JP3300570B2 - 耐食性のすぐれたR−Fe−B−C系永久磁石材料の製造方法 - Google Patents
耐食性のすぐれたR−Fe−B−C系永久磁石材料の製造方法Info
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Description
む希土類元素のうち、少なくとも1種を含有)、Fe、
B、Cを主成分とする永久磁石材料の製造方法に係り、
R、Fe、B、Cを主成分とする合金溶湯を単ロール法
あるいは双ロール法等のストリップキャスティング法に
て特定板厚のRリッチ相が微細に分離した均質組織を有
する鋳片を得、これを粗粉砕し、潤滑剤を添加配合後、
微粉末化することにより、効率のよい微粉砕を可能に
し、微粉末にパルス磁界をかけて配向させた後、成形し
て焼結することにより、すぐれた耐食性及び配向性を有
し、すぐれた磁気特性を有する耐食性のすぐれたR−F
e−B−C系永久磁石材料を得る製造方法に関する。
−Fe−B系永久磁石(特開昭59−46008号)
は、三元系正方晶化合物の主相とRリッチ相を有する組
織にて高い磁石特性が得られ、一般家庭の各種電器製品
から大型コンピュータの周辺機器まで幅広い分野で使用
され、用途に応じた種々の磁石特性を発揮するよう種々
の組成のR−Fe−B系永久磁石が提案されている。
れた磁気特性を有するが、耐食性、温度特性の点で問題
があり、従来よりR−Fe−B系永久磁石の耐食性の改
善のため、磁石表面に耐食性金属膜や樹脂膜を被覆する
方法が提案され(特開昭60−54406号公報、特開
昭60−63901号公報)、また磁石の磁気特性の温
度特性の改善のため、磁石のFeの1部をCoにて置換
して、組成的に種々検討されているが(特開昭59−6
4733号公報)、未だ十分ではなかった。
で置換して耐食性のすぐれた粒界相を生成せしめて、耐
食性のすぐれ、温度特性の改善向上を計ったR−Fe−
B−C系磁石が提案(特開平3−82744号公報)さ
れている。前記R−Fe−B−C系磁石は、合金溶湯を
鋳型に鋳込んで鋳塊を作製後、該鋳塊を粉砕、成型、焼
結、時効処理の粉末冶金法により磁石化したり、あるい
は前記鋳塊または鋳塊の粉砕後の粗粉を溶体化処理後、
粉砕して、前記の粉末冶金法により磁石化して耐食性及
び温度特性の改善向上を図ったものである。
e−B系永久磁石材料に対するコストダウンの要求が強
く、効率よく高性能永久磁石材料を製造することが極め
て重要になっている。また、極限に近い特性を引き出す
ための製造条件の改良が必要となっている。さらに、今
日の電気、電子機器の小型・軽量化ならびに(BH)m
ax40MGOe以上の高機能化の要求は強く、R−F
e−B系永久磁石のより一層の高性能化とコストダウン
が要求されている。
したR−Fe−B−C系磁石の主相はR2Fe14B正方
晶化合物のBの1部がCで置き換わったR2Fe14(B
1-xCx)正方晶化合物となり、結晶構造は変化しない。
R−Fe−B−C系焼結磁石の残留磁束密度(Br)を
高めるためには、1)強磁性相であり、主相のR2Fe
14(B1-xCx)相の含有量を多くすること、2)焼結体
の密度を主相の理論密度まで高めること、3)さらに主
相結晶粒の磁化容易軸方向の配向度を高めることが要求
される。
磁石の組成を上記R2Fe14(B1-xCx)の化学量論的
組成に近づけることが重要であるが、上記組成の合金を
溶解し、鋳型に鋳造した合金塊を、出発原料としてR−
Fe−B−C系焼結磁石を作製しようとすると、合金塊
に晶出したα−Feや、Rリッチ相が局部的に遍在して
いることなどから、特に微粉砕時に粉砕が困難となり、
組成ずれを生ずる等の問題があった。
砕法の場合は、前記α−Feが存在するため、微粉砕時
の粉砕能率が悪く、しかも微粉砕後の粉末の粒度分布が
ブロードとなり、またR−rich相が局部的に遍在し
ているため、焼結磁石の結晶組織が粗大となり、高い磁
石特性が得られない。そのため、合金塊もしくは合金を
粉砕した粗粉を均質化し、α−Feを消失させるため溶
体化処理を行うが、コストアップにつながるだけでな
く、主相結晶粒の粗大化とRリッチ相の偏析も進むため
焼結磁石の磁石特性を向上させることは困難となる。
かつ耐食性に優れ、しかも磁石の結晶粒の微細化により
高いiHcを発現し、さらに各結晶粒の磁化容易方向の
配向度を高めて、高い(BH)max値が得られる耐食
