JP5840927B2 - 食欲改善剤及び血中ホモシステイン濃度上昇抑制剤 - Google Patents

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Description

本発明は、糖液とアミノ酸液の2液からなり、水溶性ビタミン9種が配合された、末梢静脈投与される栄養状態改善剤及び食欲改善剤に関する。
経口的に栄養補給のできない、あるいは経口での栄養補給の不足している患者に、糖質、アミノ酸、電解質等の生命維持に必要な栄養素を補給するために、静脈を通して輸液を投与する経静脈栄養療法が広く行われている。経静脈栄養療法は、投与経路より、中心静脈栄養療法(TPN)と末梢静脈栄養療法(PPN)の二つに大別されている。高いカロリーを有する輸液を中心静脈から比較的長期間投与するTPNと異なり、PPNは、TPNで投与されるカロリーに対して30〜60%程度のカロリーを有する栄養輸液を、末梢静脈から、投与期間として3日から2週間、1日量として500mLから2500mLが投与される。
PPNの投与期間が比較的短期間であることから、これまで、PPN用の栄養輸液にビタミンを配合することについて、特に考慮されてこなかった。しかし、末梢静脈栄養療法中にビタミンB1濃度が低下することが報告され(非特許文献1)、ビタミンB1欠乏は、乳酸アシドーシスなどの重篤な副作用を引き起こす可能性があると考えられるようになってきたことから、安全性を高めるために、あらかじめ、ビタミンB1を配合した末梢静脈栄養輸液剤が報告されている(特許文献1)。また、幾つかの製剤が実用化されている(非特許文献2、3、4)。
最近では更に、末梢静脈栄養輸液の対象となる患者においても、ビタミンB1以外のビタミン類の潜在的欠乏があり、末梢静脈用輸液においても、特に糖及びアミノ酸の代謝に必要な複数のビタミンの配合を配慮すべきであるとの報告がなされている(特許文献2)。
しかし、還元糖、アミノ酸、電解質、及びビタミン類の各成分は十分な安定性や溶解性を示すpH領域が異なる一方で、末梢静脈投与用栄養輸液においては、投与時の輸液のpHが酸性であると、静脈炎や血管痛が発生しやすく、pHは中性にすることが望まれている。また更には、各成分は相互作用を生じるものがある。よって、この点を考慮した、ビタミン類をあらかじめ配合した安定な末梢静脈投与用栄養輸液が望まれている。
例えば、葉酸は糖電解質液の酸性領域中では濁りを生じ、アミノ酸液に配合した場合においてもビタミンB2やビタミンCなどと共存すると配合変化を起こし、安定な製剤を得ることが困難であった。そのため、中心静脈栄養療法に用いられるビタミンを配合した中心静脈投与用輸液では、糖電解質やアミノ酸液と隔離された第3室を設けて葉酸を糖電解質液やビタミンB2及びビタミンCと隔離させることにより安定化を図っている(特許文献3、非特許文献5、非特許文献6)。また、糖液とアミノ酸液の2液からなる中心静脈投与用輸液にビタミンを配合する方法も開示されているが、糖液及びアミノ酸液のpHがそれぞれ、3.5〜4.5及び5.0〜7.0であり、両液ともpHが酸性になっている(特許文献4、特許文献5)。また、末梢静脈投与用栄養輸液において、特許文献2には、ビタミンB12を亜硫酸塩が含まれないアミノ酸液に配合し、ビタミンB1を糖液に配合する等、ビタミンB群を配合した末梢静脈投与用輸液が開示されている。しかし、ビタミンC、ビオチン及びパントテン酸等は、他のビタミンB群を分解することもあることから、投与直前に添加することが好ましいことが記載されている。
その他、パントテン酸が食欲の増進に効果があるとして、パントテン酸とタンパク質を含む食欲を増進する組成物が開示されている(特許文献6)。
特開2003−55195号公報 特開2006−137745号公報 特開2001−55328号公報 特開平10−203959号公報 特開2004−1900号公報 特表2007−517026号公報
中村ら、「救急患者における末梢静脈栄養施行下の血中ビタミンB1濃度について」、外科と代謝・栄養、36(6)、p307(2002) パレセーフ(商標登録)医療用医薬品の添付文書、2010年4月改訂 アミグランド(商標登録)医療用医薬品の添付文書、2009年10月改訂 ビーフリード(商標登録)医療用医薬品の添付文書、2009年7月改訂 フルカリック(商標登録)医療用医薬品の添付文書、2009年10月改訂 ネオパレン(商標登録)医療用医薬品の添付文書、2009年7月改訂
本発明は、還元糖、アミノ酸及び電解質を含有し、更に全9種類の水溶性ビタミンを安定に含有し、栄養状態や食欲を改善し得る末梢静脈投与用の液剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、糖液とアミノ酸液の2液からなる末梢静脈投与用栄養輸液において、該2薬液に各ビタミンを振り分け、かつ該2薬液をそれぞれ特定のpHに調節することにより、各ビタミンを長期間安定に保持できることを見出した。更に、消化器外科手術後の患者等のような潜在的ビタミン欠乏状態が疑われる患者に対し、9種類の水溶性ビタミンを含有する末梢静脈投与用栄養輸液を投与することにより、栄養状態が改善され、食欲を増進させられることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(6)の食欲改善剤、及び()の血中ホモシステイン濃度上昇抑制剤を提供する。
