JPH08127751A - コーティング液及びその製造方法 - Google Patents

コーティング液及びその製造方法

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JPH08127751A
JPH08127751A JP26913394A JP26913394A JPH08127751A JP H08127751 A JPH08127751 A JP H08127751A JP 26913394 A JP26913394 A JP 26913394A JP 26913394 A JP26913394 A JP 26913394A JP H08127751 A JPH08127751 A JP H08127751A
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JP
Japan
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polyester polyol
organosilicon compound
coating liquid
water
acid
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Pending
Application number
JP26913394A
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English (en)
Inventor
Naoaki Nohara
直明 野原
Seiichiro Tanaka
誠一朗 田中
Takeshi Sawai
毅 沢井
Hozumi Endo
穂積 遠藤
Nobuyuki Matsuzoe
信行 松添
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Mitsubishi Chemical Corp
Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Hitachi Kasei Polymer Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 可撓性、耐擦傷性等の優れた塗膜。 【構成】 特定有機ケイ素化合物及び/又はその部分加
水分解重縮合物、これを理論上100%加水分解するの
に必要な量以上の水並びにポリエステル・ポリオールを
含有することを特徴とするコーティング液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はコーティング液及びその
製造方法に関し、さらに詳細には、鉄、ステンレス、ア
ルミニウム及びその他の金属、プラスチック、ガラス、
木材、セメントおよびその他の基板、粉粒体、線状物等
の製品の表面に適用する、加工性、耐汚染性、耐擦傷
性、透明性、耐熱性、耐候性、密着性に優れたコーティ
ング液及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本出願人は、先に、従来のコーティング
膜の有する硬度、耐溶剤性、耐薬品性、耐汚染性、耐擦
傷性等の改善された、テトラメトキシシランを用いた新
規なコーティング組成物を提案した(特願平5−204
229、特願平5−80764、特願平5−10111
6、特願平5−296772、特願平5−29677
3、特願平6−96316、特願平6−228349
等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
コーティング液により得られるコーティング膜は耐汚染
性、耐擦傷性、耐溶剤性、耐薬品性に優れてはいるが得
られるコーティング膜の膜厚は薄く、また柔軟性が不足
するため膜厚を厚くすると加工時にクラックが発生する
ことがあった。また特願平6−96316で提案するコ
ーティング液により得られる塗膜はこれらの点が改善さ
れた膜厚の厚い柔軟性に富んだものであるものの、耐汚
染性、耐擦傷性に更なる改善が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、上
記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、特定有機ケイ素化
合物及び/又はその部分加水分解重縮合物を理論上10
0%加水分解可能な量以上の水で予め充分加水分解し、
引き続きポリエステル・ポリオールを配合して得られた
コーティング液をコーティングすることで、得られたコ
ーティング膜は高硬度、耐汚染性、耐溶剤性、耐薬品性
を保ちながら数μm〜数+μmの膜厚を有することも可
能であり、また柔軟性に優れていることを見出し本発明
に達した。
【0005】すなわち本発明は、下記一般式〔A〕で示
される有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解重
縮合物、これを理論上100%加水分解するのに必要な
量以上の水、並びにポリエステル・ポリオールを含有す
ることを特徴とするコーティング液、及び
【0006】
【化4】
【0007】(但しRは炭素数1〜8の炭化水素基)一
般式〔A〕で示される有機ケイ素化合物及び/又はその
部分加水分解重縮合物並びにこれを理論上100%加水
分解するのに必要な量以上の水を含む液を熟成後、ポリ
エステル・ポリオールと配合することを特徴とするコー
ティング液の製造方法に存する。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。まず、本
発明においては、下記一般式〔A〕で示される有機ケイ
素化合物及び/又はその部分加水分解重縮合物を必須成
分とする。
【0009】
【化5】
【0010】(但しRは炭素数1〜8の炭化水素基)一
般式〔A〕の、Rは炭素数1〜8の炭化水素基である
が、これらのうち、炭素数1〜3、すなわちテトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン及びテトラプロポキ
シシランを用いた場合、特に高硬度のコーティング膜と
することができる。これらの中でも特にテトラメトキシ
シランを用いた場合、極めて高硬度のコーティング膜を
得ることができる。
【0011】尚、テトラメトキシシランは、四塩化珪素
