JP3777199B2 - 高性能R−Fe−B系永久磁石材料の製造方法 - Google Patents

高性能R−Fe−B系永久磁石材料の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、R(但しRはYを含む希土類元素のうち、少なくとも1種を含有)、Fe、Bを主成分とする永久磁石用原料粉末の製造方法に係り、R、Fe、Bを主成分とする合金溶湯を単ロール法あるいは双ロール法等のストリップキャスティング法にて特定板厚のRリッチ相が微細に分離した均質組織を有する鋳片を得、これをR含有Fe合金のH2吸蔵性を利用して鋳片を自然崩壊させ、さらに脱H2処理して安定化させた後、潤滑剤を添加配合後、微粉末化することにより、効率のよい微粉砕を可能にし、微粉末にパルス磁界をかけて配向させた後、成形して焼結することにより、すぐれた配向性を有し、磁石特性の1つである最大エネルギー積値(BH)max(MGOe);Aと保磁力iHc(kOe)の特性値:Bの合計値A+Bが60以上の値を示す高性能R−Fe−B系永久磁石材料を得る製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、高性能永久磁石として代表的なR−Fe−B系永久磁石(特開昭59−46008号)は、三元系正方晶化合物の主相とRリッチ相を有する組織にて高い磁石特性が得られ、一般家庭の各種電器製品から大型コンピュータの周辺機器まで幅広い分野で使用され、用途に応じた種々の磁石特性を発揮するよう種々の組成のR−Fe−B系永久磁石が提案されている。
しかしながら、電気・電子機器の小型・軽量化ならびに高機能化の要求は強く、R−Fe−B系永久磁石のより一層の高性能化とコストダウンが要求されている。
【0003】
R−Fe−B系焼結磁石の残留磁束密度(Br)を高めるためには、1)強磁性相であり、主相のR2Fe14B相の存在量を多くすること、2)焼結体の密度を主相の理論密度まで高めること、3)さらに主相結晶粒の磁化容易軸方向の配向度を高めることが要求される。
すなわち、前記1)項の達成のためには、磁石の組成を上記R2Fe14Bの化学量論的組成に近づけることが重要であるが、上記組成の合金を溶解し、鋳型に鋳造した合金塊を、出発原料としてR−Fe−B系焼結磁石を作製しようとすると、合金塊に晶出したα−Feや、Rリッチ相が局部的に遍在していることなどから、特に微粉砕時に粉砕が困難となり、組成ずれを生ずる等の問題があった。
【0004】
詳述すると、前記合金塊をH2吸蔵、脱H2処理して機械的微粉砕を行う場合(特開昭60−63304号、特開昭63−33505号)、合金塊に晶出したα−Feはそのまま粉砕時に残留し、その展延性の性質のために粉砕を妨げ、また局部的に遍在したRリッチ相はH2吸蔵処理によって、水素化物を生成し、微細な粉末となるため、機械的な微粉砕時に酸化が促進されたり、またジェットミルを用いた粉砕では優先的に飛散することにより組成ずれを生ずる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
最近、鋳塊粉砕法によるR−Fe−B系合金粉末の欠点たる結晶粒の粗大化、α−Feの残留、偏析を防止するために、R−Fe−B系合金溶湯を双ロール法により、特定厚の鋳片となし、前記鋳片を通常の粉末冶金法に従って、鋳片をスタンンプミル・ジョークラッシャーなどで粗粉砕後、さらにディスクミル、ボールミル、アトライター、ジェットミルなどの粉砕法により平均粒径が3〜5μmの粉末に微粉砕後、磁場中プレス、焼結、時効処理する製造方法が提案(特開昭63−317643号公報)されている。
【0006】
しかし、前記方法では従来の鋳型に鋳造した鋳塊粉砕法の場合に比し、微粉砕時の粉砕能率の飛躍的な向上は望めず、また微粉砕時、粒界粉砕のみならず、粒内粉砕も起こるため、磁気特性の大幅の向上も達成できなかった。また、Rリッチ相が酸化に対して安定なRH2になっていないため、さらにRリッチ相の微細で表面積が大きいために耐酸化性に劣り、工程中に酸化が進み高磁石特性が得られない。
また、R−Fe−B系永久磁石材料に対するコストダウンの要求が強く、効率よく高性能永久磁石用原料粉末を製造することが極めて重要になっている。
このため、極限に近い特性を引き出すための製造条件の改良が必要となっている。
【0007】
そのため、発明者は先に、効率よい微粉砕を可能にし、かつ耐酸化性に優れ、しかも磁石の結晶粒の微細化により高いiHcを発現し、さらに各結晶粒の磁化容易方向の配向度を高めて、(BH)max値(MGOe);Aと、iHc値(kOe);Bの合計値、A+B≧60の値を示す高性能R−Fe−B系永久磁石材料の製造方法の提供を目的に、ストリップキャスティング法により得られた特定板厚のR−Fe−B系合金鋳片をH2吸蔵崩壊法により得られた粗粉砕粉を不活性ガス気流中でジェットミル粉砕して得られた微粉末を成型型内に特定の充填密度に充填後、瞬間的に特定のパルス磁界を付加して、配向後、成型、焼結、時効処理して高性能のR−Fe−B系永久磁石を得る製造方法を提案(特願平5−192886号)した。