(1) 還元糖を含有する糖液と、アミノ酸を含有するアミノ酸液の2液からなり、
前記糖液が更にビタミンB1、ビタミンB12、パントテン酸類、及びビタミンB6を含有し、かつpHが4.7〜5.5であり、
前記アミノ酸液が更にビタミンB2、葉酸、ビタミンC、ビオチン、及びニコチン酸誘導体を含有し、かつpHが7.0〜7.5であり、
前記糖液と前記アミノ酸液を混合した後の混合液のpHが6.5〜7.4であり、かつ前記混合液中に、
ビタミンB1が1.9〜9.5mg/日、
ビタミンB2が1.25〜6.75mg/日、
ビタミンB6が1.25〜6.75mg/日、
ビタミンB12が2.5〜12.5μg/日、
パントテン酸類が3.75〜18.75mg/日、
ニコチン酸誘導体が10〜50mg/日、
葉酸が100〜500μg/日、
ビオチンが25〜125μg/日、及び
ビタミンCが50〜250mg/日となるように配合されており、
前記混合液が末梢静脈へ投与されることを特徴とする食欲改善剤。
(2) 前記還元糖がブドウ糖であり、前記糖液と前記アミノ酸液を混合した後の混合液中において、ブドウ糖濃度が4〜10w/v%である前記の食欲改善剤。
(3) 前記アミノ酸液が更に亜硫酸塩25〜100mg/Lを含有する前記の食欲改善剤。
(4) 前記糖液がpH調節剤として酢酸を含有し、かつ前記アミノ酸液がpH調節剤としてクエン酸を含有する前記の食欲改善剤。
(5) 前記糖液と前記アミノ酸液を混合した後の混合液のクエン酸濃度が5〜15mEq/Lである前記の食欲改善剤。
(6) 前記糖液が更に塩化ナトリウムを0.5〜2g/L、塩化カルシウム水和物を0.2〜1g/L、乳酸ナトリウムを2〜15g/L、硫酸マグネシウム水和物を0.5〜2g/L、硫酸亜鉛水和物を1〜4mg/L含有し、前記アミノ酸液がアミノ酸を遊離アミノ酸換算で50〜300g/L含有し、前記糖液と前記アミノ酸液の体積比率が2〜3:1である前記の食欲改善剤。
) 還元糖を含有する糖液と、アミノ酸を含有するアミノ酸液の2液からなり、
前記糖液が更にビタミンB1、ビタミンB12、パントテン酸類、及びビタミンB6を含有し、かつpHが4.7〜5.5であり、
前記アミノ酸液が更にビタミンB2、葉酸、ビタミンC、ビオチン、及びニコチン酸誘導体を含有し、かつpHが7.0〜7.5であり、
前記糖液と前記アミノ酸液を混合した後の混合液のpHが6.5〜7.4であり、かつ前記混合液中に、
ビタミンB1が1.9〜9.5mg/日、
ビタミンB2が1.25〜6.75mg/日、
ビタミンB6が1.25〜6.75mg/日、
ビタミンB12が2.5〜12.5μg/日、
パントテン酸類が3.75〜18.75mg/日、
ニコチン酸誘導体が10〜50mg/日、
葉酸が100〜500μg/日、
ビオチンが25〜125μg/日、及び
ビタミンCが50〜250mg/日となるように配合されており、
前記混合液が末梢静脈へ投与されることを特徴とする血中ホモシステイン濃度上昇抑制剤。
本発明の栄養状態改善剤、食欲改善剤及び血中ホモシステイン濃度上昇抑制剤は、還元糖、アミノ酸、電解質、及び全9種類の水溶性ビタミンを安定に含有し、かつ使用時pHが末梢静脈投与に適した範囲であり、潜在的又は顕在的なビタミン欠乏状態のヒトに対して末梢静脈から投与することにより、血中ホモシステイン濃度を過度に上昇させることなく、栄養状態及び食欲を改善することができる。
本発明の栄養状態改善剤、食欲改善剤、及び血中ホモシステイン濃度上昇抑制剤(以下、まとめて「本発明の輸液剤」と呼ぶことがある。)は、還元糖を含有する糖液と、アミノ酸を含有するアミノ酸液の2液からなり、両液を混合した後の混合液が、末梢静脈へ投与される。
本発明の輸液剤における糖液は、還元糖を基本組成とし、好ましくは亜硫酸及びこの塩を含有しない。使用できる還元糖としては通常輸液剤に用いられる還元糖であれば特に制限はなく、例えば、ブドウ糖、フルクトース、マルトースが挙げられるが、生体利用率から特にブドウ糖が好ましい。糖液とアミノ酸液を混合した後の混合液中の還元糖の濃度は、4〜10w/v%であることが望ましい。特に7〜8w/v%が好ましい。4w/v%以下である場合、異化作用が進行しやすく、また、10w/v%を超える場合、混合液の浸透圧が高くなり、静脈炎や血管痛の原因となるため、好ましくない。
