JP2734247B2 - 発光分光分析方法および装置 - Google Patents
発光分光分析方法および装置Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は発光分光分析方法および
装置に関し、より詳細には、鉄鋼業等で微量成分分析に
用いられる発光分光分析方法および装置に関する。
装置に関し、より詳細には、鉄鋼業等で微量成分分析に
用いられる発光分光分析方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼の高純度化・高品質化にともない、鋼
中の微量成分(C,S,P等)の分析が必要になり、特
にCについては、濃度30ppm以下の極低炭素鋼の量
産要求が高まるにつれて迅速かつ高精度の分析が要望さ
れている。発光分光分析方法は、上記要望を満たす迅速
な分析方法として一般に知られているが、分析精度面,
特に極低炭素鋼の定量分析に関しては、改善すべき余地
がある。例えば、C含有量19ppmの鋼試料の分析精
度は、20±5ppm(σ:2.5ppm)が現状であ
り、製鋼コストを大幅にダウンさせるには、前記分析精
度を20±2ppm(σ:1.0ppm)程度にまで高
める必要がある。しかし、電極と鋼試料間でスパーク放
電をし、該スパーク放電により気化励起された前記鋼試
料表面の原子が発する光スペクトルを分光分析する発光
分光分析においては、前記鋼試料温度の変化に伴って分
析元素のスペクトル線強度も変化していた。とりわけ、
Cの分析においては、鋼試料温度が1℃上昇すると分析
値が約0.2ppm増加していた(図4(a)参照)。
したがって、極低炭素鋼の前記高精度分析を実現するに
は、鋼試料温度を正確にコントロールしなければならな
かった。
中の微量成分(C,S,P等)の分析が必要になり、特
にCについては、濃度30ppm以下の極低炭素鋼の量
産要求が高まるにつれて迅速かつ高精度の分析が要望さ
れている。発光分光分析方法は、上記要望を満たす迅速
な分析方法として一般に知られているが、分析精度面,
特に極低炭素鋼の定量分析に関しては、改善すべき余地
がある。例えば、C含有量19ppmの鋼試料の分析精
度は、20±5ppm(σ:2.5ppm)が現状であ
り、製鋼コストを大幅にダウンさせるには、前記分析精
度を20±2ppm(σ:1.0ppm)程度にまで高
める必要がある。しかし、電極と鋼試料間でスパーク放
電をし、該スパーク放電により気化励起された前記鋼試
料表面の原子が発する光スペクトルを分光分析する発光
分光分析においては、前記鋼試料温度の変化に伴って分
析元素のスペクトル線強度も変化していた。とりわけ、
Cの分析においては、鋼試料温度が1℃上昇すると分析
値が約0.2ppm増加していた(図4(a)参照)。
したがって、極低炭素鋼の前記高精度分析を実現するに
は、鋼試料温度を正確にコントロールしなければならな
かった。
【0003】鋼試料温度を一定に保ち、分析精度を維持
する手段として、従来の技術では以下の方法が採られて
いた。 鋼試料の研磨後、該試料を保持体に保持させる前に
ホットプレート等に前記試料を載せて前記試料を加熱し
たり、空気を吹き付けるなどして前記試料温度の一定化
を図る方法。 鋼試料温度を測定し、予め求めてある発光強度また
は成分分析値と試料温度との関係式における分析値に補
正する方法(特開昭62ー220835号公報)。この
発明では、装置の放電部に埋め込んだ温度計の感温部に
より試料温度が測定され、該測定値がデータ処理装置ヘ
入力されるようになっており、該データ処理装置が発光
分光により得られた成分分析値を標準温度における分析
値に補正するようになっている。この時の試料温度は、
分析前および分析後に2回測定した平均値をとってい
る。 保持体に保持させた鋼試料を放電前に室温まで冷却
または加熱し、前記試料の温度が、設定した一定温度に
なったときに発光分光分析をする方法。
する手段として、従来の技術では以下の方法が採られて
いた。 鋼試料の研磨後、該試料を保持体に保持させる前に
ホットプレート等に前記試料を載せて前記試料を加熱し
たり、空気を吹き付けるなどして前記試料温度の一定化
を図る方法。 鋼試料温度を測定し、予め求めてある発光強度また
は成分分析値と試料温度との関係式における分析値に補
正する方法(特開昭62ー220835号公報)。この
発明では、装置の放電部に埋め込んだ温度計の感温部に
より試料温度が測定され、該測定値がデータ処理装置ヘ
入力されるようになっており、該データ処理装置が発光
分光により得られた成分分析値を標準温度における分析
値に補正するようになっている。この時の試料温度は、
