JPH0794635B2 - 水性顔料分散ペースト、その製造方法、および、水性塗料組成物の製造方法 - Google Patents

水性顔料分散ペースト、その製造方法、および、水性塗料組成物の製造方法

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JPH0794635B2
JPH0794635B2 JP2116393A JP11639390A JPH0794635B2 JP H0794635 B2 JPH0794635 B2 JP H0794635B2 JP 2116393 A JP2116393 A JP 2116393A JP 11639390 A JP11639390 A JP 11639390A JP H0794635 B2 JPH0794635 B2 JP H0794635B2
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洋行 景山
敏勝 小林
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    • C09D7/40Additives
    • C09D7/45Anti-settling agents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、水性塗料等を製造する際に予め顔料を水性
媒体に分散させておく水性顔料分散ペーストおよびその
製造方法に関し、さらには、同ペーストを用いた水性塗
料組成物の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
水性塗料を製造する場合、通常、予め顔料を水性媒体に
分散させた水性顔料分散ペーストが用いられている。こ
れは、顔料を含む全塗料成分をいちどに分散すると、分
散工程という、多大のエネルギーを消費する工程が長く
なり、生産効率が著しく低下するからである。このた
め、分散剤を用いて顔料を予め高濃度で水性媒体中に安
定に分散させておくのである。
このようなペーストに用いられる分散剤としては、 アニオン性、カチオン性またはノニオン性の低分子
量界面活性剤、 中程度ないしは高分子量の重合体(樹脂)、が代表
的である。上記中程度ないしは高分子量の重合体におい
ては、(メタ)アクリル酸単量体などに基づく酸性官能
基を有するアニオン性重合体(たとえば、特開昭50−15
4328号公報参照)や4級スルホニウム基などの塩基性官
能基を有するカチオン性重合体(たとえば、特開昭63−
23919号公報参照)などが一般的である。
また、特開昭59−227940、60−81252、60−81253、60−
86171、60−92360、60−123563、61−235466、63−1547
76、63−35613各号公報に見られるように、酸性、塩基
性の両方の官能基を有する重合体も公知である。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記界面活性剤は、分子量が低いため顔料の分散安定性
が不充分である上、塗膜中に残存することにより耐水
性、耐食性などの塗膜性能に悪影響を与えるという欠陥
がある。
この欠陥は、上記の中程度ないしは高分子量の重合体
を用いることにより、分散剤自身が塗膜中のバインダー
成分に組み込まれてしまうようにすることで改善され
る。しかしながら、上記従来の重合体は、アニオン性重
合体においては当量以上の塩基性化合物で、カチオン性
重合体は当量以上の酸性化合物で中和して水溶化させる
のが一般的であり、その結果、各樹脂水溶液は、アニオ
ン性樹脂においては塩基性を示し、カチオン性樹脂にお
いては酸性を示すことになる。
良く知られているように、顔料粒子の種々の水溶液中に
おける帯電の状況は、その水溶液のpHが顔料の等電点よ
り酸性側では正帯電を、塩基性側では負帯電を示し、多
くの塗料用顔料においてはその等電点が中性領域にある
ことからアニオン性重合体水溶液中では先述したように
溶液は塩基性を示すので、顔料粒子は負帯電し、樹脂の
負電荷と静電的斥力を生ずるため、樹脂の吸着による分
散安定化は不十分であり、分散性不良、分散安定性不良
が起こるという欠点がある。
同様にカチオン性重合体溶液中でも顔料は正帯電し、樹
脂の正電荷との間に静電的斥力を生じるため、樹脂の吸
着による分散安定化は不十分であり、分散性不良、分散
