JPH08144001A - チクソキャスティング用合金材料 - Google Patents

チクソキャスティング用合金材料

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JPH08144001A
JPH08144001A JP6311292A JP31129294A JPH08144001A JP H08144001 A JPH08144001 A JP H08144001A JP 6311292 A JP6311292 A JP 6311292A JP 31129294 A JP31129294 A JP 31129294A JP H08144001 A JPH08144001 A JP H08144001A
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JP
Japan
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solid phase
alloy material
point
casting
alloy
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JP6311292A
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Inventor
Haruo Shiina
治男 椎名
Nobuhiro Saito
信広 斉藤
Takeyoshi Nakamura
武義 中村
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 チクソキャスティング法の適用下で健全な鋳
物を得ることのできるAl合金材料を提供する。 【構成】 Al合金材料の示差熱分析曲線fにおいて、
共晶溶解による第1山形吸熱部gのピーク値をE1
し、一方、共晶点よりも高融点の成分の溶解による第2
山形吸熱部hのピーク値をE2 としたとき、両ピーク値
1 ,E2 の比E1/E2 が1<E1 /E2 <2.5で
ある。これにより、チクソキャスティング法の凝固過程
では、共晶点よりも高融点の成分、したがって固相の凝
固収縮に応じてその固相周りに液相が十分に供給され
る。また第1山形吸熱部gの上昇開始点kの温度をT1
とし、一方、第2山形吸熱部hの下降終了点mの温度を
2 としたとき、両温度T1 ,T2 の差T2 −T1 が1
0℃<T2 −T1 <120℃である。これにより固相の
外周部がゲル化するので、固相と液相との相溶性が良好
となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、チクソキャスティング
法の実施に用いられる合金材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、チクソキャスティング用合金材
料、例えばAl合金材料としては、鋳物の耐熱性向上を
狙った場合に用いられるAA規格2000系合金や、鋳
物の高強度、高靱性化を狙った場合に用いられるAA規
格6000系合金が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】チクソキャスティング
法の実施に当っては、Al合金材料に加熱処理を施して
固相(略固体となっている相、以下同じ)と液相とが共
存する半溶融Al合金材料を調製し、次いでその半溶融
Al合金材料を加圧下で鋳型のキャビティに充填し、そ
の後前記加圧下で半溶融Al合金材料を凝固させる、と
いった方法が採用される。
【0004】しかしながら前記チクソキャスティング法
の実施において、従来のAl合金材料を用いた場合に
は、鋳物の粒状固相の境界にミクロンオーダの空孔部等
の欠陥が発生し易く、その疲れ強さが低い、という問題
があった。
【0005】本発明者等は、前記問題を解決すべく研鑽
を積んだ結果、前記欠陥は、半溶融Al合金材料におけ
る液相の潜熱が小さいため、固相の凝固収縮に応じてそ
の固相周りに液相が十分に供給されないこと、固相の外
周部が略固体状態であることからその固相と液相との相
溶性が悪いこと等に起因する、ということを究明した。
【0006】本発明は前記研鑽結果を踏まえて開発され
たものであり、固相周りへの液相の供給性、固相と液相
との相溶性等が共に良好であって、チクソキャスティン
グ法の実施において欠陥の発生が無く健全で、高い疲れ
