JPH0813006A - R2T17系合金粉末の製造方法、R2T17Nx系磁石粉末の製造方法及び高圧熱処理装置 - Google Patents

R2T17系合金粉末の製造方法、R2T17Nx系磁石粉末の製造方法及び高圧熱処理装置

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JPH0813006A
JPH0813006A JP6296235A JP29623594A JPH0813006A JP H0813006 A JPH0813006 A JP H0813006A JP 6296235 A JP6296235 A JP 6296235A JP 29623594 A JP29623594 A JP 29623594A JP H0813006 A JPH0813006 A JP H0813006A
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powder
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alloy powder
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JP6296235A
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Seiji Kojima
清司 小嶋
Takeshi Takahashi
岳史 高橋
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/032Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
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    • H01F1/053Alloys characterised by their composition containing rare earth metals
    • H01F1/055Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5
    • H01F1/059Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and Va elements, e.g. Sm2Fe17N2
    • H01F1/0596Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and Va elements, e.g. Sm2Fe17N2 of rhombic or rhombohedral Th2Zn17 structure or hexagonal Th2Ni17 structure

Abstract

(57)【要約】 【目的】 モータ等に使用されるボンド磁石用の磁石粉
末である希土類−鉄−窒素系磁石材料の製造方法におい
て、溶解鋳造された合金塊を、酸化を抑制しつつ粗粉砕
処理できるようにする。 【構成】 R(R:Sm又はSmの一部が1種又は2種
以上の希土類元素で置換された物質)とT(T:Fe又
はFeの一部が1種又は2種以上の遷移元素で置換され
た物質)とを主成分とする鋳造塊をR2 17相を主とす
る合金塊にするために均一化処理を行なう。次に、70
℃〜300℃の温度範囲における5kgf/cm2 以上
の圧力の水素ガス中において前記合金塊に水素吸蔵させ
ることにより粗粉砕処理を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、モータなどに多量に用
いられているボンド磁石の主たる構成材料である磁石粉
末及びその母合金粉末の製造方法並びにこれらの方法に
用いる高圧熱処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】Sm−Co系の異方性磁石粉末やNd−
Fe−B系の等方性磁石粉末などの、高性能な希土類系
の磁石粉末を用いた高性能なボンド磁石がモータを初め
とする磁石応用機器に使用されている。このようなボン
ド磁石の使用分野は徐々に拡っており、それに応じて多
様な特性を持った磁石が要求されている。
【0003】このような背景から、新しい磁石粉末の開
発が活発に行われているが、そのなかで、希土類(R)
−鉄(Fe)−窒素(N)系の磁石材料、特にサマリウ
ム(Sm)−鉄−窒素系(以下、Sm−Fe−N系と称
する。)の磁石材料が注目されている。しかしながら、
Sm−Fe−N系の磁石材料の開発はまだ実験室段階で
あり、早い実用化が望まれている。
【0004】Sm−Fe−N系の磁石材料は、Th2
17型構造を持つSm2 Fe17を窒化したものであり、
窒素は、特定の格子位置に侵入型で入り結晶格子を膨脹
させるが、結晶構造は同じTh2 Zn17型構造である。
Sm−Fe−N系磁石材料は、Sm2 Fe17の組成
式においてX=3の近傍で最も磁気特性が優れており、
飽和磁化:4πIS =15.7kG、異方性磁界:Ha
=260kOe、キュリー点:Tc=470℃という基
本物性が明らかにされている。
【0005】Sm−Fe−N系磁石材料の製造工程はお
おまかに分類すると次の5つの工程からなっている(特
開平2−57663号公報などを参照)。
【0006】(1)溶解鋳造工程:Sm−Fe母合金塊
を作成する工程である。
【0007】(2)均一化熱処理工程:Sm−Fe母合
金塊を主たる相がSm2 Fe17である合金塊にする工程
である。
【0008】(3)粗粉砕工程:主たる相がSm2 Fe
17である合金塊を、窒化が容易な150μm以下の粒子
に粉砕する工程である。
【0009】(4)窒化工程:Sm2 Fe17をSm2
17にする工程である。
【0010】(5)微粉砕工程:Sm2 Fe17粒子
の保磁力を大きくするために単磁区粒子(粒径:1〜3
μm)にする工程である。
【0011】尚、前記の工程のほかに、粉砕時に入った
歪みや格子欠陥などを除去するため(3)又は(5)の
工程の後に、不均一な窒化層を均一化するため(4)の
工程の後に、それぞれ必要に応じて焼鈍処理が行われ
る。
【0012】以下、前記の各工程についてもう少し詳し
く説明する。
【0013】(3)の粗粉砕工程では、これまでは機械
的に粉砕していた。たとえば、ジョークラッシャーなど
の各種粉砕機が用いられてきた。また、Nd−Fe−B
系焼結磁石の製造工程で採用されている水素吸蔵による
粗粉砕も可能性があるということが報告されている。
【0014】この水素吸蔵粉砕は、従来から行われてい
る、水素の吸収と放出とを繰り返し行なう方法であり、
200℃〜400℃の温度において水素ガスを合金中に
吸収させ、吸収した水素をアルゴンのような不活性ガス
中で600℃〜800℃の温度において放出させる。こ
の繰り返しの回数を多くすると4μmまで粗粉砕できる
と報告されている(特開平2−57663号公報及びE
P0369097A1参照)。
【0015】ところで、最近、東北大学においてSm2
Fe17の水素吸蔵粉砕が研究され、報告がされている
(S.Sugimoto etal :Proceedings of the ICF 6 ,Toky
o andKyoto ,Japan,1992 ,p.1145 〜1148) 。この論文
によると、均一化熱処理が行われたSm2 Fe17は、室
温から200℃の温度領域では水素吸蔵粉砕は起こら
ず、300℃付近で水素吸蔵粉砕が起きるが細かい粉末
は得られず、粗い粉末(平均粒子径:2〜3mm)が得
られる。
【0016】ところが、Smを増やした組成(20%以
上の増加)においては、均一化熱処理の後に、Sm2
17のほかにSmFe3 が現れる。このSmFe3 が2
00℃において急峻な水素吸蔵を起こし、また、SmF
3 の結晶格子の膨脹率がSm2 Fe17の膨張率よりも
大きいため、合金塊は細かい粉末(100μm以下)に
割れる。
【0017】また、水素吸蔵放出特性を測定した結果に
よると、Sm2 Fe17には250℃及び600℃付近に
おいて水素吸収ピークがあり、その間の350℃〜55
0℃の温度領域において緩やかな水素放出ピークがあっ
た。
【0018】水素吸蔵処理については他の報告もある。
その報告は、Smが5〜15原子%、Nが0.5〜25
原子%、残部がFe又はFe及びCoよりなる磁石材料
において、Sm−Fe系合金を細かい粒子にすると酸化
され易いため、大きな塊状、すなわち表面までの距離が
0.25mm以上である領域が存在するような大きな塊
状の合金を窒化できる方法について記載している。この
方法は、塊状の合金に対して水素吸蔵熱処理を施して水
素を吸蔵させた後、窒素ガス雰囲気中で窒化熱処理を施
すことにより、大きな寸法の合金を充分且つ均質に窒化
する方法である。前記の報告は、水素吸蔵熱処理におい
て合金中に微細なガスの通路が形成され、窒化熱処理に
おいて窒素が前記のガス通路を通って合金の深部にまで
侵入すると説明している。また、この水素吸蔵熱処理で
は、温度は350℃以下であり特に100〜300℃が
好ましく、また、重要なのは、水素吸蔵熱処理は2回以
上行なわないことであり、水素吸蔵熱処理が1回だけで
あれば合金は微粉化されず、大きな寸法に保たれること
を開示している(特開平4−280605号公報参
照)。
【0019】(4)の窒化処理工程としては、Sm2
17を470℃付近で水素とアンモニアとの混合ガス気
流中に曝す方法(特開平2−257603号公報)や、
同様の温度において高圧(30kgf/cm2 以上)の
窒素ガス中で熱処理する方法(多々見他、第16回日本
応用磁気学会学術講演概要集、1992、p440及び
特開平5−258927号公報)が行われている。ま
た、53μm以下に粗粉砕されたSm2 Fe17粉末を、
250℃付近において水素気流中に1時間置くことによ
り水素処理した後、窒素気流中に置くことにより低温
(450〜500℃)で長時間(20〜63時間)の熱
処理を行なうと、α−Feへの分解が抑えられて良い磁
気特性が得られるという報告もなされている(C.Ishiza
ka etal,Ferrite:Proceedings of The ICF 6,Tokyo and
Kyoto,Japan 1992,p1092 〜1095)。
【0020】(5)の微粉砕工程としては、従来からの
ボールミルやジェットミルによる粉砕が行われている。
前記のC.Ishizakaの論文によると、アトライ
ターによって粉砕して1.5μm以下の微粉末にするこ
とにより、優れた磁気特性を達成している。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Sm−
Fe合金は酸化し易く、酸化すると磁石特性を出してい
るSm2 Fe17の量が減るだけでなくα−Feが出
現する。このα−Feは、軟磁性であるため保磁力を低
下させると共にB−H曲線の角型性(rectangu
larity in hysteresis loo
p)を低下させる大きな原因となる。従って、酸化の抑
制が磁石特性の良否を左右する最大の課題となってい
る。
【0022】Sm−Feの合金の酸化を抑制するために
次の方法が考慮される。
【0023】(1)の溶解鋳造工程及び(2)の均一化
熱処理工程は、おおよそ1000℃を越える活性な温度
領域における処理になるため、酸素濃度はできるだけ低
く抑えなければならない。しかし、雰囲気中の酸素を完
全に取り除くことは困難であり、また長時間を要する均
一化熱処理工程の雰囲気中に僅かな酸素が混入するのを
防ぐことは費用や設備上の制約により難しいことである
ので、得られる合金塊表面は酸化されている場合が多
い。
【0024】(3)の粗粉砕工程は、室温において行な
われるが、結晶の破壊現場ではミクロには相当高温にな
っていると考えられ、非酸化性ガス(多くは窒素ガス)
の雰囲気で行なうのが良い。
【0025】(4)の窒化処理工程は400℃〜500
℃の温度領域で行われるが、窒化物は約670℃以上の
温度ではα−FeとSmNとに分解する。窒化は発熱反
応であるため、分解温度にならないように窒化処理温度
を低く抑える必要がある。一方では、窒化は高温下ほど
速く行なわれるのでなるべく高温下において行ないたい
という要望がある。これまでの学会発表では大部分が約
470℃での窒化であり、この温度がα−Feの発生を
最小限に抑える最適温度と言える。
【0026】ところが、前記の窒化温度においてSm−
Fe合金を完全に窒化するには100時間程度の長時間
を要する。また、前記の窒化温度は、合金表面に取り付
いた窒素がSm−Fe合金の内部に拡散するには低すぎ
るため拡散速度は遅くなる。粒子の粒径が小さいほど窒
化時間が短くなると共に均一に窒化できる。多くの報告
では粒子の粒径は50μm以下、より好ましくは20μ
m以下であるとしている。
【0027】しかしながら、Sm−Fe合金の粒径が小
さくなると粒子の表面積が著しく増大し酸化が格段に起
こり易くなる。これらのことから、窒化処理工程におい
ては酸素の混入を極力抑えなければならない。
【0028】(5)の微粉砕工程は粒径1〜3μmとい
う微粉末にする工程であるから、粒子表面積は著しく拡
大し酸化がさらに起こり易くなる。処理温度は室温では
あるが、結晶の破壊現場ではミクロには高温になってい
ると考えられ、非酸化性雰囲気で行なう必要がある。
【0029】以上の理由により、Sm−Fe合金の酸化
防止を初めとして、酸化により生成したα−Feの除去
など、次に示すような手段が講じられているが、それぞ
れ以下に説明するような問題がある。
【0030】まず、(2)の均一化熱処理工程では、前
述したように雰囲気中の酸素を完全に取り去ることは不
可能であるため、どうしても合金塊の表面でSmが酸化
される。また、Smは蒸気圧が高いため合金塊の表面部
分のSmが蒸発するので、前述の酸化と相俟って、合金
塊の表面部分におけるSmの組成が減少する。このた
め、余分のFeがα−Feとなって生成する。このα−
Feは磁気特性を低下させるので除去が必要であり、こ
れまでは合金塊の表面部分を削り取る等の作業を行なっ
ていたが、この作業は人手と時間とを要するので、効率
的な除去方法の開発が望まれている。
【0031】(3)の粗粉砕工程は、粉砕機を窒素ガス