性のすぐれた高性能R−Fe−B−C系永久磁石材料の
製造方法の提供を目的とする。
e−B−C系合金を出発原料として、微粉砕能率の向
上、かつ耐食性にすぐれ、焼結磁石の磁気特性、特にi
Hcの向上を目的に、粉砕方法について種々検討した結
果、ストリップキャスティング法により得られた組織が
微細かつ均等なR−Fe−B−C系合金を粗粉砕後、粗
粉砕した合金粉末に潤滑剤を添加配合後、微粉砕した場
合、微粉砕能は従来の約2倍にも向上し、かつ微粉末に
パルス磁界をかけて配向させた後、成形して焼結するこ
とにより、焼結磁石の磁気特性の(BH)max及びi
Hcが一段と向上することを知見した。
た特定板厚のRリッチ相が微細に分離した組織を有する
特定組成のR−Fe−B−C系合金を粗粉砕後、粗粉砕
粉に潤滑剤を添加配合して微粉砕することによって、合
金塊を構成している主相の結晶粒を細分化することが可
能となり、粒度分布が均一で、しかも流動性に優れた粉
末を作製することができる。粗粉砕方法としてはH2吸
蔵崩壊法が好ましく、Rリッチ相が微細に分離した組織
を有するR−Fe−B−C系合金にH2吸蔵させると、
微細に分散されたRリッチ相が水素化物を生成して体積
膨張することにより、前記合金を自然崩壊させることが
できることを知見した。
れ、しかもR2Fe14(B1-xCx)相が微細であること
が重要である。しかし、通常の鋳型を用いて合金塊を溶
製する方法では、合金組成をR2Fe14(B1-xCx)の
化学量論的組成に近づけた場合、Fe初晶の晶出が避け
難く、次工程の微粉砕能を大きく低下させる要因になっ
てしまう。そのため、合金塊を均質化させる目的で熱処
理を加えて、α−Feを消失させる手段が取られるが、
コストアップを招来し主相結晶粒の粗大化と、Rリッチ
相の偏析も進むため、焼結磁石の磁気特性向上を図るこ
とが困難となる。
る、すなわち、配向度を高めることも高Br化を達成す
るための必須条件であるため、粉末冶金的手法で製造さ
れる永久磁石材料、たとえば、ハードフェライト磁石、
Sm−Co磁石ならびにR−Fe−B磁石では、その粉
末を磁界中でプレスする方式が採られている。しかしな
がら、配向度を高めることを目的に、磁界を発生するた
めに通常のプレス装置(油圧プレス、機械プレス)に配
置されている磁界発生源のコイルおよび電源を検討する
と、高々10kOe〜20kOeの磁界しか発生するこ
とができず、より高い磁界を発生させるためには、コイ
ルの巻数を多くする必要があり、また高い電源を必要と
するための装置の大型化を必要とする。
体のBrとの関係を解析したところ、磁界強度を高くす
ればする程、高Br化でき、瞬間的に強磁界を発生させ
ることが可能なパルス磁界を用いることによって、より
一層高Br化できることを知見した。
ルド内への充填性の向上、配向性の向上について検討を
加えた結果、H2吸蔵、脱H2処理したストリップキャス
ト薄帯より得られた粗粉砕粉に、固状潤滑剤あるいは液
状潤滑剤を添加配合後、不活性ガス気流中にてジェット
ミル粉砕して、平均粒径1〜5μmに微粉砕することに
より、モールド内への充填性及び磁気配向性のすぐれた
微粉末が得られることを知見し、さらに、この微粉末を
用いて、パルス磁界で瞬間的に配向させるとより一層高
Br化でき、また、粉末を冷間静水圧プレスによって成
形したり、パルス磁界と電磁石による静磁界との組み合
せによって、磁界中プレス成形することにより、耐食性
のすぐれ、磁気特性のすぐれた高性能R−Fe−B−C
系永久磁石材料を得ることが可能であることを知見し、
この発明を完成した。
含む希土類元素のうち、少なくとも1種)10at%〜
30at%、B+C=4〜15at%、但しB2at%
以下、残部Fe(但しFeの1部をCo、Niの1種ま
たは2種にて置換できる)及び不可避的不純物からなる
合金溶湯を、ストリップキャスティング法にて、例えば
板厚0.03mm〜10mmの薄板で、短軸方向の寸法
が0.1μm〜50μm、長軸方向の寸法が5μm〜2
00μmのR 2 Fe 14 (B 1-x C x )微細結晶を主相と
し、Rリッチ相が10μm以下に微細に分離した組織を
有する鋳片に鋳造後、該鋳片を粗粉砕して得た、例えば
平均粒度10〜500μmの粗粉砕粉に液状潤滑剤また
は固状潤滑剤を0.02〜5.0wt%添加混合して微
粉砕し、得られた、例えば平均粒径1〜10μmの微粉
