JPH0795736A - 電力系統監視制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 遠方監視制御装置を介して取り込んだ電力設
備データの妥当性のチェックを行い、妥当でないデータ
については削除を行うことにより、運用上のオペレータ
の負担を軽減する。 【構成】 電力系統監視制御装置を構成する電子計算機
に、変電所毎あるいは設備機器の種別毎の削除データ設
定手段を設け、この設定データと取り込んだ電力設備デ
ータとを照合して妥当性を判断する手段を設け、妥当性
のない電力設備データを削除することにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は電力系統の状態（しゃ断
器・断路器の入切状態、計測値等）情報を取込み、それ
らの情報に基づいて電力系統の設備・機器の監視・制御
を行う電力系統監視制御装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】電力系統は年々複雑・大規模化する傾向
にあり、しかもオペレータは電力系統監視制御装置を介
して電力系統の監視制御を行っている関係上、電力系統
監視制御装置抜きでは複雑・大規模化する電力系統の運
転が非常に困難なものとなっている。

【０００３】また、電力系統の複雑・大規模化に伴い電
力系統監視制御装置そのものについても同様に複雑・大
規模化する傾向にあり、同装置の開発に多大な資金、時
間を必要とし、また同装置のメンテナンスについても複
雑化の傾向にある。

【０００４】現在の電力系統監視制御装置は、通常シン
ボルで模擬した電力系統を画面表示するＣＲＴ表示装置
（以下ＣＲＴと略す）と電力系統の構成機器を操作する
信号を入力する操作卓を備えており、オペレータはＣＲ
Ｔ及び操作卓を用いることによって監視・制御対象とな
っている電力系統全域の監視制御を行っている。

【０００５】以下、従来の電力系統監視制御装置につい
て図４を参照して説明する。電力系統監視制御装置にお
いて、制御対象の電力系統構成機器であるしゃ断器や断
路器、切替スイッチ等の電力設備（図４では表現を省略
してある。）の入・切状態情報は遠方監視制御装置（以
下ＴＣと略す）１を介して電子計算機５に伝送される。
ＴＣ１は配電盤２、ＴＣ（子局）３、ＴＣ（親局）４と
いった幾つかの装置から構成され、それらを全て経由し
て電子計算機５に電力設備の情報を取込むことが可能と
なる。

【０００６】ＴＣ１からの電力設備情報は、電子計算機
５の内部に機能的に設けられるデータ取込み手段６によ
り取込み、編集データファイル７を介してデータ編集手
段８に渡り、そこで電子計算機内部コードに変換後、電
力設備データベース（以下ＤＢと略す）９に保存され
る。その後、前記電力系統情報は必要に応じて操作卓10
からオペレータが要求することによりＣＲＴ11あるいは
プリンタ12に出力される。

【０００７】また、電力設備を制御する場合はオペレー
タがＣＲＴ11及び操作卓10を用いて指示することによ
り、当該電力設備の操作が可能か否かの判断を表示・制
御出力手段13にて行い、操作が可能の場合には表示・制
御出力手段13にて制御信号に変換し、ＴＣ１に渡すこと
により上記電力設備情報の取込みとは逆のルートでＴＣ
１に制御信号を伝達し、電力設備の制御を行う。

【０００８】上記で述べたように電力系統監視制御装置
において、電力設備の監視、制御を行うための情報は、
幾つもの電力系統装置、伝送路等を経由しなければなら
ず、それらの装置、伝送路等の一つでも故障すると監
視、制御が実施できない状況になる。その様な状況に陥
ることを避けるために近年特に電力系統監視制御装置を
構成する各種装置、伝送路の二重化等を行い、電力設備
情報の信頼性向上に努めている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】電力設備の監視・制御
にて、従来の電力系統監視制御装置においては、作業や
試験等を実施するために本来の電力設備に変化が無いに
も係らず、変化が有ったかのごとき情報が発生すること
が判っている場合、あるいは作業ミスによる誤情報が発
生する恐れがある場合がある。

【００１０】そのような場合には事前にその旨を電力取
込み手段６に設定しておくことにより、設定された当該
電力設備の情報（例えば変電所に対応するＴＣ（子局）
からの情報）をソフトウェアにてロックし、その情報を
電子計算機内部５に取込まず捨てるようにしていた。し
かし事前にこのような設定ができない場合には効果がな
かった。すなわち偶発的な電力設備の異常（例えば、伝
送路異常、オーバーヒート等）が発生した場合は、デー
タ取込み手段６でのロックができず、異常な情報は電子
計算機に取込まれてしまい、この取込んだ情報は処理す
るしか方法がなかった。この為に、多量の誤情報が発生
すると電子計算機５の負荷が非常に高くなり、処理の遅
れや場合によっては、ファイルエリアが一杯となるため
処理抜けにつながることもあった。

