JP2001234230A - 脱炭精錬の終点判定方法 - Google Patents

脱炭精錬の終点判定方法

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JP2001234230A
JP2001234230A JP2000043545A JP2000043545A JP2001234230A JP 2001234230 A JP2001234230 A JP 2001234230A JP 2000043545 A JP2000043545 A JP 2000043545A JP 2000043545 A JP2000043545 A JP 2000043545A JP 2001234230 A JP2001234230 A JP 2001234230A
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gas
carbon
molten steel
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concentration
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English (en)
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Takeshi Murai
剛 村井
Eiju Matsuno
英寿 松野
Eiji Sakurai
栄司 櫻井
Shigeomi Sato
重臣 佐藤
Tadashi Mochizuki
正 望月
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶鋼中微量C濃度での精錬の終点を精度よく
推定する。 【解決手段】 排ガス中のAr量に対するCO及びCO
2量から、排ガス中C量を求めると共に、予定終点に近
づいてからは2分以下の間隔でサンプリングし、採取後
2分以内に分析し、目標C量に近い溶鋼分析値に上記排
ガス中に脱炭されたC濃度を加えたC濃度で終点を判定
する。上記Arに既知のHを加え、排ガス中のHe、N
及びCの濃度をICP−MAS分析で測定し、排ガス中
のHe量に対するCO及びCO2ガス量の割合を求め、
この値を上記脱炭によるC濃度算定に用いる。上記溶鋼
中C濃度は迅速高周波加熱燃焼法で分析する。C分析用
試料を採取した後、高温のまま500℃以上に保持して
迅速高周波加熱燃焼法によりC濃度を分析する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、溶鋼の脱炭精錬
において、溶鋼中の炭素濃度が所定の微量濃度に達した
時点、即ち精錬の終点を精度よく推定する方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、鋼材に要求される物性の高級化及
び多様化に伴い、その物性を左右する炭素濃度を微量域
で正確に制御することが重要な技術となっている。脱炭
精錬では、真空下で溶鋼にArガスを吹き込み、溶鋼を
撹拌したり、あるいは溶鋼を環流させながら溶鋼中の酸
素又は気体酸素と接触させ、溶鋼中の炭素を数10分か
けて酸化し、脱炭する。図6に、溶鋼環流型の脱炭精錬
炉の代表的例として、RH脱ガス精錬装置の概略縦断面
図を示す。
【0003】溶鋼21は、吹き込み管22から吹き込ま
れるArガス22aによってリフトアップされ、真空槽
25内で脱炭され、再び取鍋26に戻る。このとき発生
するCOガス及びCO2ガス、並びに未反応のO2ガス等
は、排気ダクト24から吸引される。溶鋼中の炭素量が
目標量まで減じた時点で精錬を終了させるが、溶鋼を分
析し炭素量を確認するまでに時間を要するので、溶鋼脱
炭の程度を予測して精錬を終了させる。
【0004】従来、溶鋼脱炭の程度は、脱炭精錬炉から
の排ガス量で判断されていた。即ち、排ガスは、Arガ
ス並びに溶鋼中炭素が酸化されたCOガス及びCO2
スからなり、脱炭が進行すると大まかには、COガス及
びCO2ガスの発生量が減少し、排ガス量も大まかには
減少することが利用されていた。しかし、厳密には、炉
内への大気のリークもあり、微量の炭素量を制御する場
合には、正確さに欠ける難点があった。
【0005】この難点を解決するために、従来、排ガス
中の炭素濃度を測定して脱炭速度を推定する方法や、脱
炭が進んだ低炭素領域で得られた脱炭速度係数を用い
て、脱炭速度を算出する方法が提案されている。また、
最近では、溶鋼中炭素を迅速に分析する方法も検討され
ている。
【0006】例えば、特公昭62−32248号公報に
は、排ガス中のCOガス及びCO2ガス濃度を質量分析
計により測定し、脱炭速度又は脱炭量を求める方法が記
載されている。質量分析計は、微量ガス成分を迅速に測
