JPH0812188B2 - イオン測定用試験担体 - Google Patents

イオン測定用試験担体

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JPH0812188B2
JPH0812188B2 JP3110264A JP11026491A JPH0812188B2 JP H0812188 B2 JPH0812188 B2 JP H0812188B2 JP 3110264 A JP3110264 A JP 3110264A JP 11026491 A JP11026491 A JP 11026491A JP H0812188 B2 JPH0812188 B2 JP H0812188B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に水性液体中、特に
好ましくは血液、血漿、血清または尿のような体液中の
イオンの測定用試験担体に関する。
【従来の技術】
【0002】液体中のイオン、特にアルカリ金属および
アルカリ土類金属イオンの測定は、非常に重要なことで
ある。ここでは、水の硬度の測定、流出液の分析および
それに類するものだけに注意が引かれる。
【0003】特に体液中におけるアルカリおよびアルカ
リ土類イオンの測定は、医学的診断において重要な役割
をする。すなわち、臨床学的および救急検査室における
カリウムおよびナトリウム測定は、心臓血管疾患、筋肉
疾患、腎臓疾患、様々な原因によるショック状態および
それに類するものの診断およびモニターリングに必要で
ある。カルシウムの測定は、骨疾患の診断に関して重要
である。リチウム測定は、リチウムを含む抗抑制薬の治
療学的モニターリングに必要である。
【0004】イオン測定は、主として、特に臨床検査室
において、炎光光度分析およびイオン選択電極によって
行われる。
【0005】これらとは別に、イオンの光度分析を可能
にする、すなわち、分析反応によって色を変化させる多
くの方法が公知である。アナリティカル・ケミストリー
(Analytical Chemistry)におけるエム・コルソフ(M.
Kolthoff)の“アプリケイション・オブ・マクロサイク
リック・コンパウンズ・イン・ケミカル・アナリシス
(Application of macrocyclic compoundsin chemical
analysis)"、1979年、1R〜22R、特に16R〜18
R頁およびそこに挙げられた引用文献においてこのよう
な方法が吟味されている。
【0006】これらの方法は、いわゆる抽出分析に基づ
いている。この方法では、測定しようとするイオンのタ
イプに関して選択的である錯化剤(イオノフォア)を、水
と不混和性の有機(疎水性)液体に溶解する。この試験シ
ステムは、水性試料液体(例えば、血液、血清)と激しく
接触させる(通常、強く撹拌する)。この工程において、
イオンが錯体形成し、その結果、有機相中に進む。
【0007】この工程に関する多くの色試験方法、例え
ば、特に分析物イオンと一緒に有機相中に進む着色対イ
オン物質の使用、イオノフォアに共有結合した色素(全
体としてクロモイオノフォアとも称する)の使用、また
は分析物イオンが水と不混和性である液体に入り込む場
合に電荷のバランスをとるために水性試料液体中にプロ
トンを放出し、その結果、その色が変化する、有機相中
に固定されたpH指示薬の使用が公知である。後者の方
法は、不均一pH反応と称される。
【0008】近年、迅速診断装置およびアングロ−サク
ソン文献における“分析試験担体"または“固体状態分
析装置"とも称されるいわゆる試験担体による分析は、
重要さが増大している。これらは、分析に必要な全ての
試薬が吸収担体もしくはフィルムまたは膨潤可能な担体
もしくはフィルムの上あるいは中に存在しており、装
置、いわゆる、使用するのが簡単である試験ストリップ
またはスライドのような試験担体の形態で設置されてい
る分析形態である。それらを体液のような試料によって
湿潤させると、試験反応が進む。次に、測定しようとす
る分析物の量に関する尺度である形成された色を、色比
較パネルまたは簡単な反射率光度計によって評価するこ
とができる。
【0009】迅速診断装置の特徴は、その取扱いの簡単
さである。結果として、あまりよく熟練していない研究
員または患者によって使用される場合でさえ、最高精度
の結果が得られる。
【0010】これらの長所を考慮して、イオン分析用迅
速診断装置を開発しようとする試みもたくさんあり、そ
れによって、この場合、古典的な試験管分析によって知
られているアプローチも用いられている。
【0011】イオン選択電極の原理に基づいている試験
担体は、例えば、米国特許第4,171,246号から公知であ
る。しかしながら、これらの構造は比較的複雑であり、
それらの取扱いは、特に、試験担体の適切な位置に、試
料液に加えて参照液を正しく適用することの必要性によ
って特に難しくなっている。
【0012】試験担体への抽出分析の適用は、米国特許
第3,635,679号に開示されており、2価の金属イオンに
よって実証されている。この方法では、疎水性ポリマー
(特にポリ塩化ビニル)を基材とするフィルム層(分析フ
ィルム)が使用され、これは、付加的フィルム形成成分
として、通常プラスチックホイルに関する可塑剤として
使用される疎水性有機液体を含有している。欧州特許出
願公告EP-B-0041175は、アルカリ金属について同様
の反応原理の適用に関するものである。
【0013】原理的に、該フィルム形成成分を有する分
析フィルムの使用は、迅速診断装置によるイオンの分析
を可能にする。しかしながら、実際は、非常に困難が生
じ、これは、おそらく、主として、水性試料液と疎水性
分析フィルムとの間の遅い交換の結果である。特に、色
の形成が充分に強くなく、比較的に小さい信号振幅が得
られるだけであり、その結果、分析の精度が比較的乏し
くなる。さらに、一定の終点値を有する明確な色変化
は、終点測定法を使用する分析にとって望ましい程度ま
でには観察されない。
【0014】したがって、既に、この点において改良す
べく、非常に多くの特定の試験層構造物が提案されてき
た。
【0015】作業設計は、欧州特許出願公開EP-A-01
25555に開示されており、これには、イオノフォアおよ
び指示薬を溶解している可塑化された無極性非孔質プラ
スチックフィルムとして有機相が存在する。試験反応が
停止せず、したがってイオンの測定が動力学的測定によ
ってのみ可能であることが実施例から明らかである。こ
れは、迅速な診断装置に関して一般的である標準を使用
せずに測定しようとする場合に特に不都合である。動力
学的測定は、診断薬の老化に非常に影響され易い。さら
に、該実施例には、単に、血清の分析に関して診断学的
に不適切であり、試料の希釈を必要とする3ミリモル
カリウム/リットルまでの上限濃度を有する水溶液に関
する試験が開示されている。健康な個体の血清は、約
3.5〜5.5ミリモル/リットルのカリウム濃度を有す
る。
【0016】用途設計は、欧州特許出願公開EP-A-01
25554に開示されており、これには、親水性マトリック
ス中に疎水性層が小さい液体粒子の形態で埋込まれてい
る。しかしながら、開示されている2分以上の反応時間
は、迅速診断装置に関しては比較的長い。さらに、経験
的に、このようなエマルションは再現可能に製造するの
が困難であり、特に長時間にわたって乾燥状態に維持す
るのも困難であるのが分かる。また、この場合、実施例
によると、カリウムの分析は予備希釈を必要とする。
【0017】欧州特許出願公開EP-A-0141647には、
高分子結合剤によって一緒に保持されている隙間体積を
有していない反射粒子を含有している、特に液体中のイ
オン分析物の測定に関する試験装置が開示されている。
分析物に関する抽出剤および検出剤、例えばクロモイオ
ノフォアは、該粒子の表面上に固定される。高分子結合
剤自体が、分析物または分析物の反応生成物に対して透
過性でなければならない。実施例に示されるように、こ
のタイプの試験装置は、約5分の反応時間を必要とす
る。このような時間は、迅速診断装置に関して長すぎ
る。
【0018】欧州特許出願公開EP-A-0153641には、
クロモフォアおよびイオノフォアを含有している有機疎
水性相を含浸している多孔性担体マトリックスが開示さ
れている。好ましい担体マトリックスとして紙が開示さ
れている。しかしながら、経験的に、紙は、比較的不均
質な組成を有しており、必然的に、特にカリウム測定に
関して、必要な正確さが常に得られるわけではないこと
