JPH08114549A - 発光分光分析の方法と装置 - Google Patents

発光分光分析の方法と装置

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JPH08114549A
JPH08114549A JP25049394A JP25049394A JPH08114549A JP H08114549 A JPH08114549 A JP H08114549A JP 25049394 A JP25049394 A JP 25049394A JP 25049394 A JP25049394 A JP 25049394A JP H08114549 A JPH08114549 A JP H08114549A
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JP
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discharge
gas
discharge chamber
analysis
concentration
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JP25049394A
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Kazuya Ishii
一也 石井
Yoshiro Matsumoto
義朗 松本
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 分析精度を劣化させる大気成分の影響を抑制
し、特に微量成分分析で良好な分析精度を維持し得る発
光分光分析の方法と装置を提供する。 【構成】 発光分光分析装置は、放電室(11)へ導入
される放電雰囲気ガス中および放電室(11)から排出
されるガス中のN2 ,O2 ,およびCO2 のうちの少な
くとも1つの特定ガス濃度を測定するガス濃度測定器
(21,23)と、ガス導入側のその特定ガス濃度測定
値(M1)とガス排出側の特定ガス濃度測定値(M2)
との比率(M1/M2)が1に近い所定の範囲内になっ
たときに放電タイミング(B)を制御する制御装置(2
5)を備えていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は発光分光分析の方法と装
置に関し、特に、主として鉄鋼業などにおいて微量成分
の分析に用いられる発光分光分析の方法と装置の改善に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄鋼製品の品種の多様化や高品質化、さ
らには製鋼や加工の技術の進歩に伴って、鉄鋼中に含ま
れる微量成分、特に窒素(N),酸素(O)および炭素
(C)などの成分量を厳密に制御する技術が進歩してき
た。そして、これらの技術の裏付けとして、微量成分の
定量分析が重要になってきている。また、精錬や製鋼の
工程はオンライン操業であるので、微量成分の分析は迅
速かつ正確に行なわれる必要があり、さらに、その分析
結果が速やかに精錬や製鋼の工程にフィードバックされ
る必要がある。
【0003】鉄鋼中の微量成分を分析する方法として、
従来から以下の方法が知られている。
【0004】まず、微量成分の化学分析法に関しては、
たとえばN成分の分析法として、固体試料から少量
(0.5〜1g)の試料を採取し、湿式法または乾式法
によって分析する方法がある。湿式法としては、水蒸気
蒸留中和滴定、水蒸気蒸留ビスピラゾン吸光光度法、水
蒸気蒸留インドフェノール吸光光度法などが知られてお
り、乾式法としては、不活性ガス搬送融解熱伝導度法な
どが知られている。
【0005】次に、種々の微量成分を同時に分析できる
方法として、固体試料を切断して研磨し、試料の研磨面
に放電させて発光させることによって、その発光スペク
トルを分析する発光分光分析法がある。
【0006】前者の化学分析法は高い精度が得られると
いう長所があるが、試料の調製が煩雑であって長い分析
時間を要するという短所がある。他方、後者の発光分光