分析前および分析後に2回測定した平均値をとってい
る。 保持体に保持させた鋼試料を放電前に室温まで冷却
または加熱し、前記試料の温度が、設定した一定温度に
なったときに発光分光分析をする方法。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の方
法では、外気温が変化したり、ホットプレートから試料
台に鋼試料をセットする間に該試料温度が変動すること
があり、分析精度の向上は困難であった。上記の方法
では、温度による補正は操作が煩雑で、また、分析値は
実測値ではなく演算により求められた間接的な値であ
り、誤差が生じやすくかつ経日変化も大きいという欠点
があった。上記の方法では、制御する温度範囲におい
て、発光強度/試料温度の勾配が大きく(Cの分析値で
0.2ppm/℃)、このため正確に温度コントロール
をしてやる必要があり、温度コントロールに時間を要す
るという課題があった。本発明は上記課題に鑑みなされ
たものであり、分析試料の温度制御に関する煩雑な作業
・操作を軽減することができ、かつ前記試料の温度変化
に伴う発光強度値の変動を押えることができる発光分光
分析方法および装置を提供することを目的としている。
法では、外気温が変化したり、ホットプレートから試料
台に鋼試料をセットする間に該試料温度が変動すること
があり、分析精度の向上は困難であった。上記の方法
では、温度による補正は操作が煩雑で、また、分析値は
実測値ではなく演算により求められた間接的な値であ
り、誤差が生じやすくかつ経日変化も大きいという欠点
があった。上記の方法では、制御する温度範囲におい
て、発光強度/試料温度の勾配が大きく(Cの分析値で
0.2ppm/℃)、このため正確に温度コントロール
をしてやる必要があり、温度コントロールに時間を要す
るという課題があった。本発明は上記課題に鑑みなされ
たものであり、分析試料の温度制御に関する煩雑な作業
・操作を軽減することができ、かつ前記試料の温度変化
に伴う発光強度値の変動を押えることができる発光分光
分析方法および装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係る発光分光分析方法は、試料台に載置した
分析用鋼試料(以下、分析試料と記す)の分析面と、該
分析面に対向配置された電極との間でスパーク放電さ
せ、発生したスペクトルを分光する発光分光分析方法に
おいて、100〜150℃の温度範囲に前記分析試料を
加熱して分析することを特徴としている。
に本発明に係る発光分光分析方法は、試料台に載置した
分析用鋼試料(以下、分析試料と記す)の分析面と、該
分析面に対向配置された電極との間でスパーク放電さ
せ、発生したスペクトルを分光する発光分光分析方法に
おいて、100〜150℃の温度範囲に前記分析試料を
加熱して分析することを特徴としている。
【0006】また上記目的を達成するために本発明に係
る発光分光分析装置は、試料台と該試料台に分析試料を
固定するための試料押えとを備えた、スパーク放電によ
る発光分光分析装置において、前記試料台および/また
は前記試料押えに加熱手段が配設されていることを特徴
としている。
る発光分光分析装置は、試料台と該試料台に分析試料を
固定するための試料押えとを備えた、スパーク放電によ
る発光分光分析装置において、前記試料台および/また
は前記試料押えに加熱手段が配設されていることを特徴
としている。
【0007】
【作用】上記した方法によれば、試料台に載置した分析
試料の分析面と、該分析面に対向配置された電極との間
でスパーク放電させ、発生したスペクトルを分光する発
光分光分析方法において、100〜150℃の温度範囲
に前記分析試料を加熱して分析するので、該分析方法を
用いれば、前記分析試料の温度制御に関する煩わしさが
軽減される。前記分析試料を加温してゆくと発光強度も
上昇してゆく傾向にあるが、前記分析試料温度が100
℃付近に達すると、前記分析試料の温度変化に対する前
記発光強度値の変化率が小さくなり、100ないし15
0℃の範囲ではほぼ一定強度値を示すようになる(図4
参照)。したがって、本発明に係る発光分光分析方法で
は、100ないし150℃という幅の広い温度範囲中に
前記試料温度を保持すれば良く、従来の技術(100℃
以下)の場合に必要であった精確な温度制御に関する煩
雑な作業・操作から開放される。
試料の分析面と、該分析面に対向配置された電極との間
でスパーク放電させ、発生したスペクトルを分光する発
光分光分析方法において、100〜150℃の温度範囲
に前記分析試料を加熱して分析するので、該分析方法を