が分かる。したがって、該出願には4%までの変動係数
が得られることが開示されている。
【0019】欧州特許出願公開EP-A-0175990におい
て、疎水性フィルム形成性水不溶性ポリマーからなる有
機相中に、適切な有機ポリマーの親水性、好ましくは水
溶性粒子が埋込まれている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、迅速
反応および強い色形成ならびにそれに応じて増大した分
析の精度を特徴とするイオン測定用迅速試験を提供する
ことである。
【0021】
【課題を解決するための手段】この目的は、特許請求の
範囲において特徴付けられた発明によって達成される。
【0022】本発明は、イオン測定用試験担体を提供す
るものである。それは、耐液性有機相を有する試験層を
含み、該有機相は、水と不混和性である揮発困難性液体
と均一に混合した疎水性ポリマーを含有している。さら
にまた、該試験担体は、イオノフォアおよび測定しよう
とするイオンの存在下でその色が変化する色原体を含有
する。本発明の試験担体は、試験層が吸油価80〜20
0、好ましくは100〜170の粒子を含有しており、
イオノフォアが該耐液性有機相中に均一に分散している
ことを特徴とする。
【0023】本発明の試験担体の試験層は、高多孔質構
造を有する。欧州特許出願公開EP-A-0153641に対照
して、担体マトリックスが必要ではないので、光学的評
価において、該マトリックス材料の構造によって生じる
問題が回避される。さらに、本発明の試験層は、比較的
容易に製造することができ、その結果、経済的に優れて
いる。
【0024】本発明の試験層を使用することによって、
非常に短い反応時間を必要とするだけである。色形成
は、約60秒後に既に完了しており、その結果、実用的
見地から終点測定が容易に行われ得る。
【0025】高分子物質中に埋込まれた有機または無機
粒子を含む試験層は公知である。すなわち、例えば、米
国特許明細書3,992,158には、多孔質塗布層を得るため
の様々な粒子の使用が開示されている。欧州特許出願公
告EP-B-0016387には、特定の大きさおよび濃度範囲
の無機または有機粒子がフィルムオープナーとして使用
される分析層が開示されている。欧州特許出願公告EP
-B-0013156には、有機高分子粒子が少量の結合剤によ
って結合して開孔複合構造を形成する粒子複合構造が開
示されている。しかしながら、これらの刊行物には、長
年、専門家集団において試みられている課題であるイオ
ンの分析における特別な問題の解決について開示されて
いない。
【0026】フィルム層と記載することもできる本発明
の試験層は、疎水性ポリマーから形成される耐液性フィ
ルムおよびそこに分散された粒子が含まれている。該疎
水性ポリマーは、試験しようとする液体および測定しよ
うとするイオンに対して不浸透性、すなわち、耐液性で
ある。試料液体を試験層中に浸透させるのは、該粒子で
ある。全体として試験層は、試験しようとする液体に対
して不浸透性である。単に、ある程度の量が取り込まれ
るだけである。特に、酢酸ビニルのコポリマーは疎水性
ポリマーとして使用するのに好都合であることが分かっ
た。酢酸ビニルとラウリン酸ビニルまたはマレイン酸ジ
ブチルエステルとのコポリマーが特に好都合である。
【0027】粒子としては、試験しようとする液体に不
溶性であり、吸油価80〜200、好ましくは100〜
170を有する固体の不溶性不活性無機または有機粒子
が使用され得る。とりわけ、未焼成または天然の多孔質
珪藻土、か焼または焼成の多孔質珪藻土、流動焼成また
は活性化多孔質珪藻土のような様々なタイプの珪藻土が
本発明のフィルム層に関して好都合であることが分かっ
た。
【0028】吸油価は、例えば充填剤として使用される
粒子に関するペイントおよびコーティングの技術分野に
おいて周知のパラメータである。粒子とそれらが分散さ
れている媒質との間の相互関係に関する尺度である。吸
油価は簡単に測定することができる。該測定は、DIN
(ジャーマン・インダストリアル・スタンダード(Germa
n Industrial Standard))53199に従って行われ
る。この規準によって、吸油価は、問題の粒子100g
を凝集性パテ状塊に加工処理するために必要とされるア
マニ油の量をグラムで示す。これに関して、粒子(重量
a(グラム))をガラスプレート上に置く。ビュレットに
よって、アマニ油の必要とされる量の2/3を添加す
る。混合物が均一になるまでスパチュラで強くこするこ
とによって、加圧下、油および粒子を処理する。次に、
再度、油を滴下し、そのたびごとに、ガラスプレート上
に塗布されない凝集性パテ状混合物が形成されるまで同
様な方法で処理する。これにおいて消費された油の量b
(ml)は、0.01mlまで測定される。次に、下記式から
吸油価を算出する。
【0029】
【数1】
【0030】ここで、アマニ油の密度は0.93g/mlで
ある。
【0031】結果として、使用した粒子は、不均一な形
状を有する。それらの粒度は、通常0.1〜200μmで
あり、好ましくは0.2〜30μmである。本発明で使用
する粒子の特徴は、それらが気体および湿潤液体を浸透
させることができるキャビティを有することである。こ
の特性は、特に、50〜250、好ましくは80〜18
0g/リットルの低い嵩密度で表される。
【0032】粒子に対する疎水性ポリマーの重量比約
5:1〜1:10は、本発明のフィルム層に有用であ
る。該重量比は、好ましくは、約1:1〜約1:3であ
る。粒子に対する疎水性ポリマーの最適な重量比は、各
々の場合、使用されたポリマーおよび粒子の性質に依存
する。疎水性ポリマーが酢酸ビニルとラウリン酸ビニル
および/またはマレイン酸ジブチルエステルとのコポリ
マーであり、粒子が珪藻土である場合、最適な重量比
は、1:1.5〜1:2.5である。
【0033】さらに、本発明のフィルム層の必要な成分
は、水と不混和性である揮発困難性液体およびイオノフ
ォアである。これらの成分を疎水性ポリマー中に均一に
分散させる。
【0034】水と不混和性である揮発困難性液体は、プ
ラスチックに関する可塑剤として認識されている。ポリ
マーと一緒に、イオンの測定方法に関する有機相として
の役割をする。全ての可能な市販のタイプの可塑剤、好
ましくは、セバシン酸、アクリル酸、フタル酸およびリ
ン酸のエステルならびにシリコーンが挙げられる。特に
該方法に関する技術的理由に関して、非常に揮発困難な
ユビヌル(UvinulR)N539(2,2−ジフェニル−1
−シアノ−アクリル酸エチルヘキシルエステル)が好ま
しい。
【0035】試験層における揮発困難性疎水性有機液体
に対する疎水性ポリマーの重量比は、約5:1〜約1:
5、特に約2:1〜約1:2であり得る。
【0036】測定しようとするイオンに関して特異的で
あり、かつ非水性相に充分に溶解する、イオンと錯体形
成し得る物質の全てをイオノフォアとして使用し得る。
これに関して、クラウンエーテル、クリプタンド、ポダ
ンドおよび対応する環式または非環式のペプチドが挙げ
られる。2,3−ナフトール−15−クラウン−5は、
カリウムの測定に関して特に好都合であることが分かっ
た。天然のイオノフォアバリノマイシンが特に好まし
い。ナトリウムの測定に関しては、例えば、N,N'−ジ
ベンジル−N,N'−ジフェニル−1,2−フェニレン−
ジオキシジアセトアミドが挙げられ、リチウムに関して
は、N,N'−ジヘプチル−5,5−ジメチル−N,N'−
ジ(3−オキサペンチル)−3,7−ジオキサノナン−ジ
アミドが挙げられ、カルシウムに関しては、ジエチル−
N,N'−[(4R,5R)−4,5−ジメチル−1,8−ジオ
キソ−3,6−ジオキサ−オクタメチレン]−ビス−(1
2−メチルアミノドデカノエート)が挙げられる。
【0037】本発明の試験担体は、必須成分として、測
定しようとするイオンの存在下でその色が変化する物質
を含有している。可能な適切な物質は、すでに始めに記
載した。このような物質は、大体において、本発明の試
験層または第2の試験層中に存在させることができる。
しかしながら、第2の場合、液体の交換が可能であるよ
うに2つの層をお互いに直接または間接接触させること
が可能でなければならない。対イオン染料は、本発明の
試験層中ではなく、別の層に一体化されているのが好ま
しいが、クロモイオノフォアは、本発明の試験層中に存
在させることもできる。pH指示薬は、本発明の試験層
中に存在する。イオノフォアとしてそれらが疎水性有機
