JPH0467430B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、自動車など車両の機関に駆動され
る車両用交流発電機に関し、特に冷却の改良にか
かわる。

〔従来の技術〕

従来の車両用交流発電機は第４図に断面図で示
すようになつていた。１は回転軸で、プーリ２が
固着されている。３は回転軸１に固着された回転
子で、次のように構成されている。４は回転子鉄
心、５は一方の磁極鉄心で、複数の磁極爪部５ａ
が円周方向に対し間隔をあけて出されている。６
は磁極爪部５ａの内周に固着された非磁性の支持
環、７はこの支持環６に固着された他方磁極鉄心
で、複数の磁極爪部７ａが円周方向に対し間隔を
あけ、上記磁極爪部５ａとは交互に出されてい
る。

８は回転子鉄心４及び他方の磁極鉄心７にエア
ギヤツプを介し配設された固定の励磁側鉄心、９
はこの鉄心８に保持された励磁コイル、１０は固
定子鉄心で、スロツトに固定子コイル１１を保持
している。１２は軸受１４を介し回転軸１を支持
し、かつ、固定子鉄心１０を結合支持する前ブラ
ケツトで、冷却風の出口穴１２ａが設けられてい
る。１３は固定子鉄心１０を結合支持する後ブラ
ケツトで、軸受１５を介し回転軸１を支持すると
ともに、鉄心８を固着支持しており、冷却風の入
口穴１３ａが設けられている。１６は固定子コイ
ル１１による交流電力を直流電力に変換する整流
器、１７は発電機電圧を検出し励磁電流を制御
し、端子電圧を所定に調整する電圧調整器、１８
は回転軸１に固定されたフアンである。

上記従来装置において、車両の機関の回転によ
りベルトを介し回転軸１が回転される。これによ
り、固定子コイル１１に誘起された交流電圧は電
圧調整器１７により所定に調整され、調整された
交流電圧が整流器１６により整流され、この直流
電圧が、整流器１６から接続線（図示は略す）に
より励磁コイル９に供給され通電するとともに、
整流器１６からの接続線に接続された外部端子
（図示は略す）により蓄電池など負荷に供給され
る。

一方、フアン１８の回転により後ブラケツト１
３の入口穴１３ａから冷却風が吸込まれ、機内を
通風冷却し、前ブラケツト１２の出口穴１２ａか
ら引出されフアン１８により吐出される。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記のような従来の車両用交流発電機では、フ
アン１８による冷却風の流通によつた冷却であ
り、冷却効果が十分でなく、フアン１８が大きく
騒音が高く、また、外気通風により整流器１６、
電圧調整器１７の絶縁が低下するという問題点が
あつた。

さらに、出力増加の場合、冷却風量増大のため
フアン１８がいつそう大きくなり風損の増大とと
もに騒音も増大するという問題点があつた。

この発明は、このような問題点を解決するため
になされたもので、大径のフアンによる通風冷却
によることなく、効果の大きい冷却手段により、
小形軽量化し、大径フアンによる損失及び騒音を
なくした車両用交流発電機を得ることを目的とし
ている。

〔問題点を解決するための手段〕

この発明にかかる車両用交流発電機は、固定子
コイルの後側コイル端部を絶縁充てん物を介し金
属囲い体で囲い、後ブラケツトの内壁部と囲い体
の背面との間に円周方向に流通路を形成して冷却
液を流通させ、この後ブラケツトの外端部に冷却
カバーを取付け、これらの間に形成された分岐流
通路に後ブラケツトの流通路の冷却液を分岐流通
させ、上記冷却カバーの外端面に整流器と電圧調
整器を固着し、回転子の磁極鉄心の前端にフアン
を取付け、前ブラケツトの内に冷却風を流通さ
せ、固定子コイルの前側コイルの端部を冷却する
ようにしたものである。

〔作用〕

この発明においては、冷却液の流通により発熱
の大きい固定子コイルの後側コイル端部及び整流
器と電圧調整器が効果的に冷却され、固定氏コイ
ルの前側コイル端部が冷却風の流通により冷却さ
れ、励磁コイルがフアンによる冷却風の流通によ
つた周囲空気の流動と、冷却された後ブラケツト
への励磁側鉄心又は周囲空気を介する熱伝達によ
り冷却される。

〔実施例〕

第１図はこの発明による車両用交流発電機の一
実施例を示す縦断面図で、第２図は第１図の一部
破断して示す正面図であり、１，２，６，７，７
ａ，９〜１１，１４〜１７は上記従来装置と同一
のものである。２１は回転子で、回転軸１に固着
された一方の磁極鉄心２２には複数の磁極爪部２
２ａが円周方向に対し間隔をあけ、上記磁極爪部
７ａとは交互に出されている。