安定性不良が起るという欠点がある。
さらに、特開昭59−227940、60−81252、60−81253、60
−86171、60−92360、60−123563、61−235466、63−15
4776、63−35613各号公報においては、アニオン性重合
体に塩基性官能基を導入し、上記欠点を改善する試みが
なされているが、中和に用いる塩基性化合物の解離が優
先し、実質的に樹脂の塩基性官能基の解離が生じにく
く、樹脂と顔料の間に静電的引力が発現するには至ら
ず、やはり樹脂の吸着による分散安定化は不十分とな
り、顔料の分散性、分散安定性は不良である。
そこで、この発明は、顔料の分散性不良および分散安定
性不良が起こらず、しかも、塗膜性能に悪影響を与えな
いようにすることができる水性顔料分散ペーストを提供
することを第1の課題とし、その製造方法を提供するこ
とを第2の課題とする。さらに、この発明は、そのよう
な水性顔料分散ペーストを用いた水性塗料組成物の製造
方法を提供することを第3の課題とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記第1の課題を解決するために、請求項1記載の発明
にかかる水性顔料分散ペーストは、顔料、酸性官能基お
よび塩基性官能基を併せて有する樹脂、ならびに、水性
媒体を含み、前記樹脂がその酸性官能基の塩基性化合物
による中和で可溶化されて前記水性媒体に溶解し、同樹
脂の働きにより顔料が水性媒体中に分散している水性顔
料分散ペーストであって、前記樹脂の塩基性官能基のpK
b値が前記塩基性化合物のpKb値以下であることを特徴と
する。
上記第2の課題を解決するために、請求項2記載の発明
にかかる水性顔料分散ペーストの製造方法は、酸性官能
基および塩基性官能基を併せて有する樹脂を、前記酸性
官能基を塩基性化合物で中和して水性媒体に溶解させ、
同樹脂の働きにより顔料を水性媒体中に分散させて水性
顔料分散ペーストを製造する方法において、前記樹脂の
塩基性官能基のpKb値が前記塩基性化合物のpKb値以下で
あることを特徴とする。
上記第3の課題を解決するために、請求項3記載の発明
にかかる水性塗料組成物の製造方法は、顔料、酸性官能
基および塩基性官能基を併せて有する樹脂、ならびに、
水性媒体を含み、前記樹脂がその酸性官能基の塩基性化
合物による中和で可溶化されて前記水性媒体に溶解し、
同樹脂の働きにより顔料が水性媒体中に分散している水
性顔料分散ペーストの形で顔料を配合するようにしてお
り、前記樹脂の塩基性官能基のpKb値が前記塩基性化合
物のpKb値以下であることを特徴とする。
この発明において、顔料を水性媒体に分散するための分
散剤として用いる樹脂は、アクリル樹脂、ポリエステル
樹脂、ポリウレタン樹脂等、基本的に水溶性の樹脂であ
ればよく、分子中に酸性官能基と塩基性官能基の両方を
持っている必要がある。
酸性官能基は、塩基性化合物により中和されて樹脂を水
性媒体に可溶化させる。このため、樹脂は、特に限定さ
れるものではないが、酸価が10〜200の範囲内となるよ
うに酸性官能基を有していることが好ましい。酸価が、
前記範囲の上限を上回ると塗膜の耐水性、耐食性などの
性能が不良となるおそれがあり、下限を下回ると樹脂が
全く水に溶解しないか、または、溶解性が不充分で均一
な水性顔料分散ペーストが得られないおそれがある。前
記酸性官能基は、脱離しうる水性原子を持つ官能基であ
り、たとえば、カルボキシル基、スルホン基等が挙げら
れる。
また、塩基性官能基は、たとえば、後述するように、塩
基性の水性媒体中において解離し正の電荷を発現して、
同水性媒体中で負に帯電している顔料と静電的な引力を
発揮する。このため、樹脂は、特に限定されるものでは
ないが、樹脂固形分中の塩基濃度が0.1mmol/g〜1.7mmol
/gの範囲内となるように塩基性官能基を有していること
が好ましい。樹脂固形分中の塩基濃度が、前記範囲の上
限を上回ると樹脂分子同士の会合でビヒクル粘度が大き
くなり、通常の分散機では分散できなくなるおそれがあ
り、下限を下回ると樹脂の正電荷による顔料への吸着が
実質的に生じないおそれがある。塩基性官能基は、水素
と結合しうる官能基であり、たとえば、非共有電子対を
持つ窒素を有する基などが代表的であり、前記非共有電
子対を持つ窒素を有する基としては、たとえば、一級,
二級,三級アミノ基、イミノ基などが挙げられる。