【0008】
さらに、R−Fe−B系永久磁石の高性能化を目的に、モールド内への充填性の向上、配向性の向上等を図るために粒子の流動性改善を狙いとして、例えば、前記方法で得られた微粉末にプレス成型前に潤滑剤を添加配合しても、微粉末表面に均一に潤滑剤を被覆することは極めて困難であり、また、プレス成型時の単位当たりの重量バラツキや割れなどの不良を発生する恐れがあった。
【0009】
この発明は、上述したR−Fe−B系永久磁石材料の製造方法における問題点を解消し、微粉砕前に潤滑剤を添加配合して効率よい微粉砕を可能にし、かつ耐酸化性に優れ、しかも磁石の結晶粒の微細化により高いiHcを発現し、さらに各結晶粒の磁化容易方向の配向度を高めて、(BH)max値(MGOe);AとiHc値(kOe);Bの合計値、A+B≧60の値を示す高性能R−Fe−B系永久磁石材料の製造方法の提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、まずR−Fe−B系合金を出発原料として微粉砕能率の向上、かつ耐酸化性にすぐれ、磁石合金の磁気特性、特にiHcの向上を目的に、粉砕方法について種々検討した結果、組織が微細かつ均等なR−Fe−B系合金を水素吸蔵させた後、脱H2処理して安定化させた合金粉末に潤滑剤を添加配合後、微粉砕した場合、微粉砕能は従来の約2倍にも向上し、かつ微粉末にパルス磁界をかけて配向させた後、成形して焼結することにより、(BH)max値とiHc値の合計値が60以上の値を有し、かつ焼結磁石のiHcが向上することを知見した。
すなわち、ストリップキャスティングされた特定板厚のRリッチ相が微細に分離した組織を有する特定組成のR−Fe−B系合金にH2吸蔵させると、微細に分散されたRリッチ相が水素化物を生成して体積膨張することにより、前記合金を自然崩壊させることができ、しかも微粉砕前に潤滑剤を添加配合してから微粉砕することによって、合金塊を構成している主相の結晶粒を細分化することが可能となり、粒度分布が均一で、しかも流動性に優れた粉末を作製することができる。
【0011】
特に、この際Rリッチ相が微細に分散され、しかもR2Fe14B相が微細であることが重要である。しかし、通常の鋳型を用いて合金塊を溶製する方法では、合金組成をR2Fe14Bの化学量論的組成に近づけた場合、Fe初晶の晶出が避け難く、次工程の微粉砕能を大きく低下させる要因になってしまう。そのため、合金塊を均質化させる目的で熱処理を加えて、α−Feを消失させる手段がとられるが、主相結晶粒の粗大化と、Rリッチ相の偏析も進むため、焼結磁石のiHc向上を図ることが困難となる。
また、主相結晶粒の磁化容易軸方向を揃える、すなわち、配向度を高めることも高Br化を達成するための必須条件である。そのため、粉末冶金的手法で製造される永久磁石材料、たとえば、ハードフェライト磁石、Sm−Co磁石ならびにR−Fe−B磁石では、その粉末を磁界中でプレスする方式が採られている。
【0012】
しかしながら、磁界を発生させるために通常のプレス装置(油圧プレス、機械プレス)に配置されているコイルおよび電源では、高々10kOe〜20kOeの磁界しか発生することしかできず、より高い磁界を発生させるためには、コイルの巻数を多くする必要があり、また高い電源を必要とするための装置の大型化を必要とする。
本発明者らは、プレス時の磁界強度と焼結体のBrとの関係を解析したところ、磁界強度を高くすればする程、高Br化でき、瞬間的に強磁界を発生させることが可能なパルス磁界を用いることによって、より一層高Br化できることを知見した。
【0013】
またさらに、磁石の高性能化を目的にモールド内への充填性の向上、配向性の向上について検討を加えた結果、H2吸蔵、脱H2処理したストリップキャスト薄帯より得られた粗粉砕粉に、固状潤滑剤あるいは液状潤滑剤を添加配合後、平均粒径1〜5μmに微粉砕することにより、モールド内への充填性及び磁気配向性のすぐれた微粉末が得られることを知見し、さらに、この微粉末を用いて、パルス磁界で瞬間的に配向させるとより一層高Br化でき、また、粉末を静水圧プレスによって成形したり、パルス磁界と電磁石による静磁界との組み合せによって、磁界中プレス成形することにより、最大エネルギー積値(BH)max(MGOe);Aと保磁力iHc(kOe)の特性値:Bの合計値A+Bが60以上の値を示す高性能R−Fe−B系永久磁石材料を得ることが可能であることを知見し、この発明を完成した。