【００１１】電力系統は年々複雑・大規模化しており、
電力系統監視制御装置を用いて監視制御を行う電力系統
の範囲が増大すれば、制御対象となる電力設備も合わせ
て増設され、そのハードあるいはソフト増設時に誤って
多量の誤情報を発生させてしまうこともある。

【００１２】この様な誤情報は変電所（ＴＣ子局）単
位、あるいは設備種別単位（同一種別の設備情報をまと
めて伝送する場合）に発生する場合が多く、この様な多
量の誤情報が発生している場合、その情報の処理が完了
するまで、緊急を要する制御が受付けられない場合もあ
り、また長時間必要なデータの処理が待たされたり、誤
情報の中に紛れてしまう為、オペレータが正常なデータ
の情報を認識するまでに非常に時間がかかり、正しい電
力系統の運用が非常に困難となっていた。

【００１３】本発明はオペレータが誤情報の発生してい
る変電所、あるいはまとまった設備の異常系統の処理に
注意をとらわれることなく、系統運用全般に注意を注ぐ
ことが可能なように、電子計算機内部に誤情報を取込ん
だ後でも情報（データ）の妥当性チェックを行うことで
誤情報を削除できる機能を備えた電力系統監視制御装置
を提供することを目的とする。

【００１４】

【課題を解決するための手段】〔請求項１〕に記載の発
明は、電力系統を構成する電力設備の状態情報を遠方監
視制御装置を経由して取込んだデータを電子計算機内部
コードに変換したうえで編集・保存し、一方、操作卓か
ら電力系統機器の制御要求を遠方監視制御装置へ伝達す
るための信号変換および入出力を行い、前記電力系統情
報をＣＲＴ表示装置やプリンタ装置で表示出力する電力
系統監視制御装置において、変電所毎の削除データ設定
手段と、遠方監視制御装置より伝送されたデータが運用
で使用可能なものか否かの妥当性チェックを行い妥当性
のないデータは削除する手段とで設けるようにしたもの
である。

【００１５】〔請求項２〕に記載の発明は、請求項１に
示す内容において、設備機器の種別毎の削除データ設定
手段とデータ削除チェック手段により構成するものであ
る。〔請求項３〕に記載の発明は、請求項１に示す手
段、および請求項２に示す手段を備え請求項１の手段お
よび請求項２の手段のいずれか一方の動作により、デー
タを削除するようにしたものである。

【００１６】〔請求項４〕に記載の発明は、請求項１に
示す手段、および請求項２に示す手段を備え請求項１の
手段および請求項２の手段の両者が同時に動作した場合
にデータを削除するようにしたものである。

【００１７】

【作用】本発明は電力系統状態情報をＴＣ経由取込んだ
電力系統状態情報が異常であった場合に備え、その取込
んだデータが運用で使用可能なものか否かの妥当性チェ
ックを行い、妥当性のないデータについては削除するこ
とにより、オペレータの負担を軽減させるようにしたも
のである。

【００１８】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳述
する。図１は本発明における電力系統監視制御装置〔請
求項１〕の構成例を示すものである。

【００１９】図１において、図４と同一部分については
同一符号を付して説明を省略する。電子計算機５の内部
には操作卓11から入力されたデータ削除対象の変電所Ｎ
o.を設定するための削除データ設定手段13と、設定され
たデータ削除対象変電所Ｎｏ．を保存するためのデータ
削除対象変電所Ｎｏ．ファイル15と、編集待データファ
イル７に保存されたデータから、上記データ削除対象変
電所に該当するデータを削除し、データ編集手段８に受
け渡すための削除チェック手段16とを新たに設ける。

【００２０】以下、図１から図３までを用いて作用の説
明を行う。次に、実施例の作用について説明する。図１
において、ＴＣ１からの電力系統状態情報は、データ取
込み手段６にて電子計算機５に取込まれ、編集待ちデー
タファイル７を介してデータ編集手段８にて電力設備デ
ータベース９に保存される。保存された当該電力系統状
態情報はオペレータの要求等に応じてＣＲＴ11に電力系
統図として表示し、あるいはプリンタ12に事故・操作記
録として印字する。