とメタノールとの反応、金属珪素及びメタノールの反応
等の方法により得られるもの、及び/又はこれらの部分
加水分解重縮合物を用いることができるが、原料を精製
することにより容易に不純物を除去できること、及び塩
酸が副生せず装置腐食の問題が生じないこと等から、特
に不純物を除去する必要のある用途等については、珪素
及びメタノールを反応させることにより得られるテトラ
メトキシシラン、及び/又はその部分加水分解重縮合物
を用いるのが望ましい。
【0012】尚、テトラメトキシシラン以外の有機ケイ
素化合物を得る際も、上述の方法に準じ、各種アルコー
ルを用いた反応による製法を採用できる。また、有機ケ
イ素化合物としてテトラメトキシシランを用いた場合、
テトラメトキシシランのモノマー自体には、眼の角膜を
侵し、蒸気でも障害をもたらす等毒性が強いことが示唆
されている。また、活性が高いため、作業時に発熱し、
突沸する場合がある。更に、モノマーを多量に含むコー
ティング液は保存中にモノマーの反応により徐々に性能
が変化する傾向にある。
【0013】従って、有機ケイ素化合物としてテトラメ
トキシシランを用いる場合は、これを部分加水分解重縮
合して得られる部分加水分解重縮合物(以下、テトラメ
トキシシラン・オリゴマーと称する)を用いることによ
り、これらに対処することができ、長期にわたって優れ
た塗膜特性を発現し、毒性も低減され、また作業性にも
優れたコーティング液を供することができる。
【0014】有機ケイ素化合物の部分加水分解重縮合物
を得るための加水分解反応自体は、公知の方法によるこ
とができ、たとえば、有機ケイ素化合物としてテトラメ
トキシシランを用いる場合、テトラメトキシシランのモ
ノマーに所定量の水を加えて酸触媒の存在下に、副生す
るアルコールを留去しながら通常、室温程度〜100℃
で反応させる。この反応の際、溶媒としてメタノール等
のアルコールを用いてもよい。この反応によりメトキシ
シランは加水分解し、さらに縮合反応によりヒドロキシ
ル基を2以上有する液状のテトラメトキシシラン・オリ
ゴマー(通常平均重合度2〜8程度、大部分は3〜7)
が加水分解物として得られる。加水分解の程度は、使用
する水の量により適宜調節することができるが、本発明
においては通常20〜80%程度、好適には30〜60
%程度から選ばれる。20%以下ではモノマー残存率が
高く生産性が低い。また80%以上では得られるハード
コート用組成物がゲル化しやすい。加水分解率100%
とは、有機ケイ素化合物の全ての加水分解可能基を加水
分解縮合するのに必要な量の水すなわちこれらの基のモ
ル数の1/2のモル数の水を添加した場合をいう。
【0015】この際用いる水は水道水でよいが、用途、
目的に応じ脱塩素水を用いることにより、得られる塗膜
の耐食性をより優れたものとすることができる。こうし
て得られた部分加水分解重縮合物にはモノマーが通常2
〜10%程度含有されている。このモノマーが含有され
ているとコーティング液の貯蔵安定性に欠け、保存中に
増粘し、塗膜形成が困難となる場合があるので、モノマ
ー含有量が1重量%以下、好ましくは0.3重量%以下
になるように、モノマーを除去するとよい。このモノマ
ー除去は、フラッシュ蒸留、真空蒸留、又はイナートガ
ス吹き込み等により行うことができる。
【0016】テトラメトキシシラン以外の有機ケイ素化
合物を用いて部分加水分解重縮合物とする場合も、上述
の方法に準じた操作により加水分解反応等を行うことが
できる。本発明においては、上記の有機ケイ素化合物及
び/又はその部分加水分解重縮合物に、これを理論上1
00%加水分解するのに必要な量(以下、加水分解10
0%当量の水という)以上の水を配合する。すなわち、
有機ケイ素化合物の全ての加水分解可能基すなわちアル
コキシ基を加水分解するのに必要な量以上の水である。
有機ケイ素化合物の部分加水分解重縮合物を用いる場合
も同様であり、残存するアルコキシ基を加水分解するの
に必要な量以上の水を配合する。
【0017】このように加水分解100%当量以上であ
ればいずれの量でもよいが、実用的には加水分解100
%当量の1〜4倍、更に好ましくは1〜2倍、特に好ま
しくは1〜1.5倍がよい。水の量が加水分解100%
当量の4倍を超えると、場合によってはコーティング液
の保存安定性が低下することもある。用いる水には特に
制限はなく水道水で良いが、目的、用途によっては脱塩
素水、超純水を用いるのが望ましいこともあるので、適
宜選択すればよい。例えば、酸により特に腐食しやすい
軟鋼、銅、アルミニウム等の基材、耐熱皮膜、耐湿皮
膜、耐薬品皮膜等耐バリヤー皮膜等の電子基材料、電気
絶縁皮膜等の用途に用いる場合は脱塩素水を用いたり、
半導体等の用途のように不純物の混入が望ましくない場
合は、超純水を用いることができる。
【0018】本発明では、更に希釈剤を添加することが
できる。希釈剤の添加により、得られたコーティング液
の保存安定性が向上する。希釈剤としては、目的に応じ
て、水又は有機溶媒を用いることができる。水を用いる
場合は、上述した添加水量を増量して希釈してもよい
し、得られたコーティング液を任意の量の水で希釈して
もよい。
【0019】また、有機溶媒としては、アルコール類、
あるいはグリコール誘導体、炭化水素類、エステル類、
ケトン類、エーテル類等のうちの1種、または2種以上
を混合し使用する。アルコールとしてはメタノール、エ
タノール、イソプロピルアルコール、nブタノール、イ
ソブタノール、オクタノール、n−プロピルアルコー
ル、アセチルアセトンアルコール等、またグリコール誘
導体としてはエチレングリコール、エチレングリコール
モノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエ
ーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテ
ル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリ
コールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ
ブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル
アセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル
アセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル
アセテート等が挙げられる。
【0020】アルコール類としては具体的にはメタノー
ル、エタノール、イソプロピルアルコール、nブタノー
ル、イソブタノール、オクタノール等が挙げられ、グリ
コール誘導体としはエチレングリコール、エチレングリ
コールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエ
チルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピル
エーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテ
ル等が挙げられる。
【0021】炭化水素類としてはベンゼン、ケロシン、
トルエン、キシレン等が使用でき、エステル類として、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチ
ル、アセト酢酸エチル等が使用できる。アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルア
セトン等のケトン類、エチルエーテル、ブチルエーテ
ル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジオキサ
ン、フラン、テトラヒドロフラン等のエーテル類が使用
できる。
【0022】これらの溶媒もしくは分散媒のうち、アル
コール、特にC1 〜C4 のメタノール、エタノール、イ
ソプロパノール又はブタノールが取扱いが容易であり液
での保存安定性がよく、また得られる塗膜の特性が優れ
ていることから好ましい。更にこれらのうちメタノール
又はエタノールを用いることにより、極めて高硬度の塗
膜を容易に得ることができる。
【0023】また、希釈剤としてアルコール等の有機溶
媒を用いる場合、溶媒の配合量は有機ケイ素化合物及び
/又はその部分加水分解重縮合物100重量部に対し5
0〜5000重量部、好ましくは100〜500重量部
がよい。50重量部以下ではコーティング液の保存安定
性が低下し、ゲル化しやすい。500重量部を越えると
塗膜厚さが極端に薄くなる。
【0024】希釈剤として水を用いる場合は、配合量
は、例えば有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分
解重縮合物100重量部に対し、先に述べた加水分解1
00%当量の水と合計して24〜300重量部が適当で
ある。希釈剤として水を用いる場合には、メタノール、
エタノール等の有機溶媒を用いた場合に比べ配合物のゲ
ル化が起こりやすいので、pH3以下、好ましくはpH
1〜2に保つことによりゲル化を防ぐ。従って、用いる
触媒の種類及び量に応じ、上記のpHに保つべく、好ま
しい量の希釈剤を添加する。
【0025】本発明では更に必要に応じて硬化触媒を添
加することができる。触媒としては、例えば、塩酸、酢
酸、硝酸、ギ酸、硫酸、リン酸などの無機酸、パラトル
エンスルホン酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸など
の有機酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアル
カリ触媒、有機金属、金属アルコキシド、例えばジブチ
ルスズジラウリレート、ジブチルスズジオクチエート、
ジブチルスズジアセテート等の有機スズ化合物、アルミ
ニウムトリス(アセチルアセトネート)、チタニウムテ
トラキス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス
(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)、チタニウ
ムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネー
ト)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネー
ト)、ジルコニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルア
セトネート)及びジルコニウムビス(イソプロポキシ)
ビス(アセチルアセトネート)等の金属キレート化合
物、ホウ素ブトキシド等のホウ素アルコキシド、ホウ
酸、等のホウ素化合物等があるが、コーティング液の貯
蔵安定性、及び得られるコーティング膜の硬度、可撓性
等の性質が優れている点からは、酢酸、マレイン酸、シ
ュウ酸、フマル酸、及び金属アルコキシドのうち1種又
は2種以上を用いるのがよい。
【0026】尚、望ましい触媒の種類は用いる希釈剤、
及びコーティングの施される基材の種類、及び用途によ
り適宜選択することができる。例えば、触媒としては塩
酸、硝酸等の強酸を用いた場合、液で保存性がよく、ま
た次に述べる熟成に要する時間が短縮できる上得られる
コーティング膜の硬度は優れたものとなるが、特に腐食
しやすい基材に対しては、避けた方がよいこともある。
これに対し例えばマレイン酸は腐食等の畏れが少なく、
熟成時間が比較的短時間ですみ、得られるコーティング
膜の硬度、液での貯蔵安定性等の特性が特に優れており
望ましい。
【0027】また、希釈剤としてメタノール又はエタノ
ールを用いた場合は、上述した酸触媒の他、例えばアル
ミニウムトリス(アセチルアセトネート)、チタニウム
テトラキス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス
(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)、チタニウ
ムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネー
ト)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネー
ト)、ジルコニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルア
セトネート)及びジルコニウムビス(イソプロポキシ)
ビス(アセチルアセトネート)等の金属アセチルアセト
ネート化合物等を用いた場合でも、液での保存安定性が