【0014】
すなわち、この発明は、
R(但しRはYを含む希土類元素のうち、少なくとも1種)10at%〜30at%、B2at%〜28at%、残部Fe(但しFeの一部をCo、Niの1種または2種にて置換できる)及び不可避的不純物からなる合金溶湯を、ストリップキャスティング法にて板厚0.03mm〜10mmの薄板で、Rリッチ相が5μm以下に微細に分散した組織を有する鋳片に鋳造後、
前記鋳片を50mm 角以下に破断した後、吸排気可能な容器に収容し、該容器内の空気をH2ガスにて置換し、該容器内に200Torr〜50kg/cm2のH2ガスを供給して得られた崩壊合金粉を100℃〜750℃に加熱して脱H2処理した後、
得られた平均粒度10〜500μmの粗粉砕粉に脂肪酸エステルを5wt%〜50wt%含む液状潤滑剤またはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸銅、ステアリン酸アルミニウムのうち少なくとも一種からなる固状潤滑剤を0.02〜5.0wt%添加混合後、
ジェットミルにより微粉砕して得た平均粒径1〜10μmの微粉末をモールド内に充填密度1.4〜3.5g/cm3に充填し、
瞬間的に10kOe以上のパルス磁界を、磁界方向を繰り返し反転かつ強度を漸次減少させて印加し配向させた後、成形し、焼結、時効処理することにより、最大エネルギー積値(BH)max;Aと保磁力iHc(kOe)の特性値;Bの合計値A+Bが60.5以上の値を示すR-Fe-B系永久磁石材料を得ることを特徴とする高性能R-Fe-B系永久磁石材料の製造方法である。
【0016】
またさらに、この発明は、上記構成において
冷間静水圧プレスにて成型するR-Fe-B系永久磁石材料の製造方法、
冷間静水圧プレスを静磁界中で行うR-Fe-B系永久磁石材料の製造方法を併せて提案する。
【0017】
この発明によるR−Fe−B系永久磁石の磁気特性は、BH(max)が50MGOe以上の場合は、iHcは10kOe以上であり、又BH(max)が45MGOe以上の場合は、iHcは15kOe以上で、組成、製造条件等を適宜選択することにより所要の磁気特性を得ることができる。
【0018】
この発明の特定組成のRリッチ相が微細に分離した組織を有する磁石材料の鋳片は、特定組成の合金溶湯を単ロール法、あるいは双ロール法によるストリップキャスティング法にて製造される。得られた鋳片は板厚が0.03mm〜10mmの薄板材であり、所望の鋳片板厚により、単ロール法と双ロール法を使い分けるが、板厚が厚い場合は双ロール法を、また板厚が薄い場合は単ロール法を採用したほうが好ましい。
鋳片の板厚を0.03mm〜10mmに限定した理由は、0.03mm未満では急冷効果が大となり、結晶粒径が3μmより小となり、粉末化した際に酸化しやすくなるため、磁気特性の劣化を招来するので好ましくなく、また10mmを超えると、冷却速度が遅くなり、α−Feが晶出しやすく、結晶粒径が大となり、Ndリッチ相の偏在も生じるため、磁気特性が低下するので好ましくないことによる。
【0019】
この発明のストリップキャスティング法により得られた特定組成のR−Fe−B系合金の断面組織は主相のR2Fe14B結晶が従来の鋳型に鋳造して得られた鋳塊のものに比べて、約1/10以上も微細であり、例えば、その短軸方向の寸法は0.1μm〜50μm、長軸方向は5μm〜200μmの微細結晶であり、かつその主相結晶粒を取り囲むようにRリッチ相が微細に分散されており、局部的に偏在している領域においても、その大きさは20μm以下である。
Rリッチ相が5μm以下に微細に分離することによって、H2吸蔵処理時にRリッチ相が水素化物を生成した際の体積膨張が均一に発生して細分化されるため、微粉砕にて主相の結晶粒が細分化されて粒度分布の均一な微粉末が得られる。前記鋳片はそのままでH2吸蔵処理してもよいが、所要の大きさに破断して、金属面を露出させてH2吸蔵処理したほうが好ましい。
【0020】
H2吸蔵処理には、例えば、実施例に示すごとく 50mm 角以下の所定大きさに破断した0.03mm〜10mm厚みの鋳片を原料ケース内に挿入し、上記原料ケースを蓋を締めて密閉できる容器内に装入して密閉したのち、容器内を十分に真空引きした後、200Torr〜50kg/cm2の圧力のH2ガスを供給して、該鋳片にH2を吸蔵させる。
このH2吸蔵反応は、発熱反応であるため、容器の外周には冷却水を供給する冷却配管が周設して容器内の昇温を防止しながら、所定圧力のH2ガスを一定時間供給することにより、H2ガスが吸収されて該鋳片は自然崩壊して粉化する。さらに、粉化した合金を冷却したのち、真空中で脱H2ガス処理する。
