JPH08118907A - ゴム補強用スチールコードおよびこれを使用したラジアルタイヤ - Google Patents
ゴム補強用スチールコードおよびこれを使用したラジアルタイヤInfo
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Abstract
ムとの確実な一体化とフレッティング防止を実現するこ
とができ、製造も低コストで容易に行うことができるゴ
ム補強用スチールコード及びこれを用いたラジアルタイ
ヤを提供する。 【構成】6本以上の素線を同一方向に同一撚りピッチで
一度に撚り合わせてなる芯ストランドの周りに、10本
以上の素線を芯ストランドの撚り方向と逆方向または同
方向にスパイラル状に撚り合わせた1×n+m構造のス
チールコードで、芯ストランドの各素線がその撚りピッ
チより小さいピッチの波くせを有し、しかも、該芯スト
ランドの長手において素線同士の交差部が混在し、また
芯ストランドの周囲に撚り合わせた素線間にも隙間を有
する。
Description
や搬送用コンベアベルト等のゴム製品の補強に使用され
るスチールコード及びラジアルタイヤに関するものであ
る。
ち、トラック・バス用のラジアルタイヤにおいては、そ
のベルト部のほかにカーカス部の補強にもスチールコー
ドが使われている。従来、トラック・バス用タイヤのカ
ーカス部の補強には、図8(a)の1×3+9といった2
層構造や、(c)の1×3+9+15といった3層構造、
あるいは(b)(d)のように前記2層構造または3層構造のコ
ードの周りに1本の素線をラッピングした構造のスチー
ルコードが一般的に使用されてきた。また、これらの構
造のスチールコードは一部がベルト部の補強にも使用さ
れることもある。
その機能を十分に発揮させるため、補強材であるスチー
ルコードに対して高いゴム浸透性と高耐久性が要求され
る。しかし、先行技術のスチールコードは各層ともタイ
トに撚り合わされており、しかも、各層の素線間には隙
間がほとんどないため、タイヤ製造における加硫時にゴ
ムがコード内部に浸透し難い。このため、ゴムがコード
を構成する各素線の周囲に充填されない空隙部が多く存
在し、タイヤが外傷等を受けると水分がここから侵入
し、コードに達するとコード内部の前記空隙部を水分が
伝播し錆が広がってしまう。このような状態になるとコ
ードとゴム間の剥離(セパレーション)が発生し、複合
体であるタイヤの機能が低下したり、補強材であるスチ
ールコードの強力が低下したりしてタイヤの寿命も短く
なる。また、ゴム自体も若干ではあるが吸湿するので、
ゴム層の薄いカーカス部においては、特にゴム浸透性は
重要であるが、従来ではこの特性を十分に発揮できな
い。
に示すような1×3+8構造や図10(a)に示すような
1×3+8+13構造(特公昭62−18678号公
報)、また図9(b)と図10(b)のように前記構造のコー
ドに1本の素線を巻き付けたような構造のスチールコー
ドが提唱されている。これらの改良コードは2層目ない
し3層目の素線数を前記した従来のコードより減らすこ
とによって各素線間に隙間を設けてゴムが浸透するよう
にしたものである。しかしながら、このような改良技術
においても、コード中心に3素線を撚り合わせてなる芯
ストランドが存在し、その芯ストランドの各素線は隣接
する素線同士がが互いに接するため相互間に隙間を有し
ていないので、その中心部にはゴムが浸透せず、依然と
して前記した問題点が未解決のままである。また、前記
1×3+8構造や1×3+8+13構造のスチールコー
ドでは、2層目ないし3層目の素線間に隙間を設けるべ
く素線本数をそれぞれ1本ずつ減らしているので、その
分だけ強度が低下し、コードの強力を重視する場合に問
題となる。また、コード製造の面でも、3層構造におい
