JPH08155762A - トレーリングアームのブッシュ組付装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 左右両方のトレーリングアーム２を、どちら
もその上面を上向きにした状態で一対一軸の圧入ヘッド
４によるゴムブッシュの組付けを可能にし、組付作業中
にトレーリングアーム２上面に対するブレーキチューブ
２２などの部品取付けを容易化する。 【構成】 圧入ヘッド４の両側に一対の直動ガイド１０
を配設し、この直動ガイド１０に移動台１４の両端を載
せる。一方の直動ガイド１０ａの両端近傍に右用と左用
の一対のクランプシリンダ１８ａ，１８ｂを配設す。移
動台１４にトレーリングアーム２ａ又は２ｂを支持さ
せ、移動台１４をストッパ１２ａ又は１２ｂに当接する
まで移動させた後、クランプシリンダ１８ａ又は１８ｂ
でトレーリングアーム２ａ又は２ｂを押圧して位置決め
固定する。この状態で圧入ヘッド４を開いてゴムブッシ
ュをトレーリングアーム２ａ又は２ｂの枢軸孔に圧入す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車の左右のトレー
リングアームを、どちらもその上面を上にして支持した
移動台を、トレーリングアームの揺動枢軸孔に圧入する
ブッシュの圧入位置へスライド移動させるようにして、
左右トレーリングアームの上面に対するブレーキューブ
などの部品取付けを容易化した、トレーリングアームの
ブッシュ組付装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車のトレーリングアームは一対の揺
動腕を有し、この揺動腕の先端に形成された揺動枢軸孔
に、車体フレーム側の枢軸を挿入してトレーリングアー
ムを揺動自在に車体に取付けている。この揺動枢軸孔に
は、振動吸収用のゴムブッシュが嵌合される。このゴム
ブッシュの嵌合方法には、図２のようにトレーリングア
ーム２を縦に位置決めした状態で、ゴムブッシュ圧入ヘ
ッド４をシリンダ８により上下方向に開いて圧入する方
法と、トレーリングアーム２を水平に位置決めした状態
で圧入ヘッド４を左右方向に開いて圧入する方法があ
る。いずれの方法でもトレーリングアーム２をブッシュ
圧入位置に位置決め固定するためのクランプシリンダ６
が使用されるが、左右のトレーリングアーム２が左右対
称形状をなすため、クランプシリンダ６を左と右のトレ
ーリングアーム２で共用するには、図２の縦位置決め方
式では左又は右のトレーリングアーム２自体を前後反転
姿勢で位置決めし、水平位置決め方式では上下反転姿勢
で位置決めしなければならない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】トレーリングアーム２
にはブレーキチューブ、ダンパーゴム、ブレーキドラ
ム、ブレーキ組立体などが装備されるが、これら取付け
部品はラインタクト（工程速度）の変更に伴いブッシュ
組付位置で取付けることが必要になる場合がある。しか
し、左と右のトレーリングアームを反転姿勢で位置決め
すると、取付け部品の取付け側が左と右で逆になり、ト
レーリングアームを縦に位置決めする場合では、左と右
のいずれか一方のトレーリングアームは後側に回り込ん
で部品を取付けなければならない。トレーリングアーム
の後側に十分な作業スペースを確保できれば後側への部
品取付けも可能であるが、トレーリングアームの後側に
いちいち回り込まなければならない。また後側に回り込
まずに単に手だけを回して部品を取付けようとすると、
作業姿勢がどうしても無理になる。一方、トレーリング
アームを水平に位置決めする場合は、左と右のいずれか
一方のトレーリングアームは下側に手を回して部品取付
けをしなければならない。トレーリングアームと床面と
の間に部品取付け作業用に十分なクリアランスを確保す
ることは現実的にはかなり無理があるし、仮に十分なク
リアランスを確保できたとしても作業姿勢は極端に悪く
ならざるを得ない。このように、従来のブッシュ組付装
置においてトレーリングアームに部品取付けをしようと
すると、右又は左のいずれか一方のトレーリングアーム
に対する部品の取付け性がどうしても悪くなってしま
う。