強さを有する鋳物を得ることが可能な前記合金材料を提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係るチクソキャ
スティング用合金材料は、示差熱分析曲線において、共
晶溶解による第1山形吸熱部のピーク値をE1 とし、一
方、共晶点よりも高融点の成分の溶解による第2山形吸
熱部のピーク値をE2 としたとき、両ピーク値E1 ,E
2 の比E1 /E2 が1<E1 /E2 <2.5であり、ま
た前記第1山形吸熱部の上昇開始点の温度をT1 とし、
一方、前記第2山形吸熱部の下降終了点の温度をT2
したとき、両温度T1 ,T2 の差T2 −T1 が10℃<
2 −T1 <120℃であることを特徴とする。
【0008】
【作用】前記合金材料に加熱処理を施すことによって、
共晶組成を有する液相と共晶点よりも高融点の成分であ
る固相とが共存する半溶融合金材料が調製される。この
半溶融合金材料においては、両ピーク値E1 ,E2 の比
1 /E2 が前記のように特定されていることに起因し
て、液相は大きな潜熱を持つ。その結果、チクソキャス
ティング法の凝固過程では固相の凝固収縮に応じてその
固相周りに液相が十分に供給され、その後液相が凝固す
る。また両温度T1 ,T2 の差T2 −T1が前記のよう
に特定されていることに起因して固相の外周部はゲル化
している。その結果、固相のゲル化外周部と液相との相
溶性が良好となる。これにより、鋳物におけるミクロン
オーダの空孔部の発生を防止することができる。
【0009】さらに前記のように特定された比E1 /E
2 に起因して固相と液相との量的バランスが良いので、
鋳造過程においては半溶融合金材料が均一流体となり、
これにより鋳物における偏析の発生を防止することがで
きる。
【0010】ただし、両ピーク値E1 ,E2 の比E1
2 がE1 /E2 ≦1では液相の潜熱が小さくなるた
め、固相の凝固収縮時にその固相周りへの液相の供給が
不十分となり、その結果、鋳物にミクロンオーダの空孔
部が生じ易くなる。一方、E1/E2 ≧2.5では、初
晶が偏析し、また粗大化するため、それに伴い前記同様
の空孔部が発生し易くなる。この初晶の偏析は、液相量
が過多となるため、鋳造過程(例えば金型のゲート通過
時)において半溶融合金材料が不均一流体となることに
起因する。一方、初晶の粗大化は過剰の液相が凝固する
とき、その潜熱が大きいため初晶の冷却が遅延すること
に起因する。
【0011】また両温度の差T2 −T1 がT2 −T1
10℃では所定の固相率を持つ固液共存状態を安定に保
つことができず、また固相外周部のゲル化も不十分とな
り、その結果、前記同様の空孔部が生じ易くなる。一
方、T2 −T1 ≧120℃では、凝固過程において、液
相の凝固時間が長くなるため鋳物に引け巣が発生し易く
なる。
【0012】
【実施例】図1に示す加圧鋳造機1はAl合金材料(合
金材料)を用いてチクソキャスティング法の適用下でA
l合金鋳物を鋳造するために用いられる。その加圧鋳造
機1は、鉛直な合せ面2a,3aを有する固定金型2お
よび可動金型3を備え、両合せ面2a,3a間に鋳物成
形用キャビティ4が形成される。固定金型2に半溶融A
l合金材料5を設置するチャンバ6が形成され、そのチ
ャンバ6はゲート7を介してキャビティ4に連通する。
また固定金型2に、チャンバ6に連通するスリーブ8が
水平に付設され、そのスリーブ8にチャンバ6に挿脱さ
れる加圧プランジャ9が摺動自在に嵌合される。スリー
ブ8は、その周壁上部に材料用挿入口10を有する。
【0013】表1は、Al合金材料の実施例A〜Dおよ
び比較例a〜eの組成を示す。これら実施例A等は、連
続鋳造法の適用下で鋳造された高品質な長尺連続鋳造材
より切出されたものであって、その鋳造に当っては初晶
α−Alの球状化処理が行われている。実施例A等の寸
法は直径50mm、長さ65mmである。
【0014】
【表1】 実施例Aについて、示差走査熱量測定(DSC)を行っ
たところ、図2の結果を得た。図2の示差熱分析曲線f
において、共晶溶解による第1山形吸熱部gのピーク値
1 はE1 =2.7mcal/s、また共晶点よりも高
融点の成分、したがって固相の溶解による第2山形吸熱
部hのピーク値E2 はE2 =2.6mcal/sであ
り、これらのことから両ピーク値E1 ,E2 の比E1
2 がE1/E2 =1.04であることが確認された。