定することができること、全ガス組成を同時に分析する
ことができること等の特徴を利用したもので、即時に排
ガス成分が求められる。即ち、排ガスに標準ガスを混合
し、標準ガスの質量数とCO及びCO2ガスの再配列及
び二価イオンを含めた質量数のイオン化電流値を測定す
る。そして、標準ガスのイオン化電流の変動量を使って
排ガス圧変動の影響を除き、CO及びCO2ガス濃度を
得て脱炭速度を求め、これを積分して脱炭量を算出する
というものである(「排ガス質量分析法」という)。
【0007】また、特開平7−166228号公報に
は、脱炭速度係数が溶鋼中炭素濃度により異なることに
注目し、排ガス量から溶鋼中炭素濃度が50ppm未満
になったことを推定し、その時点で溶鋼サンプルを採取
し、4〜5分後に得られる分析値から、50ppm以下
の経験的に得られた脱炭速度係数を用いて脱炭速度を求
め、これを積分して脱炭量を算出することが記載されて
いる。
【0008】一方、鋼中の炭素濃度の測定に関しては、
特開平9−166590号公報に、重量当たりの表面積
を限定した試料と、限定した助燃剤とを用い、高周波加
熱燃焼法により、汚染炭素と鋼中炭素とを分離して測定
する方法が記載されている。この方法では、加熱の初期
に汚染炭素が抽出され、その後に鋼中炭素が抽出され
る。抽出に要する時間は、20秒から1分であり、しか
も汚染炭素を分離して測定できるので、微量域で精度の
よい分析値が得られる(「迅速高周波加熱燃焼法」とい
う)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、排ガス
質量分析法では、排ガス中のCが脱炭量に等しいという
前提に立っているが、実際には僅かではあるがArガス
やリークする大気中に含まれる炭素化合物がらのCが存
在し、また、排ガス中のCO及びCO2ガス濃度の測定
値には誤差を伴う。
【0010】このため、最終炭素量が数100ppm程
度までの精錬では、脱炭精錬開始時に含まれる溶鋼炭素
量を初期値として、CO及びCO2ガス濃度からえられ
る脱炭速度を積分して終点を推定しても、100ppm
程度の誤差を含んで的中する。しかし、最近では、最終
炭素量が10ppm前後の低C領域での終点も要求され
るようになり、上記誤差だけでも大き過ぎる。しかも、
この低C領域まで脱炭するためには、更に精錬を続けな
ければならず、精錬後半では誤差が蓄積されて更に大き
くなり、終点を判定することができない。
【0011】また、低C領域脱炭速度係数法では、脱炭
速度係数が溶鋼中炭素濃度に依存するとしているにもか
かわらず、50ppmを未満の領域では脱炭速度係数を
一定として脱炭速度を算出しなければならない。更に、
この脱炭速度係数を用いて4〜5分よりも後の炭素量を
推定しなければならない。その間に炉内に導入される酸
素量やArガス量が変更されることもあり、脱炭量はそ
の影響を受け推定式から外れて変化し、その効果が安定
して得られない。
【0012】この発明は、上記の問題を解決するために
なされたものであり、高い精度で、且つ確実に脱炭精錬
の終点を推定することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
観点から鋭意研究を重ねた結果、下記手段により上記問
題を解決することができることがわかった。本発明の要
旨は次の通りである。
【0014】請求項1記載の脱炭精錬の終点判定方法
は、溶鋼をArガスで環流させるか、又は撹拌しながら
真空下又は大気圧下で前記溶鋼を精錬炉内で脱炭する脱
炭精錬において、下記工程(イ)〜工程(ヘ)を含み、
下記工程(ヘ)に記載の方法により脱炭精錬の終了時刻
を決定することにより、脱炭精錬の終点を精度よく判定
することに特徴を有するものである。ここで、工程
(イ)〜工程(ヘ)は、次の通りである。
【0015】工程(イ):前記脱炭精錬期間中、前記脱
炭中の溶鋼から当該溶鋼中の炭素濃度を分析するための
試料を経時的に採取し、そして当該各試料の炭素濃度を
分析する。
【0016】工程(ロ):前記脱炭精錬期間中に、前記
精錬炉内に供給される前記Arガス流量を経時的に測定
する。
【0017】工程(ハ):少なくとも、前記脱炭精錬開
始前の原料中の推定炭素濃度と、前記脱炭精錬の終点に
おける前記溶鋼の目標炭素濃度の設定値とを考慮して、
前記脱炭精錬の終了予定時刻を設定する。
【0018】工程(ニ):少なくとも、前記脱炭精錬の
終了予定時刻に近づいた時点以降においては、2分以下
の間隔で、前記工程(イ)記載の炭素濃度分析用試料を
採取し、当該試料の採取完了時点から2分以内に当該試
料の炭素濃度を分析する。
【0019】工程(ホ):少なくとも、前記工程(ニ)
における前記脱炭精錬の終了予定時刻に近づいた時点以
降においては、前記工程(ニ)における前記試料の採取
時点の間隔より短い時間間隔で、前記脱炭精錬により発
