JPH08141779A - ろう接用ペースト状接合材 - Google Patents

ろう接用ペースト状接合材

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JPH08141779A
JPH08141779A JP28185294A JP28185294A JPH08141779A JP H08141779 A JPH08141779 A JP H08141779A JP 28185294 A JP28185294 A JP 28185294A JP 28185294 A JP28185294 A JP 28185294A JP H08141779 A JPH08141779 A JP H08141779A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 二つの被接合部材を強固にろう接し得るペー
スト状接合材を提供する。 【構成】 ペースト状接合材は、加熱下で液相状態また
は固液共存状態の一方の状態となって二つの被接合部材
をろう接すべく希土類元素系合金よりなる合金粉末と、
その合金粉末の粒子相互間を結合すると共に加熱下で熱
分解するバインダとより構成される。希土類元素系合金
は、合金元素AEとしてCu、Al、Ga、Co、F
e、Ag、Ni、Au、Mn、Zn、Pd、Sn、S
b、Pb、Bi、GeおよびInから選択される少なく
とも一種を5原子%≦AE≦50原子%含有する。希土
類元素を主成分とする合金粉末より生じた液相は各種材
質の被接合部材に対して優れた濡れ性を発揮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はろう接用接合材、特に、
加熱下で液相状態または固液共存状態の一方の状態とな
って二つの被接合部材をろう接する、合金粉末を主たる
構成要素としたペースト状接合材に関する。
【0002】
【従来の技術】希土類元素を含む永久磁石は、非常に脆
いため機械加工性が悪く、また高温下に曝されると、金
属組織が変化するためそれに伴い磁気特性が低下する、
といった性質を有する。
【0003】そのため、例えば永久磁石をモータの金属
製ロータに取付ける場合、あり差し構造、ねじ止め、溶
接等の取付手段を採用することができないので、従来は
接着剤が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、接着剤
を用いると、永久磁石の濡れ性が悪いため接着強度が低
く、また温度上昇に伴いその接着強度が著しく低下す
る、といった問題を生ずる。このような状況下ではモー
タの高速回転化の要請に到底対応することはできない。
【0005】本発明は前記に鑑み、二つの被接合部材を
強固にろう接することが可能な前記ペースト状接合材を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るろう接用ペ
ースト状接合材は、加熱下で液相状態または固液共存状
態の一方の状態となって二つの被接合部材をろう接すべ
く希土類元素系合金よりなる合金粉末と、その合金粉末
の粒子相互間を結合すると共に加熱下で熱分解するバイ
ンダとより構成され、その希土類元素系合金は、合金元
素AEとしてCu、Al、Ga、Co、Fe、Ag、N
i、Au、Mn、Zn、Pd、Sn、Sb、Pb、B
i、GeおよびInから選択される少なくとも一種を5
原子%≦AE≦50原子%含有することを特徴とする。
【0007】
【作用】合金粉末を構成する希土類元素系合金におい
て、前記のように特定された合金元素AEを特定量含有
させると、加熱下において希土類元素と合金元素AEと
が共晶反応を生じるため、合金粉末が液相状態または固
液共存状態となる温度は比較的低くなる。これにより、
ろう接時における両被接合部材の特性変化を回避するこ
とができる。
【0008】また接合材はペースト状であるから、被接
合部材の接合面が複雑であっても、その接合材を接合面
全体に均一に、且つ必要厚さに容易に塗布することがで
き、その際、合金粉末は接合面の微細な凹部内に進入し
てそこに固定される。加熱下では希土類元素を主成分と