用いれば、前記分析試料の温度制御に関する煩わしさが
軽減される。前記分析試料を加温してゆくと発光強度も
上昇してゆく傾向にあるが、前記分析試料温度が100
℃付近に達すると、前記分析試料の温度変化に対する前
記発光強度値の変化率が小さくなり、100ないし15
0℃の範囲ではほぼ一定強度値を示すようになる(図4
参照)。したがって、本発明に係る発光分光分析方法で
は、100ないし150℃という幅の広い温度範囲中に
前記試料温度を保持すれば良く、従来の技術(100℃
以下)の場合に必要であった精確な温度制御に関する煩
雑な作業・操作から開放される。
【0008】また、上記した構成によれば、試料台と該
試料台に分析試料を固定するための試料押えとを備え
た、スパーク放電による発光分光分析装置において、前
記試料台および/または前記試料押えに加熱手段が配設
されているので、前記分析試料が目的とする温度範囲に
まで容易に加熱され、また加熱手段が2つ配設されてい
る場合にはこれら加熱手段を2つ同時に使用すれば、前
記分析試料は上下両面から加熱されて目的とする上記温
度範囲(100ないし150℃)にまで素早く加温され
る。
試料台に分析試料を固定するための試料押えとを備え
た、スパーク放電による発光分光分析装置において、前
記試料台および/または前記試料押えに加熱手段が配設
されているので、前記分析試料が目的とする温度範囲に
まで容易に加熱され、また加熱手段が2つ配設されてい
る場合にはこれら加熱手段を2つ同時に使用すれば、前
記分析試料は上下両面から加熱されて目的とする上記温
度範囲(100ないし150℃)にまで素早く加温され
る。
【0009】
【実施例】以下、本発明に係る発光分光分析方法および
装置の実施例を図面に基づいて説明する。まず、図4に
本発明の出発点となった実験結果を示す。(a)はC発
光強度比と試料温度との関係を示したグラフであり、
(b)はS発光強度比と試料温度との関係を示したグラ
フであり、(C)はP発光強度比と試料温度との関係を
示したグラフである。図4において、縦軸は各元素のF
eの内標準線に対する発光強度比を示しており、横軸は
試料温度(℃)を示している。図4に示したように、1
00℃以下では、C,S,Pとも試料温度が上昇するに
つれて発光強度比も増加していることがわかる。各元素
の試料温度に対する発光強度比の増加率は、Cは0.2
ppm/℃,Sは0.072ppm/℃,Pは0.05
5ppm/℃であり、とりわけCの増加率が群を抜いて
高いことがわかる。しかし、試料温度が100ないし1
50℃の範囲にあれば、C,S,Pすべて安定した発光
強度比を示すようになる。本発明は、試料温度を上記安
定範囲(100℃から150℃)に保つことで分析精度
の向上を図ろうとするものであり、なかでも、100℃
以下で試料温度に対する発光強度比の増加率が著しく高
いCの定量分析に、本発明は優れた効果を発揮する。な
お、試料温度が150℃を越えると、試料分析面に酸化
皮膜が形成されて放電状態が悪化し、分析精度が劣化す
る。したがって、試料温度を150℃以上に設定するこ
とは、分析条件として適正ではない。
装置の実施例を図面に基づいて説明する。まず、図4に
本発明の出発点となった実験結果を示す。(a)はC発
光強度比と試料温度との関係を示したグラフであり、
(b)はS発光強度比と試料温度との関係を示したグラ
フであり、(C)はP発光強度比と試料温度との関係を
示したグラフである。図4において、縦軸は各元素のF
eの内標準線に対する発光強度比を示しており、横軸は
試料温度(℃)を示している。図4に示したように、1
00℃以下では、C,S,Pとも試料温度が上昇するに
つれて発光強度比も増加していることがわかる。各元素
の試料温度に対する発光強度比の増加率は、Cは0.2
ppm/℃,Sは0.072ppm/℃,Pは0.05
5ppm/℃であり、とりわけCの増加率が群を抜いて
高いことがわかる。しかし、試料温度が100ないし1
50℃の範囲にあれば、C,S,Pすべて安定した発光
強度比を示すようになる。本発明は、試料温度を上記安
定範囲(100℃から150℃)に保つことで分析精度
の向上を図ろうとするものであり、なかでも、100℃
以下で試料温度に対する発光強度比の増加率が著しく高
いCの定量分析に、本発明は優れた効果を発揮する。な
お、試料温度が150℃を越えると、試料分析面に酸化
皮膜が形成されて放電状態が悪化し、分析精度が劣化す
る。したがって、試料温度を150℃以上に設定するこ
とは、分析条件として適正ではない。
【0010】図1(a)は本実施例に係る発光分光分析
装置を示す概略図であり、(b)は本実施例に係る試料