末をモールド内に充填密度、例えば1.4〜3.5g/
cm3に充填し、瞬間的に10kOe以上のパルス磁界
をかけて配向させた後、成形、焼結、時効処理すること
を特徴とする耐食性のすぐれたR−Fe−B−C系永久
磁石材料の製造方法である。
たR−Fe−B−C系永久磁石材料の製造方法の構成に
おいて、粗粉砕粉はH2吸蔵崩壊法により得られたこと
を特徴とする、液状潤滑剤に少なくとも1種の脂肪酸エ
ステルを溶剤にて溶解したものを使用したことを特徴と
する、固状潤滑剤にステアリン酸亜鉛、ステアリン酸
銅、ステアリン酸アルミニウム、エチレンビニアマイド
の少なくとも1種を使用したことを特徴とする、印加す
るパルス磁界は磁界方向を同一方向に印加することを特
徴とする、印加するパルス磁界は磁界方向を繰り返し反
転させて印加することを特徴とする、各製造方法を併せ
て提案する。
石の磁気特性は、組成、製造条件等を適宜選択すること
により所要の磁気特性を得ることができる。以下に詳述
する。この発明の特定組成のRリッチ相が微細に分離し
た組織を有する磁石材料の鋳片は、特定組成の合金溶湯
を単ロール法、あるいは双ロール法によるストリップキ
ャスティング法にて製造される。得られた鋳片は板厚が
0.03mm〜10mmの薄板材であり、所望の鋳片板
厚により、単ロール法と双ロール法を使い分けるが、板
厚が厚い場合は双ロール法を、また板厚が薄い場合は単
ロール法を採用したほうが好ましい。
定した理由は、0.03mm未満では急冷効果が大とな
り、結晶粒径が3μmより小となり、粉末化した際に酸
化しやすくなるため、磁気特性の劣化を招来するので好
ましくなく、また10mmを超えると、冷却速度が遅く
なり、α−Feが晶出しやすく、結晶粒径が大となり、
Ndリッチ相の偏在も生じるため、磁気特性が低下する
ので好ましくないことによる。
より得られた特定組成のR−Fe−B−C系合金の断面
組織は主相のR2Fe14(B1-xCx)結晶が従来の鋳型
に鋳造して得られた鋳塊のものに比べて、約1/10以
下も微細であり、例えば、その短軸方向の寸法は0.1
μm〜50μm、長軸方向は5μm〜200μmの微細
結晶であり、かつその主相結晶粒を取り囲むようにRリ
ッチ相が微細に分散されており、局部的に偏在している
領域においても、その大きさは20μm以下である。
ることによって、H2吸蔵処理時にRリッチ相が水素化
物を生成した際の体積膨張が均一に発生して細分化され
るため、微粉砕にて主相の結晶粒が細分化されて粒度分
布の均一な微粉末が得られる。前記鋳片はそのままでH
2吸蔵処理してもよいが、所要の大きさに破断して、金
属面を露出させてH2吸蔵処理したほうが好ましい。
破断した0.03mm〜10mm厚みの鋳片を原料ケー
ス内に挿入し、上記原料ケースを蓋を締めて密閉できる
容器内に装入して密閉したのち、容器内を十分に真空引
きした後、200Torr〜50kg/cm2の圧力の
H2ガスを供給して、該鋳片にH2を吸蔵させる。このH
2吸蔵反応は、発熱反応であるため、容器の外周には冷
却水を供給する冷却配管が周設して容器内の昇温を防止
しながら、所定圧力のH2ガスを一定時間供給すること
により、H2ガスが吸収されて該鋳片は自然崩壊して粉
化する。さらに、粉化した合金を冷却したのち、真空中
で脱H2ガス処理する。前記処理の合金粉末は粒内に微
細亀裂が内在するので、ボール・ミル、ジェットミル等
で短時間で微粉砕され、1μm〜10μmの所要粒度の
合金粉末を得ることができる。
不活性ガスで空気を置換し、その後H2ガスで不活性ガ
スを置換してもよい。また、鋳片の破断大きさは、小さ
いほど、H2粉砕の圧力を小さくでき、また、H2ガス圧
力は、減圧下でも破断した鋳片はH2吸収し粉化される
が、圧力が大気圧より高くなるほど、粉化されやすくな
る。しかし、200Torr未満では粉化性が悪くな
り、50kg/cm2を超えるとH2吸収による粉化の点
では好ましいが、装置や作業の安全性からは好ましくな
いため、H2ガス圧力は200Torr〜50kg/c
m2とする。量産性からは、2kg/cm2〜10kg/
cm2が好ましい。この発明において、H2吸蔵による粉
化の処理時間は、前記密閉容器の大きさ、破断片の大き
さ、H2ガス圧力により変動するが、5分以上は必要で
ある。
後、真空中で1次の脱H2ガス処理する。さらに、真空
中またはアルゴンガス中において、粉化合金を100℃