【0015】一方、示差熱分析曲線fにおいて、第1山
形吸熱部gの上昇開始点kの温度T1 はT1 =540
℃、また第2山形吸熱部hの下降終了点mの温度T2
2 =636℃であり、これらのことから両温度T1
2 の差T2 −T1 がT2 −T1 =96℃であることが
確認された。
【0016】次に、実施例Aを誘導加熱装置の加熱コイ
ル内に設置し、次いで周波数 1kHz、最大出力 3
7kWの条件で加熱して、固相と液相とが共存する半溶
融状態の実施例Aを調製した。この場合、固相率は50
%以上、60%以下に設定される。
【0017】その後、図1に示すように、半溶融状態の
実施例A(符号5)をチャンバ6に設置し、加圧プラン
ジャ9の移動速度 0.07m/sec 、金型温度 25
0℃の条件で実施例Aを加圧しつつゲート7を通過させ
てキャビティ4内に充填した。そして、加圧プランジャ
9をストローク終端に保持することによってキャビティ
4内に充填された実施例Aに加圧力を付与し、その加圧
下で実施例Aを凝固させてAl合金鋳物Aを得た。
【0018】また実施例B〜Dおよび比較例a〜eにつ
いてDSCを行い、さらにこれら実施例B等を用い、前
記同様の鋳造作業を行って8種のAl合金鋳物B〜D,
a〜eを得た。
【0019】表2は、前記実施例Aおよび実施例B〜D
ならびに比較例a〜eに関する、両ピーク値E1
2 、それらの比E1 /E2 、上昇開始点kの温度
1 、下降終了点mの温度T2 、両温度T1 ,T2 の差
2 −T1 、鋳造温度およびそれらから得られたAl合
金鋳物A〜D、a〜eにおける欠陥の有無を示す。
【0020】
【表2】 図3はAl合金鋳物Aの金属組織を示す顕微鏡写真であ
る。また図4〜6において、(a)は実施例B〜Dにお
ける示差熱分析曲線fの要部を示し、また(b)は実施
例B〜Dを用いたAl合金鋳物B〜Dの金属組織を示す
顕微鏡写真である。
【0021】表2、図2〜6から明らかなように、実施
例A〜Dにおいては、比E1 /E2が1<E1 /E2
2.5の範囲にあり、同時に温度差T2 −T1 が10℃
<T2 −T1 <120℃の範囲にあるので、液相が大き
な潜熱を持つことから固相の凝固収縮に応じて固相周り
に液相が十分に供給され、また図7に示すように固相1
1の外周部12がゲル化していて、そのゲル化外周部1
2と液相13との相溶性が良好となる。これにより健全
な金属組織を有するAl合金鋳物A〜Dが得られ、それ
らAl合金鋳物A〜Dにはミクロンオーダの空孔部等の
欠陥は生じていない。
【0022】図8〜12において、(a)は比較例a〜
eにおける示差熱分析曲線fの要部を示し、また(b)
は比較例a〜eを用いたAl合金鋳物a〜eの金属組織
を示す顕微鏡写真である。
【0023】表2から明らかなように、比較例a〜eに
おいては、比E1 /E2 と温度差T2 −T1 に関する両
要件が同時に満たされていない。これに起因して、図8
(b),9(b),11(b),12(b)に示すよう
に各Al合金鋳物a,b,d,eにおいては粒界にミク
ロンオーダの空孔部(黒色部分)が発生している。また
Al合金鋳物cにおいては、比E1 /E2 ≧2.5であ
ることから、図10(b)に示すように濃灰色の細片状
初晶Siの偏析およびその粗大化が発生し、その上、温
度差T2 −T1 ≧120℃であることから、図10
(b)に示すように黒色の引け巣が発生していた。これ
らは、図10(c)からも明らかである。
【0024】次に各Al合金鋳物A〜D、a〜eに表3
に示す条件にてT6処理を施した。
【0025】
【表3】 疲れ試験を行うため、T6処理後のAl合金鋳物A〜
D、a〜eより、直径4mm、長さ20mmの平行部を持つ
試験片を各Al合金鋳物A〜D、a〜eについて6本作
製した。それら試験片について、電気油圧式疲れ試験機
を用いて異なる応力振幅で試験を行い、破壊までの繰返
し数を求めた。そして、それらのデータから繰返し数1
7 回の疲れ強さを求めた。表4はその結果を示す。
【0026】
【表4】 図13は表4に基づいてAl合金鋳物A〜D、a〜eの
疲れ強さをグラフ化したものである。
【0027】表4、図13から明らかなように、Al合
金材料の実施例A〜Dを用いてチクソキャスティング法
により得られたAl合金鋳物A〜Dは、Al合金材料の
比較例a〜eを用いてチクソキャスティング法により得
られたAl合金鋳物a〜eよりも高い疲れ強さを有する