【００２１】また、データ取込み手段６にて取込まれた
情報が偶発的な電力設備の異常（例えば伝送路異常、オ
ーバーヒート等）と多量の状変が発生したこと等によ
り、オペレータが異常と判断した場合は、この異常な情
報がＣＲＴ11及びプリンタ12に表示出力されないように
操作卓11よりデータ削除対象の変電所Ｎo.を入力するこ
とによりデータ削除チェック手段16にてデータ削除対象
として認識し、編集待ちデータファイル７より異常デー
タを削除し、正常なデータのみ電力設備データベース９
に保存する。

【００２２】図２−（１）はＣＲＴ11及び操作卓10を用
いて入力されたデータ削除対象変電所Ｎo.ファイル15の
保存例を示し、図２−（２）はデータ取込み手段６にて
ＴＣ１より取込んだ電力系統状態情報を編集待データフ
ァイル７に保存した保存例を示したものである。

【００２３】オペレータは瞬時に多量の誤情報が発生し
た場合あるいは誤情報が継続して発生しているため当該
変電所の状態情報が信頼できないと判断した場合、電子
計算機５に既に取込んであり処理待状態にある編集待デ
ータファイル７上の誤情報の削除を行う為に、ＣＲＴ11
及び操作卓10を用いデータ削除対象の変電所Ｎo.を入力
する。ここで入力した変電所Ｎo.は入力した時点で削除
データ設定手段14により図２−（１）に示すような形式
でデータ削除対象変電所Ｎo.ファイル15に保存される。

【００２４】図３−（２）は編集待データファイル７の
構成を示したものであり、電力設備のひとつの状態変化
情報（以下状変と略記する）毎にその状変が発生した変
電所Ｎo 、状変アドレス（ワードＮo 、ビットＮo ）、
状変方向（ＯＮ…１，ＯＦＦ…０）が判るような形式で
保存されている。図２−（２）において、欄外の×印は
削除される状変データであることを示す。

【００２５】データ削除チェック手段16の処理内容即ち
データ削除の為のチェックの具体的方法を以下に説明す
る。オペレータは例えばＴＣ（子局）３、伝送路等の異
常の為に、ある変電所からの状態情報が信頼できないと
判断した場合、ＣＲＴ11及び操作卓10を用いてデータ削
除の指定を行う。データ削除指定が行われた場合、デー
タ削除チェック手段16が編集待データファイル７上の全
ての状変データについてチェックし、削除要のデータを
編集待データファイル７より削除し正常なデータのみデ
ータベース９に保存することにより不必要な情報の処理
を行わない様にするものである。

【００２６】図２の例の場合、データ削除対象変電所Ｎ
o.ファイル15で削除指定された、変電所Ｎo.５，10の情
報については編集待ちデータファイルより全て削除さ
れ、ＣＲＴ11、プリンタ12に対しては表示出力されなく
なる。

【００２７】図３は、データ削除チェック手段16の詳細
処理をフローチャートとして表わしたものであり、以下
で説明する。ステップＳＴ１においては以下の処理を行
う電子計算機５のデータ取込み手段６にてＴＣ１より取
込み、かつ編集待ちデータファイル７で処理待状態にあ
る変電所の誤情報の削除を行うため、操作卓11より入力
したところのデータ削除対象変電所Ｎo.ファイル８Ａに
保存されているデータ削除対象変電所Ｎo.を取り出す。

【００２８】ステップＳＴ２は、ステップＳＴ１で１つ
取り出したデータ削除変電所Ｎo.と編集待ちデータファ
イル７に保存されている編集待ちデータとを若い番号順
に最後までチェックする処理である。実際のチェック処
理については、以降ステップＳＴ３からステップＳＴ５
で述べる。

【００２９】ステップＳＴ３では編集待ちデータファイ
ル７に保存され処理待状態にある変電所情報について
は、データ削除チェック手段16にて変電所Ｎo.の一致、
不一致をチェックし、処理待情報がデータ削除対象の情
報であるか否かの判定を行う。

【００３０】前記変電所Ｎo.が一致していない場合
（Ｎ）は、ステップＳＴ４へ移り、ＣＲＴ11及びプリン
タ12への表示出力対象と看做し、処理待データファイル
７から当該情報を削除せず従来通りデータ編集手段８に
てデータ編集を行い、電力設備データベース９へ保存す
る。