【０００４】本発明の目的は、左右のトレーリングアー
ムの向きを反転させることなく、つまりトレーリングア
ームを両方とも車体に組付けるときの水平姿勢で位置決
めし、左右兼用の一対一軸の圧入ヘッドによってブッシ
ュの組付けを可能にし、もってブッシュ組付時にトレー
リングアーム上面に対するブレーキチューブなどの各種
部品の取付けを、左右両方のトレーリングアームに対し
てトレーリングアームの上側から可能にすることにあ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明に係る組付装置
は、トレーリングアームの一対の揺動腕の先端の揺動枢
軸孔に圧入するブッシュを、圧入方向に押圧する一対の
圧入ヘッドと、上面を上にした左右のトレーリングアー
ムのいずれか一つを、その揺動腕を圧入ヘッド側に向け
て支持した状態で、前記圧入ヘッドの圧入方向と直角方
向に配設されたガイド部材にガイドされて移動可能な移
動台と、前記移動台を前記ブッシュの圧入位置に位置決
め固定するクランプ手段とを具備する。

【０００６】

【作用】右又は左の一つのトレーリングアームを、その
上面を上にして移動台に支持させた状態で、移動台をブ
ッシュ圧入位置まで移動させる。クランプ手段で移動台
を固定した後、圧入ヘッドを駆動してトレーリングアー
ムの揺動枢軸孔にブッシュを圧入する。同時に、トレー
リングアーム上面に対する各種部品の取付けを行なう。
その後、クランプ手段を解除してブッシュ及び上面部品
の取付けを終えたトレーリングアームを移動台から取り
外し、今度は移動台の反対側に反対側のトレーリングア
ームをその上面を上にして支持させ、前記と同様の要領
でブッシュ及び上面部品の取付けを行なう。

【０００７】

【実施例】以下に本発明の一実施例を図に基づき説明す
る。図１（Ａ）（Ｂ）は本発明に係る組付装置１の平面
図である。（Ａ）が左側トレーリングアーム２ａの取付
けを示し、（Ｂ）が右側トレーリングアーム２ｂの取付
けを示す。ブッシュの一対の圧入ヘッド４，４は従来と
同様のものであって、シリンダ８により接近離反する構
造になっている。圧入ヘッド４の両側には直動ガイド１
０ａ，１０ｂが配設されている。この直動ガイド１０
ａ，１０ｂは互いに平行で、圧入ヘッド４の接近離反方
向と直角方向に延在している。一方の直動ガイド１０ａ
の両端には、一対のストッパ１２ａ，１２ｂが互いに向
き合うように突設されている。

【０００８】直動ガイド１０には、両方のガイド１０
ａ，１０ｂに両端が支持された移動台１４が直動ガイド
１０に沿ってスライド移動可能に配設されている。この
移動台１４は左右各一対、合計４つの半円状凹部１６，
１６を有し、この凹部１６にトレーリングアーム２ａ，
２ｂの一対の揺動腕３，３の先端の半円状端部を突当て
嵌合して支持するものであって、直動ガイド１０に沿っ
て手押しにてスライド移動可能とされている。なお、ト
レーリングアーム２ａ，２ｂの下方には、トレーリング
アーム２ａ，２ｂの下面を支持する固定式支持台が配設
されている（図示せず）。

【０００９】一方の直動ガイド１０ａの両端部近傍に
は、トレーリングアーム２ａ，２ｂの肩部を押圧する一
対のクランプシリンダ１８ａ，１８ｂが配設されてい
る。このクランプシリンダ１８ａ，１８ｂは、移動台１
４に支持されたトレーリングアーム２ａ，２ｂを押圧し
て移動台１４の一端をストッパ１２ａ又は１２ｂに当接
させるものである。すなわち、クランプシリンダ１８
ａ，１８ｂは移動台１４を前記ブッシュの圧入位置に位
置決め固定するクランプ手段として機能する。なお、図
示例はクランプシリンダ１８ａ，１８ｂを圧入ヘッド４
の両側に配設しているが、これはクランプシリンダ１８
ａ，１８ｂを圧入ヘッド４の片側に配設して左右のトレ
ーリングアーム２ａ，２ｂを同じ側から移動台１４に支
持させようとすると、トレーリングアーム２ａ，２ｂと
クランプシリンダ１８ａ，１８ｂとの干渉が生じるから
である。このような干渉を回避するには、クランプシリ
ンダ１８ａ，１８ｂのストローク長を非常に長くし、ク
ランプ時のみ長く突出させることも考えられるが、この
場合、クランプ力の不安定化や装置占有スペースの増大
などいろいろと問題が多い。従って圧入ヘッド４の両側
にクランプシリンダ１８ａ，１８ｂを配置した図示例
が、安定したクランプ力及びスペース的な有利性などか
ら最も実用的といえる。