もので、このことから実施例A〜Dはチクソキャスティ
ング用Al合金材料として適切であることが判明した。
【0028】なお、本発明はAl系合金には限定されな
い。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、前記のような熱的特性
を具備させることにより、チクソキャスティング法の適
用下で、欠陥の発生が無く健全で、高い疲れ強さを有す
る鋳物を得ることが可能な合金材料を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】加圧鋳造機の縦断面図である。
【図2】実施例Aの示差熱分析曲線である。
【図3】Al合金鋳物の金属組織を示す顕微鏡写真であ
る。
【図4】(a)は実施例Bにおける示差熱分析曲線の要
部を示し、(b)はAl合金鋳物の金属組織を示す顕微
鏡写真である。
【図5】(a)は実施例Cにおける示差熱分析曲線の要
部を示し、(b)はAl合金鋳物の金属組織を示す顕微
鏡写真である。
【図6】(a)は実施例Dにおける示差熱分析曲線の要
部を示し、(b)はAl合金鋳物の金属組織を示す顕微
鏡写真である。
【図7】実施例の半溶融状態を示す説明図である。
【図8】(a)は比較例aにおける示差熱分析曲線の要
部を示し、(b)はAl合金鋳物の金属組織を示す顕微
鏡写真である。
【図9】(a)は比較例bにおける示差熱分析曲線の要
部を示し、(b)はAl合金鋳物の金属組織を示す顕微
鏡写真である。
【図10】(a)は比較例cにおける示差熱分析曲線の
要部を示し、(b)はAl合金鋳物の金属組織を示す顕
微鏡写真、(c)は(b)の要部写図である。
【図11】(a)は比較例dにおける示差熱分析曲線の
要部を示し、(b)はAl合金鋳物の金属組織を示す顕
微鏡写真である。
【図12】(a)は比較例eにおける示差熱分析曲線の
要部を示し、(b)はAl合金鋳物の金属組織を示す顕
微鏡写真である。
【図13】各種Al合金鋳物の疲れ強さを示すグラフで
ある。
【符号の説明】
f 示差熱分析曲線 g 第1山形吸熱部 h 第2山形吸熱部 k 上昇開始点 m 下降終了点

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 示差熱分析曲線(f)において、共晶溶
    解による第1山形吸熱部(g)のピーク値をE1 とし、
    一方、共晶点よりも高融点の成分の溶解による第2山形
    吸熱部(h)のピーク値をE2 としたとき、両ピーク値
    1 ,E2 の比E1 /E2 が1<E1 /E2 <2.5で
    あり、また前記第1山形吸熱部(g)の上昇開始点
    (k)の温度をT1 とし、一方、前記第2山形吸熱部
    (h)の下降終了点(m)の温度をT2 としたとき、両
    温度T1 ,T2 の差T2 −T1 が10℃<T2 −T1
    120℃であることを特徴とする、チクソキャスティン
    グ用合金材料。
JP6311292A 1994-05-17 1994-11-22 チクソキャスティング用合金材料 Pending JPH08144001A (ja)

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JP6311292A JPH08144001A (ja) 1994-11-22 1994-11-22 チクソキャスティング用合金材料
IT95RM000316A IT1278069B1 (it) 1994-05-17 1995-05-16 Materiale in lega per tissofusione, procedimento per la preparazione del materiale in lega semi-fuso per tissofusione e procedimento di
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DE19518127A DE19518127C2 (de) 1994-05-17 1995-05-17 Verfahren zur Herstellung eines semi-geschmolzenen Legierungsmaterials zum Thixo-Gießen
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