JP6313653B2 - 腹膜透析液 - Google Patents

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Description

本発明は、イコデキストリンを含有する腹膜透析液に関する。
腎不全の対症療法の1つである腹膜透析療法は、人工腎臓によって行われる透析療法に比して装置や器具が大がかりとならず、時間的な拘束も少ないことから在宅医療の一つとして注目されている。現在使用されている多くの腹膜透析液は、浸透圧物質としてブドウ糖を使用している。ブドウ糖は、比較的安全で、安価であるという利点を有するが、分子量が小さいため、腹膜から急速に吸収され、持続的な除水効果が得られない。以上の状況から、長時間貯留時において限外濾過を維持できるブドウ糖に代わる浸透圧物質の探索が行われ、ブドウ糖ポリマーであるイコデキストリンが腹膜透析液に適することが見出されている。
イコデキストリンは、分子量が大きいため、腹膜を介して急速に吸収されることもなく、主として膠質浸透圧物質として作用し、血漿との浸透圧を維持しながら除水効果を得ることが可能である。現在、イコデキストリンを使用している腹膜透析液は、イコデキストリンの分解・着色を防止するため、薬液がpH5.0〜5.5の範囲になるように処方される。
最近の研究によると、このようなpHの腹膜透析液は、腹腔マクロファージの免疫防御機構を実質的に低下させてしまい、細菌の進入に対して腹膜炎の危険性を増大させることが報告されている。また、連続腹膜透析療法導入時に発熱・腹痛が遷延したり、透析液の注液時に腹痛が起こるとの報告もある。さらに、pHが5.0〜5.5の腹膜透析液は、培養腹膜中皮細胞への障害性が著しく高く、障害性を軽減するためには、腹膜透析液のpHを6.5以上にすることが有効であることが報告されている。
しかしながら、腹膜透析液のpHは、イコデキストリンの安定性に大きな影響を与えており、そのままpHを高くすると、製造時や保管時にイコデキストリンからブドウ糖が生じ、そのブドウ糖の劣化により腹膜透析液が着色してしまい、製品価値が著しく低下してしまうことになる。すなわち、ブドウ糖の主たる分解生成物である5−ヒドロキシメチルフルフラールの指標である284nmの吸光度が、継時的に増加してしまう。また、pHに高くすると、pHに依存してブドウ糖の主たる分解生成物である3−デオキシグルコソンの指標である228nmの吸光度も増加してしまう。
そこで、イコデキストリンの分解・着色を抑制したまま、腹膜透析液のpHを高くする方法として、イコデキストリンと、pHの高い薬液成分とを使用時まで別々に収容し、使用直前に無菌的に混合する製剤が開発されている(特許文献1)。
しかしながら、腹膜透析液の安定性や、腹膜透析液の安全性に対する要求は、近年、ますます高次元になっており、これまでより人体に悪影響を与えない生理的なpHで、かつ、これまでよりイコデキストリンから生じるブドウ糖分解生成物や着色を好適に抑制した、安定な腹膜透析液の出現が望まれている。
特開2010−150281
本発明は、加熱滅菌およびその後の保管中のイコデキストリンの安定性を最大限に向上し、かつ、pHが生理的な領域に近い腹膜透析液を提供することにある。
上記の課題は、以下の本発明により達成される。
(1)本発明は、76.0〜94.0g/Lのイコデキストリンおよび1.89〜2.37g/Lの塩化ナトリウムを含有する酸性の第1液と、中性からアルカリ性の第2液とからなり、110〜130℃、25〜45分の条件で滅菌された腹膜透析液であって、前記第1液には、pH調整剤を含有せず滅菌直後の前記第1液のpHが4.0〜5.3、滅菌後の前記第2液のpHが6.5〜8.0、滅菌後に第1液と第2液を混合した後のpHが6.0〜7.5である腹膜透析液である。
(2)本発明は、前記第2液が、16.6〜347.8g/Lの塩化ナトリウム、21.3〜448.0g/Lの乳酸ナトリウム、1.22〜25.7g/Lの塩化カルシウム、および0.24〜5.10g/Lの塩化マグネシウムの少なくとも一つを含有する上記(1)に記載の腹膜透析液である。