相中に均一に分散されるのが好ましい。本発明におい
て、不均一pH反応の原理によるpH指示薬の使用が特に
好ましい。この原理は、以下に図式的に示すことができ
る。
【0038】
【化2】
【0039】すでに上記したように、イオノフォアは、
該原理に関して水と不混和性である有機物質に溶解しな
ければならないイオンに関する錯化剤である。通常の有
機可溶性pH指示薬は、H指示薬として考慮される。イ
オノフォアおよびpH指示薬は共有結合して、いわゆる
クロモイオノフォアとしても存在し得る。原理的機能は
以下のとおりである:イオノフォアを用いて、試験しよ
うとする水性相からのイオンを水と不混和性の有機相中
に引き入れる。電荷のバランスをとるために、水性相中
にプロトンを放出しなければならない。このプロトン
は、pH指示薬から取り出され、その結果として着色ア
ニオンを形成する。
【0040】この原理は、最初に、イー・エス・ハイマ
ン(E.S.Hyman)、バイオフィジカル・ソサイエティ・
アブストラクツ(Biophysical Society Abstracts)、
1971、72aによって開示されており、すなわち、イオノ
フォアとしてバリノマイシンを、そしてpH指示薬とし
てテトラブロモフェノールフタレインエチルエステルを
使用する。クロモイオノフォアに関する開示は、例え
ば、ケイ・ウエノ(K.Ueno)およびエム・タガキ(M.T
agaki)、スタディズ・イン・フィジカル・アンド・セオ
レティカル・ケミストリー(Studies in Physical and
Theoretical Chemistry) 27、279-293(1982)ならび
にエイチ・ナカムラ(H.Nakamura)ら、ブンセキ・カガ
ク(Bunseki Kagaku) 31、E131-E134(1982)において
見られる。
【0041】本発明において、非水性媒質に溶解し、分
析条件下で有機相から水性相中に抽出されないほど疎水
性であるこれらpH指示薬を使用することができる。イ
オンの測定に関して示された原理に従って、pK値は、
測定しようとするイオンの存在下、分析条件下で、指示
薬物質がプロトンを放出することができ、結果としてそ
の着色状態を変化させるようにするべきである。例え
ば、イー・エス・ハイマン(E.S.Hyman)、バイオフィ
ジカル・ソサイエティ・アブストラクツ(Biophysical
Society Abstracts)、1971、72aに開示されているよ
うなテトラブロモフェノールフタレインエステル、また
は欧州特許出願公開EP-A-0128317およびEP-A-012
8318に開示されているようなアルキルインドナフトール
が使用され得る。
【0042】イオノフォアおよびpH指示薬の共有結合
物として存在するクロモイオノフォアを使用することも
できる。カリウムの測定に関して、例えば、4'−(2",
4"−ジニトロ−6"−トリフルオロフェニルメチル)−
アミノ−ベンゾ−18−クラウン−6が好都合であるこ
とが分かった。対応する15−クラウン−5化合物は、
ナトリウムの測定のために使用することができる。
【0043】pH指示薬としては、一般式(I):
【化3】 [式中、R1、R2およびR3は、同一または異なってお
り、各々、水素原子、アルキル基またはアルコキシ基で
あり、これらのうち少なくとも1つの基が(C8〜C30)
−アルキルまたはアルコキシ基であり、R4は、水素原
子またはアルキル基であり、R5は、ニトロ基、ハロゲ
ン原子によって置換されているアルキル基、シアノ基、
スルホンアミド基またはアルキルスルホニル基であり、
Xは、窒素原子または基CR6であり、そして、Yは、
硫黄原子または基CR7=CR8であり、R6、R7および
8は、同一または異なっており、水素原子、ハロゲン
原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基もしくはハロゲ
ン原子によって置換されているアルキル基またはアルキ
ルスルホニル基である]で示されるナフトール誘導体が
好ましい。このような物質はドイツ特許出願公開DE-
A-4015591.9に開示されている。
【0044】基R1、R2、R3、R4、R6、R7およびR
8の定義中のアルキル基は、1〜30個の炭素原子を有
するアルキル基と解される。特に、基R4、R6、R7
よびR8は、好ましくは1〜4個の炭素原子、特に好ま
しくは1〜2個の炭素原子を有するアルキル基が好まし
い。基R1、R2およびR3に関して、これらの基の1つ
だけが、好ましくは8〜30個、より好ましくは10〜
20個の炭素原子を有するアルキル基である。このグル
ープにおける他の基もアルキル基である場合、これら
は、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜2個の炭
素原子を有するアルキル基である。2個以上の炭素原子
を有するアルキル基は、直鎖状または分枝鎖状のいずれ
であってもよい。さらに、該アルキル基は、部分的に不
飽和であってもよい。
【0045】R5、R6、R7およびR8の定義中のハロゲ
ン原子によって置換されているアルキル基は、フッ素原
子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子によって置換
されている1〜4個の炭素原子を有するアルキル基と解
される。フッ素原子によって置換されている1〜2個の
炭素原子を有するアルキル基が好ましい。トリフルオロ
メチル基が特に好ましい。
【0046】基R1、R2およびR3における定義中のア
ルコキシ基は、8〜30個、好ましくは10〜20個の
炭素原子を有するアルコキシ基である。該アルコキシ基
は、直鎖状または分枝鎖状、飽和または部分的に不飽和
であってもよい。
【0047】基R6、R7およびR8の定義中のハロゲン
原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素
原子が挙げられ、好ましくは塩素原子および臭素原子で
ある。
【0048】基R5、R6、R7およびR8の定義中のアル
キルスルホニル基は、基アルキル−SO2−を意味す
る。これに関して、アルキル基は、1〜4個、好ましく
は1〜2個の炭素原子を有するアルキル基を表す。メチ
ルスルホニル基が特に好ましい。
【0049】基R5の定義中のスルホンアミドは、非置
換アミン(−SO2NH2)または第1級もしくは第2級ア
ミンのアミド(−SO2NHRまたは−SO2NR2)と解
される。アミドの置換基(R)はアルキル、アリールまた
はアラルキル基であり得る。第2級アミンのアミドの場
合、置換基(R)は、同一または異なっていてよい。これ
に関するアルキル基は、1〜4個の炭素原子を有する基
と解される。アリール基は、6〜10個の炭素原子を有
する芳香族残基を意味する。好ましいアリール基は、フ
ェニルまたはナフチル基である。アラルキル基は、アリ
ール部分が6〜10個の炭素原子を有する芳香族残基で
あり、アルキル部分が1〜4個の炭素原子を有する基で
ある基である。好ましいアラルキル基は、ベンジル基で
ある。本発明に関して、非置換スルホアミド基(−SO2
NH2)が特に好ましい。
【0050】一般式(I)で示される特に好ましいナフト
ール誘導体は、基R1、R2およびR3のうち1つが8〜
30個、好ましくは10〜20個の炭素原子を有するア
ルキルまたはアルコキシ基を表し、上記グループの他の
基が、水素原子または1〜4個、好ましくは1〜2個の
炭素原子を有するアルキル基であるものである。
【0051】特に好ましいナフトール誘導体は、R1
10〜20個の炭素原子を有するアルコキシ基を表し、
2およびR3が水素原子を表し、他の基が一般式(I)に
ついて定義された意味を有するものである。
【0052】一般式(I)で示されるナフトール誘導体の
製造方法のいくつかの変形が可能である。まず、一般式
(II):
【化4】 [式中、R1、R2およびR3は一般式(I)において定義
された意味を有する]で示されるナフトキノンを、一般
式(III):
【化5】 [式中、R4、R5、XおよびYは一般式(I)において定
義された意味を有する]で示されるヒドラジンと反応さ
せる。この反応は、ヒドラゾンの形成に関する通常の条
件下で起こり得る。好ましくは、該反応は、酸性条件下
で起こる。ヒドラゾン自体は、不安定であり、転位し
て、一般式(I)で示される所望のナフトールを形成す
る。
【0053】一般式(I)で示されるナフトール誘導体の
別の製造方法は、一般式(IV):
【化6】 [式中、R、R5、XおよびYは一般式(I)において