【００３１】またステップＳＴ３にて前記変電所Ｎo.が
一致している場合（Ｙ）はステップＳＴ５へ移り、編集
待ちデータベース７より該当データを削除し、電力設備
データベース９へ保存しない。

【００３２】ステップＳＴ６は以上の処理をデータ削除
対象変電所Ｎo.ファイル15に設定されている全変電所に
ついて実施したか否かのチェックを行い、完了した場合
は処理を終了する。

【００３３】従来からの遠方監視制御システムでは一般
に変電所単位に伝送装置が割り当てられており、また設
備の点検なども変電所単位で行われることが多い、その
ため誤情報は変電所単位に発生する可能性が高い。

【００３４】本発明により多量の誤情報が特定の変電所
に発生した場合も当該特定の変電所Ｎo.を入力すること
で誤情報は削除される為、オペレータは正しい情報のみ
確実に認識でき、緊急な制御が待たされることもなくな
る。

【００３５】以上、特許請求の範囲〔請求項１〕につい
て説明したが、〔請求項２〕では、設備機器の種別単位
にデータを削除する方法とした。例えばガス絶縁開閉装
置（ＧＩＳ）等の設備は関連する情報が非常に多く、設
備単位に情報がまとめられて伝送されることが一般的で
ある。従って、本方法によれば関連する情報を同一種別
として区分けすることで、〔請求項１〕で述べてことと
同様の効果が得られる事は明白である。

【００３６】同様に〔請求項３〕〔請求項４〕に示す如
く２つの手段の一方あるいは両方の動作によりデータを
削除する方法でも良い事は明白であるため詳しい説明は
省略する。

【００３７】

【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば電
力系統状態情報をＣＲＴを用いて監視制御する際に、一
部変電所の配電盤、ＴＣ（子局）装置等の異常や、ＧＩ
Ｓ等のまとまった設備の異常により、電力系統全般の監
視・制御が不能となる要因を取り除くことが可能となる
為、早期に正常な運用が可能となり、オペレータの負担
を軽減させ、事故時における適切な処置を行わせること
により重大事故の発生を未然に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による電力系統監視制御装置の一実施例
を示すブロック図。

【図２】データ削除対象変電所Ｎo.ファイルと、編集待
データファイルの構成例図。

【図３】データ削除処理を行う際の処理を表わすフロー
チャート。

【図４】従来の電力系統監視制御装置を示すブロック
図。

【符号の説明】 １…遠方監視制御装置 ５…電子計算機 ６…データ取込み手段 ７…編集待データファイル ８…データ編集手段 ８Ａ…データ削除対象変電所Ｎo.ファイル ９…電力設備データベース 10…操作卓 11…ＣＲＴ 12…プリンタ 13…表示・制御出力手段 14…削除データ設定手段 16…データ削除チェック手段

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電力系統を構成する各設備機器の情報
   （以下電力系統情報と略す）を遠方監視制御装置経由取
   込むデータ取込み手段と、取込んだデータを電子計算機
   内部コードに変換し、編集・保存するデータ編集手段
   と、電力系統機器へ制御要求を遠方監視制御装置へ伝達
   するための信号変換と入出力とを行うための表示・制御
   出力手段と、前記電力系統情報を表示出力する表示出力
   端末装置及び操作入力を行う操作卓とからなる電力系統
   監視制御装置において、変電所毎の削除データ設定手段
   と、データ削除チェック手段と、遠方監視制御装置経由
   取込んだデータが運用で使用可能なものか否かの妥当性
   チェックを前記削除データ設定手段で設定されたデータ
   を用いて行い、妥当性のないデータは削除する手段とを
   備えた電力系統監視制御装置。
2. 【請求項２】 請求項１において、変電所毎の削除デー
   タ設定手段に代えて設備機器の種別毎の削除データ設定
   手段を設けたことを特徴とする電力系統監視制御装置。
3. 【請求項３】 請求項１において、設備機器の種別毎の
   削除データ設定手段を備え、変電所毎の削除データ設定
   手段で設定されたデータあるいは設備機器の種別毎の削
   除データ設定手段で設定されたデータを用いて妥当性の
   チェックを行い、妥当性のないデータ削除を行う手段を
   備えた事を特徴とする電力系統監視制御装置。
4. 【請求項４】 請求項３において、変電所毎の削除デー
   タおよび設備機器の種別毎の削除データの双方に該当す
   るデータについて妥当性チェックを行い、妥当性がない
   データ削除を行う手段を備えた事を特徴とする電力系統
   監視制御装置。