JPH0810974B2 - 車両用交流発電機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、自動車など車両のエンジンに駆動される
車両用交流発電機に関し、特に冷却の改良にかかわる。

〔従来の技術〕

第３図は例えば特開昭62−178137号公報に示された、
従来の車両用交流発電機の断面図である。図において、
（１）は回転軸で、プーリ（２）が固着されている。
（３）は回転子で、次のように構成されている。（４）
は回転軸（１）に固着された一方の磁極鉄心で、複数の
磁極爪部（4a）が円周方向に対し間隔をあけて出されて
いる。（５）は磁極爪部（4a）の内周に固着された非磁
性の支持環、（６）はこの支持環に固着された他方の磁
極鉄心で、複数の磁極爪部（6a）が円周方向に間隔をあ
け、上記磁極爪部（4a）とは交互に出されている。

（７）は磁極鉄心（４）のボス部の外円周部及び磁極
鉄心（６）の内円周部に、それぞれエアギヤツプを介し
配設された固定の励磁側鉄心、（８）はこの鉄心（７）
に保持された励磁コイル、（９）は固定子鉄心で、スロ
ツトに固定子コイル（10）を保持している。（11）は軸
受（14）を介し回転軸（１）を支持し、かつ、固定子鉄
心（９）を固着する前ブラケツトで、冷却風の入口穴
（11a）及び出口穴（11b）が設けられている。（12）は
前ブラケツト（11）に締付けボルト（図示は略す）によ
り結合された後ブラケツトで、励磁側鉄心（７）を固着
するとともに、軸受（15）を介し回転軸（１）を支持し
ている。前ブラケツト（11）と後ブラケツト（12）間に
はＯリング（18）がはめられ、液密に封止している。
（16）は固定子コイル（10）の後側コイル端部を囲う金
属囲い体で、良熱伝導の金属材からなり、コイル端との
間に絶縁充てん材（17）が充てんされ、固定子鉄心
（９）に液密に固着されている。後ブラケツト（12）に
設けられた環状溝（12a）に上記囲い体（16）の円筒状
突起（16a）をはめ込み、充てんされてある粘性状のシ
リコン系などのガスケツト（19）により液密封止してい
る。

後ブラケツト（12）には冷却液の流入管（13）及び流
出管（図示は略す）が設けられ、各々には流入ホース
（13a）、流出ホースが液密に結合されている。後ブラ
ケツト（12）の内円周部と囲い体（16）の外円周部との
間に環状の流通路（23a）が形成され、流入管（13）か
ら入つた冷却液が流通路（23a）を矢印のように、流通
し、流出管から流出されるようにしている。

（20）は良熱伝導金属材からなり後ブラケツト（12）
に液密に取付けられた冷却カバーで、双方間に冷却液の
分岐流通路（23b）が形成されており、流入管（13）か
ら入つた冷却液が後ブラケツト（12）の分岐穴（12c）
から分岐されて流通し、後ブラケツト（12）の戻し穴
（図示は略す）から流通路（23a）の流出側に合流して
流出管から流出されるようにしている。

（21）は固定子コイル（11）に誘起された交流電圧に
よる出力電流を直流にする整流器で、ヒートシンク（21
a）を介し冷却カバー（20）に取付けられている。（2
2）は発電機電圧を検出し励磁電流を制御し、端子電圧
を所定に調整する電圧調整器で、ヒートシンク（22a）
を介し冷却カバー（20）に取付けられている。（24）は
後ブラケツト（12）に取付けられた保護カバーである。

次に、（25）は回転子（３）の磁極鉄心（４）に取付
けられたフアンで、前ブラケツト（11）の取入穴（11
a）から吸入した冷却風を固定子コイル（10）の前側コ
イル端部に吹付けて冷却し、吐出穴（11b）から排出す
る。

上記従来の発電機の冷却作用は、次のようになる。車
両のエンジンからベルト手段を介し回転軸（１）が回転
され、フアン（25）による冷却風の流通で、固定子コイ
ル（10）の前側コイル端部及び固定子鉄心（９）を冷却
する。

一方、エンジンの低温の冷却液の一部が分流され、流
入ホース（13a）を通り流入管（13）から流入され、流
通路（23a）を流通する冷却液による熱交換で、固定子
コイル（10）の後側コイル端部が冷却される。さらに分
岐流通路（23b）を流通する冷却液による熱交換で、励
磁側鉄心（７）を介する励磁コイル（８）、軸受（1
5）、整流器（21）及び電圧調整器（22）が冷却され、
冷却液は流出管、流出ホースを通り再びエンジンの冷却
液循環系路にもどされる。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記のような従来の車両用交流発電機では、エンジン
の冷却液の一部を上記従来の発電機の流通路（23a）に
流入させるには、流入ホース（13a）をエンジンと発電
機の流入管（13）の間に配設しなくてはならず、同様に
流出ホースも配設しなければならない。また発電機の後
ブラケツトの外周に流入管（13）及び流出管のような突
出部分を設けなければならず、発電機のエンジン装着レ
イアウト上、他の補機類またはエンジンブロツクと干渉
し、装着困難になるという問題点があつた。

この発明はこのような問題点を解決するためになされ
たもので、流入ホース及び流出ホースを用いずにエンジ
ンの冷却液を発電機の流通路に流入させ、再びエンジン
に流出させるようにして、配管手段を容易にすると共に
装着スペースが小さくて良いようにした車両用交流発電
機を得ることを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

この発明にかかわる車両用交流発電機は、後ブラケッ
トに流通路の流入部と流出部とを各々一体に設け、これ
ら流入部と流出部を、エンジンブロックに形成された冷
却液循環系路の流入流通路と流出流通路とに各々直接接
続して液密に連通する如く構成したものである。