ては、芯ストランドを撚り合わせた後、この周りに2層
目の素線を芯ストランドと同方向にスパイラル状に撚り
合わせ、更に、この周りに3層目の素線を芯ストランド
とは逆方向にスパイラル状に撚り合わせることでコード
になる。このため、撚り工程が3工程になり、製造コス
トが高くなるという問題がある。また、タイヤのコスト
を下げるため前記の3層撚りコードから2層撚りコード
に切り替えることも実施され始めているが、この場合
は、コード強力を保持するため素線径を太くする必要が
ある。しかし、こうすると、タイヤ成型時におけるビー
ト部での折り返し性の低下があり、タイヤとしては耐久
性が低下するとともに乗り心地性も低下する欠点が出て
くる。
めに創案されたもので、その目的とするところは、芯ス
トランドの中心部までゴムがよく浸透しゴムとの確実な
一体化とフレッティング防止を実現することができ、製
造も低コストで容易に行うことができる多層構造型のゴ
ム補強用スチールコードを提供することにある。また本
発明の他の目的は、乗り心地性を損なうことなく耐食性
及び耐久性に優れた高性能ラジアルタイヤを提供するこ
とにある。
本発明は、6本以上の素線を同一方向,同一撚り方向に
一度に撚り合わせてなる芯ストランドの周りに10本以
上の素線を芯ストランドの撚り方向とは逆方向にスパイ
ラル状に撚り合わせてなる1×n+m構造のスチールコ
ードであって、前記芯ストランドの各素線がその撚りピ
ッチより小さいピッチの波くせを有し、しかも、該スト
ランドの長手において素線同士の交差部が混在し、更に
該芯ストランドの周囲に撚り合わせた素線間に隙間を有
する構成としたものである。また本発明は、6本以上の
素線を同一方向に同一ピッチで一度に撚り合わせてなる
芯ストランドの周りに10本以上の素線を芯ストランド
の撚り方向とは同方向にスパイラル状に撚り合わせてな
る1×n+m構造のスチールコードであって、前記芯ス
トランドの各素線がその撚りピッチより小さいピッチの
波くせを有し、しかも、該ストランドの長手において素
線同士の交差部が混在し、更に該芯ストランドの周囲に
撚り合わせた素線間に隙間を有する構成としたものであ
る。さらに本発明は、前記いずれかのスチールコードを
カーカス部またはベルト部の少なくとも1部の補強に使
用した構成としたものである。本発明のスチールコード
は素線径が0.10から0.45mmの高炭素鋼線を用
い、その表面にはタイヤ用としては真鍮めっきが施され
る。
本以上の素線が芯ストランドの撚りピッチよりも小さい
ピッチで二次元的または三次元的(螺旋状)な波くせを有
しており、こうした波くせを有する6本以上の素線を撚
り合わせて芯ストランドとなっている。しかも、撚り合
わせた状態で素線同士が入れ替わることで素線の交差し
ない部分と交差する部分が芯ストランド長手方向で混在
している。このため、素線そのものの波くせにより素線
間に隙間が形成されことに加え、素線同士が交差する部
分では隣接する素線と素線のクロスにより大きなアイ状
(ヒステリシスカーブ状)の口開きが創成され、これによ
り芯ストランドの外側から中心部まで通じる隙間が形成
される。そして、交差部では素線同士が絡み合って互い
に拘束されるため、前記口開きによる素線間隙間の大き
さと位置はしっかりと固定され、外力が加わっても変化
しない。一方、芯ストランドの周りには、10本以上の
側用の素線が芯ストランドの撚り方向と逆方向または同
方向にスパイラル状に撚り合わされ、側用の素線間には
隙間が形成されている。これらのことから、スチールコ
ードをゴム層に埋め込んだときに、ゴムは側用の素線間
の隙間を通り、さらに芯ストランドの口開きによる素線
間隙間を通して中心部にスムーズに浸入し、隙間なく充
填されるとともに各素線の表面を確実に覆うことができ