の加熱手段とその周辺を示す概略図である。(a)図に
おいて、10は発光分光分析装置を示しており、発光分
光分析装置10を構成する発光スタンド11の端部が水
平面に対し斜め下方に突出形成されており、その突出部
上面に試料台8が配置され、試料台8の中央部には試料
孔8aが形成されている。試料台8の内側には試料台8
の内側に密着し、かつ試料孔8aの円周の一部を形成す
るように試料温度測定センサー4が配設されている。ま
た、試料台8の内側には、試料台8側に開口するArガ
ス導入路(図示せず)、試料孔8aと適宜の間隔をおい
て対向している電極1が設けられている。電極1は電源
2に接続されており、電源2は制御線を介してコンピュ
ータ3に接続されている。さらにコンピュータ3には温
度情報信号線を介して試料温度測定センサー4が接続さ
れている。試料台8の上面には、試料孔8aを閉じるよ
うに試料台8に密着して分析試料7が配置されている。
そして、分析試料7と適宜の間隔をおいて試料押え5が
配設されており、試料押え5の先端部には加熱手段6が
設けられている。また、発光スタンド11の試料台8が
設けられているのと反対側の端部には、集光レンズ9が
配設されている。
装置を示す概略図であり、(b)は本実施例に係る試料
の加熱手段とその周辺を示す概略図である。(a)図に
おいて、10は発光分光分析装置を示しており、発光分
光分析装置10を構成する発光スタンド11の端部が水
平面に対し斜め下方に突出形成されており、その突出部
上面に試料台8が配置され、試料台8の中央部には試料
孔8aが形成されている。試料台8の内側には試料台8
の内側に密着し、かつ試料孔8aの円周の一部を形成す
るように試料温度測定センサー4が配設されている。ま
た、試料台8の内側には、試料台8側に開口するArガ
ス導入路(図示せず)、試料孔8aと適宜の間隔をおい
て対向している電極1が設けられている。電極1は電源
2に接続されており、電源2は制御線を介してコンピュ
ータ3に接続されている。さらにコンピュータ3には温
度情報信号線を介して試料温度測定センサー4が接続さ
れている。試料台8の上面には、試料孔8aを閉じるよ
うに試料台8に密着して分析試料7が配置されている。
そして、分析試料7と適宜の間隔をおいて試料押え5が
配設されており、試料押え5の先端部には加熱手段6が
設けられている。また、発光スタンド11の試料台8が
設けられているのと反対側の端部には、集光レンズ9が
配設されている。
【0011】(b)図は本実施例に係る試料の加熱手段
とその周辺を示す概略図であり、加熱手段は試料台8の
内部および試料押え5の先端部の2か所に設けられてい
る。試料台8の内部には、ニクロム線等の発熱体である
加熱手段8bが試料台8の同心円状に埋め込まれてい
る。試料台8の上方には、試料孔8aと対向して適宜の
間隔を置いた位置に試料押え5が配設されており、試料
押え5の先端部にもニクロム線等の発熱体である加熱手
段6が配設されている。なお、分析試料7との接触面と
なる加熱手段6の先端部は、平面形状に形成されてお
り、分析試料7と広い面積で密着するようになってい
る。
とその周辺を示す概略図であり、加熱手段は試料台8の
内部および試料押え5の先端部の2か所に設けられてい
る。試料台8の内部には、ニクロム線等の発熱体である
加熱手段8bが試料台8の同心円状に埋め込まれてい
る。試料台8の上方には、試料孔8aと対向して適宜の
間隔を置いた位置に試料押え5が配設されており、試料
押え5の先端部にもニクロム線等の発熱体である加熱手
段6が配設されている。なお、分析試料7との接触面と
なる加熱手段6の先端部は、平面形状に形成されてお
り、分析試料7と広い面積で密着するようになってい
る。
【0012】以上のように構成された発光分光分析装置
は、以下のように動作する。分析試料7が試料穴8aを
閉じるように試料台8に装着されると、試料押え5が下
降して分析試料7を押え込む。上記のように分析試料7
が試料台8にセットされると、分析試料7は加熱手段6
および加熱手段8bにより上下両面から加温される。加
熱手段6、8bによる分析試料7の温度上昇は試料温度
測定センサー4で監視され、試料温度測定センサー4に
より分析試料7の温度が100℃以上になるのが感知さ
れると、該感知を示す信号がコンピュータ3に送られ
る。該信号を受け取るとコンピュータ3は、電源2のス
イッチをオンにして電極1に通電し、電極1と分析試料
7との間で放電させる。この時の放電はトリプルコンバ
インドスパーク放電で行なわれる。なお、分析試料7の
分析面は、試料表面の研磨法として60番(メッシュ)
