調整されている、上記(1)記載の末梢静脈栄養輸液製剤、
(8) アミノ酸液のpHが6.5〜8.0に調整されている、上記(1)記載の末梢静脈栄養輸液製剤、
(9) 糖質液とアミノ酸液を混合した後の混合液のpHが6.0〜7.5である、上記(1)記載の末梢静脈栄養輸液製剤、
(10) 複室容器が2室からなる容器である、上記(1)記載の末梢静脈栄養輸液製剤、および
(11) 易剥離シールで分割された2室を有する可撓性プラスチックバッグの、一方の室に糖質液が収容され、他方の室にアミノ酸液が収容されてなる、上記(1)記載の末梢静脈栄養輸液製剤
に関する。
また、本発明の末梢静脈栄養輸液製剤は、糖質液側に糖代謝やエネルギー代謝に関与するビタミン群を配合し、アミノ酸液側にアミノ酸代謝に関与するビタミン群を配合しているため、複室容器の2室を用時連通させずに一方の薬液のみを投与してしまった場合にも、ビタミン欠乏に伴う糖やアミノ酸の代謝障害による副作用発現を未然に防止することができ、安全性が高い製剤である。
本発明の末梢静脈栄養輸液製剤は、さらにビタミンB1(化学名:チアミン)、ビタミンB2(化学名:リボフラビン)、ビタミンB6(化学名:ピリドキシン)、ビタミンB12(化学名:シアノコバラミン)、ナイアシンおよび葉酸を含有することを特徴とする。本発明の末梢静脈栄養輸液製剤に含有されるこれらのビタミンB群は、代わりにそれらの誘導体、前駆体あるいは同様の作用効果を有する化合物を使用してもよい。
さらにビタミンB群の中で早期に欠乏を来しやすく、これらのビタミンとの相互作用を有するビタミン類(葉酸、ビタミンB12等)を本発明の末梢静脈栄養輸液製剤に配合させることが好ましく、これにより高ホモシステイン血症などの代謝異常を来しにくい製剤を得ることができる。
本発明の末梢静脈栄養輸液製剤において、ビタミンB群および電解質は通常、以下のように糖質液あるいはアミノ酸液に振り分けて配合される。
まず、ビタミンB1は酸性域で安定であるため、糖質液側に配合される。また、ビタミンB1は亜硫酸塩が存在すると不安定となるため、糖質液には亜硫酸塩が含まれないことが望ましい。
ビタミンB12は、ビタミンB1と反応し配合変化をおこすため、アミノ酸液に配合される。
さらに、糖質液中にはpH調製剤としてクエン酸を含有させることが好ましい。クエン酸の添加により、pH6程度の薬液中であってもビタミンB2とカルシウムの反応による不溶性塩の生成を防止することができる。
さらに、複室容器の2室を用時連通させずに一方の薬液のみを投与してしまった場合の安全性を考慮すると、糖質液中にエネルギー代謝に関与するナイアシンを含有し、アミノ酸液中にアミノ酸代謝に関与するビタミンB6を含有することが好ましい。
本発明の糖質液に用いる糖質としては、ブドウ糖、フルクトース、マルトース等の還元糖や、キシリトール、ソルビトール、グリセリン等の非還元糖が挙げられる。これらのうち、1種又は2種以上の糖質を配合することができる。これらの糖質のうち、血糖管理などの観点から言えば、ブドウ糖を用いるのが好ましい。
糖質液中の糖質の配合量は、血管傷害性の少ない配合量として、糖質濃度を60〜140g/Lとするのが好ましい。また、複室容器の一室に収容する糖質液の液量は、通常、200〜1000mLである。また、アミノ酸液との混合後の最終的な糖質濃度が、30〜125g/Lであることが好ましい。糖質液の溶媒としては、通常、注射用水が用いられる。
また、電解質等の沈殿を防止するために、糖質液のpHは、pH調整剤で4.0〜6.0の範囲に調製することが好ましく、さらに4.5〜5.5の範囲に調整するのが望ましい。pH調整剤としては、クエン酸を用いることが好ましい。
さらに、ビタミンB1の分解を避けるため、亜硫酸水素ナトリウム等の安定化剤などは含有されないことが好ましい。
本発明におけるアミノ酸は、少なくとも必須アミノ酸からなるアミノ酸組成物を含有している。使用される各アミノ酸は、一般のアミノ酸輸液と同様、純粋結晶状アミノ酸であるのが好ましい。これらは、通常、遊離アミノ酸の形態で用いられるが、特に遊離形態でなくてもよく、薬理学的に許容される塩、エステル、N-アシル誘導体、2種のアミノ酸の塩やペプチドの形態で用いることもできる。