る。しかも、芯ストランドの素線が芯ストランド撚り合
せ用の波と異なるピッチで波くせが付けられているとと
もに芯ストランド長手で随所に開輪郭部を形成している
ため、コードの表面積が実質的に大きくなり、ゴムとの
付着力が向上し、ゴムとの一体化が十分になされる。し
たがって剥離現象や浸入水分による発錆が防止され、耐
久性が向上する。また、芯ストランドにおいて、素線同
士が交差しない部分は隣接する素線がほぼ平行に並んで
いるため締まって安定した撚り状態にあり、素線の交差
する部分では素線がお互いに拘束しあっている。このた
め形状も安定しており、コードの定尺切断時等において
も切断部のコードばらけが生じないので、取り扱い性も
よくなる。さらに、芯ストランドの素線数を6本以上と
しこれを長手方向で素線同士の入れ替わりがあるように
撚り合わせていることから、コード断面が特異なものと
なり、素線本数を選択し、たとえば1×6+11などと
することによって2層構造と3層構造の中間的な構造に
することができ、これによって各種タイヤサイズに即応
したスチールコードとすることができる。また、製造上
も、芯ストランドの撚り合わせとこれの周りへの11本
以上の素線の撚り合わせの2工程で足りるため、撚り工
程が少なく、コストを低減することができる。なお、側
の素線を芯ストランドの撚り方向と同方向にした場合、
コード径は側の素線を芯ストランドの撚り方向と逆方向
にした場合よりも若干細くなり、反発性は高くなる。し
かしラッピングを施すことにより反発性を低くすること
ができる。
する。図1ないし図3は本発明を適用した1×6+11
構造のタイヤ補強用スチールコードを示している。aは
芯ストランドであり、この例では6本の素線1,2,
3,4,5,6からなり、直径が0.10〜0.45m
mの高炭素鋼線の表面に真鍮めっきを施している。前記
素線1〜6は同一撚り方向でかつ同一撚りピッチで一度
に撚り合わされていることは通常の一括撚り芯ストラン
ドと同様である。しかし、本発明においては、通常の一
括撚りストランドのように直線状態の素線をしかも素線
同士をほぼ平行に整然と撚り合わせているのではなく、
各素線1〜6に撚り合わせたことによる波付けのほか
に、図2のように芯ストランド撚りピッチよりも短いピ
ッチLで波くせ100,100を施し、この状態で、長
手方向で素線間に入れ替わりが起こるよう故意に撚りを
乱すかたちで同一撚り方向でかつ同一撚りピッチで一度
に撚り合わされている。図2は撚り合わせた後に解撚し
て取り出した任意の1本の素線を代表的に示している。
素線1〜6の波付けはコード撚り合わせ前に行われる。
芯ストランド撚りピッチより短いピッチの波くせを付け
る理由は、素線の波ピッチが長いと芯ストランドを撚り
合わせたときに素線に掛かっている張力により波が伸び
てしまい、芯ストランドあるいはコードになったときに
波が残しにくくなることと、タイヤ製造時の加硫工程で
加硫圧やゴムに押圧されたとき、素線が移動しやすくな
って、素線間間隙が減少したり、隙間が偏ったりしてゴ
ム浸透性が低下し、好ましくないからである。波くせ1
00,100は螺旋状が好ましいが、場合によっては二
次元的な波であってもよい。これは、後述するように波
付け手段を選択することによって可能である。
さは、芯ストランド撚りピッチPとの関係(L/P)で
0.25〜0.55の範囲が好ましい。その理由は、波
付けピッチLを0.25よりも小さくすると、形状が不
均一となり、それぞれの素線に均一に負荷がかからず、
芯ストランドの切断荷重が低下するからである。しか
し、波付けピッチLが0.55よりも大きいと、芯スト
ランドを撚り合わせたときに素線に掛かっている張力に
より波が伸びやすくなり、また、タイヤ製造時の加硫工
