JP3611870B2 - R−Fe−B系永久磁石材料の製造方法 - Google Patents

R−Fe−B系永久磁石材料の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、R(但しRはYを含む希土類元素のうち、少なくとも1種を含有)、Fe、Bを主成分とする永久磁石材料の製造方法に係り、R、Fe、Bを主成分とする合金溶湯をロールを用いたストリップ・キャスティング法にてRFe14B相を主相とする主相系合金鋳片を得、また、同様に特定組成のR−Co金属間化合物相を含む調整用合金鋳片を得、これを当該合金のH吸蔵性を利用して鋳片を自然崩壊させ、さらに脱H処理して安定化させて、効率よい微粉砕を可能にし、配合混合した微粉末にパルス磁界をかけて配向させた後、成形して焼結することにより、磁石特性の1つである最大エネルギー積値(BH)max(MGOe);Aと保磁力iHc(kOe)の特性値;Bの合計値A+Bが59以上の値を有し、角型性{(Br/4)/(BH)max}が1.01〜1.045の値を示す高性能R−Fe−B系永久磁石を得ることを特徴とするR−Fe−B系永久磁石材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、高性能永久磁石として代表的なR−Fe−B系永久磁石(特開昭59−46008号)は、三元系正方晶化合物の主相とR−rich相を有する組織にて高い磁石特性が得られ、一般家庭の各種電器製品から大型コンピュータの周辺機器まで幅広い分野で使用され、用途に応じた種々の磁石特性を発揮するよう種々の組成のR−Fe−B系永久磁石が提案されている。
しかしながら、電気、電子機器の小型、軽量化ならびに高機能化の要求は強く、R−Fe−B系永久磁石のより一層の高性能化とコストダウンが要求されている。
【0003】
一般にR−Fe−B系焼結磁石の残留磁束密度(Br)は以下の(1)式で表すことができる。
Br∝(Is・β)・f・{ρ/ρ・(1−α)}2/3 (1)式
但し、Is:飽和磁化
β:飽和磁化の温度依存性
f:配向度
ρ:焼結体の密度
ρ:理論密度
α:粒界相(非磁性相の体積割合)
従って、R−Fe−B系焼結磁石の残留磁束密度(Br)を高めるためには、1)強磁性相であり、主相のRFe14B相の存在量を多くすること、2)焼結体の密度を理論密度まで高めること、3)さらに主相結晶粒の、磁化容易軸方向の配向度を高めることが要求される。
【0004】
すなわち、前記1)項の達成のためには、磁石の組成を上記RFe14Bの化学量論的組成に近づけることが重要であるが、上記組成の合金を溶解し、鋳型に鋳造した合金塊を、出発原料としてR−Fe−B系焼結磁石を作製しようとすると、合金塊に晶出したα−Feや、R−rich相が局部的に偏在していることなどから、特に微粉砕時に粉砕が困難となり、組成ずれを生ずる等の問題があった。
詳述すると、前記合金塊をH吸蔵、脱H処理して機械的微粉砕を行う場合(特開昭60−63304号、特開昭63−33505号)、合金塊に晶出したα−Feはそのまま粉砕時に残留し、その展延性の性質のために粉砕を妨げ、又局部的に偏在したR−rich相はH吸蔵処理によって、水素化物を生成し、微細な粉末となるため、機械的な微粉砕時に酸化が促進されたり、またジェットミルを用いた粉砕では優生的に飛散することにより組成ずれを生ずる。
【0005】
また、前記1)項の達成のためRFe14Bの化学量論的組成に近づけた合金粉末を用いて焼結体を作製しようとすると、焼結体の作製工程において不可避な酸化により、液相焼結を引き起こすためのNd−rich相が酸化物を生成し、消費されて焼結できなかったり、上記RFe14B相の存在量増加によって必然的に、Nd−rich相やBリッチ相の存在量が減少するので、焼結体の製造をより一層困難なものにしていた。しかも、永久磁石材料の安定性を示す指標の1つであり、かつ、重要な性質の1つである保磁力(iHc)が低下してしまうことになった。
さらに、前記3)項については、通常R−Fe−B系永久磁石の製造方法において、主相結晶粒の磁化容易軸方向を揃えるために、磁界中でプレス成形する方法が採用されている。その際、磁界の印加方向とプレス加圧する方向とによって、残留磁束密度(Br)値並びに角型性{(Br/4)/(BH)max}の値が変化したり、また、印加磁界の強度によっても影響を受けることが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
最近、鋳塊粉砕法によるR−Fe−B系合金粉末の欠点たる結晶粒の粗大化、α−Feの残留、偏析を防止するために、R−Fe−B系合金溶湯を双ロール法により、特定厚の鋳片となし、前記鋳片を通常の粉末冶金法に従って、鋳片をスタンプミル・ジョークラッシャーなどで粗粉砕後、さらにディスクミル、ボールミル、アトライター、ジェットミルなど機械的粉砕法により平均粒径が3〜5μmの粉末に微粉砕後、磁場中プレス、焼結時効処理する製造方法が提案(特開昭63−317643号公報)されている。