雰囲気の中に入れて行なわれており、ゴム手袋を通して
の作業であるため作業能率が悪い。また、使用する窒素
ガス量が多く、磁石材料価格を押し上げる要因となって
おり、改良が望まれている。また、機械的粉砕は粉末の
表面に多くの欠陥や不純物を導くことになり、最終的な
磁気特性を劣化させる原因となる。
【0032】さらに、粗粉砕工程から次の窒化処理工程
に移すため、粗粉砕された粉末を一旦大気中に持ち出し
てから窒化処理炉に入れる際に、粉末を収納した炉の内
部を真空にすると共に200℃付近に昇温して粉末及び
炉内をベーキングし、粉末の表面や炉の内壁に付着して
いる酸素及び水の分子を除去する作業を行なう必要があ
る。
【0033】(4)の窒化処理工程においては、アンモ
ニアガスによる窒化は、ガスが有害であるという問題、
及び短時間で窒化できるが表面部分だけが過剰に窒化さ
れ易く磁気特性が低下し易いという問題があり、また、
窒素ガスによる窒化は過剰に窒化されることはないが窒
化に時間がかかるという問題がある。
【0034】(5)の微粉砕工程においては、ボールミ
ルでは50〜100時間という長時間を要するという問
題、ジェットミルでは窒素ガスの消費量が多いという問
題、アトライターでは時間は短くなるがそれでも最適条
件では3時間を必要とするという問題がある。
【0035】本発明は、前述した各問題に鑑み、各工程
を見直し、実用的な磁石粉末とするために、酸化の防
止、酸化物の除去及び処理の短時間化を図ることができ
る製造方法及び装置を提供することを目的とする。
【0036】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、請求項1の発明が講じた解決手段は、R2 17系合
金粉末の製造方法を、R(R:Sm又はSmの一部が1
種若しくは2種以上の希土類元素で置換された物質)と
T(T:Fe又はFeの一部が1種若しくは2種以上の
遷移元素で置換された物質)とを主成分とする鋳造塊
を、Th2 Zn17構造を持つR2 17が主として含まれ
る合金塊にする均一化熱処理工程と、70℃〜300℃
の温度範囲で且つ5kgf/cm2 以上の圧力の水素ガ
ス中で前記合金塊に水素を吸蔵させることにより主とし
て150μm以下の粒径のR2 17系合金粉末を得る粗
粉砕工程とを備えている構成とするものである。
【0037】請求項2の発明が講じた解決手段は、請求
項1の構成に、前記粗粉砕工程は、前記合金塊に水素を
吸蔵させる工程を1回のみ有しているという構成を付加
するものである。
【0038】請求項3の発明が講じた解決手段は、請求
項1又は2の構成に、前記粗粉砕工程は、前記合金塊に
水素を吸蔵させる工程よりも前に、前記均一化熱処理工
程が施された合金塊を割って新しい破面を露出させる工
程を有しているという構成を付加するものである。
【0039】請求項4の発明が講じた解決手段は、請求
項1〜3の構成に、前記粗粉砕工程は、前記主として1
50μm以下の粒径のR2 17系合金粉末を分級して1
50μm以下の粒径のR2 17系合金粉末のみを得る工
程を有しているという構成を付加するものである。
【0040】請求項5の発明が講じた解決手段は、R2
17系合金粉末の製造方法を、前記粗粉砕工程は、前記
均一化熱処理が施された合金塊を水素吸蔵をしない硬質
のボールと共に高圧容器内に収納する工程と、前記高圧
容器内において前記合金塊に水素を吸蔵させる工程と、
前記高圧容器を振動する工程とを有している構成とする
ものである。
【0041】請求項6の発明が講じた解決手段は、R2
17系磁石粉末の製造方法を、R(R:Sm又はS
mの一部が1種若しくは2種以上の希土類元素で置換さ
れた物質)とT(T:Fe又はFeの一部が1種若しく
は2種以上の遷移元素で置換された物質)とを主成分と
する鋳造塊を、Th2 Zn17構造を持つR2 17が主と
して含まれる合金塊にする均一化熱処理工程と、前記合
金塊を高圧容器に入れると共に前記高圧容器内の雰囲気
を水素ガス雰囲気に置換した後、70℃〜300℃の温
度範囲で且つ5kgf/cm2 以上の圧力の水素ガス中
で前記合金塊に水素を吸蔵させることにより、前記合金
塊を主として150μm以下の粒径のR2 17系合金粉
末にする粗粉砕工程と、前記高圧容器内を水素ガス雰囲
気から窒素ガス雰囲気にするガス置換工程と、ガス置換
が行なわれた前記高圧容器内において前記R2 17系合
金粉末を窒化して主として150μm以下のR2 17
系合金粉末を得る窒化処理工程と、前記R2 17
系合金粉末を微粉砕して3μm以下の粒径のR2 17
系磁石粉末を得る微粉砕工程とを備えている構成とす
るものである。
【0042】請求項7の発明が講じた解決手段は、請求
項6の構成に、前記粗粉砕工程は、前記合金塊に水素を
吸蔵させる工程よりも前に、前記均一化熱処理工程が施
された合金塊を割って新しい破面を露出させる工程を有
しているという構成を付加するものである。
【0043】請求項8の発明が講じた解決手段は、請求
項6又は7の構成に、前記窒化処理工程と前記微粉砕工
程との間に、前記主として150μm以下の粒径のR2
17系合金粉末を分級して150μm以下の粒径の
2 17系合金粉末のみを得る工程を備えていると
いう構成を付加するものである。
【0044】請求項9の発明が講じた解決手段は、請求
項6〜8の構成に、前記ガス置換工程は、350℃〜5
70℃の温度範囲で前記高圧容器内を10-4torr以
下に真空排気することにより前記R2 17系合金粉末か
ら水素を抜く工程と、前記窒化処理工程に適した温度範
囲で前記高圧容器内に窒素ガスを注入する工程とを有し
ているという構成を付加するものである。
【0045】請求項10の発明が講じた解決手段は、請
求項6〜9の構成に、前記窒化処理工程は、前記R2
17系合金粉末を560℃〜580℃の温度範囲で且つ5
0kgf/cm2 以上の圧力の窒素ガス中で4時間以上
保持することにより前記R217系合金粉末を窒化する
工程を有しているという構成を付加するものである。
【0046】請求項11の発明が講じた解決手段は、請
求項6〜9の構成に、前記窒化処理工程は、前記R2
17系合金粉末を、400℃〜500℃の温度範囲で且つ
大気圧から30kgf/cm2 の窒素ガス中で保持した
後、560℃〜620℃の温度範囲で且つ40kgf/
cm2 〜80kgf/cm2 の窒素ガス中で保持するこ
とにより、前記R2 17系合金粉末を窒化する工程を有
しているという構成を付加するものである。
【0047】請求項12の発明が講じた解決手段は、請
求項6〜11の構成に、前記粗粉砕工程は、前記均一化
熱処理工程が施された合金塊を水素吸蔵しない硬質のボ
ールと共に前記高圧容器内に収納する工程と、前記高圧
容器内において前記合金塊に水素を吸蔵させる工程とを
有し、前記窒化処理工程の後に、前記高圧容器を振動し
て前記R2 17系合金粉末を粉砕した後、分級して
150μmを超える粒径の粉末を除去することにより、
150μm以下の粒径のR2 17系磁石粉末を得る
工程を有しているという構成を付加するものである。
【0048】請求項13の発明が講じた解決手段は、R
2 17系磁石粉末の製造方法を、R(R:Sm又は
Smの一部が1種若しくは2種以上の希土類元素で置換
された物質)とT(T:Fe又はFeの一部が1種若し
くは2種以上の遷移元素で置換された物質)とを主成分
とする鋳造塊を、前記Rの蒸気圧及び前記Tの蒸気圧よ
りも大きい圧力の不活性ガス中において1010℃以上
で1280℃未満の温度範囲に加熱することにより、T
2 Zn17構造を持つR2 17が主として含まれる合金
塊を得る均一化熱処理工程と、加熱されている前記合金
塊を冷却する過程の350℃〜70℃の温度範囲におい
て前記合金塊に水素ガスを供給して水素吸蔵させること
により150μm以下の粒径のR2 17系合金粉末を得
る粗粉砕工程と、400℃〜620℃の温度範囲におい
て前記R2 17系合金粉末に窒素ガスを供給することに
より前記R2 17系合金粉末を窒化してR2 17
合金粉末を得る窒化処理工程と、前記R2 17系合
金粉末を微粉砕して3μm以下の粒径のR2 17
磁石粉末を得る微粉砕工程とを備えている構成とするも
のである。
【0049】請求項14の発明が講じた解決手段は、R
2 17系磁石粉末の製造方法を、R(R:Sm又は
Smの一部が1種若しくは2種以上の希土類元素で置換
された物質)とT(T:Fe又はFeの一部が1種若し
くは2種以上の遷移元素で置換された物質)とを主成分
とする、Th2 Zn17構造を持つR2 17が主として含
まれる合金塊を、水平に保持された高圧容器の内部にそ
の上側部分に空間部分が形成されるように収納する原料
収納工程と、前記高圧容器内に水素ガスを供給して前記
合金塊に水素を吸蔵させることにより、150μm以下
の粒径のR2 17系合金粉末を得る粗粉砕工程と、前記
高圧容器内の水素ガスを排出する水素ガス排出工程と、
前記高圧容器内に窒素ガスを供給して前記R2 17系合
金粉末を窒化することによりR2 17X 系合金粉末を
得る窒化処理工程と、前記R2 17X 系合金粉末を微
粉砕して3μm以下の粒径のR2 17系磁石粉末を
得る微粉砕工程とを備えている構成とするものである。
【0050】請求項15の発明が講じた解決手段は、R
2 17系磁石粉末の製造方法を、R(R:Sm又は
Smの一部が1種若しくは2種以上の希土類元素で置換
された物質)とT(T:Fe又はFeの一部が1種若し
くは2種以上の遷移元素で置換された物質)とを主成分
とする、Th2 Zn17構造を持つR2 17系合金粉末を
窒化してR2 17X 系合金粉末を得る窒化処理工程
と、前記R2 17X 系合金粉末を有機溶媒に混合懸濁
して混合懸濁液を得る懸濁工程と、前記混合懸濁液に高
圧を加えて前記混合懸濁液を2つに分岐された分岐通路
に導き、各分岐通路内の前記混合懸濁液同士を高速で衝
突させることにより、前記R2 17X 系合金粉末を微
粉砕して3μm以下の粒径のR2 17系磁石粉末を
得る微粉砕工程とを備えている構成とするものである。
【0051】請求項16の発明が講じた解決手段は、R
2 17系磁石粉末の製造方法を、R(R:Sm又は
Smの一部が1種若しくは2種以上の希土類元素で置換
された物質)とT(T:Fe又はFeの一部が1種若し
くは2種以上の遷移元素で置換された物質)とを主成分
とする、Th2 Zn17構造を持つR2 17系合金粉末を
窒化してR2 17X 系合金粉末を得る窒化処理工程
と、前記R2 17X 系合金粉末と、熱硬化性有機樹脂
及び潜在性硬化剤のうちの少なくとも1つとを有機溶媒
に混合懸濁して混合懸濁液を得る懸濁工程と、前記混合
懸濁液に高圧を加えて前記混合懸濁液を2つに分岐され
た分岐通路に導き、各分岐通路内の前記混合懸濁液を高
速で衝突させることにより前記R2 17X 系合金粉末
を微粉砕して3μm以下の粒径の微粉末を得る微粉砕工
程と、前記混合懸濁液から前記有機溶媒を除去して前記
微粉末の表面に熱硬化性有機樹脂及び潜在性硬化剤のう
ちの少なくとも1つが付着した3μm以下の粒径のR2
17系磁石粉末を得る有機溶媒除去工程とを備えて
いる構成とするものである。
【0052】請求項17の発明が講じた解決手段は、高
圧熱処理装置を、R(R:Sm又はSmの一部が1種若
しくは2種以上の希土類元素で置換された物質)とT
(T:Fe又はFeの一部が1種若しくは2種以上の遷
移元素で置換された物質)とを主成分とする、Th2
17構造を有するR2 17系合金粉末を収納する円筒状
の金属製の高圧容器と、前記高圧容器を水平状態で保持
して加熱する加熱炉とを備えている構成とするものであ
る。
【0053】請求項18の発明が講じた解決手段は、請
求項18の構成に、前記加熱炉が流動層炉であるという
構成を付加するものである。
【0054】
【作用】実験により、5kgf/cm2 以上の水素ガス
の圧力下における水素吸蔵温度の下限は約70℃であ
り、5kgf/cm2 以上の水素ガスの圧力下において
合金塊を水素吸蔵粉砕すると、粒径150μm以下の合
金粉末が90wt%以上得られ、水素ガス圧力を大きく
するにつれて細かい合金粉末が増加することを見出した
と共に、350℃以上の温度下では合金塊から水素ガス
の放出が行われる。従って、請求項1のように70℃〜
300℃の温度範囲における5kgf/cm2 以上の圧
力の水素ガス中においてR2 17を主とする合金塊に水
素吸蔵させると、150μm以下の粒径のR2 17系合
金粉末が確実に得られる。
【0055】請求項2の構成により、均一化熱処理工程
を経た合金塊に水素ガス中において水素吸蔵させる処理
を1回のみ行なうだけで、150μm以下の粒径のR2
17系合金粉末が確実に得られる。従来の技術では、水
素吸蔵と水素放出とを何回も繰り返し行なうことによっ
て粉末化しているが、本発明においては、請求項1の条
件下で水素吸蔵粉砕を行なうので、1回の水素吸蔵によ
って150μm以下の粒径のR2 17系合金粉末が確実
に得られる。
【0056】請求項3の構成により、均一化熱処理工程
を経た合金塊を水素吸蔵処理の前に割って新しい破面を
露出させることにより、均一化熱処理工程を経た合金塊
の表面部分に生成しているα−Feの被膜が破れ、R2
17の面が水素ガスに直接触れるため、水素がより吸蔵
され易くなって合金塊が粉末化し易くなる。
【0057】請求項4の構成により、溶解鋳造工程及び
均一化熱処理工程において合金塊の表面部分に生成する
α−Feの被膜が分級により除去される。α−Feは水
素吸蔵粉砕されることがないために薄い被膜の形態で残
り、150μm以下の粒径の合金粉末のなかにはα−F
e被膜は含まれない。従って、得られる粉末は大部分が
2 17系合金粉末となる。
【0058】溶解鋳造工程及び均一化熱処理工程におい
て合金塊の表面部分に生成するα−Feの被膜には、水
素吸蔵粉砕の後に多くのR2 17系合金が付着している
が、請求項5の構成により、硬質のボールを収納した高
圧容器に振動を与えることにより、R2 17系合金が付
着しているα−Feの被膜は硬質ボールと高圧容器の内
壁とに衝突するため、α−Fe被膜とR2 17系合金と
を分離することができ、これにより、150μm以下の
粒径のR2 17系合金粉末の収率を上げることができ
る。
【0059】請求項6の構成により、酸化し易いR2
17系合金粉末及びR2 17系合金粉末を高圧容器内