糖液は更にビタミンB1、ビタミンB12、パントテン酸類、及びビタミンB6が配合される。これらのビタミンは、そのものであっても、その塩やその誘導体の形であってもよく、ビタミンB1には、例えば、チアミン、チアミンジスルフィド、フルスルチアミン、ベンフオチアミン及びこれらの塩などが含まれ、特にチアミン塩化物塩酸塩が好ましく;ビタミンB12には、例えば、シアノコバラミンとその塩が含まれ、特にシアノコバラミンが好ましく;パントテン酸類には、例えば、パントテン酸又はそのカルシウム塩、パンテノールなどが含まれ、パンテノールが好ましく;ビタミンB6には、例えば、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン及びこれらの塩などが含まれ、塩酸ピリドキシンが好ましい。
糖液のpHは4.7〜5.5、より好ましくは4.9〜5.5に調整される。pH調節剤としては、通常用いられる有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基を適宜使用して行うことができるが、特にビタミンB1の安定性を高めるために酢酸を使用することが好ましい。 pHが4.7〜5.5では、製造時において、糖液中に残存する溶存酸素の影響を受けにくくなり、ビタミンB1をはじめとした各種ビタミンの高圧蒸気滅菌や加熱滅菌時の含量低下を抑制することができる。そのため、溶存酸素及び容器内空間部の残存酸素量を厳密に制御しなくとも安定的に製造することが可能になる。例えば約4ppmの溶存酸素が糖液に存在していても安定的な製造が可能である。
アミノ酸液に配合されるアミノ酸としては、従来から生体への栄養補給を目的とするアミノ酸輸液に含有されているアミノ酸(必須アミノ酸及び非必須アミノ酸)が挙げられる。特に分岐鎖アミノ酸(L一ロイシン、L−イソロイシン、L−バリン)を豊富に含む組成が好ましい。これらのアミノ酸は、通常、遊離アミノ酸の形態で用いられるが、特に遊離形態に限定されず、薬理的に許容される塩も用いることができ、更にその一部はN―アセチルL−システインといったアシル体やアラニルグルタミンといったペプチドの形態でも用いることができる。糖液とアミノ酸液を混合した後の混合液の含有するアミノ酸総量は、タンパク質の異化抑制や合成亢進のために、遊離アミノ酸換算で20〜40g/Lであることが好ましい。
糖液とアミノ酸液を混合した後の混合液における好ましいアミノ酸の配合量(遊離アミノ酸換算)は以下の通りである:
L−イソロイシンを0.2〜14.0g/L、更に好ましくは1.0〜6.0g/L、
L−ロイシンを0.4〜20.0g/L、更に好ましくは1.0〜10.0g/L、
L−リジンを0.2〜14.0g/L、更に好ましくは1.0〜5.0g/L、
L−メチオニンを0.1〜8.0g/L、更に好ましくは0.5〜5.0g/L、
L−フェニルアラニンを0.2〜12.0g/L、更に好ましくは1.0〜5.0g/L、
L−トレオニンを0.1〜8.0g/L、更に好ましくは0.5〜4.0g/L、
L−トリプトファンを0.04〜3.0g/L、更に好ましくは0.2〜1.5g/L、
L−バリンを0.1〜16.0g/L、更に好ましくは1.0〜6.0g/L、
L−アラニンを0.2〜14.0g/L、更に好ましくは1.0〜6.0g/L、
L−アルギニンを0.2〜14.0g/L、更に好ましくは1.0〜7.0g/L、
L−アスパラギン酸を0.01〜4.0g/L、更に好ましくは0.1〜2.0g/L、
L−グルタミン酸を0.01〜6.0g/L、更に好ましくは0.1〜2.0g/L、
L−ヒスチジンを0.1〜8.0g/L、更に好ましくは0.5〜5.0g/L、
L−プロリンを0.1〜10.0g/L、更に好ましくは0.5〜5.0g/L、
L−セリンを0.1〜6.0g/L、更に好ましくは0.2〜3.0g/L、
L−チロシンを0.01〜2.0g/L、更に好ましくは0.05〜1.0g/L、
グリシンを0.1〜12.0g/L、更に好ましくは1.0〜5.0g/L、
L−システインを0.01〜2.0g/L、更に好ましくは0.1〜2.0g/L。
アミノ酸液は、ビタミンとして、ビタミンB2、葉酸、ビタミンC、ビオチン及びニコチン酸誘導体が配合される。これらのビタミンも、そのものであってもよく、その塩やその誘導体の形で用いてもよく、ビタミンB2には、例えば、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステル及びそのナトリウム塩、フラビンモノヌクレオチドが含まれ、特にリン酸リボフラビンナトリウムが好ましく;葉酸としては葉酸そのものが好ましく;ビタミンCには、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウムなどが含まれ、特にアスコルビン酸が好ましく;ビオチンとしてはビオチンそのものが好ましく;ニコチン酸誘導体には、例えば、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ナトリウム塩、ニコチン酸メチルエステルが含まれ、好ましくはニコチン酸アミドである。