しかし、前記方法では従来の鋳型に鋳造した鋳塊粉砕法の場合に比し、微粉砕時の粉砕能率の飛躍的な向上は望めず、また微粉砕時、粒界粉砕のみならず、粒内粉砕も起こるため、磁気特性の大幅の向上も達成できず、また、R−rich相が酸化に対して安定なRH相になっていないため、また、R−rich相が微細で表面積が大きいため、耐酸化性に劣り、工程中に酸化が進行し、高特性を得ることができない。
【0007】
最近益々、R−Fe−B系永久磁石材料に対するコストダウンの要求が強く、効率よく高性能永久磁石を製造することが、極めて重要になっている。このため、極限に近い特性を引き出すための製造条件の改良が必要となっている。
発明者らは、効率よくR−Fe−B系焼結磁石を製造でき、しかも、磁気特性を向上させる方法について種々検討を重ねてきた。
R−Fe−B系焼結磁石の残留磁束密度(Br)を高めるためには、強磁性相であり主相のRFe14B相の含有率を多くすることにより達成される。すなわち、磁石の組成をRFe14Bの化学量論的組成に近づけることが重要となる。しかしながら、上記組成の合金を溶解し、鋳型に鋳造した合金塊を出発原料としてRFe14B系焼結磁石を作製しようとすると、合金塊に晶出したα−FeやR−rich相が局部的に偏在していることなどから、特に微粉砕時に粉砕が困難となり、かつまた、組成ずれを生じるなどの問題があった。
【0008】
また、直接還元拡散法で、上記組成の合金粉末を作製しようとすると、未反応のFe粒子が残存したり、また、これを消滅させるために、還元温度を高めると、今度は粒子同志が焼結して成長し、しかも還元剤として添加したCaやその酸化物などがかみ込まれて不純物が増加するなどの問題が新たに発生した。
そこで、これら合金原料の製造にかかわる問題点の改善について種々検討した結果、ストリップ・キャスティング法を用いて、合金溶湯を急冷凝固させることにより、α−Feの晶出を抑制でき、微細でしかも均質な組成を有する合金鋳片を製造できることを見出した。
【0009】
一方、R−Fe−B系焼結磁石は液相焼結反応を用いて、焼結が行われている。すなわち、磁石内には主相で強磁性相のRFe14B相のほかに、B−rich相及び粒界相としてR−rich相が存在し、これらの相が焼結時に反応して液相が生成し、液相出現にともなって、緻密化反応が進行する。
従って、B−rich相やR−rich相は、R−Fe−B系焼結磁石の製造上、必須な構成相である。しかし、磁石特性を向上させるためには、主相で強磁性相のRFe14B相の存在量を極力高めることが必要であり、これを実現するためには、RFe14B相の化学量論組成に近い合金粉末をいかに高密度化させるかに集約される。
【0010】
この発明は、上述したR−Fe−B系永久磁石材料の製造方法における問題点を解消し、効率よい微粉砕を可能にし、かつ耐酸化性に優れ、しかも磁石の結晶粒の微細化により高いiHcを発現し、さらに各結晶粒の磁化容易方向の配向度を高めて、(BH)max値(MGOe);Aと、iHc値(kOe);Bの合計値、A+B≧59の値を有し、角型性{(Br/4)/(BH)max}が1.01〜1.045の値を示す高性能R−Fe−B系永久磁石材料の提供を目的としている。
この発明は、R−Fe−B系永久磁石の高性能化を図るために、RFe14B相の化学量論組成に近い合金粉末を液相焼結させて、高密度化を図るために、焼結時に液相を供給でき得る合金粉末を添加、配合することを特徴とし、種々の磁石特性に応じた組成の合金粉末を効率よく提供できるR−Fe−B系永久磁石材料の製造方法の提供を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、ストリップ・キャスト法により得られたRFe14B相を主相とするR−Fe−B系合金粉末に全量の60%以下のストリップ・キャスト法により得られたR−Co金属間化合物相を含む調整用合金粉末を添加配合することにより、主相系R−Fe−B系合金粉末のみではR−rich相やB−rich相の量が不足して液相焼結できない場合でも、調整用合金粉末のR−Co金属間化合物相が融けて液相を供給でき、高密度化できるので得られる磁石の高性能化を図ることができ、さらに合金粉末中の含有酸素量を低減でき、種々の磁石特性に応じた組成の合金粉末を容易に提供できる。
【0012】
すなわち、この発明は、
R(RはYを含む希土類元素のうち少なくとも1種)11原子%〜15原子%、B4原子%〜12原子%、残部Fe(但しFeの一部をCo、Niの1種または2種にて置換できる)及び不可避的不純物からなる合金溶湯をストリップ・キャスティング法にてRFe14B相を主相とし、該主相の短軸方向の寸法が0.1μm〜50μm、長軸方向の寸法が5μm〜200μmであり、かつ主相の結晶粒を取り囲むようにR−rich相が5μm以下に微細に分散された主相系鋳片に鋳造する工程、R(RはYを含む希土類元素のうち少なくとも1種)45原子%以下、残部Co(但しCoの一部をFe、Niの1種または2種にて置換できる)及び不可避的不純物からなる合金溶湯をストリップ・キャスティング法にて、短軸方向の寸法が0.1μm〜50μm、長軸方向の寸法が5μm〜200μmであるR−Co金属間化合物相を含み、該R−Co金属間化合物相が均一に分散された調整用合金鋳片に鋳造する工程前記各鋳片を各々吸排気可能な容器に収容し、該容器内の空気をHガスにて置換し、Hガスを供給してH吸蔵処理にて得られた崩壊合金粉を脱H処理した後、不活性ガス気流中で微粉砕して平均粒径が1μm〜10μmの主相系合金粉末と調整用合金粉末となす工程、前記主相系合金粉末に調整用合金粉末を60%以下配合混合する工程前記混合合金粉末をモールド内に充填して瞬間的に10kOe以上のパルス磁界をかけて配向させた後、成形、焼結、時効処理する工程によって、(BH)max値;A(MGOe)とiHc値;B(kOe)の合計値A+Bが59以上の値を有し、角型性 {(Br/4)/(BH)max}が1.01〜1.045の値を有する永久磁石材料を得ることを特徴とするR−Fe−B系永久磁石材料の製造方法である。
また、この発明は、上記の構成において、相系合金溶湯のR量が12原子%〜14原子%、B量が6原子%〜10原子%であることを特徴とするR−Fe−B系永久磁石材料の製造方法を合わせて提案する。
【0013】
以下に、この発明におけるR−Fe−B系永久磁石材料用の主相系合金及び調整用合金の組成の限定理由を説明する。
この発明において、R−Fe−B系永久磁石材料用の主相系合金及び調整用合金に含有される希土類元素Rはイットリウム(Y)を包含し、軽希土類及び重希土類を包含する希土類元素である。
Rとしては、軽希土類をもって足り、特にNd,Prが好ましい。また通常Rのうち1種もって足りるが、実用上は2種以上の混合物(ミッシユメタル、ジジム等)を入手上の便宜等の理由により用いることができ、Sm,Y,La,Ce,Gd等は他のR、特にNd,Pr等との混合物として用いることができる。なお、このRは純希土類元素でなくてもよく、工業上入手可能な範囲で製造上不可避な不純物を含有するものでも差し支えない。
R−Co金属間化合物相を含むR−Co系調整用合金粉末を添加混合するRFe14B相を主相とする合金粉末を得るには、Rが11原子%未満では、R、Bの拡散しない残留鉄部の増加となり、15原子%を超えるとR−rich相が増加して粉砕時に含有酸素量が増えるため、Rは11原子%〜15原子%とする。より好ましいR量は12原子%〜14原子%である。
また、Bは、4原子%未満では高い保磁力(iHc)が得られず、12原子%を超えると残留磁束密度(Br)が低下するため、すぐれた永久磁石が得られないため、Bは4原子%〜12原子%とする。より好ましいB量は6原子%〜10原子%である。
さらに、残部はFe及び不可避的不純物からなり、Feは73原子%〜85原子%の範囲が好ましい。Feは73原子%未満では相対的に希土類元素及びBが−richとなりR−rich相、B−rich相が増加し、85原子%を超えると相対的に希土類元素及びBが少なくなり、残留Fe部が増加し不均一な合金粉末となるため好ましくない。より好ましいFe量は76原子%〜82原子%である。
主相系合金粉末中のCoとNiの1種または2種は、RFe14B主相中のFeと置換されて保磁力を低下させるため、Coは10原子%以下、Niは3原子%以下とする。ただし、上述のCoまたはNiでFeの一部を置換した場合、Feは63原子%〜82原子%の範囲である。
【0014】
R−Co金属間化合物相を含む調整用合金粉末を得るには、Rが45原子%を超えると合金粉末の作製時にR−richな相が増加して酸化等の問題があり好ましくなく、Rの好ましい量は10〜20原子%である。
さらに、残部はCo及び不可避的不純物からなり、Coは55原子%〜95原子%の範囲が好ましい。
調整用合金粉末中のCoと置換したFeとNiの1種または2種は、Feの量を多くすると調整用合金粉末の耐酸化性が劣化し、また、Niの量を多くすると磁石の保磁力が低下するため、Feは50原子%以下、Niは10原子%以下とする。ただし、上述のFeまたはNiでCoの一部を置換した場合、Coは5原子%〜45原子%の範囲である。
【0015】
さらに、RFe14B相を主相とする合金粉末および/またはR−Co相を含む調整用合金粉末に、9.5原子%以下のAl、4.5原子%以下のTi、9.5原子%以下のV、8.5原子%以下のCr、8.0原子%以下のMn、5原子%以下のBi、12.5原子%以下のNb、10.5原子%以下のTa、9.5原子%以下のMo、9.5原子%以下のW、2.5原子%以下のSb、7原子%以下のGe、3.5原子%以下のSn、5.5原子%以下のZr、5.5原子%以下のHfのうち少なくとも1種添加含有させることにより、得られる永久磁石合金の高保磁力が可能になる。
【0016】
この発明において、特定組成のRFe14B相、R−rich相が微細に分離した組織を有する磁石材料の鋳片は、特定組成の合金溶湯を単ロール法、あるいは双ロール法等によるストリップ・キャスティング法にて製造される。所望の鋳片板厚により、単ロール法と双ロール法を使い分けるが、板厚が厚い場合は双ロール法を、また板厚が薄い場合は単ロール法を採用したほうが好ましい。
また、ストリップ・キャスティング法により得られた主相系合金粉末及び調整用合金粉末の結晶粒は、従来の鋳型に鋳造して得られた鋳塊のものに比べて、約1/10以上も微細であり、例えば、その短軸方向の寸法は0.1μm〜50μm、長軸方向は5μm〜200μmの微細結晶であり、かつその主相結晶粒を取り囲むようにR−rich相が微細に分散されており、局部に偏在している領域においても、その大きさは20μm以下である。