する合金粉末より液相が生じ、その液相は高活性であっ
て、種々の材質の被接合部材に対して優れた濡れ性を発
揮するので両被接合部材を広い接合面積を以て強固にろ
う接することができる。バインダの除去は前記加熱下で
行うか、または接合材を被接合部材の接合面に塗布した
後加熱することによって行われる。後者の場合は接合面
上に合金粉末層が形成される。
【0009】ただし、希土類元素系合金において、合金
元素AEの含有量がAE<5原子%であるか、またはA
E>50原子%であると、固液共存状態における液相の
体積分率Vfが低くなるため接合強度が低下する。この
ことから、合金元素AEの含有量は、希土類元素との関
係において共晶組成またはそれに近い組成となるように
設定するのが望ましい。なお、二種以上の合金元素AE
を含有する場合には、それらの合計含有量が5原子%≦
AE≦50原子%となる。
【0010】
【実施例】ろう接用ペースト状接合材は、希土類元素系
合金よりなる合金粉末とバインダとより構成される。
【0011】合金粉末を構成する希土類元素系合金は、
基本的には主成分である希土類元素と、その希土類元素
と共晶反応を行う合金元素AEとから構成される。希土
類元素はY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、G
d、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuか
ら選択される少なくとも一種である。必要に応じて希土
類元素の混合物であるミッシュメタルおよびジジムも用
いられる。また合金元素AEは、Cu、Al、Ga、C
o、Fe、Ag、Ni、Au、Mn、Zn、Pd、S
n、Sb、Pb、Bi、GeおよびInから選択される
少なくとも一種である。その合金元素AEの含有量は5
原子%≦AE≦50原子%に設定される。
【0012】希土類元素系合金における共晶合金を例示
すれば表1の通りである。
【0013】
【表1】 また希土類元素系合金における亜、過共晶合金としては
以下のものを挙げることができる。各化学式において、
数値の単位は原子%である(これは以下同じ)。Nd60
Cu40合金、Nd80Cu20合金、Nd50Cu50合金、N
90Al10合金、Nd80Co20合金、Sm75Cu25
金、Sm65Cu35合金、La85Ga15合金。さらに三元
系合金としては、Nd65Fe5 Cu30合金(液相発生温
度510℃)およびNd70Cu25Al5 合金(液相発生
温度474℃)を挙げることができる。
【0014】二つの被接合部材のろう接に当っては、そ
れら部材をペースト状接合材、またはバインダを熱分解
除去された合金粉末層を介して重ね合せ、次いでその重
ね合せ物を真空加熱炉内に設置して、加熱下で合金粉末
を液相状態または固液共存状態にし、その後炉冷する、
といった方法が採用される。
【0015】この場合、加熱温度Tは合金粉末の組成に
よって異なるが、前記組成の各種希土類元素系合金は比
較的低い加熱温度Tにて液相状態または固液共存状態と
なるのでろう接時において両被接合部材の特性を変化さ
せるようなことはない。
【0016】また接合材はペースト状であるから、被接
合部材の接合面が複雑であっても、その接合材を接合面
全体に均一に、且つ必要厚さに容易に塗布することがで
き、その際、合金粉末は接合面の微細な凹部内に進入し
てそこに固定される。加熱下で希土類元素を主成分とす
る合金粉末より生じた液相は高活性であって、種々の材
質の被接合部材、例えば鋼製部材、NbFeB系永久磁
石等の希土類元素を含む永久磁石(接着剤や通常のろう
材に対して非常に濡れ性が悪い)等に対して優れた濡れ
性を発揮するので、両被接合部材を広い接合面積を以て
強固にろう接することができる。ペースト状接合材の塗
布に引続いて加熱を行った場合には、その加熱下でバイ
ンダの熱分解除去が行われる。
【0017】加熱時間hは、それが長過ぎる場合には被
接合部材の特性変化を招来するので、h≦10時間であ
ることが望ましく、生産性向上の観点からはh≦1時間
である。
【0018】合金粉末の粒径Dは、接合材より形成され
る接合層の通常の厚さt、即ち、10μm≦t≦100