において粗粉砕工程から窒化処理工程まで大気に触れさ
せることなく処理できるので、R2 17系合金粉末及び
2 17系合金粉末が酸化する事態を避けられる。
【0060】請求項7の構成により、均一化熱処理工程
を経た合金塊を水素吸蔵処理の前に割って新しい破面を
露出させて高圧容器に入れるため、均一化熱処理工程を
経た合金塊の表面部分に生成しているα−Feの被膜が
破れ、R2 17の面が水素ガスに直接に触れるので、水
素がより吸蔵され易くなって合金塊が粉末化し易くな
る。
【0061】請求項8の構成により、溶解鋳造工程及び
均一化熱処理工程において合金塊表面部分に生成するα
−Feの被膜が分級により除去される。α−Feは水素
吸蔵粉砕されることがなく、引き続いて施される窒化処
理においても変化しないため、150μmを超える薄い
被膜の形態で残り、150μm以下の粒径の合金粉末の
なかにはα−Fe被膜は含まれない。従って、得られる
粉末は大部分がR2 17系磁石粉末となる。
【0062】請求項9の構成により、有毒なアンモニア
ガスの生成を抑えることができる。これは、粗粉砕工程
において粉末化したR2 17系合金粉末には水素が吸蔵
されており、このままで窒化処理を行なうと、窒化処理
時に有毒なアンモニアガスが生成する。ところが、ガス
置換工程において、水素ガス放出温度範囲の350℃〜
570℃で高圧容器内を10-4torr以下にまで真空
排気するので、ほぼ完全に水素ガスを合金粉末から抜く
ことができる。
【0063】請求項10の構成により、R2 17系合金
粉末を50kgf/cm2 以上の窒素ガス中において窒
化するため、反応熱が良く伝達されるので、高温の窒化
処理ができる。このため、窒素の拡散速度の速い560
℃〜580℃という高温度において窒化処理を行なうこ
とができ、窒化時間の短縮を図ることができる。
【0064】請求項11の構成により、R2 17系合金
粉末を400℃〜500℃の温度範囲つまり低温度領域
における大気圧から30kgf/cm2 の窒素ガス中に
おいて保持すると、窒化反応はゆっくりと起きるため、
反応し易い粒子の表面部分だけの反応が起き、その後、
560℃〜620℃の温度範囲つまり高温度領域におけ
る40kgf/cm2 〜80kgf/cm2 の窒素ガス
中において保持すると、粒子内部への窒素の拡散及び粒
子内部での窒化反応が促進される。低温度領域における
低圧ガス窒化と高温度領域における高圧ガス窒化との組
み合せにより、窒化処理時間の一層の短縮を図ることが
できる。
【0065】請求項12の構成により、150μm以下
のR2 17系合金粉末の収率を上げることができ
る。すなわち、溶解鋳造工程及び均一化熱処理工程にお
いて合金塊表面部分にはα−Feの被膜が生成され、こ
のα−Fe被膜には水素吸蔵粉砕の後に多くのR2 17
系合金部分が付着している。このR2 17系合金部分は
窒化処理によってR2 17系合金になる。高圧容器
に振動を与えることにより、R2 17系合金が付着
しているα−Fe被膜を硬質ボールと高圧容器の内壁と
に衝突させるため、α−Fe被膜とR2 17系合金
部分とを分離することができので、150μm以下のR
2 17系合金粉末の収率を上げることができる。
【0066】請求項13の構成により、RとTとを主成
分とする鋳造塊をRの蒸気圧及びTの蒸気圧よりも大き
い圧力の不活性ガス中において加熱してR2 17を主と
する合金塊を得るため、合金塊の表面部からSmが蒸気
となって逃げない。また、均一化熱処理工程において加
熱された合金塊を冷却する過程の350℃〜70℃の温
度範囲において前記合金塊を水素吸蔵粉砕するので、水
素吸蔵粉砕のために合金塊を加熱する工程が不要にな
る。
【0067】請求項14の構成により、R2 17系合金
粉末を高圧容器の内部にその上側部分に空間部分が形成
されるように収納するため、高圧容器内に水素ガスや窒
素ガスを供給する際、これらのガスが前記空間部分を流
通して合金粉末の全体に亘って水素吸蔵又は窒化が行な
われると共に、水素ガスを排出して脱水素する際にも水
素ガスが前記空間部分を流通するので脱水素がスムーズ
に行なわれる。また、ガス排出口から遠い位置の水素ガ
ス又は窒素ガスを排出する際に、ガス排出口の近くの粉
末が排出されるガスに巻き込まれることがない。さら
に、R2 17系合金粉末を水素ガスにより水素吸蔵粉砕
する粗粉砕工程と、R2 17系合金粉末を窒素ガスによ
り窒化する窒化処理工程とが同一の高圧容器内で行われ
るので、粗粉砕工程と窒化処理工程との間において合金
粉末が酸化される事態が避けられる。
【0068】請求項15の構成により、窒化されたR2
17X 系の合金粉末を有機溶媒に混合懸濁して得た混
合懸濁液に高圧を加えて前記混合懸濁液を2つに分岐さ
れた分岐通路に導き、各分岐通路内の混合懸濁液同士を
高速で衝突させることにより前記窒化合金粉末を微粉砕
するため、前記窒化合金粉末は瞬間に粉砕されるので、
磁化特性の劣化が少なくなると共に粉砕に要する時間が
短縮でき、また有機溶媒を再利用することができる。
【0069】請求項16の構成により、R2 17X
合金粉末と熱硬化性有機樹脂及び潜在性硬化剤のうちの
少なくとも1つとを有機溶媒に混合懸濁して得た混合懸
濁液に高圧を加えて前記混合懸濁液を2つに分岐された
分岐通路に導き、各分岐通路内の混合懸濁液を高速で衝
突させることにより前記窒化合金粉末を微粉砕するた
め、請求項15と同様に、磁化特性の劣化が少なくな
り、粉砕に要する時間を短縮でき、有機溶媒を再利用す
ることができる。また、混合懸濁液から有機溶媒を除去
することにより、窒化合金粉末の表面に熱硬化性有機樹
脂及び潜在性硬化剤のうちの少なくとも1つが付着した
状態となり、微粉砕工程にボンド磁石化の工程の一部を
含ませることができる。
【0070】請求項17の構成により、R2 17系合金
粉末を収納する高圧容器は円筒状の金属製であるため、
昇温及び冷却の速度が速くなる。また、高圧容器は円筒
状であると共にこの高圧容器を水平状態で保持して加熱
する加熱炉を備えているため、合金粉末を高圧容器の内
部における上側部分に空間部に形成されるように収納で
きるので、請求項14の発明に係わる合金粉末の製造方
法に適している。
【0071】請求項18の構成により、加熱炉が流動層
炉であるために、高圧容器を高速昇温することができる
と共に均一温度分布にすることができる。また、複数の
温度条件で処理する際に、複数の高圧容器と複数の流動
層炉を用いると、それぞれの温度条件における加熱処理
はバッチ処理になるが、複数の高圧容器を各流動層炉に
連続的に移動することにより、大量の合金粉末の処理が
可能になる。
【0072】
【実施例】以下、本発明の実施例について順次詳細に説
明する。
【0073】I.粗粉砕工程について 前述したように、R2 17系合金(但し、RはSm又は
Smの一部が1種若しくは2種以上の希土類元素で置換
された物質であり、TはFe又はFeの一部が1種若し
くは2種以上の遷移元素で置換された物質である。)の
粗粉砕工程は、次に行なわれる窒化工程が短時間に行な
われ且つ均一な窒化が行なわれるように、合金塊を15
0μm以下の粒径の粉末に粉砕する工程である。この粗
粉砕工程で作る粉末の粒径を150μm以下と定めた理
由は、後で詳細に説明するが、本発明の窒化処理工程
が、水素吸蔵粉砕の後に又は水素吸蔵粉砕された合金粉
末を脱水素した後に、高圧の窒素ガス中で行なわれるも
のであるので、従来の粗粉砕処理のように粉末の粒径を
50μm以下とか又は20μmとか言うような小さな粒
径にする必要は無く、150μmの粒径の粉末に対して
も短時間で且つ均一に窒化が行なわれるためである。ま
た、これまでに機械的な粉砕方法は種々検討されてきた
が、酸化防止の問題及び結晶欠陥や不純物などの問題が
多い上に、粉砕を窒素のグローブボックス中で行なうた
め窒素ガスの費用がかかり、コストの面でも問題があ
る。
【0074】これに対して、本件発明者らは、水素吸蔵
による粗粉砕について検討し、従来、Sm2 Fe17より
なる合金は水素吸蔵粉砕による粗粉砕処理ができないと
言われていたが、水素ガス圧を高圧にすることにより水
素吸蔵による粗粉砕処理が可能になることを見出したの
である。
【0075】(実施例1)まず、均一化熱処理された塊
状のSm2 Fe17系母合金を割って2mm〜8mmの大
きさの合金塊を準備した。合金塊の大きさを2mm〜8
mmとした理由は用いた高圧容器の入口が小さいためで
あり、前記の大きさに限定されるものではない。この合
金塊の一部は乳鉢に入れ、すべてが45μmのフルイを
通るまで粉砕し、粉砕により得られた粉末についてX線
回折及び熱磁気分析を行ない、Sm2 Fe17が大部分で
あることを確かめた。また、SmFe3 及びα−Feが
僅かに含まれていることも分かった。
【0076】前記の合金塊の一部を組成分析したとこ
ろ、Smは25.3重量%(wt%)であり、ストイキ
オメトリのSm2 Fe17の組成である24.05wt%
よりも僅かにSmが多い組成となっていた。これに加
え、X線回折、熱磁気分析及び金属顕微鏡の組織観察の
結果から判断すると、均一化熱処理された塊状のSm2
Fe17系母合金は、極めて僅かではあるが部分的に微小
なSmFe3 が析出していると考えられる。
【0077】次に、内容積が140ccの高圧容器に、
粒径2mm〜8mmのSm2 Fe17系合金の粒子10g
を入れ、高圧容器内の雰囲気を水素雰囲気に置換した
後、室温で水素の圧力を15kgf/cm2 に合わせて
高圧容器を密閉し、その後、前記高圧容器を90℃の一
定温度にした熱処理炉に挿入し、高圧容器の温度と高圧
容器内の水素圧力とを測定した。約70℃付近から水素
圧力が低下し始め、約2時間で水素圧力の低下は終了
し、水素吸蔵がほぼ終わったことを確認した。
【0078】次に、高圧容器を熱処理炉から取り出し、
室温まで冷却した。その後、高圧容器を開いてSm2
17系合金を取り出し、150μmのフルイで分級した
ところ、水素吸蔵処理前には粒径2mm以上の粒子であ
ったものが、そのうちの90wt%以上のものが粒径1
50μm以下の粉末になっており、水素吸蔵粉砕された
ことがわかった。
【0079】同様の実験を、熱処理温度(熱処理炉の一
定温度)と水素圧力(室温での初期圧力)とを変えて行
なった。その結果得られた、熱処理温度(熱処理炉の一
定温度)及び水素圧力(室温での初期圧力)と、粉末の
粒度分布との関係を図1及び図2に示す。
【0080】水素吸蔵温度については、大気圧において
は既に論文で明らかにされているように、Sm2 Fe17
は250℃、SmFe3 は200℃であるが、水素圧力
が上がると水素吸蔵温度は低下することが今回の実験で
分かった。また、今回の実験では、5kgf/cm2
上の水素ガス圧力では水素吸蔵温度の下限は約70℃に
あった。また、水素ガス圧力を上げていくと、だんだん
と細かい粉末が増していき、水素ガス圧力を5kgf/
cm2 以上にすれば、窒化処理を行なうのに必要な15
0μm以下の粉末が90wt%以上になることが明かと
なった。
【0081】以上のことから、70℃以上という室温に
近い低い温度で、水素圧力を5kgf/cm2 以上にし
て水素吸蔵することにより、150μm以下の粉末が9
0wt%以上含まれる程度に粉末化できることが明らか
になった。この合金塊は前述のように、SmFe3 が少
量含まれてはいるが、本実施例の水素吸蔵処理は、Sm
Fe3 の水素吸蔵温度である200℃よりも大幅に低い
70℃から90℃で行なわれるものであり、従来から明
らかになっている大気圧下での水素吸蔵粉砕とは異なる
ものである。
【0082】水素吸蔵温度の上限については、Sm2
17は大気圧下において250℃で急峻な水素吸蔵をす
ることが既に明らかにされており、また350℃を越え
ると水素の放出が始まる。このため、水素吸蔵がうまく
行われる上限の温度はおおよそ300℃である。危険度
の高い高圧の水素ガスを扱う粗粉砕工程は、安全性の確
保からできるだけ低い温度が好ましい。また、水素ガス
の圧力については、高ければ高いほど水素吸蔵が進むの
で好ましいが,これまでの実験では、使用する高圧容器
の耐圧性から80kgf/cm2 が上限である。
【0083】(実施例2)Sm−Fe系の溶解鋳造塊に
対して、雰囲気ガスとして99.999%のアルゴンガ
スを用いて、均一化熱処理を1100℃にて12hr行
なった。この均一化熱処理済みの合金塊を割って小塊に
し、その1個を乳鉢に入れ、すべてが45μmのフルイ
を通るまで粉砕した。粉砕された粉末についてX線回
折、組成分析及び熱磁気分析を行ない、Sm2 Fe17
大部分であることを確かめた。また合金塊にα−Feが
少量含まれていることも分かった。合金塊に対する組成
分析の結果、Smの組成は23.8wt%であり、Sm
2 Fe17の組成である24.05wt%に比べて、Sm
の組成は少なかった。
【0084】均一化熱処理済みの前述のSm2 Fe17
合金の小塊をさらに小さく割って、新しい破面が出た2
mm〜8mmの粒子にし、この粒子10gを内容積が1
40ccの高圧容器に入れ、高圧容器内の雰囲気を水素
で置換した後、室温で水素の圧力を0kgf/cm
2 (大気圧)に合わせて高圧容器を密閉した。その後、
高圧容器を熱処理炉に挿入し、昇温速度を5℃/分で室
温から高圧容器の温度を上げ、高圧容器の温度と高圧容
器内の水素圧力とを測定した。約250℃付近から水素
圧力が低下し始め、270℃でほぼ水素圧力の低下は終
了し、水素吸蔵はほぼ終わった。水素圧力が低下し始め
たとき、すなわち水素吸蔵が始まったときの水素圧力
は、高圧容器の温度が上がっているため水素ガスが膨脹
しているので、0.4kgf/cm2 であった。さらに
350℃まで昇温した後、高圧容器を熱処理炉から取り
出して室温まで冷却した。この室温での水素圧力は−
0.5kgf/cm2 となっていて、まだ少量の水素ガ
スが残っていた。その後、高圧容器を開けてSm2 Fe
17系合金を取り出したところ、粉砕はされていたが大き
な粒子が多かった。これらの粒子を150、100、4
5μmのフルイで分級した。同じ実験を水素圧力を1、
5、10、30kgf/cm2 と変えて行なった。その
結果を図3に示す。図3は、水素吸蔵開始圧力と粉末の
粒度分布との関係を示すものである。
【0085】水素圧力を上げていくと、細かい粒子が増