定義された意味を有する]で示されるアミンによって開
始される。これらのアミンをジアゾ化し、得られたジア
ゾニウム塩を一般式(V):
【化7】 [式中、R1、R2およびR3は一般式(I)において定義
された意味を有する]で示されるナフトールとアゾカッ
プリング反応で反応させる。
【0054】一般式(IV)で示されるアミンのジアゾ化
は、通常の方法で起こり得る。亜硝酸塩、好ましくは亜
硝酸ナトリウムと一緒に、濃鉱酸、例えば、濃硫酸を調
製し、次いで、室温に冷却しながら一般式(IV)で示され
るアミンを添加するのが好都合であるのが分かった。亜
硝酸ナトリウムおよび濃硫酸の他に氷酢酸も含有してい
るジアゾ化混合物が特に好都合であることが分かった。
硫酸および氷酢酸の好ましい容量比は、1:1〜2:1
である。亜硝酸塩および一般式(IV)で示されるジアゾ化
されるアミンの比は、通常、等モルである。
【0055】ジアゾ化反応の完了後、該反応混合物を水
性処理する。このために、該反応混合物を氷冷水に注ぐ
のが好ましい。ジアゾニウム塩自体は、単離されない
が、水性処理溶液中で一般式(V)で示されるナフトール
とアゾ結合する。これは、弱酸性条件下で行うのが好ま
しい。一般式(V)で示されるナフトールは、水溶液中の
溶解性が非常に乏しい。したがって、これらは有機溶媒
中で適用される。クロロホルムは、例えば、有機溶媒と
してよく適している。この方法で、水性処理後に存在す
るジアゾニウム塩溶液を、クロロホルムおよび氷酢酸に
一般式(V)で示されるナフトールを入れた溶液に添加す
ることができ、酢酸塩を添加して、該反応媒質のpH値
を緩衝化することができる。ほとんどの場合、該反応混
合物から、一般式(I)で示されるナフトール誘導体が晶
出される。次いで、該生成物を再結晶させるかまたはク
ロマトグラフィーによる精製することができる。
【0056】特に、pH指示薬を使用する場合、pH変化
に対して天然の感受性が高いので、本発明のフィルム層
において緩衝液を一体化させることも特に好都合であ
る。前述の不均一pH反応に基づいているイオン測定方
法において、緩衝液のpHは、非水性相から水性相中へ
のプロトンの移動を制御する。したがって、使用したp
H指示薬のpK値に依存する。体液中のイオンの測定用
診断薬において、緩衝物質は、pHを5〜10、好まし
くは7〜8の値に調節することができるように選択する
のが好ましい。大体において、これに関して、通常の緩
衝液全てが考慮され、それらが水溶性であり、試験反応
を妨害するイオンを含まないことが分かった。例えば、
N,N−ビス−(ヒドロキシエチル)−アミノエタンスル
ホン酸(BES)、3−[N−トリスヒドロキシメチル]
−メチルアミノヒドロキシプロパン−スルホン酸(TA
PSO)またはN−ヒドロキシエチルピペラジン−N−
プロパンスルホン酸(HEPPS)のようないわゆるグ
ッド緩衝液(Good buffer)シリーズからのものである緩
衝液が好適であるのが分かった。
【0057】測定しようとするイオンに関して充分には
選択性がないイオノフォアを使用する場合、妨害イオン
を隠蔽する水溶性錯化剤を添加することができる。すな
わち、例えば、カルシウムによるナトリウム試験の起こ
り得る妨害は、四酢酸エチレンジアミン(EDTA)によ
って防止される。
【0058】さらに、湿潤剤を使用して、フィルムの製
造または試験しようとする試料によるフィルムのぬれを
改良することができる。これに関して、試験反応を妨害
しないこれらの試薬だけを使用することができる。これ
らは、特に、非イオン性および両性イオン性化合物であ
る。非イオン性湿潤剤のうち、例えば、ポリエチレング
リコールエーテルまたはエステル、好ましくは、トリト
ン(TritonR) X100が好都合であることが分かっ
た。両性イオン性湿潤剤としては、n−デシル−N,N−
ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート
(ツヴィッタージェント(ZwittergentR)3−10)が好
都合に使用され得る。
【0059】本発明のフィルム層のコンシステンシーを
改良するために、増粘剤をさらに使用することができ
る。これに関して、エチルセルロースが特に好都合であ
ることが分かった。これに加えて、例えばヒドロキシエ
チル−またはヒドロキシプロピルセルロースのような親
水性増粘剤を、分析しようとする水性液体で本発明のフ
ィルム層を湿潤させた後に存在する水性相に関する本発
明の試験層に添加することができる。
【0060】本発明のフィルム層を製造するために、水
性液体中、特に血液、血漿、血清または尿のような体液
中のイオンの測定のためにフィルム層を使用する場合に
水性相に吸収されるべきではなく、むしろ有機相、すな
わちフィルム層中に残存するべきである全成分(疎水性
ポリマー;水と不混和性である揮発困難性液体;イオノ
フォア;所望によりpH指示薬としての色原体、および
所望によりフィルム層のコンシステンシーを改良する増
粘剤)を非常に高い揮発性から中程度の揮発性の有機溶
媒に溶解する。この溶液中に粒子を撹拌し、均一に分散
させる。ドクターブレードを用いて、該ペーストを支持
体上に塗り、乾燥させる。もちろん、ロールコーティン
グ、フィルムキャスティングまたはそれに類する方法の
ような他の好適な塗布方法を使用することもできる。乾
燥フィルム層は20〜500、好ましくは20〜150
μmの厚さを有する。
【0061】本発明のフィルム層に水性試料液を適用す
る場合、水性相中に吸収される成分(緩衝液;所望によ
り錯化剤;所望により湿潤剤;所望により水性相のコン
システンシーを変えるための増粘剤)を一体化する種々
の方法がある。1つの可能性は、成分の水溶液と一緒に
粒子を蒸発、スプレイ乾燥、または凍結乾燥させること
によって前記成分で粒子を被覆することである。次い
で、この方法で塗布された粒子を、上記のような有機溶
媒中に撹拌する。他の可能性は、まず、未処理粒子を用
いてフィルム層を製造し、次いで、上記成分の水溶液を
再塗布し、最後に乾燥させることである。
【0062】フィルム層は、担体として基板と一緒に使
用するのが好ましい。特に、本発明のフィルム層は、迅
速診断装置に関して何回も記載したような公知の適用形
態に加工処理することができる。それらは、例えば、試
験フィルムが例えばプラスチックの幅狭く硬いストリッ
プの端部に接着されているような簡単な試験担体であ
る。
【0063】本発明の試験層の他に1つまたはいくつか
の別の層も含む試験担体に関して、本発明のフィルム層
中に、測定反応の間に水性相中に吸収され得るこれらの
成分を置かずに、むしろ、該成分を該フィルム層から完
全に分離するのが好都合であり得る。その結果、例え
ば、これらの成分を別の担体層、例えば紙層またはネッ
トに適用することができる。
【0064】本発明の試験担体を使用する試験の評価
は、可視的、および公知の方法で反射率測光法によって
行うことができる。
【0065】フィルム層が非水媒質に容易に溶解する有
機酸を含む場合、特に反射率測光法による評価の精度に
関して特に好都合であることが分かった。このような方
法は、ドイツ特許出願公開DE-A-4015592.7に開示さ
れている。高硝酸化アルキルフェノールまたは高硝酸化
アルコキシナフトールまたはカルボニルジシアニドフェ
ニルヒドラゾンが非常に優れていることが分かった。こ
のような物質は、測定しようとするイオンの適切な濃度
範囲に最高の測定感受性の範囲を適合し得る。ビス−
(2−ヒドロキシ−3,5,6−トリクロロフェニル)メタ
ン(ヘキサクロロフェン)、3−ペンタデシル−2,4,
6−トリニトロフェノールおよび2,4,6,8−テトラ
ニトロ−5−オクタデシルオキシナフトール−1ならび
に[(2,4−ジニトロフェニル)ヒドラゾノ]プロパンジ
ニトリル(メソシュウ酸−ジニトリル−2,4−ジニト
ロフェニル−ヒドラゾン)がこれに関して特に価値があ
ることが分かった。
【0066】本発明の試験層の成分の好都合な、および
好ましい重量割合(%)を下記表1に示す。
【0067】
【表1】 フィルム層の含有量(重量%) フィルム層の成分 好都合 好ましい ポリマー 5〜60 20〜40 水と不混和性である 揮発困難性液体 5〜70 20〜40 粒子 15〜80 30〜50 イオノフォア 0.05〜5.0 0.2〜1.0
【0068】本発明のフィルム層の中または上に緩衝物
質を適用する場合、これは、緩衝液を5〜30、好まし
くは10〜20重量%含む。本発明の試験層が例えばp
H指示薬のような色原体を含む場合、約0.05〜5.