〜750℃に加熱し、0.5時間以上の2次脱H2ガス
処理すると、長期保存に伴う粉末あるいはプレス成形体
の酸化を防止して、得られる永久磁石の磁気特性の低下
を防止できる。この発明による100℃以上に加熱する
脱水素処理は、すぐれた脱水素効果を有しているために
上記の真空中での1次脱水素処理を省略し、崩壊粉を直
接100℃以上の真空中またはアルゴンガス雰囲気中で
脱水素処理してもよい。
でH2吸蔵・崩壊反応させた後、得られた崩壊粉を続い
て同容器の雰囲気中で100℃以上に加熱する脱水素処
理を行うことができる。あるいは、真空中での脱水素処
理後、処理容器から取り出して崩壊粉を微粉砕したの
ち、再度処理容器で100℃以上に加熱するこの発明の
脱水素処理を施してもよい。
00℃未満では崩壊合金粉内に残存するH2を除去する
のに長時間を要して量産的でない。また、750℃を超
える温度では液相が出現し、粉末が固化してしまうた
め、微粉砕が困難になったり、プレス時の成形性を悪化
させるので、焼結磁石の製造の場合には好ましくない。
また、焼結磁石の焼結性を考慮すると、好ましい脱水素
処理温度は200℃〜600℃である。また、処理時間
は処理量によって変動するが0.5時間以上は必要であ
る。
崩壊法により得られた平均粒径10μm〜500μmの
粗粉砕粉に、液状潤滑剤または固状潤滑剤を0.02〜
5wt%添加混合後、特に不活性気流中にてジェットミ
ル粉砕して、平均粒径1〜10μmの微粉末を得ること
にある。この発明における液状潤滑剤としては、飽和あ
るいは不飽和脂肪酸エステル、ならびに酸性塩としてほ
う酸エステルなどを用いることが可能で、石油系溶剤や
アルコール系の溶剤に分散させたものである。液状油滑
剤中の脂肪酸エステル量は5wt%〜50wt%が好ま
しい。
は、一般式 R=CnH2n (アルケン) RCOOR′ または R=CnH2n-2 (アルキン) で示される。
亜鉛、ステアリン酸銅、ステアリン酸アルミニウム、エ
チレンビニアマイドなどの少なくとも1種であり、固状
潤滑剤の平均粒度は1μm未満では工業的に生産するこ
とが困難で、また、50μmを超えると粗粉砕粉と均一
に混合することが難しいので、平均粒度としては1μm
〜50μmが好ましい。
潤滑剤の添加量は、0.02wt%未満では粉末粒子へ
の均一な被覆が十分でなく、モールド充填性や結晶配向
性の改善向上が認められず、また、5wt%を超えると
潤滑剤中の不揮発残分が焼結体中に残存して、焼結密度
の低下を生じ、磁気特性の劣化を招来するので好ましく
なく、潤滑剤の添加量は0.02wt%〜5wt%とす
る。
限定した理由は、平均粒度が10μm未満では原料粉末
を大気中で安全に取り扱うことが困難であり、原料粉末
の酸化により磁気特性が劣化するので好ましくなく、ま
た、500μmを超えるとジェットミル粉砕機への原料
粉末の供給が困難となり、粉砕能率を著しく低下するの
で好ましくないため、粗粉砕粉の平均粒度は10μm〜
500μmとする。
2、Ar)によるジェット・ミルにて微粉砕を行う。勿
論、有機溶媒(例えば、ベンゼンやトルエン等)を用い
たボールミルや、アトライター粉砕を用いることも可能
である。
は、1μm未満では粉末は極めて活性となり、プレス成
形などの工程において発火する危険性があり、磁気特性
の劣化を生じ好ましくなく、また、10μmを超えると
焼結により得られる永久磁石の結晶粒が大きくなり、容
易に磁化反転が起こり、保磁力の低下を招来し、好まし
くないため、1μm〜10μmの平均粒度とする。好ま
しい平均粒度は2.5μm〜4μmである。
提案する。微粉砕した粉末を不活性ガス雰囲気中でモー
ルドに充填する。モールドは非磁性の金属、酸化物、セ
ラミックスなどから作製したもののほか、プラスチック
やゴムなどの有機化合物でもよい。粉末の充填密度は、
その粉末の静止状態の嵩密度(充填密度1.4g/cm
3)から、タッピング後の嵩密度(充填密度3.5g/
cm3)の範囲が好ましい。従って充填密度1.4〜
3.5g/cm3に限定する。
ル、コンデンサー電源によるパルス磁界を加えて該粉末
の配向を行うが、配向の際、上下パンチを用いて圧縮を
行いながら、パルス磁界を加えて実施する。パルス磁界
の強度は大きければ大きいほど良く、最低10kOe以
上は必要とする。好ましいパルス磁界強度は20kOe
〜60kOeである。また、パルス磁界による配向とプ