２３は一方及び他方の磁極鉄心２２及び７にエ
アギヤツプを介し配設された固定の励磁側鉄心
で、励磁コイル９を保持している。２４は固定子
コイル１１の後側コイル端を囲う囲い体で、良熱
伝導のアルミニウムなどの金属材からなり、コイ
ル端との間に合成樹脂などからなる絶縁充てん材
２６が充てんされ、固定子鉄心１０に固着されて
おり、固定子コイル１１を液密に保護している。
この囲い体２４の背面には円周方向の複数の放熱
フイン２４ｂが設けられている。

次に、２６は固定子鉄心１０を支持する前ブラ
ケツトで、冷却風の取入穴２６ａ及び吐出穴２６
ｂが設けられている。２７は回転子２１の磁極鉄
心２２の前端に取付けられたフアンで、第３図に
正面図で示すように構成されている。フアン２７
には複数の羽根２７ａが折曲げ形成され、回転方
向Ａに対し後退角で傾斜している。

第１図及び第２図に返り、２８は前ブラケツト
２６にＯリング３１を介し液密に結合された後ブ
ラケツトで、励磁側鉄心２３を固着するとともに
軸受１５を支持しており、環状溝２８ａに囲い体
２４の端部の円筒状突起２４ａをはめ込み、粘性
状のシリコン系などのガスケツト３７により液密
に封止している。この後ブラケツト２８には冷却
液の流入管２９及び流出管３０が設けられてお
り、双方間位置に囲い体２４との間に仕切部２８
ｂが設けられてあり、また、冷却液の分岐穴２８
ｃ及び戻し穴２８ｄが設けられている。後ブラケ
ツト２８の内壁部と、上記囲い体２４の背面との
間に半径方向の冷却液の流通路３２ａが形成され
ている。３５は車両の機関の冷却液循環系路の往
路側から流入管２９に連結されたチユーブ、３６
は流出管３０と機関の冷却液循環系路の復路側と
に連結されたチユーブである。

３３は良熱伝導金属材からなり、後ブラケツト
２８の外端部に液密に取付けられた冷却カバー
で、これらの間の冷却液の分岐流通路３２ｂが形
成されており、分岐穴２８ｃからの冷却液を流通
し、戻し穴２８ｄから流通路３２ａの途中に戻
す。この冷却カバー３３の内面には冷却液の流れ
方向に複数の放熱フイン３３ａが設けられてある
４冷却カバー３３の外端面には、整流器１６がヒ
ートシンク１６ａを介し固着され、電圧調整器１
７がヒートシンク１７ａを介し固着されている。
３４は後ブラケツト２８に取付けられた保護カバ
ーである。

上記一実施例の装置の冷却作用は、次のように
なる。車両の機関からベルト及びプーリ２を介し
回転軸１が回転され、フアン２７により冷却風が
取入穴２６ａから吸入され前ブラケツト２６内を
流通し、軸受１４及び固定子コイル１０の前側コ
イル端部を冷却し、吐出口２６ｂから排出され
る。

一方、機関の低温の冷却液が一部分流され、流
入管２９から流入され、流通路３２ａを矢印のよ
うに流通し、固定子コイル１１の後側コイル端部
を冷却して温度上昇し、流出管３０から流出さ
れ、機関の冷却液循環系路の復路側に戻される。

また、流入管２９から流通路３２ａに流入した
冷却液の一部は、分岐穴２８ｃから分岐流通路３
２ｂを矢印のように流通し、冷却カバー３３を介
し整流器１６及び電圧調整器１７を冷却し、流通
路３２ａの途中に戻される。

さらに、冷却液に効果的に直接冷却された後ブ
ラケツト２８は軸受１５を吸熱冷却するととも
に、励磁側鉄心２３を介し励磁コイル９を吸熱冷
却する。励磁コイル９は、さらに、フアン２７に
よる冷却風の流通によつた周囲空気の流動により
冷却される。

固定子コイル１１の後側コイル端と整流器１
６、電圧調整器１７とは、冷却液による熱交換で
冷却されており、フアン２７は固定子コイル１１
の前側コイル端の冷却と、励磁コイル９部の追加
冷却のための通風でよく、上記第４図の従来装置
のフアン１８より小形でよく、通風音が大幅に低
下し、また、小形なため高速回転に十分耐えられ
る。