なお、前記樹脂の酸性官能基および塩基性官能基はそれ
ぞれモノマーに由来する。たとえば、樹脂に酸性官能基
を持たせるモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル
酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、無水フタ
ル酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、テトラク
ロル無水フタル酸などが挙げられる。また、樹脂に塩基
性官能を持たせる方法としては、たとえば、次式 〔ここで、R1はHまたはCH3、R2〜R6はそれぞれ独立に
水素原子または炭素数6個以下のアルキル基を表し、n
は2〜8の整数である。〕 で表される塩基性アクリルモノマーを用いてアクリル系
樹脂を合成する方法や、樹脂のカルボキシル基を2−ヒ
ドロキシエチルエチレンイミンなどのイミン化合物を用
いて変性する方法などが好適である。酸性官能基含有モ
ノマー、塩基性官能基を持たせる方法はそれぞれ1以上
使用することができる。
上記(I)式で示される塩基性アルカリモノマーとして
は、たとえば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アク
リレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アク
リレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレ
ートなどが具体例として挙げられ、上記(II)式で示さ
れる塩基性アクリルモノマーとしては、たとえば、N,N
−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N
−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなど
が具体例として挙げられる。
上記酸性官能基含有モノマーおよび塩基性官能基含有モ
ノマーに加えて、その他の重合性モノマーをコモノマー
として用いてもよい。同重合性モノマーの使用割合は、
たとえば、樹脂固形分の10〜90重量%とされ、重合性モ
ノマーとしては、たとえば、エチレン性不飽和単量体、
ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、多官能
性エポキシ化合物などが使用されうる。
これらのモノマーを用い、重合を行うのであるが、その
やり方は従来公知の重合体を得るための重合方法と同じ
でよい。なお、モノマーの比率を塩基性官能基含有モノ
マーと酸性官能基含有モノマーとの比率が1/10〜1/1
(モル比)となるように設定するのが好ましい。この範
囲を外れると樹脂の正電荷による顔料への吸着が実質的
に生じなかったり、塩基性化合物の中和により樹脂が水
性媒体中に均一に溶解しなくなるおそれがある。また、
重合の際に、上記モノマーの他に、必要に応じて、水、
水溶性有機溶媒、重合開始剤、重合反応触媒、連鎖移動
剤などを1以上用いることができる。酸性官能基含有モ
ノマーおよび塩基性官能基含有モノマーをそれぞれ重合
しておいてからブロック重合したり、それらの一方のみ
を重合しておいてから、他方をグラフト重合するように
してもよい。
得られた樹脂の分子量は特に制限はないが、たとえば、
数平均分子量1,000〜100,000の範囲内であることが好ま
しい。前記の範囲の上限を上回るとビヒクル粘度が大き
くなり、通常の分散機では分散できなくなるおそれがあ
り、下限を下回ると分散安定化に充分な樹脂吸着層の厚
みが得られず、分散性不良、分散安定性不良を生ずるお
それがあり、また、低分子量界面活性剤のような塗膜性
能の不良を生ずるおそれもある。
前記酸性官能基の中和に用いる塩基性化合物としては、
たとえば、エタノールアミンなどの一級アミン;ジエタ
ノールアミンなどの二級アミン;トリエタノールアミ
ン、ジメチルエタノールアミンなどの三級アミンなど、
窒素原子含有の塩基性化合物が挙げられ、1以上の化合
物が使用されうる。塩基性化合物の使用割合は、特に限
定されないが、樹脂の十分な溶解度を達成するためには
中和率が100%もしくはそれ以上になるように設定され
ることが好ましい。中和率100%未満だと樹脂の溶解度
が不十分になり、樹脂が析出したり、分散性不良、分散
安定性不良を生じるおそれがある。