程で加硫圧やゴムに押圧されたとき、素線が移動しやす
くなって、素線間間隙が減少したり隙間が偏ったりする
ため適当でない。素線の波くせ付けの高さHは、素線径
dとの関係(H/d)で1.05以上とすることが好まし
い。それは加硫時にコード内部までゴムが侵入可能な素
線間隙間を形成することかでき、良好なゴム浸透性が得
られるためである。なお、素線の波くせ付けピッチLと
波くせ付け高さHの範囲は後述するコード例においても
採用される。
り、この例では前記した直径から選ばれた11本の素線
13を前記芯ストランドaの周りに配してスパイラル状
に撚り合わしている。この外層bにおける各素線13は
芯ストランドaを構成する素線のように波くせが付けら
れていないものでよい。外層bの各素線13の撚り方向
は芯ストランドaの撚り方向と逆でもよいし、同じ方向
でもよいが、撚りピッチは当然のことながら芯ストラン
ドaのそれよりも大である。
うに、外層bにおいては平行撚りの各素線13間に隙間
g”が形成されている。この隙間g”は必ずしも全部の
素線間に形成されていることは要しないが、全素線間に
隙間がある方が好ましい。この隙間g”を得るには、次
のような方法を取ればよい。 1)芯ストランドの素線と同径の素線13を使用し、そ
の本数を、素線間の隙間をあけないようにタイトに撚り
合わせる場合の素線本数よりも1本ないし2本程度少な
い本数とする。 2)芯ストランドの素線と同径の素線13の本数を素線
間の隙間をあけないようにタイトに撚り合わせる場合の
本数と同じかあるいは若干多くし、素線径を芯ストラン
ドの素線の径よりも小さいものとして、1)と同程度の
素線間隙間をもつようにする。 3)芯ストランドの素線と同径の素線13の本数を素線
間隙間をあけないようにタイトに撚り合わせる場合の素
線本数よりも2本程度少ない素線本数とし、素線径を芯
ストランドの素線の径よりも大きくして、1)と同程度
の素線間隙間をもつようにする。 一方、外層bに囲まれた芯ストランドaにおいては、各
素線がお互いに入れ替わりながら撚り合わされることに
より、コード長手方向において、図1のように素線同士
が交差することなくほぼ平行に並んだ部分Aと、任意の
素線が互いに交差した部分Bが形成され、平行部分Aと
交差部分Bはコード長手方向で交互に繰り返され、交差
によって素線の位置がさまざまに変化し、交差部分では
口開きが創成される。すなわち、芯ストランドaは従来
の1×3などの芯ストランドと違って長手方向と直角の
断面形状が一様でなく、不特定な開輪郭形状(外方に口
開きした形態)が随所に形成された特異なものとなり、
この開輪郭部において芯ストランドaの外側から中心に
通じる隙間gが形成されるのである。しかも、前記のよ
うに各素線1〜6は芯ストランド撚りピッチよりも小さ
いピッチで波くせ100,100が付けられているた
め、交差部分Bはもとより平行部分Aでも素線間に隙間
g’が形成される。したがって、交差と波くせとの複合
作用により素線間の隙間が確実に確保される。
直角に一定間隔ごとに切断した断面形状を模式的に示し
ている。(a)は芯ストランドaの各素線がほぼ平行とな
っている断面部分であり、中心に素線1があり、その外
周に5本の素線2〜5が反時計方向に配置している。各
素線1〜6は一部に接触しているものもあるが、前記の
ように素線1〜6が小さな波くせを有しているため、こ
れによる隙間g’が素線間に形成されている。次の断面
(b)では、素線2と3の間及び素線3と4間が広がって
2つの口開き隙間gが形成され、素線5と6間が接近し
ている。そして、次の断面(c)では素線2と3の間がさ
らに広がり、断面(d)ではそれまで中心にあった素線
1が素線3と2の間を割り込むように外側に移動し、そ
れとともに素線4が素線1に隣接しつつ中心側へと移動