アミノ酸液のpHは、7.0〜7.5、特に好ましくは、7.0〜7.2に調整される。また、7.1〜7.5も好ましく、ここで特に7.1〜7.2も好ましい。pHを7.0〜7.5にすることで、ビタミンB2、ビタミンC及び葉酸をアミノ酸液に安定的に配合することができる。更にビオチンも安定的に配合することができる。pHが7未満では、特に葉酸が不安定であり、pHが7.5を超えるとビタミンB2が不安定になる。アミノ酸液のpH調節剤としては、生理的に許容できるものであれば特に限定されず、例えば有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基を使用することができるが、特にクエン酸が好ましい。クエン酸を使用する場合、糖液及びアミノ酸液を混合した混合液中におけるクエン酸濃度として、5〜15mEq/L、好ましくは10〜15mEq/Lにすることが好ましい。15mEq/Lを超えると、アミノ酸液のpHが7未満となり、葉酸等のビタミン安定性が低下する。5mEq/L未満では、糖液とアミノ酸液を混合した混合液中におけるビタミンCの安定性が低下する。
アミノ酸液は、安定化剤として、亜硫酸塩を添加することが好ましい。亜硫酸塩としては、亜硫酸水素ナトリウムが好ましく、アミノ酸液中に、25〜100mg/L、好ましくは25〜70mg/Lとなるように添加することが好ましい。亜硫酸塩が、25mg/L未満では、製造時及び保存時におけるトリプトファンやN−アセチルL−システインといった易酸化性アミノ酸の安定性が低下し、100mg/L以上では、アミノ酸液中に配合する葉酸の安定性が低下する。また、亜硫酸塩濃度に依存して、糖液及びアミノ酸液を混合した際に、ビタミンB1の分解が進行するため、亜硫酸塩濃度は、100mg/L以下であることが好ましい。
電解質は、糖液及びアミノ酸液のいずれにも配合することができる。電解質としては、通常の電解質輸液などに用いられているものであれば特に制限されず、例えば、ナトリウムイオン(Na)、塩化物イオン(Cl)、マグネシウムイオン(Mg2+)、カリウムイオン(K)、カルシウムイオン(Ca2+)、リン酸イオン(より具体的には、リン酸水素イオン(HPO 2-)又はリン酸二水素イオン(HPO ))、亜鉛イオン(Zn2+)などのイオンを供給する水溶性塩が挙げられる。
ナトリウムイオンを供給する水溶性塩としては、例えば、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ニナトリウム、グリセロリン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなどが挙げられ、好ましくは塩化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムが挙げられる。
塩化物イオンを供給する水溶性塩には、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどが挙げられる。
マグネシウムイオンを供給する水溶性塩には、例えば、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウムなどが挙げられ、好ましくは、塩化マグネシウムが挙げられる。
カリウムイオンを供給する水溶性塩には、例えば、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、酢酸カリウム、クエン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素ニカリウム、グリセロリン酸カリウム、硫酸カリウム、乳酸カリウムなどが挙げられ、好ましくは、塩化カリウムが挙げられる。
カルシウムイオンを供給する水溶性塩には、例えば、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸カルシウムなどが挙げられ、好ましくは、塩化カルシウムが挙げられる。
リン酸イオンを供給する水溶性塩には、例えば、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ニナトリウム、リン酸一水素マグネシウム、リン酸二水素マグネシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウムなどが挙げられる。
亜鉛イオンを供給する水溶性塩には、例えば硫酸亜鉛などが挙げられる。
なお、本発明の輸液剤が含有する電解質としては、水和物等の形態の組成物を用いることもできる。
糖液とアミノ酸液を混合した後の混合液は、末梢静脈から投与される。血管痛や静脈炎の低減のため、混合液のpHは、中性、より具体的には6.5〜7.4であることが好ましい。また、同じく血管痛や静脈炎の防止のため、滴定酸度は10以下であることが好ましい。本発明の輸液剤では、糖液pHが4.7〜5.5、アミノ酸液pHが7.0〜7.5の範囲であり、糖液とアミノ酸液に含有されるビタミンの安定性と、混合液のpH6.5〜7.4とを両立することができる。