なお、上記樹脂の酸性官能基の中和に用いる塩基性化合
物のpKb値(塩基強度=塩基解離定数の逆数の常用対
数。以下同じ)をb1とし、上記樹脂の塩基性官能基のPK
b値をb2とすると、 b1≧b2 …(III) が成立するように、樹脂および塩基性化合物を選択する
必要がある。
塩基のpKb値は、たとえば、次のようにして求められ
る。
塩基Bの水中での解離、 B+H2O=BH++OH- …(a) に対するpKb値は、 と表すことができるから、 を得る。
半当量点(塩基が全当量数の1/2中和された点)では、 〔BH+〕=〔B〕 …(d) である。従って、半当量点では、 pKb=−log〔OH-〕 …(e) となる。
水の自己解離定数をKWとすると pKW=−log〔H+〕・〔OH-〕 =−log〔H+〕−log〔OH-〕 …(f) であるから、(e)式は、 pKb=pKW+log〔H+〕 =14−pH …(g) となる。
以上のように、塩基Bを適当な酸で中和滴定し、その半
当量点でのpHから塩基Bの解離強度pKb値を求めること
ができる。
この発明において、用いられる顔料は、酸化チタン、カ
ーボンブラック、酸化鉄などの無機顔料やキナクリド
ン、フタロシアニン、ペリレン、イソインドリノンなど
の有機顔料などの着色顔料;炭酸カルシウム、硫酸バリ
ウムなどの体質顔料;ジンククロメート、ストロンチウ
ムクロメートなどの防錆顔料など特に限定はない。
水性媒体とは、水、または、水に水溶性有機溶媒を溶解
してるなる水−有機溶媒混合溶液などである。後者の場
合、水と有機溶媒との割合は、特に制限はないが、有機
溶媒の含有量は、混合溶液の50重量%以下が好ましい。
この範囲を外れると実質的に水性塗料を構成できないお
それがある。有機溶媒としては、ブチルセロソルブ、ブ
チルジグリコールなど、水溶性のものであれば特に限定
はない。
顔料、上記樹脂および水性媒体の配合割合は、たとえ
ば、次のように設定される。顔料100重量部(以下、
「重量部」を単に「部」と言う)に対して、樹脂10〜10
00部、水性媒体50〜5000部が好ましい。樹脂が前記範囲
の上限を上回るとこの水性分散ペーストを配合して得ら
れる水性塗料組成物による着色が充分でないおそれがあ
り、下限を下回ると充分な顔料分散性、分散安定性が得
られないおそれがある。水性媒体が前記範囲の上限を上
回ると所定量の顔料を分散するのに多量の分散ペースト
を分散する必要が生じることから生産効率低下のおそれ
があり、下限を下回ると分散ペーストの粘度が高くなり
通常の分散機では分散できないおそれがある。
この発明では、水性顔料分散ペーストに上記必須成分以
外にも、必要に応じて、消泡剤、防腐剤、防錆剤、可塑
剤などの添加剤を配合することが可能である。その配合
量は、顔料の分散安定性などを考慮すると、たとえば、
顔料100部に対して50部以下とされる。
水性顔料分散ペーストを調整するには、上記必須成分を
用いること以外は、従来のやり方、装置を利用できる。
得られた水性顔料分散ペーストは、顔料が非常に良く分
散しており、しかも、長期間(たとえば、12か月)その
分散状態が保たれる。
この発明の水性顔料分散ペーストは、水性塗料のビヒク
ルとして通常用いられる水溶性樹脂、水分散性樹脂、水
系エマルションなどとの混和性が良く、同ペーストをこ
れらの樹脂に溶解して、水性塗料組成物を得ることがで
きる。この場合、上記顔料の分散に用いる樹脂および/
または中和に用いる塩基性化合物も配合することもでき
る。このようにすると、溶解時のショックによる顔料凝
集を防止できるという利点がある。なお、水性塗料組成
物を得るための配合は、たとえば、水性顔料分散ペース
トを10〜100部、水溶性樹脂を10〜500部、水溶性硬化剤
を3〜50部、水性媒体を10〜500部とされる。水性塗料
組成物を得るには、たとえば、従来と同様の方法、装置
を用い、同様の条件で行うことができる。
得られた水性塗料組成物は、従来のものに比べて、着色
性、光沢などの外観特性や塗料の沈降、凝集などに対す
る安定性に優れるという利点がある。
〔作用〕
上記樹脂の酸性官能基を塩基性化合物で中和して樹脂を
水溶化する場合、充分な溶解度を達成するためには、中
和率を100%もしくはそれより大きくする必要がある。
このような中和を行うと、水性媒体のpHは塩基性(たと
えばpH≧8)になる。顔料の水性媒体中での荷電状態
