JPH08109431A - 硬質合金を結合材とするダイヤモンド燒結体及びその製造方法 - Google Patents

硬質合金を結合材とするダイヤモンド燒結体及びその製造方法

Info

Publication number
JPH08109431A
JPH08109431A JP27178894A JP27178894A JPH08109431A JP H08109431 A JPH08109431 A JP H08109431A JP 27178894 A JP27178894 A JP 27178894A JP 27178894 A JP27178894 A JP 27178894A JP H08109431 A JPH08109431 A JP H08109431A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diamond
sintered body
hard
sintering
hard alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP27178894A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3949181B2 (ja
Inventor
Sokichi Takatsu
津 宗 吉 高
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
READ KK
Original Assignee
READ KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by READ KK filed Critical READ KK
Priority to JP27178894A priority Critical patent/JP3949181B2/ja
Publication of JPH08109431A publication Critical patent/JPH08109431A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3949181B2 publication Critical patent/JP3949181B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 工具や耐摩耗材に用いるダイヤモンド燒結体
において、ダイヤモンドの部分的な黒鉛化を容認するこ
とによって、鉄族金属を含む結合材の使用を可能にし、
燒結が容易で硬さや耐摩耗性が優れた燒結体を得る。 【構成】 ダイヤモンド粉末の1〜75 Vol%と、結合
材としての硬質相と金属結合相よりなる硬質合金の原料
粉末の99〜25 Vol%とを混合し、それらを黒鉛が安
定な温度−圧力領域において加圧燒結する。この場合
に、ダイヤモンドの部分的な黒鉛化を一定量まで容認
し、燒結体の硬さはHv1000以上で、成分の硬質合
金単体より硬くする。上記硬質相は、周期律表のIVa,
Va,VIa族遷移金属の炭化物、窒化物、ホウ化物及び
これらの複合化合物の1種以上であり、金属結合相は、
鉄、コバルト、ニッケルの1種以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、切削工具や耐摩耗工
具、耐摩耗機械部材などに用いる高硬度で耐摩耗性に優
れたダイヤモンド複合硬質燒結体、すなわち、硬質合金
を結合材とするダイヤモンド燒結体及びその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のダイヤモンド複合硬質燒結体は、
高度の硬さと優れた耐摩耗性を得るために、ダイヤモン
ドが黒鉛に相変態しないことが必須要件とされている。
そのため、通常は超高圧装置を用いて、ダイヤモンドが
熱力学的に安定な高温高圧で燒結を行っているが、この
方法では大型品や三次元形状品の製作が困難なうえ、製
造コストが非常に高くなる。
【0003】黒鉛が安定な圧力−温度領域で燒結して黒
鉛を生成しないようにしたダイヤモンド燒結体の公知例
もある。しかしながら、黒鉛の安定領域でダイヤモンド
が黒鉛化を起こさないように燒結するためには、燒結条
件や結合材、コーティング材などに種々の制約がある。
例えば、特開昭49−000192号公報の方法では、
低温短時間の燒結で黒鉛化を避けているが、結合材は酸
化物に限定されている。特開平02−302367号公
報の方法でも、燒結温度、圧力の限定により、黒鉛の生