糖液とアミノ酸液の体積比率は、アミノ酸液を1として糖液が2〜3であるのが好ましい。ここで、糖液が更に塩化ナトリウムを0.5〜2g/L、塩化カルシウム水和物を0.2〜1g/L、乳酸ナトリウムを2〜15g/L、硫酸マグネシウム水和物を0.5〜2g/L、硫酸亜鉛水和物を1〜4mg/L含有するのが好ましく、また、アミノ酸液がアミノ酸を遊離アミノ酸換算で50〜300g/L含有するのが好ましい。
本発明の輸液剤においては、各水溶性ビタミン成分はそれぞれ糖液又はアミノ酸液に、両液を混合した後の混合液における濃度が以下の範囲内となるように、適宜配合される:
ビタミンB1が1.9〜9.5mg/日、
ビタミンB2が1.25〜6.75mg/日、
ビタミンB6が1.25〜6.75mg/日、
ビタミンB12が2.5〜12.5μg/日、
パントテン酸類が3.75〜18.75mg/日、
ニコチン酸誘導体が10〜50mg/日、
葉酸が100〜500μg/日、
ビオチンが25〜125μg/日、及び
ビタミンCが50〜250mg/日。
糖液とアミノ酸液を混合した混合液中の成分は、安定化剤を除き、少なくとも混合後24時間の安定性が保たれることが好ましい。具体的には、混合直後の含量と比較して、24時間後の含量低下が10%以下、特に好ましくは5%以下であることが好ましい。この場合、投与中におけるビタミン含量低下が抑制されるため、糖液とアミノ酸液を混合した混合液が投与されることにより得られる栄養状態改善効果及び食欲改善効果が、より充分に発揮される。
本発明の輸液剤を収納するための容器である、糖液とアミノ酸液が収納される各室が連通可能な隔壁で隔てられた複室容器としては、特に制限されず、例えば公知の容器を使用できる。材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン等が好ましく、必要に応じ、多層フィルムにすることができる。このうち隔壁が、易剥離シールで構成された輸液バッグが、投与時の連通作業が簡単なため、好ましい。
糖液とアミノ酸液の充填は、常法に従って行うことができる。各室の空間部は窒素ガスで置換することが好ましいが、置換率100%といった厳密な置換率を要求するものではない。
薬液を充填した容器は、常法に従って、窒素下にて加熱滅菌を行い、滅菌後、脱酸素剤共に遮光性を有するガス非透過性多層フィルムからなる外包装材に封入し、包装される。
本発明の輸液剤は、還元糖、アミノ酸、電解質、及び全9種類の水溶性ビタミンを安定に含有しているため、投与により、各水溶性ビタミンの血中濃度が改善される。また、投与により、栄養状態が改善される。ここで、各水溶性ビタミンの血中濃度が改善するとは、本発明の輸液剤を投与した場合と、全9種類の水溶性ビタミンが含有されていない従来の末梢静脈投与用輸液を投与した場合と較べ、血中濃度が維持又は上昇することを意味する。
潜在的ビタミン欠乏状態は、ビタミン作用部位での初期的欠乏に留まらず血中尿中のビタミン濃度低下に進んだ生理学的欠乏状態であり、アシドーシス等のような顕性のビタミン欠乏症状の前段階として疲労感、倦怠感、食欲不振、抵抗力の低下などがもたらされる。また、栄養状態の悪化、合併症の悪化や新たな併発症の発現の引き金ともなり、感染症や悪性腫瘍など全身状態が悪化した患者においては生命の危機につながる可能性もある。
また、PPN療法が適応となる患者、特に胃切除術や大腸切除術などの消化器外科手術後の患者等は、その病態や栄養摂取不良状態により、PPN療法開始前に既に潜在的ビタミン欠乏状態を来たしており、PPN療法施行後も欠乏状態が継続する。消化器外科手術後の侵襲期患者や高齢者等のような、ビタミン欠乏状態である又はそれが疑われる患者に対して、本発明の輸液剤が末梢静脈投与されることにより、特に、少なくとも、消化器外科手術後翌日から食事開始日の前日までの間に本発明の輸液剤が末梢静脈投与されることにより、当該患者の栄養状態、特に血中の各水溶性ビタミン濃度を改善することができる。
また、胃切除手術等の消化器外科手術を施術された患者においては、血中のホモシステイン濃度が食事開始時に術前を越えた上昇が認められる傾向がある。血中の総ホモシステイン量が増加すると、ホモシステインは自己酸化を起こし、酸化過程において生じた過酸化水素やスーパーオキシドラジカルなどの酸化ストレスが内皮細胞障害を起こすおそれがあり、好ましくない。術後から食事開始時まで、本発明の輸液剤を投与することにより、食事開始時における血中ホモシステイン濃度の上昇を抑制し得る。ホモシステインの代謝には補酵素としてビタミンB6、B12、葉酸が関与しており、これらの水溶性ビタミンが充分に配合されている本発明の輸液剤を投与することにより、術後にホモシステイン代謝系が円滑に働くためと推察される。
また、栄養状態の改善のためには、食欲を向上させることが重要である。本発明の輸液剤を投与することにより、血中ビタミン濃度等を向上させられるのみならず、食欲も増進させることができる。よって、例えば、消化器外科手術後食事開始前のPPN療法時において、本発明の輸液剤を投与することにより、食事開始後の食欲を増進し、喫食率を向上させることができる。投与期間としては、手術後であればよく、例えば、手術後少なくとも手術翌日から食事開始日の前日までの全期間であってもよく、手術後1〜5日間であってもよい。