また、本発明のアミノ酸液は、経末梢静脈投与用として調製する場合、アミノ酸濃度を遊離アミノ酸換算で80〜120g/Lとするのが好ましい。複室容器の一室に収容するアミノ酸液の液量は、通常、100〜500mLである。また、糖質液との混合後の最終的なアミノ酸濃度が、10〜40g/Lであることが好ましい。アミノ酸液の溶媒としては、通常、注射用蒸留水が用いられる。
通常、カルシウム、マグネシウム等の2価の電解質は含まない。また、亜硫酸水素ナトリウム等の安定化剤などは含有されないことが好ましい。
本発明の輸液製剤に用いられる電解質としては、一般の電解質輸液などに用いられる化合物と同様のものを使用できる。電解質供給源の具体例を挙げると、
ナトリウム供給源としては、例えば塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、硫酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等を挙げることができる。
カルシウム供給源としては、例えば塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム等を挙げることができる。
マグネシウム供給源としては、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム等を挙げることができる。
カリウムの供給源としては、例えば塩化カリウム、酢酸カリウム、クエン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、グリセロリン酸カリウム、硫酸カリウム、乳酸カリウム等を挙げることができる。これらのうち、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、グリセロリン酸カリウムなどのリン酸塩は、リン供給源にもなるので好適である。これらのカリウム供給源は水和物形態であってもよい。しかし、本発明において、カルシウム及び/またはマグネシウムを含有する場合は、葉酸と反応し配合変化を生ずることから、これらの電解質はブドウ糖側に配合し、葉酸と分離しておくことが好ましい。
塩素供給源としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルウシム、塩化マグネシウム等を挙げることができる。
亜鉛供給源としては、硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を挙げることができる。
各電解質の供給源は水和物形態であってもよい。
本発明の末梢静脈栄養輸液製剤は、使用時に、複室に収容された前記の糖質液とアミノ酸液を混合する。この混合液は、患者に血管痛を起こさないようにするために、pHが6〜7.5、滴定酸度が5〜10の範囲であることが好ましい。このため、各室に収容された薬液のpHを前記の範囲とするのが好ましい。また、電解質としては、解離度が100%に近い強電解質を多く用いることが好ましい。
ブドウ糖 30 〜 125 g/L
アミノ酸 10 〜 40 g/L
Na+ 20 〜 80 mEq/L
K+ 10 〜 40 mEq/L
Mg2+ 0 〜 10 mEq/L
Ca2+ 0 〜 10 mEq/L
Cl- 20 〜 80 mEq/L
P 0 〜 20 mmol/L
Zn 0 〜 30 μmol/L
ビタミンB1 60 〜 2500μg/L
ビタミンB2 60 〜 2500μg/L
ビタミンB6 100 〜 4000μg/L
ビタミンB12 0.5 〜 5μg/L
ナイアシン 300 〜 12500μg/L
葉酸 30 〜 300μg/L
本発明の輸液製剤を収容する複室容器としては、連通可能な2室を有するものであれば特に限定されないが、例えば易剥離シールにより隔壁が形成されたもの(特開平2−4671号公報、実開平5−5138号公報等)、室間をクリップで挟むことにより隔壁が形成されたもの(特開昭63−309263号公報等)、隔壁に開通可能な種々の連通手段を設けたもの(特公昭63−20550号公報等)などのように開通可能な隔壁で隔てられた2室を有する輸液バッグが挙げられる。これらのうち、大量生産に適しており、また連通作業も容易であることから、隔壁が易剥離シールにより形成された輸液バッグが好ましい。また連通時操作の簡便性の観点から、複室容器は2室からなる容器であることが好ましい。2室には、それぞれ上記の糖質液とアミノ酸液が収容される。