R−rich相が5μm以下に微細に分離することによって、H吸蔵処理時にR−rich相が水素化物を生成した際の体積膨張が均一に発生して細分化されるため、微粉砕にて主相の結晶粒が細分化されて粒度分布が均一な微粉末が得られる。
【0017】
この発明において、H吸蔵処理には、例えば、所定大きさに破断した0.03mm〜10mm厚みの鋳片を原料ケース内に挿入し、上記原料ケースを蓋を締めて密閉できる容器内に装入して密閉したのち、容器内を十分に真空引きした後、200Torr〜50kg/cmの圧力のHガスを供給して、該鋳片にHを吸蔵させる。
このH吸蔵反応は、発熱反応であるため、容器の外周には冷却水を供給する冷却配管が周設して容器内の昇温を防止しながら、所定圧力のHガスを一定時間供給することにより、Hガスが吸収されて該鋳片は自然崩壊して粉化する。さらに、粉化した合金を冷却したのち、真空中で脱Hガス処理する。
前記処理の合金粉末は粒内に微細亀裂が内在するので、ポール・ミル、ジェットミル等で短時間で微粉砕され、1μm〜80μmの所要粒度の合金粉末を得ることができる。
この発明において、上記処理容器内を予め不活性ガスで空気を置換し、その後Hガスで不活性ガスを置換してもよい。
また、鋳塊の破断大きさは、小さいほど、H粉砕の圧力を小さくでき、また、Hガス圧力は、減圧下でも破断した鋳塊はH吸収し粉化されるが、圧力が大気圧より高くなるほど、粉化されやすくなる。しかし、200Torr未満では粉化性が悪くなり、50kg/cmを超えるとH吸収による粉化の点では好ましいが、装置や作業の安全性からは好ましくないため、Hガス圧力は200Torr〜50kg/cmとする。量産性からは、2kg/cm〜10kg/cmが好ましい。
この発明において、H吸蔵による粉化の処理時間は、前記密閉容器の大きさ、破断塊の大きさ、Hガス圧力により変動するが、5分以上は必要である。
【0018】
吸蔵により粉化した合金粉末を冷却後、真空中で1次の脱Hガス処理する。さらに、真空中またはアルゴンガス中において、粉化合金を100℃〜750℃に加熱し、0.5時間以上の2次脱Hガス処理すると、粉化合金中のHガスは完全に除去できるとともに、長期保存に伴う粉末あるいはプレス成形体の酸化を防止して、得られる永久磁石の磁気特性の低下を防止できる。
この発明による100℃以上に加熱する脱水素処理は、すぐれた脱水素効果を有しているために上記の真空中での1次脱水素処理を省略し、崩壊粉を直接100℃以上の真空中またはアルゴンガス雰囲気中で脱水素処理してもよい。
すなわち、前述したH吸蔵反応用容器内でH吸蔵・崩壊反応させた後、得られた崩壊粉を続いて同容器の雰囲気中で100℃以上に加熱する脱水素処理を行うことができる。あるいは、真空中での脱水素処理後、処理容器から取り出して崩壊粉を微粉砕したのち、再度処理容器で100℃以上に加熱するこの発明の脱水素処理を施してもよい。
上記の脱水素処理における加熱温度は、100℃未満では崩壊合金粉内に残存するHを除去するのに長時間を要して量産的でない。また、750℃を超える温度では液相が出現し、粉末が固化してしまうため、微粉砕が困難になったり、プレス時の成形性を悪化させるので、焼結磁石の製造の場合には好ましくない。また、焼結磁石の焼結性を考慮すると、好ましい脱水素処理温度は200℃〜600℃である。また、処理時間は処理量によって変動するが0.5時間以上は必要である。
【0019】
次に微粉砕には、不活性ガス(例えば、N、Ar)によるジェット・ミルにて微粉砕を行う。勿論、有機溶媒(例えば、ベンゼンやトルエン等)を用いたボールミルや、アトライター粉砕を用いることも可能である。
微粉砕での粉末の平均粒度は、1μm〜10μmが好ましい。1μm未満になると粉砕した粉末が極めて活性となり著しく酸化されやすく、発火等の恐れが生ずる。また、10μmを超えると粉砕されない粗大粒子が残存し、保磁力が低下したり、焼結の進行が遅く密度の低下を引き起こすことになる。より好ましくは、2〜4μmの平均粒度の微粉末にすることである。
【0020】
磁界を用いたプレスには、次の方法を提案する。
微粉砕した粉末を不活性ガス雰囲気中でモールドに充填する。モールドは、非磁性の金属、酸化物から作製したもののほか、プラスチックやゴム等の有機化合物でも良い。
粉末の充填密度は、その粉末の静止状態の嵩密度(充填密度1.4g/cm)から、タッピング後の固め嵩密度(充填密度3.0g/cm)の範囲が好ましい。従って充填密度は1.4〜3.0g/cmに限定する。
これを、空心コイル、コンデンサー電源によるパルス磁界を加えて粉末の配向を行う。配向の際、上下パンチを用いて圧縮を行いながら、繰り返し、パルス磁界を加えてもよい。パルス磁界の強度は大きければ大きい程良く、最低10kOe以上は必要とする。好ましくは30kOe〜80kOeである。
パルス磁界の時間は、図2の時間と磁界強さのグラフに示す如く、1μsec〜10secが好ましく、さらには5μsec〜100msecが好ましく、パルス磁界の印加回数は1〜10回、さらに、好ましくは1〜5回である。
