JP3633457B2 - フロントピラー用汎用クランプ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両のフロントピラー部材を組み立て等のために保持するための、フロントピラー用汎用クランプ装置に関する。更に詳しくは、本発明は、形状が異なる様々なフロントピラー部材を容易に保持することができるフロントピラー用汎用クランプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両のフロントピラーは、一組のフロントピラー部材のフランジ部分を溶接することで一体に形成される。この溶接時には、各フロントピラー部材のフランジ部分を一組のクランプを用いて把持することによって各フロントピラー部材を保持している。これらのクランプは、ずれが起きないように固定されている。
【0003】
しかし、フロントピラーの形状は車両の種類ごとに異なるため、クランプを用いて保持する位置も異なってくる。このため従来は、種類の異なるフロントピラーごとに、異なるクランプを用意しており、異なるフロントピラーを組み立てる場合は、クランプも交換する必要があった。
更に、フロントピラーの種類の数だけ、専用のクランプを用意する必要があり、製作する費用と時間が必要であった。特に、他の工作機械等と干渉したりしないように位置決めする必要があるため、準備に時間が掛かっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような問題を解決するため、特開平7−80738号公報のクランプ装置が提案されている。このクランプ装置は、単一装置で複数の作業ができるように、クランプの頭部形状を球形状にするとともに、可動側の頭部の位置をずらすことによって、保持の向きを様々に変えることができる。
しかし、上記クランプ装置は、保持の向きを変えるのみであって、位置調整については考慮されていなかった。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するものであり、形状が異なる様々なフロントピラー部材を容易に保持することができるフロントピラー用汎用クランプ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のフロントピラー用汎用クランプ装置は、第一クランプ及び第二クランプを備えたフロントピラー用汎用クランプ装置であって、該第一クランプ及び該第二クランプは、上記フロントピラーを挟んだ状態で保持し、先端は半球形状である一組の固定頭部及びスプリングにより該固定頭部の対向側方向に移動可能な可動頭部をそれぞれ備え、該第一クランプ及び該第二クランプは、所定間隔を有し、且つ、各該頭部の方向を所定角度だけ回転させて配設されており、本クランプ装置が固定部を介してロボットアームに固定されていることを特徴とする。
【0007】
上記「所定間隔」及び上記「所定角度」は、第一クランプ及び第二クランプをひねり回すように配設することで、様々な幅や形状のフロントピラー部材を保持するために設けられている。また、所定間隔及び所定角度は、任意の間隔及び角度とすることができる。
更に、上記各「頭部」の形状とは、上記「半球形状」の他、断面形状が略楕円形状及び略楕円放物線形状である面形状を含むものとする。また、先端形状が略半球形状や略楕円球形状等である円柱体等であってもよい。
【0008】
更に、各可動頭部は、各固定頭部の対向側方向、特に固定頭部の対向側の直線方向に移動可能である。また、スプリング等によって弾力が加わった状態で取り付けることで、様々な厚みのフロントピラー部材を保持する場合であっても、可動側の頭部の移動量を一定とすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図3を用いて本発明のフロントピラー用汎用クランプ装置を実施例により説明する。
本フロントピラー用汎用クランプ装置は、図1〜3に示すように、第一クランプ1及び第二クランプ2の一組のクランプを備える。また、フロントウィンドウ側フランジ91用クランプである第一クランプ1は、フロントピラー部材9のフランジ91を保持するための第一固定頭部111及び第一可動頭部112を備え、それぞれを所定位置に支持する第一固定端側腕部121及び第一可動端側腕部122が設けられている。
【0010】
更に、第一可動頭部112及び第一可動端側腕部122は、空気圧シリンダを用いた第一可動端側回動部13によって、図2の点線で示す、第一可動頭部112’及び第一可動端側腕部122’の位置まで回動することができ、フロントピラー部材9の出し入れを容易に行うことができる。
【0011】