レスとを連続的に行うためには、ダイス内部にパルス磁
界を発生させるコイルを埋め込み、パルス磁界を用いて
配向させた後、通常の磁界中プレス方法で成形すること
が可能である。
するほか、繰り返し印加することができる。繰り返し印
加する場合、磁界方向が所要方向のみのほか、磁界方向
を交互に反転させて印加することにより配向性を一層向
上させることが可能となり、さらには、同一の磁界強度
で繰り返し印加するほか、磁界強度を漸次減少させて印
加することができ、磁界方向を交互に反転させて印加す
る場合に強度を漸次減少させることにより、成形体を見
掛け上、脱磁することができ、成形体の取扱いが容易に
なる利点がある。パルス磁界の時間は、1μsec〜1
0secが好ましく、さらには5μsec〜100ms
ecが好ましく、パルス磁界の印加回数は1〜10回、
さらに、好ましくは1〜5回である。
配向性の向上度合いを考慮して、上記印加方法、印加回
数、パルス磁界強度、印加時間を適宜選定する必要があ
る。例えば、この発明による製造方法において、印加す
るパルス磁界が1回である場合、最大エネルギー積(B
H)maxが40MGOe以上の値を示す高性能R−F
e−B−C系永久磁石材料を得ることが可能であり、複
数回交互に反転する場合は前記特性値は44MGOe以
上、複数回交互に反転し、磁界強度が漸次減少させる場
合は前記特性値は42MGOe以上の値を示す高性能R
−Fe−B−C系永久磁石材料を得ることが可能であ
る。
プレスにて圧縮成形で行なうことが最も好ましく、この
際、可塑性のあるモールドの硬度や厚みを適宜選定する
必要があり、種々の形状品をはじめとして大型磁石材料
の製造も可能である。静水圧プレス条件としては、1.
0ton/cm2〜3.0ton/cm2の加圧力が好ま
しく、モールドの硬度はHs=20〜80が好ましい。
その場合の静磁場の磁場強度は、5〜20kOeが好ま
しい。また、静水圧プレスを静磁界中で行うこともで
き、例えば、配向に際して、同一の磁界強度で繰り返し
反転させて印加した後、配向後の粉体に静磁界中で静水
圧プレスを施すことにより、前記特性値は46MGOe
以上の値を示す高性能R−Fe−B−C系永久磁石材料
を得ることが可能である。
ど条件、方法は公知のいずれの粉末冶金的手段を採用す
ることができる。以下に好ましい条件の一例を示す。焼
結前には、真空中で加熱する一般的な方法や、水素流気
中で100〜200℃/時間で昇温し、300〜600
℃で1〜2時間程度保持する方法などにより脱バインダ
ー処理を行なうことが好ましい。脱バインダー処理を施
すことにより、バインダー中のほぼ全炭素が脱炭され、
磁気特性の向上に繋がる。なお、R元素を含む合金粉末
は、水素を吸蔵しやすいために、水素流気中での脱バイ
ンダー処理後には脱水素処理工程を行なうことが好まし
い。脱水素処理は、真空中で昇温速度は、50〜200
℃/時間で昇温し、500〜900℃で1〜2時間程度
保持することにより、吸蔵されていた水素はほぼ完全に
除去される。
熱して焼結を行うことが好ましく、500℃を超えてか
らの昇温速度は任意に選定すればよく、例えば100〜
300℃/時間など、焼結に際して取られる公知の昇温
方法を採用できる。配向後の成形品の焼結並びに焼結後
の熱処理条件は、選定した合金組成に応じて適宜選定さ
れるが、焼結並びに焼結後の熱処理条件としては、10
00〜1180℃、1〜6時間保持する焼結工程、45
0〜950℃、1〜8時間保持する時効処理工程などが
好ましい。
−C系永久磁石合金用鋳片の組成限定理由を説明する。
この発明の永久磁石合金用鋳片に含有される希土類元素
Rはイットリウム(Y)を包含し、軽希土類及び重希土
類を包含する希土類元素である。Rとしては、軽希土類
をもって足り、特にNd,Prが好ましい。また通常R
のうち1種もって足りるが、実用上は2種以上の混合物
(ミッシユメタル、ジジム等)を入手上の便宜等の理由
により用いることができ、Sm,Y,La,Ce,Gd
等は他のR、特にNd,Pr等との混合物として用いる
ことができる。なお、このRは純希土類元素でなくても
よく、工業上入手可能な範囲で製造上不可避な不純物を
含有するものでも差し支えない。
する合金鋳片の必須元素であって、10原子%未満では
高磁気特性、特に高保磁力が得られず、30原子%を越
えると残留磁束密度(Br)が低下して、すぐれた特性