損われることもなく、充分な硬度を有するコーティング
膜を得ることができる。
【0028】これら触媒成分の添加量は、触媒としての
機能を発揮し得る量であれば特に制限されるものではな
いが、通常、有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水
分解重縮合物100重量部に対し、0.1〜10重量部
程度の範囲から選択され、好ましくは0.5〜5重量部
である。これらの成分の配合方法は、特に制限されず、
例えば触媒成分を予め水に溶解させたものを用いたり、
攪拌しながら配合する等の手段により一層均一な配合物
とすることもできる。尚、水その他溶媒により分解され
やすい触媒を用いる場合は、これを有機ケイ素化合物及
び/又はその部分加水分解重縮合物と配合しておき、水
その他溶媒と、使用に際して配合することが好ましい。
また、更には触媒成分を使用に際してその他の成分に添
加することもできる。
【0029】本発明においては、これらの成分を配合し
て得られる配合液を熟成させる。かかる熟成工程を経る
ことにより、有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水
分解重縮合物の加水分解、縮合による部分架橋反応が充
分に進み、後述する微小粒子が形成されるため、得られ
るコーティング膜の特性が優れたものとなることが考え
られる。
【0030】配合液の熟成は、液を放置すればよいが、
攪拌してもよい。放置する時間は、上述の部分架橋反応
が所望の膜特性を得るのに充分な程度進行するのに充分
な時間であり、用いる希釈剤の種類及び触媒の種類にも
よる。例えば希釈剤として有機溶媒を用いた場合は、塩
酸では室温で約1時間以上、マレイン酸では数時間以
上、好ましくは8時間〜2日間程度で充分である。
【0031】又、希釈剤として水を用いた場合は、pH
3以下、好ましくはpH1〜2とし、1〜180分、通
常10〜20分程度攪拌しながら加水分解するのが望ま
しい。こうして透明な液を得た後、更に1〜2時間放置
する。熟成に要する時間はまた周囲の温度にも影響をう
け、極寒地では20℃付近まで加熱する等の手段を採っ
た方がよいこともある。一般に高温では熟成が速く進む
が100℃以上にも加熱するとゲル化が起こるので、せ
いぜい50〜60℃までの加熱が適切である。
【0032】熟成を充分に行なうことにより、得られる
膜の白化や、剥離を防止することができる。一般的に、
加水分解による発熱が終わった後放冷し室温に戻り、部
分架橋反応が終了する程度の時間放置すれば、熟成は充
分である。このように熟成を経た本発明の配合液(以
下、「熟成物」という)中には慣性半径10Å以下の微
小粒子が形成しており、例えば小角X線散乱等の手段に
より容易に確認することができる。すなわ微粒子の存在
により、入射X線の回折強度分布が、入射線方向に中心
散乱と呼ばれる散漫な散乱、すなわち小角X線散乱を示
す。散乱強度Iは、次のGuinierの式により与え
られる。 I=C exp(−H2 Rg2 /3)(I:散乱強度、
H:散乱ベクトル(=2πsin2θ/λ)、Rg:微
小粒子の慣性半径、C:Const、λ:入射X線波
長、2θ:ひろがり角) 上記のGuinierの式の両辺の常用対数を採ると、
logI=logC−(H2 Rg2 /3)となり、従っ
て、微小粒子が存在する場合、散乱強度を測定し、散乱
ベクトルに対する両対数グラフをプロットし、傾きを求
めることにより、微小粒子の慣性半径を求めることがで
きる。
【0033】本発明のコーティング液においては、有機
ケイ素化合物の加水分解物がこのような微小粒子を形成
しているため、成膜に際しては成分間の架橋反応性が優
れており、例えば常温でも硬化可能であり、屋外での成
膜も可能である。熟成物に、さらに水その他各種溶媒ま
たは分散媒を加えることができる。特に、配合液を得る
際希釈剤として水を用いpH3以下としている場合は、
使用上の便宜の為にこれらを加えpH3〜5程度の弱酸
とするのが望ましい。pH3以下の強酸のままでは使用
に不便であり、また中性〜アルカリ性として場合は、ゲ
ル化しやすく、液の保存安定性に問題が生ずることがあ
るからである。希釈剤として水を加え、熟成物に更に水
を加える場合は、水の配合量は全部で通常有機ケイ素化
合物及び/又はその部分加水分解重縮合物100重量部
に対して200〜100,000重量部、好ましくは3
50〜35,000重量部である。200重量部以下で
は得られたコーティング液の保存安定性が低下し、また
得られるコーティングが厚膜になりクラックが発生しや
すいという傾向にある。また、100,000重量以上
では、得られたコーティングが極端に薄くなる。尚、希
釈剤とてアルコール等有機溶媒を用いた場合は、水を希
釈剤として用いた場合に比べ微小粒子周囲のOH濃度が
低いため保存安定性が一層優れているので、熟成物にそ
のまま以下に述べるポリエステル・ポリオールを添加す
ることが出来る。
【0034】本発明においては、上述した熟成物に、ポ
リエステル・ポリオールを配合する。本発明で用いるこ
とのできるポリエステル・ポリオールは特に限定されな
い。ポリエステル・ポリオールであれば、いずれも分子
内に水酸基を2個以上有し、本発明で用いる特定有機ケ
イ素化合物と反応し得るからである。これらポリエステ
ル・ポリオールのうち、好ましくは水酸基価が100〜
500mgKOH/g、特に好ましくは200〜400
mgKOH/gのものを用いるのがよい。水酸基価が1
00mgKOH/g未満では得られるコーティング膜の
硬度が低下する傾向にある。また、水酸基価が500m
gKOH/gを超える場合には得られるコーティング膜
の加工性、耐水性、耐薬品性が低下する傾向にある。ま
た、本発明で用いるポリエステル・ポリオールは、酸価
が20mgKOH/g以下のものが好ましく、特に好ま
しくは10mgKOH/g以下である。酸価が20mg
KOH/gを超える場合は、耐水性や耐薬品性が低下す
る傾向にある。また、本発明で用いるポリエステル・ポ
リオールは、好ましくは重量平均分子量が2,000以
上、特に好ましくは5,000以上である。重量平均分
子量が2,000未満では加工性が低下する傾向にあ
る。重量平均分子量の上限は、本発明の効果を達成する
うえにおいては特に制約はないが、ポリエステル・ポリ
オールの合成のし易さ、溶剤に対する溶解のし易さ等に