こうして、発熱の大きい固定子コイル１０、整
流器１６、電圧調整器１７、励磁コイル９が効果
的に冷却され、温度上昇が大きく低減される。

第３図はこの発明による車両用交流発電機の他
の実施例を示す縦断面図である。回転子４１は回
転軸１に固着された一方及び他方の磁極鉄心４２
及び４３と、これらに保持された励磁コイル９か
らなり、磁極鉄心４２から出された複数の磁極爪
部４２ａと、磁極鉄心４３から出された複数の磁
極爪部４３ａとが交互に配されてある。４４は励
磁コイル９に通電するスリツプリングで、ブラシ
装置４５により集電される。後ブラケツト２８に
は冷却カバー４６が液密に取付けられ、分岐流通
路３２ｂが形成され、冷却カバー４６には整流器
１６及び電圧調整器１７が取付けられている。４
７は保護カバーである。

後ブラケツト２８は冷却液による直接冷却で内
部空気と効果的に熱交換され、したがつて、フア
ン２７と回転子４１部の回転による内部空気の流
動で、励磁コイル９を効率よく放熱することがで
きる。

なお、上記実施例では機関の冷却液循環系路か
ら冷却液を一部分流して発電機に流通させたが、
これに限らず、別系統の冷却液循環手段を設けて
もよい。

〔発明の効果〕

以上のように、この発明によれば、固定子コイ
ルの後側コイル端を絶縁樹脂充てん材を介し金属
囲い体で囲い、後ブラケツトの内壁と囲い体の背
面との間に形成された円周方向の流通路に冷却液
を流通し、後ブラケツトとこれに取付けた冷却カ
バーとの間に形成された分岐流通路に冷却液を一
部分岐流通し、この冷却カバーの外端面に整流器
及び電圧調整器を取付け、回転子の磁極鉄して心
の前端にフアンを取付けたので、発熱部が効果的
に冷却され、小型軽量化でき、従来のような通風
による騒音や風損がなくされ、また、整流器と電
圧調整部路が全閉となるので、絶縁低下がなくさ
れ、外気の有害ガスや塩害などによる被害が防止
される。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明による車両用交流発電機の縦
断面図、第２図は第１図の装置の保護カバーを除
き一部破断して示す正面図、第３図はこの発明の
他の実施例を示す車両用交流発電機の縦断面図、
第４図は従来の車両用交流発電機の縦断面図であ
る。 １……回転軸、７……磁極鉄心、９……励磁コ
イル、１０……固定子鉄心、１１……固定子コイ
ル、１４，１５……軸受、１６……整流器、１７
……電圧調整器、２１……回転子、２２……磁極
鉄心、２４……金属囲い体、２４ｂ……放熱フイ
ン、２５……絶縁充てん材、２６……前ブラケツ
ト、２６ａ……取入穴、２７……フアン、２８…
…後ブラケツト、２８ｂ……環状溝、３２ａ……
流通路、３２ｂ……分岐流通路、３３……冷却カ
バー、３３ａ……放熱フイン、４１……回転子、
４２，４３……磁極鉄心、４６……冷却カバー。
なお、図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 車両の機関により回転される回転軸に固着さ
   れ励磁コイルにより励磁される回転子磁極鉄心
   と、この磁極鉄心を囲い固定子コイルが装着され
   た固定子鉄心と、この固定子鉄心を支持するとと
   もに、それぞれ軸受を介し上記回転軸を支持する
   前ブラケツト及び後ブラケツトと、整流器と電圧
   調整器とを備えた車両用交流発電機において、上
   記磁極鉄心の前端部に取付けられ、上記前ブラケ
   ツト内に冷却風を流通させ前側コイル端を冷却す
   るフアン、上記固定子コイルの後側コイル端をそ
   れぞれ絶縁充てん材を介し液密に囲う金属囲い
   体、内側部でこの囲い体の外端部に液密に結合さ
   れ、内壁と囲い体の背面との間に円周方向に冷却
   液の流通路が形成された後ブラケツト、及びこの
   後ブラケツトの外端部に液密に取付けられ、後ブ
   ラケツトとの間に形成された分岐流通路に後ブラ
   ケツトの流通路から冷却液を分岐して流通させ、
   外端面に上記整流器と電圧調整器を固着した冷却
   カバーを備えた車両用交流発電機。 ２ 冷却液を機関の冷却液循環系路から一部を分
   流し流通路に流通するようにした特許請求の範囲
   第１項記載の車両用交流発電機。 ３ 囲い体の背面に放熱フインを設けた特許請求
   の範囲第１項又は第２項記載の車両用交流発電
   機。 ４ 冷却カバーの分岐流通路側に放熱フインを設
   けた特許請求の範囲第１項ないし第３項のいずれ
   かに記載の車両用交流発電機。