のAl2O3研磨エンドレスベルトを用いたベルター研
磨により処理されている。また、Arガス導入路(図示
せず)を通じて試料台8側に供給されるArガス(スパ
ッタガス)としては、ガスクリーン(不純ガス除去)・
ドライカラム(水分除去)を経由させた高純度のものを
用いている。
は、以下のように動作する。分析試料7が試料穴8aを
閉じるように試料台8に装着されると、試料押え5が下
降して分析試料7を押え込む。上記のように分析試料7
が試料台8にセットされると、分析試料7は加熱手段6
および加熱手段8bにより上下両面から加温される。加
熱手段6、8bによる分析試料7の温度上昇は試料温度
測定センサー4で監視され、試料温度測定センサー4に
より分析試料7の温度が100℃以上になるのが感知さ
れると、該感知を示す信号がコンピュータ3に送られ
る。該信号を受け取るとコンピュータ3は、電源2のス
イッチをオンにして電極1に通電し、電極1と分析試料
7との間で放電させる。この時の放電はトリプルコンバ
インドスパーク放電で行なわれる。なお、分析試料7の
分析面は、試料表面の研磨法として60番(メッシュ)
のAl2O3研磨エンドレスベルトを用いたベルター研
磨により処理されている。また、Arガス導入路(図示
せず)を通じて試料台8側に供給されるArガス(スパ
ッタガス)としては、ガスクリーン(不純ガス除去)・
ドライカラム(水分除去)を経由させた高純度のものを
用いている。
【0013】図2はトリプルコンバインドスパーク放電
の電流波形図であり、横軸に時間、縦軸に電流値をとっ
ている。トリプルコンバインドスパーク放電では初めに
ハイパワースパーク放電を15μs間行ない、次にスパ
ーク放電を20μs間行ない、最後にアークライク放電
を120μs間行なう。測光はスパーク放電のときに行
なわれる。放電により生じた発光は、集光レンズ9によ
り集光され、分光器(図示せず)に送られてスペクトル
線を選択され、測光器(図示せず)により測光されてデ
ータ処理装置(図示せず)により成分分析値が演算され
る。そして、分析が終了すると、試料押え5が上昇して
分析試料7が取りだされる。
の電流波形図であり、横軸に時間、縦軸に電流値をとっ
ている。トリプルコンバインドスパーク放電では初めに
ハイパワースパーク放電を15μs間行ない、次にスパ
ーク放電を20μs間行ない、最後にアークライク放電
を120μs間行なう。測光はスパーク放電のときに行
なわれる。放電により生じた発光は、集光レンズ9によ
り集光され、分光器(図示せず)に送られてスペクトル
線を選択され、測光器(図示せず)により測光されてデ
ータ処理装置(図示せず)により成分分析値が演算され
る。そして、分析が終了すると、試料押え5が上昇して
分析試料7が取りだされる。
【0014】Cの分析を行なう場合、Cのスペクトル線
(分析線)として165.8nmを選択し、Feの内標
準線として287.2nmを選択する。測光は時間分解
測光法を用いて実施し、トリプルコンバインドスパーク
放電のスパーク放電におけるC165.8nmとFe2
87.2nmとの発光強度比をPDA(PulseーH
eight Distribution Analys
is)処理し、該処理されたパルス分布の中央値を測定
強度として求めた。このとき予備放電パルス数を700
パルスとし、PDA処理パルス数を1500パルスとし
た。
(分析線)として165.8nmを選択し、Feの内標
準線として287.2nmを選択する。測光は時間分解
測光法を用いて実施し、トリプルコンバインドスパーク
放電のスパーク放電におけるC165.8nmとFe2
87.2nmとの発光強度比をPDA(PulseーH
eight Distribution Analys
is)処理し、該処理されたパルス分布の中央値を測定
強度として求めた。このとき予備放電パルス数を700
パルスとし、PDA処理パルス数を1500パルスとし
た。
【0015】図3に、C含有量19ppmの試料につい
て、本実施例の方法および従来の方法によりC分析値を
求めた結果のグラフを示す。図3(a)は本実施例によ
る場合、図3(b)は従来の方法による場合を示してい
る。縦軸にはC分析値(ppm)、横軸には分析回数を
示してある。(a),(b)とも分析回数は80回であ
り、(a)は本実施例の方法により分析試料を100か
ら150℃の範囲に温度制御して測定した場合で、
(b)は従来の方法つまり分析試料の温度制御をせずに
測定した場合である。図3(a)に示した本実施例の方
法および図3(b)に示した従来の方法による分析精度
を求めると、それぞれσ=0.90ppm、σ=3.6
ppmであり、本実施例の方法による分析精度が著しく