また、脱酸素剤としては、種々公知のものを用いることができ、例えば水酸化鉄、酸化鉄、炭化鉄等の鉄化合物を有効成分とする鉄系の脱酸素剤や、低分子フェノールと活性炭を用いたものを使用することができる。代表的な市販商品名としては、「エージレス」(三菱ガス化学社製)、「タモツ」(王子化工社製)、「モジュラン」(日本化薬社製)、「セキュール」(日本曹達社製)等が挙げられる。
ブドウ糖および下記の各電解質を窒素雰囲気下に注射用水に溶解し、下記組成の糖質液を調製した。ついで、この液に適宜pH調整剤(クエン酸)を加えることによりpH約5.0に調整後、塩酸チアミン、リン酸リボフラビンナトリウム及びナイアシンを溶解させた。
糖質液 750mL中
ブドウ糖 75.0g
塩化ナトリウム 0.709g
塩化カリウム 0.746g
酢酸ナトリウム 3.112g
グルコン酸カルシウム 0.673g
硫酸マグネシウム 0.370g
硫酸亜鉛 1.438mg
塩酸チアミン(ビタミンB1) 1.0mg
リン酸リボフラビンナトリウム(ビタミンB2) 1.0mg
ナイアシン 5.0mgNE
pH調整剤(クエン酸)
一方、下記の各アミノ酸及び電解質を窒素雰囲気下に注射用水に溶解し、下記組成のアミノ酸液を調製した。ついで、この液にpH調整剤として微量のクエン酸を添加して、液のpHを約7.5に調整し、その後、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン及び葉酸を溶解させた。
アミノ酸液 250mL中
L-ロイシン 2.50g
L-イソロイシン 2.50g
L-バリン 2.50g
塩酸L-リジン 2.35g
L-トレオニン 1.875g
L-トリプトファン 0.625g
L-メチオニン 1.25g
L-フェニルアラニン 1.875g
アセチルシステイン 0.338g
L-チロジン 0.125g
L-アルギニン 2.50g
L-ヒスチジン 1.10g
L-アラニン 1.875g
L-プロリン 1.25g
L-セリン 0.375g
グリシン 1.875g
L-アスパラギン酸 0.25g
L-グルタミン酸 0.25g
グリセロリン酸カリウム 1.241g
塩酸ピリドキシン(ビタミンB6) 2.0mg
シアノコバラミン(ビタミンB12) 0.002mg
葉酸 0.1mg
pH調整剤(クエン酸)
上記で得られた両液を常法に従ってろ過後、糖質液750mL及びアミノ酸液250mLを、それぞれポリプロピレン製(ポリオレフィン系)の2室バッグ(易剥離シールで分割された2室を有するバッグ)の各室に充填し、窒素置換を行い、密封した後、常法に従い高圧蒸気滅菌を行って、末梢静脈栄養輸液製剤を得た。
なお、両液(糖質液とアミノ酸液)混合後のpHは約6であった。
ブドウ糖および下記の各電解質を窒素雰囲気下に注射用水に溶解し、下記組成の糖質液を調製した。ついで、この液に適宜pH調整剤(クエン酸)を加えることによりpH約5.0に調整後、塩酸チアミン、リン酸リボフラビンナトリウム及びナイアシンを溶解させた。
糖質液 700mL中
ブドウ糖 75.0g
塩化ナトリウム 0.80g
乳酸ナトリウム 2.29g
グルコン酸カルシウム 1.12g
硫酸マグネシウム 0.62g
硫酸亜鉛 1.40mg
塩酸チアミン(ビタミンB1) 1.0mg
リン酸リボフラビンナトリウム(ビタミンB2) 1.0mg
ナイアシン 5.0mgNE
pH調整剤(クエン酸)
一方、下記の各アミノ酸及び電解質を窒素雰囲気下に注射用水に溶解し、下記組成のアミノ酸液を調製した。ついで、この液にpH調整剤として微量のクエン酸またはNaOHを添加して、液のpHを約7.5に調整し、その後、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、葉酸を溶解させた。
アミノ酸液 300mL中
L-ロイシン 4.20g
L-イソロイシン 2.40g
L-バリン 2.40g
塩酸L-リジン 3.93g