次に実施例等を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
表1記載の量に従い、ブドウ糖及び電解質を注射用水に溶解後、塩酸チアミン、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン及びパンテノールを溶解した。酢酸を用いてpHを5.1に調節後、全量を350mLとし、メンブランフィルター(0.2μm)を用いて濾過し、糖液を調製した。
また、表2記載の量に従い、各アミノ酸を注射用水に溶解後、リン酸リボフラビンナトリウム、アスコルビン酸、葉酸、ビオチン及びニコチン酸アミドを溶解した。安定化剤として亜硫酸水素ナトリウムを溶解した。クエン酸を用いてpHを7.2に調節後、全量を150mLとし、メンブランフィルター(0.2μm)を用いて濾過し、アミノ酸液を調製した。
上記の糖液、アミノ酸液を連通可能な隔壁で隔てられたポリエチレン製の複室容器の各室に、それぞれ350mLと150mLとを充填し、空間部を窒素置換後、密封した。充填・密封後の糖液における溶存酸素を測定したところ、約0.4ppmであった。常法に従い窒素下にて高圧蒸気滅菌を行った後、製剤を脱酸素剤(エージレス、三菱ガス化学(株)製)と共に遮光性を有するガス非透過性フィルムからなる外包装材に封入し、本発明の輸液剤を得た。
Figure 0005840927
Figure 0005840927
調製された輸液剤を40℃75%RHで3ケ月保存し、各ビタミンの残存率を測定した結果を表3に示す。なお、含量は配合量に対する百分率で示した。この結果から、本発明の輸液剤は、長期の保存に対して安定であると考えられた。
Figure 0005840927
調製された輸液剤について、室温下にて、隔壁部を開通し、糖液とアミノ酸液をよく混合し、0時間後、24時間後及び48時間後にサンプリングを行い、各ビタミン及びN−アセチルL−システインの含量を測定した。なお、保存は遮光下にて行った。結果を表4に示す。混合直後の測定値を100%とし、各測定時点の含量を百分率で示した。各成分とも混合後48時間まで、安定であることが示された。
Figure 0005840927
[実施例2]
開腹手術後のラットに本発明のPPN輸液剤を静脈投与し、喫食率や栄養状態に対する影響を調べた。
PPN輸液剤として、ブドウ糖及びアミノ酸の配合量が同じであるビタミン未配合の輸液剤(第1群)、ビタミンB1のみを配合した輸液剤(第2群)、全9種の水溶性ビタミンを配合した輸液剤(第3群)を投与した。各PPN輸液剤のブドウ糖、アミノ酸及び水溶性ビタミンの配合量を表5に示す。
Figure 0005840927
まず、各群は6匹ずつの6週齢のオスのSDラットに対し、15日間ビタミン未配合食を給餌した後、一晩絶食させた。その後、開腹手術をした後、静脈からPPN輸液剤を5日間投与(約260mL/kg/day)した。その後ビタミン未配合食を7日間再給餌した。
PPN開始時(0日目)から3日目及び5日目に、各ラットの体重を測定した。また、PPN終了後食事開始時(5日目)から毎日、各ラットの体重及び1日当たりの摂餌量を測定した。さらに、7日間摂食後、肝臓、ヒフク筋及び精巣上体脂肪の重量を測定した。各群間の差の検定は、Tukey検定で行った。
表6に各群のPPN施行期間における、0日目から3日目又は5日目までの体重変化量の平均値及び標準偏差(SD)を、表7に各群の再給餌期間における、5日目から12日目までの一日当たりの体重変化量及び総体重変化量の平均値及びSDをそれぞれ示す。また、表8に各群の再給餌期間における一日当たりの摂餌量及び総摂餌量の平均値及びSDを示す。さらに、表9に、各群の再給餌期間終了時点における肝臓重量、ヒフク筋重量及び精巣上体脂肪重量の平均値及びSDを示す。表6〜9中、「*」は第1群に対してp<0.05であったことを、「#」は第2群に対してp<0.05であったことを、それぞれ示す。
Figure 0005840927
Figure 0005840927
Figure 0005840927
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この結果、第1群や第2群に比べて第3群は明らかに、輸液剤投与期間における体重の減少が少なかった。再給餌期間における体重の増加量や摂餌量は、第3群が最も大きかった。再給餌期間経過後のヒフク筋重量、肝臓重量、及び精巣上体脂肪の重量も、第3群が最も大きかった。すなわち、PPNにおいて、全9種類の水溶性ビタミンを含む輸液剤を服用することは、PPN施行中の体重減少量を抑制し、またPPN施行後の食欲が増進し、喫食率が高まり、栄養状態の指標である体重、ヒフク筋重量、肝臓重量、及び精巣上体脂肪重量を改善することが明らかとなった。
[実施例3]
開腹手術後のラットに静脈投与されるPPN輸液剤中のビタミン配合種による、喫食率や栄養状態に対する影響を調べた。