高いことがわかる。
て、本実施例の方法および従来の方法によりC分析値を
求めた結果のグラフを示す。図3(a)は本実施例によ
る場合、図3(b)は従来の方法による場合を示してい
る。縦軸にはC分析値(ppm)、横軸には分析回数を
示してある。(a),(b)とも分析回数は80回であ
り、(a)は本実施例の方法により分析試料を100か
ら150℃の範囲に温度制御して測定した場合で、
(b)は従来の方法つまり分析試料の温度制御をせずに
測定した場合である。図3(a)に示した本実施例の方
法および図3(b)に示した従来の方法による分析精度
を求めると、それぞれσ=0.90ppm、σ=3.6
ppmであり、本実施例の方法による分析精度が著しく
高いことがわかる。
【0016】以上述べたように、本実施例に係る発光分
光分析方法および装置を用いれば、加熱手段6、8bが
発光分光分析装置10自体に組み込まれ、かつ分析試料
7の温度を100ないし150℃という余裕のある範囲
に維持すればよいので、分析試料7の温度制御にまつわ
る煩雑な作業・操作を軽減することができる。また、前
記温度範囲ではC,S,P等の発光強度比が安定してい
るので、本実施例に係る方法および装置を使用すれば低
濃度域で高精度分析を行なうことができる。なお試料の
加熱手段6、8bに関しては、本実施例で用いた手段に
限定されるものではなく、分析試料を100ないし15
0℃の範囲に容易に加温できる手段であればよい。
光分析方法および装置を用いれば、加熱手段6、8bが
発光分光分析装置10自体に組み込まれ、かつ分析試料
7の温度を100ないし150℃という余裕のある範囲
に維持すればよいので、分析試料7の温度制御にまつわ
る煩雑な作業・操作を軽減することができる。また、前
記温度範囲ではC,S,P等の発光強度比が安定してい
るので、本実施例に係る方法および装置を使用すれば低
濃度域で高精度分析を行なうことができる。なお試料の
加熱手段6、8bに関しては、本実施例で用いた手段に
限定されるものではなく、分析試料を100ないし15
0℃の範囲に容易に加温できる手段であればよい。
【0017】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係る発光
分光分析方法にあっては、試料台に載置した分析試料の
分析面と、該分析面に対向配置された電極との間で放電
させ、発生したスペクトルを分光する発光分光分析方法
において、温度に対する発光強度変化が最小となる温度
範囲に前記分析試料を加熱して分析するので、前記分析
試料の温度を100ないし150℃という余裕のある範
囲に維持すれば良く、従来のようにクリティカルな温度
制御にまつわる煩雑な作業・操作から開放される。ま
た、上記温度範囲では、C,P,S等の発光強度比(分
析精度)がほぼ一定値に安定しているので、低濃度域に
おける定量分析で、従来の方法では得られなかったよう
な高精度分析を行なうことができる。
分光分析方法にあっては、試料台に載置した分析試料の
分析面と、該分析面に対向配置された電極との間で放電
させ、発生したスペクトルを分光する発光分光分析方法
において、温度に対する発光強度変化が最小となる温度
範囲に前記分析試料を加熱して分析するので、前記分析
試料の温度を100ないし150℃という余裕のある範
囲に維持すれば良く、従来のようにクリティカルな温度
制御にまつわる煩雑な作業・操作から開放される。ま
た、上記温度範囲では、C,P,S等の発光強度比(分
析精度)がほぼ一定値に安定しているので、低濃度域に
おける定量分析で、従来の方法では得られなかったよう
な高精度分析を行なうことができる。
【0018】また本発明に係る発光分光分析装置にあっ
ては、試料台と該試料台に分析試料を固定するための試
料押えとを備えた発光分光分析装置において、前記試料
台および/または前記試料押えに加熱手段が配設されて
いるので、上記本発明に係る方法を容易に実施すること
ができ、分析試料の温度制御に要する作業・操作の手間
を軽減することができる。また、前記試料台と前記試料
押えとに前記加熱手段が配設されている場合には、これ
ら2つの加熱手段を同時に用いれば、分析試料を目的温
度範囲(100ないし150℃)まで素早く加温するこ
とができる。
ては、試料台と該試料台に分析試料を固定するための試
料押えとを備えた発光分光分析装置において、前記試料
台および/または前記試料押えに加熱手段が配設されて
いるので、上記本発明に係る方法を容易に実施すること
ができ、分析試料の温度制御に要する作業・操作の手間
を軽減することができる。また、前記試料台と前記試料