し、素線3と5間に大きな口開き隙間gが形成されてい
る。そして次の断面(e)では、6本の素線1〜6は断面
(a)のときの配置とすべて入れ替わっており、素線3と
5間が接近し、素線5と6間に大きな口開き隙間gが形
成されている。このように素線間での交差ないし入れ替
わりが芯ストランド長手で存在することによってコード
の断面形状が崩されるため素線間の隙間が大きくなり、
またその隙間が素線交差により固定される。一方、交差
が繰り返されることによって、芯ストランドの中心部の
素線と側部の素線がコード長手において略長さが均等化
する。
造のスチールコードの長手方向と直角の任意の断面を示
している。すなわち、このスチールコードは、12本の
素線1〜12を用い、各素線1〜12に図2に示すよう
な芯ストランドaの撚り合わせピッチよりも小さいピッ
チで予め波くせ付けをし、それら素線を長手方向で積極
的に任意の順序で素線間に入替えを与えるように同一撚
り方向でかつ同一撚りピッチで撚り合わせて芯ストラン
ドaとし、その芯ストランドaの周りにこの例では14
本の素線13を配し、芯ストランドaの撚り方向と同一
または逆にスパイラル状に撚り合わせて外層bを形成し
たものである。このコードにおいても、芯ストランドa
の長手方向で素線同士が平行状に並ぶ部分と素線同士が
交差する部分が混在し、異なる断面位置の(a)と(b)では
交差により構成素線1〜12の配列が入れ替わり、かつ
交差による口開き隙間gが1か所以上形成された開輪郭
形状となっている。そしてさらに、構成素線1〜12に
は波くせによる隙間g’が形成されている。一方外層b
では、前記した素線数の採用により素線間に隙間が形成
されており、したがって、(a)と(b)のように芯ストラン
ドaの中心と外層bの外方とは連通状態となっている。
造のスチールコードについて、1撚りピッチ内のある1
断面を模式的に示しており、図4に示すスチールコード
の周りに、素線1〜12及び13よりも細い径の1本の
素線14を外層bの撚りピッチよりも短い撚りピッチで
巻き付けている。
であり、これらに限定されるものではない。すなわち、
他の構成たとえば1×7+11,1×9+11,1×1
1+12,1×12+13なども本発明に含まれる。し
かし、いずれにしても本発明において芯ストランドaの
素線数は少なくとも6本である。その理由は素線数が5
本以下になるとコード強力を保持するため素線径を著し
く太くしなければならず、それにより耐疲労性が著しく
低下するとともに、2層構造にする意味がなくなるため
である。芯ストランドaの素線数の上限は14本程度が
好ましい。その理由は15本以上たとえば19本あるい
は27本などにすると、素線数の増加により芯ストラン
ドの長手方向と直角の断面で開輪郭形状が形成されにく
くなり、ゴムが芯ストランド中心部まで届きにくくなる
からである。一方、外層bの素線本数は少なくとも10
本である。これは芯ストランドの最低素線本数6本に対
応して外層bの素線間に隙間を設けるための本数であ
る。上限は18本程度である。これは芯ストランドの最
大素線本数14本に対応する外層bの素線間隙間を確保
するための本数である。
は、芯ストランドaの各素線が芯ストランドaの撚りピ
ッチよりも小さなピッチの波くせを持ち、しかも、各素
線が任意の順序で芯ストランド中心側と外周側の間およ
び外周側で入れ替わったり、外周側の隣接する素線が入
れ替わったりする交差サイクルが反復する。これによ
り、素線の移動の過程で交差部分が形成され、かつその
移動時の素線割込み位置により平行撚りを構成する相手
方の素線が変化するものである。素線の交差は外周側の
素線同士が交差する場合もあるし、外周側と中心側の素
線が交差することもありうる。また、素線は平行な2本
ないしそれ以上の本数の素線束が他の1本以上の素線と