加していき、5kgf/cm2 以上にすれば窒化処理に
適した150μm以下の粉末が90wt%以上になるこ
とが明らかである。また、水素吸蔵温度は大気圧では、
既に前述した論文で明らかにされているように250℃
付近であるが、水素圧力を上げていくと水素吸蔵の開始
温度は低下する。室温から昇温していく方法では、水素
吸蔵の開始温度は、昇温速度によって変わり、水素圧力
が5kgf/cm2 の場合、昇温速度が5℃/分では1
50℃付近にある。昇温速度を下げると(ゆっくり昇温
すると)、水素吸蔵の開始温度の下限は70℃付近であ
る。
【0086】(実施例3)Sm−Fe系の溶解鋳造塊を
切断して、約8mm角の断面を有する直方体を多数個作
り、雰囲気ガスとして99.999%のアルゴンガスを
用いて、均一化熱処理を1100℃の温度にて12hr
行なった。均一化熱処理済みの小合金塊の1個を乳鉢に
入れ、すべてが45μmのフルイを通るまで粉砕し、こ
の粉末についてX線回折、組成分析及び熱磁気分析を行
ない、Sm2 Fe17が大部分であるであることを確かめ
た。またα−Feが少量含まれていることが分かった。
組成分析の結果、Smの組成は22.8wt%であり、
Sm2 Fe17の組成である24.05wt%に比べてS
mの組成は少なかった。合金塊の表面部分はα−Feの
薄い層に覆われており、このα−Feの層の厚さは厚い
部分でおおよそ100μm〜200μmであった。これ
は、均一化熱処理時にSmが蒸発したためと、酸化によ
ってSmが優先的に酸化物となり、合金の表面部分では
Smが不足して余剰のFeがα−Feとなったと思われ
る。
【0087】均一化熱処理済みの前述のSm2 Fe17
合金からなる直方体の1個を小さく割って、新しい破面
が出た2mm〜8mmの粒子にし、この粒子10gを内
容積が140ccの高圧容器に入れ、高圧容器内の雰囲
気を水素で置換した後、室温で水素の圧力を10kgf
/cm2 に合わせて高圧容器を密閉した。その後、前記
高圧容器を150℃の一定温度にした熱処理炉に挿入
し、高圧容器の温度と高圧容器内の水素圧力とを測定し
た。約100℃付近から水素圧力は低下を始め、約1時
間で水素圧力の低下は終了し、水素吸蔵はほぼ終わっ
た。
【0088】次に、高圧容器を熱処理炉から取り出し、
室温まで冷却した。その後、高圧容器を開いてSm2
17系合金を取り出し、150μmのフルイで分級した
ところ、処理前には粒径2mm以上の粒子であったもの
が、そのうちの90wt%以上のものが粒径150μm
以下の粉末になっていて、水素吸蔵粉砕されたことがわ
かった。
【0089】次に、前記と同様の水素吸蔵の実験を行な
い、水素吸蔵が終わったところで、水素を抜き、更に真
空排気装置で高圧容器内の水素ガスを排気しつつ、高圧
容器をもう一台の400℃の一定温度にしてあった熱処
理炉に挿入し、高圧容器の温度を上げて400℃にして
高圧容器内を10-4torrまで引き切った。これで吸
蔵された水素を抜くことができた。その後、熱処理炉か
ら高圧容器を取り出して冷却し、再度150℃の熱処理
炉に挿入し、水素ガスを注入して水素圧力を10kgf
/cm2 に合わせて高圧容器を密閉して水素吸蔵を再度
行なった。このような水素吸蔵と脱水素とを4回づつ行
ない、最後に室温に冷却して、高圧容器を開いてSm2
Fe17系合金を取り出した。このSm2 Fe17系合金を
150μmのフルイで分級したところ、回収した試料の
うち150μm以下の粉末は92wt%であった。水素
吸蔵と脱水素とのサイクルを複数回繰り返しても、水素
吸蔵が1回の場合の91wt%と比べて、粉砕された粉
末の粒度分布には影響は少なかった。1回の水素吸蔵に
よって水素吸蔵粉砕は充分行なわれることを確認でき
た。
【0090】(実施例4)実施例3において作成した、
均一化熱処理済みのSm2 Fe17系合金の約8mm角の
断面を有した直方体の1個を、内容積が140ccの高
圧容器に入れ、高圧容器内の雰囲気を水素で置換した
後、室温で水素の圧力を8kgf/cm2 に合わせて高
圧容器を密閉し、その後、高圧容器を110℃の一定温
度にした熱処理炉に挿入して水素吸蔵粉砕をした。水素
圧力の低下が終わり水素吸蔵の終わったことを確認して
から、高圧容器を熱処理炉から出して室温まで冷却し、
高圧容器を開いてSm2 Fe17系合金を取り出した。S
2 Fe17系合金の直方体は、入れたままの形状を保っ
ており、粉末にはなっていなかった。しかしながら、少
し衝撃を与えたところ、直方体は簡単に壊れ、表面の薄
い皮により形状を保っていたことが明らかになった。こ
の表面の薄い皮は分析したところα−Feであって、均
一化熱処理時に生成したものであることが判明した。
【0091】この事実に鑑み、同じロット試料である均
一化熱処理済みのSm2 Fe17系合金の直方体の1個を
割って3〜4個にの小塊にし、前記と同じ水素吸蔵粉砕
を行なった。水素圧力の低下が終わり水素吸蔵が飽和に
達したことを確認してから、高圧容器を熱処理炉から出
して室温まで冷却し、高圧容器を開いてSm2 Fe17
合金を取り出した。この合金の小塊は粉末になってお
り、150μmのフルイで分級したところ、回収した試
料のうち150μm以下の粉末は91wt%であった。
フルイの上に残った150μm以上の粉末は、合金表面
の薄い皮状のα−Feの部分であって、Sm2 Fe17
付着していた。
【0092】このことから、これまでの実験で残されて
いた150μm以上の粉末を調べたところ、すべてが合
金表面の薄い皮状のα−Feの部分であり、Sm2 Fe
17が付着していた。すなわち、α−Feは水素吸蔵しな
いので水素吸蔵による結晶格子の膨脹もなく、これに伴
う崩壊粉砕も起こらない。このため、合金の表面部分に
生成された皮状のα−Feはその状態で残る。この皮状
のα−Feの厚さは、本実施例では厚い部分でおおよそ
100μm〜200μmであったが、皮状のα−Feの
厚さは、均一化熱処理時の雰囲気中の酸素量や均一化熱
処理の時間又は温度により異なる、つまり酸化やSmの
蒸発量の程度によって異なるものと思われる。皮状のα
−Feの厚さが150μm以下であっても、その幅はず
っと大きくて1〜2mm程度であるため、150μmの
フルイで確実に分別され、Sm2Fe17と別にすること
ができる。
【0093】以上説明したように、水素吸蔵粉砕によっ
て合金の表面部分に生成していたα−Feは、水素吸蔵
粉砕の後に150μmのフルイで分級され、簡単に除去
することができ、均一化熱処理後の合金の表面のα−F
eに対する手間のかかる削り取りなどの作業を省略する
ことができる。また、得られた150μm以下の粉末
に、合金表面部分に生成したα−Feが含まれることな
く、150μm以下の粉末をきれいなSm2 Fe17だけ
にすることができるので、窒化後の磁気特性を高いもの
にすることができる。
【0094】(実施例5)実施例3において作成した、
均一化熱処理済みのSm2 Fe17系合金よりなる約8m
m角の断面を有した直方体の1個を、3〜4個の小塊に
割り、直径が5mmのジルコニアよりなる6個のボール
と共に、内容積が140ccの高圧容器に入れ、高圧容
器内の雰囲気を水素で置換した後、室温で水素の圧力を
12kgf/cm2 に合わせて高圧容器を密閉し、その
後、高圧容器を140℃の一定温度にした熱処理炉に挿
入して水素吸蔵粉砕を行なった。水素圧力の低下が終り
水素吸蔵の終わったことを確認してから、高圧容器を熱
処理炉から出して室温まで冷却し、その後、高圧容器を
シェーカにかけて軽く振動した後、高圧容器を開いてS
2 Fe17系合金及びジルコニアボールを取り出した。
Sm2 Fe17系合金は粉末化しており、150μmのフ
ルイで分級し、秤量したところ、回収した合金粉末試料
のうち150μm以下の粉末は95wt%であった。フ
ルイの上に残った150μm以上の物は、合金の表面に
生成した薄皮のα−Feの部分であり、Sm2 Fe17
付着は少なかった。
【0095】以上説明したように、水素吸蔵を起こさな
い硬質のボールをSm2 Fe17系合金の小塊と一緒に高
圧容器に入れて、水素吸蔵の際に合金に振動を加えるこ
とにより、合金の表面に生成した薄皮のα−Feから付
着しているSm2 Fe17を外すことができ、Sm2 Fe
17の回収量を増やすことができる。
【0096】II.高圧容器内における連続処理につい
て、 従来は、Sm2 Fe17粉末を粗粉砕工程から窒化処理工
程に移すために、一旦粗粉砕装置から粉末を出し、窒化
処理工程で用いる熱処理炉又は容器に入れ直していた。
この際に、Sm2 Fe17粉末が大気に触れ、粉末の表面
に酸素や水の分子が吸着し、この酸素や水が窒化処理工
程において粉末を酸化させる原因となっていた。
【0097】本発明では、粗粉砕工程から窒化処理工程
までを同じ高圧容器内で行なうことにより、酸化を大幅
に抑制できることができるようにした。以下、詳細に説
明する。
【0098】(実施例6)電解鉄とSmメタルとを所定
の量だけ秤量した後、電解鉄をアルミナ製のルツボに入
れて高周波誘導加熱溶解炉でアルゴンガス中にて溶解
し、そこにSmメタルを投入して短時間のうちにSm−
Feの溶湯にして鉄製の鋳型により鋳造した。その後、
鋳造塊を冷却して室温近くになったところで溶解炉から
取り出した。このSm−Feの鋳造塊を熱処理炉に入
れ、炉内雰囲気を99.999%のアルゴンガスで置換
し、昇温して1100℃の温度下で12hr保持して均
一化熱処理を行なった。均一化熱処理済みの合金塊を割
って小塊にし、その1個をすべてが45μmのフルイを
通るまで粉砕した。粉砕された粉末についてX線回折及
び熱磁気分析を行ない、Sm2 Fe17が大部分であるこ
とを確かめた。またα−Feが少量含まれていることが
分かった。
【0099】前記の均一化熱処理済みの合金塊を割って
得た小塊を高圧容器に入れ、高圧容器内を拡散ポンプ付
きの真空排気装置により排気しながら熱処理炉に挿入
し、熱処理炉の炉内圧力を10-5torrにした。次に
高圧容器内に99.9999%の水素ガスを注入して2
0kgf/cm2 の圧力にして高圧容器を密閉した。水
素ガス圧力は、数分のうちにつまり炉内の温度が180
℃に達したあたりで、圧力の低下が終り、その後、昇温
によるガス膨張により水素ガス圧力は上昇した。炉内の
温度が300℃に達したあたりで水素ガスを抜き、水素
ガス圧力を約1kgf/cm2 にした。これは、合金塊
を粉末化するのが目的であり、300℃から570℃は
水素の放出の温度領域と言われているので、危険な水素
ガスを少量にしておくためである。
【0100】炉内温度が470℃に達してから10分間
保持して高圧容器内が470℃の均一温度になるように
した。水素ガス圧力を再度約1kgf/cm2 にした
後、高圧容器内に99.9999%の窒素ガスを注入
し、窒素ガス圧力を50kgf/cm2 にして高圧容器
を密閉した。この状態で3日間保持してSm2 Fe17
窒化した。
【0101】次に、高圧容器を熱処理炉から取り出し冷
却した。高圧容器が室温付近になったところで窒素ガス
を抜き、高圧容器内の圧力を1kgf/cm2 にし、密
閉したままで、装置から高圧容器だけを外した。その
後、高圧容器を窒素ガス置換されているグローブボック
スに入れてこの高圧容器を開け、合金の小塊を取り出し
た。合金の小塊は粉末になっており、150μmのフル
イで分級したところ、150μm以下の粉末は回収粉末
の91wt%であった。この150μm以下の粉末につ
いて、X線回析、組成分析及び熱磁気分析を行ない、S
2 Fe17x (xは3の近傍である)が大部分である
ことを確かめた。また、α−Feも少量含まれているこ
とが分かったが、α−Feの量は磁気特性に影響する程
度ではなかった。また、組成分析の結果、Smの組成は
23.1wt%であり、Sm2 Fe173 の理論組成で
ある23.27wt%に比べて、Smの組成は少なかっ
た。また、磁気特性を振動試料磁力計(VSM)で調べ
たところ、15kOeの磁場における磁化σg は153
emu/gであって優れた値であった。尚、σg は1g
当たりの磁化の大きさを示している。
【0102】前記の150μm以下のSm2 Fe173
粉末をボールミルで50hrかけてゆっくりと微粉砕し
て1〜2μmの粒径にした。微粉砕された粉末をVSM
により磁気特性を測定したところ、磁化:4πI15K
12.5kG(σg15K=127.5emu/g)、残留
磁化:Br=12.0kG、保磁力:I C =11.0
kOeであり、ボンド磁石用の磁石粉末として実用性の
あるものであった。尚、4πIは1cc当たりの磁化の
大きさを示している。
【0103】以上の実験から分かるように、酸化し易い
Sm2 Fe17合金の小塊を高圧容器内において粗粉砕工
程から窒化工程まで行なうことにより、Sm2 Fe17
末を大気に晒すことなく処理でき、これにより、酸化を
防止でき、優れた磁気特性を有する磁石粉末とすること
ができる。
【0104】(実施例7)Sm−Feの溶解鋳造塊を切
断して、約8mm角の断面を有した直方体を多数個作
り、99.999%のアルゴンガスを用いて置換した雰
囲気中で、均一化熱処理を1100℃の温度にて12h
r行なった。この均一化熱処理済みの直方体の1個を高
圧容器に入れ、その後、実施例6と同様に粗粉砕工程か
ら窒化工程までを行なった。窒化処理後、直方体をグロ
ーブボックス中で高圧容器から取り出したところ直方体
の形状を保っていた。もっとも少しの衝撃で粉末化した
が、表面部分に皮状の膜があり、この皮状の膜が直方体
の形状を保っていた。
【0105】一方、同じロットの均一化熱処理済みの直
方体から1個を取り出し、この直方体を4〜5個の小塊
に割り、新しい破面を出した。新しい破面を出した小塊
を高圧容器に入れ、その後、実施例6と同様に粗粉砕工
程から窒化工程までを行なった。窒化処理後、直方体を
グローブボックス中で高圧容器から取り出したところ、
こちらは実施例6と同様に粉末化していた。
【0106】以上の実験から、均一化熱処理時に注意し
て均一化熱処理を行なっても、1100℃という高温処
理のためと熱処理時間が12hrと長いため、合金塊の
表面部分のSmが蒸発し、同時に僅かに混入している酸
素がSmと反応して酸化物になる。このために、合金塊
の表面部分ではSmが不足し、余剰のFeがα−Feと
なり合金塊の表面を皮状に覆って水素吸蔵粉砕を妨げて