分析法は迅速に分析が行なえるという長所を有し、しか
も、最近のエレクトロニクス技術の進歩に伴ってその分
析精度も向上してきている。したがって、高度の分析精
度と分析の迅速性が必要とされる製鋼プロセスの管理分
析における鉄鋼中の微量成分の分析には、そのような必
要条件を満たし得る発光分光分析方法が広く利用される
ようになってきている。
【0007】しかし、発光分光分析法を実際の製造現場
に適用する場合、放電室内に巻込まれる大気ガス
(N2 ,O2 ,CO2 など)が発光スペクトルに影響を
及ぼし、特に鋼中のN,O,Cなどの成分分析におい
て、分析値がばらついて分析精度が悪くなる傾向にあ
る。したがって、従来は、分析前に放電室内へアルゴン
(Ar)ガス(放電雰囲気ガス)を大量に一定時間だけ
流し、放電室内に巻込まれている大気を排除した後に分
析する方法がとられている。しかし従来の方法では、放
電室内に巻込まれた大気を排除するために流されるAr
ガスはその流量と時間だけが規定されているので(たと
えば、13リットル/分の流量率で4秒間)、分析のた
めの放電のタイミングによっては放電室内に巻込まれた
大気の排除に不十分な場合が生じ得る。
【0008】そこで、発光分光分析において、このよう
な放電室内に巻込まれた大気の影響による分析値のばら
つきを抑制するために、先行技術において次の方法(A
1)や(A2)が提案されている。
【0009】(A1)放電室内のCO2 濃度を測定し、
その濃度が所定の一定値になったときに分析放電を行な
う方法(実公平4−34444参照)。
【0010】(A2)放電室内において放電発光させる
ための対向電極の先端部にノズルを設け、そのノズルか
らArガスを細い柱状のアルゴンガスジェットとして試
料表面に吹き付けて放電室内の空気の溜まり(巻込まれ
た大気)による放電の不安定要因を解消することによっ
て放電状態を安定させる方法(特公昭59−40256
参照)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の方法
(A1)においては、装置のメンテナンス作業におけ
る放電室内の洗浄を行なった後に分析を行なう場合、
長時間分析を行なわなかった後に分析を行なう場合、さ
らには、使用するArボンベのロットの違いによって
Arガス純度に差がある場合などでは、放電室内のAr
ガス中のCO2 濃度の基準が変わるので、放電室内のC
2 濃度を測定する際に、予め設定するCO 2 濃度の所
定の一定値の値を変更しなくてはならないという難点が
ある。
【0012】他方、上述の方法(A2)においては、放
電室内に巻込まれた大気の影響は抑制されるが、試料上
の放電面積が小さいために、その試料の同一分析面上に
おける平均的な発光強度値が得られにくく、それによる
分析精度の低下が生じ得るという難点を有している。
【0013】ところで、放電室内に大気が巻込まれれ
ば、放電室内には大気の主成分であるN2 ,O2 ,CO
2 などが含まれることになる。N2 ,O2 ,CO2 など
を含む放電雰囲気ガスの下では、N,O,およびCの
真空紫外域のスペクトル線は放電室内に巻込まれたO2
ガスに吸収されるために、分析試料中のN,OおよびC
による発光強度が低下し、他方、放電雰囲気ガス中の
2 ,O2 ,およびCO 2 成分が放電カラム内で原子化
した後に発光することによってN,O,およびCによる
発光強度が上昇するので、分析試料中の正確なN,O,
およびCの発光分光分析結果を得ることが困難である。
したがって、鋼中のN,O,およびCの発光分光分析に
おいては、放電室内に巻込まれた大気中のN2 ,O2
およびCO 2 が放電室から十分に排除されたか否かを正
確に判定することは、その発光分光分析の精度を高める
ための重要なポイントとなる。
【0014】上述のような先行技術における課題に鑑
み、本発明は、分析精度を劣化させる大気成分(N2
2 ,およびCO2 )の影響を抑制し、特に微量成分分
析で良好な分析精度を維持し得る発光分光分析の方法と
装置を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】放電室内で試料と対向電