0、好ましくは0.2〜0.7重量%の量が存在する。錯
化剤、湿潤剤もしくは増粘剤または感受性を増すための
酸のような所望により使用することができる物質は、本
発明のフィルム層の中または上に適用する場合、本発明
のフィルム層の0.005〜5、好ましくは0.02〜2
重量%の量である。
【0069】本発明のフィルム層を含む、液体中のイオ
ン測定のための本発明の試験担体の特に好都合な形状を
図1および図2に示す。
【0070】図1は、本発明のフィルム層を有する特に
好ましい試験担体を示す。
【0071】図2は、本発明のフィルム層を有するさら
に特に好ましい試験担体を示す。
【0072】図1および図2において、血液中のイオン
の測定に適している2つの試験担体を立体的に示す。そ
れらは、全血から血清または血漿を単離し、この方法で
得られる液体において関心のあるイオンを測定する。該
試験担体は、主に、試験担体内の緩衝物質の位置におい
て異なる。該装置の組成の詳細は以下のとおりである。
【0073】図1:試料適用域(7)から試験域(8)中に
試料液を移動させる移動層(2)は、不活性担体ホイル
(5)、例えばプラスチックホイルに固定される。大体に
おいて、移動層(2)としては、試験しようとする液体を
試料適用域(7)から試験域(8)中に移動させることがで
き、この工程において、分析を害するような方法でそれ
を変えない如何なる物質も適している。移動層(2)とし
てガラス繊維フリースを使用するのが特に好ましい。試
料液から微小体成分を分離するための層(3)は、移動層
(2)に接着されており、それを部分的に覆っている。基
本的には、このために、試料液から微小体成分を、特に
血液から血球およびとりわけ赤血球を分離することがで
き、それらが試験反応において妨害を生じないために実
質的な量を試験域(8)に到達させない如何なる物質も使
用することができる。さらに、分離層(3)は、測定しよ
うとするイオンの濃度を変化させ、したがって結果を誤
まらせるので、試料液中で変化させないようにすべきで
ある。例えば欧州特許出願公告EP-B-0045476に開示
されているようなガラス繊維フリースは、分離層(3)に
特に適していることが分かった。保護層(4)は、分離層
(3)の上に設置されており、例えばピペットで、試料適
用の間に分離層(3)の損傷を防止しようとする。不活性
物質の、例えばプラスチックのネットがこのために価値
があることが分かった。保護層(4)および分離層(3)
は、不活性担体ホイル(5)上に固定されている。これ
は、例えば、熱溶融型接着剤のストリップ(6)によって
行われ得る。本発明の試験層を有する透明なプラスチッ
クからなる担体ホイル(1)は、移動層(2)の片側に接着
されている。これは、好ましくは、接着部(9)、例えば
熱溶融型接着剤のストリップによって行われる。フィル
ム層(1)は、不活性担体ホイル(5)に向かって透明担体
ホイルを押すことによって液体移動が可能になるような
方法で移動層(2)と接触させることができるように位置
決定される。
【0074】図2は、測定反応の間に水性相中に吸収さ
れる物質を含む層(11)が、同様に例えば熱溶融型接着
剤のストリップである接着部(9)を介して、フィルム層
(10)と移動層(2)の間に設置されている点で図1とは
異なる。このような物質は、特に、緩衝物質である。し
かし、図1の試験担体の本発明のフィルム層(1)または
図2の試験担体のフィルム層(10)の代わりに、図2の
試験担体の付加層(11)中に、錯化剤、湿潤剤または水
性相のコンシステンシーを変えるための増粘剤を一体化
させることができる。接触させると別の層に液体を移動
させることができる付加層(11)に関する物質として、
吸収性物質を考慮することができる。これに関して紙を
特に好都合に使用し得るが、プラスチックのような不活
性物質から製造されたネットまたは織物も可能である。
【0075】図1および図2において示されている試験
担体のうちの1つによって血液中のイオンの測定を行う
ために、試料を保護層(4)に適用する。血液が分離層
(3)中に浸透し、血球が血漿または血清から分離され
る。この方法で得られた液体は、毛管力によって試験域
(8)中に吸収される。移動層(2)における水性相は、本
発明のフィルム層(1)または(10)を有する担体ホイル
上の押圧によってフィルム層と接触させられ、液体はフ
ィルム層中に浸透し、測定反応を起こす。該反応によっ
て得られたフィルム層中で形成された色は、フィルム層
(1)または(10)の担体ホイルを介して可視的に観察さ
れるか、または反射率測光法によって測定される。
【0076】以下の実施例において、本発明をさらに説
明する。
【0077】
【実施例1】本発明のフィルム層を有する試験担体の製
造に関する一般的な指示 図1の試験担体の製造に関し
て、透明なポリエステルホイル(厚さ200μm)に以下
の実施例に記載の混合物を塗布し、乾燥させる。被覆し
たホイルを幅15mmのストリップに切断し、幅150mm
の白色ポリエステルホイル(5)に、長手方向に熱溶融型
接着剤で層(1)として接着する。移動層(2)として面積
重量30g/m2のガラス繊維フリース、分離層(3)とし
て面積重量60g/m2のガラス繊維フリース、および保
護層(4)としてポリアミド織物の各ストリップもこの白
色ポリエステルホイルに長手方向に接着し、横に切断し
た後、図1の幅6mmの試験ストリップを形成する。
【0078】図2の試験担体は、同様に製造される。層
(11)は、緩衝物質を含浸させた濾紙からなる。
【0079】本発明のフィルム層または試験担体は、試
験しようとする試料30μlをポリアミド織物(4)に適
用するような方法で使用され、該試験担体を市販の反射
率光度計リフロトロン(ReflotronR)(ベーリンガー・マ
ンハイム・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル
・ハフツング(Boehringer Mannheim GmbH)、ドイツ
連邦共和国マンハイム)中に挿入する。該液体は、ガラ
ス繊維フリース(3)中に浸透し、全血の場合に血球が分
離され、移動層として作用するガラス繊維域(2)に到達
する。反射率光度計において、フラップの下のフィルム
(1)または(10)を、フラップ上の押圧によって移動層
(2)中の液体と接触させ、642nm、37℃で反射率測
光法によって測定する。
【0080】
【実施例2】本発明のフィルム層 以下の組成からなる混合物を製造し、透明ポリエステ
ルホイルに湿フィルム厚300μmで塗布し、乾燥させ
る。
【0081】 2,2-ジフェニル-1-シアノ-アクリル酸-エチルヘキシルエステル (ユビヌル(UvinulR)N539、ビーエイエスエフ(BASF)、 ドイツ国ルドヴィークシャフェン) 6.42g 4-(2,6-ジブロモ-4-ニトロ-フェニルアゾ-)-2-オクタデシル- オキシナフトール-1(実施例5a〜c) 0.69g バリノマイシン 0.107g 珪藻土(セラトム(CelatomR)MW 25、イーグル-ピッチャー (Eagle-Picher)、アメリカ合衆国シンシナティ)(吸油価130〜150) 10.05g メチルエチルケトン 18.1g 酢酸ビニル−ラウリン酸ビニルコポリマー(ビナパス(VinnapasR) B 500/20 VL、ヴァッカー・シェミィ(Wacker Chemie)、 ドイツ国ムニッヒ) 5.24g
【0082】同様の方法で、湿フィルム厚150μmを
有する、以下の組成からなる第2の層をこれらの層に塗
布し、乾燥させる。
【0083】 N,N-ビス-(ヒドロキシエチル)-アミノエタンスルホン酸 81.13g ヒドロキシエチルセルロース(ナトロソル(NatrosolR)250G、 ハーキュリーズ・インコーポレイテッド(Hercules Inc.)、 アメリカ合衆国デラウエア州ウィルミントン) 4.81g 水 236g エタノール 334g LiOHでpH7.5に調節