【００１０】組付装置１は前記の如く構成され、この装
置１を使用してトレーリングアーム２ａ，２ｂにゴムブ
ッシュを組付けるには、図１（Ａ）のように左又は右の
一方、この場合は左のトレーリングアーム２ａを移動台
１４に支持させ、移動台１４を作業者が手押しにて矢印
Ａ方向に押し進める。移動台１４はゴムブッシュ組付位
置まで来るとストッパ１２ａに当接して停止する。次に
クランプシリンダ１８ａによりトレーリングアーム２ａ
の肩部を押圧し、トレーリングアーム２ａをクランプシ
リンダ１８ａの先端押圧部２０とストッパ１２ａとの間
に挟み込んで位置決め固定する。この状態で圧入ヘッド
４を互いに離間する方向に開いて図示しないゴムブッシ
ュをトレーリングアーム２ａの枢軸孔に圧入する。

【００１１】左のトレーリングアーム２ａに対するゴム
ブッシュの圧入が完了した後、クランプシリンダ１８ａ
を解除作動してトレーリングアーム２ａを移動台１４か
ら取外し、次に右側のトレーリングアーム２ｂを図１
（Ｂ）のように移動台１４の反対側に支持させる。以
後、同様にトレーリングアーム２を手押しにて矢印Ｂ方
向に移動させ、移動台１４の端部を反対側のストッパ１
２ｂに当接させ、もう一方のクランプシリンダ１８ｂに
てトレーリングアーム２ｂの肩部を押圧し、前記と同様
にトレーリングアーム２ｂを位置決め固定する。この状
態で圧入ヘッド４を離間させゴムブッシュをトレーリン
グアーム２ｂの枢軸孔に嵌合させる。

【００１２】トレーリングアーム２ａ，２ｂに対するゴ
ムブッシュの組付は前記の如くなされるが、右と左のト
レーリングアーム２ａ，２ｂを、どちらもその上面を上
側にして移動台１４に支持させた状態で作業を行なうた
め、ゴムブッシュの組付作業中に、左右のトレーリング
アーム２ａ，２ｂの上面に対するブレーキチューブ２２
などの部品の取付け作業を同時に進めることができる。

【００１３】

【発明の効果】本発明は前記の如く、左右のトレーリン
グアームをその上面を上向きにしたままブッシュの組付
けを可能にしたものであるから、ブッシュの圧入作業と
並行してトレーリングアーム上面に対する部品の取付け
作業を進めることができて、ラインタクトの変更に対す
る融通性を増大することができる。且つ、移動台の直動
動作を作業者によるワークセットと同時に行う為、工数
を増やす事なく、直動用エアシリンダの削減が可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）（Ｂ）は本発明に係るブッシュ組付装置
の平面図。

【図２】従来のブッシュ組付装置の平面図。

【符号の説明】

１ ブッシュ組付装置 ２ａ，２ｂ 左右のトレーリングアーム ３ 揺動腕 ４ ゴムブッシュ圧入ヘッド ８ 圧入ヘッド駆動用シリンダ １０ａ，１０ｂ 直動ガイド １２ａ，１２ｂ ストッパ １４ 移動台 １６ 半円状凹部 １８ａ，１８ｂ クランプシリンダ ２０ 先端押圧部 ２２ ブレーキチューブ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】トレーリングアームの一対の揺動腕の先端
   の揺動枢軸孔に圧入するブッシュを、圧入方向に押圧す
   る一対の圧入ヘッドと、 上面を上にした左右のトレーリングアームのいずれか一
   つを、その揺動腕を圧入ヘッド側に向けて支持した状態
   で、前記圧入ヘッドの圧入方向と直角方向に配設された
   ガイド部材にガイドされて移動可能な移動台と、 前記移動台を前記ブッシュの圧入位置に位置決め固定す
   るクランプ手段とを具備してなるトレーリングアームの
   ブッシュ組付装置。