μmを考慮すると、1μm≦D≦100μmが適当であ
る。この場合、D<1μmでは合金粉末の取扱い性およ
び生産性が低下し、一方、D>100μmでは前記接合
層の厚さ調整が難しくなる。
【0019】合金粉末は、その全部の粒子が結晶質粒子
でもよいが、前記接合層の強度を一層増進させるために
は、合金粉末として、非晶質粒子の体積分率VfがVf
≧50%であるものを用いるとよい。
【0020】その理由は、非晶質粒子においては酸化の
起点となるような粒界層が存在しないので、結晶質粒子
に比べて耐酸化性が著しく高く、また酸化物の混在も僅
少であり、その上、偏析がなく組成も均一であるからで
ある。
【0021】結晶質粒子の集合体よりなる合金粉末の製
造に当っては、メカニカルグラインディング、ジェット
ミリング、メカニカルアロイング等が適用される。合金
粉末の平均粒径Dmは、条件によって異なるが、メカニ
カルグラインディングの場合通常20μm≦Dm≦50
μm、ジェットミリングの場合通常1μm≦Dm≦5μ
m、メカニカルアロイングの場合通常20μm≦Dm≦
50μmである。
【0022】非晶質粒子のみ、またはそれを体積分率V
fにてVf≧50%含む合金粉末の製造に当っては、液
体急冷法、例えば超音波ガスアトマイズ、遠心噴霧法が
適用される。この場合、合金粉末の平均粒径Dmは、条
件によって異なるが、通常40μm≦Dm≦50μmで
あり、一般に、粒径DがD≦32μmの粒子は非晶質粒
子である。
【0023】バインダは、合金粉末の粒子相互間を結合
するために用いられるものであって、ろう接時の加熱温
度T以下の温度で熱分解するものでなければならない。
このことから、バインダとしては、基本的には合成樹脂
成分と溶剤とを含むものが用いられ、また必要に応じ
て、合金粉末の分散性を良好にすべく界面活性剤が添加
される。
【0024】合成樹脂成分はアクリル樹脂、エチルセル
ロース等よりなる。溶剤としては、トルエン、α−テル
ピネオール等が用いられる。界面活性剤としてはアルキ
ルベンゼンスルホン酸塩、アルキルアミノ酸等が用いら
れる。
【0025】各成分の配合量は塗布条件等によって異な
るが、通常、合成樹脂成分SRは10重量%≦SR≦2
0重量%、溶剤SOは10重量%≦SO≦20重量%、
界面活性剤SAは1重量%≦SA≦3重量%である。 〔実施例1〕 〔A〕ペースト状接合材の製造 純度99.9%のNdと純度99.9%のCuとを、図
1に示すように、共晶組成を有するNd70Cu30合金が
得られるように秤量し、次いでその秤量物を真空溶解炉
を用いて溶解し、その後鋳造を行ってインゴットを得
た。
【0026】このNd70Cu30合金よりなるインゴット
を用い、次のような方法でメカニカルグラインディング
を行った。(a)インゴットをスタンプミルを用いて粗
粉砕した。(b)粗粉砕物と直径約9mm(3/8イン
チ)の鋼球(材質 JIS SUS316)とを、重量
比にて、粗粉砕物:鋼球=1:20の割合で遊星型ボー
ルミル(商品名Frish P5)の鋼製ポット(材質
JIS SUS316)内に投入した。(c)ポット
内を、真空度10-4Torrまで排気した後乾燥アルゴンガ
スで置換した。(d)公転回転数 150rpm 、ミリン
グ時間 1時間の条件で微粉砕を行った。(e)グロー
ブボックス内で合金粉末を乾式回収した。
【0027】このようにして製造された合金粉末は、そ
の最小粒径が数μm、最大粒径が約100μmといった
ように粒度ばらつきの大きいものであった。
【0028】そこで、前記合金粉末に篩別処理を施し
て、粒径DがD≦32μmの合金粉末を得た。この合金
粉末はNd70Cu30合金よりなり、且つ全部の粒子が結
晶質粒子であった。
【0029】次いで、70重量%の結晶質Nd70Cu30
合金粉末(D≦32μm)、15重量%のアクリル樹脂
および15重量%のトルエンを、グローブボックス内で
十分に攪拌し、これによりペースト状接合材を得た。 〔B〕 ろう接作業 一方の被接合部材として、図2に示すように厚さ0.3
mmの冷間圧延鋼板1を積層してなり、且つ縦10mm、横
10mm、長さ15mmの直方体状の積層体2を選定した。