前記処理の合金粉末は粒内に微細亀裂が内在するので、ボール・ミル、ジェットミル等で短時間で微粉砕され、1μm〜10μmの所要粒度の合金粉末を得ることができる。
【0021】
この発明において、上記処理容器内を予め不活性ガスで空気を置換し、その後H2ガスで不活性ガスを置換してもよい。
また、鋳塊の破断大きさは、小さいほど、H2粉砕の圧力を小さくでき、また、H2ガス圧力は、減圧下でも破断した鋳塊はH2吸収し粉化されるが、圧力が大気圧より高くなるほど、粉化されやすくなる。しかし、200Torr未満では粉化性が悪くなり、50kg/cm2を超えるとH2吸収による粉化の点では好ましいが、装置や作業の安全性からは好ましくないため、H2ガス圧力は200Torr〜50kg/cm2とする。量産性からは、2kg/cm2〜10kg/cm2が好ましい。
この発明において、H2吸蔵による粉化の処理時間は、前記密閉容器の大きさ、破断塊の大きさ、H2ガス圧力により変動するが、5分以上は必要である。
【0022】
2吸蔵により粉化した合金粉末を冷却後、真空中で1次の脱H2ガス処理する。さらに、真空中またはアルゴンガス中において、粉化合金を100℃〜750℃に加熱し、0.5時間以上の2次脱H2ガス処理すると、粉化合金中のH2ガスは完全に除去できるとともに、長期保存に伴う粉末あるいはプレス成形体の酸化を防止して、得られる永久磁石の磁気特性の低下を防止できる。
この発明による100℃以上に加熱する脱水素処理は、すぐれた脱水素効果を有しているために上記の真空中での1次脱水素処理を省略し、崩壊粉を直接100℃以上の真空中またはアルゴンガス雰囲気中で脱水素処理してもよい。
【0023】
すなわち、前述したH2吸蔵反応用容器内でH2吸蔵・崩壊反応させた後、得られた崩壊粉を続いて同容器の雰囲気中で100℃以上に加熱する脱水素処理を行うことができる。あるいは、真空中での脱水素処理後、処理容器から取り出して崩壊粉を微粉砕したのち、再度処理容器で100℃以上に加熱するこの発明の脱水素処理を施してもよい。
上記の脱水素処理における加熱温度は、100℃未満では崩壊合金粉内に残存するH2を除去するのに長時間を要して量産的でない。また、750℃を超える温度では液相が出現し、粉末が固化してしまうため、微粉砕が困難になったり、プレス時の成形性を悪化させるので、焼結磁石の製造の場合には好ましくない。また、焼結磁石の焼結性を考慮すると、好ましい脱水素処理温度は200℃〜600℃である。また、処理時間は処理量によって変動するが0.5時間以上は必要である。
【0024】
この発明の特徴とするところは、前記のH2吸蔵、崩壊反応により得られた崩壊粉をさらに脱水素処理して得られた平均粒径10μm〜500μmの粗粉砕粉に液状潤滑剤または液状潤滑剤を0.02〜5wt%添加混合後、特に、不活性気流中にてジェットミル粉砕して、平均粒径1〜10μmの微粉末を得ることにある。
この発明における液状潤滑剤としては、飽和あるいは不飽和脂肪酸エステル、ならびに酸性塩としてほう酸エステルなどを用いることが可能で、石油系溶剤やアルコール系の溶剤に分散させたものである。液状滑剤中の脂肪酸エステル量は5wt%〜50wt%が好ましい。
【0025】
飽和脂肪酸エステルとしては、一般式 RCOOR′ R=Cn2n+2 (アルカン)で表されるエステルで、不飽和脂肪酸エステルとしては、一般式 RCOOR′ R=Cn2n (アルケン)、または R=Cn2n-2 (アルキン)で示される。
【0026】
また、固状潤滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸銅、ステアリン酸アルミニウム、エチレンビニアマイドなどの少なくとも1種であり、固状潤滑剤の平均粒度は1μm未満では工業的に生産することが困難で、また、50μmを超えると粗粉砕粉と均一に混合することが難しいので、平均粒度としては1μm〜50μmが好ましい。
【0027】
この発明において、液状潤滑剤または固状潤滑剤の添加量は、0.02wt%未満では粉末粒子への均一な被覆が十分でなく、モールド充填性や磁気配向性の改善向上が認められず、また、5wt%を超えると潤滑剤中の不揮発残分が焼結体中に残存して、焼結密度の低下を生じ、磁気特性の劣化を招来するので好ましくなく、潤滑剤の添加量は0.02wt%〜5wt%とする。
【0028】
この発明において、粗粉砕粉の平均粒度を限定した理由は、平均粒度が10μm未満では原料粉末を大気中で安全に取り扱うことが困難であり、原料粉末の酸化により磁気特性が劣化するので好ましくなく、また、500μmを超えるとジェットミル粉砕機への原料粉末の供給が困難となり、粉砕能率を著しく低下するので好ましくないため、粗粉砕粉の平均粒度は10μm〜500μmとする。
【0029】