交差することもある。したがって、素線の外周側移動時
の位置は図示するような位置に限られるものではない。
る交差頻度Fは、芯ストランドaの1撚りピッチ当た
り、0.5〜6.0回が好ましい。その理由は、0.5
回よりも少ないと、口開きの数が少なくなるため隙間形
成が不十分になって芯ストランド中心部へのゴムの浸透
量が減少し、また、素線同士の拘束力が不足するため軸
方向圧縮力を受けたときに素線が広がりやすくなるから
である。しかし、6.0回よりも多くなると、素線間の
隙間形成や拘束力は良好であるものの、芯ストランドに
撚り込まれる素線の長さにアンバランスが生じて疲労性
が低下したり、引張り強力が低下したりするため、これ
また適当でない。前記規定範囲であれば、ゴム浸透性、
拘束力、強度等の特性をバランスよく実現することがで
きる。芯ストランドにおいて、素線の波付けピッチLは
0.25≦L/P≦0.55の範囲にし、また素線径に
対する波の高さH/dは1.05以上にすることが好ま
しい。この芯ストランドの周りに素線間隙間ができる本
数の素線を選んで撚り合わせることにより、生産性やゴ
ム浸透性をバランスよく実現することができる。 本発
明は芯ストランドaを構成する素線の太さが同一である
ことが基本であるが、場合によっては太さに差があって
もよい。
イヤを示しており、21は1プライ以上からなるカーカ
スで、ビード25の下端を囲みさらにビードフィラーの
端末高さ以上に折り返されている。22はトレッド、2
3a,23b,23c,23dはカーカス21とトレッ
ド22との間に配した複数枚(この例では4枚)のベルト
である。前記カーカス21とベルト23a,23b,2
3c,23dは図7のように、平行配列のスチールコー
ドSの両側からゴムをトッピングしてゴム層24とし、
これをタイヤに成形後、加硫することにより作られてい
る。スチールコードSはこの例では図3に示す構造を用
いており、このスチールコードをカーカス21に埋設し
ている。もちろん、トレッド22に最も近いベルト23
dあるいはこのベルトとその下の少なくとも1枚のベル
トに埋設することも本発明に含まれる。
一例を説明する。撚り線機での撚り合わせは通常の1×
nのスチールコードと同じであるが、撚り線機の上流の
素線供給ボビンから繰り出した6本以上の各素線をくせ
付けピンを3本から5本千鳥に配置した波付け用のプリ
フォーマーに導き、前記くせ付けピンに沿わせて導く。
そして、このプリフォーマーを素線を軸にして公転させ
るか、あるいは、このプリフォーマーを固定したまま、
この後にワイヤーツイスターを配置して素線を軸にして
ワイヤーツイスターを公転させて素線に捻りを入れなが
ら、撚り線機構に引き取ってやる。これにより素線に螺
旋状の波くせを付けることができる。あるいはこのよう
なプリフォーマーを使わないで、お互いに噛み合う歯車
の間を素線を通過させて素線に二次元的な波をつけても
よい。次に、撚り線機の入り口に素線入れ替え装置を配
置し、各素線をこの装置に通して撚り口前で各素線の張
力を周期的に変化させて素線同士の入れ替わりを起こさ
せる。この素線入れ替え装置は、回転軸に対して偏芯し
た数種類の径のロールを素線の長手に対して直角に配置
する。このロールを回転させるとロールはクランク運動
をするので、ロール溝に素線を沿わせて通過させること
により、素線の張力が変化し、これにより撚り口部で素
線間の入れ替わりが生じる。その後、撚り線機で通常と
同じく撚り合わせれば、芯ストランドを製作することが
できる。このようにして、製作した芯ストランドを別の
撚り線機にかけ、この周りに11本以上の所望本数の素
線をスパイラル状に撚り合わせれば、本発明のスチール
コードが製作できる。なお、必要に応じて、このコード