生する排ガスについて、それが含む成分の内少なくとも
Arガス、COガス及びCO2ガスの組成分析を経時的
に行ない、当該経時的組成分析結果と、前記工程(ロ)
で測定された前記Arガス流量の経時的測定値とを用
い、前記脱炭精錬時に前記溶鋼から除去されて当該排ガ
ス中に混入した炭素量を経時的に求める。
【0020】工程(ヘ):前記工程(ホ)において求め
られた前記排ガス中に混入した炭素量と前記溶鋼中炭素
の脱炭量との間には物質収支の均衡関係が成り立つもの
として、前記工程(ニ)において求められた前記溶鋼中
の炭素濃度の分析値に加算されるべき炭素濃度の内、当
該炭素量の物質収支均衡関係より得られた現時点に最も
近い過去時点における当該炭素濃度を加算し、こうして
得られた前記溶鋼中炭素濃度の推定値に基づき、前記脱
炭精錬の終了時刻を決定する。
【0021】請求項1において、上記の通り脱炭精錬の
終点判定方法を限定する理由とその作用・効果について
説明する。
【0022】脱炭精錬においては、溶鋼中の炭素は脱炭
されてCOガス及びCO2ガスとなり、排ガスに含まれ
て排出される。従って、この排ガス中のCOガス又はC
2ガス濃度を経時的に測定し、排ガス中に含まれる炭
素量を求めれば、炭素の収支から、溶鋼の脱炭量が求ま
るはずである。しかしながら、実際には、前述したよう
に、測定に伴う誤差の集積があり、排ガス中成分の測定
だけでは十分な精度で溶鋼中炭素量を把握することがで
きない。
【0023】そこで、溶鋼中炭素量が減少してきた精錬
過程後半の予定終点に近づいてからは、2分以内の間隔
で溶鋼試料を採取し、採取後2分以内で分析値を得る。
これによって、短時間先の溶鋼中炭素量を推定すること
ができ、測定に伴う誤差の累積が防がれ、推定の精度を
高めることができる。
【0024】また、排ガス中の炭素量は、COガス及び
CO2ガスの濃度と排ガス全量との積によって求められ
るが、排ガスは大量でしかも圧力変動が大きいので、そ
の全量を正確に測定することは困難である。このため、
導入量を正確に測定することができるArガスを基準に
したCOガス及びCO2ガスの濃度から排ガス中に含ま
れる炭素量を算出する。
【0025】工程(ニ)において、2分以下の間隔で炭
素濃度分析用試料を採取する時期を、脱炭精錬の終了予
定時刻に近づいた時点以降としたのは、当該時期は、下
記理由により一概に特定すべきでないからである。即
ち、個々の脱炭精錬設備の特性、精錬開始前の炭素濃度
や終点目標炭素濃度、送酸条件等の吹錬条件、生産工程
運用上の脱炭精錬設備の使用条件、その他分析能力等種
々の固有の条件により、生産性及びコスト的に最も有利
な操業ができることを勘案した上で、工程(ハ)の「脱
炭精錬の終了予定時刻」を設定し、また、炭素濃度分析
用試料の採取間隔を狭める時期を決める必要があるから
である。
【0026】請求項2記載の脱炭精錬の終点判定方法
は、請求項1記載の発明において、Arガスに既知量の
Heガスを加え、排ガス中のHe、N及びCの各元素の
濃度をICP−MAS分析により測定し、当該排ガス中
に含まれる当該Heガス量に対する当該COガス量及び
当該CO2ガス量の割合を求め、こうして求められた前
記COガス量及び前記CO2ガス量の前記Heガス量の
割合を用いて、前記工程(ホ)における前記脱炭精錬時
に前記溶鋼から除去されて当該排ガス中に混入した炭素
量を経時的に求めることに特徴を有するものである。
【0027】請求項2において、上記の通り脱炭精錬の
終点判定方法を限定する理由とその作用・効果について
説明する。
【0028】排ガス中の成分濃度をICP−MAS分析
により測定すると、全ての成分はICPで原子状態まで
解離し、その後に質量分析器で定量される。このため、
COガス及びCO2ガス中のCは質量数12のCとし
て、またN2ガスは質量数14のNとして、これらは明
確に分離して測定される。そして、ICP−MAS分析
では、大気のリークがあると、その分だけNの濃度が高
まるので、リークの状態を知ることができる。
【0029】ICPでは、Arプラズマ炎によって、成
分を原子状態まで解離するが、分析試料はArガスで希
釈された状態でこのrプラズマ炎を通過する。このた
め、Arを基準として炭素量を算出することができない
ので、既知量のHeガスを加え、これを基準物質として
用いる。
【0030】請求項3記載の脱炭精錬の終点判定方法
は、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記工
程(ニ)における炭素濃度の分析は、迅速高周波加熱燃
焼法により、当該分析用試料の鋼中炭素と、当該分析用
試料の表面に付着している汚染炭素とを分離して分析
し、こうして前記工程(ニ)における炭素濃度として、
前記鋼中炭素を測定することに特徴を有するものであ
る。
【0031】請求項3において、上記の通り脱炭精錬の