より適宜選択することができる。本発明で用いるポリエ
ステル・ポリオールのガラス転移温度は、−50〜50
℃が好ましく、特に好ましくは−40〜30℃である。
ガラス転移温度が−50℃未満では、硬度が低下する傾
向にある。また、ガラス転移温度が50℃を超える場合
は、加工性が低下する傾向にある。なお、水酸基価の測
定はJISK0070の2.5項法に、酸価の測定はJ
ISK0070の2.1項法にそれぞれ従う。重量平均
分子量の測定はゲル・パーミエーション・クロマトグラ
フ法に従い、標準ポリスチレンの分子量に換算する。ガ
ラス転移温度の測定は、示査走査熱量計法に従う。
【0035】本ポリエステル・ポリオールを構成する酸
及びアルコールモノマ成分としては、従来公知のいかな
るものも使用することができる。酸モノマ成分として
は、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、無
水フタル酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシ
ン酸、アゼライン酸、ドデカンニ酸、ダイマー酸、マレ
イン酸、フマール酸、トリメリット酸、ピロメリット酸
等を挙げることができる。アルコールモノマ成分として
は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオー
ル、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ブチルエチ
ルプロパンジオール、グリセリン、トリメチロールエタ
ン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等
を挙げることができる。要するに、これら従来公知の酸
及びアルコールモノマ成分を適宜選択、配合し、所望の
水酸基価、酸価、重量平均分子量及びガラス転移温度が
得られるようにする。
【0036】本発明で用いるポリエステル・ポリオール
は、公知の諸法で合成することができる。例えば、上記
酸及びアルコールモノマ成分を適宜選択、配合し、かき
混ぜながら通常200〜250℃下で所望の水酸基価及
び酸価になるまで脱水、縮合反応を進めることにより合
成することができる。合成時に必要に応じて酢酸亜鉛、
酸化亜鉛、ジブチルチンオキサイド、ジブチルチンジラ
ウレート等の触媒を加えることもできる。
【0037】このようにして得られるポリエステル・ポ
リオールは、取り扱いを容易にするため溶剤に溶解させ
溶液状態としたポリエステル・ポリオール溶液の状態で
用いることができる。溶剤は、用いるポリエステル・ポ
リオールを溶解させ、しかも本発明のコーティング液と
したときに濁りや、相分離を起こさないものであれば従
来公知のいかなるものも使用することができる。例え
ば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、n−ブタノール、イソブタノール、オクタノール等
のアルコール類、エチレングリコール、エチレングリコ
ールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエー
テル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の
グリコール誘導体、ベンゼン、ケロシン、トルエン、キ
シレン等の炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸
ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエス
テル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン、アセチルアセトン等のケトン類、エチルエ
ーテル、ブチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセ
ロソルブ、ジオキサン、フラン、テトラヒドロフラン等
のエーテル類を単独で、あるいは混合して使用すること
ができる。ポリエステル・ポリオール溶液の固形分濃度
は任意であるが、通常は20〜80重量%の範囲である
ことが望ましい。固形分濃度が20重量%未満では厚い
塗膜を目的とするときは何回も重ね塗りする必要があ
る。
【0038】また、固形分濃度が80重量%を超える場
合はポリエステル・ポリオール溶液が粘くなり取り扱い
が難しくなる。ポリエステル・ポリオールの配合量は、
有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解重縮合物
100重量部に対し、5〜1900重量部、好ましくは
25〜400重量部程度が適当である。
【0039】5重量部以下では得られるコーティング膜
にクラックが発生し易い。また1900重量部以上では
得られるコーティング膜の硬度が低い傾向がある。ま
た、上記のポリエステル・ポリオールは、単独でも、或
いは目的に応じて2種以上を併用することも差し支えな
い。併用に際しては、2種以上を予め配合しても、各々
を、熟成を経た配合液に添加してもよい。
【0040】これらポリエステル・ポリオールまたはポ
リエステル・ポリオール溶液の熟成物への配合に際して
は、必要に応じて、溶媒、分散媒、硬化触媒、その他の
添加剤を併せて、又は追って、添加することができる。
例えば、後述する成膜に際し、特にスプレー法、ディッ
プ法による場合、塗工条件、膜厚等の目的膜物性に応じ
た粘度、不揮発成分含有量を有するコーティング液を調
整するため、これら溶媒又は分散媒の添加を行うことが
できる。
【0041】溶媒としては熟成物とポリエステル・ポリ
オールの双方に相溶性を持つものが好適であり、例えば
アルコール類、あるいはグリコール誘導体、炭化水素
類、エステル類、ケトン類、エーテル類を1種、または
2種以上混合して使用できる。アルコール類としては具
体的にはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール、n−ブタノール、イソブタノール、オクタノール
等が挙げられ、グリコール誘導体としてはエチレングリ
コール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチ
レングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコー
ルモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ
n−ブチルエーテル等が挙げれる。
【0042】炭化水素類としてはベンゼン、ケロシン、
トルエン、キシレン等が使用でき、エステル類として、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチ
ル、アセト酢酸エチル等が使用できる。アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルア
セトン等のケトン類、エチルエーテル、ブチルエーテ
ル、2メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジオキサ
ン、フラン、テトラヒドロフラン等のエーテル類が使用
できる。
【0043】場合によっては、分散媒も使用することが
できる。用いる分散媒としては、たとえば、水−界面活
性剤系が好適であり、界面活性剤としてはアニオン、カ
チオン又はノニオン性のものが一般的である。アニオン
性界面活性剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、
硫酸エステル塩、リン酸エステル等、カチオン性のもの
としては、1〜3級アミンの有機もしくは無機酸の塩、
四級アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミ
ン塩等、さらにはノニオン性のものとしては、ソルビタ
ンジアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステルの
エチレングリコール縮合物、脂肪族アルコールポリエチ
レングリコール縮合物、アルキルフェノールポリエチレ
ングリコール縮合物、ポリプロピレングリコールポリエ
チレングリコール縮合物等、が挙げられる。
【0044】これらの界面活性剤は、上記熟成物に対し
て0.1〜5%程度使用するのが一般的であり、分散
(乳化)に際しては、適当量の水を用いて、ホモミキサ
ー、コロイドミル、超音波等、公知の方法によることが
できる。これら溶媒、分散媒のうち、通常は溶媒を用い
るのが、得られるコーティング膜の物性や、コーティン
グ液の安定性が優れているので望ましい。また溶媒の種
類についても目的とするコーティング膜の特性、塗工条
件等に適したものを選択すればよいが、一般には、例え
ばベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類や、メ
チルエチルケトン等のケトン類を用いた場合、コーティ
ング膜硬化時の脱溶媒速度が適切であるため、得られる
コーティング膜の表面光沢が特に優れたものとなる上、
所望の膜厚を容易に得ることができる。
【0045】その他、一般に、使用条件、所望の膜特性
等に応じて適宜選択すればよい。尚、使用条件、ポリエ
ステル・ポリオールの種類、使用量等によっては、官能
基が多く、成膜後の硬化速度向上のために触媒を更に添
加するのが望ましい場合もあるが、一般には、配合液の
熟成の際に添加した触媒で充分である。
【0046】尚、これら溶媒及び触媒を使用する際の添
加順序は特に限定されず、ポリエステル・ポリオールと
同時に熟成物に添加してもよく、あるいは配合し、混
合、放置等してから添加してもよい。こうして得られた
本発明のコーティング液をポリマー、金属、セラミック
等の基材や線材に含浸法、スピンコーター法、スプレー
法等で造膜したり、粉体と混合して造膜する。室温で脱
溶剤処理として1〜10分放置後、20℃以上で加熱硬
化する。加熱炉はガス炉、電気炉等汎用炉で良い。
【0047】また、本発明のコーティング液によれば、
充分な熟成により有機ケイ素化合物の加水分解物が微小
粒子を形成しているため、ポリエステル・ポリオールと
の相溶性がよく、架橋反応の進行速度、進行程度が極め
て優れている。このため特に加熱工程を要さず、常温で
乾燥させ脱溶媒過程を進行させれば、液中各成分の架橋
反応も進行し、充分な高硬度を有するコーティング膜を
得ることができるので、屋外での使用にも好適である。
【0048】尚、常温乾燥により膜硬化を行う場合は、
加熱する場合よりもやや長時間を要するが、通常半日程
度放置すれば充分である。また、本発明のコーティング
液は再塗布性が良いため、用途によっては、乾燥後、さ
らに再塗布し、乾燥してもよいが、本発明のコーティン
グ液によれば、一回の塗布で10μm以上の膜厚を得る
ことができる。
【0049】塗布自体は常法によることができ、膜厚も
適宜選定することができる。膜厚の選定は、常法による
ことができ、例えば液中非揮発成分濃度、液の粘度、デ
ィップ法における引上げ速度、スプレー法における噴射
時間等を調整したり、再塗布を行ったりすることにより
選定できる。更には用いるポリエステル・ポリオールの
種類、添加量の調整等によっても、得られる膜厚は適宜
変化させることができる。本発明のコーティング液は液
でのポットライフが2週間以上、増粘もなく造膜可能で
且つ、造膜後の塗膜硬度も高く、可撓性もある上、撥水
性、耐汚染性に極めて優れているという特長を有する。
【0050】
【実施例】以下、実施例により、更に本発明を詳細に説
明する。なお部及び%は特にことわりのない限り重量部
及び重量%を示す。
【0051】実施例1 (オリゴマーの合成)攪拌機と還流用コンデンサー及び
温度計を付けた500mlの四つ口丸底フラスコに、テ
トラメトキシシラン(下記化学式)234gとメタノー
ル74gを加えて混合した後、0.05%塩酸22.2
gを加え、内温度65℃、2時間加水分解反応を行っ
た。
【0052】
【化6】
【0053】次いでコンデンサーを留出管に取り換え、
内温度が130℃になるまで昇温し、メタノールで留出
させた。このようにして部分加水分解縮合物を得た(部
分加水分解分解率40%)。重合度2〜8のオリゴマー
が確認され、重量平均分子量は550であった。得られ
た部分加水分解縮合物(以下「テトラメトキシシラン・
オリゴマー」という)中のモノマー量は5%であった。
引き続き130℃に加熱したフラスコにテトラメトキシ
シラン・オリゴマーを入れ、気化したモノマーを不活性
ガスと共に系外に排出しながら、150℃まで昇温し、
3時間保持した。こうして得られたモノマー除去後のテ
トラメトキシシラン・オリゴマー中のモノマー量は0.