配向後の粉末は、静水圧プレスによって固めることができる。この際、可塑性のあるモールドを使用した場合には、そのまま、静水圧プレスを行うことが可能である。静水圧プレス法による加圧力は0.5ton/cm〜5ton/cmが望ましく、さらに好ましくは1ton/cm〜3ton/cmである。
また、パルス磁界による配向とプレスとを連続的に行うためには、ダイス内部にパルス磁界を発生させるコイルを埋め込み、パルス磁界を用いて配向させた後、通常の磁界中プレス法で成形することも可能である。磁界中プレス法による加圧力は0.5ton/cm〜5ton/cmが望ましく、さらに好ましくは1ton/cm〜3ton/cmである。
【0021】
この発明にて得られるR−Fe−B系永久磁石の好ましい組成並びにその性状の限定理由を説明する。
Rは、R−Fe−B系永久磁石の必須元素であって、12原子%未満では高磁気特性、特に高保磁力が得られず、16原子%を超えると残留磁束密度(Br)が低下して、すぐれた特性の永久磁石が得られない。よって、Rは12原子%〜16原子%の範囲とするが、最適のRの範囲は12.5原子%〜14原子%である。
Bは、R−Fe−B系永久磁石の必須元素であって、4原子%未満では高い保磁力(iHc)は得られず、8%原子を超えると残留磁束密度(Br)が低下するため、すぐれた永久磁石が得られない。よって、Bは4原子%〜8原子%とするが、最適のBの範囲は5.8原子%〜7原子%である。
Feは76原子%未満では残理磁束密度(Br)が低下し、84原子%を超えると高い保磁力が得られないため、Feは76〜84原子%に限定する。
また、Feの一部をCo、Niの1種又は2種で置換する理由は、永久磁石の温度特性を向上させる効果及び耐食性を向上させる効果が得られるためであるが、Co、Niの1種又は2種はFeの50%を超えると高い保磁力が得られず、すぐれた永久磁石が得られない。よって、Co、NiはFeの50%を上限とする。
を5000ppm以下に限定した理由は、5000ppmを超えるとRリッチ相が酸化し、焼結時に十分な液相を生成できなくなり、密度が低下してしまうため、高い磁束密度が得られなくなり、耐候性も劣化するので好ましくなく、Oの最適範囲は200〜3000ppmである。
また、永久磁石材料の見かけ密度が7.45g/cm未満では高い磁束密度が得られず、本発明の特徴たる(BH)max値;A(MGOe)とiHc値;B(kOe)の合計値A+Bが59以上の磁石材料が得られないので好ましくない。
【0022】
この発明のR−B−Fe系永久磁石において、結晶相の主相のRFe14B相が90%以上、好ましくは94%以上存在することが不可欠である。現在大量生産されているR−Fe−B系焼結磁石は前記RFe14B相が最高で90%であり、90%未満では本発明のA+B値が59以上の高磁気特性は得られない。
この発明の磁石の配向度は前記1)式から算出したものであり、磁石の配向度が85%以上有することが、A+B値を59以上保持するために必須であり、配向度が85未満では減磁曲線の角型性が低下して、高い残留磁束密度(Br)が低下するため、(BH)max値は低下するので好ましくない。好ましい配向度は92%以上である。
また、角型性{(Br/4)/(BH)max}は理論的な場合1.00の値を示すものであるが、実際の永久磁石材料においては、上述の配向度の乱れが必然的に生じるため、従来、種々の改善を実施しても1.05まで到達するのが限界であったが、前述した特定の製造方法にて得られたこの発明による永久磁石材料は、角型性の値が1.01〜1.045となる。
【0023】
【作用】
発明者らは、まずR−Fe−B系合金を出発原料として微粉砕能率の向上、かつ耐酸化性にすぐれ、磁石合金の磁気特性、特にiHcの向上を目的に、粉砕方法について種々検討した結果、組織が微細かつ均等なR−Fe−B系鋳片をストリップ・キャスティング法にて製造し、水素吸蔵させた後、脱H処理して安定化させた合金粉末を微粉砕した場合、微粉砕能は従来の約2倍にも向上し、且つ微粉末にパルス磁界をかけて配向させた後、成形して焼結、時効処理することにより、(BH)max値とiHc値の合計値が59以上の値を有し、角型性{(Br/4)/(BH)max}が1.01〜1.045の値を示しかつ焼結磁石のiHcが向上することを知見した。
すなわち、ストリップ・キャスティングされた特定厚みのR−rich相が微細に分離した組織を有する特定組成のR−Fe−B系合金にH吸蔵させると、微細に分散されたR−rich相が水素化物を生成して体積膨張することにより、前記合金を自然崩壊させることができ、その結果、微粉砕により、合金塊を構成している結晶粒を細分化することが可能となり、粒度分布が均一な粉末を作製することができる。
【0024】
特に、この際R−rich相が微細に分散され、しかもRFe14B相が微細であることが重要である。しかも通常の鋳型を用いて合金塊を溶製する方法では、合金組成をRFe14B相の化学量論的組成に近づけた場合、Fe初晶の晶出が避け難く、次工程の微粉砕能を大きく低下させる要因になってしまう。そのため、合金塊を均質化させる目的で熱処理を加えて、α−Feを消失させる手段がとられるが、主相結晶粒の粗大化と、R−rich相の偏析も進むため、焼結磁石のiHc向上を図ることが困難となる。