この積層体2において、各鋼板1の接合にはかしめ手段
3が用いられている。また積層体2の貫通孔4は引張り
試験においてチャックとの連結に用いられる。
【0030】積層体2において、各鋼板1の端面により
形成された接合面5に、ペースト状接合材を厚さ約70
μmに塗布し、次いで80℃、1時間の条件でペースト
状接合材に乾燥処理を施してトルエンを除去し、その後
ペースト状接合材に熱分解処理、即ち、アルゴンガス雰
囲気中、昇温速度10℃/min にて500℃まで昇温
し、引続きその温度下に30分間保持する処理を施して
アクリル樹脂を除去した。
【0031】これにより、図3に示すように、積層体2
の接合面5には、結晶質Nd70Cu 30合金粉末の粒子相
互間に緩やかな拡散接合が生じていることから、厚さ約
50μmの結晶質Nd70Cu30合金粉末層6が形成され
た。この結晶質Nd70Cu30合金粉末層6は比較的緻密
であり、これは前記のように昇温速度を設定したのでア
クリル樹脂の熱分解が緩徐に行われたことに因る。
【0032】他方の被接合部材として、縦10mm、横1
0mm、厚さ3mmのNdFeB系永久磁石(住友特殊金属
社製、商品名NEOMAX−28UH)7を選定した。
【0033】図3に示すように、一つの積層体2の結晶
質Nd70Cu30合金粉末層6の上に永久磁石7を、また
永久磁石7の上にもう一つの積層体2をその結晶質Nd
70Cu30合金粉末層6を下向きにしてそれぞれ重ね合せ
て重ね合せ物を作製した。次いで、その重ね合せ物を真
空加熱炉内に設置し、加熱温度T=530℃、加熱時間
h=30分間の加熱工程、それに次ぐ炉冷よりなる冷却
工程を行って、図4に示すように二つの積層体2により
永久磁石7を挟むようにそれら2,7をNd70Cu30
金よりなる接合層8を介しろう接した接合体9を得た。
このろう接処理においては、加熱温度TがT=530℃
であって、図1に示す共晶点520℃を超えているの
で、結晶質Nd70Cu30合金粉末は共晶組成を有するこ
とから液相状態となる。この場合、接合層8の厚さは2
0μmであった。
【0034】比較のため、前記インゴットにマイクロカ
ッタによる切断加工を施して、Nd 70Cu30合金よりな
り、且つ縦10mm、横10mm、厚さ0.25mmの薄板状
接合材を製作し、この薄板状接合材を用いて前記と同様
の方法で図4に示す接合体9と同一構造の接合体を得
た。この場合の接合層の厚さは60μmであった。
【0035】また比較のため、前記同様の永久磁石7と
前記同様の二つの積層体2とをエポキシ樹脂系接着剤
(日本チバガイギ社製、商品名アラルダイド)を介し重
ね合せて前記同様の重ね合せ物を作製した。次いで、そ
の重ね合せ物を乾燥炉内に設置して、加熱温度200
℃、加熱時間60分間の加熱工程、それに次ぐ炉冷より
なる接合処理を行って、二つの積層体2と永久磁石1と
をエポキシ樹脂系接着剤を介して接合した接合体を得
た。
【0036】ペースト状接合材を用いた接合体9、薄板
状接合材を用いた接合体およびエポキシ樹脂系接着剤を
用いた接合体について室温下および150℃の加熱下で
引張り試験を行ったところ、表2の結果を得た。
【0037】
【表2】 表2から明らかなように、ペースト状接合材を用いた接
合体8は、室温下および150℃の加熱下において、エ
ポキシ樹脂系接着剤を用いた接合体に比べて接合強度が
高く、その接合強度は両環境下において殆ど変わらず、
またそのばらつきも小さかった。接着剤を用いた接合体
は室温下における接合強度が低い上にそのばらつきが大
きく、また150℃の加熱下ではその接合強度が室温下
のそれの3分の1に低下する。
【0038】また表2から明らかなように、ペースト状
接合材を用いた接合体8は、室温下および150℃の加
熱下において、薄板状接合材を用いた接合体に比べて接
合強度が高い。これは、ペースト状接合材が、その塗布
状態で積層体2の接合面5において各鋼板1の端面に密
着するだけでなく、相隣る両鋼板1間の隙間に進入して
いるので、結晶質Nd70Cu30合金粉末から生じた液相
が接合面5に対して濡れを生じ易く、また液相の付着面
積も拡張されていること、結晶質Nd70Cu30合金粉末