極との間で放電させて発生した光を分光分析する本発明
の1つの態様による発光分光分析法は、放電室へ導入さ
れる放電雰囲気ガス中および放電室から排出されるガス
中のN2 ,O2 およびCO2 のうちの少なくとも1つの
特定ガス濃度を測定し、放電室内へのガス導入側におけ
るその特定ガス濃度測定値と放電室からのガス排出側に
おける特定ガス濃度測定値との比率が1に近い所定の範
囲内になったときに放電タイミングを決定することを特
徴としている。
【0016】放電室内で試料と対向電極との間で放電さ
せて発生した光を分光分析する本発明のもう1つの態様
による発光分光分析装置は、放電室へ導入される放電雰
囲気ガス中および放電室から排出されるガス中のN2
2 およびCO2 のうちの少なくとも1つの特定ガス濃
度を測定するガス濃度測定器と、放電室内へのガス導入
側のその特定ガス濃度測定値と放電室からのガス排出側
の特定ガス濃度測定値との比率が1に近い所定の範囲内
になったときに放電タイミングを設定する制御装置を備
えていることを特徴としている。
【0017】
【作用】放電室内で試料と対向電極との間で放電させて
発生した光を分光分析する本発明による発光分光分析の
方法と装置によれば、放電室内へのガス導入側の特定ガ
ス濃度測定値と放電室からのガス排出側のその特定ガス
濃度測定値との比率が1に近い所定の範囲内になったと
きに放電タイミングが決定されるので、装置の使用前歴
やArボンベのロットの違いなどによる影響を排除する
ことができ、さらには試料の同一分析面上の平均的な発
光強度値が得られにくいという問題を生じることもな
く、高精度の発光分光分析が行なわれ得る。
【0018】
【実施例】図1は、本発明の一実施例による発光分光分
析装置の主要部を概略的に示している。図1の装置の右
側端部において、放電室11が水平面に対して斜め下方
に向けて突出して形成されており、その放電室11の外
側上面は平らな試料台12として成形されている。試料
台12の中央部には、試料穴12aがあけられている。
試料台12の上面は試料穴12aを閉じるように分析用
固体試料13が密着して配置されるようにされており、
分析用固体試料13の上にはその固体試料13を試料台
12に密着させて固定するための試料押え14が配設さ
れている。
【0019】一方、放電室11内部には、試料穴12a
と対向して所定の間隔だけ隔てられた位置に対向電極1
5が配置されている。また、図1の装置の左側には、集
光レンズ16が配置されている。対向電極15は電源2
4に接続されており、電源24は制御線を介してコンピ
ュータ25に接続されている。
【0020】また、集光レンズ16の近傍および対向電
極15の近傍にはそれぞれガス導入管17aと17bが
接続されており、放電室11の右端近傍にはガス排出管
18が接続されている。放電室11内へ導入されるAr
ガスの導入管17bには、放電室11内に導入される前
の放電雰囲気ガス中のN2 ,O2 ,およびCO2 の濃度
を測定するために第1のガス濃度測定用配管20が接続
されている。この第1のガス濃度測定用配管20は、第
1の濃度測定器21に接続されている。第1の濃度測定
器21として、N2 濃度測定にはガスクロマトグラフィ
質量分析法(GC−MS法)を用いることができ、O2
濃度測定には酸素濃淡電池方式のO2 メータを用いるこ
とができ、さらに、CO2 濃度測定には赤外吸収方式の
濃度測定器を用いることができる。さらに、放電室11
内からのガス排出管18には、放電室11内から排出さ
れるガス中のN2 ,O2 ,および/またはCO2 の濃度
を測定するために第2のガス濃度測定用配管22が接続
され、この第2のガス濃度測定用配管22は第2の濃度
測定器23に接続されている。第2の濃度測定器23と
しては、第1の濃度測定器21と同様な測定器を用いる
ことができる。
【0021】図1に示されているような発光分光分析装
置を用いて、以下のようにして分析用固体試料13中の
N,O,および/またはCの成分の発光分光分析が行な
われ得る。まず、分析用固体試料13は、試料穴12a