2%であった。
【0054】(ポリエステル・ポリオールAの合成)攪
拌機、縮合水留出管、N2 吹き込み管、及び温度計を付
けた2,000mlの四つ口フラスコにネオペンチルグ
リコール360g、トリメチロールプロパン300g、
イソフタル酸569g及びセバシン酸204gを仕込
み、N2 を吹き込み、かき混ぜながら220℃まで昇温
した。ついで、220℃下で約10時間、酸価が10m
gKOH/g以下となるまで縮合反応を進め、ポリエス
テル・ポリオールAを得た。ポリエステル・ポリオール
Aは水酸基価が218mgKOH/g、酸価が9.2m
gKOH/g、重量平均分子量が8,400、ガラス転
移温度が−5℃であった。
【0055】(ポリエステル・ポリオール溶液Aの調
整)次に、このポリエステル・ポリオールAをプロピレ
ングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解さ
せ、固形分濃度が50.0重量%のポリエステル・ポリ
オール溶液Aを調製した。このポリエステル・ポリオー
ル溶液Aの水酸基価は107mgKOH/g、酸価は
4.6mgKOH/gであった。
【0056】(コーティング液の調製)(オリゴマーの
合成)で得られたテトラメトキシシラン・オリゴマー3
0.8gにエタノール62.4gを添加し、次いでアル
ミニウムトリス(アセチルアセトネート)0.3g及び
脱塩素水6.57gを添加した。水の添加量はテトラメ
トキシシラン・オリゴマーを理論上完全に加水分解する
量に対し114%である。室温で1日放置し熟成した。
次いで、(ポリエステル・ポリオール溶液Aの調製)で
得られたポリエステル・ポリオール溶液Aを128gを
配合し、室温で1日放置し、コーティング液を得た。
【0057】(コーティング膜の作製)アルミニウム基
材(JIS1050、厚さ0.1mm)に150μmア
プリケーターで得られたコーティング液で塗工した。次
いで電気炉で150℃で2時間熱硬化した。得られたコ
ーティング膜厚は20μm、鉛筆硬度3H、半径5φm
mのSUS304棒で180℃曲げてもクラック発生は
無かった。また沸騰水(100℃、3時間)に含浸して
もクラック、白化現象はみられなかった。
【0058】(微小粒子の確認)(オリゴマーの合成)
で得られたモノマー除去後のテトラメトキシシラン・オ
リゴマー34.99gにエタノール49.31gを添加
し、次いでマレイン酸0.38g及び脱塩素水8.32
gを添加した。水の添加量はテトラメトキシシラン・オ
リゴマーを理論上完全に加水分解する量に対し127%
である。室温で2日放置し熟成して得られた液(組成物
A、SiO2 換算濃度16重量%、8.1vol%)、
及びこれをエタノールで約4倍に希釈した液(組成物
B、SiO2換算濃度4.3重量%、2vol%)につ
いて、以下の条件で、小角X線散乱による解析を行っ
た。
【0059】測定装置: アントンパール社製 クラ
ツキコンパクトカメラ X線源: 50kV、200mA、Cu−Kα線を
Ni−filterで単色化。 光学系条件: サンプル−受光スリット間距離=20c
m 内真空path=19cm エントランス・スリッ
ト=80μm、受光スリット=200μm、beam
length=16mm 試料セル: 石英キャピラリー(直径約1mm、肉厚
10μm) その他条件: 室温。step scan法 操作範囲
2θ=0.086〜8.1deg 90sec/po
int データ補正: バックグラウンド補正は石英キャピラリ
ーに水を充填した時の散乱を用いて補正した。X線吸収
補正も行った。 解析ソフト: スリット補正及び逆フーリエ変換は解析
ソフトITP−81(0.Glatter;J.App
l.Cryst.;10.415−421(1977)
による。)を使用した。
【0060】図−1及び図−2に、組成物A及び組成物
Bの、受光スリットにおける散乱X線の移動距離に対す
る、散乱強度の測定データ(バックグラウンド補正、吸
収補正済)を示す。図−3及び図−4に、組成物A及び
組成物Bのスリット補正後のポイントビームデータを示
す。
【0061】これら図−3及び図−4からGuinie
rの式I=C exp(−H2 Rg 2/3)(I:散乱
強度、H:散乱ベクトル(=2πsin2θ/λ)、R
g:慣性半径、C:const、λ:Cu−Kα線波
長、2θ:ひろがり角)に従って慣性半径の最大値を求
めると、図−5及び図−6に示した様に、組成物Aにつ
いては、7.0Å(球形と仮定すると実半径R=(5/
3)1/2 Rgより、半径9.0Å)組成物Bについては
6.0Å(球形と仮定すると半径7.7Å)であった。
また、図−3及び図−4を逆フーリエ変換し、半径(球
形と仮定)の分布を求めた結果を図−7及び図−8に示
す。半径の最大値は、各々約6Å及び7Åであった。
【0062】なお、上記(オリゴマーの合成)で得られ
たモノマー除去後のテトラメトキシシラン・オリゴマー
について、同様の条件下に小角X線散乱による解析を行
った。図−9に散乱強度の測定データを示すが、これに
より明らかなように、微小粒子等の構造は認められなか
った。
【0063】実施例2 モノマ成分としてトリメチロールプロパン774g、イ
ソフタル酸569g及びセバシン酸204gを用いた他
は実施例1の(ポリエステル・ポリオールAの合成)と
全く同様の操作を行い、ポリエステル・ポリオールBを
得た。こうして得られたポリエステル・ポリオールBの
水酸基価は3.42mgKOH/g、酸価は5.6mg
KOH/g、重量平均分子量は12,400、ガラス転
移温度−22℃であった。次いで、このポリエステル・
ポリオールBから実施例1の(ポリエステル・ポリオー
ル溶液Aの調製)と全く同様の操作を行いポリエステル
・ポリオール溶液B(固形分濃度50.0重量%)を得
た。このポリエステル・ポリオール溶液Bの水酸基価は
171mgKOH/g、酸価は2.8mgKOH/gで
あった。
【0064】(コーティング液の調製)ポリエステル・