次に微粉砕には、不活性ガス(例えば、N2、Ar)によるジェット・ミルにて微粉砕を行う。勿論、有機溶媒(例えば、ベンゼンやトルエン等)を用いたボールミルや、アトライター粉砕を用いることも可能である。
【0030】
また、この発明による微粉砕粉の平均粒度は、1μm未満では粉末は極めて活性となり、プレス成形などの工程において発火する危険性があり、磁気特性の劣化を生じ好ましくなく、また、10μmを超えると焼結により得られる永久磁石の結晶粒が大きくなり、容易に磁化反転が起こり、保磁力の低下を招来し、好ましくないため、1μm〜10μmの平均粒度とする。好ましい平均粒度は2.5μm〜4μmである。
【0031】
パルス磁界を用いた成形には、次の方法を提案する。
微粉砕した粉末を不活性ガス雰囲気中でモールドに充填する。モールドは非磁性の金属、酸化物、セラミックスなどから作製したもののほか、プラスチックやゴムなどの有機化合物でもよい。
粉末の充填密度は、その粉末の静止状態の嵩密度(充填密度1.4g/cm3)から、タッピング後の固め嵩密度(充填密度3.5g/cm3)の範囲が好ましい。従って充填密度1.4〜3.5g/cm3に限定する。
これを、空心コイル、コンデンサー電源によるパルス磁界を加えて粉末の配向を行う。配向の際、上下パンチを用いて圧縮を行いながら、パルス磁界を加えて実施する。パルス磁界の強度は大きければ大きいほど良く、最低10kOe以上は必要とする。好ましいパルス磁界強度は20kOe〜60kOeである。
また、パルス磁界による配向とプレスとを連続的に行うためには、ダイス内部にパルス磁界を発生させるコイルを埋め込み、パルス磁界を用いて配向させた後、通常の磁界中プレス方法で成形することが可能である。
【0032】
パルス磁界の印加方法には、一回のみ印加するほか、繰り返し印加することができる。繰り返し印加する場合、磁界方向が所要方向のみほか、磁界方向を交互に反転させて印加することにより配向性を一層向上させることが可能となり、さらには、同一の磁界強度で繰り返し印加するほか、磁界強度を漸次減少させて印加することができ、磁界方向を交互に反転させて印加する場合に強度を漸次減少させることにより、成形体を見掛け上、脱滋することができ、成形体の取扱いが容易になる利点がある。
パルス磁界の時間は、1μsec〜10secが好ましく、さらには5μsec〜100msecが好ましく、パルス磁界の印加回数は1〜10回、さらに、好ましくは1〜5回である。
【0033】
なお、磁界の印加に際しては、目的とする配向性の向上度合いを考慮して、上記印加方法、印加回数、パルス磁界強度、印加時間を適宜選定する必要がある。例えば、この発明による製造方法において、印加するパルス磁界が1回である場合、最大エネルギー積値(BH)max(MGOe);Aと保磁力iHc(kOe)の特性値:Bの合計値A+Bが60以上の値を示す高性能R−Fe−B系永久磁石材料を得ることが可能であり、複数回交互に反転する場合は前記特性値の合計値A+Bが61以上、複数回交互に反転し、磁界強度が漸次減少させる場合は前記特性値の合計値A+Bが60.5以上の値を示す高性能R−Fe−B系永久磁石材料を得ることが可能である。
【0034】
また、配向後の粉末の成形は、冷間静水圧プレスにて圧縮成形で行なうことが最も好ましく、この際、可塑性のあるモールドの硬度や厚みを適宜選定する必要があり、種々の形状品をはじめとして大型磁石材料の製造も可能である。
静水圧プレス条件としては、1.0ton/cm2〜3.0ton/cm2の加圧力が好ましく、モールドの硬度はHs=20〜80が好ましい。その場合の静磁場の磁場強度は、5〜20kOeが好ましい。
また、静水圧プレスを静磁界中で行うこともでき、例えば、配向に際して、同一の磁界強度で繰り返し反転させて印加した後、配向後の粉体に静磁界中で静水圧プレスを施すことにより、前記特性値の合計値A+Bが61以上の値を示す高性能R−Fe−B系永久磁石材料を得ることが可能である。
【0035】
この発明において、成形、焼結、熱処理など条件、方法は公知のいずれの粉末冶金的手段を採用することができる。以下に好ましい条件の一例を示す。
焼結前には、真空中で加熱する一般的な方法や、水素流気中で100〜200℃/時間で昇温し、300〜600℃で1〜2時間程度保持する方法などにより脱バインダー処理を行なうことが好ましい。脱バインダー処理を施すことにより、バインダー中のほぼ全炭素が脱炭され、磁気特性の向上に繋がる。
なお、R元素を含む合金粉末は、水素を吸蔵しやすいために、水素流気中での脱バインダー処理後には脱水素処理工程を行なうことが好ましい。脱水素処理は、真空中で昇温速度は、50〜200℃/時間で昇温し、500〜800℃で1〜2時間程度保持することにより、吸蔵されていた水素はほぼ完全に除去される。