(3)本発明は、医療用袋体に収納された上記(1)および(2)に記載の腹膜透析液であって、前記袋体は、その内部を開放可能な仕切手段によって分離されることにより形成される第1室と第2室とを有し、前記第1室は前記袋体の内外を連通する排出ポートを有するものであって、前記第1液は前記第1室に、前記第2液は前記第2室に収納されている腹膜透析液である。
本発明の腹膜透析液は、腹膜透析液の228nmおよび経時的な284nmの吸光度の増加を抑制できること、すなわち、加熱滅菌およびその後の保管中のイコデキストリンから生じるブドウ糖分解生成物を大幅に抑制し、安定性に優れた腹膜透析液を提供することができる。
以下、本発明の腹膜透析液について、詳細に説明する。本発明の腹膜透析液は、主としてイコデキストリンを含有する第1液と、イコデキストリンを含有せず中性からアルカリ性の第2液とからなり、使用直前に第1液および第2液を用事混合する2液型の腹膜透析液で、混合後のpHが6.0〜7.5の腹膜透析液である。
本発明の腹膜透析液において、第1液のイコデキストリンの含有量は、76.0〜94.0g/L、好ましくは、84.0〜94.0g/Lである。イコデキストリンの含有量が76.0g/L未満の場合、第1液と第2液を混合した後の腹膜透析において、除水が起きず適切な透析が期待できず、また、第1液に含まれるイコデキストリンの含有量が94.0g/Lを超える場合、イコデキストリンから生じるブドウ糖分解生成物の量が多くなり好ましくない。すなわち、これにより、加熱滅菌およびその後の保管中のイコデキストリンから生じるブドウ糖分解生成物を好適に抑制することができ、安定で保存性に優れる腹膜透析液が実現できる。
第1液の塩化ナトリウムの含有量は、1.89〜2.37g/L、好ましくは、2.00〜2.37g/Lである。塩化ナトリウムは、浸透圧を調整する目的で配合され、第1液の塩化ナトリウムの含有量が2.37g/Lを超えると、イコデキストリンから生じるブドウ糖分解生成物の量が多くなり好ましくない。
本発明の腹膜透析液において、第1液は、イコデキストリンから生じるブドウ糖分解生成物を抑制する観点から、乳酸、乳酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどのpH調整剤を含まない。さらに、第1液は、カリウムおよびその塩、マグネシウムおよびその塩を含まないものである。
本発明の腹膜透析液において、滅菌後の第1液のpHは、酸性領域であり、具体的には、pH4.0〜5.3の範囲が好ましく、pH4.5〜5.3の範囲がより好ましい。pHが4.0未満の場合、イコデキストリンから生じるブドウ糖分解生成物である5−ヒドロキシメチルフルフラールの量が多くなるため、且つ、混合後のpHが6.0〜7.5にならないため、好ましくない。pHが5.3を超えると、イコデキストリンから生じるブドウ糖分解生成物である3−デオキシグルコソンの量が多くなるため、好ましくない。
本発明の腹膜透析液において、滅菌後の第2液は、中性からアルカリ性領域であり、具体的には、pH6.5〜8.0の範囲が好ましく、pH6.5〜7.5の範囲がより好ましい。pHが6.5未満および8.0を超えると、混合後のpHが6.0〜7.5にならないため、好ましくない。
本発明において、第2液は、アルカリ性に調整するため、必要があれば水酸化ナトリウム等のアルカリ性のpH調整剤を用いてpH調製を行っても良いが、その量は滅菌後の第1液および第2液を混合した後腹膜透析液のpHをpH6.0〜7.5に調整する量である。
本発明の腹膜透析液において、混合後のpHが6.0未満では、マクロファージの免疫防御機構の低下や、腹膜中皮細胞への障害性が高く、7.5を超えると、生体に対する悪影響が懸念される。
本発明において、第2液は、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化カルシウム、および塩化マグネシウムの少なくとも一つを含有する。これらの成分の量は、特に限定はなく、通常の腹膜透析液と同様の量が含まれていればよく、好ましくは、塩化ナトリウムが16.6〜347.8g/L、乳酸ナトリウムが21.3〜448.0g/L、塩化カルシウムが1.22〜25.7g/L、および塩化マグネシウムが0.24〜5.10g/Lである。
これらの成分は、イコデキストリンから生じるブドウ糖分解生成物の量を抑制する観点から、塩化ナトリウム以外はイコデキストリンを含まない第2液に配合する。