がアクリル樹脂により覆われているので、その酸化の進
行が抑制され、その結果、接合層8において、接合強度
低下の原因となる酸化物の量が少ないこと等に起因す
る。また結晶質Nd70Cu30合金粉末層6の厚さが薄い
ので、ろう接処理後におけるNd70Cu30合金の食出し
量が少なく、したがって後処理が容易である、といった
利点もある。
【0039】NdFeB系永久磁石、SmCo系永久磁
石等の希土類元素を含む永久磁石7は、ろう接処理時の
加熱温度TがT>650℃になると、その磁気特性、特
に保磁力 Ic (磁化の強さ=0)が低下傾向となる。
ただし、残留磁束密度Brおよび保磁力 Bc (磁束密
度B=0)は殆ど変わらず、したがって最大磁気エネル
ギ積(BH)maxは略一定である。前記ペースト状接
合材を用いたろう接処理において、その加熱温度TはT
=530℃であってT≦650℃であるから、永久磁石
7の磁気特性を変化させるようなことはない。
【0040】また前記永久磁石7の濡れ性の悪さは、そ
の結晶粒界に希土類元素濃度、この実施例ではNd濃度
の高い相が存在していることに起因する。前記ペースト
状接合材を用いたろう接処理において、そのNd70Cu
30合金粉末は液相状態となっており、Ndを主成分とす
る液相は、高活性であると共に前記結晶粒界に存するN
d濃度の高い相と主成分を共通にすることから永久磁石
7に対して優れた濡れ性を発揮し、また前記高活性化に
伴い鋼板1よりなる積層体2に対する濡れ性も極めて良
好である。
【0041】したがって、前記のようなペースト状接合
材を用いることによって、永久磁石7の磁気特性を損う
ことなく、その永久磁石7と積層体2とを強固に接合す
ることができる。
【0042】前記接合技術は、回転電機としてのモータ
において、ロータの成層鉄心に対する永久磁石7の接合
に適用され、回転数が10000rpm 以上である高速回
転モータの実現を可能にするものである。 〔実施例2〕市販の粒径約15μmのCu粉末と市販の
粒径約300μmのNd粉末とを、共晶組成を有するN
70Cu30合金が得られるようにグローブボックス内で
秤量して、Cu粉末とNd粉末とよりなる原料粉を得
た。
【0043】この原料粉を用い、次のような方法でメカ
ニカルアロイングを行った。(a)原料粉および直径約
9mm(3/8インチ)の鋼球(材質 JIS SUS3
16)とを、重量比にて、原料粉:鋼球=1:20の割
合で遊星型ボールミル(商品名Frish P5)の鋼
製ポット(材質 JIS SUS316)内に投入し
た。(b)ポット内を、真空度10-4Torrまで排気した
後乾燥アルゴンガスで置換した。(c)公転回転数 1
50rpm 、ミリング時間 200時間の条件で粉砕と圧
着を繰返し行った。この場合、ミリング時間が短いとN
dとCuとが反応しない。100時間程度でNdCu相
が生成され始めるが、Cu相が消失して、共晶反応を生
じるNd相とNdCu相との混相を生成させるためには
ミリング時間は200時間必要である。(d)グローブ
ボックス内で合金粉末を乾式回収した。
【0044】このようにして製造された合金粉末は、そ
の最小粒径が数μm、最大粒径が約100μmといった
ように粒度ばらつきの大きいものであった。
【0045】そこで、前記合金粉末に篩別処理を施し
て、粒径DがD≦32μmの合金粉末を得た。この合金
粉末はNd70Cu30合金よりなり、且つ全部の粒子が結
晶質粒子であった。
【0046】次いで、結晶質Nd70Cu30合金粉末(D
≦32μm)を用い、実施例1と同様の方法で実施例1
と同一組成のペースト状接合材を得た。
【0047】その後、ペースト状接合材ならびに実施例
1と同様の積層体2および永久磁石7を用い、実施例1
と同一条件でろう接作業を行って、図4に示す接合体9
と同一構造の接合体を得た。
【0048】この接合体について実施例1と同一条件に
て引張り試験を行ったところ、表3の結果を得た。表3
には、比較のため実施例1の結晶質Nd70Cu30合金粉
末を含むペースト状接合材を使用した場合のデータも掲
載されている。
【0049】
【表3】 表3から明らかなように、メカニカルアロイングによる