また、脱水素処理後は、引き続いて昇温加熱して焼結を行うことが好ましく、500℃を超えてからの昇温速度は任意に選定すればよく、例えば100〜300℃/時間など、焼結に際して取られる公知の昇温方法を採用できる。
配向後の成形品の焼結並びに焼結後の熱処理条件は、選定した合金組成に応じて適宜選定されるが、焼結並びに焼結後の熱処理条件としては、1000〜1180℃、1〜2時間保持する焼結工程、450〜800℃、1〜8時間保持する時効処理工程などが好ましい。
【0036】
以下に、この発明における、希土類・ボロン・鉄系永久磁石合金用鋳片の組成限定理由を説明する。
この発明の永久磁石合金用鋳片に含有される希土類元素Rはイットリウム(Y)を包含し、軽希土類及び重希土類を包含する希土類元素である。
Rとしては、軽希土類をもって足り、特にNd,Prが好ましい。また通常Rのうち1種もって足りるが、実用上は2種以上の混合物(ミッシユメタル、ジジム等)を入手上の便宜等の理由により用いることができ、Sm,Y,La,Ce,Gd等は他のR、特にNd,Pr等との混合物として用いることができる。なお、このRは純希土類元素でなくてもよく、工業上入手可能な範囲で製造上不可避な不純物を含有するものでも差し支えない。
【0037】
Rは、R−Fe−B系永久磁石を製造する合金鋳片の必須元素であって、10原子%未満では高磁気特性、特に高保磁力が得られず、30原子%を越えると残留磁束密度(Br)が低下して、すぐれた特性の永久磁石が得られない。よって、Rは10原子%〜30原子%の範囲とする。
【0038】
Bは、R−Fe−B系永久磁石を製造する合金鋳片の必須元素であって、2原子%未満では高い保磁力(iHc)は得られず、28%原子を越えると残留磁束密度(Br)が低下するため、すぐれた永久磁石が得られない。よって、Bは2原子%〜28原子%の範囲とする。
【0039】
Feは42原子%未満では残留磁束密度(Br)が低下し、88%原子を超えると高い保磁力が得られないので、Feは42原子%〜88原子%に限定する。また、Feの一部をCo、Niの1種又は2種で置換する理由は、永久磁石の温度特性を向上させる効果及び耐食性を向上させる効果が得られるためであるが、Co、Niの1種又は2種はFeの50%を越えると高い保磁力が得られず、すぐれた永久磁石が得られない。よって、Co,Niの1種または2種はFeの50%を上限とする。
【0040】
この発明の合金鋳片において、高い残留磁束密度と高い保磁力を共に有するすぐれた永久磁石を得るためには、R12原子%〜16原子%、B4原子%〜12原子%、Fe72原子%〜84原子%が好ましい。
また、この発明による合金鋳塊は、R、B、Feの他、工業的生産上不可避的不純物の存在を許容できるが、Bの一部を4.0原子%以下のC、3.5原子%以下のP、2.5原子%以下のS、3.5原子%以下のCuのうち少なくとも1種、合計量で4.0原子%以下で置換することにより、磁石合金の製造性改善、低価格化が可能である。
【0041】
さらに、前記R、B、Fe合金あるいはCoを含有するR−Fe−B合金に、9.5原子%以下のAl、4.5原子%以下のTi、9.5原子%以下のV、8.5原子%以下のCr、8.0原子%以下のMn、5原子%以下のBi、12.5原子%以下のNb、10.5原子%以下のTa、9.5原子%以下のMo、9.5原子%以下のW、2.5原子%以下のSb、7原子%以下のGe、3.5原子%以下のSn、5.5原子%以下のZr、5.5原子%以下のHfのうち少なくとも1種添加含有させることにより、永久磁石合金の高保磁力が可能になる。この発明のR−B−Fe系永久磁石において、結晶相は主相が正方晶であることが不可欠であり、特に、微細で均一な合金粉末を得て、すぐれた磁気特性を有する焼結永久磁石を作成するのに効果的である。
【0042】
【作用】
この発明は、ストリップキャスティングされた特定板厚の特定組成を有するR−Fe−B系合金にH2吸蔵させることにより、微細に分散されたRリッチ相が水素化物を生成して体積膨張させて前記合金を自然崩壊させ、その後粗粉砕粉に特定の潤滑剤を添加後、ジェットミル微粉砕にて合金塊を構成している主相の結晶粒を細分化することが可能となり、粒度分布が均一な粉末を作製することができ、この際Rリッチ相が微細に分散され、かつR2Fe14B相も微細化され、脱H2処理して安定化させた合金粉末に潤滑剤を添加配合後微粉砕した場合、微粉砕能は従来の約2倍にも向上するため、製造効率が大幅に向上するとともに、前記微粉末を型内にてパルス磁界を用いて瞬間的に配向した後、プレス、焼結することにより、モールド充填性及び磁気配向性が改善され、磁石合金の磁気特性、Br、(BH)max及び特にiHcが向上したR−Fe−B系永久磁石が得られる。
【0043】