〔作用〕

この発明においては、流入ホース及び流出ホースが省
け、配管が容易になると共に装着スペースが小さくな
る。また、流入ホース及び流出ホースによる冷却液の圧
力損失が無くなり、冷却液の流入流量が増加し冷却効果
が促進される。

〔発明の実施例〕

第１図及び第２図は、この発明による車両用交流発電
機の一実施例を示す縦断面図及び保護カバーを外し冷却
カバーの一半を破断して示す側面図であり、（１）〜
（10），（14），（15），（21），（22），（25），
（4a），（6a），（21a），（22a）は上記従来装置と同
一又は相当するものである。（31）は軸受（14）を介し
回転軸（１）を支持し、かつ、固定子鉄心（９）を固着
する前ブラケツトで、冷却風の入口穴（31a）及び出口
穴（31b）が設けられている。（32）はこの前ブラケツ
ト（31）に締付けボルト（図示は略す）を介し結合され
た後ブラケツトで、軸受（15）を介し回転軸（１）を支
持し、かつ、励磁側鉄心（７）をボルト（33）により固
着している。後ブラケツト（32）の内側には固定子コイ
ル（10）の後側コイル端部を囲う環状囲い溝（32a）が
設けられており、双方のすき間に良熱伝導材からなる絶
縁充てん材（例えばシリコンとアルミナ粉末の混合材）
（34）を充てんしている。（35）は良熱伝導金属材から
なり、後ブラケツト（32）の外端にボルト（36）により
液密に取付けられた冷却カバーで、双方の接合面にはパ
ツキン又は密封用塗布剤（いづれも図示は略す）を介在
させて封止している。後ブラケツト（32）には冷却液の
流入部である流入管（38）と流出部である流出管（39）
とがそれぞれ一体形成により設けられ、エンジンの冷却
液循環系路（50）と連通する、エンジンブロツク側に設
けられた流入流通路（41）、流出流通路（42）と流入管
（38），流出管（39）とが各々パツキン又はＯリング等
のシール材を介して液密に連通されている。ブラケツト
（32）の外端部には冷却カバー（35）との間に冷却液の
流通路（37）が形成されており、一端側は流入管（38）
に連通し、他端側は流出管（39）に連通している。

上記一実施例の発電機の冷却作用は、次のようにな
る。車両のエンジンからベルト手段を介し回転軸（１）
が回転され、フアン（25）による冷却風で固定子コイル
（10）の前コイル端部及び固定子鉄心（９）を冷却す
る。

一方、エンジンの冷却液循環系路（50）から低温の冷
却液が一部分流され、流入流通路（41）から直接流入管
（38）に入つた冷却液は、流通路（37）を矢印のように
流通し、後ブラケツト（32）及び冷却カバー（35）と熱
交換し、流出管（39）から流出流通路（42）を通つてエ
ンジンの冷却液循環系路（50）に再び流出される。

これにより、後ブラケツト（32）側では、絶縁充てん
材（34）を介し固定子コイル（10）と、励磁側鉄心
（７）を介し励磁コイル（８）と、軸受（15）とが冷却
される。また、冷却カバー（35）側では、整流器（21）
と電圧調整器（22）とが冷却される。

〔発明の効果〕

以上のように、この発明によれば、後ブラケットに流
通路の流入部と流出部とを各々一体に設け、これら流入
部と流出部を、エンジンブロックに形成された冷却液循
環系路の流入流通路と流出流通路とに各々直接接続して
液密に連通する如く構成したので、流入ホース及び流出
ホースが省け配管が容易になると共に装着スペースが小
さくて良く、また流入ホース及び流出ホースによる冷却
液の圧力損失が無くなり冷却液の流入流量が増加し冷却
効果が促進されるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明による車両用交流発電機の縦断面図、
第２図は第１図の発電機を保護カバーは外し冷却カバー
は一半分を破断して示す側面図、第３図は従来の交流発
電機の縦断面図である。 （１）……回転軸、（３）……回転子、（４）……磁極
鉄心、（８）……励磁コイル、（９）……固定子鉄心、
（10）……固定子コイル、（21）……整流器、（22）…
…電圧調整器、（25）……フアン、（31）……前ブラケ
ツト、（32）……後ブラケツト、（32a）……環状囲い
溝、（34）……絶縁充てん材、（35）……冷却カバー、
（37）……流通路、（41）……流入流通路、（42）……
流出流通路、（50）……エンジンの冷却液循環系路、
（51）……エンジンブロツク。 なお、図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】回転軸に固着され励磁コイルにより励磁さ
   れる回転子磁極鉄心と、この磁極鉄心を囲い固定子コイ
   ルが装着された固定子鉄心と、この固定子鉄心を支持す
   るとともに、それぞれ軸受を介し上記回転軸を支持する
   前ブラケット及び後ブラケットと、上記磁極鉄心の前端
   部に取付けられ上記前ブラケット内に冷却風を流通させ
   るファンと、整流器及び電圧調整器と、良熱伝導金属材
   からなり、上記後ブラケットの後端に液密に取付けら
   れ、外面に上記整流器と電圧調整器が取付けられた冷却
   カバーとを備え、上記後ブラケットの後端部には上記冷
   却カバーとの間に、外部からの冷却液が流通される流通
   路を設けた車両用交流発電機において、上記後ブラケッ
   トに、上記流通路の流入部と流出部とを各々一体に設
   け、これら流入部と流出部を、エンジンブロックに形成
   された冷却液循環系路の流入流通路と流出流通路とに各
   々直接接続して液密に連通する如く構成したことを特徴
   とする車両用交流発電機。