成を避けられるとしているが、結合材の強度向上に有効
な鉄族金属などは黒鉛化を促進するので使用できない。
また、特開平05−024922号公報では、ダイヤモ
ンド粉末をダイヤモンドの黒鉛化を促進しない物質でコ
ーティングすることにより、黒鉛化を防止できるとして
いる。
【0004】一方、相変態で生成した黒鉛を結合材とし
たダイヤモンド燒結体が特公昭57−060316号公
報に示されているが、これは、ダイヤモンド粉のみを原
料としたもので、その他の結合材は使用していない。ま
た、石材やコンクリート用のダイヤモンド砥石では、コ
バルトなど鉄族金属ボンドの強化のためにWCなどを添
加することがあるが、ボンドの主成分は鉄族金属で、そ
の硬さも極めて低く、硬質相を主成分としたものではな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】切削工具や耐摩耗工
具、耐摩耗部材に用いられるダイヤモンド燒結体は、高
度の硬さ、優れた耐摩耗性、強度などを要求されるた
め、従来はダイヤモンドを黒鉛に相変態させることなく
燒結しなければならないとされてきた。しかし、たとえ
ある程度の黒鉛が生成しても、燒結体が使用条件に必要
な特性と性能を備えていれば、実用上は十分に目的を達
成できるわけで、黒鉛への変態を避けることは好ましく
はあっても、必ずしも実用上の必須条件とはいえない。
そして、この黒鉛に関する制約条件を実用に支障のない
範囲で緩和すれば、組成や燒結条件などの選択の幅が大
きく広がり、より容易にかつ低コストで燒結できると共
に、多様な特性の燒結体が得られることを期待できる。
【0006】本発明の技術的課題は、かかる観点に基づ
き、ダイヤモンドの部分的な黒鉛化を一定量まで容認す
ることによって、黒鉛が安定な燒結条件においても鉄族
金属を含む結合材の使用を可能にし、さらに従来より低
温・低圧で、大型かつ三次元的に複雑な形状の燒結を容
易に行えるようにし、かつ通常の硬質合金やセラミック
スより硬さや耐摩耗性がはるかに優れたダイヤモンド燒
結体及びその製造方法を提供することにある。本発明の
他の技術的課題は、切削工具や耐摩耗工具、耐摩耗部材
として優れた性能と長寿命が期待され、性能的に、また
経済的に大きな効果をもたらすダイヤモンド燒結体及び
その製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明のダイヤモンド燒結体は、基本的には、ダイヤ
モンド粉末の1〜75 Vol%と、結合材としての周期律
表のIVa,Va,VIa族遷移金属の炭化物、窒化物、ホ
ウ化物及びこれらの複合化合物の1種または2種以上の
硬質相、及び、鉄、コバルト、ニッケルの1種または2
種以上の金属結合相よりなる硬質合金の原料粉末の99
〜25 Vol%とを混合し、それらを、炭素の相図で黒鉛
が安定な温度−圧力領域において加圧燒結してなるダイ
ヤモンド燒結体であって、燒結体中に存在するダイヤモ
ンドと黒鉛の比が、X−線回折におけるダイヤモンドの
(111)面と黒鉛の(002)面の回折線の強度I
D111及びIG002の比でIG002/ID111≦1.0であり、
硬さをHv1000以上でかつ成分の硬質合金単体より
硬くしたことを特徴とするものである。
【0008】また、硬質合金における硬質相がWCを主
体とし、金属結合相がコバルトを主体としたものとする
ことができ、あるいは、硬質合金における金属結合相
を、鉄族金属に、50原子%未満のCu,Ti,Cr,
Alの1種以上を添加した合金からなるものとすること
ができる。
【0009】さらに、上述したダイヤモンド燒結体を得
るための本発明の製造方法は、ダイヤモンド粉末の1〜
75 Vol%と、結合材としての周期律表のIVa,Va,
VIa遷移金属の炭化物、窒化物、ホウ化物及びこれらの
複合化合物の1種または2種以上の硬質相、並びに、
鉄、コバルト、ニッケルの1種または2種以上の金属結
合相よりなる硬質合金の原料粉末の99〜25 Vol%と
を混合し、それらを、炭素の相図で黒鉛が安定な温度−
圧力領域内において、900〜1000℃の温度と10
MPa〜4.5GPaの圧力で加圧燒結することを特徴
とするものである。
【0010】さらに具体的に説明すると、本発明者は、
ダイヤモンドの黒鉛変態にとらわれることなく、高硬度
高強度の燒結体を低圧低温で得るために、金属の炭化
物、窒化物、硼化物などの硬質相と、コバルト、ニッケ
ルなどの金属結合相からなる硬質合金に着目したが、こ
れらの硬質化合物は共有結合性が強いので、単体で緻密