結晶質Nd70Cu30合金粉末を用いた場合にも、メカニ
カルグラインディングの場合と同等の接合強度が得られ
る。 〔実施例3〕実施例1のNd70Cu30合金よりなるイン
ゴットを用い次のような方法で超音波ガスアトマイズを
行った。(a)インゴットをグラファイト製るつぼに投
入し、不活性ガス雰囲気下で高周波溶解を行うことによ
り溶湯を調製した。(b)石英ノズルの、直径1.5mm
のノズル孔より溶湯を流下させ、その流下する溶湯に、
圧力100kgf/cm2 の冷却用ヘリウムガスを噴射して
Nd70Cu30合金粉末を得ると同時にそれを急冷凝固し
た。
【0050】このようにして得られたNd70Cu30合金
粉末はその平均粒径Dmが40μm≦Dm≦50μmで
あった。そこで、Nd70Cu30合金粉末に篩別処理を施
して、粒径DがD≦32μmのNd70Cu30合金粉末を
得た。
【0051】図5は粒径D≦32μmのNd70Cu30
金粉末およびNd70Cu30合金インゴットのX線回折結
果を示し、Nd70Cu30合金粉末においては2θ≒30
°に幅広のハローパターンが観察され、このことから、
Nd70Cu30合金粉末は非晶質単相組織を有し、したが
って非晶質粒子の体積分率VfがVf=100%である
ことが判明した。
【0052】次いで、前記非晶質Nd70Cu30合金粉末
(D≦32μm)を用い、実施例1と同様の方法で実施
例1と同一組成のペースト状接合材を得た。
【0053】その後、ペースト状接合材ならびに実施例
1と同様の積層体2および永久磁石7を用い、実施例1
と同一条件でろう接作業を行って、図4に示す積層体9
と同一構造の接合体を得た。
【0054】この接合体について実施例1と同一条件に
て引張り試験を行ったところ、表4の結果を得た。表4
には、比較のため実施例1の結晶質Nd70Cu30合金粉
末を含むペースト状接合材を使用した場合のデータも掲
載されている。
【0055】
【表4】 表4から明らかなように、非晶質Nd70Cu30合金粉末
を含むペースト状接合材を用いた接合体は、室温下およ
び150℃の加熱下において、結晶質Nd70Cu30合金
粉末を含むペースト状接合材を用いた接合体に比べて接
合強度が高い。これは、非晶質Nd70Cu30合金粉末の
場合、耐酸化性が著しく高く、また酸化物の混在が僅少
であり、その上組成が均一であるからである。 〔実施例4〕実施例1のNd70Cu30合金よりなるイン
ゴットを用い次のような方法で遠心噴霧法を行った。
(a)インゴットをグラファイト製るつぼに投入し、不
活性ガス雰囲気下で高周波溶解を行うことにより溶湯を
調製した。(b)石英ノズルのノズル孔より、その下方
で回転する略円錐台形をなす円盤のテーパ外周面上に溶
湯を噴出させ、その溶湯を円盤の遠心力により飛散させ
ることによって滴状物を形成し、その滴状物を冷却用ヘ
リウムガスにより急冷凝固してNd70Cu30合金粉末を
得た。
【0056】この遠心噴霧法における各条件は次の通り
である。即ち、ノズル孔の直径 0.3mm、ノズル孔か
らの溶湯の噴出圧 1kgf/cm2 、円盤の構造 カーボ
ン製本体の表面にZrO2 を低温溶射したもの、円盤の
大端径 70mm、円盤のテーパ角度 150°、円盤の
回転数 15000rpm 、ヘリウムガスの噴出圧 10
kgf/cm2 である。
【0057】このようにして得られたNd70Cu30合金
粉末には、ガスアトマイズと異なり、球形をしたものの
外に偏平なものも含まれており、その偏平なもののアス
ペクト比は2〜3であった。このアスペクト比は偏平な
ものの平面において、縦の長さをx、横の長さをy、ま
たx<yとしたとき、y/xとして求められた。Nd 70
Cu30合金粉末の平均粒径(偏平なものについては横の
長さyの平均値)Dmは70μm≦Dm≦80μmであ
り、そこで、Nd70Cu30合金粉末に篩別処理を施し
て、粒径DがD≦32μmのNd70Cu30合金粉末を得
た。
【0058】この粒径D≦32μmのNd70Cu30合金
粉末についてX線回折を行ったところ、実施例3同様に
非晶質単相組織を有することが判明した。
【0059】次いで、前記非晶質Nd70Cu30合金粉末
