JPH079670U - パーキングブレーキ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 誤動作や衝撃等で解除状態に至ることがな
い、安全性の高いパーキングブレーキ装置を提供する。 【構成】 操作レバー３０を回転自在に支持するセクタ
２０と、一端に爪部７４を有したポール７０と、係合態
位と非係合態位とに回動変位させるレリーズ体６０と、
操作レバー３０の先端部に配置された操作ノブ４０を突
出付勢して爪部７４をセクタ２０に係合させるように付
勢する付勢部材５０とを含む。ポール７０は、回転軸７
２が貫通する支持部７６と操作ノブ４０の押動力がレリ
ーズ体６０を介して作用する係合部７８とを有する。操
作ノブ４０は、操作レバー３０内に挿入されたレリーズ
体６０の先端に取り付けられ、操作レバー３０の半径方
向に突出付勢して設置される。レリーズ体６０は、変形
可能な弾性部材より成り、操作ノブ３０とポール７０を
支持する回転軸７２とを連結する本体と、先端が係合部
７８に当接可能な作動部６４とを有する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、パーキングブレーキ装置に関し、さらに詳しくは誤動作によるパー キングブレーキの解除を防止するためのパーキングブレーキ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、乗用車等に装備されているパーキングブレーキ装置には、一例として 、図７に示す構造がある。

【０００３】 すなわち、図７に示すパーキングブレーキ装置１は、運転席の床部に設けられ ているフロア・タイプと称される構造のものであり、セクタ３０、操作レバー４ ０、そして、いわゆるブレーキポールをなすポール５０を主要構成として備えて いる。

【０００４】 上述したセクタ３０は、例えば、運転席の床部等の不動部に固定されており、 後述する操作レバー４０の支点部をなすピン３２を中心とした円弧部が形成され 、この円弧部には周方向に沿って複数の歯部３４が設けられている。

【０００５】 操作レバー４０は、ピン３２を支点として揺動可能なてこ状の部材であり、ピ ン３２に対する一方の揺動端には車両のブレーキ装置に連結されているブレーキ ケーブル６０の端部が、そして、ピン３２に対する他方の揺動端には末端部にグ リップ４２が装着され、図において、グリップ４２側を引き上げることによって ブレーキケーブル６０を牽引できるようになっている。

【０００６】 そして、操作レバー４０に装備されているグリップ４２の内部には、操作ノブ ４４が摺動可能に装填されており、この操作ノブ４４は、バネ４６の付勢によっ て、通常、グリップ４２の先端から頭部を突出させる態位を設定されている。

【０００７】 また、操作ノブ４４には、レリーズロッド７０の延長方向一端が固定されてお り、このレリーズロッド７０は、延長方向他端を後述するポール５０に連結され ている。

【０００８】 一方、ポール５０は、セクタ３０の歯部３４に対面させた状態で操作レバー４ ０により回転自在に支持されており、回転支軸５４をはさんでレリーズロッド７ ０と反対側の端部にはセクタ３０の歯部３４に対面する爪部５２が形成されてい る。

【０００９】 このポール５０は、レリーズロッドの７０の変位に連動して回転できるように なっており、通常時には、レリーズロッド７０がバネ４６の付勢を受ける方向に 変位するのにあわせてセクタ３０の歯部３４に係合する第１の態位（図中、実線 で示す態位）を設定され、そして、レリーズロッド７０がバネ４６の付勢に抗し た方向に変位した場合には、セクタ３０の歯部３４から離脱して係合を解除され る第２の態位（図中、二点鎖線で示す態位）をそれぞれ設定されるようになって いる。

【００１０】 このようなパーキングブレーキ装置１において、いわゆるブレーキング状態に あるときには、レリーズロッド７０がバネ４６の付勢を受けてポール５０の第１ の態位が設定されることにより、ブレーキケーブル６０の引張力によってポール ５０の爪部５２がセクタ３０の歯部３４に押し付けられ、ブレーキングの状態が 維持される。

【００１１】 一方、ブレーキングを解除するためにポール５０とセクタ３０との係合を解除 する場合には、ブレーキケーブル６０の引張力に抗して操作レバー４０を若干上 方に持ち上げるとともに、操作ノブ４４をバネ４６の付勢に抗してグリップ４２ 内に押し込むことにより、図中、二点鎖線で示すように、この押し込みに連動す るレリーズロッド７０の変位を介してポール５０を回転させ、爪部５２をセクタ ３０の歯部３４から離脱させる。

【００１２】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上述したパーキングブレーキ装置においては、ポール５０とレリー ズロッド７０との連結構造として、ポール５０に穿たれた取付け孔にレリーズロ ッド７０の端部を挿入した構造とされている。