また、主相結晶粒の磁化容易軸方向を揃える、すなわち、配向度を高めることも高Br化、角型性の向上を達成するための必須条件であり、そのため、粉末を磁界中でプレスする方式が採られている。
【0025】
しかしながら、磁界を発生させるために通常のプレス装置(油圧プレス、機械プレス)に配置されているコイルおよび電源では、高々10kOe〜20kOeの磁界しか発生することしかできず、角型性{(Br/4)/(BH)max}も1.05以上の値になってしまい、Br値から期待される理論的な(BH)max値(この場合、上記角型性{(Br/4)/(BH)max}は1.00)への到達は困難であった。そこでより高い磁界中で成形することを試みたが、より高い磁界を発生させるためには、コイルの巻数を多くする必要があり、また高い電源を必要とするための装置の大型化を必要とする。
本発明者らは、プレス時の磁界強度と焼結体のBrとの関係を解析したところ、磁界強度を高くすればするほど、高Br化でき、角型性が向上し、瞬間的に強磁界を発生させることの可能なパルス磁界を用いることによって、より一層高Br化、高角型性化できることを知見した。
さらに、パルス磁界を用いる方法においては、一旦パルス磁界で瞬間的に配向させることが重要で、さらに、粉末を静水圧プレスによって成形することが可能であり、パルス磁界と電磁石による静磁界との組み合せによって、磁界中プレス成形することも可能であることを知見した。
【0026】
発明者は上記の知見につき種々検討の結果、RFe14B相を主相とするR−Fe−B系合金粉末にR−Co金属間化合物相、例えばNdCo相、NdCo相を主相とするR−Co系合金粉末を特定量、添加配合した原料粉末は主相系合金粉末中のNd−rich相のNdとR−Co系合金粉末中のNdCoとの共晶温度625℃付近において、例えばNd+NdCo相←→液相反応が起こることにより、この低融点の液相がR−Fe−B系合金の焼結を促進することを知見した。
すなわち、この発明によれば焼結に必要な液相量を供給することが可能であり、その結果、RFe14B相の化学量論組成に近づけた合金粉末を液相焼結させることが可能となり、その結果、磁石の組成をRFe14B相の化学量論的組成に近づけることができる。換言すれば、従来のRFe14B相を主相とする合金粉末のみで、磁石を製造する場合に、工程途中に不可欠な原料酸化によって、液相の供給源となるNd−rich相がNd−酸化物を生成することにより、焼結に必要な液相量が確保できなくなり、その結果、十分に高密度化できない状況になるため、予め、余裕を持たせた組成設定しかできなかったが、この発明により、そのバラツキを解消することが可能となる。
【0027】
この発明において、主相系合金粉末ならびに調整用合金粉末をストリップ・キャスティング法で得た合金から製造するのは、ストリップ・キャスティングによると、主相系合金粉末では、RFe14B主相が微細で、かつ、B−rich相やNd−rich相がよく分散した合金鋳片から主相系合金粉末を得ることができ、しかも、Fe初晶の晶出を抑制でき、また調整用合金粉末ではR−Co相が均一に分散された合金鋳片から調整用合金粉末を得ることができる。
特に、主相系原料粉末中のRFe14B相が微細でかつB−rich相やNd−rich相が均一に分散されていると、磁石製造時に微粉砕能が極めて向上し、かつ粒度分布が均一な粉末を製造できる。さらに、磁石を製造した際、結晶が微細であるため、高い保磁力が得られる。
【0028】
さらに、前記R−Co金属間化合物相を含む調整用合金粉末をストリップ・キャスティング法で製造する利点は、通常の鋳型を用いた合金溶製法では、得られた合金塊にCo(Fe)相や他のR−Co(Fe)化合物相が晶出し、さらに各相が局部的に偏在した組織となり、安定な原料合金粉末とするためには、前記合金塊を熱処理して均質化する必要があり、合金粉末の製造コストアップの要因となること、さらに、調整用合金粉末を直接還元拡散法にて製造した場合、未反応のCo,Fe粒子が残留したり、また、個々の粒子の組成が異なるなどの問題を生じ、合金粉末全体を均質化することは極めて困難となること等の問題を解消できる。
【0029】
この発明によるR−Fe−B系永久磁石の磁気特性は、最大エネルギー積(BH)max値;A(MGOe)と保磁力iHc値(kOe);Bの合計値をA+Bが59以上を有し、BH(max)が50MGOe以上の場合は、iHcは9kOe以上であり、又BH(max)が45MGOe以上の場合は、iHcは14kOe以上で、角型性{(Br/4)/(BH)max}の値1.01〜1.045を有し、組成、製造条件等を適宜選定することにより所要の磁気特性を得ることができる。
【0030】
【実施例】
実施例1
主相系合金粉末のストリップ・キャスティング法による原料は、
純度99%のNdメタル 260g、
純度99%のDyメタル 23g、
B含有量20.0%のFe−B合金 68.5g、
純度99%の電解鉄 655g