終点判定方法を限定する理由とその作用・効果について
説明する。
【0032】迅速高周波加熱燃焼法では、汚染炭素と分
離して鋼中炭素濃度を求めることができるので、分析精
度が高く、しかも迅速に分析結果が得られる。この分析
法を用いると、試料採取から60〜90秒後には溶鋼中
炭素濃度を把握することができるので、極めて短時間先
の溶鋼中炭素濃度を推定することになり、精度のよい終
点の判定を行なうことができる。
【0033】請求項4記載の脱炭精錬の終点判定方法
は、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記工
程(ニ)における炭素分析用試料を採取した後、高温状
態の当該試料を500℃以上に保持したまま、迅速高周
波加熱燃焼法により炭素濃度を分析することに特徴を有
するものである。
【0034】請求項4において、上記の通り高温状態の
試料を500℃以上に保持したまま、迅速高周波加熱燃
焼装置に装入すれば、試料表面に付着した汚染炭素を鋼
中炭素と分離するために行わなければならない、赤外線
吸収法における波形分離や、試料の事前加熱をしなくて
もよいので、分析時間を短縮することができるので、有
利である。本発明者等の実験によれば、波形分離法では
分析の正味所要時間が60〜80秒、事前加熱法では試
料の予備加熱に420℃で約5分、そして分析に30秒
を要した。
【0035】
【発明の実施の形態】図1に、この発明の実施に適した
脱炭精錬炉及び排ガス測定系の概略工程図を示す。脱炭
精錬炉1には酸素ガス供給装置2からO2ガスが、また
アルゴンガス供給装置3からArガスが供給される。脱
炭精錬炉1で発生したCOガス及びCO2ガス並びに脱
炭精錬炉1内の浴撹拌用に供給されたArガスは、排気
ダクト4を通ってエジェクタ5により排気される。排気
ダクト4の途中で分取される排ガスは分析器6に送ら
れ、COガス、CO2ガス及びArガス等の成分が分析
される。また、脱炭精錬炉1に供給されるO2ガス及び
Arガス、並びに分析器6に導入される排ガスの経路に
は、それぞれ、流量調節弁11と流量計12が設けら
れ、各ガスの流量制御と流量測定が行なわれる。
【0036】脱炭精錬では、溶鋼中の炭素は脱炭されて
COガス又はCO2ガスとなり、排ガスに含まれて排出
される。従って、溶鋼の脱炭反応により当該溶鋼から除
去される炭素量と、上記排ガス中に混入するCOガス及
びCO2ガスに含まれる炭素量とは収支が保たれなけれ
ばならない。
【0037】従って、炭素の汚染を無視すると、溶鋼量
がW(kg)、Arガスの単位時間流量がA(Nm3
min)のとき、分析計で測定されるCOガス及びCO
2ガスの濃度が%、Arガス濃度が%であれば、このと
きの脱炭速度d〔C〕/dtは、下記(1)式で表わさ
れる。
【0038】 d〔C〕/dt=(1/W)・(A/〔Ar〕)・ (12〔CO+CO2〕/22.4) --- (1) 実操業において、排ガス分析から〔CO+CO2〕/
〔Ar〕を求め、その経時変化を調べると、図2に示す
曲線が得られる。実線で示したグラフが、排ガス分析で
得られたもので、途中にPやQのような山が見られる。
このような山は、精錬の途中で、Arガスの供給量が変
更されたために生じたものである。脱炭速度は、鋼浴中
の酸素量、鋼浴温度及び鋼浴撹拌強度あるいは循環速度
等によって変化する。そして、上記撹拌強度や循環速度
はArガスの吹き込み量によって左右される。そのた
め、Arガスの吹込み量を増やして脱炭速度の低下を防
止するアクション等が取られる。そこで、上記のような
山や谷が表れる。
【0039】図2の点線で示したグラフは、ある時点で
精錬の終点を予測した場合であり、グラフG1はP0点以
降の〔CO+CO2〕/〔Ar〕を予測したものであ
り、また、グラフG2はQ0点以降の〔CO+CO2〕/
〔Ar〕を予測したものである。いずれのグラフにおい
ても、精錬終点近くでは、分析値から得られたグラフか
らはかけ離れている。これに対して、溶鋼から2分間隔
で試料を採取し、これを分析して溶鋼中の炭素濃度を調
べた例を、図3に示す。前述したO2ガスあるいはAr
ガスの量の変更に応じて、精錬開始からS点まで、S点
からT点まで、及びT点以降の三種の曲線からなること
がわかる。
【0040】低炭素領域での脱炭速度係数法のように、
ある程度の低炭素領域、例えばS0時点で溶鋼試料を採
取し、その分析値を得れば、その時点での溶鋼中炭素濃
度は、排ガスに混入する炭素の影響を受けないので、排
ガスの分析値から推定される量よりも正確である。しか
し、その後の脱炭量を低炭素領域の脱炭速度係数を用い
て算出すると、S点からT点まで、及びT点以降の二種
の曲線をある一つの曲線で推定することになり、実際の
炭素濃度からずれてくるはずである(但し、実際の炭素