を通常のラッピングマシンにかけて1本の素線を巻き付
ければ、ラッピング付きの本発明のコードを製作するこ
とができる。
mの径の素線6本を長手で素線間の入れ替わりを起こさ
せながら、S方向に撚りピッチ10mmで一度に撚り合
わせて1×6の芯ストランドとした。更に、この芯スト
ランドの周りに11本の素線をZ方向に撚りピッチ14
mmで撚り合わせてコードとした。このコードは図3に
示すような断面形状をなし、芯ストランドを構成する各
素線はお互いに入れ替わりながら撚り合わされ、交差に
より大きな口開きを生じ、断面において不特定な開輪郭
形状が随所に生じ、開輪郭部において芯ストランドの外
から中心部に通じる隙間が創成されていた。また、各素
線に小さいピッチで波くせが付けられていることが複合
して素線間の隙間がよく確保されていた。コードの芯ス
トランドの波くせ付けは、ピッチLが4.0mm、波の
高さHは0.26mmであり、一方、素線の交差頻度F
は芯ストランドの10mm当たり1.2回である。この
コードの特性を1×3+8構造のコード(従来例1)および1
×3+8+13構造(従来例2)とともに表1に示す。
0.175mm径の素線12本を長手で素線間で入れ替
わりを起こさせながら、S方向に撚りピッチ10mmで
一度に撚り合わせて1×12の芯ストランドとした。さ
らに、この芯ストランドの周りに14本の素線をZ方向
に撚りピッチ16mmで撚り合わせてコードとした。こ
のコードの長手方向に直角の断面形状は図4に示すよう
なものであった。このコードの芯ストランド素線の波く
せは、ピッチL4.5mmでその波の高さHは0.24
mmであり、一方、素線の交差頻度Fは芯ストランドの
10mm長さ当たり1.1回である。
mmの素線をS方向に5.0mmのピッチで巻き付けて
コードとした。このコードの断面形状は図5に示すよう
なものであった。 〔実施例4〜9〕実施例2の芯ストランドと同一の素線
径、撚り方向、撚りピッチで芯ストランドを製作した。
但し、芯ストランドにおける素線の波付けピッチ、波付
け高さ及び素線の交差頻度を異なるように製作した。こ
の芯ストランドの周りに13本の素線をZ方向に撚りピ
ッチ16mmで撚り合わせてコードとした。 〔実施例10〕実施例5の芯ストランドの周りに13本
の素線を芯ストランドと同方向(S)方向に撚り合わ
せ、更にこの周囲に0.15mmの素線をZ方向に5.
0mmのピッチで巻き付けてコードとした。実施例2な
いし実施例10のスチールコードの特性を1×3+8+
13+1構造(従来例3)及び1×3+8+13構造(従
来例4)と比較して示す。表2は実施例2ないし実施例
6を示し、表3には実施例7ないし実施例10及び従来
例3,4を示す。
試験法と評価法は以下のとおりである。 ゴム浸透性:スチールコードを100grの張力下でゴ
ム中で加硫した後、コードを分解してコード内部へのゴ
ム浸透状態を目視で観察し、完全浸透状態を100とし
て評価した。 空気透過性:スチールコードをゴム中に長さ25.4m
m埋め込んで加硫し、それを水中に配置して一端よりエ
アー(空気圧0.5kgf/cm2)を一分間流して、
コード中を通過するエアーの有無を調べた。 耐久性:スチールコードを100grの張力下でゴム中
で加硫して帯状の試験サンプルとし、これを25mmφ
の千鳥配置させたロールに掛け、これを左右に往復させ
てコードに繰返し曲げを与えてコードが破断するまでの
回数を測定したもので従来例2と従来例4をそれぞれ1
00として比較した。 曲げ反発性:スチールコードを直径200mmφのルー
プにしてセットし、ループの頂点から最下点まで垂直に
押し下げた後、再び、コードの反発を受けながら徐々に
元に戻し、コードが戻った点を%で表す。完全に元まで
戻った場合を100%とする。タイヤ成形においてカー