を閉じるように試料台12上に載置される。そのとき、
試料押え14によって分析用固体試料13が押えられ、
分析用固体試料13は試料台12に密着させられる。こ
のようにして分析用固体試料13が試料台12上にセッ
トされた後に、ガス導入管17aおよび/または17b
を介して、放電雰囲気ガスとしての純度99.999v
ol%のArガスが分析前のプレフラッシュとして13
リットル/分の流量率で放電室11内に導入され、放電
室11内で放電を生じさせる雰囲気がArガス雰囲気に
される。Arガスは放電中においても13リットル/分
の流量率で流され、プレフラッシュ前と放電終了後にお
いては3リットル/分の流量率でArガスが流される。
【0022】放電室11内に導入される前のArガス中
に含まれるN2 ,O2 ,および/またはCO2 の濃度
と、放電室11内から排出されるガス中に含まれる
2 ,O2,および/またはCO2 の濃度は、それぞれ
第1の濃度測定器21および第2の濃度測定器23によ
って連続的に測定されており、それぞれの測定濃度値は
コンピュータ25に送られている。
【0023】コンピュータ25は、第1と第2の濃度測
定器21および23が示すN2 ,O 2 ,および/または
CO2 の濃度の測定値の比が予め設定された範囲内にな
ったときに電源24へ信号を送り、対向電極15と分析
用固体試料13との間に電圧を印加させ、分析用固体試
料13と対向電極15との間で放電を生じさせる。そし
て、予め設定されたパルス数の放電の後に、分析動作が
終了する。この分析中の放電として、一般にトリプルコ
ンバインドスパーク放電が用いられる。
【0024】図2は、トリプルコンバインドスパーク放
電の電流波形の一例を示すグラフである。このグラフの
横軸は時間を表わし、縦軸は電流値を表わしている。ト
リプルコンバインドスパーク放電では、初めにハイパワ
ースパーク放電P1が60μsの間行なわれ、次にスパ
ーク放電P2が60μsの間行なわれ、最後にアーク状
放電P3が120μsの間行なわれる。すなわち、トリ
プルコンバインドスパーク放電においては、放電の1パ
ルスがこれら3つの電流ピークP1,P2およびP3を
含み、そのようなパルス放電が繰返される。ハイパワー
スパーク放電P1は、試料表面を少し蒸発させてフレッ
シュな表面を露出させるために行なわれる。N,O,お
よびCの分析のための測光はスパーク放電P2の間に行
なわれる。アーク状放電P3は、硫黄(S)などの分析
のための測光に用いられる。
【0025】このようなトリプルコンバインドスパーク
放電によって生じた発光は、図1中のレンズ16を介し
て分光器(図示せず)によってスペクトル線が選択さ
れ、その選択されたスペクトル線の測光値がコンピュー
タ25にインプットされる。本実施例では、鉄鋼中の
N,O,およびCの成分分析を行なう場合、Nの発光ス
ペクトル波長149.2nm,Oの発光スペクトル波長
130.2nm,およびCのスペクトル波長165.8
nmを分析線として選択し、Feの発光スペクトル波長
287.2nmを内標準線として選択する。測光は時間
分解測光法を用いて行なわれ、トリプルコンバインドス
パーク放電のスパーク放電中における各成分のスペクト
ル線とFeの内標準線との発光強度比をPDA(Pulse-
height Distribution Analysis:パルス高分布分析)処
理し、発光パルス分布の中央値が測光強度として求めら
れる。このとき、予備放電パルス数として1000パル
スが用いられ、PDA用測光パルス数として1500パ
ルスが用いられる。ここで、前述のように1放電パルス
は図2に示された3つの電流ピークP1,P2およびP
3を含んでいる。また、予備放電パルスは試料表面の清
浄化や放電の安定化のために行なわれる。
【0026】図3は、図1に示された第1の濃度測定器
21と第2の濃度測定器23によって測定されたN2
濃度変化の一例を示すグラフである。このグラフにおい
て、横軸は時間(sec)を表わし、左側の縦軸はN2
濃度(ppm)を表わし、そして右側の縦軸は第1の濃
度測定器21による測定値M1と第2の濃度測定器23
による測定値M2との比M1/M2を表わしている。ま