濃度はわからない)。上記推定曲線を同図中の点線で示
す曲線とすると、この推定曲線は分析値に基づき描かれ
たた曲線(分析値曲線という)G3とR点で交叉する。
この交叉点の炭素濃度が「偶然」、目標の精錬終点時炭
素濃度であれば、このR点に対応する精錬経過時間を精
錬の終点とすれば、炭素濃度の推定値は分析値曲線で推
定される炭素濃度と一致する。しかし上記「偶然」の場
合を除けば、脱炭速度係数法により精錬終点時期を精度
よく推定することはできない。例えば、目標終点炭素濃
度が20ppmの場合には、炭素濃度がこれよりも高値
の終点炭素濃度が得られるし、また目標終点炭素濃度が
10ppmの場合には、炭素濃度がこれよりも低値の終
点炭素濃度が得られるけれども精錬時間が長くなり、生
産性を低下させる。
【0041】この発明では、2分以内の間隔で溶鋼試料
を採取し、採取後2分以内に分析値を得るというもので
あるから、精錬終了予定時刻の前2分以内における分析
値を知ることができる。しかも、この終点前2分以内の
間においても、排ガス中の炭素量は時間遅れなしに連続
的に得られるので、この炭素量を上記溶鋼試料採取後に
脱炭された炭素量とみなして、溶鋼試料採取時から現時
点までの累積炭素量を上記分析値から減じた値により、
現時点の溶鋼中炭素濃度を常に把握することができる。
【0042】更に、排ガス中の炭素量について検討する
と、溶鋼からのCOガスやCO2ガスの他に、Arガス
中の不純物炭素化合物、大気中のCO2ガスや有機化合
物の混入がある。これらの炭素化合物は、溶鋼からのC
OガスやCO2ガスに比べて量が少なく、通常は無視す
ることができるが、操業や設備異常時に大気中のリーク
量が桁外れに激増した場合などには、上記混入をチェッ
クする必要がある。
【0043】大気が大量にリークしたときには、排ガス
中のN2ガスが激増するので、排ガスのN成分を測定し
ていれば、その増加からチェックすることができる。し
かし、質量分析器では、それを測定する場合、COの質
量数(一価イオンの場合14、二価イオンの場合28)
とN、N2の質量数とが一致するので、COとCO2との
配分、COの一価と二価との配分を調べて、分離しなけ
れば得られない。
【0044】ところが、気体試料をICP(高周波誘導
結合プラズマ)に通すと、非常な高温に加熱され原子状
態に解離されるので、質量数が異なるNとCとは明確に
分離して測定することができる。しかしながら、このプ
ラズマはArプラズマ炎であり、これを安定に維持する
ためには、試料はArガスをキャリアとして、ほぼ常圧
でICPに通す必要がある。
【0045】このため、排ガスに一旦Arガスを加えて
これを昇圧する。その装置を図4に示す。Arガス供給
装置3からのArガスに、Heガス供給装置13から既
知量のHeガス3を混ぜて、脱炭精錬炉1に導入する。
Heガスは、必ずしも吹込み前のArガスに混合しなく
てもよく、例えば、脱炭精錬炉1内に別の導入口から導
入してもよく、あるいは排気ダクトの入口から導入して
もよい。しかし、吹込み前のArガスに混入しておけ
ば、溶鋼のリフトアップに利用でき、また、脱炭ガスの
最も均一に混合される。
【0046】排ガスは、排気ダクトの途中から真空ポン
プ14によって吸引され、混合室15に排気される。混
合室15には、キャリアガスボンベ16から高純度Ar
ガスが供給され、排ガス中成分はこの高純度Arガスに
よって運ばれ、ICP−MAS分析器17に導かれる。
ICP−MAS分析器17では、10秒程度の間隔で排
ガスの分析値を出力する。
【0047】炭素量は、導入されHeガス量を基準にし
て分析値から算出され、直前の分析値から刻々と差し引
かれる。これらの計算は数ミリ秒で行なわれるので、残
存炭素量をほぼ10秒間隔で捉えることができる。この
ため、10秒以内の精度で、終点時刻を判定するのに役
立つ。
【0048】次に、溶鋼中炭素を2分以内に得る方法に
ついて説明する。
【0049】迅速高周波加熱燃焼法では、1g程度の試
料をO2ガス気流中で高周波加熱して燃焼させる。発生
するCOガス及びCO2ガスには、鋼中の炭素と汚染炭
素とがある。試料を電気炉内で温度を限定し時間をかけ
て加熱すると、最初に試料表面に付着している狭義の汚
染炭素が抽出され、次いで試料表面に吸着している吸着
炭素が抽出され、最後に鋼中炭素が抽出される。
【0050】しかし、電気炉を用いて加熱する方法で
は、抽出に要する時間が5分程度ないしそれ以上かか
る。そこで、短時間で試料を昇温させることができる高
周加熱を用いたのが迅速高周波加熱燃焼法であり、狭義
の汚染炭素と吸着炭素との分離を犠牲にし、広義の汚染
炭素と鋼中炭素とを分離して測定する方法である。従っ
て、ここでは、汚染炭素の語を広義に用いるものとす
る。
【0051】但し、汚染炭素と鋼中炭素とを分離するた
めに、鋼試料1g当たりの表面積を4cm2以下とし、