本発明の腹膜透析液は、第1液と第2液とが、別々に、ポリプロピレン製やポリ塩化ビニル製等の容器に充填・包装され、滅菌され、使用直前に、第1液と第2液とが無菌的に混合される。
特に、本発明の腹膜透析液は、医療用袋体であって、その内部を開放可能な仕切手段によって分離されることにより形成される第1室と第2室とを有し、第1室には医療用袋体の内外を連通する排出ポートを有するものに、第1液と第2液とを分離して収納されることが好ましい。このとき、第1液は第1室に、第2液は第2室に収納することが好ましい。これによって、万が一、第1液と第2液とを混合せずに投与してしまった場合にも、浸透圧的に比較的安全な第1液の投与を投与することができる。
開放可能な仕切手段としては、第1室または第2室の一方を押圧した際に、その収納されている第1液または第2液の液圧で破断できるヒート・シールが挙げられる。これにより、第1液と第2液との混合を容易に行うことができる。医療用袋体としては、具体的には、ミッドペリック(登録商標)(テルモ株式会社製)の容器があげられる。
本発明において、滅菌方法としては、オートクレーブ滅菌(高圧蒸気滅菌)が挙げられ、その条件としては、110〜130℃で25〜45分間、好ましくは、115〜125℃、30〜40分である。
本発明の腹膜透析液は、通常、ポリプロピレン−ポリアミド−ポリプロピレンからなる三層フィルムなどの酸素透過性の膜材で外包装されるが、容器内の透析液の変質を防止するために、さらに酸素非透過性の膜材で外包装してもよい。
前記酸素非透過性の膜材としては、たとえばエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムなどを中間層として含む3層ラミネートフィルム(たとえば外層がポリエステルフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルムなどからなり、内層が未延伸ポリプロピレンフィルムからなるラミネートフィルムなど)、アルミニウム層を含むラミネートフィルム(たとえばポリエステルフィルム−アルミニウム層−未延伸ポリプロピレンフィルムからなるラミネートフィルムなど)、無機質蒸着フィルムを含むラミネートフィルム(たとえばポリエステルフィルム−ケイ素蒸着フィルム−未延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ナイロンフィルム−ケイ素蒸着フィルム−未延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム−アルミニウム蒸着フィルム−未延伸ポリプロピレンフィルム、アルミナ蒸着ポリエステルフィルム−ポリ塩化ビニリデンフィルム−未延伸ポリプロピレンフィルムからなるラミネートフィルムなど)などが挙げられる。
以上、本発明の腹膜透析液について詳細に説明したが、本発明は、これに限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよい。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
75.0gのイコデキストリンおよび1.87gの塩化ナトリウムを840mLの注射用水に溶解し、第1液を調製した。また、3.48gの塩化ナトリウム、4.48gの乳酸ナトリウム、0.257gの塩化カルシウム、および0.051gの塩化マグネシウム・六水塩を160mLの注射用水に溶解し、第2液を調製した。第1液840mL、第2液160mLを、それぞれポリプロピレン製複室容器(ミッドペリック(登録商標)(テルモ株式会社製)の容器)に充填した後、ポリプロピレン/ナイロン/ポリプロピレン製の三方袋に入れて脱気包装した。その後、オートクレーブを用いて加熱滅菌(121℃、30分)を行った後、第1液、第2液、および混合液(腹膜透析液)のpHを測定した。第1液のpHは4.9、第2液のpHは6.9、混合液のpHは6.5であった。
(実施例2)