な燒結体を得ることは極めて困難である。鉄属金属は、
これらの硬質化合物に対して良好な結合材であり、燒結
を促進すると共に燒結体の強度を向上させることができ
る。これらの代表的なものは、超硬合金やサーメットの
名で工具や耐摩耗部材として広く使用されている。
【0011】上記硬質合金は、硬さや耐摩耗性に優れる
と共に、金属結合相を有するので、セラミックスより高
強度、高靭性であるうえ、より低温で焼結できるという
特徴がある。ところが、鉄族金属はダイヤモンド合成の
触媒として用いられる一方、黒鉛安定領域ではダイヤモ
ンドの黒鉛化を促進するため、この領域で黒鉛変態を避
けて燒結する場合は使用することができない。しかしな
がら、実用的な見地においては、黒鉛変態の防止自体が
究極の目的ではなく、目的とするところは、黒鉛の生成
による硬さや耐摩耗性などの性能の低下を防止すること
にある。従って、ある程度の黒鉛が生成したとしても、
要求される性能水準を維持できれば、実用的には十分に
目的を達成することができる。
【0012】本発明者は、このような観点から、ダイヤ
モンドの部分的黒鉛化を容認したうえで、実用性能を十
分に達成できるような高性能燒結体を提供すべく、研究
開発を行い、その結果、燒結中にダイヤモンドの一部が
黒鉛化しても、その量が一定の限界値以下であれば、燒
結体の硬さは結合材の硬質合金より高く、切削工具や耐
摩耗工具、耐摩耗部材として十分な硬さや耐摩耗性を有
する緻密かつ高強度の燒結体が得られることを見出だし
たものである。
【0013】研究経過を含めて本発明を具体的に説明す
ると、まず、燒結体のマトリックスとなる結合材には、
周期律表のIVa,Va,VIa族遷移金属の炭化物、窒化
物、ホウ化物、及びそれらの複合化合物の1種または2
種以上の硬質相と、鉄、コバルト、ニッケルの鉄族金属
のうちの1種または2種以上の金属結合相よりなる硬質
合金を選択した。
【0014】硬質合金の硬質相を形成する上記炭化物と
しては、TiC,ZrC,HfC,VC,NbC,Ta
C,Cr32 ,Mo2 C,WC,W2 C,(W,T
i)C,(W,Ti,Ta)C,(Ta,Nb)C,
(W,Ti,Ta,Nb)Cなどがあり、同窒化物とし
ては、TiN,ZrN,HfN,VN,NbN,Ta
N,(Ti,Ta)N,(Ta,Nb)N,(Ti,T
a,Nb)Nなどがあり、さらに同ホウ化物としては、
TiB2 ,ZrB2 ,HfB2 ,VB2 ,NbB2 ,T
aB2 ,Crb2 ,α−MoB,α−WBなどがある。
【0015】また、それらの複合化合物である炭窒化物
としては、Ti(C,N),Ta(C,N),(Ta,
Nb)(C,N)などがあり、同炭ホウ化物としては、
Ti(C,B),Ta(C,B),(Ta,Nb)
(C,B)などがあり、同ホウ窒化物としては、Ti
(N,B),Ta(N,B),(Ta,Nb)(N,
B)などがあり、さらに同炭窒ホウ化物としては、Ti
(C,N,B),(Ta,Nb),(C,N,B)など
がある。なお、これらの化合物の2種以上は、焼結中に
反応して、例えば、次のように変化することがある。 WC+TiC=(W,TiC) TiC+TiN=Ti(C,N)
【0016】結合材としての1種または2種以上の硬質
相、及び1種または2種以上の金属結合相よりなる硬質
合金は、上述したところを任意に選択して組み合わせる
ことにより形成でき、例えば、WC−Co,TiC−T
iN−Mo2 C−Ni等である。硬質合金の粒度や組成
は、燒結体の緻密化、特性、ダイヤモンドの黒鉛化など
に影響し、ダイヤモンドの粒度や添加量も、燒結体の緻
密化、特性、黒鉛化に影響するので、これらについては
詳細な研究を行った。
【0017】粉末混合、成形、半燒結などは、超硬合金
などで広く使われている粉末治金の手法を用いることが
できる。また、加圧燒結には、黒鉛型による通常のホッ
トプレス、通電加圧燒結、放電加圧燒結、熱間静水圧燒
結(HIP)、超高圧装置による燒結などをはじめ、数
多くの方法が知られている。本発明における燒結は、特
定の加圧燒結法に限定されるものではなく、実施する燒
結条件に好適な加圧燒結法を適宜に選択することができ
る。また、HIP燒結では、圧粉体のカプセルHIP法
のほか、他の加圧燒結法で気孔が閉鎖する密度以上に燒
結したのちカプセルなしでHIP処理することもでき
る。
【0018】ダイヤモンドの安定領域における燒結で
は、黒鉛化を起こさず、ダイヤモンド粒子同士が直接結
合した高密度高硬度の燒結体が最も確実に得られるが、
通常5GPa以上の圧力が必要なため、装置が高価であ