助燃剤には銅を用いる必要がある。直径6mmで長さが
5mm程度のピン試料では、重量が約1gで表面積が
1.5cm2程度である。この寸法の試料を出力2.5
kWの高周波で加熱した場合の炭素の抽出曲線を、図5
に示す。図5によれば、加熱時間12秒程度で汚染炭素
の抽出ピークが現われ、そして加熱時間22秒程度で鋼
中炭素の抽出ピークが現われている。後者の抽出曲線の
山の面積から鋼中炭素濃度が求められ、測定は30秒以
内で終わる。但し、溶鋼試料の採取開始から高周波加熱
燃焼分析器に当該分析試料をセットするまでに約30秒
の時間がかかるので、採取開始から分析結果が得られる
までには60秒程度の時間がかかる。
【0052】溶鋼試料の採取は、内面が清浄な石英管を
用いて溶鋼を吸い上げ、これを水冷して石英管を砕き、
中の鋼ピン試料を取り出す。取り出された試料を所定長
さに切断し、分析試料とする。試料の切断及び重量測定
並びに搬送装置等、試料と接触するものは浄化してお
き、試料の汚染を防ぐ。
【0053】上記方法の他に、迅速且つ微量炭素域の鋼
の炭素分析方法として、レーザICP法がある。この方
法では、採取した溶鋼を固化して分析試料とし、Arガ
ス気流中で試料表面にレーザーを照射して気化させる。
気化した試料は冷却されて微粒子となり、そのままAr
ガス気流に乗ってICP分析器に運ばれる。ICP分析
器では、微粒子をプラズマ炎で励起して発する光を分光
し、分析する。
【0054】この方法でも、分析所要時間は、30〜4
0秒程度であり、溶鋼試料の採取開始から2分以内で分
析結果が得られる。そして、この方法では、炭素以外に
他の成分も同時に分析することができるが、反面、装置
が高周波加熱燃焼分析器よりも高価になり、また耐震設
置が必要になる。従って、振動を伴なう精錬炉の近くに
設置する場合には、高周波加熱燃焼分析器の方が適して
いる。
【0055】
【実施例】次に、この発明を、実施例によって更に詳細
に説明する。
【0056】図4に示した装置を用い、脱炭精錬炉1で
溶鋼の脱炭精錬を行ない、この発明の方法により精錬の
終点を判定した。即ち、溶鋼中のC濃度分析を上記実施
の形態で説明した高周波加熱燃焼法により行ない、一
方、排ガスの分析を上記実施の形態で説明したICP−
MAS分析によって行なった。なお、Heガスの脱炭精
錬炉1内への導入は、5Nl/minで、リフトアップ
用Arガスに混ぜて行なった。
【0057】溶鋼のC濃度分析は、内径6mmの石英管
で溶鋼を吸い上げ、スラグが混入する恐れのあるピンの
上部を避けて、長さ10mmを切り取り、秤量後、高周
波加熱燃焼分析器で炭素を分析した。溶鋼のC濃度分析
間隔は、精錬終点に近づくほど短くし、最短で60秒と
した。
【0058】一方、排ガスの分析におけるICP−MA
S分析では、質量数4、12及び14からそれぞれH
e、C及びN元素の強度を求め、Heを基準にしてその
強度比にHeガス流量を乗じて、各元素のモル量を算出
した。そしてCのモル量を重量に換算し、更に溶鋼中の
C濃度に換算した。得られた溶鋼中のC濃度換算値を、
上記溶鋼のC濃度分析のタイミングに応じ、次のように
その累積対象区間を溶鋼のC濃度分析のタイミング毎に
定めた。即ち、現時点の直前に行なわれた溶鋼分析試料
採取時点から現時点までの間に、排ガス分析出力(ほぼ
10秒間隔で出力された値)から得られた溶鋼中C濃度
への各換算値を累積する。こうして求められた溶鋼中の
C濃度への換算値の累積値を、現時点直前の溶鋼試料の
分析で得られた溶鋼中C濃度から減じて、現時点の約1
0秒前における溶鋼中C濃度を推定する。このようにし
て、溶鋼の脱炭精錬において、溶鋼のC濃度が低濃度領
域に入ってからは、高周波加熱燃焼法による溶鋼中C濃
度の直接分析値(〔C〕m)から、ICP−MAS分析
による排ガス中C量からの溶鋼中C濃度への換算値の所
定対象の累積C濃度(〔C〕a)を減じた値(溶鋼中C
濃度の10秒前推定値という)〔C〕bef.10s
を、約10秒間隔で求めた。そして、精錬終点に近づく
時期には、推定値〔C〕bef.10s を、約60秒
間隔で得た直接分析値〔C〕m 毎に、この値から、約
10秒間隔で求めた〔C〕aを減じた〔C〕m−〔C〕
aにより算出した。こうして、現時点の約10秒前にお
ける溶鋼のC濃度を経時的に推定した。
【0059】脱炭試験に供した鋼種は、A及びBの二種
類で下記の通りである。
【0060】鋼種Aは、精錬前のC濃度が0.4wt.%で
これを予定終点である精錬経過時間20分で、目標終点
C濃度0.00200wt.%まで脱炭し、鋼種Bは、精錬
前のC濃度が0.2wt.%でこれを予定終点である精錬経
過時間22分で、目標終点C濃度0.00100wt.%ま
で脱炭するための試験を行なった。なお、精錬中は、他
の成分の目標値も考慮して、炉に吹き込むO2ガスやA
rガス量の変更を再三行なった。