ポリオール溶液Bを用いた外は実施例1の(コーティン
グ液の調製)及び(コーティング膜の作製)同様にコー
ティングを調製し、塗膜を作製した。得られたコーティ
ング膜厚は23μm、鉛筆硬度4H、半径5φmmのS
US304棒で180℃曲げてもクラック発生は無かっ
た。また沸騰水(100℃、3時間)に含浸してもクラ
ック発生、白化現象は見られなかった。
【0065】実施例3 ポリエステル・ポリオール溶液Bの配合量が59gであ
る以外は実施例2同様の操作をおこなった。得られたコ
ーティング膜厚は23μm、鉛筆硬度5H、半径5φm
mのSUS304棒で180℃曲げてもクラック発生は
無かった。また耐酸性テスト(5%硫酸液を滴下し、1
5時間室温放置)でもクラック発生、白化現象は見られ
なかった。
【0066】実施例4 テトラメトキシシラン40.5gにエタノール48.4
gを添加し、次いでマレイン酸0.3g及び脱塩素水1
0.8gを添加した。水の添加量はテトラメトキシシラ
ンを理論上完全に加水分解する量に対し113%であ
る。室温で5日放置し熟成した。
【0067】次いで実施例1で得られたポリエステル・
ポリオール溶液Bを128gを配合し、室温で2日放置
しコーティング液を得た。コーティング膜の作製法は実
施例1同様に行った。得られたコーティング膜厚は12
μm、鉛筆硬度3H、半径5φmmのSUS304棒で
180℃曲げてもクラックは発生は無かった。また沸騰
水(100℃、3時間)に含浸してもクラック、白化現
象は見られなかった。
【0068】
【発明の効果】本発明により、液での貯蔵安定性に優れ
ており、また耐汚染性、耐擦傷性、耐溶剤性、耐薬品性
に優れ、高硬度を有する上、可撓性に富み、極めて優れ
た加工性を有する厚膜を得ることが可能なため、プリコ
ートメタル(PCM)用途等の後加工を要する用途にも
好適に用いることのできるコーティング液を得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における組成物Aの散乱強度の測定デ
ータ。
【図2】実施例1における組成物Bの散乱強度の測定デ
ータ。
【図3】実施例1における組成物Aのスリット補正後の
ポイントビームデータ。
【図4】実施例1における組成物Bのスリット補正後の
ポイントビームデータ。
【図5】実施例1における組成物A中の微小粒子の慣性
半径の分布。
【図6】実施例1における組成物B中の微小粒子の慣性
半径の分布。
【図7】実施例1における組成物A中の微小粒子の球仮
定半径の分布。
【図8】実施例1における組成物Bの微小粒子の球仮定
半径の分布。
【図9】実施例1〔オリゴマーの合成〕で得られたテト
ラメトキシシラン・オリゴマーの散乱強度の測定デー
タ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沢井 毅 北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱 化学株式会社黒崎事業所内 (72)発明者 遠藤 穂積 北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱 化学株式会社黒崎事業所内 (72)発明者 松添 信行 東京都千代田区丸の内二丁目5番2号 三 菱化学株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式〔A〕で示される有機ケイ素
    化合物及び/又はその部分加水分解重縮合物、これを理
    論上100%加水分解するのに必要な量以上の水、 並びにポリエステル・ポリオールを含有することを特徴
    とするコーティング液。 【化1】 (但しRは炭素数1〜8の炭化水素基)
  2. 【請求項2】 ポリエステル・ポリオールが水酸基価1
    00〜500mgKOH/g、酸価20mgKOH/g
    以下、重量平均分子量2,000以上、ガラス転移温度
    −50〜50℃のポリエステル・ポリオールであること
    を特徴とする請求項1記載のコーティング液。
  3. 【請求項3】 一般式〔A〕で示される有機ケイ素化合
    物がテトラメトキシランであることを特徴とする請求項
    1記載のコーティング液。
  4. 【請求項4】 一般式〔A〕で示される有機ケイ素化合
    物及び/又はその部分加水分解重縮合物がテトラメトキ
    シシラン・オリゴマーであることを特徴とする請求項1
    又は2記載のコーティング液。
  5. 【請求項5】 一般式〔A〕で示される有機ケイ素化合
    物及び/又はその部分加水分解重縮合物がテトラメトキ
    シシラン・オリゴマーであって且つモノマー含量が1重
    量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載のコーティング液。
  6. 【請求項6】 下記一般式〔A〕で示される有機ケイ素
    化合物及び/又はその部分加水分解重縮合物並びにこれ
    を理論上100%加水分解するのに必要な量以上の水を
    含む液を熟成後、 ポリエステル・ポリオールと配合することを特徴とする
    コーティング液の製造方法。 【化2】 (但しRは炭素数1〜8の炭化水素基)
  7. 【請求項7】 下記一般式〔A〕で示される有機ケイ素
    化合物の加水分解物より成る慣性半径10Å以下の微小
    粒子を含有する液にポリエステル・ポリオールを配合し
    て得られるコーティング液。 【化3】 (但しRは炭素数1〜8の炭化水素基)
  8. 【請求項8】 ポリエステル・ポリオールが水酸基価1
    00〜500mgKOH/g、酸価20mgKOH/g
    以下、重量平均分子量2,000以上、ガラス転移温度
    −50〜50℃のポリエステル・ポリオールであること
    を特徴とする請求項7記載のコーティング液。
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