いる。水素吸蔵粉砕をうまく行なうには、皮状のα−F
eを破って新しい破面を出しておけば、水素吸蔵時には
新しい破面部分から崩壊粉砕が起こり、粉末化できるこ
とが分かる。
【0107】(実施例8)実施例7において作成した、
均一化熱処理済みの約8mm角の断面を有する1個の直
方体を割って新しい破面を出してから高圧容器に入れ、
その後、実施例6と同様に粗粉砕工程から窒化処理工程
までの処理を行なった。窒化処理工程が終わると、グロ
ーブボックス中で高圧容器を開け、粉末となった合金を
取り出した。この状態の粉末と、150μmのフルイで
分級してフルイを通過した150μm以下の粉末とから
なる2種類の粉末を、それぞれ別々に次の微粉砕工程に
かけて微粉砕した。
【0108】得られた微粉砕粉末を調べたところ、分級
せずにそのまま微粉砕工程にかけた方は、微粉砕されず
に大きな粉末が残っており、細かい粉末との混合であっ
て、このため、磁気特性については保磁力が小さく、磁
化のBrについては角型性(rectangulari
ty in hysteresis loop)が悪か
った。一方、150μm以下の粉末だけを微粉砕工程に
かけた方は、微粉砕粉末になっており、その磁気特性は
実施例6とほぼ同等であった。
【0109】以上の実験から、窒化処理工程を経て得ら
れた粉末を、150μmのフルイで分級して、フルイを
通過した150μm以下の粉末だけにすることにより、
均一化熱処理工程で生成する合金表面部分の皮状のα−
Feを除去することができ、これによって、次の微粉砕
工程がうまく行なわれ、磁気特性の優れたSm2 Fe17
x の磁石粉末を得られることが分かる。
【0110】(実施例9)実施例6で作成した均一化熱
処理済みの合金塊を割って得た小塊を高圧容器に入れ、
その後、実施例6と同様に粗粉砕工程を施した。水素ガ
ス圧力が低下し終り、昇温によるガス膨張により水素ガ
ス圧力が上がり出したことによって、水素吸蔵が終った
ことを確認した。炉内の温度が300℃に達したあたり
で、水素ガスを抜き、さらに真空排気を行なった。炉内
温度が470℃に達してから10分間保持して高圧容器
内が470℃の均一温度になるようにした。高圧容器内
の真空度は10-4torrを超えて10-5torr台に
達したところで、Sm2 Fe17合金内に吸蔵されていた
水素はほぼ抜け出たと思われる。次に、高圧容器内に9
9.9999%の窒素ガスを注入し、窒素ガス圧力を5
0kgf/cm2 にして高圧容器を密閉した。この状態
で3日保持してSm2 Fe17を窒化した。
【0111】高圧容器を熱処理炉から取り出した後、室
温付近まで冷却し、窒素ガスを抜いて約1kgf/cm
2 にまで減らした。このとき室内に放出された窒素ガス
は、実施例6ではアンモニアの刺激臭がしたが、本実施
例では殆ど無臭であった。実施例6では水素ガスを窒素
ガスと完全に置換せず、水素ガスを約1kgf/cm2
の圧力まで減らしてその上に窒素ガスを供給したので、
合金粉末内にもまだ少量の水素が吸蔵されたままである
と考えられる。このため、実施例6では、窒化処理工程
において、残留の水素ガスがFeを触媒にして窒素ガス
と反応しアンモニアになるものがあったと考えられる。
本実施例では水素放出する温度領域である300℃から
570℃の温度範囲で水素ガスを真空排気装置により引
き切ったので、合金中には水素は含まれていないと推定
される。そのため、水素ガスと窒素ガスとの反応はな
く、有毒なアンモニアが生成されなかったと考えられ
る。
【0112】窒素ガス圧力を扱い易い約1kgf/cm
2 にまで減らして、高圧容器を窒素置換したグローブボ
ックスの中に入れて高圧容器を開け、合金の小塊を取り
出した。合金の小塊は粉末になっており、150μmの
フルイで分級したところ、150μm以下の粉末は回収
粉末の91%であった。この150μm以下の粉末につ
いて、X線回折、組成分析及び熱磁気分析を行なった
が、実施例6の場合の粉末と異なるところはなかった。
水素ガスが窒化処理工程に含まれていても粉末の磁気特
性には影響は無いと言える。
【0113】(実施例10)実施例7において作成し
た、均一化熱処理済みのSm2 Fe17系合金の約8mm
角の断面を有する1個の直方体を4〜6個の小塊に割っ
た。この小塊を、直径が5mmのジルコニアよりなるボ
ール6個と共に、内容積が140ccの高圧容器に入
れ、高圧容器内の雰囲気を水素で置換した。その後、室
温で水素の圧力を20kgf/cm2 に合わせて高圧容
器を密閉した後、高圧容器を160℃の一定温度にした
熱処理炉に挿入して水素吸蔵粉砕を行なった。水素ガス
圧力は水素吸蔵により低下するが、途中において水素ガ
スを補充して初めの20kgf/cm2 の圧力に戻し
た。水素圧力の低下が終り水素吸蔵が終ったことを確認
してから、熱処理炉の炉内温度を10℃/分の昇温速度
で上げ、炉内温度が350℃になったところで高圧容器
内の水素ガスをゆっくり排出して約1kgf/cm2
下げた。炉内温度が470℃になったところで昇温を停
止し、炉内温度を470℃の一定温度にし、高圧容器内
に窒素ガスを注入し、窒素ガス圧力を50kgf/cm
2 にして高圧容器を密閉した。この状態で3日保持して
Sm2 Fe17系合金を窒化処理した。
【0114】この窒化処理工程が終った後、高圧容器を
熱処理炉から出して冷却し、その後、高圧容器をシェー
カにかけて軽く振動した後、高圧容器を開いて合金の小
塊とジルコニアボールとを取り出した。合金の小塊は粉
末化しており、ジルコニアボールは粗い目のフルイで容
易に取り除くことができた。粉末部分を150μmのフ
ルイで分級し、秤量したところ、回収した合金粉末試料
のうち150μm以下の粉末は95wt%であった。フ
ルイの上に残った150μm以上の粉末物は、合金の表
面に生成したα−Feの薄い皮膜であり、Sm2 Fe17
x の付着はなかった。
【0115】以上の実験から、水素吸蔵を起こさない硬
質のボールをSm2 Fe17系合金の小塊と一緒に高圧容
器に入れて、水素吸蔵処理後において又は窒化処理後に
おいて高圧容器に振動を加えることにより、均一化熱処
理時に合金の表面に生成したα−Fe皮膜から、付着し
ているSm2 Fe17又はSm2 Fe17x を分離するこ
とができ、分級することによってα−Fe皮膜を除去し
て良品のSm2 Fe17x の回収量を増やせることが分
かる。
【0116】III .窒化処理工程について、 以下、窒化処理工程の短時間化を実現するため、高温度
領域における窒化処理について実験した結果、窒素ガス
による窒化処理の時間を従来の半日〜3日から数時間に
短縮することができた。本発明は前記の実験結果に基づ
くものであり、その内容を以下に詳細に説明する。
【0117】(実施例11)実施例6において作成した
均一化熱処理済みのSm2 Fe17合金塊をこの実験にお
いても使用した。実施例6と同じように、均一化処理さ
れた塊状のSm2 Fe17合金を割って2mm〜8mmの
大きさの小塊にした。この粒径2mm〜8mmの小塊1
0gを高圧容器に入れ、この高圧容器内を水素ガスに置
換し、30kgf/cm2 の水素ガス圧力にして高圧容
器を密閉した。その後、高圧容器を90℃の温度に一定
に保たれている熱処理炉に挿入して水素吸蔵粉砕を行な
った。
【0118】水素吸蔵粉砕の後、高圧容器内の水素ガス
を抜き、その後、真空排気装置により高圧容器内の圧力
を10-5torr台にまで引き下げながら熱処理炉の温
度を上げた。熱処理炉の温度を580℃にして、高圧容
器がこの温度で一定になるように10分間保持した後、
高圧容器内に窒素ガスを注入した。窒素ガスの注入と共
に窒素ガスの圧力を50kgf/cm2 にして、この状
態で高圧容器を4時間保持した。次に、高圧容器を熱処
理炉から取り出して室温にまで冷却した後、高圧容器か
ら試料を取り出し、取り出した試料に対して磁気測定及
びX線回折を行なった。
【0119】得られた試料は、水素吸蔵粉砕により90
wt%以上が150μm以下の粉末になっていた。この
粉末の磁気特性を測定した結果、磁場15kOeでの磁
化σg は151emu/gであって、やや低いもののS
2 Fe173 の文献値に近い値であった。試料をX線
回折で相分析したころ、回折線はシャープであり、ほぼ
全てがSm2 Fe173 の回折線であった。α−Feの
主回折線も出ていたが、これはほぼ無視できる程度の大
きさであった。このことは高圧の窒素ガス中における5
80℃の温度下においてはSm2 Fe173 はSmNと
α−Feとに分解しないことを意味している。
【0120】前記と同様の実験を、窒化処理の温度及び
時間を変化させて行なった。その結果得られた、窒化処
理の温度及び時間と磁場15kOeでの磁化σg との関
係は図4及び図5に示す通りである。
【0121】図4に示すように、熱処理時間を4時間に
した場合、560〜580℃の温度領域においてほぼ全
てのSm2 Fe17は窒化され、また分解も殆ど生じてい
ない。600℃以上の温度では磁化が低下し始め、X線
回折の結果ではSmNとα−Feとが現れていた。64
0℃の温度では完全に2相に分解しており、磁化σg
まだ大きいが、これは分解により生じたα−Feの磁化
であると思われる。
【0122】また、図5に示すように、560℃の温度
下における窒化処理工程においては、4時間でほぼ全て
の窒化が完了していることが分かる。これらの結果か
ら、560〜580℃の温度領域における高圧の窒素ガ
ス雰囲気中で窒化することにより、窒化時間を4時間と
いう短い時間に短縮できることが明らかになった。
【0123】(実施例12)実施例11と同じように、
実施例6において作成した均一化処理済みのSm2Fe
17合金を割って作られた小塊のいくつかを用いて水素吸
蔵粉砕処理を行ない、その後、高圧容器を真空排気しな
がら熱処理炉の温度を470℃に上げた。470℃の温
度になったところで、窒素ガスを注入し低圧の10kg
f/cm2 の圧力にして45分間保持した。その後、6
00℃の温度まで15分間かけて昇温し、560℃の温
度に達した頃から窒素ガスの圧力を上げて50kgf/
cm2にした。600℃の温度下において2時間保持し
た後、高圧容器を熱処理炉から取り出して室温まで冷却
した。
【0124】高圧容器から取り出され150μmのフル
イを通った粉末について磁気特性を測定したところ、磁
化σg は151emu/gであった。その後、X線回折
を行なった結果、ほぼすべての粉末がSm2 Fe17X
(xは3の近傍である)になっており、またα−Feの
回折線の大きさは無視できる程度の大きさであった。こ
のことから、分解は殆ど生じていないと言える。
【0125】600℃の温度下における窒化処理につい
て、窒化処理の時間を変化させて実験を行なった結果、
1時間ではまだ窒化は完了しておらず磁化は148em
u/gとやや低い値であった。窒化処理時間を4時間に
すると磁化は低下し始めておりやや低い値となってい
た。しかしながら、1時間から4時間の窒化処理時間は
十分実用に供し得るものである。
【0126】実施例11の場合のように、600℃の温
度下において試料を窒素ガスに直接触れさせて窒化反応
を起こさせると、窒化反応が発熱反応であるため、分解
温度まで上がってしまい、磁化の低下が起きる。これに
対して、本実施例のように、まず低温度領域でゆっくり
と窒化反応を起こさせて、反応し易い粒子の表面部分だ
け反応を起こさせ、残りの部分特に粒子の内部について
は高温度領域で拡散及び反応を促進させるのが窒化の短
時間化にとって有効であるということができる。
【0127】低温度領域における低圧ガス窒化と高温度
領域における高圧ガス窒化との組合せについて、種々検
討した結果、窒化処理工程の短時間化が可能であること
が明らかになった。この場合、低温度領域とは400〜
500℃の温度領域であり、低圧ガス窒化とは30kg
f/cm2 以下で大気圧までの圧力の窒素ガス中におけ
る窒化を言う。高温度領域とは560〜620℃の温度
領域であり、高圧ガス窒化とは40kgf/cm2 以上
好ましくは50kgf/cm2 以上で、高圧容器の耐圧
性から80kgf/cm2 くらいまでの圧力の窒素ガス
中における窒化を言う。
【0128】IV.高圧熱処理装置について、 以下、高圧容器を使う水素吸蔵粉砕及び高圧窒化処理に
適した簡便な高圧熱処理装置について説明する。
【0129】本発明に係る粗粉砕工程及び窒化処理工程
における実際の使用最高温度は620℃であるが、場合
により前記の温度を超えることもあるという点を考慮し
て650℃を最高温度とする温度領域において、且つ、
使用ガスの圧力は50kgf/cm2 以上であるが、充
分と考えられる80kgf/cm2 を最大とする圧力に
耐えて長時間使用可能な高圧装置としては、現在のとこ
ろオートクレーブと称される装置が知られている。この
装置は、安全性を考慮しているためと思われるが相当に
肉厚のステンレス鋼板を使用している。このオートクレ
ーブのなかで、外熱式は、容器の内径に比べて外径が大
きくつまり肉厚であり且つ一方の端部が閉塞した筒状の
容器を大きな電気炉に入れて加熱する方式であって、容
器の加熱及び冷却に時間を要する。また、ヒータを容器
の内側に有するもの(内熱式)はヒータの分だけ内径が
大きくなるため、試料を出し入れする蓋の部分の面積が
大きくなり、その蓋にかかる圧力に耐えるために太いボ
ルトを数多く用いることが必要になる。このため、内熱
式は、大掛かりな装置となり、蓋の取扱いだけでも重量
物の運搬となり大変な作業となる。
【0130】そこで種々検討を加え、多量の試料を簡便
に処理できる高圧熱処理装置を実現するに至ったもので
ある。
【0131】(実施例13)本実施例に係る高圧処理装
置は、図6に示すように、横型の環状電気炉、この電気
炉の電源(温度制御部を含む)、高圧容器(高圧配管部
を含む)、真空排気装置及び高圧ガス供給部からなる。
本実施例に係る高圧処理装置の特徴は、高圧容器(高圧
配管部を含む)の部分にある。他の機構は一般に良く用
いられているものの組合せである。
【0132】以下、高圧容器(高圧配管部を含む)21
の構成について説明する。
【0133】高圧容器21は、ステンレス製の太い高圧
配管用パイプよりなり原料塊又は粒子を収納する3本の
原料収納部1を備えており、各原料収納部1は水平に保
たれ、各原料収納部1の内部の上側部分には原料塊又は