【0061】上記試験における脱炭精錬の終点判定の詳
細とその結果を、表1に示す。なお、比較のために、精
錬の予定終点の5分前の溶鋼分析値を基準に、この分析
値から排ガス分析で得られた脱炭量を減じた値で判定し
た場合についても併記する。
【0062】
【表1】 表1で、「排ガス中炭素の時点間積算量」とは、現在に
最も近い過去の炭素分析用溶鋼のサンプリング時点か
ら、次の炭素分析用溶鋼のサンプリング時点までの間の
排ガス中炭素量を積算し、溶鋼中C濃度に換算した値で
ある。
【0063】試験No.1を例にとり、本発明の方法を具
体的に説明する。予定終点が精錬経過時間(t)=20
分の5分前、即ち、t=15分で溶鋼を採取し(第一回
とする)、この時点の分析値0.00691wt.%を得
た。次に、2分後のt=17分で再び溶鋼を採取し(第
二回とする)、分析値0.00430wt.%を得た。この
2分間の排ガス中のC量を積算し、これを溶鋼中C濃度
に換算すると、0.00277wt.%であった。次に第三
回目に、t=19分で溶鋼をサンプリングし、C濃度分
析値は0.00262wt.%であった。この溶鋼中C濃度
分析値0.00262wt.%から、終点目標C濃度0.0
0200wt.%を減じた値0.00062wt.%に、「排ガ
ス中炭素の時点間積算量」が達した時点を脱炭精錬の終
点とした。こうして、試験No.1の終点は20分20秒
であった。なお、t=20分でも溶鋼をサンプリングし
たが、その分析結果が得られたのは、t=21分であ
り、終点判定の分析値としては用いられなかった。
【0064】試験No.2においては、精錬経過時間19
分までは、2分間隔で溶鋼分析を行なったが、それ以降
は1分間隔で分析し、21での溶鋼C濃度分析値と、そ
の後の排ガス分析値とにより、終点時期を決定した。な
お、溶鋼分析間隔をより短時間に変更する時期は、溶鋼
C分析値が終点目標C濃度の1.2〜2倍に達した時点
が適当である。
【0065】本発明の実施例では、鋼種Aの場合、最終
C濃度は、目標C濃度0.002000wt.%に対して
0.00197wt.%で、その差は0.00003wt.%と
非常に小さかった。また鋼種Bの場合も、最終C濃度は
目標C濃度0.00100wt.%に対して0.00099
wt.%であり、その差は0.00001wt.%と非常に小さ
かった。
【0066】これに対して、比較例では、最終C濃度
は、目標C濃度0.00200wt.%に対して、0.00
228wt.%と目標値を0.00028wt.%上回ってい
た。
【0067】なお、いずれの試験においても、排ガス中
のN濃度、He濃度の10分の1未満であり、終点近く
でのCOガスとCO2ガス濃度の1000分の1未満
で、大気のリークは問題にならなかった。
【0068】
【発明の効果】以上述べたように、この発明の方法によ
れば、排ガス分析に伴う誤差の蓄積を最低限に抑えるこ
とができ、また、炉温や酸素吹付け量、あるいは炉内へ
のArガス供給量の変更等、精錬条件の複雑な変化に影
響される脱炭速度を予め推定する必要がなく、精錬の終
点を高い精度で判定することができる。このようにし
て、鋼材の機械的性質を左右する炭素濃度を正確に制御
し、且つ余分な精錬による加熱資源の浪費を防ぐことを
可能とする。このような溶鋼の脱炭精錬の終点判定方法
を提供することがで、工業上有用な効果がもたらされ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施に適した脱炭精錬炉及び排ガス
測定系の概略工程図を示す。
【図2】脱炭精錬中の排ガス中の成分濃度比〔CO+C
2〕/〔Ar〕の経時変化の例を示すグラフである。
【図3】脱炭精錬中の溶鋼炭素濃度の経時変化の例を示
すグラフである。
【図4】本発明の脱炭精錬方法を実施するための設備フ
ローの一例であり、排ガスのICP−MAS分析を組み
込んだ測定系の概要を示す図である。
【図5】迅速高周波加熱燃焼法による炭素の信号強度曲
線例を示す図である。
【図6】溶鋼環流型の脱炭精錬炉の代表的例としてのR
H脱ガス精錬装置の概略縦断面図である。
【符号の説明】
1:脱炭精錬炉 2:酸素ガス供給装置 3:Arガス供給装置 4:排気ダクト 5:エジェクタ 6:分析器 11:流量調整弁 12:流量計 14:真空ポンプ 15:混合室 16:キャリアガスボンベ 17:ICP−MAS分析器。 21:溶鋼 22:吹込み管 22a:Arガス 23:上吹きランス 24:排気ダクト 25:真空槽 26:取鍋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 櫻井 栄司 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 佐藤 重臣 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 望月 正 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K013 AA07 BA02 CA02 CA04 CA08 CA12 CA15 CE01 CE04 CE05 CE08 CF13 DA03 DA06 DA12 DA17 FA02 FA12 FA13