るうえ、大型品や三次元形状品の燒結体を得ることが極
めて困難で、通常は、円板状または円柱状に限定されて
いる。本発明をなすに至る過程においては、燒結圧力を
下げてこれらの問題点を解決するため、黒鉛の安定領域
における燒結について、圧力、温度、時間等の条件と燒
結体の緻密化、特性、ダイヤモンドの黒鉛化等の関係を
詳細に研究した。
【0019】黒鉛安定領域の燒結では、ダイヤモンド粒
子の直接結合を期待するのは困難であるため、結合材の
硬質合金を緻密に燒結させてダイヤモンド粒子を強固に
把握させる必要がある。そのための燒結温度は、一般的
に、900℃以上、より好ましくは1000℃以上であ
る。一方、高温ではダイヤモンドの黒鉛化や硬質合金の
粒成長が促進するので、燒結温度の上限は1500℃、
好ましくは1400℃である。硬質合金を結合材とし
て、ダイヤモンドの黒鉛化を許容限界内に制御し、低温
で緻密な燒結体を得るには、加圧燒結が必要であり、圧
力は10MPa以上、好ましくは50MPa以上が必要
である。圧力の上限は、黒鉛の安定領域内という限定か
ら、1000℃で約3GPa、1500℃で約4.5G
Paである。
【0020】ダイヤモンドの黒鉛化は、燒結温度が低
く、燒結圧力が高く、保持時間が短いほど抑制される
が、燒結体を緻密化して十分な特性を得るためには、上
述の温度やある程度の時間が必要であり、かつ技術的経
済的観点からは、圧力が低い方が好ましい。これらの燒
結条件を上述した範囲内で適正に選択することにより、
燒結体を十分緻密化したうえで黒鉛化量を許容限度内に
制御できることを確かめている。好適な燒結時間は、温
度、圧力、燒結方法、原料組成、原料粒度などによって
変わるので、一概に特定することは困難であるが、ホッ
トプレス、通電加圧燒結、HIPなどでは、一般に、3
0min〜数時間であり、一方、GPa級の高圧下で
は、10min程度でも十分な場合もあり、放電加圧燒
結では5〜15minの場合が多い。
【0021】硬質合金中の鉄族金属はダイヤモンドの黒
鉛化を促進するので、この観点からは鉄族金属ができる
だけ少ないことが望ましい。一方、燒結性や強度は鉄族
金属が多いほど向上するが、鉄族金属量が硬質合金中に
おいて1 Vol%程度の少量でも緻密化や強度の向上に十
分な効果がある。また、燒結条件やダイヤモンドの粒径
などを適切に選べば、通常の硬質合金と同様の鉄族金属
量の範囲で黒鉛化量を許容限度以内に制御することが十
分に可能で、それにより燒結体の強度が向上することを
確認している。
【0022】ダイヤモンドは、数 Vol%の少量添加でも
燒結体の硬さや耐摩耗性の向上に顕著な効果が見られ
る。一方、混合則的には、ダイヤモンドの含有量は高い
ほど燒結体の硬さや耐摩耗性が向上するはずであるが、
実際には、ダイヤモンド粒子の直接結合が困難な本発明
の燒結体では、あまりダイヤモンド量が多いと結合材の
把握力が低下して、緻密な燒結体が得られなくなる。従
って、効果的なダイヤモンド添加量は1〜75 Vol%、
好ましくは5〜60 Vol%である。
【0023】また、ダイヤモンド粒子の粒径が大きい場
合は、黒鉛化の制御が比較的容易であるが、粒子が微細
で比表面積が大きくなるに従って、黒鉛化が速くなる。
従って、微粒ダイヤモンドにおいては、燒結条件や鉄族
金属量等でより注意深い制御が必要であるが、粒径1μ
mクラスの微粒でも目的とする燒結体が得られることを
確認している。しかし、本発明では粒径の範囲を特に限
定するものではなく、各種工具や機械部材に要求される
性能や面粗さなどに応じて、適切な粒径を選択すること
ができる。
【0024】ダイヤモンドの黒鉛化量と燒結体の硬さの
関係を調べた結果では、次の点が明らかになった。すな
わち、燒結体のX−線回折において、ダイヤモンドの
(111)面と黒鉛の(002)面の回折線の強度I
D111,IG002の比IG002/ID111が約1.0以下であれ
ば、一般的に、燒結体の硬さは、その燒結体の結合材に
用いた硬質合金のダイヤモンドを含まない単体の硬さと
同等以上になるという知見を得た。従って、本発明の目
的を達成するためには、ダイヤモンドの相変態で生成し
た黒鉛量の許容限界がIG002/ID111≦1.0であり、
さらに好ましくは0.5以下である。なお、本発明によ
る燒結体が実質的にIG002/ID111=0であることを排
除するものではない。また、上記の結果は、ダイヤモン
ドの黒鉛化が起こらないかそれが僅かな燒結体において
は、相変態による黒鉛との合計量が上記の許容限を超え