【００１３】 従って、レリーズロッド７０の変位が即座にポール５０の回転を促す構造とな っているために、例えば、搭乗している子供のいたずら、あるいは、何らかの衝 撃によって、操作ノブ４４がバネの付勢に抗した方向に変位した場合、ポール５ ０とセクタ３０の歯部との係合が不用意に解除されてしまう虞れがあった。

【００１４】 本考案は、前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、誤操作や 衝撃等で解除状態に至ることなく、しかも構造が簡単なパーキングブレーキ操作 装置を提供することにある。

【００１５】

【課題を解決するための手段】

前記目的を解決するために、本考案は、 パーキングブレーキを作動するための操作レバーと、この操作レバーを回転自 在に支持し、係合歯を外周に有する固定されたセクタと、前記操作レバーに回転 軸を介して回転自在に支持され、一端に前記セクタに係合可能な爪部を有したポ ールと、前記操作レバーのグリップ部に出没自在に配置された操作ノブと、この 操作ノブの移動によって前記ポールの爪部を係合態位と非係合態位とに回動変位 させるレリーズ体と、前記操作ノブを突出付勢することで前記ポールの爪部を前 記セクタに係合させるように付勢する付勢部材とを含むパーキングブレーキ操作 装置において、 前記ポールは、前記回転軸が貫通する支持部と、前記操作ノブの押動力がレリ ーズ体を介して作用する係合部とを有し、 前記操作ノブは、前記操作レバー内に挿入されたレリーズ体の先端に取り付け られ、前記操作レバーの半径方向に突出付勢して設置され、 前記レリーズ体は、操作レバーの半径方向に変形可能な弾性部材より成り、前 記操作ノブと前記ポールを支持する回転軸とを連結するレリーズ本体と、前記回 転軸より延設され先端が前記ポールの係合部に当接可能な作動部とを有すること を特徴としている。

【００１６】 また前記レリーズ体は、そのレリーズ本体と作動部とがリング状の固定部を介 して連結され、かつこの固定部は前記ポールの回転軸に固定されていることが好 ましい。

【００１７】

【作用】

前記構成の本考案においては、車両のパーキングブレーキを作動状態にした時 には、ブレーキケーブルからの牽引力によりポールの爪部がセクタの係合歯に押 し付けられている。

【００１８】 この状態で、車両に搭乗している子供のいたずらや誤動作等によって操作ノブ が押し込まれると操作ノブの動きに伴いレリーズ体が撓み、レリーズ体の自由端 部がポールとの係合部を押圧するが、上述したポールの爪部とセクタの係合歯と の噛み合い力の方が強く、ポールの回動は起こらず、パーキングブレーキの作動 状態は維持される。

【００１９】 このように、本考案については、レリーズ体自体が弾性を有するため、不用意 に操作ノブが押圧された場合には、レリーズ体が撓むことによって操作ノブの変 位を吸収することができ、前記従来技術に比べ安全性がより高い。

【００２０】 パーキングブレーキを意図的に解除したい場合には、操作レバー本体をケーブ ルの引張力に抗するように上方に回動させて維持し、その状態で操作ノブを付勢 部材に抗して押し込む。

【００２１】 すなわち、ケーブルの引張力からポールを解放して、セクタとの係合力を無く した後、操作ノブを押し込むと、レリーズ体は操作ノブの動きに伴って撓み、レ リーズ体の自由端部がポールとの係合部を押圧するので、ポールが回転してその 爪部がセクタの係合歯から離脱する。この状態から操作レバーをケーブルを緩め る方向に回転させれば、パーキングブレーキは解除される。

【００２２】

【実施例】

以下、本考案の実施例について図面を参照して説明する。

【００２３】 図１は、本考案の一実施例に係るパーキングブレーキ装置１０を示す図である 。

【００２４】 図１において、セクタ２０は、中心位置をＯ_１とする円弧部が形成され、その 円弧部には周方向に沿って複数の歯部２０ａを有し、車体２２に固定されている 。

【００２５】 このセクタ２０には、前記中心Ｏ_１に配置した回転軸２４を中心として、回動 自在な操作レバー３０が設けられている。この操作レバー３０は、中心Ｏ_１の右 端の一端にブレーキ作動ケーブル３２が接続され、この操作レバー３０の矢印方 向への回動によって前記ケーブル３２を引張することで、パーキングブレーキ本 体（図示せず）が作動するようになっている。

【００２６】 また、前記操作レバー３０の中心Ｏ_１の左側の一端は、水平に延在形成された 形状となっていて、その水平端部のうち筒状に形成された水平筒部３０ａにグリ ップ３４を嵌入して支持するようになっている。