(ξ電位)と水性媒体のpHとの関係は、一般的に、酸性
領域ではξ電位がプラスであり、塩基性領域ではξ電位
がマイナスである。したがって、水性媒体が塩基性の場
合には、樹脂の酸性官能基の残基(酸残基:負に帯電し
ている)と顔料の間には静電的な引力は作用せず、この
力による樹脂吸着は生じない。
そこで、樹脂には、酸性官能基だけでなく、塩基性官能
基も導入しているのである。しかし、従来のように、塩
基性官能基を樹脂に導入しただけでは、中和に用いる塩
基性化合物が共存する雰囲気では塩基性化合物の解離が
優先して樹脂の塩基性官能基がほとんど解離せず、結果
として樹脂中に正の電荷は生じない。
ところで、2種の塩基が共存した場合の解離平衡を考え
ると、次のようになる。ただし、b1はB1OHのpKb値、b2
はB2OHのpKb値である。
同一の水性媒体中では、上式(1)および(2)におけ
る〔OH-〕が等しいことから、 となり、中和に用いる塩基性化合物のpKb値(b1)と、
樹脂に導入する塩基性官能基によるpKb値(b2)との関
係をb1≧b2とすることにより、樹脂の塩基性官能基が解
離し正電荷を発現する効率を; 〔B2 +〕/〔B2OH〕≧〔B1 +〕/〔B1OH〕 とすることができる。
したがって、樹脂に電荷が発現し、顔料の電荷との
相互作用により、樹脂吸着が進行し、分散安定性が達成
できる。
なお、この発明で用いる上記樹脂が上記の低分子量界
面活性剤とは違って塗膜性能に悪影響を与えないのは、
高分子量であるため塗膜中のバインダー成分に組み込ま
れてしまい、塗膜外へ脱離してこないからである。ま
た、上記の従来の樹脂と違って分散性不良、分散安定
性不良を引き起こさないのは、樹脂の塩基性官能基が解
離し、それに基づく正電荷により樹脂が負電荷の顔料に
強固に吸着し、吸着樹脂層の障害により、顔料粒子同士
の凝集が防止されるからである。
〔実 施 例〕
以下に、この発明の具体的な実施例および比較例を示す
が、この発明は下記実施例に限定されない。なお、「重
量部」を単に「部」と記した。
ポリマーAおよびBの調製 2の反応容器にブチルセロソルブ480部を入れ、加熱
して120℃にした。この中に、 の割合の混合物(A)を3時間かけて滴下し、窒素雰囲
気下で反応を行った。滴下終了後、120℃に1時間保っ
た後、t−BPOが0.1部、BCが82部の割合の混合物(B)
を30分かけて滴下し、数平均分子量23000(GPC:ゲル浸
透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算)、酸価
62、および、不揮発分56%のポリマーAの溶液を得た。
このポリマーAの溶液400部を1の反応容器にとり、8
0℃に昇温した後、2−ヒドロキシエチルエチレンイミ
ン4.26部およびBC44.26部の割合の混合物(C)を30分
かけて滴下し、不揮発分52%、酸価49および樹脂固形分
中の塩基濃度0.18mmol/gのポリマーBの溶液を得た。
このポリマーBは、酸性官能基としてカルボキシル基
を、塩基性官能基として三級アミノ基を有し、塩基性官
能基の塩基強度(塩基解離定数の逆数の常用対数)pKb
値は6.0であった。
ポリマーCの調製 ポリマーAの調製において、混合物(A)の代わりに下
記の混合物(D) を、混合物(B)の代わりにt−BPO0.1部およびBC160
部からなる混合物(E)を用いた他は上記ポリマーAの
調製と同じ方法により、酸価62、樹脂固形分中の塩基濃
度0.38mmol/g、数平均分子量18000および不揮発分51%
のポリマーCの溶液を得た。
前記ポリマーCは、酸性官能基としてカルボキシル基
を、塩基性官能基として三級アミノ基を有し、塩基性官
能基の塩基強度(塩基解離定数の逆数の常用対数)pKb
値は4.8であった。
−実施例1,2および比較例1〜3− 第1表に示す配合で、水性顔料分散ペーストを作製し
た。顔料の分散は、0.2の卓上型サンドミルを用いて2
000rpmで2時間撹拌することにより行った。
得られた分散ペーストに対してグラインドゲージ試験
(JIS K5400)を行い、グレンサイズを求めた。また、
製造直後の分散ペースト、および、分散ペーストの状態
で40℃、2週間貯蔵したものに対し、コーンプレート型
粘度計(東京計器(株)製、E型)を用いて、ずり速度
を1.92sec-1から384sec-1まで変化させて粘度測定を行
い、ケイソン(Casson)の式により降伏値を求めた。グ