【実施例】
実施例1
高周波溶解炉にて溶解して得られた組成13.5Nd−0.6Dy−6.4B−2.0Co−77.5Feの合金溶湯を直径200mmの銅製ロール2本を併設した双ロール式ストリップキャスターを用い、板厚約1mmの薄板状鋳片を得た。前記鋳片内の結晶粒径は短軸方向の寸法0.5μm〜15μm、長軸方向寸法は5μm〜80μmであり、Rリッチ相は主相を取り囲むように3μm程度に微細に分離して存在する。
前記鋳片を50mm角以下に破断後、前記破断片1000gを吸排気可能な密閉容器内に収容し、前記容器内にN2ガスを30分間流入して、空気と置換した後、該容器内に3kg/cm2のH2ガスを2時間供給してH2吸蔵により鋳片を自然崩壊させて、その後真空中で脱H2処理した後、室温まで冷却し、さらに100メッシュまで粗粉砕した。
【0044】
次いで、前記粗粉砕粉より採取した800gに液状潤滑剤として脂肪酸エステル(有効成分50% シクロヘキアン50%)を1wt%添加後、ジェットミルで粉砕して平均粒度3.5μmの合金粉末を得た。
得られた粉末を硬度Hs=40のウレタン製のゴム型(内径φ25×高さ20mm)に3.3g/cm3の充填密度になるように充填後、パルス磁界の強度40kOeで、1回、8/100秒間で印加して配向させた後、配向後の試料をプレス圧1.2ton/cm2にて冷間静水圧プレスして成型体を得た。
型から取り出した成形体を1090℃で3時間に条件にて焼結し、600℃で1時間の時効処理を行って、永久磁石を得た。得られた永久磁石の磁気特性を表1に表す。
【0045】
実施例2
実施例1と同一組成、同一条件にて得られた平均粒度3.5μmの合金微粉末を、実施例1と同一条件で永久磁石を製造する際に、パルス磁界を20kOe〜80kOeと種々変化させた場合、得られた永久磁石の最大エネルギー積値(BH)max(MGOe)を調べ、パルス磁界強度との関係として図2に破線にて示す。
【0046】
実施例3
実施例1と同一組成のストリップキャスティング鋳片を実施例1と同一条件にてH2吸蔵処理して得られた崩壊合金粉末を真空中で500℃に5時間加熱保持して、脱H2処理した後、20μmの粗粉砕粉に固状潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を0.1wt%添加配合後、7kg/cm2のArガス中にてジェットミル微粉砕、実施例1と同様に約40kOeのパルス磁界を1回、8/100秒間で印加して配向後、冷間静水圧成形した後、焼結、時効処理を行って永久磁石を得た。得られた永久磁石の磁気特性を表1に表す。
【0047】
比較例1
実施例1と同一組成の合金溶湯を寸法30mm×100mm×200mmの鋳型に鋳込んで得られた鋳塊を50mm角以下に破断した後、前記破断片を実施例1と同一条件のH2吸蔵処理、脱H2処理を行った後、潤滑剤を添加することなく、実施例1と同一条件にて微粉砕、磁界中プレス、焼結、時効処理を行って、永久磁石を得た。鋳塊の結晶粒径は短軸方向30μm、長軸方向300μmであり、Rリッチ相は局部的に60μm程度の大きさで点在した。
得られた磁気特性の結果を表1に表す。また、得られた微粉砕粉の粒度分布を図1に示す。
【0048】
比較例2
比較例1と同一組成の鋳塊を50mm以下に破断した後、前記破断片を実施例3と同一条件の加熱脱H2処理を行った後、実施例1と同一の潤滑剤を添加し、同一条件の微粉砕後に、磁界中プレス、焼結、時効処理を行って、永久磁石を得た。
得られた磁気特性の結果を表1に表す。また、得られた微粉砕粉の粒度分布を図1に示す。
【0049】
比較例3
実施例1と同一組成のストリップキャスティング鋳片を実施例1と同一条件にてH2吸蔵処理して得られた崩合金粉末を真空中で400℃に3時間加熱保持して、脱H2処理した後、20μmの粗粉砕粉に潤滑剤を添加することなく、ジェットミルにて微粉砕して平均粒度3.5μmの合金粉末を得、これを約40kOeのパルス磁界を1回、8/100秒間で印加して配向後、圧縮成形した後、焼結、時効処理を行って永久磁石を得た。得られた磁気特性の結果を表1に表す。
【0050】
【表1】
Figure 0003777199
【0051】
実施例4
実施例1において、約40kOeのパルス磁界を1回、8/100秒間で4回印加して配向する以外は全く同一条件で永久磁石を製造した。
4回印加して得られた磁気特性の結果を表2に表す。また、得られた永久磁石の最大エネルギー積値(BH)max(MGOe)とパルス磁界回数、1回目、2回目4回目との関係を図3に示す。
【0052】
【実施例5】
実施例1において、約40kOeのパルス磁界を1回、8/100秒間で4回交互に磁界方向を反転させて印加して配向する以外は全く同一条件で永久磁石を製造した。