ない範囲の黒鉛粉末を添加しても、硬質合金より硬さが
高い燒結体が得られることを示すものである。
【0025】さらに、摩耗試験の結果では、ダイヤモン
ドの黒鉛化量が上記の許容範囲内の硬質複合燒結体は、
超硬合金やセラミックスよりはるかに優れた耐摩耗性と
低い摩擦係数を持つことが明らかとなっている。
【0026】以上のように、本発明では、黒鉛の安定領
域で燒結するダイヤモンド複合燒結体において、ダイヤ
モンドの黒鉛化量を性能を大きく低下させない範囲で一
定限度まで容認することによって、燒結体の製造条件や
性能などの選択肢を大きく広げることが可能になり、そ
のため、鉄族金属などの使用が可能となって燒結性が向
上し、従来より低温、低圧、短時間で、容易に緻密な燒
結体を得ることが可能となった。さらに、ダイヤモンド
粉末の保護コーティングなどの特別な前処理も必要とし
ない。
【0027】一方、得られた燒結体は、従来の超硬合金
やセラミックスより高い硬さや耐摩耗性を有し、さらに
金属結合相により燒結体の強度も向上し、各種切削工具
や、金型、ダイス、裁断刃、ビット等の耐摩耗工具、あ
るいは、軸受け、ノズル、ワークレスト、バルブ等の各
種の耐摩耗機械部材としてその利用が大きく期待できる
ものである。また、本発明の燒結体の他の長所として、
導電性があるので放電加工が可能であること、直接ろう
付けが可能であること、既存の超高圧燒結ダイヤモンド
に比べて研削加工が容易であること、大型品や三次元形
状品を作りやすいこと等が挙げられる。
【0028】
【実施例】本発明の実施例を以下に示す。なお、本発明
は以下の実施例の範囲に限定されるものではない。
【0029】実施例1 平均粒径1μmのWC99重量%とCo1重量%をボー
ルミル混合した後、粒径が20〜30μmのダイヤモン
ド50 Vol%を乳鉢で混合した。混合粉は金型で成形
し、非酸化性雰囲気で成形助剤の除去と半燒結を行っ
た。この半燒結体はその周囲をhBNで包んでガラス容
器に真空封入した。次いで、1200℃,200MPa
で60minのHIP条件で、10φ×2mm,10×
15×5mm,25×4×2mmなどの燒結体を作製し
た。燒結体は緻密で光学顕微鏡で有害なポアは認められ
なかった。ダイヤモンドの一部は燒結中に黒鉛に変態
し、燒結体のX−線回折による回折線の強度比IG002
D111=0.05であった。Hv硬さは3800で、同
時に燒結したWC−1%Co合金の硬さ2000よりも
はるかに高かった。抗折力は、800MPaと機械部材
として十分に使用できる強度を示した。
【0030】また、10mmのアルミナボールを相手材
としたピンオンブロックの往復摩耗試験を、摩擦速度7
2m/h,荷重2kgの条件で行った。比較に用いた市
販のK20超硬合金及びCBN超高圧燒結体では、1h
の試験で比摩耗量が各49×10-7mm3 /Nm,18
×10-7mm3 /Nmで、摩擦係数は各0.35及び
0.5であったのに対し、本実施例の燒結体は、3h摩
擦しても測定できる大きさの摩耗は発生せず、摩擦時間
全体を通じて0.08〜0.1の低い摩擦係数を示し
た。本実施例の燒結体の特性は測定条件内でダイヤモン
ド超高圧燒結体と同レベルであった。
【0031】実施例2 実施例1と同様の方法で各種の燒結体を種々のHIP条
件で作製した。実施例1と同様の測定結果を比較例と共
に表1に示す。IG002/ID111≦1.0の燒結体はいず
れも高い硬さと優れた摩耗特性を示した。
【表1】
【0032】実施例3 実施例1と同様にして、平均粒径1μmのWCとCoの
重量比で97:3の混合粉に、粒径1〜2μmのダイヤ
モンドを50 Vol%添加した半燒結体を作製した。これ
をジルコニウム箔に包んで、超高圧燒結体の製造で通常
行われている方法により、ベルト型高圧装置を用いて、
1350℃,3GPaで30minの条件で、4φ×2
mmの燒結体を作製した。得られた燒結体は緻密で、光
学顕微鏡で有害なポアは認められなかった。X−線回折
によるIG002/ID111=0.07であった。また、Hv
硬さは4000で、硬質合金単体の硬さよりもはるかに
高かった。
【0033】実施例4 実施例3と同様の方法で各種の試料をベルト型高圧装置
を用いて種々の条件で加圧燒結した。それらの結果を表
2に示す。
【表2】
【0034】実施例5 実施例1の燒結体からJISのSNGN120408相
当の切削用インサートを作成し、Al−18%Si合金
丸棒の端面を切削速度550〜90m/min、切り込
み0.5mm、送り0.1mm/revで切削した。横
逃げ面摩耗幅はK10超硬合金が5パスの切削で0.3