【0084】実施例1に記載のように塗布したホイルか
ら図1の試験担体を製造して、測定する。測定は、1リ
ットル当たり5.06ミリモルのカリウムを有する血清
を用いて、該試料を本発明のフィルム層に接触させた
後、4秒毎に行う。
【0085】
【表2】 反射率(%) 4 24.8 8 21.7 12 20.0 16 19.2 20 18.6 24 18.2 28 17.9 32 17.7 36 17.5 40 17.4 44 17.2 48 17.1 52 17.0 56 16.9 60 16.9 64 16.8 68 16.8
【0086】充分な色濃度を有する適当な色不変性が6
0秒後に達成されることを見ることができる。
【0087】
【実施例3】図1のカリウム測定用試験担体 a)以下の組成からなる混合物を製造し、透明ポリエス
テルホイルに湿フィルム厚300μmで塗布し、乾燥さ
せる。
【0088】 酢酸ビニル−ラウリン酸ビニルコポリマー(ビナパス(VinnapasR) B 500/20 VL、ヴァッカー・シェミィ(Wacker Chemie)、 ドイツ国ムニッヒ) 13.11g 2,2-ジフェニル-1-シアノ-アクリル酸-エチルヘキシルエステル (ユビヌル(UvinulR)N539、ビーエイエスエフ(BASF)、 ドイツ国ルドヴィークシャフェン) 16.04g 4-(2,6-ジブロモ-4-ニトロ-フェニルアゾ-)-2-オクタデシル- オキシ-ナフトール-1(実施例5a〜c) 0.173g 2,4,6,8-テトラニトロ-5-オクタデシルオキシ-ナフトール-1 (実施例6) 0.0456g バリノマイシン 0.2673g 珪藻土(セラトム(CelatomR) MW 25、イーグル-ピッチャー (Eagle-Picher)、アメリカ合衆国シンシナティ)(吸油価130〜150)25.13g 酢酸ブチル 45.17g
【0089】同一の方法で、湿フィルム厚150μmを
有する以下の組成による第2の層をこの層に適用し、乾
燥させる。
【0090】 N,N-ビス-(ヒドロキシエチル)-アミノエタンスルホン酸 81.13g ヒドロキシエチルセルロース(ナトロソル(NatrosolR)250G、 ハーキュリーズ・インコーポレイテッド(Hercules Inc.)、 アメリカ合衆国デラウエア州ウィルミントン) 4.81g 水 236g エタノール 334g LiOHでpH7.5に調節
【0091】実施例1および2に記載のように、塗布し
たホイルから図1の試験担体を製造し、測定する。測定
は、試料を本発明のフィルム層に接触させて、60秒後
に行う。
【0092】様々な含有量のカリウムを有する血清を使
用すると、以下のカリウム含有量による反射率(%R)の
依存性が分かる。
【0093】
【表3】
【0094】測定を数回行い、検量線によって%R値を
濃度に変換すると、約1〜2%の変動係数が得られる。
【0095】b)以下の組成からなる混合物を製造し、
透明ポリエステルホイルに湿フィルム厚300μmで塗
布し、乾燥させる。
【0096】 酢酸ビニル−マレイン酸ジブチルエステルコポリマー(モヴォリス (MowolithR)35/73、ヘキスト・アクチエン・ゲゼルシャフト (Hoechst AG)、ドイツ国フランクフルト) 14.7g 2,2-ジフェニル-1-シアノ-アクリル酸-エチルヘキシルエステル (ユビヌル(UvinulR)N539、ビーエイエスエフ(BASF)、 ドイツ国ルドヴィークシャフェン) 18.4g 4-(2,6-ジブロモ-4-ニトロ-フェニルアゾ-)-2-オクタデシル- オキシ-ナフトール-1(実施例5a〜c) 0.130g バリノマイシン 0.600g 珪藻土(セラトム(CelatomR)MW 25、イーグル-ピッチャー (Eagle-Picher)、アメリカ合衆国シンシナティ)(吸油価130〜150) 28.2g 酢酸ブチル 50.7g
【0097】同一の方法で、湿フィルム厚150μmを
有する以下の組成からなる第2の層をこの層に塗布し、
乾燥させる。
【0098】 水に入れたヒドロキシエチルセルロース(ナトロソル(NatrosolR) 250G、ハーキュリーズ・インコーポレイテッド(Hercules Inc.)、アメリカ合衆国デラウエア州ウィルミントン) 41.5g N,N-ビス-(ヒドロキシエチル)-アミノエタンスルホン酸 8.5g エタノール 64ml LiOHでpH7.8に調節
【0099】実施例1、2および3a)に記載の塗布し
たホイルから、図1の試験担体を製造し、測定する。該
測定は、試料を本発明のフィルム層に接触させて60秒
後に行われる。
【0100】様々な含有量のカリウムを有する血清を使
用すると、以下のカリウム含有量による反射率(%R)の
依存性が分かる。
【0101】
【表4】
【0102】
【実施例4】図2のカリウムの測定用試験担体 以下の組成からなる混合物を製造し、透明ポリエステ
ルホイルに湿フィルム厚300μmで塗布し、乾燥させ
る。
【0103】 酢酸ビニル−ラウリン酸ビニルコポリマー(ビナパス(VinnapasR) B500/20 VL、ヴァッカー・シェミィ(Wacker Chemie)、 ドイツ国ムニッヒ) 19.6g 2,2-ジフェニル-1-シアノ-アクリル酸-エチルヘキシルエステル (ユビヌル(UvinulR)N539、ビーエイエスエフ(BASF)、 ドイツ国ルドヴィークシャフェン) 24.0g 4-(2-ブロモ-4-ニトロ-6-トリフルオロメチルフェニルアゾ-)-2- オクタデシルオキシ-ナフトール-1(実施例5d) 0.071g メソシュウ酸-ジニトリル-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン (実施例8) 0.052g バリノマイシン 0.30g 珪藻土(セラトム(CelatomR)MW 25、イーグル-ピッチャー (Eagle-Picher)、アメリカ合衆国シンシナティ)(吸油価130〜150) 37.5g m−キシロール 67.4g
【0104】長繊維紙6776(シェーラー・アンド・
ヘェーシュ(Schoeller and Hoesch)、ドイツ連邦共和
国ゲルンスバッハ)に以下の溶液を含浸させ、乾燥させ
る。
【0105】 N,N-ビス-(ヒドロキシエチル)-アミノエタンスルホン酸 8.5g n−オクチルグルコシド 0.1
g 蒸留水 91.5
ml LiOHでpH7.5に調節
【0106】実施例1に記載したように、塗布したホイ
ル(10)および含浸紙(11)から図2の試験担体を製造
し、測定する。該測定は、試料をフィルム層に接触させ
て60秒後に行われる。
【0107】様々な含有量のカリウムを有する血清を使
用すると、以下のカリウム含有量による反射率(%R)の
依存性が分かる。
【0108】
【表5】
【0109】
【実施例5】4−[(2,6−ジブロモ−4−ニトロフェ
ニル)アゾ]−2−オクタデシルオキシ−1−ナフトール a)2−オクタデシルオキシナフタレン 撹拌器、冷却器および温度計を装着した4リットルの3
つ口フラスコ中、エタノール1リットルに水酸化ナトリ
ウム(99%)48g(1.2モル)を入れた溶液に2−ナフ
トール(98%)172.8g(1.2モル)を添加し、溶解
した後、臭化n−オクタデシル417g(1.25モル)を
添加し、反応混合物を還流下で14時間加熱する。さら
にエタノール1リットルを添加した後、熱溶液をサイツ
(Seitz)濾過器上で吸引して、無機物質を除去し、弱い
ピンク色の濾液を氷浴中に30分間放置して結晶化させ
る。ほとんど無色の結晶を吸引した後、濾過ケーキをエ
タノール約700mlで一度に洗浄し、五酸化二リンによ
って乾燥させた後、2−ナフチル−オクタデシル−エー
テル371.9g(理論収率93.7%)を無色結晶として
得る。Fp 64〜68℃。TLC:シリカゲル60(メ
ルク(Merck))、移動溶媒:n−ヘプタン/メチルエチ
ルケトン 2:1、Rf=0.34。
【0110】b)2−オクタデシルオキシ−1−ナフト