た、グラフ中の●印は第1の濃度測定器21によるN2
濃度測定値M1を表わしており、○印は第2の濃度測定
器23によるN2 濃度測定値M2を表わしている。そし
て、破線の曲線は、第1と第2の濃度測定器21と23
による濃度比M1/M2を表わしている。さらに、矢印
A,BおよびCは、それぞれArガスによるプレフラッ
シュの開始時点、放電開始時点、および放電終了時点を
表わしている。
【0027】放電室11内へのガス流入側におけるAr
ガス中のN2 の濃度測定値M1は、前述のように、装置
のメンテナンス作業における放電室内の洗浄を行なった
後に分析する場合、長時間分析を行なわなかった後に分
析する場合、さらにArを供給するボンベのロットの違
いによってArガス純度に差異がある場合などにおいて
変化する。他方、放電室11からのガス流出側における
Arガス中のN2 濃度測定値M2は、放電室11内に巻
込まれた大気がArのプレフラッシュによって排出され
ることにより、高濃度から低濃度へと減少し、ガス流入
側における測定値M1に近づく。これは、ガス流入側と
排出側における濃度測定値の比率M1/M2が1に近づ
くことを意味する。
【0028】本発明では、この測定値の比率M1/M2
がNの放電発光に影響を与えない位置に近い範囲に入っ
たときに放電が開始される。図3の例では、測定値の比
率M1/M2が0.9〜0.1の範囲内に入ったときに
放電が行なわれる。なお、図3において、Arガスはプ
レフラッシュ開始時点A以前においては放電室11内へ
Arガスが3リットル/分の流量率で流されており、プ
レフラッシュ開始時点Aから放電終了時点Cまでの間は
13リットル/分の流量率で流され、さらに放電終了時
点C以後は3リットル/分の流量率で流されている。
【0029】図4は図3に類似したグラフであるが、N
2 濃度ではなくてO2 濃度の変化を表わしている。図4
のグラフにおいても、図3の場合と同様に、ガス流入側
と排出側のO2 濃度比M1/M2が0.9〜1.1の範
囲内にあるときに放電が行なわれる。図4と図3の比較
から、O2 の濃度変化は、N2 の濃度変化に比べて、プ
レフラッシュ開始時点Aから放電開始時点Bまでの時間
が約2〜3秒長いことがわかる。したがって、NとOに
関して同時に発光分光分析を行なう場合、N2濃度とO
2 濃度のいずれに関しても測定値の比率M1/M2が
0.9〜1.1の範囲内になったときに、放電が開始さ
れてNとOの同時分析が行なわれる。
【0030】図5も図3および図4に類似したグラフで
あるが、図5のグラフはCO2 の濃度変化を表わしてい
る。図5を図3および図4と比較してもわかるように、
CO 2 の濃度変化に関するプレフラッシュ時点Aから放
電開始時点Bまでの時間もN 2 やO2 の濃度変化の場合
と異なっている。したがって、N,OおよびCを同時に
分析する場合、N2 ,O2 ,およびCO2 の濃度に関し
ていずれも濃度比率M1/M2が0.9〜1.1の範囲
内になったときに、放電を開始して分析が行なわれる。
【0031】表1は、上述のような分析装置と分析方法
を用いて実際に分析された結果の例が示されている。
【0032】
【表1】
【0033】表1において、用いられた鉄鋼試料は2
3.4ppmのNと、24.0ppmのOと、13.0
ppmのCを含むものである。また、表1中の比較例に
おいては、Arフラッシュ時点以前には3リットル/分
の流量率で放電室内へArガスが流され、そして13リ
ットル/分の流量率で4秒間のArフラッシュの後にそ
の流量率で放電が行なわれ、放電終了後は3リットル/
分の流量率に戻されている。分析は1日に10回繰返し
て行なわれ、その日毎の平均値が求められ、そのような
分析が5日間繰返して行なわれた。表1において、5日
間の測定の平均値と標準偏差σからわかるように、N,
O,およびCのいずれの成分についても、従来の比較例
による分析方法に比べて、本発明による分析精度の方が
1〜3ppmだけよくなることが理解されよう。
【0034】ところで、純Arガスボンベ中に含まれる
2 ,O2 ,およびCO2 の各々の濃度は、一般に0.