の永久磁石が得られない。よって、Rは10原子%〜3
0原子%の範囲とする。
を製造する合金鋳片の必須元素であって、B+Cが4原
子%未満では高い保磁力(iHc)は得られず、15%
原子を越えると残留磁束密度(Br)が低下するため、
すぐれた永久磁石が得られず、また、Bが2at%以上
では焼結磁石の高耐食性が得られない。よって、B+C
は4原子%〜15原子%且つB2at%以下の範囲とす
る。
(Br)が低下し、86%原子を超えると高い保磁力が
得られないので、Feは55原子%〜86原子%に限定
する。また、Feの一部をCo、Niの1種又は2種で
置換する理由は、永久磁石の温度特性を向上させる効果
及び更に耐食性を向上させる効果が得られるためである
が、Co、Niの1種又は2種はFeの50%を越える
と高い保磁力が得られず、すぐれた永久磁石が得られな
い。よって、Co、Niの1種または2種の置換はFe
の50%を上限とする。
留磁束密度と高い保磁力を共に有するすぐれた永久磁石
を得るためには、R12原子%〜18原子%、B+C=
5〜10at%、B2at%以下、Fe72原子%〜8
3原子%が好ましい。また、この発明による磁石合金鋳
片は、C、R、B、Feの他、工業的生産上不可避的不
純物の存在を許容できるが、B+Cの一部を3.5原子
%以下のP、2.5原子%以下のS、3.5原子%以下
のCuのうち少なくとも1種、合計量で4.0原子%以
下で置換することにより、磁石合金の製造性改善、低価
格化が可能である。
R−Fe−B−C合金に、9.5原子%以下のAl、
4.5原子%以下のTi、9.5原子%以下のV、8.
5原子%以下のCr、8.0原子%以下のMn、5原子
%以下のBi、12.5原子%以下のNb、10.5原
子%以下のTa、9.5原子%以下のMo、9.5原子
%以下のW、2.5原子%以下のSb、7原子%以下の
Ge、7at%以下のGa、3.5原子%以下のSn、
5.5原子%以下のZr、5.5原子%以下のHfのう
ち少なくとも1種添加含有させることにより、永久磁石
合金の高保磁力が可能になる。この発明のR−B−Fe
−C系永久磁石において、結晶相は主相が正方晶である
ことが不可欠であり、特に、微細で均一な合金粉末を得
て、すぐれた磁気特性を有する焼結永久磁石を作成する
のに効果的である。
特定板厚の特定組成を有するR−Fe−B−C系合金を
粗粉砕後、得られた粗粉砕粉に特定の潤滑剤を添加後、
ジェットミル微粉砕することにより、合金塊を構成して
いる主相の結晶粒を細分化することが可能となり、粒度
分布が均一な粉末を作製することができ、この際Rリッ
チ相が微細に分散され、かつR2Fe14(B1-xCx)相
も微細化された合金粉末に潤滑剤を添加配合後微粉砕し
た場合、微粉砕能は従来の約2倍にも向上するため、製
造効率が大幅に向上するとともに、前記微粉末を型内に
てパルス磁界を用いて瞬間的に配向した後、プレス、焼
結することにより、モールド充填性及び結晶配向性が改
善され、耐食性及び磁気特性のすぐれたR−Fe−B−
C系永久磁石が得られる。
1.0Dy−10Co−1.5B−5.5C−68.5
Feの合金溶湯を直径200mmの銅製ロール2本を併
設した双ロール式ストリップキャスターを用い、板厚約
0.3mmの薄板状鋳片を得た。前記鋳片内の結晶粒径
は短軸方向の寸法0.5μm〜15μm、長軸方向寸法
は5μm〜80μmであり、Rリッチ相は主相を取り囲
むように3μm程度に微細に分離して存在する。前記鋳
片を50mm角以下に破断後、前記破断片1000gを
吸排気可能な密閉容器内に収容し、前記容器内にN2ガ
スを30分間流入して、空気と置換した後、該容器内に
3kg/cm2のH2ガスを2時間供給してH2吸蔵によ
り鋳片を自然崩壊させて、その後真空中で脱H2処理し
た後、室温まで冷却し、さらに100メッシュまで粗粉
砕した。
gに液状潤滑剤として脂肪酸エステル(有効成分50%
シクロヘキサン50%)を1wt%添加後、ジェット
ミルで粉砕して平均粒度3.5μmの合金粉末を得た。
得られた粉末を硬度Hs=40のウレタン製のゴム型
(内径φ25×高さ20mm)に3.3g/cm3の充
填密度になるように充填後、パルス磁界の強度40kO
eで、1回、8/100秒間で印加して配向させた後、
配向後の試料をプレス圧1.2ton/cm2にて冷間
静水圧プレスして成型体を得た。型から取り出した成形