粒子によって埋められない空間部分が存在することを特
徴とする。
【0134】本実施例における高圧容器21は、3本の
原料収納部1が平行に並べられた3連型である。例えば
外径25.4mm、内径21.2mm、長さ1000m
mの高圧配管用パイプよりなる3つの原料収納部1の各
一端部はスエジロックの配管用閉塞部材2により閉塞さ
れ、各他端部は例えば外径12.7mmのステンレス製
の3本の第1の高圧配管用パイプ3にスエジロックの配
管用継手部材4によりそれぞれ接合されている。第1の
高圧配管用パイプ3の各他端部は、耐圧性の着脱自在の
第1の着脱式継手部材5により例えば外径6.35mm
の3本の第2の高圧配管用パイプ6の各一端部に接続さ
れている。第2の高圧配管用パイプ6のそれぞれは、途
中部において緩やかに直角に曲げられていると共に第1
の流路開閉バルブ7を有しており、各他端部においてワ
ンタッチで着脱可能なスエジロックの第2の着脱式継手
部材8により高圧配管部9に接合されている。高圧配管
部9には排気用バルブ10が接続され、高圧配管部9と
真空排気装置との連結部11の高圧配管部9側には第2
の流路開閉バルブ12が設けられ、高圧ガス供給部の水
素及び窒素の高圧ボンベとの結合部の高圧配管部9側に
も第3及び第4の流路開閉バルブ13,14が設けられ
ている。
【0135】本実施例においては、原料塊又は粒子を収
納する原料収納部1は3連に設けられ且つ3連の原料収
納部1は平行に束ねられて横型の環状電気炉に挿入され
ており、各原料収納部1は均一な温度分布に保たれる。
ステンレス製の各高圧配管用パイプ及び各継手部材は6
50℃までの温度ならば80kgf/cm2 の圧力に十
分耐えることができる。
【0136】以下、前記高圧熱処理装置の使用方法につ
いて説明する。
【0137】1つの原料収納部1及び第2の高圧配管用
パイプ6を第2の着脱式継手部材8において高圧配管部
9から離脱させた後、この原料収納部1を第1の着脱式
継手部材5において第2の高圧配管用パイプ6から離脱
させる。その後、原料収納部1の中に、均一化処理の後
に8mm以下の大きさに砕かれたSm2 Fe17の合金粒
子を入れる。1つの原料収納部1には最大量約780g
の粒子を収納することができる。つまり、原料収納部1
の長さ1cm当り7.8gのSm2 Fe17の合金粒子が
収納される。合金粒子の見かけ密度は約4.0g/cc
であるので、合金粒子は原料収納部1の断面積のうちの
1.95cm2 を占めるのに対して、原料収納部1の断
面積は3.53cm2 である。このため、合金粒子は原
料収納部1の断面積の55%を占め、原料収納部1の残
りの45%は空間部である。この空間部が重要であり、
この空間部を水素ガスが動き、水素ガスが合金粒子の全
体に行き渡ると共に合金粒子の脱水素が短時間のうちに
行なわれる。これと異なり、合金粒子が原料収納部1に
詰まった状態でこの合金粒子の厚さが3cmに達してい
ると、合金粒子が水素吸蔵粉砕されて150μm以下の
細かい粒子になるため、脱水素を行なう際、前記空間部
から遠いところにある合金粒子から出た水素ガスが排気
されるときに、細かい合金粒子が水素ガスに巻き込まれ
て真空排気装置に引き込まれてしまうことになる。
【0138】次に、他の2つの原料収納部1にも、前記
と同様にして、Sm2 Fe17の合金粒子を収納した後、
3つの原料収納部1を第1の着脱式継手部材5により第
2の高圧配管用パイプ6にそれぞれ接続し、その後、各
第2の高圧配管用パイプ6を第2の着脱式継手部材8に
より高圧配管部9にそれぞれ接続する。その後、各原料
収納部1をほぼ水平に保った状態で、各原料収納部1に
振動を加えたり各原料収納部1を上下方向に振ったりし
て、内部の合金粒子を均一にし且つ各原料収納部1の内
部の上側部分に空間部が形成されるようにする。この場
合、第2の着脱配管部材8において第2の高圧配管用パ
イプ6は高圧配管部9に対して回転可能であると共にこ
の第2の高圧配管用パイプ6が直角に曲がっているの
で、原料収納部1を上下方向に振ることができる。
【0139】その後、真空排気装置を作動させると共
に、第1の流路開閉バルブ7を閉じる一方第2の流路開
閉バルブ12を開いて高圧配管部9の内部を真空状態に
した後、第3の流路開閉バルブ13及び第4の流路開閉
バルブ14を開いて高圧ガス供給部内の配管系内を真空
状態にし、その後、第1の流路開閉バルブ7を開いて前
記空間部が形成されている各原料収納部1内の排気を行
なう。原料収納部1の内部を10-4torr以上に真空
度を上げてこの原料収納部1内の酸素をほぼ完全に排出
した後、第2及び第4の流路開閉バルブ12,14を閉
じる一方水素ボンベ15の圧力調整弁15aを開けて水
素ボンベ15から水素ガスを原料収納部1に供給する。
次に、原料収納部1の内部をおおよそ15kgf/cm
2 の圧力にすると共に、既に90℃に昇温されている横
型環状電気炉により原料収納部1を加熱する。
【0140】水素吸蔵は約70℃の温度から始まり、原
料収納部1内には最大量のSm2 Fe17の合金粒子が入
れてあるため、水素が合金粒子にどんどん吸収されるの
で、水素ボンベ15の圧力調整弁15aを調整しておお
よそ15kgf/cm2 の圧力にして開放しておく。9
0℃の温度で約1時間保持すると、水素吸蔵による粉砕
が完了するので、水素ボンベ15の圧力調整弁15a及
び第3の流路開閉バルブ13を閉じると共に排気バルブ
10を開けて余分の水素ガスを排出する。原料収納部1
の内部の圧力が大気圧に近づいたところで排気バルブ1
0を閉めて第2の流路開閉バルブ12を少しづつ開けて
水素ガスを排出する。水素ガスを排出しながら環状電気
炉を470℃に向かって昇温する。
【0141】その後、原料収納部1内を10-4torr
以上に真空度を上げて水素ガスを引き切ると共に原料収
納部1の温度が470℃に達したところで、窒素ボンベ
16の圧力調整弁16a及び第4の流路開閉バルブ14
を開けて窒素ガスを原料収納部1に注入する。原料収納
部1内をおおよそ10〜20kgf/cm2 の圧力にす
ると共に、窒素ボンベ16からの窒素ガスの供給を続け
て必要量の窒素ガスを供給する。この状態で3日間保持
して窒化処理を行なう。また、短時間で窒化処理を完了
したい場合には470℃の温度で40分間ほど保持した
後に環状電気炉の温度を上げて560〜620℃の温度
範囲に昇温すると共に反応熱を逃がすために窒素ガスの
圧力を50kgf/cm2 以上にする。このようにする
と、窒化反応及び拡散が速まり、2時間から4時間で窒
化処理は完全に完了する。
【0142】窒化処理が完了すると、窒素ボンベ16の
圧力調整弁16a及び第4の流路開閉バルブ14を閉め
て環状電気炉から原料収納部1を引き出して冷却する。
原料収納部1が室温近くに冷却されたところで排気バル
ブ10を開けて窒素ガスを逃がし原料収納部1内を大気
圧にする。その後、第1の流路開閉バルブ7を閉めて第
2の着脱式継手部材8において原料収納部1及び第2の
高圧配管用パイプ6を高圧配管部9から離す。他の2つ
の原料収納部1についても同じである。
【0143】その後、窒素雰囲気にしてあるグローブボ
ックスの中に高圧容器21を入れて窒化された粉末を回
収する。
【0144】前記実施例においては、原料収納部1の長
さが1000mmであるため、1回の処理量は2.3k
gであるが、原料収納部1の長さをさらに長くしたり、
又は高圧容器21の数を増やすことにより、1回の処理
量を増やすことができる。また、原料収納部1の太さを
もっと大きくし、原料収納部1の半分程度に原料を収納
するようにすれば、原料収納部1からガスを排出すると
きに粉末を巻き上げることは無い。原料収納部1を構成
する高圧配管用パイプの径を2インチ程度にすると、1
0kg程度の原料を1回に処理することは容易である。
【0145】(実施例14)本実施例の高圧熱処理装置
は実施例13の高圧熱処理装置と基本的には同じである
が、異なるところは、環状電気炉の代わりに流動層炉を
用いることと、高圧容器として、T字型継手の両側に原
料塊又は粒子を収納する2つの原料収納部(外径1イン
チの高圧配管用パイプ)が接続されてなる逆T字状のも
のを用いることである。各原料収納部に上部空間を残す
程度の量の原料を投入した後、原料収納部を水平にし、
その後、原料収納部内を水素ガスで置換し水素ガスの圧
力を15kgf/cm2 にして90℃の温度の流動層炉
に浸漬した。原料収納部の表面には90℃の温度のアル
ミナ粒子が液体のように接触するため昇温は極めて速か
った。90℃の温度に原料収納部を昇温した後、この原
料収納部を90℃の温度下において1時間以上保持して
水素吸蔵粉砕を完了させた。
【0146】次に、高圧の水素ガスを外部に逃がし真空
排気装置により水素ガスの排出を行ない、浸漬後2時間
10分が経過したところで原料収納部を引き上げ、47
0℃の流動層炉に浸漬した。真空度が10-4torr台
になったところで窒素ガスを注入し20kgf/cm2
の圧力にして45分間以上保持した。
【0147】浸漬後2時間10分が経過したところで原
料収納部を引き上げ、次に580℃の流動層炉に浸漬
し、窒素ガスの圧力を50kgf/cm2 に上げて約2
時間保持して窒化処理を完了した。浸漬後2時間10分
が経過したところで原料収納部を引き上げて風冷により
室温に冷却した。このように、2時間10分サイクルで
次々に高温側の流動層炉への浸漬を繰り返していくこと
により、連続的に処理していくことができた。原料収納
部を冷却した後、高圧配管部から取り外し、窒素雰囲気
のグローブボックスに入れ、窒化された粉末を回収し
た。得られた粉末は150emu/g以上の磁化を有し
ていた。
【0148】以上のように、水素吸蔵粉砕した後、高圧
窒化する一連の工程を、複数の流動層炉を用いることに
より、それぞれの高圧容器はバッチ式の処理になるが、
複数の高圧容器を連続的に浸漬することができるので、
大量の粉末を処理することが可能になる。
【0149】V.均一化処理について、 これまでに用いてきた均一化処理された合金塊は、その
表面部分にα−Feの薄い膜ができており、このα−F
eは水素吸蔵粉砕されないので150μm以上の粒子と
して残っている。このα−Fe膜は窒化後にフルイによ
って除去することはできるが、磁石粉末としては不良部
分でありできるだけ発生しないようにしなければならな
い。合金塊の表面部分にα−Feの薄い膜ができるの
は、Smの蒸気圧が高いためSmが蒸気となって逃げ、
合金塊の表面部分においてSmが少なくなり、その分だ
けα−Feが生成するためである。
【0150】以下、合金塊の表面部分にα−Feが形成
されない方法を検討しその結果を一実施例として示す。
【0151】(実施例15)Sm−Fe合金の鋳造塊を
Sm2 Fe17相を主相とした均一相状態にするには、1
010℃を超え1280℃未満の温度において数時間か
ら数十時間熱処理することが必要である。このために1
200℃台の温度にすることができ且つ不活性雰囲気に
おいて数気圧のガス加圧ができる装置を用意した。この
高圧高温熱処理装置は、ヒータが高圧容器内にある方式
のもので耐圧製の高圧容器は水冷されている。ヒータの
内側の空間部分に合金塊をアルミナ製の皿に入れてお
き、高圧容器を密閉して真空排気し10-5torr台ま
で真空度を上げた。昇温を開始して約200℃の温度下
で保持して真空度を10-5torr台にしてベーキング
した。その後、高圧容器内にアルゴンガスを入れ、その
圧力を20kg/cm2 まで上げて1200℃に昇温し
た。Smの蒸気圧は1200℃の温度において0.01
6kgf/cm2 であり、Smの蒸発はアルゴンガスの
圧力により抑制される。1200℃の温度下で6時間保
持して均一化した後、温度を下げ、その過程で350℃
から70℃の温度範囲でアルゴンガスを排気して水素ガ
スに置換し、水素ガスの圧力を20kgf/cm2 にし
て吸蔵させて水素ガス圧力が下げ止まったところで吸蔵
が飽和し完了したと判断し、昇温に転じて400℃以上
になったところで水素ガスを排気し、真空度を10-4
orr台にまで引き切った。
【0152】次に、温度を470℃にして窒素ガスを注
入し約1時間保持した後、さらに560℃に上げて窒素
ガス圧力も50kgf/cm2 以上にして窒化を促進さ
せた。約4時間保持して窒化が完了したところで温度を
下げて室温にまで冷却した。高圧容器を開けて粉末化し
た合金を取り出し、150μmのフルイにかけたとこ
ろ、大部分がフルイ目を通過したので合金塊の表面部分
にα−Fe膜はできていないと言える。粉末の磁化σg
は152emu/g以上あり、良好な磁気特性を有した
粉末であった。
【0153】本実施例の場合はアルゴンガスを用いたが
不活性ガスであるヘリウムでもよい。また、その圧力は
R−T合金の成分に含まれる元素のうちで最も高い蒸気
圧についてその圧力よりも2桁程度高い圧力にする必要
がある。
【0154】この方式によると、合金の鋳造塊を砕いて
α−Fe膜がない新しい面を出す必要もなくそのままで
扱えるので工数が削減できる。また、均一化処理から窒
化まで同一の高圧容器により処理できるため、酸化をよ
り防ぐことができ良好な粉末を歩留まり良く製造できる
方法である。
【0155】VI.微粉砕工程について、 前述の水素吸蔵粉砕工程及び高圧窒化工程により、同一
の高圧容器内で大気に触れることなく処理できるので、
酸化が極めて少ないきれいで良い窒化粉末を得ることが
できる。これを磁石粉末とするには、1〜3μmの微粉
末に粉砕する必要がある。以下、微粉砕工程について説
明する。
【0156】(実施例16)実施例13と同様の方法に
より得られた窒化粉末であるSm2 Fe17X (X=
2.8〜3.1)を金属製の振動ボールミル容器にステ
ンレスのボールとともに入れた後、窒素置換し、その
後、振動ボールミル容器を液体窒素中に浸漬した。振動
ボールミル容器の全体が液体窒素温度まで冷却されたと
ころで振動ボールミル容器を振動ボールミルに設置し、
振動ボールミルを稼働して窒化粉末を粉砕した。5分経
過したところで一旦中止して室温まで昇温し、窒素雰囲
気のグローブボックス中において粉砕された粉末の一部
を採取した。また、再度液体窒素温度まで冷却し直して
振動ボールミルによる粉砕を行ない、5分経過後に再度
中止して試料採取を行なった。このようにして5分おき
に試料を採取し、粉砕時間が累積30分になるところま