ール 塩化カルシウム管と一緒に撹拌器、クライゼン付属物、
温度計および冷却器を有する10リットルの3つ口フラ
スコ中、氷酢酸3リットルおよび無水酢酸600mlから
なる混合物に、2−オクタデシルオキシナフタレン59
4g(1.5モル)および四酢酸鉛397g(0.75モル)を
添加し、55℃に加熱する。4日間にわたって、撹拌し
ながら、さらに四酢酸鉛400gを、24時間毎に分け
て(各100g)添加する。その後、形成された黄色溶液
を室温に冷却し、水1.5リットルを添加した後、再
度、30分間撹拌し、形成された結晶スラリーを吸引
し、水2リットルで幾度か洗浄する。湿った粗生成物を
トルオール4リットルに溶解し、水1リットルと一緒に
3回、飽和炭酸水素ナトリウム1リットルと一緒に3
回、次いで再度、水1リットルと一緒に3回振盪する。
硫酸ナトリウムによるトルオール相の乾燥、吸引および
蒸発による濃縮の後、茶色の粗生成物635gを得て、
これを、以下のようにクロマトグラフィーによって精製
する;得られた結晶を、トルオール/イソヘキサン
(5:2)1.3リットルの混合物に溶解し、該溶液を、
内径11.5cm、充填高1.2mのシリカゲル60(メルク
(Merck))カラムに適用する。移動溶媒として、トルオ
ール/イソヘキサン(5:2)を用いて、約300mlの画
分を取得する。画分9〜52を合わせて、重量が一定に
なるまで蒸発させて濃縮する。酢酸2−オクタデシルオ
キシ−1−ナフトール324.2gを得る。Fp 67〜6
8℃。これをさらに精製せずに、加熱しながらメタノー
ル1.8リットルに溶解し、20℃に冷却する。冷却せ
ずに撹拌しながら形成した懸濁液に濃硫酸93mlを1
5分以内で滴下する。ここで温度は35℃に上昇する。
次に、還流下で2時間加熱し、次いで、氷浴で冷却し、
氷上で冷却しながらさらに30分間撹拌する。形成した
結晶を吸引し、氷冷メタノール150mlで洗浄し、五酸
化二リンによって、乾燥棚中、35℃で乾燥させる。無
色の結晶、2−オクタデシルオキシ−1−ナフトール2
94.4g(理論収率47.5%)を得る。Fp58〜59
℃。
【0111】c)4−[(2,6−ジブロモ−4−ニトロ
フェニル)アゾ]−2−オクタデシルオキシ−1−ナフト
ール 撹拌器、クライゼン付属物および温度計を装着した2リ
ットルの3つ口フラスコ中、撹拌しながら10〜15分
間、濃硫酸300mlに亜硝酸ナトリウム22.7g(0.3
3モル)を供給する。ここで反応溶液の温度は35℃に
上昇する。次いで、20℃に冷却し、氷上で冷却しなが
ら、温度を20〜25℃に維持するような方法で、約1
5〜20分内に氷酢酸230mlを滴下する。その後、場
合によって冷却しながら10分間、2,6−ジブロモ−
4−ニトロアニリン(リーデル・デ・ヘーン(Riedel de
Haen)[99%GC])97.6ml(0.33モル)を分けて
添加する。ここで温度は19〜21℃に維持される。そ
して、さらに3時間、再度、撹拌する。その後、氷冷水
3.5リットル上に注ぎ、形成されたジアゾニウム塩溶
液を、酢酸ナトリウム・三水和物180g(1.33モル)
を添加した氷酢酸3リットルおよびクロロホルム300
mlの混合物に2−オクタデシルオキシ−1−ナフトール
124g(0.3モル)を入れた溶液に、素早く添加する
(ナフトールエーテルの溶液の製造においては、酢酸ナ
トリウムを添加した氷酢酸/クロロホルム中に供給した
後、温度を約45℃に上昇させた後に20℃まで再度冷
却することに注意しなければならない)。氷浴中で3時
間撹拌した後、製造された結晶を吸引し、残渣を毎回水
500mlで3回洗浄し、40℃の乾燥棚で乾燥させる。
粗生成物 − 淡茶色の結晶295.5g − をクロマトグ
ラフィーによって精製する。アゾ化合物はトルオール/
塩化メチレン(2:5)1リットルに溶解し、内径11.
5cm、充填高1.2mのシリカゲル60(メルク(Merck))
カラムに適用し、トルオール/塩化メチレン(2:5)で
溶離する。画分約70mlを得る。画分57〜173を合
わせて、蒸発によって濃縮する。茶色の結晶134.2g
が得られる。これらを80℃でトルオール480mlに溶
解し、65℃に冷却し、強く撹拌しながらイソヘキサン
800mlを添加する。撹拌しながら20℃に冷却させ、
冷蔵室中に一晩放置し、形成した結晶を吸引し、濾過ケ
ーキを氷冷トルオール/イソヘキサン(1:1.3)30
0mlで2回洗浄し、次いで、イソヘキサン300mlで洗
浄する。その後、重量が一定になるまで、五酸化二リン
によって40℃で乾燥棚中で乾燥させる。アゾ化合物の
淡茶色の結晶119.9g(理論収率55.5%)が得られ
る。Fp102〜103℃。
【0112】以下の物質は、実施例5a)〜c)と同様に
製造することができる。
【0113】d)2−ブロモ−4−ニトロ−6−トリフ
ルオロメチルアニリン(エム・ハウプツシァイン(M.Ha
uptschein)ら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカ
ル・ソサイエティ(J.Amer.Chem.Soc.)76、1051(195
4))から4−[(2−ブロモ−4−ニトロ−6−トリフル
オロメチルフェニル)アゾ]−2−オクタデシルオキシ−
1−ナフトール、Fp84℃。
【0114】
【実施例6】2,4,6,8−テトラニトロ−5−オクタ
デシルオキシ−1−ナフトール a)5−オクタデシルオキシ−1−ナフトール クライゼン付属物、温度計、塩化カルシウム管および滴
下漏斗を装着した2リットルの3つ口フラスコ中、1,
5−ジヒドロキシナフタレン(ヤンセン(Janssen)99
%)40g(0.25モル)を、新しく蒸留したジメチルホ
ルムアミド400mlに懸濁させ、97%水素化ナトリウ
ム6g(0.25モル)を少量ずつに分けて40分以内で添
加する。この工程において、溶解して青色になり、さら
に、水素が形成され、温度が36℃に上昇する。さらに
30分間撹拌し、35℃の温かい溶液に96%臭化1−
オクタデシル83.3g(0.25モル)を10分以内で滴
下する。その後、室温で24時間、再度、撹拌する。形
成された粗生成物を強く吸引し、残渣を水600mlと一
緒に15分間撹拌する。この方法を再度繰り返し、濾液
が無色になるまで濾過残渣を水(約800ml)で非常に長
く洗浄する。その後、濾過ケーキを五酸化二リンによっ
て乾燥棚中で40℃で乾燥させる。融点76〜78℃の
淡ベージュ色結晶98.6gが得られる。
【0115】さらに精製するために、該生成物を毎回酢
酸エチル750mlと一緒に3回撹拌し、淡ベージュ色結
晶の未溶解成分(40.8g)を濾去し、母液を木炭で2回
処理し、真空濃縮する。融点90〜92℃のベージュ色
の結晶53.2g(理論収率51.9%)が得られる。四硝
化化合物を製造するために、この生成物を直接使用す
る。TLC、シリカゲル60(メルク(Merck))、移動溶
媒:トルオール/メタノール=50:1、Rf=0.3
6。
【0116】b)2,4,6,8−テトラニトロ−5−オ
クタデシルオキシ−1−ナフトール 大きい撹拌器および温度計を装着した2リットルの3つ
口フラスコに濃硫酸1.2リットルを入れ、40℃に加
熱し、強く撹拌しながら、できる限り迅速に5−オクタ
デシルオキシ−1−ナフトール49.52g(0.12モ
ル)を添加する。5〜10分後、粘性の結晶パルプが形
成され、温度が2〜3℃だけ上昇する。次いで、加熱せ
ずにさらに20分間撹拌し、次に、約0℃に冷却し、3
0分以内で0〜5℃で、硝化酸(撹拌および冷却しなが
ら、約10〜20℃で約15分以内で硝酸(65%)3
4.9mlを濃H2SO4 70mlに添加して製造した)を滴
下する。この工程において、反応混合物は、灰−茶色か
ら赤−茶色になる。5〜10℃でさらに4時間撹拌した
後、約5kgの氷の上に注ぎ、粗生成物を酢酸エチル2リ
ットルで3回抽出する。その後、酢酸エチル相を合わせ