体を1040℃で3時間に条件にて焼結し、900℃で
1時間の時効処理を行って、永久磁石を得た。得られた
永久磁石の磁気特性と耐食性を表1に表す。
3.5μmの合金微粉末を、実施例1と同一条件で永久
磁石を製造する際に、パルス磁界を20kOe〜80k
Oeと種々変化させた場合、得られた永久磁石の最大エ
ネルギー積値(BH)max(MGOe)を調べ、パル
ス磁界強度との関係として図2に破線にて示す。
実施例1と同一条件にてH2吸蔵処理して得られた崩壊
合金粉末を真空中で500℃に5時間加熱保持して、脱
H2処理した後、20μmの粗粉砕粉に固状潤滑剤とし
てステアリン酸亜鉛を0.1wt%添加配合後、7kg
/cm2のArガス中にてジェットミル微粉砕、実施例
1と同様に約40kOeのパルス磁界を1回、8/10
0秒間で印加して配向後、冷間静水圧成形した後、焼
結、時効処理を行って永久磁石を得た。得られた永久磁
石の磁気特性と耐食性を表1に表す。
mm×200mmの鋳型に鋳込んで得られた鋳塊を50
mm角以下に破断した後、前記破断片を実施例1と同一
条件のH2吸蔵処理、脱H2処理を行った後、潤滑剤を添
加することなく、実施例1と同一条件にて微粉砕、磁界
中プレス、焼結、時効処理を行って、永久磁石を得た。
鋳塊の結晶粒径は短軸方向30μm、長軸方向300μ
mであり、Rリッチ相は局部的に60μm程度の大きさ
で点在した。得られた磁気特性と耐食性の結果を表1に
表す。また、得られた微粉砕粉の粒度分布を図1に示
す。
活性ガス雰囲気中で900℃×10時間の溶体処理をし
た後、前記破断片を実施例3と同一条件のH2吸蔵処理
と加熱脱H2処理を行い、潤滑剤を添加することなく実
施例1と同一条件の微粉砕後に、磁界中プレス、焼結、
時効処理を行って永久磁石を得た。得られた磁気特性と
耐食性の結果を表1に表す。また、得られた微粉砕粉の
粒度分布を図1に示す。
活性ガス雰囲気中で900℃×10時間の溶体処理をし
た後、実施例3と同一条件にてH2吸蔵脱H2処理して、
20μmの粗粉砕粉に実施例1と同一の潤滑剤を添加
し、ジェットミルにて微粉砕して平均粒度3.5μmの
合金粉末を得、これを約40kOeのパルス磁界を1
回、8/100秒間で印加して配向後、圧縮成形した
後、焼結、時効処理を行って永久磁石を得た。得られた
磁気特性と耐食性の結果を表1に表す。
以外は実施例1と同一条件、方法で永久磁石を得た。得
られた磁気特性と耐食性の結果を表1に示す。
8/100秒間で4回印加して配向する以外は全く同一
条件で永久磁石を製造した。4回印加して得られた磁気
特性の結果を表2に表す。また、得られた永久磁石の最
大エネルギー積値(BH)max(MGOe)とパルス
磁界回数、1回目、2回目、3回目、4回目との関係を
図3に示す。
8/100秒間で4回交互に磁界方向を反転させて印加
して配向する以外は全く同一条件で永久磁石を製造し
た。4回印加して得られた得られた磁気特性の結果を表
2に表す。また、得られた永久磁石の最大エネルギー積
値(BH)max(MGOe)とパルス磁界回数、1回
目、2回目、3回目、4回目との関係を図3に示す。さ
らに、上記同一条件で永久磁石を製造する際に、パルス
磁界回数を4回としパルス磁界を20kOe〜80kO
eと種々変化させた場合、得られた永久磁石の最大エネ
ルギー積値(BH)max(MGOe)を調べ、パルス
磁界強度との関係として図2に実線にて示す。
し、4回交互にパルス磁界方向を反転させて印加して配
向した後、静水圧プレス装置にて約12kOeの磁界中
で2.5T/cm2の圧力で冷間静水圧プレスする以外
は全く同一条件で永久磁石を製造した。得られた磁気特
性の結果を表2に表す。
kOeの同一方向のパルス磁界を1回、10/100秒
間で4回印加して配向する以外は同一条件にて圧縮成形
した後、焼結、時効処理を行って永久磁石を得た。得ら
れた磁気特性の結果を表2に表す。
有するR−Fe−B−C系合金溶湯をストリップキャス
ティングにて特定板厚の鋳片となし、この鋳片を粗粉砕
して得られた合金粉末に特定の潤滑剤を添加配合してジ
ェットミル微粉砕することにより、合金塊を構成してい
る主相の結晶粒を細分化することが可能となり、実施例
に明らかなように粒度分布が均一な粉末を、従来の約2
倍程度の効率で作製することができ、粉砕時にRリッチ
相とR2Fe14 (B 1-x C x )相も微細化され、一方向あ