で粉砕を繰り返し行なった。
【0157】採取した試料について磁気測定を行ない保
磁力の増加を調べた。その結果、5分、10分、15分
経過後の保磁力は5.0kOe,10kOe,13kO
eであり、従来室温で行なっていた場合と同じ保磁力に
達した時間はほぼ半分の時間であった。
【0158】以上の結果から、液体窒素温度まで冷却す
ることにより窒化粉末の材質が脆化し、割れ易くなった
と考えられ、粉砕時間を短縮できることが分かった。
【0159】(実施例17)実施例13と同様の方法に
より得られた窒化粉末であるSm2 Fe17X (X=
2.8〜3.1)のうちで45μm以下の粒子をシクロ
ヘキサンに入れて混合し、高圧溶液衝突微粉砕装置にか
けて微粉砕した。この装置は粒子を溶媒又は懸濁液に混
合・懸濁し、この混合・懸濁液に高圧(100〜300
0kgf/cm2 )をかけて途中から分岐された通路を
通して互いに高圧高速で衝突させ、粉末を粉砕する装置
である。この装置の特徴は微粉砕が極めて短時間に行わ
れることと、溶媒又は懸濁液を再利用できランニングコ
ストが安くつくことである。1回の循環で微粉砕が不十
分な場合には何回でも循環させることができるが、1回
の処理時間が短いので全体の処理時間は余り長くならな
い。
【0160】本実施例では、現状の装置の最高圧である
3000kgf/cm2 の圧力で20回循環させて微粉
砕した。微粉砕の後、シクロヘキサンを蒸発させて微粉
末を回収し、磁気測定を行なった。その結果、保磁力は
9.2kOeであった。
【0161】本実施例では用いた粉末が45μm以下で
あったが、これは使用した装置の制約であり、通路の径
を大きくすることにより大きい粒子も扱うことができ
る。
【0162】(実施例18)実施例17と同じ装置を使
用し、また窒化粉末も同じロットのものを用いた。溶媒
としては固形エポキシ樹脂を30wt%溶かしたメチル
エチルケトンを用いた。1300kgf/cm2 の圧力
で30回循環させて微粉砕した。回収し乾燥した微粉末
は、エポキシ樹脂で固まっていたため乳鉢で解砕した。
磁気測定の結果、保磁力は10.5kOeであって、完
全に微粉砕されていた。この微粉末に微粉末状の潜在性
硬化剤を加えて十分混合した後、磁場中で圧縮成形し、
硬化熱処理をしてボンド磁石とすることができた。
【0163】この方式によると、懸濁液中にさらに硬化
剤や難燃剤などボンド磁石化に必要な樹脂やその他の材
料を加えることによって、窒化粉末の表面にエポキシ樹
脂などのバインダーを付着することができ、微粉砕工程
にボンド磁石化の工程の一部を取り入れることができ、
工程の簡略化ができる。
【0164】以上の各実施例においては、Sm2 Fe17
系及びその窒化物のSm2 Fe17X 系を中心に本発明
を詳細に説明したが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではなく、Smの一部を他の希土類元素で置換
した系や、Feの一部を他の遷移元素で置換した系、又
は、これらの系の磁気特性、耐酸化性及び温度特性など
を改良するために他の微少量の添加元素を加えた系でも
よい。本発明においては、これらを総称してR2 17
合金粉末又はR2 17X 系磁石材料と称している。
【0165】また、組成範囲については、既に開示され
ている組成範囲と同じ組成範囲において本発明は有効で
ある。その組成とはSm2 Fe17X においてRは1
2.5〜37.9wt%、Nは0.1〜7.0wt%で
ある。しかし、良い磁石特性を有する実使用可能な磁石
材料は範囲が限定される。その範囲は、各実施例で示し
たように、Sm2 Fe17系及びその窒化物のSm2 Fe
17X を中心としたものであり、Sm組成としては、S
2 Fe17系では2:17組成の周囲を含むものでRが
22.8〜25.3wt%の範囲であり、Sm2 Fe17
X 系では2:17:3組成の周囲を含むものでRが2
2.1〜24.5wt%の範囲である。また、Nの組成
はX=3を中心とした範囲であり、2.1〜3.8wt
%の範囲である。この範囲を外れると磁石特性としては
やや低い値となる。
【0166】
【発明の効果】請求項1の発明に係わるSm2 17系合
金粉末の製造方法によると、5kgf/cm2 以上の水
素ガスの圧力下における水素吸蔵温度の下限は約70℃
であり、5kgf/cm2 以上の水素ガスの圧力下にお
いて合金塊を水素吸蔵すると、粒径150μm以下の合
金粉末が90wt%以上得られるため、70℃〜300
℃の温度範囲における5kgf/cm2 以上の圧力の水
素ガス中においてR2 17を主とする合金塊に水素吸蔵
させることにより、150μm以下の粒径のR217
合金粉末を確実に製造することができる。
【0167】請求項2の発明に係わるSm2 17系合金
粉末の製造方法によると、従来技術では水素吸蔵と水素
放出とを何回も繰り返し行なうことによって粉末化して
いるのに対して、均一化熱処理工程を経た合金塊に水素
ガス中において水素吸蔵させる処理を1回行なうだけで
150μm以下の粒径のR2 17系合金粉末が確実に得
られ、粗粉砕工程を簡略なものにすることができる。
【0168】請求項3の発明に係わるR2 17系合金粉
末の製造方法によると、均一化熱処理工程を経た合金塊
を水素吸蔵処理前に割って新しい破面を露出させておく
ことにより、α−Feの被膜に覆われていないR2 17
の面が水素ガスに直接触れることになり、露出破面にお
いてまず水素が吸蔵され、その露出破面から合金塊が粉
末化し始めて、α−Feの被膜に覆われている部分も順
次粉末化して、合金塊全体を粉末化することができる。
【0169】請求項4の発明に係わるR2 17系合金粉
末の製造方法によると、溶解鋳造工程及び均一化熱処理
工程において合金塊表面部分に生成するα−Fe被膜は
水素吸蔵しないために粉末化せず、またその被膜厚さが
おおよそ100〜200μmであるために、水素吸蔵に
よる粗粉砕工程を得た合金粉末を分級して150μm以
下の粒径の粉末だけにすることにより、得られる合金粉
末には、α−Fe被膜は含まれず大部分がR2 17系合
金粉末となり、優れた磁気特性を有する合金粉末を得る
ことができる。
【0170】請求項5の発明に係わるR2 17系合金粉
末の製造方法によると、均一化熱処理された合金塊表面
部分のα−Fe被膜には、水素吸蔵粉砕の後、多くのR
2 17系合金が付着しているが、高圧容器に振動を与え
てR2 17系合金が付着したα−Fe被膜を硬質ボール
と高圧容器の内壁とに衝突させることにより、R2 17
系合金をα−Fe被膜から分離することができ、150
μm以下の優れた磁気特性を有するR2 17系合金粉末
の収率を上げることができる。
【0171】請求項6の発明に係わるR2 17X 系磁
石粉末の製造方法によると、R2 17系合金粉末及びR
2 17X 系磁石粉末を1つの高圧容器内において粗粉
砕工程から窒化処理工程まで処理することにより、酸化
し易い粉末を大気に触れさせることなく処理することが
でき、酸化物の発生を極めて少ない量に抑えて、優れた
磁気特性を有するR2 17X 系磁石粉末を得ることが
できる。
【0172】請求項7の発明に係わるR2 17X 系磁
石粉末の製造方法によると、均一化熱処理工程を経た合
金塊を割って新しい破面を露出させて高圧容器に入れる
ことにより、均一化熱処理工程を得た合金塊の表面部分
に生成しているα−Feの被膜の無いR2 17の露出破
面が水素ガスに直接触れることになって水素が吸蔵され
易くて露出破面側から粉末化して合金塊が粉末化するこ
とができ、同一高圧容器内で続いて窒化処理も大気に触
れることなく行なわれるので酸化を抑えて優れた磁気特
性を有するR2 17X 系磁石粉末を得ることができ
る。
【0173】請求項8の発明に係わるR2 17X 系磁
石粉末の製造方法によると、窒化処理工程を経た合金粉
末を分級して150μm以下の粒径の粉末だけを微粉砕
工程に供するので、溶解鋳造工程及び均一化熱処理工程
において合金塊表面部分に生成するα−Feの被膜が分
級により除去され、得られる粉末は大部分がR2 17
X 系磁石粉末となり、優れた磁気特性を有するR2 17
X 系磁石粉末を得ることができる。
【0174】請求項9の発明に係わるR2 17X 系磁
石粉末の製造方法によると、水素ガス放出温度範囲の3
50℃〜570℃で高圧容器内を10-4torr以下に
まで真空排気するために、ほぼ完全に水素ガスを合金粉
末から抜くことができ、次の窒化工程において有毒なア
ンモニアガスの生成を抑えることができる。
【0175】請求項10の発明に係わるR2 17X
磁石粉末の製造方法によると、R217系合金粉末を5
0kgf/cm2 以上の窒素ガス中において窒化するた
め、反応熱が良く伝達されるので、窒素の拡散速度の速
い560℃〜580℃という高温度において窒化処理が
でき、窒化時間を短縮できる。
【0176】請求項11の発明に係わるR2 17X
磁石粉末の製造方法によると、R217系合金粉末を4
00℃〜500℃の低温度領域における大気圧〜30k
gf/cm2 の窒素ガス中において保持して、反応し易
い粒子の表面部分だけの反応を起こさせ、その後、56
0℃〜620℃の高温度領域における40kgf/cm
2 〜80kgf/cm2 の窒素ガス中において保持し
て、粒子内部への窒素の拡散及び粒子内部での窒化反応
が促進されるので、低温度領域における低圧ガス窒化と
高温度領域における高圧ガス窒化との組み合わせによっ
て、窒化処理時間の一層の短縮を図ることができる。
【0177】請求項12の発明に係わるR2 17X
磁石粉末の製造方法によると、溶解鋳造工程及び均一化
熱処理工程において合金塊表面部分に生成するα−Fe
被膜にはR2 17X 系合金が多く付着しているが、高
圧容器に振動を与えるため、R2 17X 合金が付着し
ているα−Fe被膜は、硬質ボールと高圧容器の内壁と
に衝突するので、R2 17X 合金をα−Fe被膜から
分離することができ、これらを分級することによってα
−Fe被膜を除去できるので、150μm以下の優れた
磁気特性を有するR2 17X 系磁石粉末を収率良く得
ることができる。
【0178】請求項13の発明に係わるR2 17X
磁石粉末の製造方法によると、RとTとを主成分とする
鋳造塊をRの蒸気圧及びTの蒸気圧よりも大きい圧力の
不活性ガス中において加熱してR2 17を主とする合金
塊を得るため、合金塊の表面部からSmが蒸気となって
逃げないので、合金塊の表面部にα−Feの薄い膜が形
成されない。また、均一化熱処理工程において加熱され
た合金塊を冷却する過程の350℃〜70℃の温度範囲
において前記合金塊を水素吸蔵粉砕するので、水素吸蔵
粉砕のために合金塊を加熱する工程が不要になるので、
工程の簡略化を図ることができる。
【0179】請求項14の発明に係わるR2 17X
磁石粉末の製造方法によると、R217系合金粉末を高
圧容器の内部にその上側部分に空間部が形成されるよう
に収納するため、水素ガスや窒素ガスが前記空間部分を
流通して合金粉末の全体に達するので、水素吸蔵又は窒
化が確実に行なわれると共に脱水素ガスもスムーズに行
なわれ、ガス排出口から遠い位置の水素ガス又は窒素ガ
スを排出する際に、ガス排出口の近くの粉末が排出され
る水素ガス又は窒素ガスに巻き込まれることがなく、ま
た、R2 17系合金粉末を水素ガスにより水素吸蔵粉砕
する粗粉砕工程と、R2 17系合金粉末を窒素ガスによ
り窒化する窒化処理工程とが同一の高圧容器内で行なわ
れるので、粗粉砕工程と窒化処理工程との間において合
金粉末が酸化する事態が避けられると共に処理時間の短
縮を図ることができる。
【0180】請求項15の発明に係わるR2 17X
磁石粉末の製造方法によると、窒化されたR2 17X
系合金粉末を有機溶媒に混合懸濁して得た混合懸濁液同
士を高速で衝突させることにより前記窒化合金粉末を微
粉砕するため、前記窒化合金粉末は瞬時に粉砕されるの
で、磁化特性の劣化が少なくなると共に粉砕に要する時
間が短縮でき、また、有機溶媒を再利用できるのでラン
ニングコストの低減を図ることができる。
【0181】請求項16の発明に係わるR2 17X
磁石粉末の製造方法によると、R217X 系合金粉末
と熱硬化性有機樹脂及び潜在性硬化剤のうちの少なくと
も1つとを有機溶媒に混合懸濁して得た混合懸濁液同士
を高速で衝突させることにより前記窒化合金粉末を微粉
砕するため、請求項15の発明と同様に、磁化特性の劣
化が少なくなると共に粉砕に要する時間を短縮でき、ま
た、有機溶媒を再利用できるのでランニングコストの低
減を図ることができる。さらに、窒化合金粉末の表面に
熱硬化性有機樹脂及び潜在性硬化剤のうちの少なくとも
1つが付着した状態で混合懸濁液から有機溶媒を除去す
るため、微粉砕工程にボンド磁石化の工程の一部を含ま
せることができるので、工程の短縮化及び簡略化を図る
ことができる。
【0182】請求項17の発明に係わる高圧熱処理装置
によると、R2 17系合金粉末を収納する円筒状の金属
製の高圧容器を備えているため、昇温及び冷却の速度が
速くなり、処理時間の短縮を図ることができ、また、高
圧容器は水平状態で保持して加熱する加熱炉を備えてい
るため、合金粉末を高圧容器の内部にその上側部分に空
間部が形成されるように収納できるので、請求項14の
発明に係わる合金粉末の製造方法を容易に実現できる。
【0183】請求項18の発明に係わる高圧熱処理装置
によると、加熱炉は流動層炉であるため、複数の高圧容
器と複数の流動層炉とを用い、複数の高圧容器を温度条
件が異なる各流動層炉にバッチ式に連続して浸漬するこ
とにより、大量の合金粉末の処理が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における水素吸蔵粉砕の熱処
理温度と150μm以下の粉末量との関係を示す図であ
る。
【図2】本発明の実施例1における水素吸蔵粉砕の水素
吸蔵粉砕の水素圧力と150μm以下の粉末量との関係
を示す図である。
【図3】本発明の実施例2における水素吸蔵開始圧力と
粉末の粒度分布との関係を示す図である。
【図4】本発明の実施例11における窒化処理温度と磁
化σg との関係を示す図である。
【図5】本発明の実施例11における窒化処理時間と磁
化σg との関係を示す図である。
【図6】本発明に係わる高圧熱処理装置の構成を説明す
る図である。