パルス磁界を4回印加して得られた磁石の磁気特性の結果を表2に表す。また、得られた永久磁石の最大エネルギー積値(BH)max(MGOe)とパルス磁界回数、2回目、4回目との関係を図3に示す。
さらに、上記同一条件で永久磁石を製造する際に、パルス磁界回数を4回としパルス磁界を20kOe〜80kOeと種々変化させた場合、得られた永久磁石の最大エネルギー積値(BH)max(MGOe)を調べパルス磁界強度との関係として図2に実線にて示す。
【0053】
実施例6
実施例1において、1回、10/100秒間で4回、交互にパルス磁界方向を反転させて印加する際に、パルス磁界を40kOe、30kOe、20kOe、10kOeと漸次減少させて配向する以外は全く同一条件で永久磁石を製造した。得られた磁気特性の結果を表2に表す。
【0054】
実施例7
実施例において、ゴム質のモールドに原料粉末を充填し、4回交互にパルス磁界方向を反転させて印加して配向した後、静水圧プレス装置にて約12kOeの磁界中で2.5T/cm2の圧力で冷間静水圧プレスする以外は全く同一条件で永久磁石を製造した。得られた磁気特性の結果を表2に表す。
【0055】
比較例4
実施例4において、ジェットミル粉砕した微粉砕粉に9kOeの同一方向のパルス磁界を1回、10/100秒間で4回印加して配向する以外は同一条件にて圧縮成形した後、焼結、時効処理を行って永久磁石を得た。得られた磁気特性の結果を表2に表す。
【0056】
【表2】
Figure 0003777199
【0057】
【発明の効果】
この発明による製造方法は、特定組成を有するR−Fe−B系合金溶湯をストリップキャスティングにて特定板厚の鋳片となし、この鋳片にH2吸蔵させて自然崩壊させることにより、その後、脱H2処理して安定化させた合金粉末を特定の潤滑剤を添加配合してジェットミル微粉砕にて合金塊を構成している主相の結晶粒を細分化することが可能となり、実施例に明らかなように粒度分布が均一な粉末を、従来の約2倍程度の効率で作製することができ、粉砕時にRリッチ相とR2Fe14B相も微細化され、一方向あるいは反転パルス磁界を用いて静水圧プレスすることにより、磁石化すると耐酸化性にすぐれ、磁石合金の磁気特性、特に最大エネルギー積値(BH)max(MGOe);Aと保磁力iHc(kOe)の特性値;Bの合計値A+Bが60以上の値を示す高性能R−Fe−B系永久磁石が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における微粉砕粉の粒度分布を示すグラフである。
【図2】パルス磁界強度と最大エネルギー積値との関係を示すグラフである。
【図3】パルス磁界回数と最大エネルギー積値との関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. R(但しRはYを含む希土類元素のうち、少なくとも1種)10at%〜30at%、B2at%〜28at%、残部Fe(但しFeの一部をCo、Niの1種または2種にて置換できる)及び不可避的不純物からなる合金溶湯を、ストリップキャスティング法にて板厚0.03mm〜10mmの薄板で、Rリッチ相が5μm以下に微細に分散した組織を有する鋳片に鋳造後、前記鋳片を50mm 角以下に破断した後、吸排気可能な容器に収容し、該容器内の空気をH2ガスにて置換し、該容器内に200Torr〜50kg/cm2のH2ガスを供給して得られた崩壊合金粉を100℃〜750℃に加熱して脱H2処理した後、得られた平均粒度10〜500μmの粗粉砕粉に脂肪酸エステルを5wt%〜50wt%含む液状潤滑剤またはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸銅、ステアリン酸アルミニウムのうち少なくとも一種からなる固状潤滑剤を0.02〜5.0wt%添加混合後、ジェットミルにより微粉砕して得た平均粒径1〜10μmの微粉末をモールド内に充填密度1.4〜3.5g/cm3に充填し、瞬間的に10kOe以上のパルス磁界を磁界方向を繰り返し反転かつ強度を漸次減少させて印加し配向させた後、成形、焼結、時効処理することにより、最大エネルギー積値(BH)max;Aと保磁力iHc(kOe)の特性値;Bの合計値A+Bが60.5以上の値を示すR-Fe-B系永久磁石材料を得ることを特徴とする高性能R-Fe-B系永久磁石材料の製造方法。
  2. 冷間静水圧プレスにて成型することを特徴とする請求項1 記載の高性能R-Fe-B系永久磁石材料の製造方法。
  3. 冷間静水圧プレスを静磁界中で行うことを特徴とする請求項2に記載の高性能R-Fe-B系永久磁石材料の製造方法。
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