カス部のスチール補強にはビート周りへの折り返し(巻
き付け)があるので曲げ反発性は小さいほうが好まし
い。
例のスチールコードは2層目ないし3層目まではゴム浸
透はよいが、芯ストランドの中心部まではゴムが浸透し
ていない。これに対して実施例1ないし実施例10は、
芯ストランドの中心部までゴムが良く浸透しており、従
来品の欠点を十分に解消している。また、ゴムの浸透が
よいため、素線間のフレッティングが緩和され、耐久性
も改善されていることがわかる。
れば、芯ストランドを構成する各素線に芯ストランドの
撚りピッチより小さいピッチで波くせを付け、かつ芯ス
トランドの長手において素線同士に入れ替わりを与え
て、お互いに交差する部分を混在させており、この交差
部で口開きが創成されるため、ストランドの外側から中
心部まで通じる隙間を作ることができ、そして、交差部
では素線同士が絡み合って、互いに拘束するので創成さ
れた口開きによる素線間隙間が固定される。このため外
層から芯ストランドの中心部までゴムを確実に浸透させ
ることができる。また、このようにゴムの浸透がよいた
め、素線間のフレッティングが緩和され、耐久性も良好
なものとすることができる。さらに、本発明のコードは
6本以上の素線を芯ストランドに使用して一括よりし、
その周りに11本以上の素線をスパラル状に撚り合わせ
て外層を形成した2層構造であるためその製造撚り工程
も2回で済み、したがって、コスト的にも非常に有利で
あるなどのすぐれた効果が得られる。請求項4によれ
ば、上記特性のスチールコードをカーカスまたはベルト
の少なくとも一部に使用しているため、耐食性及び耐久
性のよい高性能のタイヤとすることができるという優れ
た効果が得られる。
部分拡大側面図である。
を模式的に示す側面図である。
式的示す断面図である。
面図である。
面図である。
ルタイヤの断面図である。
である。
る。
る。
る。
Claims (4)
- 【請求項1】6本以上の素線を同一方向に同一撚りピッ
チで一度に撚り合わせてなる芯ストランドの周りに、1
0本以上の素線を芯ストランドの撚り方向とは逆方向に
スパイラル状に撚り合わせてなる1×n+m構造のスチ
ールコードであって、前記芯ストランドの各素線がその
撚りピッチより小さいピッチの波くせを有し、しかも、
該芯ストランドの長手において素線同士の交差部が混在
し、更に該芯ストランドの周囲に撚り合わせた素線間に
隙間を有することを特徴とするゴム補強用スチールコー
ド。 - 【請求項2】6本以上の素線を同一方向に同一撚りピッ
チで一度に撚り合わせてなる芯ストランドの周りに10
本以上の素線を芯ストランドの撚り方向と同方向にスパ
イラル状に撚り合わせてなる1×n+m構造のスチール
コードであって、前記芯ストランドの各素線がその撚り
ピッチより小さいピッチの波くせを有し、しかも、該ス
トランドの長手において素線同士の交差部が混在し、更
に該芯ストランドの周囲に撚り合わせた素線間に隙間を
有することを特徴とするゴム補強用スチールコード。 - 【請求項3】スチールコードの外周に1本の素線をラッ
ピングしてなる請求項1ない請求項2に記載のゴム補強
用スチールコード。 - 【請求項4】請求項1ない請求項3のいずれかに記載の
スチールコードをカーカス部またはベルト部の少なくと
も一部の補強に使用したことを特徴とするラジアルタイ
ヤ。
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- 1994-10-21 JP JP28285294A patent/JP3540845B2/ja not_active Expired - Fee Related
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