0mmであったのに対し、本実施例の燒結体では10パ
スの切削で0.05mmで、ダイヤモンド超高圧燒結体
の0.03mmに近い耐摩耗性を示した。
【0035】
【発明の効果】以上に詳述したように、本発明によれ
ば、高硬度、高耐摩耗性のダイヤモンド複合燒結体にお
いて、ダイヤモンドの部分的な黒鉛化を一定量まで容認
することによって、黒鉛が安定な燒結条件においても鉄
族金属を含む結合材の使用を可能にし、さらに従来より
低温・低圧で、大型かつ三次元的に複雑な形状の燒結を
容易に行えるようにし、かつ通常の硬質合金やセラミッ
クスより硬さや耐摩耗性がはるかに優れたダイヤモンド
燒結体及びその製造方法を得ることができる。そして、
本発明によれば、工具や耐摩耗部材として優れた性能と
長寿命が期待され、性能的に、また経済的に大きな効果
をもたらすダイヤモンド燒結体及びその製造方法を得る
ことができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ダイヤモンド粉末の1〜75 Vol%と、結
    合材としての周期律表のIVa,Va,VIa族遷移金属の
    炭化物、窒化物、ホウ化物及びこれらの複合化合物の1
    種または2種以上の硬質相、及び、鉄、コバルト、ニッ
    ケルの1種または2種以上の金属結合相よりなる硬質合
    金の原料粉末の99〜25 Vol%とを混合し、それら
    を、炭素の相図で黒鉛が安定な温度−圧力領域において
    加圧燒結してなるダイヤモンド燒結体であって、 燒結体中に存在するダイヤモンドと黒鉛の比が、X−線
    回折におけるダイヤモンドの(111)面と黒鉛の(0
    02)面の回折線の強度ID111及びIG002の比でIG002
    /ID111≦1.0であり、 硬さをHv1000以上でかつ成分の硬質合金単体より
    硬くした、ことを特徴とする硬質合金を結合材とするダ
    イヤモンド燒結体。
  2. 【請求項2】燒結体中の黒鉛が、燒結時にダイヤモンド
    から変態して生成したものであるところの請求項1に記
    載の硬質合金を結合材とするダイヤモンド燒結体。
  3. 【請求項3】硬質合金における硬質相がWCを主体と
    し、金属結合相がコバルトを主体としたものである請求
    項1または2に記載の硬質合金を結合材とするダイヤモ
    ンド燒結体。
  4. 【請求項4】硬質合金における金属結合相が、鉄族金属
    に、50原子%未満のCu,Ti,Cr,Alの1種以
    上を添加した合金からなる請求項1または2に記載の硬
    質合金を結合材とするダイヤモンド燒結体。
  5. 【請求項5】請求項1ないし4に記載のいずれかのダイ
    ヤモンド燒結体を製造するための方法であって、 ダイヤモンド粉末の1〜75 Vol%と、結合材としての
    周期律表のIVa,Va,VIa族遷移金属の炭化物、窒化
    物、ホウ化物及びこれらの複合化合物の1種または2種
    以上の硬質相、及び、鉄、コバルト、ニッケルの1種ま
    たは2種以上の金属結合相よりなる硬質合金の原料粉末
    の99〜25 Vol%とを混合し、それらを、炭素の相図
    で黒鉛が安定な温度−圧力領域内において、900〜1
    500℃の温度と10MPa〜4.5GPaの圧力で加
    圧燒結する、ことを特徴とする硬質合金を結合材とする
    ダイヤモンド燒結体の製造方法。
JP27178894A 1994-10-11 1994-10-11 硬質合金を結合材とするダイヤモンド燒結体及びその製造方法 Expired - Lifetime JP3949181B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27178894A JP3949181B2 (ja) 1994-10-11 1994-10-11 硬質合金を結合材とするダイヤモンド燒結体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27178894A JP3949181B2 (ja) 1994-10-11 1994-10-11 硬質合金を結合材とするダイヤモンド燒結体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08109431A true JPH08109431A (ja) 1996-04-30
JP3949181B2 JP3949181B2 (ja) 2007-07-25