るいは反転パルス磁界を用いて静水圧プレスすることに
より磁石化すると、配向性が向上して耐食性にすぐれ、
磁気特性の極めて高いR−Fe−B−C系永久磁石が得
られる。
フである。
を示すグラフである。
を示すグラフである。
Claims (8)
- 【請求項1】 R(但しRはYを含む希土類元素のう
ち、少なくとも1種)10at%〜30at%、B+C
=4〜15at%、但しB2at%以下、残部Fe(但
しFeの1部をCo、Niの1種または2種にて置換で
きる)及び不可避的不純物からなる合金溶湯を、ストリ
ップキャスティング法にて鋳造し、短軸方向の寸法が
0.1μm〜50μm、長軸方向の寸法が5μm〜20
0μmのR 2 Fe 14 (B 1-x C x )微細結晶を主相とし、
Rリッチ相が10μm以下に微細に分離した組織を有す
る合金の鋳片を得た後、該鋳片を粗粉砕して得た粗粉砕
粉に液状潤滑剤または固状潤滑剤を0.02〜5.0w
t%添加混合して微粉砕し、得られた微粉末をモールド
内に充填し、10kOe以上のパルス磁界をかけて配向
させた後、成形、焼結、時効処理することを特徴とする
耐食性のすぐれたR−Fe−B−C系永久磁石材料の製
造方法。 - 【請求項2】 鋳片は板厚0.03mm〜10mmの薄
板である請求項1に記載の耐食性のすぐれたR−Fe−
B−C系永久磁石材料の製造方法。 - 【請求項3】 粗粉砕粉はH2吸蔵崩壊法により得られ
た請求項1に記載の耐食性のすぐれたR−Fe−B−C
系永久磁石材料の製造方法。 - 【請求項4】 粗粉砕粉は平均粒度が10〜500μm
である請求項1に記載の耐食性のすぐれたR−Fe−B
−C系永久磁石材料の製造方法。 - 【請求項5】 液状潤滑剤は少なくとも1種の脂肪酸エ
ステルを溶解したことを特徴とする請求項1に記載の耐
食性のすぐれたR−Fe−B−C系永久磁石材料の製造
方法。 - 【請求項6】 固状潤滑剤はステアリン酸亜鉛、ステア
リン酸銅、ステアリン酸アルミニウム、エチレンビニア
マイドの少なくとも1種からなることを特徴とする請求
項1に記載の耐食性のすぐれたR−Fe−B−C系永久
磁石材料の製造方法。 - 【請求項7】 印加するパルス磁界は磁界方向が同一方
向である請求項1記載の耐食性のすぐれたR−Fe−B
−C系永久磁石材料の製造方法。 - 【請求項8】 印加するパルス磁界は磁界方向を繰り返
し反転させて印加する請求項1に記載の耐食性のすぐれ
たR−Fe−B−C系永久磁石材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15837695A JP3300570B2 (ja) | 1995-05-31 | 1995-05-31 | 耐食性のすぐれたR−Fe−B−C系永久磁石材料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15837695A JP3300570B2 (ja) | 1995-05-31 | 1995-05-31 | 耐食性のすぐれたR−Fe−B−C系永久磁石材料の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08330118A JPH08330118A (ja) | 1996-12-13 |
JP3300570B2 true JP3300570B2 (ja) | 2002-07-08 |
Family
ID=15670358
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15837695A Expired - Lifetime JP3300570B2 (ja) | 1995-05-31 | 1995-05-31 | 耐食性のすぐれたR−Fe−B−C系永久磁石材料の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3300570B2 (ja) |
-
1995
- 1995-05-31 JP JP15837695A patent/JP3300570B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08330118A (ja) | 1996-12-13 |
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