【符号の説明】
1 原料収納部 2 配管用閉塞部材 3 第1の高圧配管用パイプ 4 配管用継手部材 5 第1の着脱式継手部材 6 第2の高圧配管用パイプ 7 第1の流路開閉バルブ 8 第2の着脱式継手部材 9 高圧配管部 10 排気用バルブ 11 連結部 12 第2の流路開閉バルブ 13 第3の流路開閉バルブ 14 第4の流路開閉バルブ 15 水素ボンベ 16 窒素ボンベ 21 高圧容器
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年12月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項12
【補正方法】変更
【補正内容】

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 R(R:Sm又はSmの一部が1種若し
    くは2種以上の希土類元素で置換された物質)とT
    (T:Fe又はFeの一部が1種若しくは2種以上の遷
    移元素で置換された物質)とを主成分とする鋳造塊を、
    Th2 Zn17構造を持つR2 17が主として含まれる合
    金塊にする均一化熱処理工程と、 70℃〜300℃の温度範囲で且つ5kgf/cm2
    上の圧力の水素ガス中で前記合金塊に水素を吸蔵させる
    ことにより主として150μm以下の粒径のR2 17
    合金粉末を得る粗粉砕工程とを備えていることを特徴と
    するR2 17系合金粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記粗粉砕工程は、前記合金塊に水素を
    吸蔵させる工程を1回のみ有していることを特徴とする
    請求項1に記載のR2 17系合金粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記粗粉砕工程は、前記合金塊に水素を
    吸蔵させる工程よりも前に、前記均一化熱処理工程が施
    された合金塊を割って新しい破面を露出させる工程を有
    していることを特徴とする請求項1又は2に記載のR2
    17系合金粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記粗粉砕工程は、前記主として150
    μm以下の粒径のR2 17系合金粉末を分級して150
    μm以下の粒径のR2 17系合金粉末のみを得る工程を
    有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1
    項に記載のR2 17系合金粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記粗粉砕工程は、前記均一化熱処理が
    施された合金塊を水素吸蔵をしない硬質のボールと共に
    高圧容器内に収納する工程と、前記高圧容器内において
    前記合金塊に水素を吸蔵させる工程と、前記高圧容器を
    振動する工程とを有していることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれか1項に記載のR2 17系合金粉末の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 R(R:Sm又はSmの一部が1種若し
    くは2種以上の希土類元素で置換された物質)とT
    (T:Fe又はFeの一部が1種若しくは2種以上の遷
    移元素で置換された物質)とを主成分とする鋳造塊を、
    Th2 Zn17構造を持つR2 17が主として含まれる合
    金塊にする均一化熱処理工程と、 前記合金塊を高圧容器に入れると共に前記高圧容器内の
    雰囲気を水素ガス雰囲気に置換した後、70℃〜300
    ℃の温度範囲で且つ5kgf/cm2 以上の圧力の水素
    ガス中で前記合金塊に水素を吸蔵させることにより、前
    記合金塊を主として150μm以下の粒径のR2 17
    合金粉末にする粗粉砕工程と、 前記高圧容器内を水素ガス雰囲気から窒素ガス雰囲気に
    するガス置換工程と、 ガス置換が行なわれた前記高圧容器内において前記R2
    17系合金粉末を窒化して主として150μm以下のR
    2 17系合金粉末を得る窒化処理工程と、 前記R2 17系合金粉末を微粉砕して3μm以下の
    粒径のR2 17系磁石粉末を得る微粉砕工程とを備
    えていることを特徴とするR2 17系磁石粉末の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 前記粗粉砕工程は、前記合金塊に水素を
    吸蔵させる工程よりも前に、前記均一化熱処理工程が施
    された合金塊を割って新しい破面を露出させる工程を有
    していることを特徴とする請求項6に記載のR2 17
    系磁石粉末の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記窒化処理工程と前記微粉砕工程との
    間に、前記主として150μm以下の粒径のR2 17
    系合金粉末を分級して150μm以下の粒径のR2
    17系合金粉末のみを得る工程を備えていることを特
    徴とする請求項6又は7に記載のR2 17系磁石粉
    末の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記ガス置換工程は、350℃〜570
    ℃の温度範囲で前記高圧容器内を10-4torr以下に
    真空排気することにより前記R2 17系合金粉末から水
    素を抜く工程と、前記窒化処理工程に適した温度範囲で
    前記高圧容器内に窒素ガスを注入する工程とを有してい
    ることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載
    のR2 17系磁石粉末の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記窒化処理工程は、前記R2 17
    合金粉末を560℃〜580℃の温度範囲で且つ50k
    gf/cm2 以上の圧力の窒素ガス中で4時間以上保持
    することにより前記R2 17系合金粉末を窒化する工程
    を有していることを特徴とする請求項6〜9のいずれか
    1項に記載のR2 17系磁石粉末の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記窒化処理工程は、前記R2 17
    合金粉末を、400℃〜500℃の温度範囲で且つ大気
    圧から30kgf/cm2 の窒素ガス中で保持した後、
    560℃〜620℃の温度範囲で且つ40kgf/cm
    2 〜80kgf/cm2 の窒素ガス中で保持することに
    より、前記R2 17系合金粉末を窒化する工程を有して
    いることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記
    載のR2 17系磁石粉末の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記粗粉砕工程は、前記均一化熱処理
    工程が施された合金塊を水素吸蔵をしない硬質のボール
    と共に前記高圧容器内に収納する工程と、前記高圧容器
    内において前記合金塊に水素を吸蔵させる工程とを有
    し、 前記微粉砕工程の後に、前記高圧容器を振動して前記R
    2 17系合金粉末を粉砕した後、分級して150μ
    mを超える粒径の粉末を除去することにより、150μ
    m以下の粒径のR2 17系磁石粉末を得る工程を備
    えていることを特徴とする請求項6〜11のいずれか1
    項に記載のR2 17系磁石粉末の製造方法。
  13. 【請求項13】 R(R:Sm又はSmの一部が1種若
    しくは2種以上の希土類元素で置換された物質)とT
    (T:Fe又はFeの一部が1種若しくは2種以上の遷
    移元素で置換された物質)とを主成分とする鋳造塊を、
    前記Rの蒸気圧及び前記Tの蒸気圧よりも大きい圧力の
    不活性ガス中において1010℃以上で1280℃未満
    の温度範囲に加熱することにより、Th2 Zn17構造を
    持つR217が主として含まれる合金塊を得る均一化熱
    処理工程と、 加熱されている前記合金塊を冷却する過程の350℃〜
    70℃の温度範囲において前記合金塊に水素ガスを供給
    して水素吸蔵させることにより150μm以下の粒径の
    2 17系合金粉末を得る粗粉砕工程と、 400℃〜620℃の温度範囲において前記R2 17
    合金粉末に窒素ガスを供給することにより前記R2 17
    系合金粉末を窒化してR2 17系合金粉末を得る窒
    化処理工程と、 前記R2 17系合金粉末を微粉砕して3μm以下の
    粒径のR2 17系磁石粉末を得る微粉砕工程とを備
    えていることを特徴とするR2 17系磁石粉末の製
    造方法。
  14. 【請求項14】 R(R:Sm又はSmの一部が1種若
    しくは2種以上の希土類元素で置換された物質)とT
    (T:Fe又はFeの一部が1種若しくは2種以上の遷
    移元素で置換された物質)とを主成分とする、Th2
    17構造を持つR2 17が主として含まれる合金塊を、
    水平に保持された高圧容器の内部にその上側部分に空間
    部分が形成されるように収納する原料収納工程と、 前記高圧容器内に水素ガスを供給して前記合金塊に水素
    を吸蔵させることにより、150μm以下の粒径のR2
    17系合金粉末を得る粗粉砕工程と、 前記高圧容器内の水素ガスを排出する水素ガス排出工程
    と、 前記高圧容器内に窒素ガスを供給して前記R2 17系合
    金粉末を窒化することによりR2 17X 系合金粉末を
    得る窒化処理工程と、 前記R2 17X 系合金粉末を微粉砕して3μm以下の
    粒径のR2 17系磁石粉末を得る微粉砕工程とを備
    えていることを特徴とするR2 17系磁石粉末の製
    造方法。
  15. 【請求項15】 R(R:Sm又はSmの一部が1種若
    しくは2種以上の希土類元素で置換された物質)とT
    (T:Fe又はFeの一部が1種若しくは2種以上の遷
    移元素で置換された物質)とを主成分とする、Th2
    17構造を持つR2 17系合金粉末を窒化してR2 17
    X 系合金粉末を得る窒化処理工程と、 前記R2 17X 系合金粉末を有機溶媒に混合懸濁して
    混合懸濁液を得る懸濁工程と、 前記混合懸濁液に高圧を加えて前記混合懸濁液を2つに
    分岐された分岐通路に導き、各分岐通路内の前記混合懸
    濁液同士を高速で衝突させることにより、前記R2 17
    X 系合金粉末を微粉砕して3μm以下の粒径のR2
    17系磁石粉末を得る微粉砕工程とを備えていること
    を特徴とするR2 17系磁石粉末の製造方法。
  16. 【請求項16】 R(R:Sm又はSmの一部が1種若
    しくは2種以上の希土類元素で置換された物質)とT
    (T:Fe又はFeの一部が1種若しくは2種以上の遷
    移元素で置換された物質)とを主成分とする、Th2
    17構造を持つR2 17系合金粉末を窒化してR2 17
    X 系合金粉末を得る窒化処理工程と、 前記R2 17X 系合金粉末と熱硬化性有機樹脂及び潜
    在性硬化剤のうちの少なくとも1つとを有機溶媒に混合
    懸濁して混合懸濁液を得る懸濁工程と、 前記混合懸濁液に高圧を加えて前記混合懸濁液を2つに
    分岐された分岐通路に導き、各分岐通路内の前記混合懸
    濁液を高速で衝突させることにより前記R2 17X
    合金粉末を微粉砕して3μm以下の粒径の微粉末を得る
    微粉砕工程と、 前記混合懸濁液から前記有機溶媒を除去して、前記微粉
    末の表面に熱硬化性有機樹脂及び潜在性硬化剤のうちの
    少なくとも1つが付着した3μm以下の粒径のR2 17
    系磁石粉末を得る有機溶媒除去工程とを備えている
    ことを特徴とするR2 17系磁石粉末の製造方法。
  17. 【請求項17】 R(R:Sm又はSmの一部が1種若
    しくは2種以上の希土類元素で置換された物質)とT
    (T:Fe又はFeの一部が1種若しくは2種以上の遷
    移元素で置換された物質)とを主成分とする、Th2
    17構造を有するR2 17系合金粉末を収納する円筒状
    の金属製の高圧容器と、 前記高圧容器を水平状態で保持して加熱する加熱炉とを
    備えていることを特徴とする高圧熱処理装置。
  18. 【請求項18】 前記加熱炉は流動層炉であることを特
    徴とする請求項17に記載の高圧熱処理装置。
JP6296235A 1993-12-21 1994-11-30 R2T17系合金粉末の製造方法、R2T17Nx系磁石粉末の製造方法及び高圧熱処理装置 Pending JPH0813006A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4936593B2 (ja) * 1998-03-27 2012-05-23 株式会社東芝 磁石粉末の製造方法
JP2021501312A (ja) * 2017-10-12 2021-01-14 コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ セラミック部品を低温製造するための装置及び方法
EP4008452A1 (en) * 2020-12-02 2022-06-08 Linde GmbH, Linde Engineering Method of processing powder
WO2022259949A1 (ja) * 2021-06-10 2022-12-15 日亜化学工業株式会社 SmFeN系異方性磁性粉末およびボンド磁石、ならびにそれらの製造方法

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