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶鋼をArガスで環流させるか、又は撹
    拌しながら真空下又は大気圧下で前記溶鋼を精錬炉内で
    脱炭する脱炭精錬において、下記工程(イ)〜工程
    (ヘ)を含み、下記工程(ヘ)に記載の方法により前記
    脱炭精錬の終了時刻を決定することにより、前記脱炭精
    錬の終点を精度よく判定することを特徴とする、脱炭精
    錬の終点判定方法。 工程(イ):前記脱炭精錬期間中、前記脱炭中の溶鋼か
    ら当該溶鋼中の炭素濃度を分析するための試料を経時的
    に採取し、そして当該各試料の炭素濃度を分析する。 工程(ロ):前記脱炭精錬期間中に、前記精錬炉内に供
    給される前記Arガス流量を経時的に測定する。 工程(ハ):少なくとも、前記脱炭精錬開始前の原料中
    の推定炭素濃度と、前記脱炭精錬の終点における前記溶
    鋼の目標炭素濃度の設定値とを考慮して、前記脱炭精錬
    の終了予定時刻を設定する。 工程(ニ):少なくとも、前記脱炭精錬の終了予定時刻
    に近づいた時点以降においては、2分以下の間隔で、前
    記工程(イ)記載の炭素濃度分析用試料を採取し、当該
    試料の採取完了時点から2分以内に当該試料の炭素濃度
    を分析する。 工程(ホ):少なくとも、前記工程(ニ)における前記
    脱炭精錬の終了予定時刻に近づいた時点以降において
    は、前記工程(ニ)における前記試料の採取時点の間隔
    より短い時間間隔で、前記脱炭精錬により発生する排ガ
    スについて、それが含む成分の内少なくともArガス、
    COガス及びCO2ガスの組成分析を経時的に行ない、
    当該経時的組成分析結果と、前記工程(ロ)で測定され
    た前記Arガス流量の経時的測定値とを用い、前記脱炭
    精錬時に前記溶鋼から除去されて当該排ガス中に混入し
    た炭素量を経時的に求める。 工程(ヘ):前記工程(ホ)において求められた前記排
    ガス中に混入した炭素量と前記溶鋼中炭素の脱炭量との
    間には物質収支の均衡関係が成り立つものとして、前記
    工程(ニ)において求められた前記溶鋼中の炭素濃度の
    分析値に加算されるべき炭素濃度の内、当該炭素量の物
    質収支均衡関係より得られた現時点に最も近い過去時点
    における当該炭素濃度を加算し、こうして得られた前記
    溶鋼中炭素濃度の推定値に基づき、前記脱炭精錬の終了
    時刻を決定する。
  2. 【請求項2】 前記Arガスに既知量のHeガスを加
    え、前記排ガス中のHe、N及びCの各元素の濃度をI
    CP−MAS分析により測定し、当該排ガス中に含まれ
    る当該Heガス量に対する当該COガス量及び当該CO
    2ガス量の割合を求め、こうして求められた前記COガ
    ス量及び前記CO2ガス量の前記Heガス量に対する割
    合を用いて、前記工程(ホ)における前記脱炭精錬時に
    前記溶鋼から除去されて当該排ガス中に混入した炭素量
    を経時的に求めることを特徴とする、請求項1記載の脱
    炭精錬の終点判定方法。
  3. 【請求項3】 前記工程(ニ)における炭素濃度の分析
    は、迅速高周波加熱燃焼法により、当該分析用試料の鋼
    中炭素と、当該分析用試料の表面に付着している汚染炭
    素とを分離して分析し、こうして前記工程(ニ)におけ
    る炭素濃度として、前記鋼中炭素を測定することを特徴
    とする、請求項1又は請求項2記載の脱炭精錬の終点判
    定方法。
  4. 【請求項4】 前記工程(ニ)における炭素分析用試料
    を採取した後、高温状態の当該試料を500℃以上に保
    持したまま、迅速高周波加熱燃焼法により炭素濃度を分
    析することを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の
    脱炭精錬の終点判定方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008266751A (ja) * 2007-04-24 2008-11-06 Nippon Steel Corp 溶鋼の精錬方法
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