PPN輸液剤として、ブドウ糖及びアミノ酸の配合量が同じであるビタミン未配合の輸液剤(製品名:「ツインパル」、味の素製薬社製)(第1群)、全9種の水溶性ビタミンを配合した輸液剤(第2群)、全4種の脂溶性ビタミンを配合した輸液剤(第3群)、全9種の水溶性ビタミン及び全4種の脂溶性ビタミン(総合ビタミン13種)を配合した輸液剤(第4群)を投与した。各PPN輸液剤のブドウ糖、アミノ酸及びビタミンの配合量を表10に示す。
Figure 0005840927
まず、各群は7匹ずつ(第1群のみ6匹)の5週齢のオスのSDラットに対し、15日間ビタミン未配合食を給餌した後、一晩絶食させた。その後、開腹手術をした後、静脈から輸液剤を5日間投与(約270mL/kg/day)した。その後ビタミン未配合食を7日間再給餌した。
PPN開始時(0日目)から3日目及び5日目に、各ラットの体重を測定した。また、PPN終了後食事開始時(5日目)から毎日、1日当たりの摂餌量を測定した。さらに、7日間摂食後、肝臓重量、ヒフク筋重量、及び精巣上体脂肪重量を測定した。各群間の差の検定は、Tukey検定で行った。
表11に各群のPPN施行期間における、0日目から3日目又は5日目までの体重変化量の平均値及びSDを、表12に各群の再給餌期間における、5日目から12日目までの一日当たりの体重変化量及び総体重変化量の平均値及びSDを、表13に各群の再給餌期間における、一日当たりの摂餌量及び総摂餌量の平均値及びSDを示す。また、表14に、各群の再給餌期間終了時点における肝臓重量、ヒフク筋重量及び精巣上体脂肪重量の平均値及びSDを示す。表11〜14中、「*」は第1群に対してp<0.05であったことを、「#」は第3群に対してp<0.05であったことを、それぞれ示す。
Figure 0005840927
Figure 0005840927
Figure 0005840927
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この結果、ビタミン未配合の輸液剤の第1群や脂溶性ビタミンのみを配合した輸液剤の第3群に比べて、水溶性ビタミンを配合した輸液剤の第2群や水溶性ビタミン及び脂溶性ビタミンを配合した輸液剤の第4群は、輸液剤投与期間における体重の減少が有意に小さかった。また、第2群及び第4群では、再給餌期間における体重の増加量や摂餌量も改善され、また、栄養指標である体重変化量、肝臓重量、ヒフク筋重量、精巣上体脂肪重量の改善も認められた。すなわち、ビタミン未配合輸液剤に対し、水溶性ビタミン又は水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンを配合した輸液剤は、PPN療法時の栄養状態や、PPN終了後の食欲(喫食率)を有意に改善することが明らかとなった。一方で、脂溶性ビタミンのみを配合した輸液剤では、栄養状態改善効果や食欲増進効果はみられないことが明らかとなった。
[実施例4]
開腹手術後のラットに本発明のPPN輸液剤を静脈投与し、血中総ホモシステイン濃度に対する影響を調べた。
PPN輸液剤として、ブドウ糖及びアミノ酸の配合量が同じであるビタミン未配合の輸液剤(第1群)、ビタミンB1のみを配合した輸液剤(第2群)、全9種の水溶性ビタミンを配合した輸液剤(第3群)を投与した。各PPN輸液剤のブドウ糖、アミノ酸及び水溶性ビタミンの配合量を表15に示す。
Figure 0005840927
まず、各群は8匹ずつ(第2群のみ9匹)の6週齢のオスのSDラットに対し、15日間ビタミン未配合食を給餌した後、一晩絶食させた。その後、開腹手術をした後、静脈からPPN輸液剤を5日間投与(約260mL/kg/day)した。また、正常値の把握のため、試験期間を通じ、標準食にて飼育し、開腹手術も施行しなかった無処置群(第4群、6匹)を設けた。輸液投与後に全ての動物から採血し、血漿中総ホモシステイン濃度を測定した。PPN輸液剤を投与した第1群、第2群及び第3群間の差の検定は、Tukey検定で行った。
表16に、各群のPPN施行後の血漿中総ホモシステイン濃度の平均値及びSDをそれぞれ示す。表16中、「*」は第1群に対してp<0.05であったことを、「#」は第2群に対してp<0.05であったことを、それぞれ示す。
Figure 0005840927
この結果、第1群及び第2群は、第4群に比べて血漿中総ホモシステイン濃度が高い値を示した。これに対して、第1群及び第2群に比べて、第3群は明らかに輸液剤投与後の血漿中総ホモシステイン濃度が低値であった。すなわち、PPNにおいて、全9種類の水溶性ビタミンを含む輸液剤を服用することにより、血中ホモシステイン濃度の上昇を抑制できることが明らかとなった。
[参考例1]
パントテン酸単独の食欲に対する影響を調べた。
まず、6匹の5週齢のオスのSDラットに対し、15日間ビタミン未配合食を給餌した後、一晩絶食させ、その後ビタミン未配合食にて1日飼育し、0日目とし、さらに、ビタミン未配合食を5日間再給餌した(第1群)。