Family

ID=17504864

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27178894A Expired - Lifetime JP3949181B2 (ja) 1994-10-11 1994-10-11 硬質合金を結合材とするダイヤモンド燒結体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3949181B2 (ja)

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001032947A1 (fr) 1999-10-29 2001-05-10 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Matiere composite contenant des particules ultra-dures
US6471583B1 (en) 1999-05-13 2002-10-29 Sumitomo Special Metals Co., Ltd. Method of machining rare earth alloy and method of fabricating rare earth magnet using the same
GB2383799A (en) * 2002-01-08 2003-07-09 Planet Diamond Tools Europ Ltd Diamond containing cermet
JP2005344878A (ja) * 2004-06-04 2005-12-15 Kubota Corp ポンプ用軸受構造
WO2006080302A1 (ja) * 2005-01-25 2006-08-03 Tix Corporation 複合耐摩耗部材及びその製造方法
JP2006220257A (ja) * 2005-02-14 2006-08-24 Kubota Corp すべり軸受およびポンプ装置
DE10027086B4 (de) * 1999-06-01 2009-04-16 Hitachi Metals, Ltd. Magnetelement-Schneidverfahren und Magnetelement-Schneidvorrichtung
GB2459272A (en) * 2008-04-15 2009-10-21 Element Six Diamond enhanced carbide type materials
CN114260453A (zh) * 2021-12-24 2022-04-01 郑州新亚复合超硬材料有限公司 一种高性能金刚石复合片及其制造工艺
CN115401202A (zh) * 2022-08-08 2022-11-29 燕山大学 高熵合金结合的wc硬质合金基体金刚石复合片及制备方法
WO2022266563A1 (en) * 2021-06-15 2022-12-22 Baker Hughes Oilfield Operations Llc Precipitate-strengthened hard metal-diamond composite
CN115927896A (zh) * 2022-11-16 2023-04-07 四川雄琛科技有限公司 一种用于高压阀门的金刚石截流阀片
WO2024026289A1 (en) * 2022-07-26 2024-02-01 Baker Hughes Oilfield Operations Llc Cutting elements including binder materials having modulated morphologies, earth-boring tools including such cutting elements, and related methods of making and using same