フロントドア側フランジ92用クランプである第二クランプ2は、フロントピラー部材9のフランジ92を保持するための第二固定頭部211及び第二可動頭部212を備え、それぞれを所定位置に支持する第二固定端側腕部221及び第二可動端側腕部222が設けられている。
【0012】
第一クランプ1と第二クランプ2とは、図3に示すように所定の間隔Sを空けて設けられている。また、保持される方向が、図2に示す所定の角度θ(50°〜70°、特に好ましくは60°〜65°)だけ異なっている。クランプ1、2間に、間隔S及び角度θによるオフセットを設け、本フロントピラー用汎用クランプ装置の設置位置や方向を適宜変更することで、様々な形状のフロントピラー部材9のフランジ91を容易に保持することができる。
【0013】
各クランプの頭部111、112、211、212の先端形状は略半球形状としている。このような半球形状とすることで、点接触による保持となり、フランジ91の表面と、クランプ1、2との接触角度が、フロントピラー部材9ごとに異なっていても保持することができる。
【0014】
第一可動頭部112及び第二可動頭部212は、空気圧シリンダ14、15によって、第一固定頭部111及び第二固定頭部211を通過する軸方向に進退し、フランジ91を第一固定頭部111及び第二固定頭部211に押し当て、保持を行う。
また、第一可動頭部112及び第二可動頭部212は、スプリング3によって上記軸方向に弾力が加えられている。これにより、第一可動頭部112及び第二可動頭部212の移動量が一定であっても、様々な厚みのフランジ91を保持することができる。
【0015】
本フロントピラー用汎用クランプ装置は、固定部4をロボットアーム(図示せず)に固定して使用される。また、図1に示すようにフロントピラー部材9の両端側のフランジ91、92をそれぞれ、第一クランプ1及び第二クランプ2にて保持することができる。
また、本フロントピラー用汎用クランプ装置は、形状等が異なる様々なフロントピラー部材を容易に保持することができるように、以下の構成を備える。つまり、各クランプ1、2の頭部111、112、211、212を球形状にすることで、フランジ91、92の保持角度が異なっていてもフロントピラー部材9を安定して保持することができる。
【0016】
更に、第一及び第二可動頭部112、212をスプリング3によって弾力が加えられることで、様々な厚みのフランジ91、92を容易に保持することができる。また、第一クランプ1及び第二クランプ2は、間隔S及び角度θを設けて立体配置され、位置や向きをロボットアームによって適宜変更することで、フランジ91、92の間隔や形状等が異なる様々なフロントピラー部材9の保持を行うことができる。
【0017】
尚、本発明においては、前記実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した態様とすることができる。即ち、本実施例の第一可動頭部112及び第二可動頭部212は、直線方向に移動するがこれに限らずクランク等を用いて弧状に移動させてもよい。
【0018】
【発明の効果】
本各発明のフロントピラー用汎用クランプ装置によれば、フランジの間隔や形状等が異なる様々なフロントピラー部材の保持を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フロントピラー用汎用クランプ装置を説明するための模式斜視図である。
【図2】フロントピラー用汎用クランプ装置を説明するための模式正面図である。
【図3】フロントピラー用汎用クランプ装置を説明するための模式側面図である。
【符号の説明】
1;第一クランプ、111;第一固定頭部、112;第一可動頭部、121;第一固定端側腕部、122;第一可動端側腕部、13;第一可動端側回動部、14、15;空気圧シリンダ、2;第二クランプ、211;第二固定頭部、212;第二可動頭部、221;第二固定端側腕部、222;第二可動端側腕部、3;スプリング、4;固定部、9;フロントピラー部材、91;フロントウィンドウ側フランジ、92;フロントドア側フランジ。
Claims (2)
- 第一クランプ及び第二クランプを備えたフロントピラー用汎用クランプ装置であって、
該第一クランプ及び該第二クランプは、上記フロントピラーを挟んだ状態で保持し、先端は半球形状である一組の固定頭部及びスプリングにより該固定頭部の対向側方向に移動可能な可動頭部をそれぞれ備え、
該第一クランプ及び該第二クランプは、所定間隔を有し、且つ、各該頭部の方向を所定角度だけ回転させて配設されており、本クランプ装置が固定部を介してロボットアームに固定されていることを特徴とするフロントピラー用汎用クランプ装置。 - 各上記可動頭部が、各上記固定頭部の対向側の直線方向に移動可能である請求項1記載のフロントピラー用汎用クランプ装置。
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