(D≦32μm)を用い、実施例1と同様の方法で実施
例1と同一組成のペースト状接合材を得た。
【0060】その後、ペースト状接合材ならびに実施例
1と同様の積層体2および永久磁石7を用い、実施例1
と同一条件でろう接作業を行って、図4に示す接合体9
と同一構造の接合体を得た。
【0061】この接合体について実施例1と同一条件に
て引張り試験を行ったところ、表5の結果を得た。表5
には、比較のため、実施例3の非晶質Nd70Cu30合金
粉末を含むペースト状接合材を使用した場合のデータも
掲載されている。
【0062】
【表5】 表5から明らかなように、遠心噴霧法による非晶質Nd
70Cu30合金粉末を用いた場合にも、超音波ガスアトマ
イズの場合と同等の接合強度が得られる。
【0063】なお、トルエン等の溶剤の除去およびアク
リル樹脂等の合成樹脂成分の除去は、前記のようにろう
接処理に先立って行うことは必須要件ではなく、ろう接
処理中において前記除去を行うことも可能である。
【0064】永久磁石と異種金属部材との接合におい
て、その接合強度向上の観点からは、前記実施例のよう
に永久磁石に含まれる希土類元素と、ペースト状接合材
における合金粉末の主成分である希土類元素とを一致さ
せるのが望ましいが、例えば、Ndを含む永久磁石の接
合に当り、Laを主成分とする合金粉末を用いたり、ま
たSmを含む永久磁石の接合に当り、Smを主成分とす
る合金粉末の外にLa、Ce、Nd、Pr等を主成分と
する合金粉末を用いても前記と略同等の接合強度を得る
ことができる。
【0065】なお、前記ペースト状接合材は前記永久磁
石以外の被接合部材と他の被接合部材とのろう接にも用
いられる。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、前記のように特定され
た構成を具備させることにより、比較的低温域にて液相
を生じて二つの被接合部材を強固に接合することが可能
なペースト状接合材を提供することができる。
【0067】特に、このペースト状接合材は、その組成
により希土類元素を含む永久磁石と異種金属部材との接
合において、永久磁石の磁気特性を損うことなく接合強
度を高め得る、といった利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】Cu−Nd系状態図の要部を示す。
【図2】積層体の斜視図である。
【図3】積層体と永久磁石との重ね合せ関係を示す斜視
図である。
【図4】接合体の斜視図である。
【図5】Nd70Cu30合金粉末とNd70Cu30合金イン
ゴットのX線回折図である。
【符号の説明】
2 積層体(被接合部材) 6 結晶質Nd70Cu30合金粉末層 7 永久磁石(被接合部材) 8 接合層 9 接合体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱下で液相状態または固液共存状態の
    一方の状態となって二つの被接合部材をろう接すべく希
    土類元素系合金よりなる合金粉末と、その合金粉末の粒
    子相互間を結合すると共に加熱下で熱分解するバインダ
    とより構成され、その希土類元素系合金は、合金元素A
    EとしてCu、Al、Ga、Co、Fe、Ag、Ni、
    Au、Mn、Zn、Pd、Sn、Sb、Pb、Bi、G
    eおよびInから選択される少なくとも一種を5原子%
    ≦AE≦50原子%含有することを特徴とするろう接用
    ペースト状接合材。
  2. 【請求項2】 前記合金粉末の粒径Dが1μm≦D≦1
    00μmである、請求項1記載のろう接用ペースト状接
    合材。
  3. 【請求項3】 前記合金粉末において、非晶質粒子の体
    積分率VfがVf≧50%である、請求項1または2記
    載のろう接用ペースト状接合材。
  4. 【請求項4】 前記両被接合部材の一方が希土類元素を
    含む永久磁石であり、他方が異種金属部材である、請求
    項1,2または3記載のろう接用ペースト状接合材。
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