【００２７】 また、前記グリップ３４の下側端部には、開口部３６を介して押動可能な操作 ノブ４０が出没自在に配置されており、この操作ノブ４０の背面と、前記操作レ バー３０の水平筒部３０ａの上壁との間には、付勢部材の一例であるコイルスプ リング５０が設置されている。

【００２８】 前記操作ノブ４０は、例えば合成樹脂で形成された略円柱状のノブ本体４２と 、ノブ本体４２の背面部に設けられた円盤状の連結部４４とから成る。

【００２９】 連結部４４の上面にはコイルスプリング５０を取り付けるための係止部４６が 形成され、連結部４４のセクタ側端部にはレリーズ体６０の一端が一体的に連結 されている。

【００３０】 レリーズ体６０は、例えば鋼で形成された板バネ状のもので、弾性を有し、そ の他端には、レリーズ体６０の動きに連動するポール７０が設けられている。

【００３１】 ポール７０は、前記操作レバー３０に設けた回転軸７２の周りに回動自在に支 持されていて、その一端は前記セクタ２０の係合歯２０ａと係合する爪部７４を 構成している。また、ポール７０の他端は、前記回転軸７２が貫通されてポール ７０を支持する支持部７６と、前記支持部の下方に位置し、わん曲した突起から 構成される係合部７８とを有している。

【００３２】 前記レリーズ体６０は、操作ノブ４０とポール７０の回転軸７２とを連結する レリーズ本体６２と、回転軸７２からポール７０の係合部７８に延設された作動 部６４と、これらレリーズ本体６２と作動部６４とを連結し、かつこれらの部材 を回転軸７２に固定するリング状の固定部６８とから構成されている。

【００３３】 この実施例においては、図２に示すように、前記レリーズ本体６２は、操作ノ ブ４０のセクタ側端部より伸び、その延長上に位置するポール７０から逃げるた めに中途部で屈曲し、さらにポール７０の回転軸７２に巻き付いた固定部６８に よって固定される。前記作動部６４は、固定部６８を介して前記レリーズ本体６ ２と連続し、その中途部でポール７０側に屈曲している。さらに作動部６４は、 先端に、リング状に屈曲した当接部６４ａを有し、この当接部６４ａは、前記係 合部７８の凹部に収容されている。

【００３４】 次に、装置全体の作動について述べる。

【００３５】 グリップ３４を持って操作レバー３０をセクタ２０に対して上方に回転させる 。すると、ケーブル３２が引っ張られ、車両のパーキングブレーキ（図示せず） が作動状態になる。

【００３６】 パーキングブレーキ作動状態では、操作ノブ４０がスプリング５０によって突 出方向に付勢され、レリーズ体６０を介してポール７０をセクタ２０の係合歯２ ０ａに係合付勢するように作用し、またケーブル３２からの牽引力による作用力 によって操作レバー３０が引っ張られ、ポール７０の爪部７４がセクタ２０の歯 部２０ａに強固に噛み合っている。

【００３７】 このパーキングブレーキ作動状態で、車両に搭乗している子供のいたずらや誤 動作等によって操作ノブ４０が操作レバー３０内に押し込まれると、レリーズ体 ６０が撓み、レリーズ体の先端部６２は図１中、ｆ方向に係合部７８に対して押 動力が働くが、上述したポール７０の爪部７４とセクタ２０の歯部２０ａとの噛 み合い力の方が強く、ポール７０が回動して爪部７４がセクタ３０の歯部２０ａ から離脱するという事態は起こらず、パーキングブレーキの作動状態は維持され る。

【００３８】 パーキングブレーキを意図的に解除したい場合には、図１において、グリップ ３４を持ち操作レバー本体３０を矢印方向に若干回転させ、ケーブル３２の張力 に抗して保持する。この時、ケーブル３２の張力はドライバによって保持されて いるので、ポール７０の爪部７４とセクタ２０の歯部２０ａの噛み合い力は無い 。

【００３９】 そして、この状態で操作ノブ４０をコイルスプリング５０の付勢力に抗して押 動すると、レリーズ体６０が撓み、レリーズ体６０の作動部６４によって図１中 、ｆ方向に係合部７８に対して押動力が働く。そうすると、ポール７０が回転軸 ７２の周りで時計方向に回動し、爪部７４を係合歯２０ａから遠ざけることがで き、両者の係合状態が解除されるので、操作レバー３０を初期位置に戻してブレ ーキの作動状態の解除が可能となる。

【００４０】 本実施例によれば、操作ノブ４０を突出付勢する付勢部材５０と弾性を有する レリーズ体６０とを組み合わせることにより、比較的少ない部品点数で誤動作防 止をすることができるパーキングブレーキ装置１０を得ることができる。