を用い、所定の組成の合金が得られるようにAr雰囲気中で溶解し、次いでCu製のロール2本を併設した双ロールによるストリップ・キャスティング法で、板厚約2mmの鋳片を得た。
前記鋳片を50mm角以下に破断後、吸排気可能な密閉容器内に収容し、前記容器内にNガスを30分間流入して、空気と置換した後、該容器内に3kg/cmのHガスを2時間供給してH吸臓により鋳片を自然崩壊させて、その後真空中で500℃に5時間保持して脱H処理した後、室温まで冷却し、さらに100メッシュまで粗粉砕した。次いで、前記粗粉砕を採取した800gをジェットミルで微粉砕して平均粒度10μmの合金粉末を得た。
得られた粉末はNd11原子%、Pr0.1原子%、Dy1.0原子%、B8.0原子%、残部Feからなり、X線回折EPMAで観察したところ、大部分がRFe14B相であることを確認した。また、含有酸素量は約800ppmであった。なお、鋳片の組織についてもEPMAで観察したところ、RFe14B主相が、その短軸方向で約0.5〜15μm、長軸方向5〜90μmであり、さらにR−rich相は主相を取り囲むように微細に分散していた。
【0031】
また、調整用合金粉末のR−Co金属間化合物相を含むストリップ・キャスティング法による原料は、
Ndメタル 490g
Dyメタル 2.6g
純度99%のCo 500g
を用い、主相系合金と同様にストリップ・キャスティング法で板厚約2mmの鋳片を得た。さらに、主相系合金と同様の処理により粉末を作製した。得られた粉末の組成はNd27.0原子%、Pr0.6原子%、Dy1.3原子%、残部Coであった。
EPMAで鋳片の組織を確認したところ、RCo相および一部RCo17相等からなり、RCo相が微細に分散された組織を示した。なお、平均粒径10μmの粉末の含有酸素量は700ppmであった。
【0032】
上記2種類の原料粉末を用いて、主相系合金粉末に20%の調整用合金粉末を配合・混合した。この原料粉末をジェット・ミルなどの粉砕機に装入して、約3μmまで微粉砕し、得られた微粉末をゴム質のモールドに原料粉末を充填し、パルス磁界60kOeを瞬間的に付加して配向させた後、静水圧プレス装置にて2.5T/cmの圧力で静水圧プレスし、8mm×15mm×10mmの成型体を作製した。
この成型体を1100℃×3時間のAr雰囲気中条件で焼結し、550℃×1時間の時効処理を行って永久磁石を得た。得られた永久磁石の磁石特性及び密度、結晶粒径、配向度、角型性、主相量、含有O量を表1、表2に表す。
【0033】
実施例2
前記実施例1で得た主相系合金粉末に10%の調整用合金粉末を配合・混合した原料粉末を図1に示す如く、上下パンチ1,2の外周部に静磁界用コイル3,4を配置し、ダイス5内にパルス磁界用コイル6を配設して、原料粉末7にパルス磁界と通常の静磁界とを併用して作用させることができるプレス装置を用いて、まず、約30kOeのパルス磁界で配向させた後、約12kOeの磁界中でプレス成形した。その後、成形体は実施例1と同一の条件で、焼結、時効処理を行った。
得られた永久磁石の磁石特性及び密度、結晶粒径、配向度、角型性、主相量、含有O量、密度を表1、表2に示す。
【0034】
比較例1
主相系合金粉末は、純度99%のNdメタル260g、純度99%のDyメタル26g、純度99%の電解鉄655g、B含有量20.0%のFe−B合金68.5gを用い、鉄製鋳型に鋳込み、実施例1と同様の方法で平均粒径約10μmの粉末を得た。組成はNd11原子%、Pr0.1原子%、Dy1.0原子%、B8原子%、残部Feからなり、含有酸素量は約900ppmであり、組織をEPMAで観察したところ、RFe14B主相は短軸方向約50μm、長軸方向約500μmであり、R−rich相が局部的に50μmにもわたって、偏在していた。さらに主相には一部5〜10μmのα−Feが存在していた。
また、R−Co金属間化合物相を含む調整用原料は直接還元拡散法で、Nd(純度98%)550g、Dy(純度99%)29g、純度99%のCo粉500gを用いて、これに純度99%の金属Caを350g無水CaClを60g混合して、ステンレス容器内に装入し、Ar気流中に750℃×8時間の条件にて、直接還元拡散法で作製した。得られた合金粉末の成分分析を行ったところ、Nd27.0原子%、Pr0.6原子%、Dy1.3原子%、残部Coからなり、含有酸素量は1500ppmであった。
上記2種類の原料粉末を用いて、主相系合金粉末に20%の調整用合金粉末を配合・混合し、ジェット・ミルなどの粉砕機に装入して約3μmまで微粉砕し、得られた微粉末を約10kOeの磁界中で配向し、磁界に直角方向に約1.5ton/cmの圧力で成型し、8mm×15mm×10mmの成型体を作製した。
この成型体を1100℃×3時間のAr雰囲気中条件で焼結し、550℃×1時間の時効処理を行った。得られた磁石の磁石特性を表1、表2に合わせて示した。
【0035】
比較例2
主相系の合金粉末は比較例1のものを使用し、調整用合金粉末は、
Ndメタル 490g
Dyメタル 26g
純度99%のCo 500g