78.0gのイコデキストリンおよび1.70gの塩化ナトリウムを840mLの注射用水に溶解し、第1液を調製した。また、3.65gの塩化ナトリウム、4.48gの乳酸ナトリウム、0.257gの塩化カルシウム、および0.051gの塩化マグネシウム・六水塩を160mLの注射用水に溶解し、水酸化ナトリウムでpHを調整し、第2液を調製した。第1液840mL、第2液160mLを、実施例1と同様の条件で、充填、加熱滅菌した後、第1液、第2液、および混合液(腹膜透析液)のpHを測定した。第1液のpHは4.8、第2液のpHは7.0、混合液のpHは6.4であった。
(実施例3)
71.0gのイコデキストリンおよび1.95gの塩化ナトリウムを840mLの注射用水に溶解し、第1液を調製した。また、3.40gの塩化ナトリウム、4.48gの乳酸ナトリウム、0.257gの塩化カルシウム、および0.051gの塩化マグネシウム・六水塩を160mLの注射用水に溶解し、水酸化ナトリウムでpHを調整し、第2液を調製した。第1液840mL、第2液160mLを、実施例1と同様の条件で、充填、加熱滅菌した後、第1液、第2液、および混合液(腹膜透析液)のpHを測定した。第1液のpHは5.0、第2液のpHは6.9、混合液のpHは6.5であった。
(比較例1)
75.0gのイコデキストリンおよび1.87gの塩化ナトリウムを840mLの注射用水に溶解し、乳酸でpHを調製し、第1液を調製した。また、3.48gの塩化ナトリウム、4.48gの乳酸ナトリウム、0.257gの塩化カルシウム、および0.051gの塩化マグネシウム・六水塩を160mLの注射用水に溶解し、第2液を調製した。第1液840mL、第2液160mLを、実施例1と同様の条件で、充填、加熱滅菌した後、第1液、第2液、および混合液(腹膜透析液)のpHを測定した。第1液のpHは3.5、第2液のpHは7.0、混合液のpHは5.5であった。
(比較例2)
75.0gのイコデキストリンおよび1.87gの塩化ナトリウムを840mLの注射用水に溶解し、水酸化ナトリウムでpHを調製し、第1液を調製した。また、3.48gの塩化ナトリウム、4.48gの乳酸ナトリウム、0.257gの塩化カルシウム、および0.051gの塩化マグネシウム・六水塩を160mLの注射用水に溶解し、第2液を調製した。第1液840mL、第2液160mLを、実施例1と同様の条件で、充填、加熱滅菌した後、第1液、第2液、および混合液(腹膜透析液)のpHを測定した。第1液のpHは5.5、第2液のpHは7.0、混合液のpHは6.8であった。
(比較例3)
75.0gのイコデキストリン、1.87gの塩化ナトリウム、および4.48gの乳酸ナトリウムを840mLの注射用水に溶解し、第1液を調製した。また、3.48gの塩化ナトリウム、0.257gの塩化カルシウム、および0.051gの塩化マグネシウム・六水塩を160mLの注射用水に溶解し、水酸化ナトリウムでpHを調整し、第2液を調製した。第1液840mL、第2液160mLを、実施例1と同様の条件で、充填、加熱滅菌した後、第1液、第2液、および混合液(腹膜透析液)のpHを測定した。第1液のpHは5.8、第2液のpHは6.7、混合液のpHは6.5であった。
(比較例4)
120.0gのイコデキストリンおよび1.87gの塩化ナトリウムを840mLの注射用水に溶解し、第1液を調製した。また、3.48gの塩化ナトリウム、4.48gの乳酸ナトリウム、0.257gの塩化カルシウム、および0.051gの塩化マグネシウム・六水塩を160mLの注射用水に溶解し、第2液を調製した。第1液840mL、第2液160mLを、実施例1と同様の条件で、充填、加熱滅菌した後、第1液、第2液、および混合液(腹膜透析液)のpHを測定した。第1液のpHは4.7、第2液のpHは6.9、混合液のpHは6.5であった。
(比較例5)
120.0gのイコデキストリンおよび1.87gの塩化ナトリウムを840mLの注射用水に溶解し、乳酸でpHを調製し、第1液を調製した。また、3.48gの塩化ナトリウム、4.48gの乳酸ナトリウム、0.257gの塩化カルシウム、および0.051gの塩化マグネシウム・六水塩を160mLの注射用水に溶解し、水酸化ナトリウムでpHを調整し、第2液を調製した。第1液840mL、第2液160mLを、実施例1と同様の条件で、充填、加熱滅菌した後、第1液、第2液、および混合液(腹膜透析液)のpHを測定した。第1液のpHは3.9、第2液のpHは7.5、混合液のpHは6.3であった。