て、毎回水1リットルで2回洗浄し、酢酸エチル相を硫
酸ナトリウムによって乾燥させ、吸引し、蒸発によって
濃縮する。濃茶色の樹脂質残留物約80gが得られる。
これをカラムクロマトグラフィーによって精製する。内
径7.5cm、充填高約110cm、充填剤:シリカゲル6
0(メルク(Merck))のカラムを使用する。移動溶媒:ト
ルオール/アセトン(5:2)。主な画分Rf=0.24。
【0117】この粗物質を移動溶媒約400mlと再度混
合し、もし全てが溶解されない場合は、吸引し(残渣が
カラムをブロックし得る)、濾液をカラムに適用し、画
分中に溶出させる。各80mlの画分が得られる。前留分
(無色の溶出液)は、約2リットルである。物質を含んで
いる画分(30〜140)を蒸発によって濃縮する。赤−
茶色の粘性のペースト21gが得られ、これは長時間放
置すると、結晶化する。この生成物をアセトン42mlに
溶解し、最終生成物を、室温で、5倍の量のイソヘキサ
ンをゆっくりと添加することよって沈殿させる。5時間
撹拌した後、吸引し、濾過ケーキをイソヘキサンで洗浄
し、室温で五酸化二リンおよびモレキュラーシーブによ
って真空乾燥させる。所望のテトラニトロ−オクタデシ
ルオキシナフトール14.9g(理論収率21%)が得られ
る。Fp236〜238℃(分解)。TLC:シリカゲル
60(メルク(Merck))、移動溶媒:塩化メチレン/メタ
ノール(8:1);Rf=0.27。
【0118】
【実施例7】3−ペンタデシル−2,4,6−トリニトロ
フェノール 500mlのエーレンマイヤーフラスコ中、撹拌しなが
ら、濃硫酸100mlにペンタデシルフェノール(90%)
67.5g(0.2モル)を添加し、90℃に加熱する。こ
こで、撹拌が困難である濃茶色の高いビスコースペース
トが形成され、これを90℃で1時間保持する。1リッ
トルの分離3つ口フラスコ中、氷浴によって、65%硝
酸70ml(約1モル)を10℃に冷却する。温度が25℃
以上にならないような方法で氷浴で冷却しながら、該硝
酸に、予め得られた高い粘性のスルホン化生成物を少量
ずつに分けて約2時間添加し(ここで粘性ペーストはヘ
アードライヤーで液体に維持する)、この工程で、撹拌
するのが困難であるベージュ色のペーストが得られ、こ
れを室温でさらに1時間撹拌する。その後、氷500g
の上に注ぎ、そのようにしつつ、微細な沈殿物を形成す
る。この方法で得られた粗生成物は、困難性を伴って吸
引できるだけであり、これが、全調製物を遠心分離する
のが好ましい理由である。上澄み液をデカントして除
き、付着する酸を除去するために毎回水を添加した後
に、この方法を2回繰り返す;得られた沈殿物をエタノ
ール500mlでフラスコ中に洗い入れ、50℃まで加熱
することによって(水浴中で)溶解し、氷浴中にそれを放
置することによって結晶化させる。生成物を強く吸引し
た後、エタノールで湿っている弱いベージュ色の3−ペ
ンタデシル−2,4,6−トリニトロフェノール37.5g
(理論収率42.6%)が得られる。融点53〜56℃。
TLC:シリカゲル60、移動溶媒:酢酸エチル/メタ
ノール/氷酢酸(90:5:5)、Rf=0.8。
【0119】五酸化二リンによって物質を乾燥させた
後、3−ペンタデシル−2,4,6−トリニトロフェノー
ル35.75g(理論収率40.1%)が得られる。Fp59
〜61℃。
【0120】
【実施例8】[(2,4−ジニトロフェニル)ヒドラゾノ]
プロパンジニトリル 亜硝酸ナトリウム2.1g(0.03モル)を濃硫酸30ml
に溶解する。この間に、温度が50℃まで上昇する。2
0℃に冷却し、15〜20℃で氷酢酸20mlを滴下し、
2,4−ジニトロアニリン(NL-A-6411189)5.5g(0.
03モル)を幾度かに分けて添加し、20℃でさらに1
時間、再度撹拌する。
【0121】マロジニトリル1.98gをエタノール75
mlに溶解し、水35mlに酢酸ナトリウム・三水和物74
gを入れた溶液を添加し、19℃で撹拌しながら、上記
で製造したジアゾニウム塩溶液を滴下する。
【0122】1時間後、反応混合物を塩化メチレン/メ
タノール=98:2と一緒にシリカゲル60(メルク(M
erck))上でクロマトグラフィーによって精製し、Rf=
0.28を有する生成物を得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のフィルム層を有する特に好ましい試
験担体の斜視図である。
【図2】 本発明のフィルム層を有するさらに特に好ま
しい試験担体の斜視図である。
【符号の説明】
1・・・フィルム層 2・・・移動層 3・・・分離層 4・・・保護層 5・・・不活性担体ホイル 6・・・熱溶融型接着剤のストリップ 7・・・試料適用域 8・・・試験域 9・・・接着部 10・・・フィルム層 11・・・付加層
フロントページの続き (72)発明者 デトレフ・ティーム ドイツ連邦共和国デー−6800マンハイム 1、デー3・2番 (72)発明者 ミヒャエル・フリッツ ドイツ連邦共和国デー−6843ビブリス、グ ロス・ロールハイマー・シュトラーセ19番 (72)発明者 ダン・モソイウ ドイツ連邦共和国デー−6703リンブルゲル ホーフ、アインシュタインアレー33番 (56)参考文献 特開 昭59−231452(JP,A) 特開 昭60−194360(JP,A) 特開 昭62−161053(JP,A)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 揮発困難性の疎水性有機液体と均一に混
    合した疎水性ポリマーを含む耐液性有機相および測定し
    ようとするイオンと選択的に錯体形成するイオノフォア
    ならびに測定しようとするイオンの存在下でその色が変
    化する物質を有する試験層を含有するイオン測定用試験
    担体であって、該試験層が吸油価80〜200の粒子を
    含有し、該イオノフォアが該耐液性有機相中に均一に分
    散されていることを特徴とするイオン測定用試験担体。
  2. 【請求項2】 疎水性ポリマーが酢酸ビニルのコポリマ
    ーである請求項1記載の試験担体。
  3. 【請求項3】 試験層における粒子に対する疎水性ポリ
    マーの重量比が約5:1〜約1:10、特に約1:1〜
    約1:3である請求項1または2記載の試験担体。
  4. 【請求項4】 試験層における揮発困難性の疎水性有機
    液体に対する疎水性ポリマーの重量比が約5:1〜約
    1:5、特に約2:1〜約1:2である請求項1〜3の
    いずれか1項記載試験担体。
  5. 【請求項5】 色が変化する物質として、一般式(I): 【化1】 [式中、R1、R2およびR3は、同一または異なってお
    り、各々、水素原子、アルキル基またはアルコキシ基で
    あり、これらのうち少なくとも1つの基が(C8〜C30)
    −アルキルまたはアルコキシ基であり、R4は、水素原
    子またはアルキル基であり、R5は、ニトロ基、ハロゲ
    ン原子によって置換されているアルキル基、シアノ基、
    スルホンアミド基またはアルキルスルホニル基であり、
    Xは、窒素原子または基CR6であり、Yは、硫黄原子
    または基CR7=CR8であり、R6、R7およびR8は、
    同一または異なっており、水素原子、ハロゲン原子、ニ
    トロ基、シアノ基、アルキル基もしくはハロゲン原子に
    よって置換されているアルキル基またはアルキルスルホ
    ニル基である]で示される化合物を使用する請求項1〜
    4のいずれか1項記載の試験担体。
  6. 【請求項6】 色が変化する物質および耐液性有機相
    が、直接または間接的に相互接触させることができ、液
    体交換を可能にする2つの層中に含まれる請求項1〜5
    のいずれか1項記載の試験担体。
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