1ppm未満である。濃度比率M1/M2の設定値範囲
が上述の実施例のように0.9〜1.1である場合、大
気からの巻き込みガス量は0.01ppm未満に抑制さ
れることになる。CO2 を例にとれば、Arガス中に
0.1ppmのCO2 が含有するとき、Cの分析値は
0.65ppm上昇することがわかっている。したがっ
て、0.01ppm未満のCO2 がArガス中に含有さ
れていてもCの分析値の上昇は0.065ppm未満と
なり、発光分光分析装置の検出下限以下となる。このよ
うな理由から、上述の実施例では0.9〜1.1の範囲
内のM1/M2が、分析に影響を与えない範囲として設
定された。しかし、濃度比率M1/M2の設定値は分析
精度の要求に応じて変更してよく、Nの分析のように巻
き込みN2 ガスの影響を強く受ける元素では、M1/M
2の設定値をさらに狭くして0.99〜1.01の範囲
内にすれば、さらに分析精度が上がることが理解されよ
う。
【0035】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、放電室
へ導入される放電雰囲気ガス中と放電室から排出される
ガス中とにおけるN2 ,O2 ,およびCO2 の少なくと
も1つの特定ガス濃度比が1に近い所定の範囲内になっ
たときに放電タイミングが決定されるので、放電室に巻
込まれる大気成分によって影響を受けにくく良好な分析
精度を維持し得る発光分光分析の方法と装置を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による発光分光分析装置の主
要部を示す図である。
【図2】トリプルコンバインドスパーク放電の電流波形
を示すグラフである。
【図3】放電室へのガス流入側と放電室からのガス流出
側におけるN2 の濃度変化を示すグラフである。
【図4】放電室へのガス流入側と放電室からのガス流出
側におけるO2 の濃度変化を示すグラフである。
【図5】放電室へのガス流入側と放電室からのガス流出
側におけるCO2 の濃度変化を示すグラフである。
【符号の説明】
11 放電室 12 試料台 12a 試料穴 13 分析用固体試料 14 試料押え 15 対向電極 16 集光レンズ 17a,17b ガス導入管 18 ガス排出管 20 第1のガス濃度測定用配管 21 第1のガス濃度測定器 22 第2のガス濃度測定用配管 23 第2のガス濃度測定器 24 電源 25 コンピュータ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放電室内で試料と対向電極との間で放電
    させて発生した光を分光分析する発光分光分析方法にお
    いて、 前記放電室へ導入される放電雰囲気ガス中および前記放
    電室から排出されるガス中のN2 ,O2 およびCO2
    うちの少なくとも1つの特定ガス濃度を測定し、 前記放電室へのガス導入側の前記特定ガス濃度測定値と
    前記放電室からのガス排出側の前記特定ガス濃度測定値
    との比率が1に近い所定の範囲内になったときに前記放
    電のタイミングを決定することを特徴とする発光分光分
    析方法。
  2. 【請求項2】 放電室内で試料と対向電極との間で放電
    させて発生した光を分光分析する発光分光分析装置にお
    いて、 前記放電室へ導入される放電雰囲気ガス中および前記放
    電室から排出されるガス中のN2 ,O2 およびCO2
    うちの少なくとも1つの特定ガス濃度を測定するガス濃
    度測定器と、 前記放電室へのガス導入側の前記特定ガス濃度測定値と
    前記放電室からのガス排出側の前記特定ガス濃度測定値
    との比率が1に近い所定の範囲内になったときに前記放
    電のタイミングを制御するための制御装置とを備えてい
    ることを特徴とする発光分光分析装置。
JP25049394A 1994-10-17 1994-10-17 発光分光分析の方法と装置 Withdrawn JPH08114549A (ja)

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WO2003078985A1 (fr) * 2002-03-15 2003-09-25 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Dispositif d'identification de metal et procede d'identification de metal
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