L-トレオニン 1.71g
L-トリプトファン 0.60g
L-メチオニン 1.17g
L-フェニルアラニン 2.10g
アセチルシステイン 0.40g
L-チロジン 0.15g
L-アルギニン 3.15g
L-ヒスチジン 1.50g
L-アラニン 2.40g
L-プロリン 1.50g
L-セリン 0.90g
グリシン 1.77g
L-アスパラギン酸 0.30g
L-グルタミン酸 0.30g
リン酸水素二カリウム 1.74g
塩酸ピリドキシン(ビタミンB6) 2.0mg
シアノコバラミン(ビタミンB12) 0.002mg
葉酸 0.1mg
pH調整剤(クエン酸)
上記で得られた両液を常法に従ってろ過後、糖・電解質・ビタミン液700mL及びアミノ酸・電解質・ビタミン液300mLを、それぞれポリプロピレン製(ポリオレフィン系)の2室バッグ(易剥離シールで分割された2室を有するバッグ)の各室に充填し、アミノ酸液については窒素置換を行い、密封した後、常法に従い高圧蒸気滅菌を行って、末梢静脈栄養輸液製剤を得た。
なお、両液(糖質液とアミノ酸液)混合後のpHは約7であった。
実施例1の製剤を室温で2ヶ月及び8ヶ月保存し、配合ビタミン類の含量を測定した成績を表1に示した。
実施例1の組成で液性を変化させた場合のビタミン類の安定性を表2に示した。糖質液のpHを4以下にした場合はビタミンB2の安定性が低下し、pHを6以上にした場合はビタミンB1の安定性が低下すること、並びにアミノ酸液のpHを6以下あるいは8以上にした場合、葉酸の安定性が低下した。これらの成績から糖質液のpHは4〜6、アミノ酸液のpHは6〜8の範囲が各々のビタミンの安定性に好都合と考えられた。
Claims (11)
- 糖質を含有する糖質液とアミノ酸を含有するアミノ酸液が複室容器の別々の室に収容され、さらに、電解質、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシンおよび葉酸を含有することを特徴とする末梢静脈栄養輸液製剤。
- 糖質1g当たりビタミンB1を2〜20μg、ビタミンB2を2〜20μgおよびナイアシンを10〜100μgナイアシン等量含有し、アミノ酸1g当たりビタミンB6を10〜100μg含有する、請求項1記載の末梢静脈栄養輸液製剤。
- 1L当たりビタミンB12を0.5〜5.0μg、葉酸を30〜300μg含有する、請求項1記載の末梢静脈栄養輸液製剤。
- 糖質液とアミノ酸液を混合した後の混合液中において、各成分が下記の組成範囲となるように配合されている、請求項1記載の末梢静脈栄養輸液製剤。
ブドウ糖 30 〜 125 g/L
アミノ酸 10 〜 40 g/L
Na+ 20 〜 80 mEq/L
K+ 10 〜 40 mEq/L
Mg2+ 0 〜 10 mEq/L
Ca2+ 0 〜 10 mEq/L
Cl- 20 〜 80 mEq/L
P 0 〜 20 mmol/L
Zn 0 〜 30 μmol/L
ビタミンB1 60 〜 2500μg/L
ビタミンB2 60 〜 2500μg/L
ビタミンB6 100 〜 4000μg/L
ビタミンB12 0.5 〜 5μg/L
ナイアシン 300 〜 12500μg/L
葉酸 30 〜 300μg/L - 糖質液中にカルシウム、マグネシウム、ビタミンB1およびビタミンB2を含有し、アミノ酸液中にビタミンB12および葉酸を含有する、請求項1記載の末梢静脈栄養輸液製剤。
- 糖質液中にクエン酸を含有する、請求項1記載の末梢静脈栄養輸液製剤。
- 糖質液のpHが4.0〜6.0に調整されている、請求項1記載の末梢静脈栄養輸液製剤。
- アミノ酸液のpHが6.5〜8.0に調整されている、請求項1記載の末梢静脈栄養輸液製剤。
- 糖質液とアミノ酸液を混合した後の混合液のpHが6.0〜7.5である、請求項1記載の末梢静脈栄養輸液製剤。
- 複室容器が2室からなる容器である、請求項1記載の末梢静脈栄養輸液製剤。
- 易剥離シールで分割された2室を有する可撓性プラスチックバッグの、一方の室に糖質液が収容され、他方の室にアミノ酸液が収容されてなる、請求項1記載の末梢静脈栄養輸液製剤。
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