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6471583B1 (en) 1999-05-13 2002-10-29 Sumitomo Special Metals Co., Ltd. Method of machining rare earth alloy and method of fabricating rare earth magnet using the same
DE10022677B4 (de) * 1999-05-13 2005-07-21 Neomax Co., Ltd. Verfahren zur spanabhebenden Bearbeitung einer Seltenerdmetall-Legierung und Verfahren zur Herstellung eines Seltenerdmetall-Magneten
DE10027086B4 (de) * 1999-06-01 2009-04-16 Hitachi Metals, Ltd. Magnetelement-Schneidverfahren und Magnetelement-Schneidvorrichtung
WO2001032947A1 (fr) 1999-10-29 2001-05-10 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Matiere composite contenant des particules ultra-dures
GB2383799A (en) * 2002-01-08 2003-07-09 Planet Diamond Tools Europ Ltd Diamond containing cermet
JP2005344878A (ja) * 2004-06-04 2005-12-15 Kubota Corp ポンプ用軸受構造
JP5076044B2 (ja) * 2005-01-25 2012-11-21 株式会社ティクスホールディングス 複合耐摩耗部材及びその製造方法
WO2006080302A1 (ja) * 2005-01-25 2006-08-03 Tix Corporation 複合耐摩耗部材及びその製造方法
US7637981B2 (en) 2005-01-25 2009-12-29 Tix Corporation Composite wear-resistant member and method for manufacture thereof
JP2006220257A (ja) * 2005-02-14 2006-08-24 Kubota Corp すべり軸受およびポンプ装置
GB2459272A (en) * 2008-04-15 2009-10-21 Element Six Diamond enhanced carbide type materials
WO2022266563A1 (en) * 2021-06-15 2022-12-22 Baker Hughes Oilfield Operations Llc Precipitate-strengthened hard metal-diamond composite
CN114260453A (zh) * 2021-12-24 2022-04-01 郑州新亚复合超硬材料有限公司 一种高性能金刚石复合片及其制造工艺
WO2024026289A1 (en) * 2022-07-26 2024-02-01 Baker Hughes Oilfield Operations Llc Cutting elements including binder materials having modulated morphologies, earth-boring tools including such cutting elements, and related methods of making and using same
CN115401202A (zh) * 2022-08-08 2022-11-29 燕山大学 高熵合金结合的wc硬质合金基体金刚石复合片及制备方法
CN115927896A (zh) * 2022-11-16 2023-04-07 四川雄琛科技有限公司 一种用于高压阀门的金刚石截流阀片

Also Published As

Publication number Publication date
JP3949181B2 (ja) 2007-07-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6214079B1 (en) Triphasic composite and method for making same
US4945073A (en) High hardness, wear resistant materials
TW201111321A (en) Tough coated hard particles consolidated in a tough matrix material
US6090343A (en) Triphasic composite and method for making same
AU627233B2 (en) High hardness, wear resistant materials
CN110342943B (zh) 工业压力下合成无粘结剂聚晶氮化硼块材的方法及其应用
EP0698447B1 (en) Abrasive body
JP3949181B2 (ja) 硬質合金を結合材とするダイヤモンド燒結体及びその製造方法
US5256608A (en) High hardness, wear resistant materials
US5215945A (en) High hardness, wear resistant materials
JP2000247746A (ja) 立方晶窒化硼素質焼結体切削工具
JPH0782031A (ja) 立方晶窒化ホウ素含有焼結体およびその製造方法
EP0480636B1 (en) High hardness, wear resistant materials
JPS5823459B2 (ja) 切削工具用高密度相窒化硼素含有焼結体
JP3481702B2 (ja) 硬質合金を結合材とする立方晶窒化硼素燒結体及びその製造方法
JPH07278719A (ja) 微粒板状晶wc含有超硬合金およびその製造方法
JP2006111947A (ja) 超微粒子サーメット
JP2000218411A (ja) 立方晶窒化硼素質焼結体切削工具
Singhal et al. Sintering of boron carbide under high pressures and temperatures
JP5008789B2 (ja) 超硬質焼結体
JP2802596B2 (ja) 板状晶wc含有超硬合金の製造方法
US5223460A (en) High hardness, wear resistant materials
JPH07172924A (ja) 工具用高靭性焼結体およびその製造方法
EP0689525B1 (en) Complex multi-phase reaction sintered hard and wear resistant materials
JP4413022B2 (ja) 複合酸化物分散焼結合金

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070222

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070418

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100427

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120427

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130427

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140427

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term