(比較例6)
120.0gのイコデキストリン、0.257gの塩化カルシウム、および0.051gの塩化マグネシウム・六水塩を840mLの注射用水に溶解し、第1液を調製した。また、5.35gの塩化ナトリウム、4.48gの乳酸ナトリウム、を160mLの注射用水に溶解し、第2液を調製した。第1液840mL、第2液160mLを、実施例1と同様の条件で、充填、加熱滅菌した後、第1液、第2液、および混合液(腹膜透析液)のpHを測定した。第1液のpHは4.9、第2液のpHは6.9、混合液のpHは6.5であった。
(経時変化試験)
実施例1〜3および比較例1〜6の第1液について、主たるブドウ糖分解生成物である5−ヒドロキシメチルフルフラールの指標である284nmの吸光度の経時的な変化を測定した。結果を表1〜3に示す。なお、実施例1〜3および比較例1〜6の腹膜透析液の保管は60℃の恒温槽中で行い、第1液の吸光度の測定を行った。
Figure 0006313653
Figure 0006313653
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(確認試験)
実施例1〜3、および比較例1〜6の第1液について、主たるブドウ糖分解生成物である3−デオキシグルコソの指標である228nmの吸光度の測定を行なった。結果を表4〜6に示す。
Figure 0006313653
Figure 0006313653
Figure 0006313653
表1〜3に示されるように、比較例1、3、4、5および6は、主たるブドウ糖分解生成物である5−ヒドロキシメチルフルフラールの指標である284nmの吸光度の経時的な変化が0.20を超えた。また、比較例2、3、4、5および6は、主たるブドウ糖分解生成物である3−デオキシグルコソの指標である228nmの吸光度が0.30を超えた。
本発明の腹膜透析液は、76.0〜94.0g/Lのイコデキストリンおよび1.97〜2.37g/Lの塩化ナトリウムを含有する酸性の第1液と、アルカリ性pH調整剤を含有するアルカリ性の第2液とからなり、110〜130℃、25〜45分の滅菌条件で滅菌された腹膜透析液であって、前記第1液には、pH調整剤を含有せず、滅菌直後の前記第1液のpHが4.0〜5.3、滅菌後の前記第2液のpHが6.5〜8.0、滅菌後に第1液と第2液を混合した後のpHが6.0〜7.5である腹膜透析液であり、加熱滅菌後、あるいは60℃で7日経過後も284nmの吸光度において0.20未満、加熱滅菌後の228nmの吸光度において0.30未満の腹膜透析液を実現することができる。これは、従来技術からは予測なし得なかったものである。
詳細に説明したように、本発明の腹膜透析液は、pHを生理的な領域にできると共に、加熱滅菌およびその後の保管中のイコデキストリンから生じるブドウ糖分解生成物を最大限に抑制し、非常に安定性に優れた腹膜透析液として産業上利用することができる。

Claims (3)

  1. 76.0〜94.0g/Lのイコデキストリンおよび1.89〜2.37g/Lの塩化ナトリウムを含有する酸性の第1液と、pH調整剤を含有する中性からアルカリ性領域の第2液とからなり、110〜130℃、25〜45分の条件で滅菌された腹膜透析液であって、前記第1液には、pH調整剤を含有せず、滅菌後の前記第1液のpHが4.0〜5.3、滅菌後の前記第2液のpHが6.5〜8.0、滅菌後に第1液と第2液を混合した後のpHが6.0〜7.5である腹膜透析液。
  2. 前記第2液が、16.6〜347.8g/Lの塩化ナトリウム、21.3〜448.0g/Lの乳酸ナトリウム、1.22〜25.7g/Lの塩化カルシウム、および0.24〜5.10g/Lの塩化マグネシウムの少なくとも一つを含有する請求項1に記載の腹膜透析液。
  3. 医療用袋体に収納された請求項1および2に記載の腹膜透析液であって、前記袋体は、その内部を開放可能な仕切手段によって分離されることにより形成される第1室と第2室とを有し、前記第1室は前記袋体の内外を連通する排出ポートを有するものであって、前記第1液は前記第1室に、前記第2液は前記第2室に収納されている腹膜透析液。
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