押えとに前記加熱手段が配設されている場合には、これ
ら2つの加熱手段を同時に用いれば、分析試料を目的温
度範囲(100ないし150℃)まで素早く加温するこ
とができる。
【0019】
【図1】(a)は本発明に係る発光分光分析装置の一実
施例を示す概略図であり、(b)は実施例に係る加熱手
段とその周辺を示した概略図である。
施例を示す概略図であり、(b)は実施例に係る加熱手
段とその周辺を示した概略図である。
【図2】トリプルコンバインドスパーク放電の電流波形
図である。
図である。
【図3】C含有量19ppmの試料について、実施例の
方法および従来の方法で求めたC分析値と分析回数との
関係を示したグラフである。(a)は本実施例の方法に
より、(b)は従来の方法により求めたものである。
方法および従来の方法で求めたC分析値と分析回数との
関係を示したグラフである。(a)は本実施例の方法に
より、(b)は従来の方法により求めたものである。
【図4】C、S、Pそれぞれについて発光強度比と試料
温度との関係を示したグラフである。(a)はC発光強
度比と試料温度との関係を、(b)はS発光強度比と試
料温度との関係を、(c)はP発光強度比と試料温度と
の関係を示している。
温度との関係を示したグラフである。(a)はC発光強
度比と試料温度との関係を、(b)はS発光強度比と試
料温度との関係を、(c)はP発光強度比と試料温度と
の関係を示している。
1 電極 4 試料温度測定センサー 5 試料押え 6 加熱手段 7 分析試料 8 試料台 8b 加熱手段 10 発光分光分析装置
Claims (2)
- 【請求項1】 試料台に載置した分析用鋼試料(以下、
分析試料と記す)の分析面と、該分析面に対向配置され
た電極との間でスパーク放電させ、発生したスペクトル
を分光する発光分光分析方法において、100〜150
℃の温度範囲に前記分析試料を加熱して分析することを
特徴とする発光分光分析方法。 - 【請求項2】 試料台と該試料台に分析試料を固定する
ための試料押えとを備えた、スパーク放電による発光分
光分析装置において、前記試料台および/または前記試
料押えに加熱手段が配設されていることを特徴とする発
光分光分析装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3275376A JP2734247B2 (ja) | 1991-10-23 | 1991-10-23 | 発光分光分析方法および装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3275376A JP2734247B2 (ja) | 1991-10-23 | 1991-10-23 | 発光分光分析方法および装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05113401A JPH05113401A (ja) | 1993-05-07 |
JP2734247B2 true JP2734247B2 (ja) | 1998-03-30 |
Family
ID=17554624
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3275376A Expired - Lifetime JP2734247B2 (ja) | 1991-10-23 | 1991-10-23 | 発光分光分析方法および装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2734247B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07318495A (ja) * | 1994-05-26 | 1995-12-08 | Tostem Corp | 発光分光分析装置用試料自動回転装置 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58100674A (ja) * | 1981-12-08 | 1983-06-15 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 真空処理装置 |
-
1991
- 1991-10-23 JP JP3275376A patent/JP2734247B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05113401A (ja) | 1993-05-07 |
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