一方で、各群につき4匹ずつの5週齢のオスのSDラットに対し、15日間ビタミン未配合食を給餌した後、一晩絶食させた。その後、ビタミン未配合食にて1日飼育し、0日目にパンテノール2000μg(第2群)又は全9種の水溶性ビタミンの混合液(第3群)を腹腔内投与した後、ビタミン未配合食を5日間再給餌した。第3群に投与した混合液中の各水溶性ビタミンの量は、実施例2において第2群に投与した輸液剤を5日間投与した場合に相当する量とした。
表17に、各群の再給餌期間における、0日目から1〜6日目までの体重変化量の平均値及びSDを、表18に、一日当たりの摂餌量の平均値及びSDを、それぞれ示す。この結果、パンテノールのみを単独で投与した第2群では、全9種の水溶性ビタミンを投与した第3群と異なり、摂餌量の改善はみられないことが明らかとなった。
Figure 0005840927
Figure 0005840927
本発明の輸液剤は、還元糖、アミノ酸、電解質に加え全9種類の水溶性ビタミンを含有し、使用時には末梢静脈投与に適したpH範囲となり、かつ長期間安定な製剤であり、経口的に栄養補給のできない、あるいは経口での栄養補給の不足しているときに、糖、アミノ酸、電解質等の生命維持に必要な栄養素と共にビタミンを補給することによって、ビタミン欠乏状態を改善し、血中ホモシステイン濃度の上昇を抑制し、栄養素の代謝を改善し、栄養状態を改善し得る、さらには食欲を改善し、栄養摂取量を向上し、栄養状態を改善し得る末梢静脈投与用輸液剤として、医療用に用いることができる。

Claims (7)

  1. 還元糖を含有する糖液と、アミノ酸を含有するアミノ酸液の2液からなり、
    前記糖液が更にビタミンB1、ビタミンB12、パントテン酸類、及びビタミンB6を含有し、かつpHが4.7〜5.5であり、
    前記アミノ酸液が更にビタミンB2、葉酸、ビタミンC、ビオチン、及びニコチン酸誘導体を含有し、かつpHが7.0〜7.5であり、
    前記糖液と前記アミノ酸液を混合した後の混合液のpHが6.5〜7.4であり、かつ前記混合液中に、
    ビタミンB1が1.9〜9.5mg/日、
    ビタミンB2が1.25〜6.75mg/日、
    ビタミンB6が1.25〜6.75mg/日、
    ビタミンB12が2.5〜12.5μg/日、
    パントテン酸類が3.75〜18.75mg/日、
    ニコチン酸誘導体が10〜50mg/日、
    葉酸が100〜500μg/日、
    ビオチンが25〜125μg/日、及び
    ビタミンCが50〜250mg/日となるように配合されており、
    前記混合液が末梢静脈へ投与されることを特徴とする食欲改善剤。
  2. 前記還元糖がブドウ糖であり、前記糖液と前記アミノ酸液を混合した後の混合液中において、ブドウ糖濃度が4〜10w/v%である請求項1に記載の食欲改善剤。
  3. 前記アミノ酸液が更に亜硫酸塩25〜100mg/Lを含有する請求項1又は2に記載の食欲改善剤。
  4. 前記糖液がpH調節剤として酢酸を含有し、かつ前記アミノ酸液がpH調節剤としてクエン酸を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の食欲改善剤。
  5. 前記糖液と前記アミノ酸液を混合した後の混合液のクエン酸濃度が5〜15mEq/Lである請求項1〜4のいずれか一項に記載の食欲改善剤。
  6. 前記糖液が更に塩化ナトリウムを0.5〜2g/L、塩化カルシウム水和物を0.2〜1g/L、乳酸ナトリウムを2〜15g/L、硫酸マグネシウム水和物を0.5〜2g/L、硫酸亜鉛水和物を1〜4mg/L含有し、前記アミノ酸液がアミノ酸を遊離アミノ酸換算で50〜300g/L含有し、前記糖液と前記アミノ酸液の体積比率が2〜3:1である請求項1〜5のいずれか一項に記載の食欲改善剤。
  7. 還元糖を含有する糖液と、アミノ酸を含有するアミノ酸液の2液からなり、
    前記糖液が更にビタミンB1、ビタミンB12、パントテン酸類、及びビタミンB6を含有し、かつpHが4.7〜5.5であり、
    前記アミノ酸液が更にビタミンB2、葉酸、ビタミンC、ビオチン、及びニコチン酸誘導体を含有し、かつpHが7.0〜7.5であり、
    前記糖液と前記アミノ酸液を混合した後の混合液のpHが6.5〜7.4であり、かつ前記混合液中に、
    ビタミンB1が1.9〜9.5mg/日、
    ビタミンB2が1.25〜6.75mg/日、
    ビタミンB6が1.25〜6.75mg/日、
    ビタミンB12が2.5〜12.5μg/日、
    パントテン酸類が3.75〜18.75mg/日、
    ニコチン酸誘導体が10〜50mg/日、
    葉酸が100〜500μg/日、
    ビオチンが25〜125μg/日、及び
    ビタミンCが50〜250mg/日となるように配合されており、
    前記混合液が末梢静脈へ投与されることを特徴とする血中ホモシステイン濃度上昇抑制剤。
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