をAr雰囲気中で溶解し、鉄製鉄型に鋳造した。得られた合金塊の組織を観察したところ、Coが多量に晶出していたため、800℃×12時間の均質化処理を行った。成分分析を行ったところ、Nd11.0原子%、Pr0.6原子%、Dy1.3原子%、残部Coであった。
上記2種類の原料粉末を用いて、主相系合金粉末に20%の調整用合金粉末を配合・混合し、比較例1と同様に磁石を作製した。得られた磁石の磁石特性を表1、表2に合わせて示した。
【0036】
比較例3
原料として、
Ndメタル 305g、
Dyメタル 26g、
B含有量20.0%のFe−B合金 55g、
純度99%のCo 100g
純度99%の電解鉄 525g
を用い、所定の組成の合金が得られるようにAr雰囲気中で溶解し、次いでCu製のロールによるストリップ・キャスティング法で、板厚約2mmの鋳片を得た。さらにこの鋳片を水素吸蔵処理にて粗粉砕後、ジョークラッシャー、ディスクミルなどにより微粉砕して、平均粒径約10μmの粉末800gを得た。
得られた粉末はNd13.5原子%、Pr0.1原子%、Dy1.0原子%、B6.7原子%、Co11.3原子%、残部Feからなり、含有酸素量は約800pmであった。なお、鋳片の組織についてもEPMAで観察したところ、R(Fe,Co)14B相が、その短軸方向で約0.3〜15μm、長軸方向約5〜90μmであり、さらにR−rich相、R−Co相は主相をより囲むように微細に存在していた。
このストリップ・キャスティング法による合金粉末を用いて、比較例1と同様に磁石を作製した。得られた磁石の磁石特性を表1、表2に合わせて示した。
【0037】
【表1】
Figure 0003611870
【0038】
【表2】
Figure 0003611870
【0039】
【発明の効果】
この発明は、主相系合金粉末ならびに調整用合金粉末をストリップ・キャスティング法で製造することにより、主相系合金粉末はRFe14B主相が微細でかつB−rich相や−rich相がよく分散し磁石製造時に微粉砕能が極めて向上し、かつ粒度分布が均一な粉末を製造でき、しかもFe初晶の晶出を抑制でき、また、従来の合金溶製法のように熱処理して均質化したり、直接還元拡散法のように未反応のCo,Fe粒子が残留することがなく、R−Co金属間化合物相を含む調整用合金粉末を容易に製造して配合合金粉末全体を均質化でき、さらに、パルス磁界を用いて配向後プレスして磁石化することにより、耐酸化性にすぐれ、磁石合金の磁気特性、特に、最大エネルギー積値(BH)max(MGOe);Aと保磁力iHc(kOe)の特性値;Bの合計値A+Bが59以上の値を有し、角型性{(Br/4)/(BH)max}が1.01〜1.045の値を示す高性能R−Fe−B系永久磁石が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パルス磁界と通常の静磁界とを併用して作用させることができるプレス装置の説明図である。
【図2】パルス磁界の時間と磁界強さとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1,2 パンチ
3,4 静磁界用コイル
5 ダイス
6 パルス磁界用コイル
7 原料粉末

Claims (2)

  1. R(RはYを含む希土類元素のうち少なくとも1種)11原子%〜15原子%、B4原子%〜12原子%、残部Fe(但しFeの一部をCo、Niの1種または2種にて置換できる)及び不可避的不純物からなる合金溶湯をストリップ・キャスティング法にてRFe14B相を主相とし、該主相の短軸方向の寸法が0.1μm〜50μm、長軸方向の寸法が5μm〜200μmであり、かつ主相の結晶粒を取り囲むようにR−rich相が5μm以下に微細に分散された主相系鋳片に鋳造する工程、R(RはYを含む希土類元素のうち少なくとも1種)45原子%以下、残部Co(但しCoの一部をFe、Niの1種または2種にて置換できる)及び不可避的不純物からなる合金溶湯をストリップ・キャスティング法にて、短軸方向の寸法が0.1μm〜50μm、長軸方向の寸法が5μm〜200μmであるR−Co金属間化合物相を含み、該R−Co金属間化合物相が均一に分散された調整用合金鋳片に鋳造する工程前記各鋳片を各々吸排気可能な容器に収容し、該容器内の空気をHガスにて置換し、Hガスを供給してH吸蔵処理にて得られた崩壊合金粉を脱H処理した後、不活性ガス気流中で微粉砕して平均粒径が1μm〜10μmの主相系合金粉末と調整用合金粉末となす工程、前記主相系合金粉末に調整用合金粉末を60%以下配合混合する工程前記混合合金粉末をモールド内に充填して瞬間的に10kOe以上のパルス磁界をかけて配向させた後、成形、焼結、時効処理する工程によって、(BH)max値;A(MGOe)とiHc値;B(kOe)の合計値A+Bが59以上の値を有し、角型性 {(Br/4)/(BH)max}が1.01〜1.045の値を有する永久磁石材料を得るR−Fe−B系永久磁石材料の製造方法。
  2. 相系合金溶湯のR量が12原子%〜14原子%、B量が6原子%〜10原子%であることを特徴とする請求項1に記載のR−Fe−B系永久磁石材料の製造方法。
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