レンサイズおよび降伏値の測定値を第1表に併せて示し
た。
実施例1および2の各分散ペーストは、顔料の分散に用
いる樹脂と中和に用いた塩基性化合物との塩基強度pKb
値が上記(III)式の関係を満足しているので、グレン
サイズが十分に小さくなっており、良好な流動性が得ら
れており、また、貯蔵による流動性の悪化も観測されな
かった。他方、塩基性官能基を導入していない樹脂を用
いた比較例1や、中和に用いた塩基性化合物と顔料の分
散に用いる樹脂の塩基性官能との塩基強度が上記(II
I)式の関係を満足していない比較例2および3では、
そのような効果が得られず、また貯蔵安定性も不良であ
った。
−実施例3,4および比較例4〜6− 上記実施例および比較例の分散ペーストを用い、第2表
に示す配合で黒色塗料エナメル(水性塗料組成物)を調
製した。得られた塗料エナメル、および、塗料エナメル
を40℃で40℃で2週間貯蔵したものを5ミルのドクター
ブレードを用いてガラス板に塗布し、150℃で30分間焼
付けして塗膜を得た。
各塗膜の20゜鏡面光沢値を調べ、第2表に示した。
第2表みるように、実施例3および4の塗料は、比較例
4〜6のものに比べて高い光沢が得られた。また、比較
例4〜6のものが貯蔵により、光沢が減少したのに対
し、実施例3および4の塗料は良好な貯蔵安定性を示し
た。
なお、ここに示した実施例のように、あとから入ってく
る樹脂の中和に用いる塩基性化合物のpKb値も(III)式
を満足する方が、良好な結果が得られる。ただし、仮に
後から入ってくる塩基が(III)式を満足していなくて
も、この発明の分散ペーストを用いることにより、比較
例1〜3のような分散ペーストを用いた場合より良好な
結果が得られるのである。
−実施例5および比較例7− 第3表に示す配合で白色塗料bwおよびcwを作製した。
この白色塗料bwに実施例4の黒色塗料エナメルを、白色
塗料cwに比較例4の黒色塗料エナメルを第4表に示す割
合で混合し、グレー塗料を得た。
得られた塗料を5ミルのドクターブレードでガラス板に
塗布した。塗布後30分間放置し、塗膜の一部分を指でこ
すった(ラビングテスト)後、150℃で30分間焼付け
し、硬化塗膜を得た。
得られた硬化塗膜のうち、先に指でこすった部分とこす
らなかった部分の色差を色差計で測定した。結果を第4
表に示した。
第4表にみるように、実施例5の塗料は、比較例7のも
のに比べて色差が小さく、良好な混色安定性が得られ
た。
〔発明の効果〕
請求項1記載の発明にかかる水性顔料分散ペーストは、
以上に述べたようなものであるので、顔料の分散性およ
び分散安定性が良好で、しかも、塗膜性能に悪影響を与
えないようにすることができる。
請求項2記載の発明にかかる水性顔料分散ペーストの製
造方法は、以上に述べたようになっているので、上記の
ような優れた水性顔料分散ペーストを得ることができ
る。
請求項3記載の発明にかかる水性塗料組成物の製造方法
は、上記のような優れた水性顔料分散ペーストを用いる
ので、高い光沢を有し、また、良好な混色安定性や貯蔵
安定性を示す水性塗料組成物を得ることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】顔料、酸性官能基および塩基性官能基を併
    せて有する樹脂、ならびに、水性媒体を含み、前記樹脂
    がその酸性官能基の塩基性化合物による中和で可溶化さ
    れて前記水性媒体に溶解し、同樹脂の働きにより顔料が
    水性媒体中に分散している水性顔料分散ペーストであっ
    て、前記樹脂の塩基性官能基のpKb値が前記塩基性化合
    物のpKb値以下であることを特徴とする水性顔料分散ペ
    ースト。
  2. 【請求項2】酸性官能基および塩基性官能基を併せて有
    する樹脂を、前記酸性官能基を塩基性化合物で中和して
    水性媒体に溶解させ、同樹脂の働きにより顔料を水性媒
    体中に分散させて水性顔料分散ペーストを製造する方法
    において、前記樹脂の塩基性官能基のpKb値が前記塩基
    性化合物のpKb値以下であることを特徴とする水性顔料
    分散ペーストの製造方法。
  3. 【請求項3】顔料を請求項1記載の水性顔料分散ペース
    トの形で配合する水性塗料組成物の製造方法。
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