【００４１】 また、操作ノブ４０を操作レバー３０の下側に設けたことにより、より確実に 誤動作を防止することが可能である。

【００４２】 以上、本考案の好適な実施例について述べたが、本考案は前記実施例に限定さ れるものではなく、本考案の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。

【００４３】 例えば、操作ノブ４０を突出付勢させる部材としては、コイルスプリング５０ に限らず、図３に示すような、弾性片６６を設けても良い。

【００４４】 弾性片６６は、図３および図４に示すように、レリーズ体６０の操作ノブ４０ 側の端部付近にレリーズ体６０の一部を切り起こして設けられたほぼＬ字状の部 材である。すなわち、弾性片６６は、レリーズ体６０に端を発し、操作レバー３ ０の水平筒部３０ａ内に斜めに伸び、端部が下方に屈曲している。この屈曲部６ ６ａは水平筒部３０ａの上壁に圧接して、レリーズ体６０、およびレリーズ体６ ０に連結した操作ノブ４０を下方に付勢する。

【００４５】 また、レリーズ体６０は、図５に示すように、操作ノブ４０から操作レバー３ ０に設けられた回転軸７２までのレリーズ本体６２、このレリーズ本体６２を操 作レバー３０に設けられた回転軸７２に挿入固定する固定部６８および回転軸７ ２から係合部７８までの作動部６４をそれぞれ別体に形成し、これらを溶接など により連結する変形例も可能である。

【００４６】 ポール７０の係合部７８の変形例として、図６に示すように、支持部７６の下 方に軸方向の貫通孔を設けて、この貫通孔にレリーズ体６０の作動部６４の当接 部６４ａを嵌め込んで、係合部７８を構成することも可能である。

【００４７】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案のパーキングブレーキ装置においては、パーキン グブレーキの作動状態で誤動作等によって、操作ノブが押されても、レリーズ体 が撓むのみで、パーキングブレーキの解除が防止されるので、従来のパーキング ブレーキ装置例と比べて誤動作等によるブレーキ解除という不測の事態に対する 安全性が高いという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係るパーキングブレーキ装置
を示す概略断面図である。

【図２】操作ノブ、レリーズ体およびポールの構造を示
す分解斜視図である。

【図３】コイルスプリングの変形実施例である弾性片を
示す概略断面図である。

【図４】図３に示した弾性片を示す斜視図である。

【図５】レリーズ体の変形実施例を示す斜視図である。

【図６】ポールの係合部の変形実施例を示す概略説明図
である。

【図７】従来のパーキングブレーキ装置を示す概略断面
図である。

【符号の説明】

１０ パーキングブレーキ装置 ２０ セクタ ２２ 車体 ２４ 回転軸 ３０ 操作レバー ３２ ケーブル ４０ 操作ノブ ５０ コイルスプリング ６０ レリーズ体 ６２ レリーズ本体 ６４ 作動部 ６８ 固定部 ７０ ポール ７２ 回転軸 ７４ 爪部 ７６ 支持部 ７８ 係合部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 パーキングブレーキを作動するための操
   作レバーと、この操作レバーを回転自在に支持し、係合
   歯を外周に有する固定されたセクタと、前記操作レバー
   に回転軸を介して回転自在に支持され、一端に前記セク
   タに係合可能な爪部を有したポールと、前記操作レバー
   のグリップ部に出没自在に配置された操作ノブと、この
   操作ノブの移動によって前記ポールの爪部を係合態位と
   非係合態位とに回動変位させるレリーズ体と、前記操作
   ノブを突出付勢することで前記ポールの爪部を前記セク
   タに係合させるように付勢する付勢部材とを含むパーキ
   ングブレーキ装置において、 前記ポールは、前記回転軸が貫通する支持部と、前記操
   作ノブの押動力がレリーズ体を介して作用する係合部と
   を有し、 前記操作ノブは、前記操作レバー内に挿入されたレリー
   ズ体の先端に取り付けられ、前記操作レバーの半径方向
   に突出付勢して設置され、 前記レリーズ体は、操作レバーの半径方向に変形可能な
   弾性部材より成り、前記操作ノブと前記ポールを支持す
   る回転軸とを連結するレリーズ本体と、前記回転軸より
   延設され先端が前記ポールの係合部に当接可能な作動部
   とを有することを特徴とするパーキングブレーキ装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載のパーキングブレーキ装置
   において、 前記レリーズ体は、そのレリーズ本体と作動部とがリン
   グ状の固定部を介して連結され、かつこの固定部が前記
   ポールの回転軸に固定されていることを特徴とするパー
   キングブレーキ装置。